JP4378785B2 - 画像処理機能を備えた画像入力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は画像処理機能を備えた画像入力装置および画像処理プログラムを記録した記録媒体に関し、特に、カメラで撮像して得られる画像をもとに、撮影が許可されていない領域に所定の画像処理を行なう画像処理機能を有する画像処理装置および画像処理プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年ネットワーク基盤の充実や通信技術の発達により、遠隔監視カメラやテレビ電話等の映像または音声データを送受信するシステムが開発されている。特にインターネットを利用した遠隔監視カメラシステムにおいては、カメラが設置されている場所から離れた場所に設置された端末で、カメラで撮影した映像を見ることができる。このシステムでは、ネットワークに接続された端末からカメラのパン、チルト、ズーム等の制御が可能となっている。端末の操作者は、カメラで撮影する範囲を自由に選択することができる。また、カメラで撮影された映像は、ネットワークに接続された複数の端末で見ることができる。システムによっては、不特定の端末使用者に映像を提供するシステムがある。このような遠隔監視カメラシステムでは、カメラで撮影されて被写体となる者の意思は全く考慮されていないため、個人のプライバシー保護が十分に図れないといった問題がある。
【0003】
この問題に対して、たとえば、特開平10−136247号公報には、カメラを制御するサーバにカメラで撮影することができない領域を設定しておく遠隔監視カメラシステムが開示されている。この従来の遠隔監視カメラシステムでは、カメラで撮影することができない領域が撮影されて、ネットワークに接続された端末に送られることはない。この点で、カメラが撮影することができない領域における個人のプライバシーの保護を図ることができる。
【0004】
また、特開平6−121305号公報には、テレビ電話において、通話者自身を撮影するためのカメラに対して、カメラに装着されたシャッタを閉じることで撮影を禁止したり、カメラの向きを変えることで通話者の撮影を不可能にするテレビ電話が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の遠隔監視カメラシステムにおいては、撮影することができない領域は、カメラを管理する者(撮影者側)の都合によって設定されるものである。カメラで撮影することができない領域以外の領域においては、被写体となる者のプライバシーは保護されず、撮影された画像は、ネットワークに接続された複数の端末に表示されてしまう。したがって、被写体となる者の意思に沿ってプライバシーを保護することはできないといった問題があった。
【0006】
また、従来のテレビ電話においては、通話者自身の意思でカメラに装着されたシャッタを閉じたり、カメラの向きを変えることにより、通話者自身が撮影されることがない。しかし、これではカメラで何も撮影することができないか、撮影できたとしても通話の相手方の意に反する画像しか撮影できないものである。したがって、人がその場にいるのかいないのかといった程度の確認もできないので、セキュリティ管理などを目的とした画像を得るためには不適切である。
【0007】
この発明は上述の問題点を解決するためになされたもので、撮影者の意図をできるだけ損なわないようにした上で、画像中の被写体となるものの意思等で、その被写体を含まない画像に変換する、もしくは被写体を含んだ特定領域だけを原画像と異なる画像に変換することのできる画像処理機能を備えた画像入力装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するためにこの発明のある局面による画像処理機能を備えた画像入力装置は、画像を入力する撮像手段と、入力された画像から被写体の形状を検出する検出手段と、所定の形状を予め記憶する記憶手段と、検出手段で検出された被写体の形状と記憶手段に記憶された所定の形状とが一致するときは、入力された画像の全部または一部を入力された画像と異なる画像に変換する画像処理手段と、被写体までの距離を計測する測距手段と、入力された画像における検出手段で検出された被写体の位置と測距手段で計測された被写体までの距離とに基づき、入力された画像から保護領域を抽出する保護領域抽出手段とをさらに備え、画像処理手段は、保護領域の画像を入力された画像と異なる画像に変換することを特徴とする。
【0010】
さらに好ましくは画像処理機能を備えた画像入力装置は、ネットワークに接続され、画像処理手段で変換した画像をネットワークに伝送する手段をさらに備える。
さらに好ましくは画像処理機能を備えた画像入力装置の検出手段は、移動体の被写体の形状を検出する。
【0012】
