JP4385357B2 - パネルベンダ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパネルベンダ制御装置、特に曲げ加工時にワークを押さえる押え力を発生する位置にトップダイを位置決めする場合に、作業者をZ軸パルス値の実測と入力という煩わしい段取り作業から解放し、作業者の熟練度合いに左右されることなく加工精度の安定化を図るようにしたパネルベンダ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パネルベンダは、例えば図10に示す構成を有し、トップダイ31とボトムダイ32によりワークWをクランプし、ベンドビーム33を上下に旋回移動することにより、該ワークWを折り曲げる。
【0003】
この場合、トップダイ31は、サーボモータにより減速機を介してZ軸24(図1)を回転させることにより、上下動するようになっている。
【0004】
この構成により、曲げ加工時には、Z軸24を駆動してトップダイ31を所定位置ZC (図9)に位置決めしてトップダイ押え力Fを発生させ、曲げ加工中のワークWがずれないようにしている。
【0005】
従って、曲げ加工時にトップダイ31を前記位置ZC に位置決めするためには、Z軸24のサーボモータに与えるZ軸パルスの数、即ちZ軸パルス値を設定する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来は、作業者自身がZ軸パルス値を実測することにより設定し、更にこの実測したZ軸パルス値を作業者が直接に入力していた。
【0008】
(1)Z軸パルス値の実測。
【0009】
例えば、ベンドビーム33でワークWを実際に曲げ加工する際に(図10)、トップダイ31を所定位置ZC に(図9)位置決めすることにより、ワークWをずれないようにする。
【0010】
そして、この位置ZC (図9)にトップダイ31を位置決めする場合のZ軸パルス値を実測する。
【0011】
このようにして得た実測値を参考にして、Z軸パルス値を設定する。
【0012】
又は、以前に曲げ加工したときに得られたデータを参考にしてZ軸パルス値を設定している。
【0013】
(2)Z軸パルス値の入力。
【0014】
例えば、図11に示すように、所定のプログラム番号△△△△のプログラム編集画面において、加工すべきワークWの各辺▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼について、フランジ高さHを入力すると共に、次画面のマクロプログラム番号××××を入力する。
【0015】
すると、図示するようなマクロプログラム番号××××の画面に切り替わるので、この画面において、前記実測したZ軸パルス値ZPを入力する。
【0016】
これにより、前記入力されたZ軸パルス値に基づいてZ軸サーボモータが駆動するので、トップダイ31は所定位置ZC (図9)に位置決めされて曲げ加工時にもワークWはずれずに所定の曲げ加工が施される。
【0017】
このように、従来は、作業者自身がZ軸パルス値の実測と入力という極めて煩わしい段取り作業を行わなければならず、しかも、Z軸パルス値の実測と入力は作業者の熟練度合いに左右され、そのため加工精度が非常に不安定であった。
【0018】
本発明の目的は、曲げ加工時にワークを押さえる押え力を発生する位置にトップダイを位置決めする場合に、作業者をZ軸パルス値の実測と入力という煩わしい段取り作業から解放し、作業者の熟練度合いに左右されることなく加工精度の安定化を図ることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明によれば、図1〜図9に示すように、
(A)ボトムダイ32上のワークWをトップダイ31でクランプした状態でベンドビームにより折り曲げるパネルベンダ30において、
(B)曲げ加工時にワークWを押さえるトップダイ押え力Fを発生する位置ZC にトップダイ31を位置決めする位置決め信号ZPを算出する算出手段3が設けられ、
該算出手段3は、押え力係数と曲げ力係数と板厚と曲げ長さを乗算することにより、トップダイ押え力を算出する押え力算出手段3Aと、
前記トップダイ押え力をバネ定数で除算することにより、曲げ加工時のクランプアームのたわみ量を算出するたわみ量算出手段3Bと、
前記クランプアームのたわみ量とワークの板厚との差をとることにより、トップダイ押え力を発生するトップダイのつま先高さを算出するつま先高さ算出手段3Cと、
