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JP4396449B2 - 残響除去方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、浴室などの残響のある場所で音声を明瞭に集音するために用いる残響除去方法及びその装置に関するものである。
近年、インターホンシステムなどにおいてマイクロホンとスピーカを利用して拡声通話を行う拡声通話装置が普及してきているが、この種の拡声通話装置を残響のある場所(例えば、浴室など)に設置した場合、話者の音声の残響がマイクロホンで集音されるために音声が不明瞭になってしまう虞があった。これに対してマイクロホンで集音される音声から残響を除去する方法(残響除去方法)及び残響除去装置が種々提案されている。
例えば、非特許文献1には、単一マイクロホンで集音された信号から室内伝達特性の最小位相成分のみを取り除いて回復させる方法が提案されている。しかし、この方法は室内音場が最小位相特性をもつときのみしか有効でない。また、非特許文献2には、音源の数に対しマイクロホンを一つ以上多く配置することで、音源とマイクロホン間の伝達特性の零点が重複しない場合、系が最小位相特性を有していなくても音源波形そのものを正確に復元できる音場逆フィルタ理論が提唱されている。これらの伝達特性の逆特性を逆フィルタ手段で実現する方法では、逆フィルタを決定する上であらかじめ逆フィルタ用パラメータ(残響のインパルス応答)を測定しておかなければならない。しかし、室内伝達系は、室内環境の様々な変動に伴い時間と共に変動するため、高い回復精度を保持するために、その都度、伝達系を測定し、適応的に処理しなければならない。さらに、非特許文献3には、残響特性がスペクトル歪だけでなく信号波形のエンベロープに影響を与えることに着目し、室内伝達特性の測定を必要としない方法が提案されている。これは、変調伝達関数(MTF:Modulation Transfer Function)に基づいて音源信号と伝達系をモデル化し、信号波形そのものではなく、パワーエンベロープの回復を目的としたパワーエンベロープ逆フィルタ処理として実現されている。
特開平9−321860号公報 Stephen T. Neely and Jont B. Allen 「Invertibility of a room impulse response」,J.Acoust.Soc.Am.Vol.66,No.1,July 1979 Miyoshi,M. and Kaneda,Y.,「Inverse filtering of room acoustics,」 IEEE Trans.ASSP,Vol.36,No.2,pp.145-152,Feb.1988 広林茂樹、野村博昭、東山三樹夫「パワーエンベローブ伝達関数の逆フィルタ処理による残響音声の回復」電子情報通信学会論文誌A,Vol.J81-A,No.10,pp.1323-1330,2000 古川正和,鵜木祐史,赤木正人,「MTFに基づいた残響音声パワーエンベローブの回復方法」電子情報通信学会 信学技法,EA2002-15,SP2002-15(2002-04)
しかしながら、非特許文献3に開示されたパワーエンベロープ回復方法では、モデル化された室内伝達特性のパラメータ(振幅と残響時間)の決定法が不明確であり、一般的なパラメータ決定法であるTSP法やM系列法といったインパルス応答測定方法では、測定時に可聴領域音をスピーカから出力せねばならず、これが現実的な応用問題への発展を制限しているという問題があった。
これに対して非特許文献4では、非特許文献3のパワーエンベローブ逆フィルタ処理をベースに(1)パワーエンベローブの抽出法,(2)室内インパルス応答のパラメータ(振幅項と残響時間)の決定法といった原理上の問題点の改善を提案している。しかしながら、非特許文献4に開示された方法においては、音声信号のキャリア信号をホワイトノイズで近似しており、キャリア信号が受ける残響音場の影響を考慮していないため、不十分な音源信号しか復元されないという問題がある。特に、かかる方法を浴室に設置されるインターホンの通話端末に適用した場合、来訪者からは話者が浴室内で通話していることが判ってしまい、居住者のプライバシーを侵害してしまうという問題があった。
一方、特許文献1には、事前に可聴領域音を測定できない場合や伝達関数が時々刻々変化する場合でも適用可能な残響除去装置及び方法が開示されている。この残響除去装置は、少なくとも2つのマイクロホンと、これら2つのマイクロホンに対応した逆フィルタ部及び伝達関数模擬フィルタ部をそれぞれ構成要件としているが、インターホン等の拡声通話装置にこの方法及び装置を適用しようとすると、マイクロホンと演算用メモリ領域を増設し且つ高性能の信号処理演算器を用いる必要があるため、利用者への提供価格が高くなってしまい、これが一般家庭への普及の障壁になっているという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可聴領域音を鳴らさなくとも残響音を除去することができる残響除去方法及びその装置を提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、残響空間においてマイクロホンで集音する残響音声信号から残響成分を除去して元の音源信号を復元する残響除去方法であって、残響空間に存在するスピーカとマイクロホンとの音響結合によって形成される帰還経路のインパルス応答をFIR型フィルタからなる適応フィルタにより適応的に同定してマイクロホンで集