これらの発明に従うと、撮影者の意図をできるだけ損なわないようにした上で、画像中の被写体となるものの意思等で、その被写体を含まない画像に変換する、もしくは被写体を含んだ特定領域だけを原画像と異なる画像に変換することのできる画像処理機能を備えた画像入力装置および画像処理プログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図中同一符号は同一または相当する部材を示す。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像処理機能を備えた画像入力装置が適用されるカメラサーバの概略構成を示すブロック図である。図を参照して、カメラサーバ100は、被写体130を撮影するためのカメラ部103と、カメラ部103の撮影方向を上下左右に移動させるためのカメラ用パンチルト部105と、カメラ部103で撮影された画像からマーカを検知するためのマーカ検知部107と、マーカ検知部107で検知されたマーカをもとにカメラ部103で撮影された画像に所定の画像処理を施すためのプライバシー保護画像処理部109と、ネットワークに接続された他のコンピュータと通信を行なうための通信制御部113と、制御部101とを含む。
【0015】
カメラ部103は、光学レンズとCCDセンサ等の光電変換素子等から構成される。カメラ部103で撮影された画像は、光電変換素子により電気信号に変換されてマーカ検知部107に送信される。カメラ部103の、フォーカス、ズームおよびアイリスの制御は、制御部101より受信する制御コマンドに基づき定められる。カメラ用パンチルト部105は、カメラ部103の撮影方向を上下左右に移動させる。カメラ用パンチルト部105は、制御部101より受信する制御コマンドに従って、パンおよびチルト動作を行なう。これにより、カメラ部103の撮影方向を上下左右に移動させる。
【0016】
通信制御部113は、カメラサーバ100をコンピュータネットワークまたは通信回線網に接続するための通信インターフェイスであり、ネットワーク等に接続された他のパーソナルコンピュータとの間で通信を行なう。図ではコンピュータネットワークに接続した形態を示している。通信制御部113に入力された音声データまたは画像データは、制御部101の指示によりネットワークに接続されたパーソナルコンピュータに対してネットワークを介して送信される。
【0017】
制御部101は、カメラサーバ100全体を制御する。制御部101は、通信制御部113を介してネットワークに接続された他のコンピュータ等と通信を行なうことにより、カメラ部103で撮影する範囲を変更するコマンドを受信する。制御部101は、受信したコマンドに基づき、カメラ部103およびカメラ用パンチルト部105に制御コマンドを送信する。カメラ用パンチルト部105は、制御部101から受信した制御コマンドに基づいて、カメラ部103の撮影方向を変更する。また、カメラ部103は、制御部101から受信した制御コマンドに基づいて、フォーカス値、ズーム量、アイリスの値を決定する。これにより、カメラ部103で撮影する範囲が制御される。
【0018】
マーカ検知部107は、カメラ部103で撮影された画像を受信する。マーカ検知部107には、予めマーカが記憶されており、カメラ部103から受信した画像から抽出した形状とマーカの形状とを照合することにより、画像からマーカの形状と類似した形状の領域(以下「マーカ領域」という)を検知する。マーカ検知部107内に記憶されているマーカは、文字や記号もしくは色彩またはこれらの組合せで表わされた形状である。マーカについては後で詳しく説明する。
【0019】
プライバシー保護画像処理部109は、マーカ検知部107よりカメラ部103で撮影された画像とマーカ検知部107で検知されたマーカ領域とを受信する。受信したマーカ領域をもとに、画像から保護領域を抽出して、抽出した保護領域に対して所定の画像処理を行なう。画像処理が行なわれた画像は、制御部101に送信される。
【0020】
制御部101では、プライバシー保護画像処理部109から受信した画像処理後の画像を、通信制御部113を介してネットワークに接続されたコンピュータ等に送信する。これにより、ネットワークに接続されたコンピュータ等は、プライバシー保護画像処理部109で画像処理が施された画像を表示することができる。
【0021】
なお、マーカ検知部107とプライバシー保護画像処理部109とで行なう処理を実行するためのプログラムを記録媒体121に記録し、記録されたプログラムをカメラサーバ100に接続した外部記憶装置111で読込むことにより、制御部101で実行するようにしてもよい。記録媒体121は、光磁気ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)等である。
【0022】
