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JP4375119B2 - スパークプラグ - Google Patents

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JP4375119B2 JP2004154388A JP2004154388A JP4375119B2 JP 4375119 B2 JP4375119 B2 JP 4375119B2 JP 2004154388 A JP2004154388 A JP 2004154388A JP 2004154388 A JP2004154388 A JP 2004154388A JP 4375119 B2 JP4375119 B2 JP 4375119B2
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Description

本発明は、内燃機関用のスパークプラグに関する。
一般に、スパークプラグは、エンジンに取り付けるための取付用ネジ部が外周に設けられた取付金具と、一端部が取付金具の一端部から突出するように取付金具内に固定された絶縁碍子と、一端部が絶縁碍子の一端部から突出するように絶縁碍子の軸孔内に固定された中心電極と、一端部が取付金具に固定されて中間部に屈曲部を有し他端部が中心電極の一端部との間に火花放電ギャップを介して対向する接地電極(40)とを備えて構成されている。
ここで、従来より、接地電極としては、その表面積と体積の関係で耐熱性などを確保したものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2002−343533号公報
ところで、近年のエンジンは、環境対応のため低燃費・高出力化が進められている。そこで、燃料を希薄化しても着火しやすくするために、スパークプラグにおける火花放電部の混合気流速を速めることがなされている。
着火性の向上は、火花放電後に形成される火炎核が成長できるかどうかで決まる。しかしながら、混合気の流速が速いと、火炎核が接地電極のほうへ流され、接地電極に接触する。火炎核が接地電極に接触すると、火炎核は熱エネルギーを奪われる、いわゆる消炎作用が発生する。そして、この消炎作用により着火性が悪化する問題が生じている。
そのため、接地電極を細化することが有効であるが、接地電極の熱容量が小さくなるため、接地電極の耐熱性が悪くなる。そこで、本発明者は、この接地電極の細化に伴う耐熱性の低下に対しては、接地電極の組成を規定することなどにより対応している。
具体的には、本発明者の検討によれば、接地電極を、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものとすればよいことがわかった。
これは、エンジン使用時の高温環境において、比較的標準生成自由エネルギーの小さい添加元素は、比較的標準生成自由エネルギーの大きい主成分元素よりも酸化しやすいため、接地電極における表面に向かって移動し、酸化物を形成する、という性質を持つことを利用したものである。
すなわち、主成分元素であるNiまたはFeよりも標準生成自由エネルギーの小さな元素CrまたはAlを添加すると、接地電極の表面には、添加元素による表面酸化被膜が安定して形成される。それによって、接地電極の表面においては、上記表面酸化被膜が安定して形成されるため、接地電極の内部への酸化が進行せず、接地電極の耐熱耐酸化性を確保することができる。
しかしながら、接地電極を細化すると折れやすくなるという問題も一方ではある。この接地電極の耐折損性に関しては、いまだ考慮されていない。そのため、振動の大きなエンジン運転条件では、接地電極が折損してしまう問題が発生する。
本発明は上記問題に鑑み、高い混合気流速でも高着火性を確保できるように細化された接地電極を有するスパークプラグにおいて、接地電極における耐熱性・耐折損性を満足できるようにすることを目的とする。
本発明者の検討によれば、細化された接地電極でも耐折損性を確保するには、強度がある一定値以上あることはもちろんであるが、結晶粒の状態が大きく影響することがわかった。
一般に、接地電極においては、高温で再結晶するなど結晶粒径が大きくなると強度が低下するため、結晶粒径を大きくすることは、耐折損性の面では不利であると考えられていた。
しかしながら、検討を進めるうち、接地電極を耐熱性に優れたもの、すなわちNiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものとした場合において、高温状態では、結晶粒径が小さいほうが折損しやすいという結果を得た。
この折損が発生する条件は、エンジン振動・燃焼圧力が大きな場合であり、接地電極のうち最も大きな外力が加わる屈曲部にて発生することがわかった。そして、このような条件において、屈曲部における折損部位を詳細に調査すると、粒界から折損していることがわかった。
