JP4378840B2 - 缶用鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、飲料缶の用途、特に絞り加工の行われる2ピース缶に使用して好適なr値の面内異方性の小さい缶用鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絞り用途の缶用鋼板については、従来から種々の製造方法が提案されている。
例えば、特開昭62−161919号公報には、低炭素アルミキルド鋼の製造工程中、特に巻取り温度と冷延圧下率、再結晶焼鈍温度を調整することによって、r値の面内異方性の小さい絞り加工性に優れる缶用鋼板の製造法が開示されている。
【0003】
上記したような絞り用途の缶用鋼板において、r値の面内異方性が大きいすなわちΔrの絶対値が大きいと、絞り加工後にイヤリングと呼ばれるカップ高さの不均一が生じ、歩留りが低下するだけでなく、用途によっては、印刷がゆがむ不都合が生じたり、その後のフランジ加工において欠陥を誘発する原因となるため、この種鋼板では、r値の面内異方性を小さくすることが特に重要とされる。
【0004】
なお、ここでΔrとは、次式で定義される値であり、正値あるいは0あるいは負値をとる。r値の面内異方性が小さいとは、Δrが0に近いすなわちΔrの絶対値が小さいことを意味する。
Δr=(r0 +r90−2r45)/2
ここで、r0 :圧延方向のr値
r90:圧延方向と90°の傾きをなす方向のr値
r45:圧延方向と45°の傾きをなす方向のr値
【0005】
面内異方性に影響を与える因子としては、種々考えられるけれども、その中でも、冷延圧下率と二次圧延率の影響が大きいとされ、「鉄と鋼Vol.86(2000)No.1P.32〜37)や特開平9−184018号公報に開示されているように、製品板厚に応じて熱延仕上げ厚みを調整する必要があった。
【0006】
また、缶用鋼板は、コイルの長手方向および幅方向にわたって、安定した機械的性質を有することも必要とされる。
このため、特開平9−104919号公報では、熱延板の板厚については記載されていないものの、0.0050mass%以下の極低炭素鋼板において、一旦コイルに巻き取り、ついで巻き戻されたシートバーのエッジを加熱すること、ならびに摩擦係数が0.15以下の潤滑圧延を行うことが推奨されている。
しかしながら、上記したような極低炭素鋼板では、結晶粒が粗大化し易く、最終的に微細な結晶組織が得られないので、絞り加工後に肌荒れが生じる不利があった。
【0007】
さらに、缶用鋼板では、最近、コストダウンのために、素材の薄肉化が進み、これに伴って従来にない高い冷延圧下率、二次圧延率が要求されているが、このような状況下でも面内異方性が小さいことが望まれている。
上記の要請に応えるものとして、特開平10−237592号公報には、炭素量が0.02mass%以下の鋼種について、板厚が 1.8mm以下の熱延板としたのち、冷間圧下率:75%以下で一次圧延を行い、焼鈍後、20%以下の圧下率で二次圧延を施す技術が開示されている。
しかしながら、この技術にしても、炭素量が極低炭の領域では上記と同様に、結晶粒が粗大化して肌荒れが生じ易いという問題があり、また0.01〜0.02mass%の低炭素域では、固溶Cの制御が極めて難しいため、製造条件のわずかなバラツキによっても炭化物の析出状態が変化し、それに伴い強度のバラツキが生じ易いという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、絞り加工後に肌荒れが生じることがなく、また素材を薄肉化した場合であっても特性にバラツキが生じることのない、r値の面内異方性の小さい缶用鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、結晶粒を微細化して、絞り加工後の肌荒れを防止するには、ある程度炭素を含有させた方が有利であること、また薄肉化しても面内異方性の劣化を防止するためには、熱延仕上げ厚みを 1.5mm以下にする必要があることの知見を得た。
