JP4388214B2 - 樹脂パイプ用継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、樹脂パイプ用継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
給水と給湯の配管工事に際して、給水主管と、給湯設備からの給湯主管とを屋内に引き込んで、これら給水主管および給湯主管を給水用の配管用ヘッダーおよび給湯用の配管用ヘッダーにそれぞれ接続し、これら各ヘッダーと、例えば洗面所の湯水混合栓の上流に位置する各止水栓とを接続する水供給管、湯供給管として、架橋ポリエチレンまたは架橋ポリブテンなどの熱に強く、変形しにくく、錆びることがないなど優れた耐久性を備えた樹脂パイプを蛇腹状の鞘管に挿通して成るものが使用されており、それによって、水漏れ等の場合に鞘管はそのままにして前記樹脂パイプの両端の接続を解除するだけで鞘管内から前記樹脂パイプを取り出し、入れ替えできる点で利便性がある。
【0003】
ところで、樹脂パイプ用継手として、従来から図6、図7に示すように、継手本体71、袋ナット72および割リング73よりなるものがある。樹脂パイプPの接続手順は以下の通りである。
【0004】
(1)まず最初に、樹脂パイプPの継手本体71への差込量Lを確認するため、樹脂パイプPの端面aより差込量Lだけ離れた位置にペン等でマーク74を描く〔図6(A)参照〕。
(2)工場出荷の時点で組付けられた前記継手の継手本体71から袋ナット72、割リング73を一旦取り外し、袋ナット72、割リング73の順でこれらを樹脂パイプPに挿通する〔図6(B)参照〕。
(3)継手本体71へ樹脂パイプPを確実に奥まで差し込む〔図6(C)参照〕。
(4)割リング73を継手本体71に突き当たるまで押しつけ、割リング73と前記マーク74の位置が一致することを確認する〔図7(A)参照〕。
(5)継手本体71に袋ナット72を袋ナット端部72aより、割リング73の先端73aが約1mm突出するまで締め付ける〔図7(B)参照〕。
(6)締め付け後、袋ナット72と継手本体71にマーク75を描く〔図7(C)参照〕。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、樹脂パイプPにマーク74を入れたり、樹脂パイプPを差し込む前に継手本体71から袋ナット72、割リング73を一旦取り外したり、取り外した袋ナット72、割リング73を再度樹脂パイプPに挿通したり、割リング73の先端突出量に合わせて袋ナット72を締め付ける必要があり、パイプ接続作業が必ずしも迅速に行えなかった。
【0006】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、継手本体に樹脂パイプを差し込み、袋ナットを締め付けるだけのワンタッチ作業で樹脂パイプを迅速かつ確実に接続できる樹脂パイプ用継手を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、一端および他端にそれぞれ雄ねじを有し、一端側から他端側に向かって樹脂パイプが差し込まれる環状溝部を有する継手本体、この継手本体一端の前記雄ねじに螺合する袋ナットおよび前記環状溝部の外周に胴部が当接しながら前記環状溝部に挿入される筒状体よりなり、前記環状溝部に挿入された前記筒状体を介して樹脂パイプを前記環状溝部に差し込み、樹脂パイプの端面を前記環状溝部の底に突き当たるまで押しつけながら樹脂パイプ外周面に前記筒状体の一端部を食い込ませ、続いて、仮止めされた前記袋ナットを締付けることにより樹脂パイプの抜け出し防止を行う樹脂パイプ用継手であって、前記環状溝部は、外周端部に内向き下方に傾斜する環状のテーパ面を有する一方、前記筒状体は、前記袋ナットの仮止め時に前記テーパ面に当接するよう、胴部一端から外向きに傾斜する環状折り曲げ片を有し、胴部他端に樹脂パイプの前記端面に当接する内向きフランジを有し、更に、前記仮止め時には前記環状折り曲げ片の先端から前記樹脂パイプ外周面に向かって突出し、樹脂パイプの押しつけ動作時においては前記樹脂パイプ外周面に食い込む爪を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5は、給水・給湯配管システムの鞘管工法に用いられるこの発明の一実施形態を示す。この実施形態では、樹脂パイプ用継手として、止水栓本体の上流側に接続されるものを採用している。
【0009】
