JP4383098B2 - トルエンジイソシアネートの混合物を精製するための方法 - Google Patents
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Description
本出願は、米国特許法119条(a)〜(d)に基づいて、欧州特許出願第02013461.5号(2002年6月14日提出)の優先権を主張するものである。
本発明は、未精製のイソシアネート・ストリームを分留するために、直列に接続した2つの蒸留カラムを有して成る内部熱交換型システム(heat integrated system)を用いて、トルエンジイソシアネート(またはトリレンジイソシアネート、TDI)を回収する方法および精製する方法(または回収プロセスおよび精製プロセス)の改良に関する。内部で熱を交換させることによって、種々の供給速度、組成物および生成物スペック(生成物の仕様)に対して、エネルギー的に効率良く運転できる。本発明のプロセスは、全製造コストをより低くできることによって利益を得る。
本発明は、液相の溶剤溶液の存在下でトルエンジアミンをホスゲンと反応させる、または反応を急冷させるのに用いる溶剤と共にトルエンジアミンをガス相で直接的にホスゲンと反応させ;得られた反応混合物から過剰なホスゲンを一部または完全に除去し、そのホスゲンが除かれた未精製蒸留フィード(または蒸留するために供給される粗原料)を分留プロセスに供給するプロセスであって、以下の4つのフラクションを回収するプロセスに関する:
1.ホスゲンが濃縮した低沸点生成物であって、回収され、ホスゲン除去プロセスもしくは過剰なホスゲンの回収プロセスに戻される低沸点生成物、
2.比較的純粋な溶剤生成物(TDIは100重量ppmよりも少ない)であって、その後、ホスゲン化プロセスまたは過剰なホスゲンの回収プロセスで再使用される溶剤生成物、
3.高沸点物(高分子量イソシアネート、加水分解性塩素化合物(HCC)および他の不揮発物)が濃縮したボトム生成物であって、揮発物の更なる回収のために残留物除去システムに送られるボトム生成物、ならびに
4.必要に応じて回収されるイソシアネートが濃縮した生成物ストリーム。
本発明では、下流側カラムに送られるフィードを蒸発させる、または、溶剤の一部または全部を除去する下流側蒸留カラムのボトム生成物を再沸させるために上流側蒸留カラムの蒸気の熱を用いる内部熱交換型蒸留カラムのシステムを使用することによって、TDI蒸留プロセスを完了させるのに必要なエネルギーを驚くほど減少させることができる。
本発明は、トルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを、直列に接続された上流側蒸留カラムとインターチェンジャー(interchanger)と下流側蒸留カラムとを有して成る内部熱交換型システムで分留することによってトルエンジイソシアネートを精製する方法であって、
インターチェンジャーで、上流側蒸留カラムから回収される蒸気を用いて、下流側蒸留カラムのボトム生成物または下流側蒸留カラムに送られるフィードを再沸し、
2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを3つの生成物フラクションP1〜P3、または場合によっては、4つの生成物フラクションP1〜P4に分留する方法に関する。ここで、
P1はホスゲンおよび/または低沸点物が濃縮した(またはホスゲンおよび/または低沸点物の濃度が高い)非凝縮性ガス・ストリームであり
P2は溶剤が濃縮した(または溶剤の濃度が高い)生成物であり、
P3はトルエンジイソシアネートを含んで成る高沸点物が濃縮した(またはトルエンジイソシアネートを含んで成る高沸点物の濃度が高い)ボトム生成物であり、
P4は高沸点物および反応残留物が少ないトルエンジイソシアネートが濃縮した(または高沸点物および反応残留物が少ないトルエンジイソシアネートの濃度が高い)ストリームである。
リボイラー2および物質移動インターナル3を備えた上流側蒸留カラム1
必要に応じて用いられるリボイラー5、物質移動インターナル6およびコンデンサー7を備えた下流側蒸留カラム4、ならびに
上流側蒸留カラム1に対してコンデンサーとして機能し、下流側蒸留カラム4に送られるフィードに対して予蒸発器として機能するインターチェンジャー8
を有して成る本発明の内部熱交換型システムを示している。
未精製蒸留フィードAは、上流側蒸留カラム1(予分留)に送られ、そこで、2つのストリーム、すなわち、低沸点物とイソシアネートとが濃縮した液体ストリームBと、溶剤と低沸点物とが濃縮した蒸気ストリームCとに分けられ、これらのストリームは、次にインターチェンジャー8に送られる。上流側蒸留カラム1で分留を行なうために、還流Dがリボイラー2からの蒸気生成物ストリームEと共に用いられる。