【0010】
また、さらに研究を進めた結果、このような薄物の圧延においては、フェライト域だけでなくオーステナイト域においても潤滑圧延を活用しないと、表層に異常な集合組織が発達して、r値およびその面内異方性が劣化することの知見を得た。
なお、潤滑圧延については、前述した特開平9−l04919号公報にも開示されているが、同公報では、鋼種がC≦0.005 mass%の極低炭素鋼板に限定されており、またその目的は、r値などのコイル長手方向および幅方向にわたるバラツキを小さくすることであった。
また、潤滑圧延については、特開平10−237592号公報にも開示されているが、この技術もC量は0.02mass%以下と、炭素含有量が比較的低い鋼種に関する技術である。
【0011】
しかしながら、上記のような潤滑圧延を施すと、コイル内でのばらつき以外に、特にこの発明のように炭素をある程度含有させて微細化を図った材料では、r値とその面内異方性の絶対値が、炭素が低い場合から予測されるよりも大きく変動することが判明した。
そして、かかる場合に、Δrを制御するためには、熱延板の板厚および摩擦係数をはじめとして、種々の製造条件を所定の範囲に制御する必要があることが究明されたのである。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0012】
すなわち、この発明は、質量百分率で、
C:0.020 〜0.050 %、
Si:0.04%以下、
Mn:0.6 %以下、
Al:0.005 〜0.1 %、
P:0.02%以下、
S:0.02%以下、
N:0.0005〜0.010 %
を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、仕上げ圧延温度:Ar3〜(Ar3+100 ℃)、少なくとも仕上げ最終3スタンドにおける圧延ロールと鋼板の摩擦係数:0.20以下の条件で熱間圧延して 0.8〜1.5 mm厚の熱延板としたのち、 500〜750 ℃の温度でコイルに巻き取り、酸洗後、圧下率:80〜88.3%で冷間圧延し、ついで再結晶温度以上で焼鈍を施したのち、9.8%以下の圧下率で二次圧延を施すことによって缶用鋼板を製造するものとし、その際、炭素量をC(mass%)、熱延板の板厚をt(mm)、熱間仕上げ圧延最終3スタンドにおける摩擦係数の最大値をμ、巻取り温度をCT(℃)、冷延圧下率をCR(%)、二次圧延圧下率をDR(%)とするとき、これらの関係式として次式(1)
A=7.882 −3.5 C−0.088 CR−0.014 DR
+0.005(CT−700)−4μ(1.6−t)2 --- (1)
で示されるAの絶対値が0.30以下となるように、上記の各製造条件を調整することを特徴とする面内異方性の小さい缶用鋼板の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体的に説明する。
まず、この発明において、素材の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、各元素の含有量の表示に用いた「%」は、特に断わりがない限り質量百分率(mass%)を表すものとする。
C:0.020 〜0.050 %
Cは、組織の微細化や鋼の強化に有効な元素であるが、含有量が 0.020%未満では、固溶炭素の制御が難しく、炭化物の析出状態が熱延条件の影響を受け易くなって材質バラツキが生じ易くなる。また、結晶粒を微細化して、絞り加工後の肌荒れを抑制し、表面外観を向上させるためにも、C量は 0.020%以上とする必要がある。
さらに、この発明の主要な点である、オーステナイト域での極薄の熱間圧延において、潤滑圧延による面内異方性とr値の改善効果という点からも、 0.020%以上より好ましくは 0.025%以上のC含有下で潤滑圧延を施すことが重要である。
とはいえ、C量が 0.050%を超えると、炭化物が多くなりすぎて成形性が低下するので、C量は 0.020〜0.050 %の範囲に限定した。
