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JP4393934B2 - 半導体加工用粘着シート - Google Patents

半導体加工用粘着シート Download PDF

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JP4393934B2
JP4393934B2 JP2004185428A JP2004185428A JP4393934B2 JP 4393934 B2 JP4393934 B2 JP 4393934B2 JP 2004185428 A JP2004185428 A JP 2004185428A JP 2004185428 A JP2004185428 A JP 2004185428A JP 4393934 B2 JP4393934 B2 JP 4393934B2
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Description

本発明は、ロール状等の形状に巻き取って供給するのに適した、半導体加工用粘着シートに関する。
電子機器の小型化に伴い、従来は350μm程度の厚さであった半導体ウエハを50〜100μm、あるいはそれ以下まで薄く研削する必要が生じている。半導体ウエハの裏面研削工程においては、回路が形成されているウエハ表面は粘着シートを貼付することによって保護される。半導体ウエハは薄く研削されるほど破損が起こりやすくなるため、それを防ぐための保護粘着シートにはより高い支持強度が要求されるようになってきており、たとえば特許文献1では、基材に剛性フィルムを使ったものが開示されている。
さらに、近年ICチップの実装方法の多様化が進んでおり、たとえばICチップが回路面を下側にして配置される、いわゆるフリップチップ実装では凸状の電極素子が回路表面より突出し、回路表面における高低差は20μm以上、場合によっては100μmを超える。このような表面の凹凸差が大きいウエハの裏面研削工程において好適に使用される保護粘着シートとしては、基材と粘着層の間に貯蔵弾性率の低い中間層を設けて厚みをもたせたものが特許文献2に開示されている。中間層が粘着層と共に被着体の凹凸に追従して高低差を吸収するため、ウエハは平坦に保持され、厚さが均一で極薄な形状まで裏面研削が可能となる。
特開2003−129011号公報 特開2000−212530号公報
粘着層の平滑性を維持し、また粘着層を汚染から保護するために、上記のような半導体加工用粘着シートにおいては通常、粘着層の表面に剥離フィルムが仮着される。剥離フィルムとしては、片面がシリコーン系剥離剤で処理された寸法安定性に優れるポリエチレンテレフタレートフィルムが多用されている。また粘着シートの輸送、保管は、ロール状に巻き取った形態で行うのが操作性や経済性の観点から有利である。
しかしながら、剛性の高い基材上に低弾性で厚みのある粘着層を有する粘着シートに上記のような汎用の剥離フィルムを貼着してロール状に巻くと、基材と剥離フィルムにはその巻き取り半径の差に起因する張力差が生じる。この張力差を解消しようとして、巻き取り時や保管時に粘着シートにシワが発生するという問題があった。
粘着層と剥離フィルムとの間にシワが入ると粘着層の表面が変形する。粘着層が変形した粘着シートを半導体ウエハに適用すると、剥離する際に、変形した領域に糊残りが大きく発生する。これは、粘着層の粘着剤がエネルギー線硬化性であってもなくても同様である。
表面の凹凸差が大きいウエハを極薄まで研削するための半導体加工用粘着シートとしては、シート全体に高い支持強度をもたせるための剛性基材と、被着体表面の凹凸差に対応できる低弾性で厚みのある粘着層とを組み合わせたものが理想的である。
したがって、このような層構成のシートにさらに粘着層保護のための剥離フィルムが設けられたもので、ロール状に巻き取られ保管された後でもシワが発生することのない半導
体加工用粘着シートが求められている。
このような課題を解決する本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]基材と、その上に形成された粘着層と、該粘着層の上に形成された剥離フィルムとからなる半導体加工用粘着シートであって、
該基材が、少なくとも1層のヤング率が2000MPa以上の剛性フィルムを有し、
該粘着層が、貯蔵弾性率が1.0×105Pa以下であり厚さが50μm以上の軟質粘着層を含み、
該剥離フィルムが、ヤング率が700MPa以下のフィルムからなることを特徴とする半導体加工用粘着シート。
[2]前記剥離フィルムの粘着層に接する面が剥離処理されていることを特徴とする[1]に記載の半導体加工用粘着シート。