上流側蒸留カラム1からの頂部蒸気生成物Cおよびボトム液体生成物Bは、インターチェンジャー8の凝縮ゾーン(高温ゾーン)および蒸発ゾーン(低温ゾーン)にそれぞれ送られる。インターチェンジャー8では、蒸気ストリームCは略完全に凝縮し、この凝縮の結果得られるエネルギーが、液体ストリームBおよび残留物除去プロセスから回収される凝縮物を含んで成るストリームHの一部を蒸発させるのに用いられる。凝縮しなかった蒸気(ストリームF)は、下流側カラム4からの頂部蒸気生成物Kと共に、下流側蒸留カラム4のコンデンサー7に送られる。凝縮した液体の一部は、還流Dとして上流側蒸留カラム1に戻される。図1において、溶剤生成物P2は、サイド・ドローである。この場合、液体凝縮物の残分Gは、必要に応じて冷却された後、ホスゲンおよび低沸点物を除去する下流側蒸留カラム4の頂部に送られる。別の態様(図2)において、インターチェンジャー8からの溶剤生成物Gと下流側蒸留カラムからの溶剤生成物Nとが混合されて、P2を得るようにし、それは別のストリッピング・カラム(図示せず)に送られる。インターチェンジャー8の蒸発ゾーンにおいて、液体ストリームBと、残留除去工程からのTDIと高沸点物とが濃縮したストリームHとの混合物を一部蒸発させることによって、下流側蒸留カラム4に送られる蒸気ストリームI、ならびに揮発物を更に回収する残留物除去システムに送られる高沸点物と残留物とが濃縮した液体のボトム生成物P3が得られる。
インターチェンジャー8からの蒸気生成物Iは、下流側蒸留カラム4に送られ、そこで、分留を完了させて、低沸点物とホスゲンとが濃縮した蒸気ストリームP1(非凝縮物を含んでいる)、溶剤生成物ストリームP2、およびイソシアネートが濃縮したボトム生成物ストリームP4を生成させる。インターチェンジャー8および下流側カラム4にそれぞれ由来する蒸気ストリームFおよびKを、還流Lを下流側蒸留カラム4に戻しながら、コンデンサー7で凝縮することによって分留を行なう。図1において、凝縮物Lの全量(total mass)が下流側蒸留カラム4に戻され、溶剤生成物P2がサイド・ドローとして取出されると共に、側流(またはサイドストリーム)の還流Mが下流側蒸留カラム4に戻されて、生成物P2の適当な生成物品質を達成する。この構成では、ホスゲンおよび他の低沸点物が少ない溶剤生成物P3が生成し得る。必要に応じて、オーバーヘッド液体生成物として除去されるストリームNを有するように下流側蒸留カラム4を設計することができる(図2)。この構成では、コンデンサー7からの凝縮物は、還流Lとして、溶剤生成物P2中で適当なイソシアネート濃度を維持するのに十分な量で、下流側蒸留カラム4に戻される。残留物Nおよび上流側蒸留カラム1からの溶剤生成物Gが組み合わされてストリームP2が形成され、ストリッパー(図示せず)に送られてホスゲンおよび低沸点物の濃度を減少させる。図1および図2から判るように、必要に応じて、下流側蒸留カラム4は、生成物P4でより高いイソシアネート濃度を達成できるように、リボイラー5を備えていてもよい。この場合、蒸気ストリームJによって分留が促進される。その後、生成物P4は、下流側蒸留カラム4から最終的な溶剤除去工程に送られた後にTDI精製工程へ送られるか、または可能であるならば直接的にTDI精製工程に送られる。
リボイラー2および物質移動インターナル3を備えた上流側蒸留カラム1、
物質移動インターナル6およびコンデンサー7を備えた下流側蒸留カラム4、ならびに
上流側蒸留カラム1に対してコンデンサーとして機能し、下流側蒸留カラム4に対してリボイラーとして機能するインターチェンジャー8
を有して成る本発明の内部熱交換型システムを示している。
未精製蒸留フィードAは、上流側蒸留カラム1に送られ、そこで、2つのストリーム、すなわち、低沸点物とイソシアネートとが濃縮した液体ストリームBと、溶剤と低沸点物とが濃縮した蒸気ストリームCとに分けられる。ストリームCは、インターチェンジャー8の凝縮ゾーン(高温ゾーン)に送られる。上流側蒸留カラムで分離を行なうために、還流Dがリボイラー2からの蒸気生成物ストリームEと共に用いられる。