図2は、カメラ部103で部屋を撮影する場合におけるカメラ部103の撮影範囲を説明するための図である。図2は、部屋203の上方に視点をおいて部屋203を見た図である。部屋203のほぼ中央にマーカ200を胸につけた被写体201が存在する。カメラ部103は、部屋203の1つの壁の上方に取付けられている。カメラ部103で撮影することができる撮影範囲は、図に示す角度で部屋全体に拡がっている。被写体201は、カメラ部103の撮影範囲に含まれているので、カメラ部103で撮影される画像中に含まれる。カメラ部103が取付けられた壁の近傍にある一部の領域が撮影範囲に含まれない。撮影範囲に含まれない領域については、カメラ用パンチルト部105をパンおよびチルト動作させることにより、撮影範囲に含めることができる。
【0023】
次に、制御部101で行なわれるカメラ制御処理について説明する。図3は、制御部101で行なわれるカメラ制御処理の流れを示すフロー図である。制御部101は、通信制御部113を介して、ネットワークに接続されたコンピュータ等と通信を行なう。コンピュータ等から受信するコマンドには、カメラ部103の撮影方向の変更を指示するためのコマンドと、カメラ部103のズーム、フォーカス、アイリスの調整を指示するためのコマンドが含まれる。制御部101では、コンピュータ等から送信されるこれらのコマンドを、制御コマンドに変換してカメラ用パンチルト部105およびカメラ部103に対して送信する。これにより、カメラ用パンチルト部105とカメラ部103とが制御部101により制御される。
【0024】
制御部101は、パーソナルコンピュータ等からカメラ部103の撮影範囲を変更するコマンドを受信すると、カメラ用パンチルト部105に制御コマンドを送信する(ステップS31)。カメラ用パンチルト部105は、制御コマンドの受信に応じてパン動作またはチルト動作を行なう。これにより、カメラ部103の撮影範囲が上下左右に移動する。
【0025】
また、制御部101は、パーソナルコンピュータ等からカメラ部103のフォーカス、ズーム、アイリスを調整するためのコマンドを受信すると、カメラ部103に対して制御コマンドを送信する(ステップS32)。これにより、カメラ部103は、制御コマンドの受信に応じてフォーカス、ズーム、アイリスを調整する動作を行なう。
【0026】
次に、カメラ部103を駆動することにより、カメラ部103で撮影が開始される(ステップS33)。カメラ部103で撮影された画像はマーカ検知部107に送信される。
【0027】
図4は、マーカ検知部107とプライバシー保護画像処理部109とで行なわれる画像処理の流れを示すフロー図である。図を参照して、画像処理は、カメラ部103で撮影された画像を入力するステップ(S01)と、画像からマーカを検知するためのステップ(S02)と、画像にマーカが含まれるか否かを判断するステップ(S03)と、画像から保護領域を抽出する処理を行なうステップ(S04)と、ステップS04で抽出された保護領域の画像を所定の画像に変換する処理を行なうステップ(S05)と、ステップS05で変換された画像を出力するステップ(S06)とを含む。
【0028】
ステップS01においては、カメラ部103で撮影された画像がマーカ検知部107に入力される。入力される画像は、静止画像でも動画像でもどちらでもよい。
【0029】
ステップS02においては、入力された画像とマーカ検知部107内に記憶されているマーカとを照合することにより、画像からマーカと類似する形状の画像領域(以下「マーカ領域」という)を検知する。マーカ検知部107内に記憶されているマーカが複数ある場合には、すべてのマーカについて画像との照合が行なわれる。
【0030】
マーカ領域を検知する手法としては、周知の画像認識技術を用いることができる。たとえば、画像を輝度または色相を用いて2値化して、画像に含まれる被写体の輪郭を抽出することにより、被写体の形状を認識する。認識された被写体の形状と、マーカ検知部107内に記憶されているマーカの形状とを比較して、マーカの形状と類似する形状の画像領域をマーカ領域として検知する。
【0031】
画像からマーカ領域が検知される場合とは、たとえば、人がマーカ検知部107内に記憶されているマーカと同じ形状のマーカを胸などにつけてカメラ部103の撮影範囲内に入った場合である。この場合には、その人物が被写体としてカメラ部103で撮影された画像に含まれるとともに、その人物の胸につけられたマーカもカメラ部103で撮影された画像に含まれることになる。
【0032】
ステップS03においては、画像からマーカが検知されたか否かを判断する。マーカが検知された場合には、ステップS04に進み、検知されなかった場合には、以降の処理を行なわずそのまま処理を終了する。
【0033】
ステップS04においては、画像からプライバシーを保護するための保護領域を抽出する処理が行なわれる。ステップS05においては、ステップS04で抽出された保護領域の画像に対して画像変換処理を行なう。ステップS04とステップS05で行なわれる処理については後で詳しく説明する。
【0034】