本発明によれば、表面の凹凸差が大きいウエハの裏面研削に好適に用いられる半導体加工用粘着シートを、ロール状に巻いた状態でシワを発生させることなく提供することが可能となる。このような半導体加工用粘着シートは、ロール状に巻かれているときにシワが発生して粘着層が変形することがないので、ウエハから剥離する際に糊残りを引き起こすこともない。
以下、本発明に係る粘着シートについて、さらに具体的に説明する。
本発明に係る半導体加工用粘着シートは、基材、粘着層、剥離フィルムがこの順に積層されてなる。剥離フィルムの粘着層に接する面は剥離剤によって剥離処理されていてもよい。
本発明の半導体加工用粘着シートは、基材に特定のヤング率の剛性フィルムを少なくとも1層有する。すなわち、当該剛性フィルムのヤング率は2000MPa以上であり、好ましくは3000〜7000MPaである。このような剛性フィルムを基材に有していることにより、高い支持強度が得られ、ウエハを極薄まで研削する場合であってもウエハを破損することなく保持できる。
このような剛性フィルムとしては、上記ヤング率を有する限り特に限定はされず、従来より公知の種々のフィルムが用いられる。中でも、耐水性、耐熱性、剛性等の点から、合成樹脂フィルムが好ましく用いられる。具体的には、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルムなどが用いられる。
上記の剛性フィルムの厚さは、好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20〜1000μm、特に好ましくは50〜200μmである。
本発明における基材は、上記のようなヤング率を示す剛性フィルムのみからなる単層または複層構造であってもよいし、異なるヤング率を示す別のフィルムと上記剛性フィルムとの複層構造であってもよい。別のフィルムとしては、前述した剛性フィルムに用いられるフィルムの他、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・プロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、
ポリメチルペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、アイオノマーあるいはスチレン・ブタジエンゴムおよびその水添加物または変性物等からなるフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
本発明の基材の厚さは、好ましくは25μm以上であり、さらに好ましくは50〜500μm、特に好ましくは75〜200μmである。
なお、基材の上面、すなわち粘着層が形成される側の面には、粘着層との密着性を向上させるために、コロナ処理を施したりプライマー等他の層を設けてもよい。
本発明に係る半導体加工用粘着シートは、特定の貯蔵弾性率および特定の厚さの軟質粘着層を有する。すなわち、軟質粘着層の貯蔵弾性率は1.0×105Pa以下であり、好ましくは1.0×104〜1.0×105Paである。軟質粘着層の厚さは50μm以上であり、好ましくは60〜300μmである。
軟質粘着層に用いられる材料は特に限定されず、従来より半導体加工用粘着シートに用いられてきた種々の粘着性材料により形成され得る。具体的には、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。また、エネルギー線硬化型や加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤も用いることができる。
エネルギー線硬化(エネルギー線硬化、紫外線硬化、電子線硬化)型粘着剤とは、エネルギー線硬化性を有しており、エネルギー線照射前においては十分な粘着性を有してウエハ等の被着体に確実に接着し、エネルギー線照射により硬化して接着力を低下または消失して、容易に被着体から剥離する性質を有する粘着剤である。エネルギー線硬化型粘着剤としては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。エネルギー線硬化型粘着剤は、一般的には、アクリル系粘着剤と、エネルギー線重合性化合物とを主成分としてなる。このようなエネルギー線硬化型粘着剤の詳細は、たとえば特開昭60−196956号公報、特開昭60−223139号公報、特開平5−32946号公報、特開平8−27239号公報等に記載されている。軟質粘着層としてエネルギー線硬化型粘着剤が使用された場合、その貯蔵弾性率はエネルギー線硬化前の値である。また、水膨潤型粘着剤としては、たとえば特公平5−77284号公報、特公平6−101455号公報等に記載のものが好ましく用いられる。