上流側蒸留カラム1からの頂部蒸気生成物Cは、インターチェンジャー8の凝縮ゾーン(高温ゾーン)に送られる一方、下流側蒸留カラム4からのボトム生成物Oは、インターチェンジャー8の蒸発ゾーン(低温ゾーン)に送られる。インターチェンジャー8では、蒸気ストリームCは略完全に凝縮し、この凝縮により得られるエネルギーが、液体ストリームOの一部を蒸発させるのに用いられる。凝縮しなかった蒸気(ストリームF)は、下流側蒸留カラム4からの蒸気ストリームKと共にコンデンサー7に供給される。凝縮した液体の一部は、還流Dとして上流側蒸留カラム1に戻される。図3において、溶剤生成物P2は、サイド・ドローである。この場合、残りの液体凝縮物Gは、必要に応じて冷却された後、ホスゲンおよび低沸点物を除去する下流側蒸留カラム4の頂部に送られる。別の態様(図4)において、インターチェンジャー8からの溶剤生成物Gと下流側蒸留カラム4からの溶剤生成物Nとが組み合されてP2が形成され、別個のストリッピング・カラム(図示せず)に送られる。インターチェンジャー8の蒸発ゾーン(低温ゾーン)において、下流側蒸留カラム4からの液体生成物であるストリームOを一部蒸発させることによって、下流側蒸留カラム4に送られる蒸気ストリームI、ならびに、液体の高沸点物と残留物とが濃縮したボトム生成物P3が得られ、P3は、必要な場合には、残存する溶剤の除去および残留物の除去ならびにTDIの精製(図示せず)に付す必要がある。
インターチェンジャー8からの蒸気生成物Iは、下流側蒸留カラム4に送られ、そこで、分留を完了させることによって、低沸点物とホスゲンとが濃縮した蒸気ストリームP1(非凝縮物を含む)および溶剤生成物ストリームP2が生成する。還流Lを下流側蒸留カラム4に戻しながら、コンデンサー7で蒸気ストリームKを凝縮することによって、分留を行なう。図3において、凝縮物Kの全量を下流側蒸留カラム4に戻し、溶剤生成物P2をサイド・ドローとして取り出すと共に、側流の還流Mを下流側蒸留カラム4に戻して、生成物P2について適当な生成物品質を達成する。この構成では、ホスゲンおよび他の低沸点物が少ない溶剤生成物P3が生成し得る。必要に応じて、下流側蒸留カラム4は、溶剤生成物N中で適当なイソシアネート濃度を維持するのに十分な量で凝縮物を還流Lとして下流側蒸留カラム4に戻すことができるように設計することができる。ストリームNと上流側カラムからの溶剤生成物Gとが組み合わされてP2が形成され、ホスゲンおよび低沸点の濃度を減少させるストリッピング・カラム(図示せず)に送られる(図4)。
実施例1
TDI混合物から溶剤を一部除去する内部熱交換型蒸留カラムのシステムであって、図1に示すように、上流側蒸留カラムの蒸気の熱を下流側カラムに送られるフィードを蒸発させるのに用いている内部熱交換型蒸留カラムのシステムで実施例1を実施した。
Claims (6)
- トルエンジイソシアネート、有機溶剤および2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを、直列に接続された上流側蒸留カラムとインターチェンジャーと下流側蒸留カラムとを有して成る内部熱交換型システムで分留することによってトルエンジイソシアネートを精製する方法であって、
インターチェンジャーで上流側蒸留カラムから回収される蒸気を用いることによって、下流側蒸留カラムのボトム生成物または下流側蒸留カラムに送られるフィードを再沸し、
2重量%よりも少ないホスゲンを含んで成る未精製蒸留フィードを、
P1がホスゲンおよび/または低沸点物が濃縮した非凝縮性ガス・ストリームであり、
P2が溶剤が濃縮した生成物であり、
P3がトルエンジイソシアネートを含んで成る高沸点物が濃縮したボトム生成物である
3つの生成物フラクションP1〜P3、と場合によっては、
P4が高沸点物および反応残留物の少ないトルエンジイソシアネートが濃縮したストリームである、第4のフラクションP4とに分留する方法。 - ホスゲンおよび/または低沸点物が濃縮した非凝縮性ガス・ストリームの生成物フラクションP1が、20〜50重量%のホスゲンおよび他の低沸点物、20〜49重量%の溶剤、ならびに非凝縮性ガスを含んで成る、請求項1に記載の方法。
- 溶剤が濃縮した生成物フラクションP2が、溶剤を含んで成っており、イソシアネート濃度が100重量ppmよりも少なく、また、ホスゲン濃度が100重量ppmよりも少ない、請求項1に記載の方法。
- 高沸点物が濃縮したボトム生成物のフラクションP3が、トルエンジイソシアネートおよび0.5〜15重量%の高沸点物を含んで成る、請求項1に記載の方法。
- 高沸点物および反応残留物が少ないトルエンジイソシアネートが濃縮したストリームの生成物フラクションP4が、20〜100重量%のトルエンジイソシアネートを含んで成る、請求項1に記載の方法。
- 溶剤が、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、アニソールおよびキシレンのうちの少なくとも1種類である、請求項1に記載の方法。
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