前記トップダイのつま先高さに基づいて、トップダイをそのつま先高さの位置に位置決めする位置決め信号であるZ軸パルス値のうちの最適なZ軸パルス値を算出するZ軸パルス算出手段3Dにより構成されていることを特徴とするパネルベンダ制御装置という技術的手段が提供される。
【0020】
従って、本発明の構成によれば、算出手段3を設けたことにより、曲げ加工時に必要なトップダイ押え力Fを発生する位置にトップダイ31を位置決めする位置決め信号ZPであるZ軸パルス値ZPが自動的に求められるので(図6のステップ107又は108)、作業者をZ軸パルス値の実測と入力(図11)という煩わしい段取り作業から解放し、そのため作業者の熟練度合いに左右されることなく加工精度の安定化を図ることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、実施の形態により添付図面を参照して、説明する。
図1は本発明の実施形態の全体図である。
【0022】
図1に示すパネルベンダは、既述したように、Z軸24を駆動しトップダイ31とボトムダイ32でワークWをクランプした状態で、A軸20とD軸21を駆動しベンドビーム33により曲げ加工を施す。
【0023】
そして、ベンドビーム33は、正曲げ金型33Aと逆曲げ金型33Bを有し(図3)、該ベンドビーム33はA軸20により前後方向に、またD軸21により上下方向にそれぞれ移動するようになっている。
【0024】
また、トップダイ31は、回動自在な押さえラム37に(図4)取り付けられ、該押さえラム37にはZ軸24が取り付けられている。
【0025】
上記Z軸24には、クランプアーム38の上端38Bが取り付けられ、このクランプアーム38の下端38Aは、ボトムダイ32側に取り付けられている。
【0026】
上記クランプアーム38は、弾性体であって、後述するように所定のバネ定数kを有し(▲4▼式)、トップダイ31がワークWを押さえるのに必要なトップダイ押え力Fを発生する場合には(図9)、上方に一定量aだけ撓むようになっている。
【0027】
そして、前記Z軸24とクランプアーム38の上端38Bとは、偏心していて連結部材39を介して連結され、両者は一体となって移動するようになっている(図5)。
【0028】
この構成により、ワークWがない場合に(図5(A))Z軸24を駆動させると、トップダイ31は下降してボトムダイ32と密着するので、その密着時の状態をZ軸24のサーボモータの動作限界とし、そのときにサーボモータに入力したパルスの数をZ軸サーボモータの動作限界パルス値ZOTとする。
【0029】
そして、このZ軸サーボモータの動作限界パルス値ZOTは、後述する図6のステップ106における判断に用いる。
【0030】
そして、この状態でZ軸24を駆動すると(図5(B))、クランプアーム38の上端38Bが、該クランプアーム38の下端38Aを中心とし半径Raの円弧を描き、これによりクランプアーム38が図示するように右方に揺動する。
【0031】
これと同時に、Z軸24が、押さえラム37の下端37Aを中心とし半径Rbの円弧を描くように引き上げられので、該Z軸24が取り付けられている押さえラム37が図示するように上方に回動し、その先端のトップダイ31が上昇する。
【0032】
これにより、トップダイ31はボトムダイ32から離れるので、ボトムダイ32上にワークWを載せて(図5(C))、Z軸24を反対方向に駆動すれば、クランプアーム38の上端38BとZ軸24が前記(図5(B))と逆の動作を行うことにより、押さえラム37の先端のトップダイ31がワークWに接触する。
【0033】
この状態で、後述する本発明の算出手段3(図1、図2)により算出されたZ軸パルス値ZPによりZ軸24を駆動すると、トップダイ31がつま先高さh(図9)までワークWに押し込まれクランプアーム38が一定量aだけ撓むので、該クランプアーム38は、図5(A)と比較してワークWの板厚t分だけ上方に伸びる(図5(D))。
【0034】
その結果、上方に伸びたクランプアーム38の弾性により元に戻ろうとする回復力が働き、押さえラム37を介してトップダイ31がワークWに対して押え力Fを及ぼし、ベンドビーム33のよる曲げ加工中にもワークWはずれないようになる。
【0035】
一方、パネルベンダ30の前方には(図1)、マニピュレータ47が設置され、該マニピュレータ47はそのナット43がY軸44に螺合し、該Y軸44はサーボモータ45で駆動する。
【0036】
また、マニピュレータ47は、上側タレット35と下側タレット36を有し、該下側タレット36のC軸41がサーボモータ42で駆動する。