軟質粘着層を構成する粘着性材料としては、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤型のいずれを使用してもよい。特に本発明において軟質粘着層の厚さを厚くする場合には、無溶剤型粘着剤を用いることにより、少ない塗布回数で所望の厚さとすることができる。無溶剤型粘着剤としては、アクリル樹脂やウレタン樹脂(あるいはオリゴマー)にエネルギー線硬化性の反応希釈剤を配合したものが挙げられ、基材に塗布した後エネルギー線を照射することにより軟質粘着層が形成される。このようなエネルギー線硬化性の無溶剤型粘着剤は、エネルギー線照射前には塗料状態(液状)で粘着層を形成せず、エネルギー線照射により固化して粘着層を形成してエネルギー線硬化性を消失する性質を有し、前述のエネルギー線硬化型粘着剤とは異なる。軟質粘着層としてこのようなエネルギー線硬化性の無溶剤型粘着剤が使用された場合は、その貯蔵弾性率はエネルギー線照射後の値である。
軟質粘着層の貯蔵弾性率を1.0×105Pa以下とする方法としては、一般的に、軟質粘着層を構成するポリマー成分を柔軟性の高い材質にする、軟質粘着層の架橋構造を疎
とする、低分子量成分の量を増加する、などの方法が挙げられ、具体的には、
1)軟質粘着層のポリマー成分を構成するモノマーにおいて、ホモポリマーのTgが低いモノマーの配合比を増加させること、または極性の高いモノマーの配合比を低減すること、
2)軟質粘着層に配合する架橋剤の量を低減する、または軟質粘着層のポリマー成分への架橋可能な官能基の導入量を低減すること、あるいは軟質粘着層に配合する架橋剤を架橋点間距離の長い化合物にすること、
3)軟質粘着層の架橋構造に影響を及ぼさないような可塑剤等の低分子量成分の配合量を増加する、または軟質粘着層のポリマー成分の分子量分布を低分子領域にシフトするようにすることが挙げられる。
また、軟質粘着層がエネルギー線硬化型粘着剤からなる場合には、上記の手段に加えて、
4)エネルギー線硬化性成分として使用するモノマーやオリゴマーの配合量を増加することが挙げられる。
本発明の半導体加工用粘着シートにおける粘着層は、上記した軟質粘着層の単層構造であってもよいが、軟質粘着層どうしの複層構造であってもよいし、貯蔵弾性率の大きい別の粘着層との複層構造であってもよい。
粘着層が単層構造の軟質粘着層である場合は、その軟質粘着層としてエネルギー線硬化型粘着剤を用いることがより好ましい。貯蔵弾性率が低い軟質粘着層は、剥離時に被着体に糊残りを起こしやすい。しかし、エネルギー線硬化型粘着剤からなる軟質粘着層であれば、粘着シートを剥離する直前にエネルギー線(紫外線、電子線等)を照射して軟質粘着層を硬化すれば、被着体に糊残りしないように剥離することができる。
粘着層が複層構造である場合は、粘着層はその位置関係によって被着体に直接貼付される表面粘着層と、基材と該表面粘着層の層間に位置する中間粘着層とに区分される。本発明の半導体加工用粘着シートは、粘着層に軟質粘着層が含まれていれば、軟質粘着層は表面粘着層と中間粘着層のどちらであってもよいし、両方が軟質粘着層であってもよい。さらに中間粘着層が軟質粘着層を含む複層の粘着層であってもよい。貯蔵弾性率が1.0×105Pa以下の軟質粘着層が複層である場合、本発明における軟質粘着層の厚さは、個々の軟質粘着層の厚さの総和とする。
なお、表面粘着層としては、被着体との親和性や剥離性を優先して設計するのが好ましく、例えば、被着体からの剥離性に優れたいわゆる再剥離型の弱粘着剤もしくはエネルギー線硬化型粘着剤が好ましく用いられる。再剥離型の弱粘着剤は貯蔵弾性率が大きい傾向にあるので、表面粘着層を軟質粘着層とする場合には、エネルギー線硬化型粘着剤を使用することが好ましい。また、中間粘着層を軟質粘着層とすれば、再剥離型の弱粘着剤を表面粘着層として使用することができる。
粘着層を表面粘着層と中間粘着層との複層構造とした場合、表面粘着層の厚さは、好ましくは5〜100μmであり、さらに好ましくは10〜80μmである。また、中間粘着層の厚さは、好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは60〜300μmである。
本発明の半導体加工用粘着シートは、特定のヤング率の剥離フィルムを有することを特徴としている。剥離フィルムのヤング率は700MPa以下であり、好ましくは50〜700MPa、さらに好ましくは100〜500MPaである。
このようなヤング率の剥離フィルムは、低弾性で厚みのある粘着層を有する粘着シートをロール状に巻き取った際に問題となる、巻き取り半径差に起因する基材と剥離フィルム間の張力差を緩和することができる。