ステップS06においては、ステップS05で画像変換処理がなされた処理済みの画像を制御部101に出力する。制御部101では、プライバシー保護画像処理部109が出力する処理済みの画像を通信制御部113に出力する。
【0035】
通信制御部113は、処理済みの画像をネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ等に送信する。ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ等は、受信した処理済みの画像をパーソナルコンピュータに接続されたCRTや液晶表示装置等の表示手段に表示する。
【0036】
図5は、図4のステップS04で行なわれる保護領域の抽出処理の流れを示すフロー図である。図を参照して、保護領域の抽出処理は、候補領域を抽出するステップ(S11)と、ステップS11で抽出された候補領域のうちマーカに最も近い候補領域を保護領域として抽出するステップ(S12)とを含む。
【0037】
ステップS11においては、画像に含まれる被写体から人物の顔の部分の領域を候補領域として抽出する。その方法としては、たとえば画像から肌色部分の領域を抽出する方法が用いられる。肌色部分の領域が人の顔を表わす確率が高いからである。
【0038】
ステップS12においては、画像中で、ステップS11で抽出された候補領域の位置と、図4のステップS02で検知されたマーカ領域の位置との間の距離が計算される。ステップS11で複数の候補領域が抽出された場合には、すべての候補領域についてマーカ領域の位置との距離が計算される。そして、マーカ領域との間の距離が最も近い候補領域を保護領域として抽出する。これにより、画像中でマーカ領域から最も近い顔の領域が保護領域として抽出されることになる。すなわち、マーカを胸につけた人の顔の領域が保護領域として抽出されることになる。
【0039】
図4のステップS02で、画像からマーカ領域が複数検知された場合には、図5のステップS12では、保護領域が複数抽出されることになる。すなわち、検知されたマーカの数だけ保護領域が抽出される。換言すれば、マーカを胸につけた複数の人が画像に含まれる場合に、マーカを胸につけた人の顔のすべてが保護領域として抽出されることになる。
【0040】
図6は、図4のステップS05で行なわれる画像変換処理の流れを示すフロー図である。図を参照して、画像変換処理は、抽出された保護領域の画像に対してモザイク処理をするステップ(S21)と、モザイク処理がなされた保護領域の画像とカメラ部103から入力された画像とを合成する処理を行なうステップ(S22)とを含む。
【0041】
ステップS21においては、図5のステップS12で抽出された保護領域のすべてに対して、モザイク処理を行なう。これにより、保護領域の画像は、被写体が誰であるかを人が認識することができない画像に変換される。また、モザイク処理の代わりに、LUT変換などのフィルタ処理を用いてもよい。さらに、プライバシー保護画像処理部109に別の画像データを予め記憶しておき、保護領域の画像を別の画像データに置換するようにしてもよい。
【0042】
ステップS22においては、モザイク処理がなされて被写体が誰であるかを人が認識できなくなった保護領域の画像と入力された画像とを合成する。これにより、入力された画像のうち保護領域の画像のみがモザイク処理がなされた画像となる。一方、合成された画像のうち保護領域を除く他の画像は、元の画像のままの状態なので、人が認識することができる。
【0043】
図7は、カメラ部103で撮影した画像とカメラサーバ100から出力される画像とを示す図である。図7(A)は、カメラ部103で撮影した画像を示し、図7(B)はカメラサーバ100から出力される画像を示す。図7(A)を参照して、カメラ部103で撮影した画像211は、人物として表わされる被写体201と、マーカ200とを含んでいる。被写体201は、人の形状をデフォルメして描いてある。図7(B)を参照して、被写体の顔の部分が保護領域203としてモザイク処理がなされて表わされている。
【0044】
図8は、カメラサーバ100から出力される画像の変形例を示す図である。図を参照して、被写体の顔の部分が保護領域であることを示す記号225が、被写体の顔の部分に重ねて表示されている。このように、記号225を保護領域として抽出された被写体の顔の部分に重ねて表示することで、画像211を見る者に対して、画像211に映し出された被写体が誰であるかを認識することができない画像を出力することができるとともに、画像211に映し出された被写体がプライバシーの保護を求めていることを認識させることができる。
【0045】
図9は、マーカの具体例を示す図である。図9(A)は、発光するマーカ250を示す図である。発光するマーカには、たとえば発光ダイオード等の発光素子を用いることができる。マーカ検知部107では、画像中から発光するマーカを検知するために、マーカが発光する光の色を検知することによりマーカを検知することができる。また、画像中から輝度情報を取出し、輝度が急激に高くなる領域の形状を検知することにより、マーカを検知することができる。