一般に、高温ではなく、常温のような温度レベルでは、粒内強度よりも粒界強度のほうが強く、粒径が小さいほど、粒界が多く存在するので、結晶粒径が小さいほど、高強度となり折損には有利である。
しかし、屈曲部のエンジン使用中における温度は、比較的高い温度状態となっている。そのような温度では、粒界強度よりも粒内強度のほうが強く、粒径が大きいほど、折損には有利であるという結論に達した。
つまり、高温状態では、屈曲部における結晶組織が大きければ、折損しにくいことを見出した。本発明は、以上のような検討結果から得られた知見に基づいて、さらに解析および実験検討を進めた結果、見出されたものである。
すなわち、請求項1に記載の発明では、エンジンに取り付けるための取付用ネジ部(11)が外周に設けられた取付金具(10)と、一端部(20a)が取付金具(10)の一端部(10a)から突出するように取付金具(10)内に固定された絶縁碍子(20)と、一端部(30a)が絶縁碍子(20)の一端部(20a)から突出するように絶縁碍子(20)の軸孔(21)内に固定された中心電極(30)と、一端部(41)が取付金具(10)に固定されて中間部に屈曲部(42)を有し他端部(43)が中心電極(30)の一端部(30a)との間に火花放電ギャップ(50)を介して対向する接地電極(40)とを備えるスパークプラグにおいて、次のような点を特徴とするものである。
すなわち、接地電極(40)は、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものであり、断面積Sが2mm以上3mm以下であり、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが50μm以下であり、接地電極(40)を900℃以上で加熱処理したとき、接地電極(40)は、少なくとも屈曲部(42)における厚さ方向の結晶が再結晶し、当該結晶粒径の平均値Dが100μm以上となる構成となっていることを特徴としている。
それによれば、接地電極(40)を、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものとしているため、接地電極の耐熱性を確保することができる。
また、接地電極(40)の断面積Sを2mm2以上3mm2以下とすることにより、高い混合気流速でも消炎作用による冷却損失の影響を少なくして高着火性を確保するとともに、接地電極(40)の急激な温度上昇を防止することができる。
また、本発明のスパークプラグによれば、接地電極(40)において、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが50μm以下と小さいものの、接地電極(40)を900℃以上で加熱処理したとき、前記接地電極(40)は、少なくとも屈曲部(42)における厚さ方向の結晶が再結晶し、当該結晶粒径の平均値Dが100μm以上となる構成となっている。つまり、本発明によれば、エンジンでの使用において接地電極の折損が発生しやすい最も厳しい熱負荷条件となったときに、屈曲部(42)の温度が上昇し、再結晶により、耐折損性を確保するのに必要な結晶粒径になる。そのため、本スパークプラグによれば、耐折損性を確保することができる。
このように、本発明によれば、高い混合気流速でも高着火性を確保できるように細化された接地電極(40)を有するスパークプラグにおいて、接地電極(40)における耐熱性・耐折損性を満足することができる。
ここで、請求項2に記載の発明では、請求項1のスパークプラグにおいて、取付金具(10)の一端部(10a)から屈曲部(42)までの高さHが4mm以上6.5mm以下であることを特徴としている。
上記高さHを、このような範囲に規定したのは、本発明者の行った解析結果によるものであり、このように高さHを規定することにより、接地電極(40)の温度上昇を実用レベルの範囲にとどめるとともに、スパークプラグの使用中に屈曲部(42)の温度を、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上となるような温度まで上昇させることができる。
つまり、本発明によれば、上記高さHを規定することで、初期の結晶粒径は小さくても、エンジンでの使用中に屈曲部(42)の温度が上昇し、再結晶により、耐折損性を確保するのに必要な結晶粒径になる。そのため、本スパークプラグによれば、耐折損性を確保することができる。
よって、本発明によれば、高い混合気流速でも高着火性を確保できるように細化された接地電極(40)を有するスパークプラグにおいて、接地電極(40)における耐熱性・耐折損性を満足することができる。
ここで、請求項に記載の発明のように、請求項1請求項に記載のスパークプラグにおいては、接地電極(40)は、Alが0.5重量%以上2重量%未満であってCrが18重量%以上25重量%以下含有されたものにできる。
また、請求項に記載の発明のように、請求項1請求項に記載のスパークプラグにおいては、接地電極(40)は、Alが2重量%以上5重量%未満であってCrが10重量%以上18重量%以下含有されたものにできる。