剥離フィルムのヤング率が高すぎると、粘着シートをロール状に巻き取る際やその後の保管時にシワが発生しやすくなる。ヤング率が低すぎると剥離フィルム自体の剛性が不足するため、巻き取りや粘着層との貼り合わせ、あるいは後述する剥離層を形成するための塗布工程において機械強度が不足して変形し、粘着層を平滑に保護できなくなる恐れがある。
なお、本発明に用いられる剥離フィルムは後述のように剥離剤層を粘着層側の表面に面する側に有する場合があるが、その場合の剥離フィルムのヤング率は、剥離剤層を含めた積層フィルムのヤング率とする。
剥離フィルムとしては、剥離性の表面を有し、上記ヤング率を有する限り特に限定はされず、種々のフィルムが用いられる。このような剥離フィルムとしては、具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・プロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、アイオノマーあるいはスチレン・ブタジエンゴムおよびその水添加物または変性物等からなるフィルムなど、あるいはこれらのフィルムの積層物が用いられる。
剥離フィルムとしては、上記したようなフィルムの一方の表面に剥離処理を施したフィルムが好ましい。剥離処理に用いられる剥離剤としては、特に限定はないが、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系等が用いられる。特にシリコーン系の剥離剤が低剥離力を実現しやすいので好ましい。また、剥離フィルムが上記のようなヤング率である場合は、通常耐熱性に乏しいので、低温硬化タイプや紫外線・電子線硬化タイプの剥離剤を選択することが好ましい。剥離フィルムに用いるフィルムがポリオレフィンフィルムのようにそれ自身の表面張力が低く、粘着層に対し低剥離力を示すものであれば、剥離処理を行わなくてもよい。
剥離処理の方法としては、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等により該フィルムに塗布し、加熱または紫外線あるいは電子線の照射により硬化させて剥離層を形成する。
上記の剥離フィルムの厚さは、好ましくは12μm以上であり、さらに好ましくは15〜1000μm、特に好ましくは50〜200μmである。剥離フィルムが薄すぎると、粘着シートを構成する各層を積層する工程や、粘着シートを巻き取る工程において蓄積されるストレスに対する、粘着シート自体の寸法安定性が不足する。剥離フィルムが厚すぎると粘着シートの総厚が過大となるため取り扱いが困難になる。
本発明の粘着シートは、上記基材上に、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど一般に公知の方法にしたがって適宜の厚さ・順序で粘着剤を塗工・乾燥させて粘着層を形成し、次いで粘着層上に上記剥離フィルムを貼り合わせることによって得られる。粘着層の形成は、各粘着剤を剥離フィルム上にそれぞれ塗工・乾燥させた後、これを基材上に順次転写して行ってもよい。
本発明の粘着シートでは、上記した特定の基材および剥離フィルムを用いているため、粘着層を厚く低弾性率のものにした場合であっても、ロール状に巻き取った際のシワの発生を防止できる。したがって、粘着層を従来の半導体加工用粘着シートの場合よりも厚く低弾性率に設定できる。厚く低弾性率の粘着層は、貼着するウエハ表面の凹凸に追従して高低差を吸収するので、表面の凹凸差が大きなウエハも平坦に保持し、厚さが均一で極薄な形状まで裏面研削が可能となる。すなわち、本発明によれば、表面の凹凸差が大きいウエハの裏面研削に好適に用いられる半導体加工用粘着シートを、ロール状に巻いた状態でシワを発生させることなく提供することが可能となる。
本発明によれば、表面の凹凸差が大きいウエハの裏面研削に好適に用いられる半導体加工用粘着シートを、ロール状に巻いた状態でシワを発生させることなく提供することが可能となる。このような半導体加工用粘着シートは、ロール状に巻かれているときにシワが発生して粘着層が変形することがないので、ウエハから剥離する際に糊残りを引き起こすこともない。
<実施例>
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例における「ヤング率」および「貯蔵弾性率」の測定、ならびにロールの「シワの発生」の評価は、次に示す方法で行った。
「ヤング率」
剛性フィルム及び剥離フィルムをJIS K 7127に従って測定したMD方向の値を、そのフィルムのヤング率とした。具体的には、長さ150mm(MD方向)、幅15mm(CD方向)の試験片を用意し、これを万能引張試験機により、チャック間初期距離100mm、引張スピード200mm/分で測定した。