【0037】
この構成により、マニピュレータ47は、フロントテーブル40に搬入されたワークWを上側タレット35と下側タレット36で把持し、パネルベンダ30側へ搬送・位置決めする。
【0038】
そして、この状態で、本発明による算出手段3で算出されたZ軸パルス値ZPによりZ軸24を駆動してトップダイ31を下降し、ボトムダイ32上のワークWを前記トップダイ31の押え力Fにより押さえベンドビーム33により曲げ加工を施す。
【0039】
このような構成を有するパネルベンダ30の制御装置は(図1)、CPU1と、入力手段2と、算出手段3と、メモリ4と、出力手段5と、シーケンサ6を有し、該シーケンサ6には、A軸制御手段7などが接続されている。
【0040】
CPU1は、本発明を実施するためのプログラム(例えば、図6に相当)をメモリ4から読み出して解読し、算出手段3やメモリ4などを指示し全体を制御する。
【0041】
入力手段2は、キーボードやマウスなどにより構成され、加工対象であるワークWの材質GM(図2)、板厚t、曲げ長さbなどを製品情報として入力し(図6のステップ101)、この製品情報は後述する算出手段3で位置決め信号ZPを算出する場合に使用される(図2)。
【0042】
算出手段3は、ワークWの材質GMなどの製品情報とトップダイ31の押え力係数σなどの機械情報に基づいて、曲げ加工時にワークWを押さえるトップダイ押え力Fを(図9)発生する位置ZC にトップダイ31を位置決めする位置決め信号ZP、例えばZ軸パルス値ZPを算出する。
【0043】
メモリ4は、押え力係数σ、曲げ力係数εなどを機械情報として格納し、この機械情報は、算出手段3で上記Z軸パルス値ZPを算出する場合に使用される(図2)。
【0044】
出力手段5は、例えばディスプレイであり、算出手段3による算出結果などを確認のために表示する。
【0045】
シーケンサ6は、前記算出手段3などから送られてきたデータを一旦格納し、制御タイミングを調整することにより、後述するZ軸制御手段9などへ伝送する。
【0046】
シーケンサ6には、図示するように、A軸制御手段7とD軸制御手段8とZ軸制御手段9とC軸制御手段10とY軸制御手段11なとが接続されている。
【0047】
このうち、例えばZ軸制御手段9は、シーケンサ6を介して、算出手段3で算出されたZ軸パルス値ZPが伝送された場合に、それを指令値に変換し、Z軸24を駆動制御することにより、トップダイ31を曲げ加工時にワークWをトップダイ押え力Fを(図9)発生する位置ZC に位置決めする(図6のステップ109)。
【0048】
Z軸制御手段9は、位置決めユニット9Aとサーボアンプ9Bとサーボモータ9Cとエンコーダ9Dを有し、他のA軸制御手段7なども同様の構成を有する。
【0049】
図2は、前記算出手段3の詳細であって、該算出手段3は、押え力算出手段3Aと、たわみ量算出手段3Bと、つま先高さ算出手段3Cと、Z軸パルス算出手段3Dにより構成されている。
【0050】
押え力算出手段3Aは、曲げ加工時に必要なトップダイ押え力Fを算出する(図6のステップ102)。
【0051】
この場合、トップダイ押え力Fは、次式で表される。
【0052】
F=押え力係数σ×曲げ力係数ε×板厚t×曲げ長さb・・・▲1▼
【0053】
▲1▼式において、押え力係数σと曲げ力係数εは、機械固有の値であり、予め機械情報としてメモリ4に(図2)格納されている。
【0054】
即ち、図7に示すワークWを曲げ加工する場合に、ベンドビーム33側からワークWに及ぼす曲げ力fは、一般に、板厚tと曲げ長さbに比例し、次式で表される。
【0055】
f=曲げ力係数ε×板厚t×曲げ長さb・・・・・▲2▼
【0056】
従って、この▲2▼式に基づいて、いろいろな板厚tと曲げ長さbについて実際に曲げ加工を行い、上記曲げ力fを測定することにより、曲げ力係数εを材質GMごとに求める。
【0057】
そして、この材質GMごとに求めた曲げ力係数εは、前記したように予め機械情報としてメモリ4に格納しておく(図2)。
【0058】
また、図7において、曲げ加工時に必要なトップダイ押え力Fは、次式により表される。
【0059】
F=押え力係数σ×曲げ力f・・・・▲3▼
従って、実際に曲げ加工を行い、この▲3▼式に基づいて、曲げ力fの何倍の力でトップダイ31がワークWを押さえればワークWがずれないかを実測し、そのときのトップダイ押え力Fを測定することにより、押え力係数σを求める。
【0060】