【0014】
Si:0.04%以下
Siは、多量に含有されるとスケール欠陥などを誘発し、また材質を極端に硬質化して冷延圧延性が損なわれるので、Si量は0.04%以下、より好ましくは0.02%以下に限定した。
【0015】
Mn:0.6 %以下
Mnは、SをMnSとして固定する働きがあるため、0.05%以上含有させることが好ましいが、0.6 %を超えると材質が硬化して、冷間圧延性が悪化したり、伸びやr値の低下を招くので、Mn量は 0.6%以下に限定した。
【0016】
Al:0.005 〜0.1 %
Alは、溶製段階で脱酸剤として有効に寄与するだけでなく、固溶NをAlNとして固定する上でも有用な元素である。このためには、少なくとも 0.005%の含有を必要とするが、 0.1%を超えるとその効果は飽和に達するだけでなく、伸びの低下を招くので、Alは 0.005〜0.1 %の範囲で含有させるものとした。
【0017】
P:0.02%以下
Pは、鋼の硬質化や加工性の低下を招くので、その混入は極力低減することが好ましいが、0.02%以下であれば許容される。
【0018】
S:0.02%以下
S量が0.02%を超えると熱間割れなどを誘発するだけでなく、伸び等の低下を招くので、S量は0.02%以下に限定した。
【0019】
N:0.0005〜0.010 %
成形性を確保するためには、N量は 0.010%以下まで低減する必要がある。しかしながら、現状の溶製技術では0.0005%を下回る値まで低減することは極めて難しいので、N量は0.0005〜0.010 %の範囲に限定した。
【0020】
次に、この発明の製造条件について説明する。
まず、スラブの製造方法としては、連続鋳造法が有利に適合するが、造塊−分塊法であってもかまわないのはいうまでもない。
スラブ加熱温度も、同様に、特に限定されることはないが、1000〜1250℃程度が好適である。
【0021】
上記のスラブ加熱後、熱間圧延を施すが、この熱間圧延においては、仕上げ厚み、仕上げ圧延温度および仕上げ最終3スタンドにおける圧延ロールと鋼板との摩擦係数が重要である。
1) 熱間圧延の仕上げ厚み:0.8 〜1.5 mm
缶用鋼板は、素材の薄肉化が進み、最終製品のΔrを制御するためには、板厚が 1.5mm以下の熱延板とする必要がある。 また、この発明で制御項目とした、オーステナイト域での潤滑圧延において、潤滑不良によりr値の面内異方性が大きく変化するのが、1.5 mm以下であり、それ以上の板厚では、従来より予測されるΔrの制御で十分であることも、仕上げ厚みを 1.5mm以下にした理由である。
しかしながら、0.8 mmを下回る厚みまで仕上げるのは、現状の設備では極めて難しいので、熱間圧延における仕上げ厚みは 0.8〜1.5 mmの範囲に限定した。
なお、コイル長手方向および幅方向の材質の均質化のために、粗圧延後のシートバーを一旦コイルに巻き取り、これを巻き戻す際に、先行のシートバーと後行のシートバーを接合する方法、またシートバーをエッジを含めて加熱する方法等を、必要に応じて組み合わせることができるのはいうまでもない。
【0022】
2) 仕上げ圧延温度:Ar3〜(Ar3+100 ℃)
仕上げ圧延温度がAr3変態点未満では、表層に粗大粒が形成され、肌荒れやr値の面内異方性が大きくなる原因となり、一方(Ar3+100 ℃)を超えると、スケール欠陥が多発するので、仕上げ圧延温度はAr3〜(Ar3+100 ℃)の範囲に限定した。
【0023】
3) 少なくとも仕上げ最終3スタンドにおける圧延ロールと鋼板との摩擦係数:0.20以下
熱間圧延における仕上げ厚みが、上記1) に示したように薄くなると、γ域においても、圧延ロールと鋼板の摩擦係数が重要となり、特に板厚が薄くなる少なくとも仕上げ圧延の最終3スタンドについては、各スタンドにおける摩擦係数を0.20以下とする必要がある。
というのは、少なくとも最終3スタンドの摩擦係数が0.20を超えると、熱延板表層に異常な集合組織が形成され、板厚が薄いが故にこの集合組織が鋼板の主要な集合組織となるからである。 この集合組織は、冷延−再結晶焼鈍後も残存し、r値の面内異方性を変化させ、Δr値を負値とする傾向にあるだけでなく、平均r値を下げるために好ましくない。