【0046】
図9(B)は、異なる色を組合わせたマーカを示す図である。赤色の四角形と黄色の四角形との組合せによりマーカを構成している。マーカ検知部107では、色の変化を検知することによりマーカを検知することができる。また、色と形状との組合せによりマーカを検知するようにすれば、マーカを検知する精度が向上する。
【0047】
図9(C)は、星の形状をしたマーカを示す図である。マーカ検知部107では、形状を認識してマーカを検知する上述の方法を用いてマーカを検知することができる。図9(C)に示したマーカの形状は、規則的な形状であるが、これを不規則的な形状にすることで、より検知する精度を高めることができる。
【0048】
図9(D)は、専用マークのマーカを示す図である。専用マークとは、1つのカメラサーバにのみ有効なマーカをいう。
【0049】
図9(E)は、バーコードで表わされたマーカを示す図である。バーコードをマーカとして用いることにより、検知されるマーカにより処理する画像処理の内容を変更することもできる。たとえば、あるバーコードの場合には、顔の部分のみにモザイク処理を施し、他のバーコードの場合には、顔の部分より広い領域にモザイク処理を施す。
【0050】
図9(F)は、二次元バーコード等の専用コード模様を適用したマーカを示す図である。専用コード模様をマーカとして用いることにより、バーコードをマーカに適用した場合と同様の効果を得ることができる。
【0051】
以上説明したとおり本実施の形態におけるカメラサーバは、カメラ部103で撮影した画像にマーカが含まれる場合には、そのマーカと最も近い人の顔の領域にモザイク処理を施す。これにより、マーカを身にまとった人物の顔の部分のみに、人が被写体が誰であるかを認識することができない画像が合成されて出力される。その結果、カメラ部103の撮影範囲を制限することなく、撮影者側の意図に沿った画像を出力することができるとともに、マーカを身につけた人物のプライバシーを保護した画像を出力することができる。
【0052】
また、プライバシー保護のために必要な領域のみをモザイク処理することができ、出力される画像の情報量を多く保つことができる。
【0053】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態における画像処理機能を備えた画像入力装置が適用されるカメラサーバについて説明する。図10は、第2の実施の形態におけるカメラサーバ300の概略構成を示すブロック図である。第2の実施の形態におけるカメラサーバ300は、第1の実施の形態におけるカメラサーバ100に測距部119を追加した構成となっている。第2の実施の形態におけるカメラサーバ300は、測距部119を追加した以外のハード構成については第1の実施の形態におけるカメラサーバ100と同様である。第1の実施の形態におけるカメラサーバ100と同様のハード構成については、ここでの説明は繰返さない。
【0054】
カメラサーバ300のマーカ検知部107とプライバシー保護画像処理部109とで行なわれる処理は、第1の実施の形態におけるカメラサーバのマーカ検知部107とプライバシー保護画像処理部109とで行なわれる処理のうち、図4のステップS04で行なわれる保護領域の抽出処理を除いて同様の処理が行なわれる。第1の実施の形態におけるマーカ検知部107とプライバシー保護画像処理部109とで行なわれる処理と同様の処理についてはここでの説明は繰返さない。
【0055】
測距部119は、超音波センサであり、超音波を送信するための送信部と被写体から反射した超音波を受信するための受信部とを含む。また、超音波センサの代わりに、レーザセンサやCCD等の撮像素子を用いた位相差方式による測距センサを用いてもよい。測距部119は、カメラ部103の近傍に設置される。したがって測距部119で測距される距離は、カメラ部103と被写体との間の距離である。また、測距部119の代わりに、カメラ部103のフォーカシング情報を用いて被写体までの距離を測距するようにしてもよい。
【0056】
図11は、第2の実施の形態におけるカメラサーバ300のプライバシー保護画像処理部109で行なわれる保護領域の抽出処理の流れを示すフロー図である。図を参照して、保護領域の抽出処理は、マーカまでの距離を計測するステップ(S31)と、保護領域の大きさを決定するステップ(S32)と、保護領域の位置を決定するステップ(S33)とを含む。
【0057】
ステップS31においては、図4のステップS02で検知されたマーカ領域に対応するマーカまでの距離を測距部119で計測する。図4のステップS02で検知されたマーカ領域が複数ある場合には、ステップS31では、検知された複数のマーカ領域のすべてに対応するマーカについて、カメラ部103との間の距離が計測される。
【0058】