「貯蔵弾性率」
Rheometrics社製、ダイナミックアナライザ RDA−IIを用い、直径8mm、厚さ3mmの円柱型の測定試料を用いて、捻り剪断法により周波数1Hz、23℃において測定した。
「シワの発生」
(1)ロールの作製
後述の構成で作製した粘着シートを幅330mmに裁断しながら、外径87mmのABS樹脂製の巻芯に、巻き取り速度3m/min、巻き取り張力100N/m、巻き取り長さ50mとなるよう巻き取った。なお、巻き取り方向は基材面が内側で剥離フィルムが外側とする内巻きと、基材面が外側で剥離フィルムが内側となる外巻きの2種の形態を用意した。
(2)評価方法
(1)により作製されたロールを、それぞれ5℃の低温条件、23℃相対湿度50%の室温条件、40℃相対湿度80%の高温高湿条件とする環境下に1ヶ月保管し、シワの発生の有無を目視で確認した。
(実施例1)
基材として、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と表記する。東レ社製「ルミラーS」:ヤング率4000MPa、厚さ100μm)の単層品を用いた。
軟質粘着層として、2−エチルヘキシルアクリレート95重量部と2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部からなるアクリル共重合体(重量平均分子量Mw30万)100重量部、多価イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製「コロネートL」)0.5重量部からなる非エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物を用意した。
剥離フィルムとして、低密度ポリエチレン(タマポリ社製「GF−1」:ヤング率200MPa、厚さ50μm)フィルムのコロナ処理面に、付加反応型シリコーン樹脂剥離剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「LTC−760A」)100重量部に、白金系触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製「SRX−212」)を2重量部、光増感剤アセトフェノン1重量部を添加し、固形分濃度1重量%に溶剤で希釈した塗工液を乾燥後の塗布量が1μmになるように塗布し、40℃30秒乾燥後、紫外線を照射(フュージョンHバルブ、240W/cm)して剥離剤層を形成したフィルムを用意した。
基材の片面に粘着剤組成物を乾燥後の塗布厚が100μmとなるように塗布乾燥して粘着層を形成し、該粘着層面に剥離フィルムの剥離剤層面を積層し、粘着層が軟質粘着層の単層である半導体加工用粘着シートを得た。軟質粘着層(粘着層)の23℃における貯蔵弾性率G'は、5×104Paであった。
評価結果を表1に示す。
(実施例2)
基材として、ポリエチレンナフタレート(帝人デュポン社製「テオネックス」:ヤング率6000MPa、厚さ75μm)の単層品を用いた。
軟質粘着層として、ブチルアクリレート90重量部とアクリル酸10重量部からなるアクリル共重合体(重量平均分子量Mw60万)100重量部、平均分子量約5000のウレタンアクリレートオリゴマー150重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア184」)5重量部、多価イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製「コロネートL」)5重量部からなるエネルギー線硬化型の粘着剤組成物を用意した。
剥離フィルムとして、直鎖低密度ポリエチレンフィルム(アイセロ化学社製「スズロンL−105」:ヤング率500MPa、厚さ100μm)のコロナ処理面に、実施例1と同じ処方および塗布方法により剥離剤層を形成したフィルムを用意した。
基材の片面に粘着剤組成物を乾燥後の塗布厚が150μmとなるように塗布乾燥して粘着層を形成し、該粘着層面に剥離フィルムの剥離剤層面を積層し、粘着層が軟質粘着層の単層である半導体加工用粘着シートを得た。軟質粘着層(粘着層)のエネルギー線硬化前における23℃の貯蔵弾性率G'は8×104Paであった。
評価結果を表1に示す。
(実施例3)
