JP4379130B2 - 直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(ミクロドメイン)に相分離するが、ブロック鎖が互いに共有結合していることから生じる長距離相互作用の効果により、各ミクロドメインが特定の秩序をもって配置せしめられる。各ブロック鎖からなるミクロドメインが集合して作り出す構造は、ミクロ相分離構造と呼ばれる。ブロックコポリマーの膜は、一般的に有機溶媒に溶かしたブロックコポリマーの溶液を適当な基板の上に展開したのち、溶媒を除去して作製される。作製された膜のミクロ相分離構造は、Bates,f.S.;Fredrickson,g.H.;Annu.Res.Phys.Chem.1990(41)525(非特許文献1)に開示されている様に、構成成分の組成によって、球状ミセル構造、シリンダー構造、ラメラ構造などの結晶状構造を示す。例えば、プロトン伝導性をもつ親水性セグメントと耐メタノール性をもつ疎水性セグメントからなるブロックコポリマーから得られるミクロ相分離構造を用いれば、膜中におけるイオン伝導部位およびメタノール透過抑制部位の空間的な配置をより詳細に制御することができることが予想される。
Bates,F.S.; Fredrickson,G.H.; Annu. Res. Phys. Chem. 1990 (41) 525
(1)イオン伝導性成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメント(B)からなる膜であり、
該膜のモルフォロジーがミクロ相分離構造を有し、その相分離構造において(A)が連続相を形成し、(B)が非連続なラメラ構造を形成していることを特徴とする直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
(2)膜断面の電子顕微鏡によるモルフォロジー観察において、ミクロ相分離構造を形成するポリマーセグメント(B)からなるラメラ構造の幅が、
5〜200nmの範囲にあることを示すことを特徴とする(1)の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
(3)ポリマーセグメント(A)と(B)が共有結合しているブロック共重合体である(1)および(2)の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
(4)ポリマーセグメント(A)と(B)を有する共重合体を形成する主鎖骨格が芳香環を適当な結合基で共有結合させた構造を有し、かつポリマーセグメント(A)の骨格が側鎖にスルホン酸基を含有する(1)〜(3)の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
(5)ポリマーセグメント(A)と(B)からなる膜を製膜する際に用いる溶媒中に、イオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)と相互作用をしない有機溶媒を30重量%以上含有する(1)〜(4)の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜の製造方法。
(6)上記イオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)と相互作用をしない有機溶媒は、窒素原子上の置換基の結合様式として、一重または二重結合であるNを含まない有機溶剤であり、−O−、−OH、−CO−、−SO2−、−SO3−、−CN、−NO2お
よび−CO2−からなる基を少なくとも1種類以上有する有機溶剤を含有することを特徴
とする(5)の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜の製造方法。
(モルフォロジー)
本発明に係わるプロトン伝導膜は、イオン伝導性成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導性成分を有さないポリマーセグメント(B)からなり、(A)と(B)がミクロ相分離構造を形成した膜である。(A)は親水性セグメント、(B)は疎水性セグメントと考えて良く、直接メタノール型燃料電池で用いる場合、(A)の親水性セグメントがプロトン伝導、(B)の疎水性セグメントがメタノール透過抑制を主に担っている。
(ブロック共重合体)
本発明に係わるミクロ相分離構造を形成可能な膜構造は、ポリマーセグメント(A)と(B)が共有結合しているブロック共重合体であり、主鎖骨格が芳香環を適当な結合基で共有結合させた構造を有し、かつポリマーセグメント(A)の骨格が側鎖にスルホン酸基を含有することを特徴とするものである。
ガラス転移点の高い材料の選択が必要となり、このような観点からも芳香環を主鎖骨格に含有するブロック共重合体(ポリアリーレン)の選択が好適である。
−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(ここで、lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−などが挙げられる。
ル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
はフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
本発明で用いられるスルホン酸基を有するポリアリーレンは、式(A)で表される繰り返し構成単位を0.05〜99.95モル%、好ましくは10〜99.5モル%の割合で、式(B)で表される繰り返し構成単位を0.05〜99.95モル%、好ましくは0.