ステップS32においては、保護領域の大きさを決定する。ここでの保護領域は、プライバシーを保護するための被写体を含む領域をいう。被写体とカメラ部103との間の距離が短い場合には、カメラ部103で撮影される画像中に占める被写体の面積は大きくなる。逆に、被写体とカメラ部103との間の距離が長い場合には、カメラ部103で撮影される画像に占める被写体の面積は小さくなる。被写体とカメラ部103との間の距離とカメラ部103で撮影された画像中に占める被写体の面積との関係を利用して、カメラ部103とマーカとの距離に基づき保護領域の大きさを決定する。マーカは被写体となる人物に取付けられているので、被写体とカメラ部103との距離をマーカとカメラ部103との距離とみなして処理が行なわれる。
【0059】
図12は、被写体までの距離と保護領域の大きさとの関係を説明するための図である。図12を参照して、横軸に被写体までの距離を示し、縦軸に保護領域の大きさを示す。保護領域の大きさは、保護領域に含まれるピクセルの数で表わされる。直線30は、被写体までの距離と保護領域の大きさとの関係の一例を示す。たとえば被写体までの距離が5[m]のときの保護領域の大きさは、200×400[ピクセル]となる。
【0060】
直線30は、カメラ部103の性能、ズーム量、および被写体の大きさ等により定められる。カメラ部103の性能およびズーム量等から、カメラ部103の撮影範囲に占める被写体の面積を導き出すことができる。たとえば被写体が人の場合では、人の身長および横幅との関係から、その大きさをある程度の範囲内に特定することができる。この特定された大きさの範囲をもとに、カメラ部103で撮影された画像内に占める被写体の面積を大まかに定めることができる。このようにして被写体までの距離と保護領域の大きさとの関係を示す直線30を定める。本実施の形態においては、保護領域の縦横比を横:縦=1:2としているが、これに限られるものではない。また、近距離・ズームインによる撮影の場合は、遠距離・ズームアウトの撮影に比べて、画面に対する被写体の占める割合が大きくなるため、モザイク処理などをより粗くするなどして、被写体の情報量を少なくしてもよい。
【0061】
画像中に複数のマーカ領域が検知された場合には、それぞれのマーカ領域に対する保護領域の大きさが決定される。
【0062】
図11に戻って、次のステップS33においては、保護領域が決定される。ステップS32において保護領域の大きさが決定された。ステップS33では、画像中のどの位置に保護領域が位置するのかを定めることにより、保護領域を決定するものである。
【0063】
画像中のマーカ領域の位置は、マーカ領域を検知した時点でわかっている。このマーカ領域の位置に保護領域の重心が重なるように保護領域の位置が決定される。保護領域の重心とマーカ領域の位置とを合わせることにより、マーカを身につけた被写体が保護領域内に含まれる。
【0064】
図13は、画像211内の保護領域207を示す図である。図を参照して、マーカ200と保護領域207の重心が重なる位置に保護領域207が画像211内に示されている。保護領域207が、被写体205を含む大きさで、その重心がマーカ200と重なる位置に表わされることにより、マーカ200を身に付けた被写体205が保護領域207内に含まれる。
【0065】
図14は、第2の実施の形態におけるカメラサーバ300が出力する画像を示す図である。図を参照して、画像211中に楕円形の保護領域277が表示されている。保護領域277にはモザイク処理が施されている。さらに保護領域277中には「プライバシー保護領域」の文字が表示されている。
【0066】
保護領域227は、先に説明した保護領域の抽出処理で決定された長方形の保護領域に含まれる楕円形である。このように、保護領域をより被写体の形状に近い形状にすることにより、保護領域が小さくなるので、画像211中の保護領域227を除く領域の面積が大きくなり、画像211を見る者に対して与える情報量が多くなる。
【0067】
また、保護領域227中に「プライバシー保護領域」の文字を表示することで、画像211を見る者に対して、保護領域227がプライバシーの保護を求める者の意思で、保護領域227に映し出された人が誰であるかを判別することができない領域とされたことを認識させることができる。
【0068】
以上説明したとおり、第2の実施の形態におけるカメラサーバ300においては、画像中のマーカを付けた被写体を含む保護領域にモザイク等の画像変換処理を施すので、画像211中の保護領域207に含まれる被写体205は、人が誰であるかを認識することができない画像となる。これにより、カメラサーバ300は、カメラ部103を操作する撮影者側の意図に合致した画像を出力することができるとともに、マーカ200を身につけた被写体205のプライバシーを保護した画像を出力することができる。
【0069】
また、画像211のうち、被写体205を含む保護領域207を除く他の領域については、モザイク等の画像変換処理がなされないので、画像211を見る者に与える情報量を多くすることができる。