そして、求めた押え力係数σは、前記したように、予め機械情報としてメモリ4に格納しておく(図2)。
【0061】
このようにしてメモリ4には予め機械情報としての押え力係数σと曲げ力係数εが格納されているので、押え力算出手段3Aは(図2)、前記入力手段2を(図1)介して材質GMと板厚tと曲げ長さbが入力されると(図6のステップ101)、所定の押え力係数σと曲げ力係数εをメモリ4から読み出し、前記▲1▼式に従って、曲げ加工時に必要なトップダイ押え力Fを算出する(図6のステップ102)。
【0062】
たわみ量算出手段3Bは、曲げ加工時のクランプアーム38のたわみ量aを算出する(図6のステップ103)。
【0063】
この場合、たわみ量aは、次式で表される。
【0064】
a=トップダイ押え力F/バネ定数k・・・▲4▼
【0065】
トップダイ31が(図7)前記曲げ加工時に必要なトップダイ押え力FをワークWに及ぼすと、該ワークWの反作用としてトップダイ31は同じ力Fを受け、この力Fは押さえラム37(図5(D))を介してクランプアーム38に加わる。
【0066】
従って、クランプアーム38は、その弾性により▲4▼式に示すたわみ量aだけ上方に撓むことになる。
【0067】
上記▲4▼式において、バネ定数kは、機械固有の値であり、予め機械情報としてメモリ4に(図2)格納されている。
【0068】
即ち、図8に示すように、クランプアーム38をバネと仮定すると、バネに加わる力f′はたわみ量xに比例し、バネ定数をkとして,力f′は、一般に、次式で表される。
【0069】
f′=バネ定数k×たわみ量x・・・・・▲5▼
【0070】
従って、この▲5▼式に基づいて、実際にクランプアーム38に一定の力f′を加えてそのときのたわみ量xを測定することにより、バネ定数kを求める。
【0071】
そして、このバネ定数kを、前記したように予め機械情報としてメモリ4に格納しておく(図2)。
【0072】
このようにしてメモリ4には予め機械情報としてのバネ定数kが格納されているので、たわみ量算出手段3Bは(図2)、前記押え力算出手段3Aによりトップダイ押え力Fが算出されそれが入力されると(図2)、バネ定数kをメモリ4から読み出し、前記▲4▼式に従って、曲げ加工時のクランプアーム38のたわみ量aを算出する(図6のステップ103)。
【0073】
つま先高さ算出手段3Cは、前記たわみ量算出手段3Bにより算出されたたわみ量aとワークWの板厚tとの差をとることにより、ワークWを押さえるのに必要なトップダイ押え力Fを発生するときの該トップダイ31のつま先高さhを算出する(図6のステップ104)。
【0074】
この場合、つま先高さhは、次式で表される。
【0075】
h=板厚t−たわみ量a・・・・▲6▼
【0076】
即ち、図9に示すように、トップダイ31が板厚tのワークWの底面を基準としてつま先高さhまで押し込まれるようにZ軸24を駆動すると、前記したように、クランプアーム38が上方に撓み、その場合のたわみ量aは、次式で表される。
【0077】
a=板厚t−つま先高さh・・・▲7▼
【0078】
従って、この▲7▼式から、前記▲6▼式にあるように、つま先高さhが導かれる。
【0079】
この場合、上記▲6▼式に従って、クランプアーム38の上方へのたわみ量がaとなるように、トップダイ31をつま先高さhの位置ZC に位置決めすれば、該クランプアーム38の弾性により元に戻ろうとする回復力が働き、押さえラム37(図5(D))を介してトップダイ31は所定の押え力FでワークWを押さえる。
【0080】
Z軸パルス算出手段3Dは、前記つま先高さ算出手段3Cにより算出されたつま先高さhに基づいて、トップダイ31を上記つま先高さhの位置ZC (図9)に位置決めする位置決め信号であるZ軸パルス値のうちの最適なZ軸パルス値ZPを算出する。
【0081】
即ち、トップダイ31(図1)の位置と、その位置にトップダイ31を位置決めするのに必要なZ軸パルス値は、1対1に対応しており、トップダイ31を前記つま先高さhの位置ZC (図9)に位置決めする場合のZ軸パルス値は、幾何計算で算出することができる(図6のステップ105)。
【0082】
しかし、この幾何計算で算出したZ軸パルス値によりZ軸24を(図5(A))駆動してもトップダイ31がボトムダイ32と密着した場合には、Z軸サーボモータは動作限界となり、トップダイ31はそれより下へは移動できなくなってしまう。
【0083】