【0024】
また、この効果は、前述したような、C量が0.02%以上の低炭素鋼板で顕著である。
すなわち、C量が 0.020%以下、特に0.0050%以下の極低炭素域は、元々r値が高く、かような成分系では特に潤滑圧延を行わなくても、缶用鋼板の絞り性に十分なr値を得ることができ、また焼鈍後のΔr値は正値であり、二次圧延によりΔrは負値の方向に変化することから、Δrをゼロにすることも、一次圧延率と二次圧延率の調整で、それほど困難ではなかった。 これに対し、C量が0.02%以上になると、本来、平均r値が低く、またΔrも負値になり易いので、薄物のγ域での潤滑圧延が非常に有効であることが判明した。
この場合、熱延板の板厚tと摩擦係数μのΔrへの寄与について種々検討した結果、次式で示される関数
4μ(1.6−t)2
ただし、μ:最終3スタンドの摩擦係数の最大値
t:熱延板の板厚(mm)
として表されることが見出された。
【0025】
4) 巻取り温度:500 〜750 ℃
巻取り温度が、500 ℃未満では、巻き取り後、固溶炭素が残り易いため、面内異方性が大幅に低下するおそれがあり、一方 750℃を超えると、低炭素鋼板では特に表層に粗大粒の形成が懸念されるので、巻取り温度は 500〜750 ℃の範囲に限定した。
【0026】
ついで、酸洗後、冷延圧延を行う。
5) 冷延圧下率:80〜88.3%
缶用鋼板の場合、製品板厚を薄くする必要があり、熱延仕上げ厚みとの兼ね合いで少なくとも80%の冷間圧延率を必要とする。しかしながら、冷延圧下率が88.3%を超えるとΔr値が負値でしかも大きな値となり、イヤリングが大きくなって歩留りの低下を招くので、冷延圧下率は80〜88.3%の範囲に限定した。
【0027】
6) 焼鈍温度:再結晶温度以上
焼鈍温度は、鋼板の再結晶温度以上とする必要がある。とはいえ、800 ℃を超えると結晶粒が粗大化し、製品を成形した場合に肌荒れの原因となるので、焼鈍温度の上限は 800℃程度とすることが好ましい。なお、焼鈍が連続焼鈍とすることが好ましい。
【0028】
7) 二次圧延圧下率:9.8%以下
この二次圧延(調質圧延ともいう)は、所定の硬さに調整する目的で行われる。しかしながら、二次圧延圧下率が9.8%を超えると、加工性が低下し、プレス成形に耐えなくなるだけでなく、r値の面内異方性が大きくなり、イヤリングが大きくなって歩留りの低下を招くので、二次圧延圧下率は9.8%以下に制限した。
【0029】
以上、Δrに影響を及ぼす種々の製造条件について、その適正範囲を説明したが、これらのΔrへの寄与を考慮して、Δrを総合的に判断できる指標を見出すべく、鋭意検討を重ねた結果、炭素量をC(mass%)、熱延板の板厚をt(mm)、熱間圧延における仕上げ最終3スタンドの摩擦係数のうちの最大の摩擦係数をμ、巻取り温度をCT(℃)、冷延圧下率をCR(%)、二次圧延圧下率をDR(%)とするとき、次式(1)
A=7.882 −3.5 C−0.088 CR−0.014 DR
+0.005(CT−700)−4μ(1.6−t)2 --- (1)
で示されるAを指標として、μを0.20以下、かつ仕上げ圧延温度をAr3〜(Ar3+100 ℃)とした場合に、このAの絶対値が0.30以下となるように各製造条件を調整すれば、Δrの絶対値が0.30以下と良好な面内異方性を確保できることが究明された。
そして、絞り用途となる2ピース缶では、r値の面内異方性すなわちΔrが特に重要であるが、このA値の絶対値で0.30以下に制御してやれば, 極めて良好な結果を得ることができるのである。
【0030】
【実施例】
表1に示す成分組成になる鋼スラブを、表2に示す条件で処理することにより、缶用鋼板を製造した。表2中、水準a 〜fは熱延条件の影響を、水準g〜nは二次圧延の影響を、水準o〜sはC量の影響を、それぞれ調査したものである。なお、表2の摩擦係数μは、仕上げ最終3スタンドの摩擦係数のうち、最大の摩擦係数である。