【0070】
さらに、画像中にマーカが複数検知された場合には、複数の保護領域が決定されて、複数の保護領域についてモザイク等の画像変換処理がなされる。これにより、プライバシーの保護を求める被写体が複数ある場合であっても、それぞれの被写体を含む保護領域について画像変換処理がなされるので、それぞれの被写体のプライバシーを保護した画像を出力することができる。
【0071】
さらに、マーカ領域の位置とそれに対応するマーカまでの距離とに基づき保護領域を決定するので、被写体を保護領域内に容易かつ確実に含めることができる。その結果、マーカを身につけた被写体のプライバシーを確実に保護することができる画像に変換することができる。
【0072】
[第3の実施の形態]
次に第3の実施の形態における画像処理機能を備えた画像入力装置が適用されるカメラサーバについて説明する。図15は、第3の実施の形態におけるカメラサーバ400の概略構成を示すブロック図である。第3の実施の形態におけるカメラサーバ400は、第1の実施の形態におけるカメラサーバ100のマーカ検知部107を、ジェスチャー認識部140に置換えたハード構成となっている。その他のハード構成については第1の実施の形態におけるカメラサーバ100と同じであるのでここでの説明は繰返さない。
【0073】
ジェスチャー認識部140およびプライバシー保護画像処理部109とで行なわれる処理は、第1の実施の形態におけるカメラサーバ100のマーカ検知部107とプライバシー保護画像処理部109とで行なわれる処理と、図5に示した保護領域の抽出処理が異なるのみで、その他の処理については同じである。同じ処理についてはここでの説明は繰返さない。
【0074】
図16は、ジェスチャー認識部140で行なわれる保護領域の抽出処理の流れを示すフロー図である。図を参照して、保護領域の抽出処理は、カメラ部103で撮影した画像から被写体を抽出する処理を行なうステップ(S41)と、抽出された被写体が所定の形状か否かを判断するステップ(S42)と、画像中の被写体部分を保護領域に決定するステップ(S43)とを含む。
【0075】
ステップS41においては、カメラ部103で撮影された画像から被写体を抽出する。被写体の抽出は、第1の実施の形態におけるマーカ検知部107で行なわれるマーカの検知で説明したのと同様に、周知の技術が用いられる。ここで抽出される被写体は、人物である。
【0076】
ステップS42においては、抽出された被写体が所定の形状か否かを判断する。ジェスチャー認識部140には、予め所定の形状が記憶されており、カメラ部103で撮影された画像と所定の形状とを照合することにより、画像中に所定の形状の被写体が含まれるか否かを判断する。所定の形状と画像に含まれる被写体の形状とが類似する場合には、その被写体が所定の形状と判断される。たとえば、ジェスチャー認識部140に予め記憶されている所定の形状が、人が両手を交差させた形状である場合には、画像中に含まれる被写体の形状が両手を交差させた形状であるか否かが判断される。
【0077】
被写体が所定の形状と類似する場合には(S42でYES)、ステップS43に進み、被写体が所定の形状と類似しない場合には(S42でNO)、ステップS43を行なわず処理を終了する。
【0078】
ステップS41において、被写体が複数抽出された場合には、ステップS42では、抽出された複数の被写体について所定の形状との類似度が判断される。また、所定の形状が複数記憶されている場合には、被写体の形状は、複数の所定の形状との類似度が判断される。
【0079】
ステップS43においては、画像中で所定の形状と類似した被写体の領域を保護領域に決定する。
【0080】
図17は、第3の実施の形態におけるカメラサーバ400に入力される画像と出力する画像とを示す図である。図17(A)はカメラサーバ400に入力される画像を示し、図17(B)はカメラサーバ400が出力する画像を示す。図17(A)を参照して、画像211中に両手を交差させた被写体231が含まれる。図17(B)を参照して、画像211中の被写体が映し出された領域に該当する保護領域232がモザイク処理がなされて表示されている。
【0081】
なお、被写体がはじめ撮影されることを望まずに両手を交差させるジェスチャーを行なった後、撮影されてもよいと考えたときには、被写体が所定のジェスチャーを行なうことにより画像中の保護領域をモザイク処理が施されていない画像にするようにしてもよい。たとえば、ジェスチャー認識部140で、予め被写体が両手で円を描いた形状を記憶しておき、画像中から両手で円を描いた形状の被写体を抽出したときには、保護領域にモザイク処理を施さないようにする。
【0082】