音した残響音声信号から帰還経路のエコー成分を推定する第1のステップと、第1のステップにおいて適応フィルタで推定されたエコー成分を帰還経路の出力信号より減算する第2のステップと、第2のステップにおける減算結果に含まれたエコー成分推定値の推定誤差が最小となるように適応フィルタのフィルタ係数を更新する第3のステップと、第3のステップにおいてエコー成分推定値の推定誤差が最小となったときのフィルタ係数を残響空間のインパルス応答に代用し該フィルタ係数から残響空間の伝達関数を求める第4のステップと、第4のステップで求めた残響空間の伝達関数とマイクロホンで集音した残響音声信号との演算から元の音声信号を求める第5のステップとを有し、第3のステップにおいて、最小自乗平均アルゴリズムにより適応フィルタのフィルタ係数を更新するとともに、残響音声信号に音声が含まれているか否かを判定し、音声が含まれている場合にだけ適応フィルタのフィルタ係数を更新し、さらに、スピーカから出力する音声信号の瞬時パワーに対する残響音声信号の瞬時パワー比が所定のしきい値よりも大きい場合に適応フィルタにおけるステップゲインを相対的に小さい値に設定するとともに、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の双方に音声が含まれているか否かを判定し、双方に音声が含まれている場合には適応フィルタのフィルタ係数を更新しないことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第4のステップにおいて、フィルタ係数をフーリエ変換することにより周波数領域における伝達関数を求め、第5のステップにおいては残響音声信号をフーリエ変換するとともに第4のステップで求めた周波数領域の伝達関数の大きさで除算した後に逆フーリエ変換することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項の発明において、第3のステップにおいて、フィルタ係数が発散した場合にフィルタ係数を初期化することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項の発明において、第3のステップにおいて、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の双方に音声が含まれている場合であっても帰還経路が変動したときにはフィルタ係数の更新を継続することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、第5のステップにおいて、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の双方に音声が含まれているか否かを判定し、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の少なくとも何れか一方に音声が含まれておらず、且つエコー成分推定値の推定誤差が所定のしきい値より小さい場合に残響音声信号をゼロとすることを特徴とする。
請求項の発明は、上記目的を達成するために、残響空間においてマイクロホンで集音する残響音声信号から残響成分を除去して元の音源信号を復元する残響除去装置であって、FIR型フィルタからなり、残響空間に存在するスピーカとマイクロホンとの音響結合によって形成される帰還経路のインパルス応答を適応的に同定してマイクロホンで集音した残響音声信号から帰還経路のエコー成分を推定する適応フィルタと、適応フィルタで推定されたエコー成分を帰還経路の出力信号より減算する減算手段と、減算手段による減算結果に含まれたエコー成分推定値の推定誤差が最小となるように適応フィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、フィルタ係数更新手段においてエコー成分推定値の推定誤差が最小となったときのフィルタ係数を残響空間のインパルス応答に代用し該フィルタ係数から残響空間の伝達関数を求める伝達関数演算手段と、伝達関数演算手段で求めた残響空間の伝達関数とマイクロホンで集音した残響音声信号との演算から元の音声信号を求める残響演算手段とを備え、フィルタ係数更新手段は、最小自乗平均アルゴリズムにより適応フィルタのフィルタ係数を更新し、さらに残響音声信号に音声が含まれているか否かを判定し、音声が含まれている場合にだけ適応フィルタのフィルタ係数を更新する有音/無音判定部と、スピーカから出力する音声信号の瞬時パワーに対する残響音声信号の瞬時パワー比が所定のしきい値よりも大きい場合に適応フィルタにおけるステップゲインを相対的に小さい値に設定するステップゲイン切替部と、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の双方に音声が含まれているか否かを判定する判定部とを具備し、判定部によって双方に音声が含まれている場合には適応フィルタのフィルタ係数を更新しないことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項の発明において、伝達関数演算手段は、フィルタ係数をフーリエ変換することにより周波数領域における伝達関数を求め、残響演算手段は、残響音声信号をフーリエ変換するとともに該残響信号を周波数領域の伝達関数の大きさで除算した後に逆フーリエ変換することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項の発明において、フィルタ係数更新手段は、フィルタ係数の発散を検出するとともに発散検出時にフィルタ係数を初期化する発散検出部を具備することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項の発明において、フィルタ係数更新手段は、帰還経路の変動を検出する帰還経路変動検出部を具備し、判定部によって双方に音声が含まれていると判定された場合であっても帰還経路変動検出手段が帰還経路の変動を検出したときにはフィルタ係数の更新を継続することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項6又は7の発明において、減算手段の出力信号とスピーカから出力される信号に音声が含まれているか否かを検出するとともにエコー成分推定値の推定誤差を所定のしきい値と比較し、少なくとも何れか一方の信号に音声が含まれておらず、且つ推定誤差がしきい値より小さい場合に残響音声信号に非線形のエコー成分が含まれていると判断して当該残響音声信号をゼロとする非線形エコー抑圧手段を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、残響空間に存在するスピーカとマイクロホンとの音響結合によって形成される帰還経路のインパルス応答を適応フィルタのフィルタ係数で代用し、そのフィルタ係数を用いて残響成分を除去するため、単一のマイクロホンのみを用い、従来例のように可聴領域音を鳴らさなくとも残響音を除去することができるという効果がある。
以下、本発明の残響除去方法を実現する残響除去装置の実施形態について説明する。なお、本実施形態ではインターホンシステムを構成し浴室内に設置される拡声通話装置に残響除去装置を搭載した場合について例示しているが、これに限定する主旨ではなく、マイクロホンとスピーカを用いて音声を拡声する拡声装置全般に本発明の残響除去方法及び残響除去装置が適用可能である。
図2に拡声通話装置としてのインターホン親機(以下、「親機」と略す)M、相手側通話端末としてのドアホン子器Sのブロック図を示す。親機Mは、マイクロホン1、スピーカ2、2線−4線変換回路3、マイクロホンアンプG1、回線(2線の伝送路)への送話信号を増幅する回線出力アンプG2、回線からの受話信号を増幅する回線入力アンプG3、スピーカアンプG4、送話音量調整用増幅器G5、受話音量調整用増幅器G6、並びに第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30Bで構成される。また、ドアホン子器Sはマイクロホン1′、スピーカ2′、2線−4線変換回路3′、マイクロホンアンプG1′並びにスピーカアンプG4′で構成される。
第1のエコーキャンセラ30Aは適応フィルタ31Aと減算器32Aからなり、スピーカ2−マイクロホン1間の音響結合により形成される帰還経路(音響エコー経路)HACのインパルス応答を適応フィルタ31Aにより適応的に同定し、参照信号(スピーカアンプG4への入力信号)X(j)から推定したエコー成分(音響エコー)G^(j)を減算器32AによりマイクロホンアンプG1の出力信号Y(j)から減算することでエコー成分を相殺して消去するものである。また、第2のエコーキャンセラ30Bも適応フィルタ31Bと減算器32Bからなり、2線−4線変換回路3と伝送路との間のインピーダンスの不整合による反射およびドアホン子器Sにおけるスピーカ2’−マイクロホン1’間の音響結合とにより形成される帰還経路(回線エコー経路)HLINのインパルス応答を適応フィルタ31Bにより適応的に同定し、参照信号(回線出力アンプG2への入力信号、すなわち送話信号)から推定したエコー成分(回線エコー)を減算器32Bにより受話信号から減算することでエコー成分を相殺して消去するものである。
而して、第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30Bにより帰還経路HACおよびHLINのエコー成分を相殺して閉ループを断ち切るため、不快なエコーおよびハウリングを抑制することができる。また、マイクロホンアンプG1の出力信号に含まれるエコー以外の成分、すなわち、親機Mに対して通話者が発声した音声信号および親機Mの周囲の騒音については全く損失を与えずにドアホン子器S側へ伝送することができ、同様に受話信号に含まれるエコー以外の成分、すなわち、ドアホン子器Sに対して通話者が発声した音声信号およびドアホン子器Sの周囲の騒音については全く損失を与えずに親機M側へ伝送することができる。したがって、双方向の同時通話を実現することができる。
次に本発明の要旨である残響除去装置Aについて説明する。本実施形態における残響除去装置Aは、図1に示すようにマイクロホン1、スピーカ2、第1のエコーキャンセラ30A、並びに親機Mの送話側の信号経路における第1のエコーキャンセラ30Aと送話音量調整用増幅器G5との間に設けられた逆フィルタ処理部10によって構成されている。但し、第1のエコーキャンセラ30Aと逆フィルタ処理部10はDSP(Digital Signal Proccesser)のハードウェアを専用のソフトウェアで制御することによって実現されるものであり、アナログの音声信号をディジタル信号に変換するA/D変換器37とディジタルの音声信号をアナログ信号に変換するD/A変換器38を備えている。
適応フィルタ31Aは、FIR型、IIR型、ラティス型などの種々の構造のうちで最も安定的で且つ入力信号の特性変化にも強いFIR型であって、可変のフィルタ係数を適応更新することによって帰還経路のエコー成分(帰還経路を介した受話信号の回り込み成分)を推定するアルゴリズムとして、減算器32Aの出力信号の自乗平均値を最小化する最小自乗平均(LMS:Least-Mean-Square)アルゴリズムを用いている。