また、請求項に記載の発明では、請求項1〜請求項に記載のスパークプラグにおいて、接地電極(40)は、希土類元素が添加されたものであることを特徴としている。このように、接地電極(40)にランタノイドなどの希土類元素を添加することにより、耐熱性を向上させることができる。
また、請求項に記載の発明では、請求項1〜請求項に記載のスパークプラグにおいて、屈曲部(42)における曲げ角度θが100°以下であることを特徴としている。
本発明は、本発明者の行った解析結果によるものである。上記曲げ角度θが大きいと、火炎核が接地電極(40)へ接触して消炎作用を引き起こし、着火性を悪化させやすくなるが、この曲げ角度θを100°以下とすることにより、着火性を適切に確保することができ、好ましい。
また、請求項に記載の発明では、請求項1〜請求項に記載のスパークプラグにおいて、取付用ネジ部(11)が、M10以下であることを特徴としている。
取付用ネジ部(11)をM10以下としたスパークプラグでは、接地電極(40)も細化されたものとなるため、上記した各手段を適用すれば、適切な効果が得られる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るスパークプラグS1の全体構成を示す半断面図である。また、図2(a)は、本スパークプラグS1における発火部近傍の拡大構成を示す側面図であり、図2(b)は、図2(a)中のA−A線に沿った断面図である。
[スパークプラグの構成等]
このスパークプラグS1は、自動車用エンジンの点火栓等に適用されるものであり、該エンジンの燃焼室を区画形成するエンジンヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に挿入されて固定されるようになっている。
スパークプラグS1は、導電性の鉄鋼材料(例えば低炭素鋼等)等よりなる円筒形状の取付金具10を有しており、この取付金具10の外周面には、図示しないエンジンブロックに固定するための取付用ネジ部11が設けられている。本実施形態では、この取付用ネジ部11は、JIS(日本工業規格)でいうM10以下のものである。
取付金具10の内部には、アルミナセラミック(Al23)等からなる絶縁碍子20が収納されて固定されており、この絶縁碍子20の一端部20aは、取付金具10の一端部10aから突出している。
絶縁体20の軸孔21には中心電極30が固定されており、それによって、中心電極30は取付金具10に対して絶縁保持されている。
中心電極30は、たとえば、内材がCu等の熱伝導性に優れた金属材料により構成され、外材がNi基合金等の耐熱性および耐食性に優れた金属材料により構成された円柱体からなる。
そして、図1に示されるように、中心電極30は、その一端部30aが絶縁碍子20の一端部20aから突出するように設けられている。こうして、中心電極30は、その一端部30aが取付金具10の一端部10aから突出した状態で取付金具10内に絶縁保持されている。
また、接地電極40は、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものからなる柱形状をなすものである。
本実施形態では、接地電極の耐熱性を確保すべく、接地電極40を、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものとしている。
これは、上述したように、エンジン使用時の高温環境において、比較的標準生成自由エネルギーの小さい添加元素は、比較的標準生成自由エネルギーの大きい主成分元素よりも酸化しやすいため、接地電極40における表面に向かって移動し、酸化物を形成する、という性質を持つことを利用したものである。
すなわち、主成分元素であるNiまたはFeよりも標準生成自由エネルギーの小さな元素CrまたはAlを添加すると、接地電極40の表面には、添加元素による表面酸化被膜が安定して形成される。それによって、接地電極40の表面においては、上記表面酸化被膜が安定して形成されるため、接地電極40の内部への酸化が進行せず、接地電極40の耐熱耐酸化性を確保することができる。
具体的には、接地電極40は、Alが0.5重量%以上2重量%未満であってCrが18重量%以上25重量%以下含有されたものにできる。あるいは、接地電極40は、Alが2重量%以上5重量%未満であってCrが10重量%以上18重量%以下含有されたものにできる。
また、本例の接地電極40は、一端部41が取付金具10の一端部10aに溶接等により固定されており、中間部に略L字に曲げられた屈曲部42を有しており、他端部43が中心電極30の一端部30aと火花放電ギャップ50を介して対向している。
本例では、中心電極30の一端部30aには、レーザ溶接や抵抗溶接等によって火花放電部材としての貴金属チップ35が接合されている。たとえば、貴金属チップ35はPt合金やIr合金からなる円柱状のものである。そして、火花放電ギャップ50は、この貴金属チップ35の先端部と接地電極40の他端部43における火花放電ギャップ50側の面との間の空隙である。