図18は、被写体が両手で円を描いたジェスチャーを行なったときにカメラサーバ400に入力される画像と出力する画像とを示す図である。図18(A)はカメラサーバ400に入力される画像を示し、図18(B)はカメラサーバ400が出力する画像を示す。図18(A)を参照して、画像211中に両手で円を描いた被写体241が含まれる。図18(B)を参照して、画像211中の被写体242には、モザイク処理が施されておらず、被写体242が誰であるかを人が認識できる画像となっている。
【0083】
このように、画像中に含まれる被写体の形状に基づき、画像中の被写体の領域にモザイク処理を行なうか否かを決定する。これにより、その画像中に含まれる被写体となる者の意思で画像中の被写体が誰であるかを人が認識できない画像に変換することができる。
【0084】
以上説明したとおり、第3の実施の形態におけるカメラサーバ400においては、画像中の所定の形状をした被写体の領域にモザイク等の画像変換処理を施すので、所定のジェスチャーをした被写体が誰であるかを人が認識することができない画像となる。これにより、カメラサーバ400は、カメラ部103を操作する撮影者側の意図に合致した画像を出力することができるとともに、所定のジェスチャーをした被写体のプライバシーを保護した画像を出力することができる。
【0085】
また、画像中の所定のジェスチャーをした被写体の領域を除く他の領域については、モザイク等の画像変換処理がなされないので、画像を見る者に与える情報量を多くすることができる。
【0086】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおけるカメラサーバ100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】カメラ部103で部屋を撮影する場合におけるカメラ部103の撮影範囲を説明するための図である。
【図3】制御部101で行なわれるカメラ制御処理の流れを示すフロー図である。
【図4】マーカ検知部107とプライバシー保護画像処理部109とで行なわれる画像処理の流れを示すフロー図である。
【図5】図4のステップS04で行なわれる保護領域の抽出処理の流れを示すフロー図である。
【図6】図4のステップS05で行なわれる画像変換処理の流れを示すフロー図である。
【図7】カメラサーバ100に入力される画像と出力する画像とを示す図である。
【図8】カメラサーバ100が出力する画像の変形例を示す図である。
【図9】マーカの具体例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態におけるカメラサーバ300の概略構成を示すブロック図である。
【図11】第2の実施の形態におけるカメラサーバ300のプライバシー保護画像処理部109で行なわれる保護領域の抽出処理の流れを示すフロー図である。
【図12】被写体までの距離と保護領域の大きさとの関係を示す図である。
【図13】画像211内の保護領域207を示す図である。
【図14】第2の実施の形態におけるカメラサーバ300が出力する画像を示す図である。
【図15】第3の実施の形態におけるカメラサーバ400の概略構成を示すブロック図である。
【図16】第3の実施の形態におけるカメラサーバ400のプライバシー保護画像処理部109で行なわれる保護領域の抽出処理の流れを示すフロー図である。
【図17】第3の実施の形態におけるカメラサーバ400に入力される画像と出力する画像とを示す図である。
【図18】被写体が両手で円を描くジェスチャーをしたときのカメラサーバ400に入力される画像と出力する画像とを示す図である。
【符号の説明】
100,300,400 カメラサーバ
101 制御部
103 カメラ部
105 カメラ用パンチルト部
107 マーカ検知部
109 プライバシー保護画像処理部
111 外部記憶装置
113 通信制御部
119 測距部
Claims (3)
- 画像を入力する撮像手段と、
前記入力された画像から被写体の形状を検出する検出手段と、
所定の形状を予め記憶する記憶手段と、
前記検出手段で検出された被写体の形状と前記記憶手段に記憶された所定の形状とが一致するときは、前記入力された画像の全部または一部を前記入力された画像と異なる画像に変換する画像処理手段と、
被写体までの距離を計測する測距手段と、
前記入力された画像における前記検出手段で検出された被写体の位置と前記測距手段で計測された被写体までの距離とに基づき、前記入力された画像から保護領域を抽出する保護領域抽出手段とを備え、
前記画像処理手段は、前記保護領域の画像を前記入力された画像と異なる画像に変換することを特徴とする、画像処理機能を備えた画像入力装置。 - ネットワークに接続され、前記画像処理手段で変換した画像を前記ネットワークに伝送する手段をさらに備えた、請求項1に記載の画像処理機能を備えた画像入力装置。
- 前記検出手段は、移動体の被写体の形状を検出する、請求項1に記載の画像処理機能を備えた画像入力装置。
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