適応フィルタ31Aの動作をさらに詳しく説明すると、LMSアルゴリズムにおいては次式によってフィルタ係数(「タップ重み」ともいう)h^i(j)を再帰的に更新していく。
h^i(j+1)=h^i(j)+μE(j)・X(j−i)
但し、iはタップ番号、jはサンプル時間を示す。
ここで、E(j)は、遠端側(ドアホン子器S)からのみ発声が行われて近端側(親機M)では発声が行われていない、いわゆるシングルトークの状態である場合にエコー成分をG(j)とするとE(j)=G(j)−G^(j)となり、サンプル時間jにおけるエコー成分G(j)の推定誤差(瞬時誤差)を表し、μは毎回の繰り返しにおける補正量の大きさ(すなわち、収束の速さ)を制御するための定数であるステップゲイン(あるいは「ステップサイズパラメータ」ともいう)を表す。なお、エコー成分G(j)の推定値G^(j)は上記フィルタ係数h^i(j)と受話信号X(j)とから下記式(1)によって求められる。
Figure 0004396449
ここで、Iはフィルタタップ数、iはタップ番号である。
そして、フィルタ係数h^i(j)を再帰的に更新することで上記推定誤差E(j)の平均自乗誤差を最小とする最適解に到達する(収束する)と、その最適解のフィルタ係数h^i(j)から求められるエコー成分の推定値G^(j)を送話信号Y(j)から減算することでエコー成分を相殺した出力信号E(j)が得られることになる。
よって、第1のエコーキャンセラ30Aにより音響側帰還経路HACのエコー成分を相殺して閉ループを断ち切るため、不快なエコーを抑制することができる。また、マイクロホンアンプG1の出力信号に含まれるエコー以外の成分、すなわち、親機Mに対して通話者が発声した音声信号および親機Mの周囲の騒音については全く損失を与えずにドアホン子器S側へ伝送することができ、同様に受話信号に含まれるエコー以外の成分、すなわち、ドアホン子器Sに対して通話者が発声した音声信号およびドアホン子器Sの周囲の騒音については全く損失を与えずに親機M側へ伝送することができる。
ところで、親機Mとドアホン子器Sで同時に発声が行われる、いわゆるダブルトークの状態においてエコーキャンセラ30A,30Bの適応フィルタ31A,31Bがフィルタ係数h^i(j)の更新を継続すると、フィルタ係数h^i(j)が収束せずに発散してしまう虞がある。例えば第1のエコーキャンセラ30Aにおいて、マイクロホン1から入力するダブルトーク成分N(j)が存在する場合、送話信号Y(j)はY(j)=N(j)+G(j)となり、推定誤差E(j)はE(j)=N(j)+(G(j)−G^(j))と表される。このとき、フィルタ係数h^i(j)を再帰的に更新することで推定誤差E(j)の平均自乗誤差を最小とする最適解を求めようとすると、参照信号(受話信号X(j))と相関のないダブルトーク成分N(j)の項が推定誤差E(j)に含まれているためにフィルタ係数h^i(j)が収束せず、逆に発散する虞がある。すなわち、ダブルトーク成分N(j)は適応フィルタ31Aの動作においては外乱成分となる。
そこで本実施形態のエコーキャンセラ30Aでは、遠端側からの入力信号X(j)に音声成分が含まれるかどうかを判別する有音/無音判定部13を適応フィルタ31Aに具備するとともにダブルトークを検出するダブルトーク検出部14を具備し、後述するように有音/無音判定部13で音声が含まれると判定され、かつダブルトーク検出部14によりダブルトークが検出されない状態でのみフィルタ係数h^i(j)を更新するとともに、その他の状態ではフィルタ係数h^i(j)を更新せずにそれ以前の値に固定するようにして、フィルタ係数h^i(j)の発散を防止している。
さらに本実施形態のエコーキャンセラ30Aでは、遠端側の信号の瞬時パワーに対する近端側の信号の瞬時パワー比が所定のしきい値よりも大きい場合に適応フィルタ31Aにおけるステップゲインμを相対的に小さい値に設定するステップゲイン切替部15を具備しており、これにより上記比が所定のしきい値よりも大きいか否かを判定し、しきい値よりも大きいと判定した場合に適応フィルタ31Aにおけるステップゲインμを相対的に小さい値に設定するため、ダブルトークか否かにかかわらず、上記比がしきい値よりも大きければ適応フィルタ31Aにおけるフィルタ係数h^i(j)の収束の速さを相対的に遅くすることで発散を未然に防止して抑制することができるようになっている。
ところで、インターホンシステムの親機Mのように、マイクロホン1やスピーカ2の前に手をかざしたり顔を近づけたりすることでエコー経路の利得が頻繁に変動する系では、ダブルトークの状態とエコー経路の利得が変動した状態とを判別することができず、エコー経路の利得の変動に伴って本来更新すべきフィルタ係数h^i(j)が更新されない虞がある。そこで本実施形態では、音響エコー経路変動検出部16をエコーキャンセラ30Aに具備しており、音響エコー経路HACの変動を検出した場合、フィルタ係数h^i(j)の更新を継続するようにしている。このため、フィルタ係数h^i(j)を速く収束させることが可能となり、エコー成分のみを早期に精度よく抑圧できるようになっている。
また本実施形態では、適応フィルタ31Aにおいてフィルタ係数h^i(j)が発散したことを検出する音響エコー発散検出部17をエコーキャンセラ30Aに具備しており、音響エコー発散検出部17でフィルタ係数h^i(j)の発散が検出された場合、そのままフィルタ係数h^i(j)の更新を継続しても再度収束させることは困難であるため、フィルタ係数h^i(j)を初期化するようになっている。このため、フィルタ係数h^i(j)を速く収束させることが可能になり、エコー成分のみを早期に精度よく抑圧できるようになっている。