そこで、前記幾何計算で算出したZ軸パルス値を(図6のステップ105)、Z軸サーボモータの動作限界パルス値ZOTと比較することにより(図6のステップ106)、トップダイ31をそのつま先高さhの位置ZC (図9)に位置決めする場合のZ軸パルス値のうちの最適なZ軸パルス値ZPを算出することとした。
【0084】
即ち、前記つま先高さhに基づいて幾何計算により算出したZ軸パルス値が、Z軸サーボモータの動作限界パルス値ZOT以下の場合には(図6のステップ106のYES)、前記したように、トップダイ31とボトムダイ32と密着し(図5(A))、トップダイ31はそれより下に移動できない。
【0085】
従って、この場合は、そのZ軸サーボモータの動作限界パルスZOT値を最適なZ軸パルス値ZPとする(図6のステップ107)。
【0086】
しかし、つま先高さhに基づいて幾何計算により算出したZ軸パルス値が、Z軸サーボモータの動作限界パルス値ZOTより大きい場合には(図6のステップ106のNO)、その幾何計算により算出したZ軸パルス値でZ軸24を駆動しても、トップダイ31がボトムダイ32より上に位置するので、両者は密着しない。
【0087】
従って、この場合は、幾何計算により算出したZ軸パルス値を最適なZ軸パルス値ZPとする(図6のステップ108)。
【0088】
以下、前記構成を有する本発明の動作を図6に基づいて説明する。
【0089】
(1)トップダイ押え力Fの算出動作。
【0090】
先ず、図6のステップ101において、ワークWの材質GMと板厚tと曲げ長さbを入力し、次に、ステップ102において、曲げ加工時に必要なトップダイ押え力Fを求める。
。
【0091】
即ち、作業者が入力手段2(図1)からワークWの材質GM(図2)などの製品情報を入力すると、CPU1は(図1)、その製品情報に基づいて算出手段3の押え力算出手段3Aを(図2)を制御し、曲げ加工時に必要なトップダイ押え力Fを算出させる。
【0092】
即ち、押え力算出手段3Aは(図2)、材質GMと板厚tと曲げ長さbが入力されると、所定の押え力係数σと曲げ力係数εをメモリ4から読み出す。
【0093】
そして、前記▲1▼式に従って、押え力係数σと曲げ力係数εと板厚tと曲げ長さbを乗算することにより、曲げ加工時に必要なトップダイ押え力Fを算出する。
【0094】
(2)クランプアーム38のたわみ量の算出動作。
【0095】
次に、図6のステップ103において、曲げ加工時のクランプアーム38のたわみ量aを求める。
【0096】
即ち、前記図6のステップ102において、押え力算出手段3Aで算出されたトップダイ押え力Fは、図2に示すように、次段のたわみ量算出手段3Bに入力される。
【0097】
たわみ量算出手段3Bでは、メモリ4からバネ定数kが読み出され、前記▲4▼式に従って、入力された上記トップダイ押え力Fをこのバネ定数kで除算することにより、曲げ加工時のクランプアーム38のたわみ量aが算出される。
【0098】
(3)トップダイ31のつま先高さhの算出動作。
【0099】
次いで、図6のステップ104において、必要なトップダイ押え力Fを発生する場合の該トップダイ31のつま先高さhを求める。
【0100】
即ち、前記ステップ103においてたわみ量算出手段3Bで算出されたたわみ量aと前記入力手段2を介して入力された板厚tが、図2に示すように、次段のつま先高さ算出手段3Cに入力される。
【0101】
つま先高さ算出手段3Cでは、▲6▼式に従って、入力されたたわみ量aと板厚tとの差がとられることにより、ワークWを押さえるのに必要なトップダイ押え力Fを発生する場合の該トップダイ31のつま先高さhが算出される。
【0102】
(4)最適なZ軸パルス値ZPの算出動作。
【0103】
次に、図5のステップ105において、トップダイ31をそのつま先高さhの位置ZC に位置決めする場合のZ軸パルス値を幾何計算により求め、ステップ106において、幾何計算により求めたZ軸パルス値がZ軸サーボモータの動作限界パルス値ZOT以下か否かを判断し、以下の場合には(YES)、ステップ107において、そのZ軸サーボモータの動作限界パルス値ZOTを最適なZ軸パルス値ZPとし、以下でない場合には(NO)、ステップ108において、幾何計算により求めたZ軸パルス値を最適なZ軸パルス値ZPとする。
【0104】
即ち、幾何計算により求めたZ軸パルス値がZ軸サーボモータの動作限界パルス値ZOT以下の場合には、前記したように、トップダイ31がボトムダイ32と密着し(図5(A))、トップダイ31はそれより下に移動できないので、Z軸サーボモータの動作限界パルス値ZOTを最適なZ軸パルス値ZPとする。
【0105】