5〜90モル%の割合で含有していることが望ましい。
本発明の共重合体は、一般式(A)で表されるブロックの繰り返し単位(a)を形成するモノマーと、一般式(B)で表されるブロックの繰り返し単位(b)を形成するモノマーまたはオリゴマーとを共重合させることにより合成することができる。
ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)から選ばれる原子または基を示し、A、B、m、nおよびkは、それぞれ上記一般式(A)中のA、B、m、nおよびkと同義である。
基を示し、スルホン酸化する場合は、−SO3Hまたは−SO3R基で表される置換基を有していない芳香族基を示し、芳香族基として具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。Rは炭素原子数1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示す。
ハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基また
はアリール基を示す。)で表される基を示す。Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Tは単結合または2価の有機基であって、電子吸引性基であっても電子供与基であってもよい。電子吸引性基および電子供与性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
ロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子の少なくとも1つ以上が3位に置換した化合物などが挙げられる。
4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベ
ンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、γ−ブチロラクトン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
なることがある。
(プロトン伝導膜)
本発明のプロトン伝導膜は、例えば、上述した本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレン共重合体(以下、単に「スルホン酸基を有するポリアリーレン」という)を溶剤に溶解して溶液とした後、基材上に流延し、フィルム状に成形する方法(溶剤キャスト法)などにより、フィルム状に成形して製造される。基材としては、通常の溶液キャスト法に用いられる基材であれば特に限定されず、例えばプラスチック製、金属製などの基体が用いられ、好ましくは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基材が用いられる。キャスト時に、バーコーターと呼ばれる所定の厚みの溝を切った金属板または金属棒を用いて、流延させた液体の膜厚を調整することもできる(バーコート法)。
ポリマーセグメント(A)および(B)をキャスト溶媒に溶解させる溶媒中に、ポリマーセグメント(A)と相互作用をしない有機溶媒を30重量%以上含有する。
たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノ
ール、シクロヘキサノール、ジシクロヘキサノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1.3―ブタンジオール、グリセロール、m−クレゾール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジアセトンアルコール、ジオキサン、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、フラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、アセタール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノン、アセトフェノン、メシ
チルオキサイド、ベンズアルデヒド、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸ペンチル)、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ―ブチロラクトン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジメチルジエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルサルフィド、アセトニトリル、ブチロニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどを挙げることができる。これらは2種類以上を
組み合わせて用いることもでき、そのうち1種類以上は、−O−、−OH、−CO−、−SO2−、−SO3−、−CN、−NO2および−CO2−からなる基を少なくとも1種類以上有する有機溶媒であることが好ましい。
基体から流れてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを超えると、粘度が
高過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
ト](商品名:IRGANOX 1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシ
ル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商品名
:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキ
シ−ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイ
ト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点から、スルホン酸当量を求めた。
スルホン酸不含のポリアリーレン重量平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、溶剤として臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
交流抵抗は、5mm幅の短冊状のプロトン伝導膜試料の表面に、白金線(f=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、25℃、60℃、相対湿度80%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mm
に変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数からプロトン伝導度を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
4.耐メタノール水溶液性
(メタノール水溶液に対する溶解性および膨潤性)
メタノール水溶液に対する耐性評価は、プロトン伝導膜を所定濃度(10重量%)のメタノール水溶液に20時間室温浸漬し、浸積前後の面積測定により行った。尚、評価フィルムは、18重量%溶液からキャスト法で製膜し、150℃で乾燥後、水洗により溶媒除去したフィルムを40×30mmにカットしたものをサンプルとした。
DMFCとしての実用性を考えた場合、上記条件で測定した膜の面積変化率は120%以下であることが好ましい。
(メタノール透過性)
メタノール透過性の評価は、直径60mmの所定のセルに切り出したプロトン伝導膜試料をセットし、表面側から10重量%のメタノール水溶液を供給、裏面側から減圧し、透過液を液体窒素でトラップして回収する浸透気化測定法(パーベーパレーション法)により行った。温度は25℃条件とし、減圧条件下でのメタノール透過量(メタノールFlux)およびメタノールと水との選択透過性を示す分離係数から特性評価を実施した。メタノールFluxと分離係数は以下の式で求めた。メタノールFlux、分離係数ともに、値が小さくなる方が特性は良好となる。なお、透過液とは、液体窒素のトラップで回収した透過液を示すものとし、透過液濃度とは透過液中のメタノールの重量濃度を示すものとする。
度(%)
分離係数=(透過液濃度(%)/(100-透過液濃度(%)))/(供給液濃度(%)/(100-供給液濃度(%)))
DMFCとしての実用性を考えた場合、上記条件で測定したメタノールFluxは240以下である必要があり、好ましくは220以下であることが求められる。また、分離係数は2.0以下であることが最低条件として求められる。
オリゴマーの調製