ところで本実施形態のエコーキャンセラ30Aは、上述した様々な方法でも抑圧しきれない残留エコー成分を除去するために非線形エコー抑圧部18を具備している。この非線形エコー抑圧部18は、後述するように近端側からの入力信号(送話信号)Y(j)に伝送すべき音声信号が含まれていない場合にのみ残留エコーを抑圧するものであって、通話の安定性向上が可能となる。
次に本発明の要旨である残響除去装置について説明する。一般に音源信号をx(t)(tは時間をあらわすインデックス)、室内インパルス応答をh(t)とすると、残響信号(観測信号)は下記の式(2)で表される(非特許文献3参照)。
y(t)=x(t)*h(t) (2)
但し、*はコンボリューション(畳み込み)演算を示す演算子である。
式(2)は周波数領域で下記の式(3)で表される(非特許文献3参照)。
Y(k)=X(k)H(k) (3)
但し、kは周波数領域をあらわすインデックスである。
従って音源信号X(k)は、下記の式(4)から求められる。
X(k)=Y(k)H-1 (k) (4)
ここで、線形システムにおいて観測信号から音源信号を推定するためには伝達系の推定が必要である。しかし、伝達関数H(k)は一般に時変系であるために適応的な推定を必要とする。
一方、エコーキャンセラ30Aにおいてフィルタ係数h^i(j)が十分に収束している、すなわち、推定誤差E(j)の平均自乗誤差を最小とする最適解に到達しているときは、そのフィルタ係数h^i(j)が音響側帰還経路HACのインパルス応答をよく近似している。そして、上記式(2)における室内インパルス応答h(t)を音響側帰還経路HACのインパルス応答で代用すれば、フィルタ係数h^i(j)を用いて伝達関数H(k)を演算し、残響信号(参照信号)から音源信号を復元することができるものであり、かかる演算処理を逆フィルタ処理部10で実行している。すなわち、本実施形態では逆フィルタ処理部10が伝達関数演算手段並びに残響演算手段となる。
親機Mが浴室のような残響のある場所に設置されている場合、マイクロホン1で集音する音声信号Z(j)には音源信号(通話者が発した音声信号)だけでなく残響信号が含まれており、第1のエコーキャンセラ30Aによってエコー成分のみが抑圧された音声信号Z’(j)には残響成分がそのまま残っているため、この残響成分を逆フィルタ処理部10で除去することにより残響成分を含まない音声信号(音源信号)Z”(j)が復元される。具体的には逆フィルタ処理部10では、次の5つのステップ1〜5の演算処理を行っている。
<ステップ1:室内インパルス応答h(t)を高速フーリエ変換演算するステップ>
室内インパルス応答h(t)を代用するフィルタ係数h^i(j)を第1のエコーキャンセラ30Aから取得し、このフィルタ係数h^i(j)を高速フーリエ変換して伝達関数H(k)を求める。この伝達関数H(k)は下式のように複素形式で表される。但し、Aは振幅を調整するパラメータであり、iは虚数単位である。
H(k)=A{h_real(k)+i・h_img(k)}
<ステップ2:残響音声信号Z’(j)を高速フーリエ変換演算するステップ>
第1のエコーキャンセラ30Aから出力される残響成分を含んだ音声信号(残響音声信号)Z’(j)を高速フーリエ変換して周波数領域の残響音声信号Z’(k)を求める。この残響音声信号Z’(k)も下式のように複素形式で表される。
Z’(k)=z’_real(k)+i・z’_img(k)
<ステップ3:伝達関数H(k)の大きさ|H(k)|を演算するステップ>
下式により伝達関数H(k)の大きさ|H(k)|を求める。
|H(k)|={h_real2(k)+h_img2(k)}1/2
<ステップ4:音源信号Z”(k)を回復する演算を行うステップ>
ステップ1〜3でそれぞれ求めたH(k)、|H(k)|、Z’(k)を用いて音源信号、すなわち、残響成分が除去された音声信号Z”(k)を求める。式(4)より、
Z”(k)=Z’(k)/H(k)=z”_real(k)+i・z”_img(k)
但し、
z”_real(k)={z’_real(k)・h_real(k)+z’_img(k)・h_img(k)}/|H(k)|2
z”_img(k)={z’_img(k)・h_real(k)−z’_real(k)・h_img(k)}/|H(k)|2
<ステップ5:音源信号Z”(k)を逆高速フーリエ変換演算するステップ>
周波数領域の音源信号Z”(k)を逆高速フーリエ変換して時間領域の音源信号Z”(j)を求める。
上記ステップ1〜5の演算処理により、残響音声信号Z’(j)から残響成分を除去した音声信号(音源信号)Z”(j)が逆フィルタ処理部10から遠端側に出力される。
ここで、親機Mが相手の通話機器(ドアホン子器Sなど)と通話を行う際に第1のエコーキャンセラ30A及び逆フィルタ処理部10が行う処理について、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。
例えば、ドアホン子器Sからの呼出に対して親機Mの応答釦が操作されると、親機Mとドアホン子器Sとの間に通話路が確立されて親機Mが通話状態に移行すると同時にDSPがエコーキャンセラ30A,30Bや逆フィルタ処理部10を実現するプログラム(ソフトウェア)を実行する。