基材として、PET(東レ社製、商品名ルミラーS:ヤング率4000MPa、厚さ75μm)と直鎖低密度ポリエチレンフィルム(アイセロ化学社製「スズロンL−105」:ヤング率500MPa、厚さ100μm)とを、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレート90重量部とアクリル酸10重量部との共重合体(重量平均分子量Mw60万)100重量部、多価イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製「コロネートL」)2重量部)10μmにより積層した積層品(厚さ185μm)を用いた。
軟質粘着層として、実施例2に使用した粘着剤組成物を使用した。
剥離フィルムとして、ポリオレフィンフィルム(オカモト社製「エコロフィン」:ヤング率260MPa、厚さ200μm)のコロナ処理面に実施例1と同じ処方および塗布方法により剥離剤層を形成したフィルムを用意した。
基材の直鎖低密度ポリエチレンフィルム側に粘着剤組成物を乾燥後の塗布厚が50μmとなるように塗布乾燥して粘着層を形成し、該粘着層面に剥離フィルムの剥離剤層面を積層し、粘着層が軟質粘着層の単層である半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
(実施例4)
基材として、PET(東レ社製「ルミラーS」:ヤング率4000MPa、厚さ188μm)の単層品を用いた。
軟質粘着層として、実施例1と同じ粘着剤組成物を用意した。
剥離フィルムとして、無延伸ポリプロピレン(東洋紡績社製「パイレン−CT P1111」:ヤング率670MPa、厚さ50μm)のコロナ処理面に実施例1と同じ処方および塗布方法により剥離剤層を形成したフィルムを用意した。
基材の片面に粘着剤組成物を乾燥後の塗布厚が60μmとなるように塗布乾燥して粘着層を形成し、該粘着層面に剥離フィルムの剥離剤層面を積層し、粘着層が軟質粘着層の単層である半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
(実施例5)
基材として、PET(東レ社製「ルミラーS」:ヤング率4000MPa、厚さ50μm)と、低密度ポリエチレン(タマポリ社製「GF−1」:ヤング率200MPa、厚さ25μm)とをポリエステル系のドライラミネート用接着剤(厚さ2μm)により積層し、PET側をコロナ処理した積層品(厚さ77μm)を用いた。
軟質粘着層として、ブチルアクリレート90重量部とアクリル酸10重量部とからなるアクリル共重合体(重量平均分子量Mw60万)100重量部、平均分子量約8000のウレタンアクリレートオリゴマー120重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア184」)4重量部、多価イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製「コロネートL」)2重量部からなるエネルギー線硬化型の粘着剤組成物を用意した。
剥離フィルムは、実施例1と同じ物を用意した。
基材のPET側に粘着剤組成物を乾燥後の塗布厚が200μmとなるように塗布乾燥して粘着層を形成し、該粘着層面に剥離フィルムの剥離剤層面を積層し、粘着層が軟質粘着層の単層である半導体加工用粘着シートを得た。軟質粘着層(粘着層)のエネルギー線硬化前の23℃の貯蔵弾性率G'は1×105Paであった。
評価結果を表1に示す。
(実施例6)
基材として、PET(東レ社製「ルミラーS」:ヤング率4000MPa、厚さ25μm)の両面に、低密度ポリエチレン(タマポリ社製「GF−1」:ヤング率200MPa、厚さ25μm)をポリエステル系のドライラミネート用接着剤(厚さ2μm)によりそれぞれ積層した積層品(厚さ79μm)を用いた。
軟質粘着層として、実施例5と同じ粘着剤組成物を用意した。また、剥離フィルムは、実施例1と同じ物を用意した。
基材の片面に粘着剤組成物を乾燥後の塗布厚が60μmとなるように塗布乾燥して粘着層を形成し、該粘着層面に剥離フィルムの剥離剤層面を積層し、粘着層が軟質粘着層の単層である半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1の基材をポリイミド(宇部興産社製「ユーピレックス−S」:ヤング率7000MPa、厚さ75μm)に、粘着層の厚さを500μmに変更した以外は実施例1と同様にして、粘着層が軟質粘着層の単層である半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
(実施例8)
基材として実施例5で使用したPETと低密度ポリエチレンの積層品を用い、剥離フィルムとして実施例1と同じ剥離フィルムを用いた。また、軟質粘着層として実施例1で使用した粘着剤組成物を用いた。