まず、給水・給湯配管システムについて簡単に説明する。図5において、1は湯供給管、2は水供給管であり、前記湯供給管1は、屋内に引き込まれた給湯主管3の下流側に設けた給湯用配管ヘッダー4と、例えば洗面所の湯水混合栓Aの上流に位置する湯用止水栓5の止水栓本体6とを接続する。また、前記水供給管2は、屋内に引き込まれた給水主管7の下流側に設けた給水用配管ヘッダー8と、水用止水栓9の止水栓本体10とを接続する。11は給湯設備である。なお、水用止水栓9と湯用止水栓5とは同じ構造である。
【0010】
前記湯供給管1および水供給管2は、たとえば水道用架橋ポリブテン管または水道用架橋ポリエチレン管の樹脂パイプ18を鞘管19によって配管経路上にガイドされるとともに保護されているもので、両者1,2とも、バンド等の固定手段12によって適宜の位置に固定されている。水用の樹脂パイプ18の上流端18bは接続部材70aでヘッダー8に接続されている。同じく、湯用の樹脂パイプ18の上流端1は接続部材70bでヘッダー4に接続されている。
【0011】
13は、可撓性の湯導入管で、前記湯水混合栓Aおよび止水栓5を接続する。14は、可撓性の水導入管で、前記湯水混合栓Aおよび止水栓9を接続する。
【0012】
次に、この発明の特徴的構成について説明する。
【0013】
図1は、工場出荷の時点で組付けられた袋ナット仮止め状態の樹脂パイプ用継手に樹脂パイプを差し込んでいる状態を示す。すなわち、図1は、継手本体に袋ナットが仮止めされた状態の樹脂パイプ用継手に樹脂パイプを継手本体に形成した環状溝部に差し込んでいる途中の状態を示し、図2は、樹脂パイプの端面を環状溝部の底に突き当たるまで押しつける押しつけ動作完了後仮止めされていた袋ナットを締付けて樹脂パイプの接続動作を完了した状態を示す。図3は接続手順を示し、図4は、環状溝部に挿入される筒状体を示す。なお、図1と図3(B)は同一状態を示し、また、図2と図3(D)も同一状態を示す。
【0014】
図1〜図5において、20は、止水栓本体10(あるいは止水栓本体6)の上流側にねじ止めされる樹脂パイプ用継手で、継手本体21と、袋ナット22と、筒状体23とよりなる。
【0015】
前記継手本体21として、この実施形態では二部材24,25より構成したものを採用している。一方の部材24は、縦長の筒体で、小径部26と雄ねじmを有する大径部27とよりなる。この一方の部材24の貫通穴24aは、継手本体21の中央を貫通する横断面円形の流通穴として機能する。更に、小径部26と大径部27の境目における大径部27寄りには雄ねじaが形成されている。また、他方の部材25は、横長の筒体で、雄ねじnを有する小径部28と大径部29とよりなり、この大径部29の端部には前記雄ねじaに螺合する雌ねじbが形成されている。袋ナット22は前記雄ねじnに螺合する。そして、前記雄ねじa、雌ねじbおよび接着剤cにより前記二部材24,25が組付けられて継手本体21が形成されている。図1において60は、その組付け部を示す。
【0016】
30は、樹脂パイプ18がZ方向に差し込まれる環状溝部である。この環状溝部30は、継手本体21の前記流通穴24aの外側で前記小径部26と他方の部材25とによって形成されている。すなわち、環状溝部30は、前記小径部26と他方の部材25間に所定の長さを有して形成されている。
【0017】
また、他方の部材25の前記小径部28は、端部に内向き下方に傾斜する環状のテーパ面43を有する。
【0018】
31は、樹脂パイプ端面18a目視用の目視穴で、環状溝部30に連通するよう形成されている。他方の部材25の前記大径部29に形成されている。
【0019】
32,32は、Oリングで、一方の部材24の前記小径部26における外周面に設けられている。
【0020】
前記筒状体23は、前記袋ナットの仮止め時に前記テーパ面43に当接するよう、胴部23aの一端から外向きに傾斜する環状折り曲げ片33を有し、胴部23a他端に樹脂パイプ18の端面18aに当接する内向きフランジ34を有し、更に、図1、図3(A)および図3(B)に示すような袋ナット22の仮止め時には前記環状折り曲げ片33の先端66(図4参照)から樹脂パイプ外周面18bに向かって突出し、図3(C)に示すような樹脂パイプ18の押しつけ動作時においては樹脂パイプ外周面18bに食い込む複数の爪35を筒状体23の全周にわたり連続的に有する。各爪35は、図4に示すように、それぞれ鋸歯形状をなし、筒状体23の中心rと隣接する爪35の各頂点q1 ,q2 を結んで形成される円周角は22.5°に設定され、また、各爪35の開き角度は120°に設定されている。
【0021】