図3に示すように、まず最初に変数の初期化処理(フィルタ係数h^i(0)=0、ステップゲインμ=μMAX、推定誤差E(0)=1)39が行われ、続いて遠端側(ドアホン子器S側)の入力信号X(j+1)と近端側(マイクロホン1側)の入力信号Y(j+1)の取得処理40,41が行われ、取得した入力信号X(j+1),Y(j+1)はFIFO型のメモリ(図示せず)に最新データとして蓄積される。
次にフィルタ係数h^i(j)を更新するか、更新を停止する(更新しない)か、変数初期化処理39から処理をやり直すかの判別処理(係数更新判別処理42)が行われる。このフィルタ係数更新判別処理42では、図4のフローチャートに示すように発散判定処理、有音/無音判定処理、ダブルトーク判定処理が行われる。音響エコー発散検出部17による発散判定処理では、まず近端側入力信号Y(j)とエコー成分推定値G^(j)の積に基づいて両者の符号を判別し、両者の符号が異符号であるときにのみカウント値divcountをインクリメントする処理51が行われた後、発散判定時間未経過判別処理52において発散検出の判定を行なう時間(例えば、200ミリ秒)が経過したかどうかが判別され、経過していなければ有音/無音判定処理が実行され、経過していれば上記時間のカウントを0に初期化するとともに、カウント値divcountつまり異符号の割合が発散判定閾値divsliceを超えているか否かが判断される。そして、カウント値divcountが発散判定閾値divsliceを越えていれば発散状態と判定し、カウント値divcountを0に初期化する処理54が行われた後、変数初期化処理39が行われる。一方、カウント値divcountが発散判定閾値divsliceを越えていなければ非発散状態と判定し、カウント値divcountを0に初期化する処理56が行われた後、有音/無音判定部13による有音/無音判定処理が実行される。
有音/無音判定処理では、蓄積された入力信号X(j+1)の絶対値平均LX(j+1)が有音/無音判定閾値LXSLICEを超えているか否かが判断され、絶対値平均LX(j+1)が有音/無音判定閾値LXSLICEを越えていなければ無音状態と判定し、フィルタ係数h^i(j)の更新が停止される。一方、絶対値平均LX(j+1)が有音/無音判定閾値LXSLICEを越えていれば有音状態と判定し、ダブルトーク判定処理が実行される。さらにダブルトーク判定処理では、蓄積された入力信号Y(j+1)の絶対値平均LY(j+1)がダブルトーク判定閾値LYSLICEを越えているか否かが判断され、絶対値平均LY(j+1)がダブルトーク判定閾値LYSLICEを越えていればダブルトーク状態と判定し、フィルタ係数h^i(j)の更新が停止される。一方、絶対値平均LY(j+1)がダブルトーク判定閾値LYSLICEを越えていなければダブルトーク状態でないと判定し、適応フィルタ31Aにおけるフィルタ係数h^i(j)の更新処理が実行される。
そして、図3に示すように、フィルタ係数h^i(j)を更新する場合はステップゲイン切替部15においてステップゲイン切替処理43が実行され、フィルタ係数h^i(j)の更新を停止する場合は前回のフィルタ係数h^i(j)を今回のフィルタ係数h^i(j)に代入する処理44’が行われた後にエコー成分推定値G^(j+1)の演算処理45が行われる。
ステップゲイン切替処理43では、入力信号X(j),Y(j)を最新のものから所定時間(例えば、2ミリ秒)前まで平均して求めた瞬時値(X瞬時値、Y瞬時値)の比(=X瞬時値/Y瞬時値)を所定の閾値αsliceと比較し、上記比が閾値αsliceを越えていなければフィルタ係数更新処理44で用いるステップゲインμを最小値μMINに設定し、瞬時値の比が閾値αslice以上であればステップゲインμを最大値μMAXに設定することでフィルタ係数h^i(j)の発散を防止している。
フィルタ係数更新処理44では、蓄積されているエコー成分の推定誤差E(j)と入力信号X(j)を取得してフィルタ係数h^i(j)がタップ番号ごとに更新される。続いて式(1)によりエコー成分推定値G^(j+1)を演算する処理45が行われた後、入力信号Y(j+1)からエコー成分推定値G^(j+1)を減算してエコー成分の推定誤差E(j+1)を演算する処理46が行われ、さらに非線形エコー除去処理47が行われる。この非線形エコー除去処理47においては、メモリに蓄積された入力信号Y(j+1)の絶対値平均LY(j+1)がシングルトークとダブルトークを判定する閾値LYsliceより小さい、つまりシングルトークの状態にあり、かつエコー成分の推定誤差E(j+1)がクリッピング閾値Eclipより小さければ、これを非線形エコー成分と判定し、出力信号(残響音声信号)Z’(j+1)を0とすることで除去する。それ以外の場合はエコー成分の推定誤差E(j+1)がそのまま出力信号Z’(j+1)とされる。
逆フィルタ処理部10による逆フィルタ処理48では、既に説明したように5つのステップ1〜5により残響音声信号Z’(j)から残響成分を除去した音声信号(音源信号)Z”(j)を復元しており、復元された音声信号Z”(j)を送話側の信号経路に出力する処理49,50が行われた後、再び入力信号X(j+1),Y(j+1)を取得する処理40に戻って上述の処理が繰り返されることになる。尚、逆フィルタ処理48で用いられるフィルタ係数h^i(j)が、係数更新判別処理42、ステップゲイン切替処理43、非線形エコー除去処理47によって時変系である空間(例えば、浴室)のインパルス応答を精度よく近似することができるため、残響成分を高い精度で除去できるものである。