表面粘着層として、ブチルアクリレート65重量部、メチルメタクリレート10重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート25重量部の共重合体100重量部にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート33重量部を付加したアクリル共重合体(重量平均分子量Mw50万)133重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア184」2重量部、多価イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製「コロネートL」0.5重量部からなるエネルギー線硬化型の粘着剤組成物を用意した。
基材のPET側に軟質粘着層用の粘着剤組成物を乾燥後の塗布量が100μmとなるように塗布乾燥し中間粘着層を形成した。さらに、中間粘着層の上に表面粘着層用の粘着剤組成物を乾燥後の塗布量が50μmとなるよう塗布乾燥した。続いて、該表面粘着層の面に剥離フィルムの剥離剤層を積層し、粘着層が複層の半導体加工用粘着シートを得た。表面粘着層の23℃の貯蔵弾性率G'は2×105Paであった。
(実施例9)
実施例8の軟質粘着層に使用する粘着剤組成物及びその塗工方法を以下のように変更した以外は、実施例8と同様にして半導体加工用粘着シートを得た。
ウレタンオリゴマー(重量平均分子量5000)50重量部、ポリエステルオリゴマー(重量平均分子量2000)10重量部、紫外線硬化性の反応希釈剤としてフェニルヒドロキシプロピルアクリレート40重量部、及び光重合開始剤(チバ・スペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア184」)2重量部を配合し、紫外線硬化により粘着剤となる無溶剤型粘着剤組成物を得た。この無溶剤型粘着剤組成物を基材のPET側に塗布量が200μmとなるように塗布し、続いて紫外線を照射することにより基材に軟質粘着層を形成した。紫外線照射の条件は高圧水銀ランプ(160W/cm、照射距離10cm)を用い光量を250mJ/cm2とした。この軟質粘着層の23℃の貯蔵弾性率G'は、6×104Paであった。
(比較例1)
実施例1の剥離フィルムを、PETフィルム(東レ社製「ルミラーS」:ヤング率4000MPa、厚さ38μm)に実施例1と同じ処方および塗布方法により剥離剤層を形成したフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の剥離フィルムを、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績社製「パイレン−OTP2164」:ヤング率1600MPa、厚さ40μm)に実施例1と同じ処方
および塗布方法により剥離剤層を形成したフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3の剥離フィルムを、PETフィルム(東レ社製「ルミラーS」:ヤング率4000MPa、厚さ38μm)に実施例1と同じ処方および塗布方法により剥離剤層を形成したフィルムに変更した以外は、実施例3と同様にして半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例6の剥離フィルムを、PETフィルム(東レ社製「ルミラーS」:ヤング率4000MPa、厚さ38μm)に実施例1と同じ処方および塗布方法により剥離剤層を形成したフィルムに変更した以外は、実施例6と同様にして半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例7の剥離フィルムを、PETフィルム(東レ社製「ルミラーS」:ヤング率4000MPa、厚さ38μm)に実施例1と同じ処方および塗布方法により剥離剤層を形成したフィルムに変更した以外は、実施例7と同様にして半導体加工用粘着シートを得た。
評価結果を表1に示す。
Figure 0004393934

Claims (2)

  1. 基材と、その上に形成された粘着層と、該粘着層の上に形成された剥離フィルムとからなる半導体加工用粘着シートであって、
    該基材が、少なくとも1層のヤング率が2000MPa以上の剛性フィルムを有し、
    該粘着層が、貯蔵弾性率が1.0×105Pa以下であり厚さが50μm以上の軟質粘着層を含み、
    該剥離フィルムが、ヤング率が700MPa以下のフィルムからなることを特徴とする半導体加工用粘着シート。
  2. 前記剥離フィルムの粘着層に接する面が剥離処理されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
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