かくして得られた缶用鋼板について、引張特性、平均r値、Δrおよびカップ成形後に肌荒れの有無(目視)について調査した結果を表2に併記する。
【0031】
ここで、平均r値は、次式で定義される値である。
平均r値=(r0 +r90+2r45)/4
また、表2における平均r値およびΔrは、Contorol products 社(USA)の Module Drawability testerを用いて求めた。この方法は、Steel Met. Ind.,50 (1973), 328に示されるように、r値とヤング率の間に相関関係があることから、ヤング率を「磁歪振動方式」により求め、測定したヤング率から平均r値およびΔrを求めるものである。
さらに、肌荒れ有無を評価する際のカップ形式は、打ち抜き径:150 mm、絞り比(打ち抜き径/成形後のカップ径):2として行った。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
表2中、水準a 〜gは、鋼記号Aの鋼種を用い、主に熱延時の摩擦係数を変化させた時の特性を調査したものであるが、水準d,eのように熱延時の摩擦係数が0.20を超えた場合には、平均r値が 1.0以下と低いか、あるいはΔrが−0.30を超える負で大きな値となった。 また、水準fは、フェライト域での圧延であったため、熱延板の結晶粒が大きくなり、肌荒れの発生が見られた。さらに、水準gは、A値の絶対値が0.30を超え、Δrが−0.30を超える負で大きな値となった。
水準h〜oは、同じく鋼記号Aの鋼種を用い、主に二次圧延率を変化させた場合であるが、水準l〜oのように摩擦係数が0.20を超えた場合は、摩擦係数の小さい水準h〜jに比べて、全体的に平均r値が低く、またΔrも負で大きな値となった。
水準p〜tは、鋼記号A〜Eの鋼種を用い、主にC量の影響を見たものであるが、水準sに示したように使用鋼スラブの炭素量が高い場合には、潤滑性がよくてもr値が低く、またΔrも負で大きくなっている。 一方、水準tのように使用鋼スラブの炭素量が低すぎる場合には、平均r値が低く、またΔrも負で大きな値となっている。
【0035】
【発明の効果】
かくして、この発明によれば、平均r値が 1.0以上と高く、しかもその面内異方性すなわちΔrの絶対値が0.30と小さく、従って特性のバラツキが小さく、さらに絞り加工後に肌荒れが生じることなく、美麗な外観を呈する缶用鋼板を安定して得ることができる。
Claims (1)
- 質量百分率で、
C:0.020〜0.050 %、
Si:0.04%以下、
Mn:0.6 %以下、
Al:0.005〜0.1 %、
P:0.02%以下、
S:0.02%以下、
N:0.0005〜0.010 %
を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、仕上げ圧延温度:Ar3〜(Ar3+100 ℃)、少なくとも仕上げ最終3スタンドにおける圧延ロールと鋼板の摩擦係数:0.20以下の条件で熱間圧延して 0.8〜1.5 mm厚の熱延板としたのち、 500〜750 ℃の温度でコイルに巻き取り、酸洗後、圧下率:80〜88.3%で冷間圧延し、ついで再結晶温度以上で焼鈍を施したのち、9.8%以下の圧下率で二次圧延を施すことによって缶用鋼板を製造するものとし、その際、炭素量をC(mass%)、熱延板の板厚をt(mm)、熱間仕上げ圧延最終3スタンドにおける摩擦係数の最大値をμ、巻取り温度をCT(℃)、冷延圧下率をCR(%)、二次圧延圧下率をDR(%)とするとき、これらの関係式として次式(1)
A=7.882 −3.5 C−0.088 CR−0.014 DR
+0.005(CT−700)−4μ(1.6−t)2 --- (1)
で示されるAの絶対値が0.30以下となるように、上記の各製造条件を調整することを特徴とする缶用鋼板の製造方法。
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