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、および窒素導入の三方コックを取り付けた2Lの三つ口のフラスコに、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン(4,4'-DHBP)99.4g(0.46mol)、4,4'-ジクロロジフェニルスルホン(4,4'-D
CDS)148.2g(0.52mol)、炭酸カリウム86.9g(0.63mol)
、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)500mL、およびトルエン200mLを加え、オイルバスで加熱を行い、窒素雰囲気下で撹拌しながら150℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。次いで、反応温度を徐々に180℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、180℃で8時間反応を続けた後、4,4'-DCDS9.2g(0.032mol)を加え、さらに2時間反応さ
せた。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過によって除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。これにより沈殿した生成物を濾別して回収し、乾燥した後、DMI500mLに溶解した。この溶液をメタノール4Lに加えて再沈殿させ、目的の化合物175g(収率77%)を得た。
4000であった。また、得られた重合体はNMP、DMAc、DMIなどに可溶であり、Tgは157℃、熱分解温度は500℃であった。
(ポリアリーレン共重合体の合成)
合成例1で得られたオリゴマー17.6g(1.8mmol)、2,5−ジクロロ−4’−(4−フェノキシ)フェノキシベンゾフェノン(DCPPB)25.4g(58.4mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.18g(1.8mmol)、よう化ナトリウム1.17g(7.8mmol)、トリフェニルホスフィン6.30g(24.0mmol)、および亜鉛末9.41g(144mmol)をフラスコに加え、乾燥窒素置換した。次いで、N−メチル−2−ピロリドン100mlをフラスコに加え、80℃に加熱し、攪拌しながら4時間重合を行った。得られた重合溶液をNMPで希釈した後、セライトを濾過助剤に用いて濾過し、濾液を大過剰のメタノール1000mLに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して風乾し、さらにNMP200mLに再溶解し、大過剰のメタノール1500mLに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して真空乾燥し、目的の共重合体35.7g(92%)を得た。GPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は57000、重量平均分子量は165000であった。
(スルホン酸基を含有するポリアリーレン共重合体の合成−1)
合成例2で得た共重合体16gを攪拌装置、温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコに加え、次いで濃度98%の硫酸160mlを加え、フラスコ内の温度を25℃に保ちながら窒素気流下で24時間攪拌した。得られた溶液を大量のイオン交換水の中に注ぎ入れ、重合体を沈殿させた。次いで、洗浄水のpHが5になるまで重合体の洗浄を繰り返した後、乾燥して、18g(収率91%)のスルホン酸基含有重合体を得た。このスルホン酸基含有重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は56000、重量平均分子量は171000であり、実測されたスルホン酸当量は2.1meq/gであった。
合成例3で得られたスルホン酸基を含有するポリマー5.0gをγ−ブチロラクトン18.3gおよびテトラヒドロフラン12.3gを入れた50ccのスクリュー管に加え、ウエーブローターで24時間攪拌を行い、粘度5000cpの均一なポリマー溶液を得た。
して染色した後、ミクロトーム法を用いて超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM,日立製作所製HF-100FA)で観察した。
あった。面積変化率は115%(10重量%メタノール水溶液)、伝導度は、0.141S/cm(60℃/80%RH)、0.067S/cm(25℃/80%RH)であった。
パーフルオロアルキルスルホン酸(商品名:Nafion117(登録商標)、DuPont社製)のキャストフィルム(膜厚180μm)のメタノールFluxは228(g/h/m2)であった。面積変化率は125%(10重量%メタノール水溶液)であった
。伝導度は、0.090S/cm(60℃/80%RH)、0.047S/cm(25℃/80%RH)であった。Nafion117は、多くの文献(例えば「携帯機器用燃料電池の実用化」技術情報協会,2002)に紹介されているように、疎水性の連続相の中に、数ナノメートルの球状の親水性ドメインが点在する断面モルフォロジーをとり、本発明のような親水部の連続相および疎水部のラメラ構造は観測されない。
Claims (4)
- スルホン酸基を有するポリマーセグメント(A)とスルホン酸基を有さないポリマーセグメント(B)が共有結合しているブロック共重合体からなる膜であり、
ポリマーセグメント(A)が下記一般式(A)で表される繰り返し構成単位からなり、
ポリマーセグメント(B)が下記一般式(B)で表される繰り返し構成単位からなり、
該膜のモルフォロジーがミクロ相分離構造を有し、その相分離構造において(A)が連続相を形成し、(B)が非連続なラメラ構造を形成していることを特徴とする直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
- 膜断面の電子顕微鏡によるモルフォロジー観察において、ミクロ相分離構造を形成するポリマーセグメント(B)からなり、三次元のヒモ状ラメラの太さに対応するラメラ構造の幅が、5〜200nmの範囲にあることを示すことを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜。
- ポリマーセグメント(A)と(B)からなる膜を製膜する際に、
ポリマーセグメント(A)および(B)をキャスト溶媒に溶解させる溶媒中に、
ポリマーセグメント(A)と相互作用をしない有機溶媒であって、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、シクロヘキサノール、ジシクロヘキサノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1.3―ブタンジオール、グリセロール、m−クレゾール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジアセトンアルコール、ジオキサン、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、フラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、アセタール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノン、アセトフェノン、メシチルオキサイド、ベンズアルデヒド、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸ペンチル)、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ―ブチロラクトン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジメチルジエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルサルフィド、アセトニトリル、ブチロニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンからなる群から選ばれる1種以上の有機溶媒を30重量%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜の製造方法。 - 前記有機溶媒が、ジオキサン、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、フラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、アセタール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノン、アセトフェノンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜の製造方法。
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