なお、樹脂パイプ用継手20の工場出荷の時点で図1、図3(A)および図3(B)に示す状態に継手本体21、袋ナット22、筒状体23が予めセットされている。すなわち、図1において、袋ナット22の端面22aおよび他方の部材25の前記大径部29の端面29a間に隙間Hを残して袋ナット22が雄ねじnを介して継手本体21に仮止めされるとともに、筒状体23の環状折り曲げ片33が継手本体21のテーパ面43に当接し、かつ、胴部23aが他方の部材25の内周面25aに当接した状態で筒状体23が環状溝部30に挿入されている。
【0022】
而して、工場出荷の時点で組付けられた図3(A)に示す袋ナット仮止め状態の樹脂パイプ用継手20に樹脂パイプ18を接続するには、図3(B)、図1に示すように筒状体23を介して樹脂パイプ18を環状溝部30に差し込む。この時点で作業者が目視穴31から覗き込むと、樹脂パイプ18によって押されている筒状体23の内向きフランジ34が環状溝部30の底30aに到達していないことが確認できる。
【0023】
更に、図3(C)に示すように樹脂パイプ18の端面18aを環状溝部30の底30aに突き当たるまで押しつける。この押しつけ動作中に、環状折り曲げ片33は、他方の部材25の内周面25aおよび樹脂パイプ18の外周面18bに挟まれて樹脂パイプ18とともに底30aに向かって移動するので、環状折り曲げ片33は樹脂パイプ18の側に変形しながら底30aに突き当たるまでに複数の爪35が樹脂パイプ外周面18bに食い込み、これにより、樹脂パイプ18の端面18aが環状溝部30の底30aに強固に押しつけられ、樹脂パイプ18の環状溝部30からの抜け出しを確実に防止できる。しかも、この抜け出し防止作業はワンタッチ作業なので迅速に行える。
【0024】
続いて、図3(D)に示すように袋ナット22を締付けることで樹脂パイプ18がガタツクのを防止できる。
【0025】
なお、上記実施形態では、鞘管工法に用いた樹脂パイプ用継手Sを示したが、この発明ではヘッダー工法や分岐工法にも適用できるのは勿論であり、これら以外のケースでも適用できる。
【0026】
また、上記実施形態では継手本体21を二部材24,25より構成したものを採用したが一部材で継手本体を形成してもよい。
【0027】
【発明の効果】
この発明では、継手本体に樹脂パイプを差し込み、袋ナットを締め付けるだけのワンタッチ作業で継手本体に樹脂パイプを迅速かつ確実に接続できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態における袋ナット仮止め状態を示す構成説明図である。
【図2】上記実施形態における接続完了状態を示す構成説明図である。
【図3】上記実施形態の接続動作手順を示す構成説明図である。
【図4】上記実施形態における構成部材の平面図である。
【図5】上記実施形態を適用した給水・給湯配管システムを示す全体斜視図である。
【図6】従来の樹脂パイプ用継手の接続手順を示す構成説明図である。
【図7】同じく従来の樹脂パイプ用継手の接続手順を示す構成説明図である。
【符号の説明】
18…樹脂パイプ、18a…樹脂パイプ端面、18b…樹脂パイプ外周面、20…樹脂パイプ用継手、21…継手本体、22…袋ナット、23…筒状体、23a…筒状体の胴部、30…環状溝部、30a…環状溝部の底、33…環状折り曲げ片、34…内向きフランジ、35…爪、43…環状のテーパ面、m,n…雄ねじ。
Claims (2)
- 一端および他端にそれぞれ雄ねじを有し、一端側から他端側に向かって樹脂パイプが差し込まれる環状溝部を有する継手本体、この継手本体一端の前記雄ねじに螺合する袋ナットおよび前記環状溝部の外周に胴部が当接しながら前記環状溝部に挿入される筒状体よりなり、前記環状溝部に挿入された前記筒状体を介して樹脂パイプを前記環状溝部に差し込み、樹脂パイプの端面を前記環状溝部の底に突き当たるまで押しつけながら樹脂パイプ外周面に前記筒状体の一端部を食い込ませ、続いて、仮止めされた前記袋ナットを締付けることにより樹脂パイプの抜け出し防止を行う樹脂パイプ用継手であって、前記環状溝部は、外周端部に内向き下方に傾斜する環状のテーパ面を有する一方、前記筒状体は、前記袋ナットの仮止め時に前記テーパ面に当接するよう、胴部一端から外向きに傾斜する環状折り曲げ片を有し、胴部他端に樹脂パイプの前記端面に当接する内向きフランジを有し、更に、前記仮止め時には前記環状折り曲げ片の先端から前記樹脂パイプ外周面に向かって突出し、樹脂パイプの押しつけ動作時においては前記樹脂パイプ外周面に食い込む爪を有することを特徴とする樹脂パイプ用継手。
- 前記継手本体は、前記押しつけ動作の完了時において前記環状溝部の底に前記内向きフランジを介して樹脂パイプの前記端面が当接していることを確認するための穴を有する請求項1に記載の樹脂パイプ用継手。
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