しかし、幾何計算により求めたZ軸パルス値がZ軸サーボモータの動作限界パルス値ZOT以下でない場合、即ち大きい場合には、前記したように、トップダイ31とボトムダイ32は密着しないので、その幾何計算により求めたZ軸パルス値を最適なZ軸パルス値ZPとする。
【0106】
(5)トップダイ31の位置決めと曲げ加工動作。
【0107】
最後に、ステップ109において、トップダイ31を位置決めしてワークWを押さえ、曲げ加工を行う。
【0108】
即ち、前記ステップ107又は108において求めた最適なZ軸パルス値ZPは、シーケンサ6を(図1)介してZ軸制御手段9へ伝送され、該Z軸パルス値ZPは指令値に変換されてZ軸24が駆動される。
【0109】
これにより、トップダイ31が下降し前記算出手段3で算出された所定の押え力F(▲1▼式)によりボトムダイ32上のワークWを押さえ、その状態でA軸制御手段7とD軸制御手段8によりA軸20とD軸21が制御されることによりベンドビーム33で該ワークWに曲げ加工が施される。
【0110】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明によれば、算出手段を設けたことにより、曲げ加工時に必要なトップダイ押え力を発生する位置にトップダイを位置決めする位置決め信号であるZ軸パルス値が自動的に求められるので、作業者をZ軸パルス値の実測と入力という煩わしい段取り作業から解放し、そのため作業者の熟練度合いに左右されることなく加工精度の安定化を図るという技術的効果を奏することとなった。
【0111】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す全体図である。
【図2】本発明を構成する算出手段3の詳細図である。
【図3】本発明の対象であるベンドビーム33の駆動機構を示す図である。
【図4】本発明の対象であるトップダイ31の駆動機構を示す図である。
【図5】本発明の対象であるトップダイ31の動作説明図である。
【図6】本発明の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6のステップ102におけるトップダイ押え力Fの説明図である。
【図8】図6のステップ103におけるクランプアーム38のたわみ量aの説明図である。
【図9】図6のステップ104におけるトップダイ31のつま先高さhの説明図である。
【図10】従来の曲げ加工の説明図である。
【図11】従来技術の課題を説明する図である。
【符号の説明】
1 CPU
2 入力手段
3 算出手段
3A 押え力算出手段
3B たわみ量算出手段
3C つま先高さ算出手段
3D Z軸パルス算出手段
4 メモリ
5 出力手段
6 シーケンサ
7 A軸制御手段
8 D軸制御手段
9 Z軸制御手段
10 C軸制御手段
11 Y軸制御手段
20 A軸
21 D軸
24 Z軸
31 トップダイ
32 ボトムダイ
33 ベンドビーム
37 押さえラム
38 クランプアーム
W ワーク
Claims (2)
- ボトムダイ上のワークをトップダイでクランプした状態でベンドビームにより折り曲げるパネルベンダにおいて、
曲げ加工時にワークを押さえるトップダイ押え力を発生する位置にトップダイを位置決めする位置決め信号を算出する算出手段が設けられ、
該算出手段は、押え力係数と曲げ力係数と板厚と曲げ長さを乗算することにより、トップダイ押え力を算出する押え力算出手段と、
前記トップダイ押え力をバネ定数で除算することにより、曲げ加工時のクランプアームのたわみ量を算出するたわみ量算出手段と、
前記クランプアームのたわみ量とワークの板厚との差をとることにより、トップダイ押え力を発生するトップダイのつま先高さを算出するつま先高さ算出手段と、
前記トップダイのつま先高さに基づいて、トップダイをそのつま先高さの位置に位置決めする位置決め信号であるZ軸パルス値のうちの最適なZ軸パルス値を算出するZ軸パルス算出手段により構成されていることを特徴とするパネルベンダ制御装置。 - 上記Z軸パルス算出手段において、トップダイのつま先高さに基づいて幾何計算により算出したZ軸パルス値が、Z軸サーボモータの動作限界パルス値以下の場合にはそのZ軸サーボモータの動作限界パルス値を最適なZ軸パルス値とし、Z軸サーボモータの動作限界パルス値より大きい場合には幾何計算により算出したZ軸パルス値を最適なZ軸パルス値とする請求項1記載のパネルベンダ制御装置。
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