また本実施形態においては、第1のエコーキャンセラ30Aにおけるエコー抑圧量が所定の基準値を超えているか否かを判断して基準値を超えている場合はフィルタ係数h^i(j)が室内インパルス応答h(j)をよく近似しているとみなして逆フィルタ処理部10にフィルタ係数h^i(j)を出力し、逆フィルタ処理部10が上述の逆フィルタ処理48を実行して残響音声信号Z’(j)から残響成分を除去した音声信号Z”(j)を出力し、反対に基準値を超えていない場合はフィルタ係数h^i(j)が室内インパルス応答h(j)を近似していないとみなして逆フィルタ処理部10にフィルタ係数h^i(j)を出力せず、残響音声信号Z’(j)が逆フィルタ処理部10を通過してそのまま音声信号Z”(j)として出力されるようにしている。
例えば、A/D変換器37のサンプリング周波数を8kHz、インパルス応答長を256ミリ秒とした場合、式(1)のフィルタタップ数Iは2048個となり、逆フィルタ処理部10が逆フィルタ処理48を行うか否かの判断は、エコー抑圧量をエコー成分の推定誤差E(j)とエコー成分推定値G^(j)との比E(j)/G^(j)と定義したときに20log{E(j)/G^(j)}(エコー抑圧量)の値が基準値−8dBを越えているか否かで行われる。すなわち、上記エコー抑圧量が−8dB未満となったときに第1のエコーキャンセラ30Aが音響側帰還経路HACを回り込んでくる音響エコーを十分抑圧している、つまりフィルタ係数h^i(j)が帰還経路HACの室内インパルス応答h(j)をよく近似していると判断して、第1のエコーキャンセラ30Aから逆フィルタ処理部10にフィルタ係数h^i(j)が渡されて逆フィルタ処理部10が逆フィルタ処理48を行い、エコー抑圧量が−8dB以上のときは音響エコーが十分に抑圧されていない、つまりフィルタ係数h^i(j)が帰還経路HACの室内インパルス応答h(j)を近似していないと判断して、第1のエコーキャンセラ30Aから逆フィルタ処理部10にフィルタ係数h^i(j)が渡されずに逆フィルタ処理部10は逆フィルタ処理48を行わず、残響音声信号Z’(j)がそのまま出力される。ここで、「省エネルギーは心がけ次第です。」というフレーズを浴室(室内寸法:2.0m×1.7m×2.2m)内で男性が発したときの残響音声信号の波形を図5に、逆フィルタ処理部10が逆フィルタ処理48を行うことで残響成分を除去した後の音声信号の波形を図6に、第1のエコーキャンセラ30Aが収束したときの2048個のフィルタ係数h^i(j)を図7にそれぞれ示す。図5と図6を比較すれば明らかなように、本実施形態の残響除去装置Aにより音声信号に含まれる残響成分が除去されて音声信号が聞き取りやすくなっていることが判る。
而して、残響のある浴室内に設置された親機Mと玄関先に設置されたドアホン子器Sとの間で拡声通話を行う場合、浴室内の残響成分が付加された音声信号が親機Mのマイクロホン1に集音されるために残響成分が音源信号(通話者の音声信号)をマスクしてしまい、ドアホン子器Sのスピーカから出力される音声が聞き取りにくくなっていたが、上述のように本発明に係る残響除去装置Aを親機Mに搭載することにより、親機Mからドアホン子器Sへは残響成分が除去された音声信号が伝送されるため、ドアホン子器Sのスピーカから出力される音声が聞き取り易くなって快適な通話環境が実現できる。また、ドアホン子器Sのスピーカから聞こえる音声に残響成分が含まれていると相手の通話者に浴室内にいることが判ってしまうことからプライバシーが侵害される虞があり、しかも、入浴中であればそのことが相手の通話者に判ってしまうことで住居に侵入されたり盗難の被害に遭いかねないという防犯上の問題もあったが、ドアホン子器Sのスピーカから聞こえる音声に残響成分がなければ相手の通話者に浴室内に居ることが判らないため、居住者のプライバシー保護と防犯性の向上とが図れるものである。
尚、コンサートホールや講堂に設置された拡声システムにおいても講演者の音声が空間から反射してくる残響成分によってマスクされて聴講者が内容を聞き取りにくくなることがあるが、かかる拡声システムに本発明の残響除去方法及び装置を適用すれば、インターホンシステムの親機Mを浴室に設置した場合と同様の効果を奏し、コンサートホールや講堂内でTSP方やM系列法などに基づく基準音を出力せずとも逆フィルタ処理によって残響成分を除去することが可能である。
本発明の実施形態を示すブロック図である。 同上を搭載した親機と、親機とともにインターホンシステムを構成するドアホン子器のブロック図である。 同上の動作説明用のフローチャートである。 同上の動作説明用のフローチャートである。 残響音声信号の波形図である。 同上を用いて残響成分が除去された音声信号の波形図である。 同上におけるフィルタ係数を示す図である。
符号の説明
A 残響除去装置
1 マイクロホン
2 スピーカ
10 逆フィルタ処理部
30A 第1のエコーキャンセラ
31A 適応フィルタ
32A 減算器

Claims (10)

  1. 残響空間においてマイクロホンで集音する残響音声信号から残響成分を除去して元の音源信号を復元する残響除去方法であって、残響空間に存在するスピーカとマイクロホンとの音響結合によって形成される帰還経路のインパルス応答をFIR型フィルタからなる適応フィルタにより適応的に同定してマイクロホンで集音した残響音声信号から帰還経路のエコー成分を推定する第1のステップと、第1のステップにおいて適応フィルタで推定されたエコー成分を帰還経路の出力信号より減算する第2のステップと、第2のステップにおける減算結果に含まれたエコー成分推定値の推定誤差が最小となるように適応フィルタのフィルタ係数を更新する第3のステップと、第3のステップにおいてエコー成分推定値の推定誤差が最小となったときのフィルタ係数を残響空間のインパルス応答に代用し該フィルタ係数から残響空間の伝達関数を求める第4のステップと、第4のステップで求めた残響空間の伝達関数とマイクロホンで集音した残響音声信号との演算から元の音声信号を求める第5のステップとを有し、第3のステップにおいて、最小自乗平均アルゴリズムにより適応フィルタのフィルタ係数を更新するとともに、残響音声信号に音声が含まれているか否かを判定し、音声が含まれている場合にだけ適応フィルタのフィルタ係数を更新し、さらに、スピーカから出力する音声信号の瞬時パワーに対する残響音声信号の瞬時パワー比が所定のしきい値よりも大きい場合に適応フィルタにおけるステップゲインを相対的に小さい値に設定するとともに、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の双方に音声が含まれているか否かを判定し、双方に音声が含まれている場合には適応フィルタのフィルタ係数を更新しないことを特徴とする残響除去方法。
  2. 第4のステップにおいて、フィルタ係数をフーリエ変換することにより周波数領域における伝達関数を求め、第5のステップにおいては残響音声信号をフーリエ変換するとともに第4のステップで求めた周波数領域の伝達関数の大きさで除算した後に逆フーリエ変換することを特徴とする請求項1記載の残響除去方法。
  3. 第3のステップにおいて、フィルタ係数が発散した場合にフィルタ係数を初期化することを特徴とする請求項記載の残響除去方法。
  4. 第3のステップにおいて、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の双方に音声が含まれている場合であっても帰還経路が変動したときにはフィルタ係数の更新を継続することを特徴とする請求項記載の残響除去方法。
  5. 第5のステップにおいて、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の双方に音声が含まれているか否かを判定し、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の少なくとも何れか一方に音声が含まれておらず、且つエコー成分推定値の推定誤差が所定のしきい値より小さい場合に残響音声信号をゼロとすることを特徴とする請求項1又は2記載の残響除去方法。
  6. 残響空間においてマイクロホンで集音する残響音声信号から残響成分を除去して元の音源信号を復元する残響除去装置であって、FIR型フィルタからなり、残響空間に存在するスピーカとマイクロホンとの音響結合によって形成される帰還経路のインパルス応答を適応的に同定してマイクロホンで集音した残響音声信号から帰還経路のエコー成分を推定する適応フィルタと、適応フィルタで推定されたエコー成分を帰還経路の出力信号より減算する減算手段と、減算手段による減算結果に含まれたエコー成分推定値の推定誤差が最小となるように適応フィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、フィルタ係数更新手段においてエコー成分推定値の推定誤差が最小となったときのフィルタ係数を残響空間のインパルス応答に代用し該フィルタ係数から残響空間の伝達関数を求める伝達関数演算手段と、伝達関数演算手段で求めた残響空間の伝達関数とマイクロホンで集音した残響音声信号との演算から元の音声信号を求める残響演算手段とを備え、フィルタ係数更新手段は、最小自乗平均アルゴリズムにより適応フィルタのフィルタ係数を更新し、さらに残響音声信号に音声が含まれているか否かを判定し、音声が含まれている場合にだけ適応フィルタのフィルタ係数を更新する有音/無音判定部と、スピーカから出力する音声信号の瞬時パワーに対する残響音声信号の瞬時パワー比が所定のしきい値よりも大きい場合に適応フィルタにおけるステップゲインを相対的に小さい値に設定するステップゲイン切替部と、マイクロホンで集音された信号とスピーカから出力される信号の双方に音声が含まれているか否かを判定する判定部とを具備し、判定部によって双方に音声が含まれている場合には適応フィルタのフィルタ係数を更新しないことを特徴とする響除去装置
  7. 伝達関数演算手段は、フィルタ係数をフーリエ変換することにより周波数領域における伝達関数を求め、残響演算手段は、残響音声信号をフーリエ変換するとともに該残響信号を周波数領域の伝達関数の大きさで除算した後に逆フーリエ変換することを特徴とする請求項記載の残響除去装置
  8. フィルタ係数更新手段は、フィルタ係数の発散を検出するとともに発散検出時にフィルタ係数を初期化する発散検出部を具備することを特徴とする請求項記載の残響除去装置
  9. フィルタ係数更新手段は、帰還経路の変動を検出する帰還経路変動検出部を具備し、判定部によって双方に音声が含まれていると判定された場合であっても帰還経路変動検出手段が帰還経路の変動を検出したときにはフィルタ係数の更新を継続することを特徴とする請求項記載の残響除去装置
  10. 減算手段の出力信号とスピーカから出力される信号に音声が含まれているか否かを検出するとともにエコー成分推定値の推定誤差を所定のしきい値と比較し、少なくとも何れか一方の信号に音声が含まれておらず、且つ推定誤差がしきい値より小さい場合に残響音声信号に非線形のエコー成分が含まれていると判断して当該残響音声信号をゼロとする非線形エコー抑圧手段を備えたことを特徴とする請求項6又は7記載の残響除去装置。
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