ここで、図2に加えて図3も参照して、接地電極40の寸法構成等について、さらに述べる。図3は、接地電極40の各寸法L、H等を説明するための図である。
本実施形態では、図2(b)に示される接地電極40の断面40aの面積Sすなわち断面積Sは、2mm2以上3mm2以下である。図2(b)に示される例では、接地電極40は断面四角形の四角柱形状をなしている。限定するものではないが、一例として、接地電極40の厚さdは1.15mm、幅wは2.2mmとすることができる。
また、接地電極40における取付金具10の一端部10aすなわち先端面10aから屈曲部42までの高さH、および、屈曲部42から他端部43の先端面までの長さLの定義は、図3に示される通りである。
図3に示されるように、円A1は、接地電極40における他端部43の先端面と、火花放電ギャップ50側の面と、火花放電ギャップ50と反対側の面との3面と接する仮想円であり、円A2は、円A1と、接地電極40における火花放電ギャップ50側の面と、火花放電ギャップ50と反対側の面との3面と接する仮想円である。そして、円A1、円A2についてそれぞれの中心を通る仮想線をL1とする。
一方、図3に示されるように、円B1は、接地電極40における取付金具10との界面と、火花放電ギャップ50側の面と、火花放電ギャップ50と反対側の面との3面と接する仮想円であり、円B2は、円B1と、接地電極40における火花放電ギャップ50側の面と、火花放電ギャップ50と反対側の面との3面と接する仮想円である。そして、円B1、B2についてそれぞれの中心を通る仮想線をL2とする。
ここで、各仮想線L1とL2との交点をPとしており、また、各仮想線L1とL2とのなす角度を、屈曲部42の曲げ角度θとする。この曲げ角度θは、100°以下であることが好ましい。
また、接地電極40における取付金具10の先端面10aから屈曲部42までの高さHは、取付金具10の先端面10aから交点Pまでの距離とする。また、接地電極40における屈曲部42から他端部43の先端面までの長さLは、交点Pから他端部43の先端面までの距離とする。ここで、上記長さLは3mm〜5mm程度である。
また、図4は、本実施形態の接地電極40における屈曲部42の近傍部の概略断面図である。接地電極40の断面を顕微鏡観察すると、電極を構成する金属による結晶組織が観察される。
本実施形態では、接地電極40において、少なくとも屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上となっている。具体的には、図4において、たとえばB−B線の方向に沿って配列する複数個の結晶粒が観察されるが、この複数個の結晶粒の粒径の平均値Dが100μm以上となっている。ここで、B−B線は、交点Pから曲げ角度θを二等分する線とする。
この平均粒径Dの求め方は、たとえば、次の通りである。まず、接地電極40を長軸方向に沿って切断し、図4に示される断面を形成する。
そして、粒界を識別化するため、シュウ酸などのエッチング液で当該断面を処理し、この処理された断面においてB−B線の方向に沿って配列する複数個の結晶粒の個々の粒径を、顕微鏡観察によって求め、当該複数個の結晶粒径の平均値Dを算出する。
接地電極40において、少なくとも屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dを100μm以上とすることは、たとえば接地電極40を熱処理して再結晶化を行うことにより、実現できる。熱処理温度が高いほど、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dを大きくできる傾向にある。
また、図1に示されるように、本実施形態のスパークプラグS1においては、絶縁碍子20は取付金具10の内部に挿入されており、絶縁碍子20と取付金具10とは、取付金具10の他端部10bに形成されたかしめ部12においてかしめ固定されている。
また、このかしめ部12においては、取付金具10と絶縁碍子20との間にシール部材60、61が介在されており、それによって当該間がシールされている。ここでは、シール部材は、2つの金属リング60と、これら金属リング60の間に設けられたタルク61とから構成されている。
また、図1に示されるように、絶縁碍子20における取付金具10内に位置する部分のうち、周方向の最大径を有する部位が、胴部22として形成されている。つまり、胴部22は、取付金具10内に位置する絶縁碍子20のうち最大直径を有する部位として構成されている。
そして、この胴部22の段差を利用することにより、上記のかしめ固定やシール部材60、61の配設がなされている。
それとともに、絶縁碍子20における取付金具10内に位置する部分のうち、絶縁碍子20の一端部20a側にて胴部22に隣接する部位が、胴部22よりも径の小さい中段部23として形成されている。そのため、絶縁碍子20における胴部22と中段部23との間には段差が存在している。
このように絶縁碍子20には、取付金具10とのかしめ固定を行うため、およびシール部材を配設するため等の目的で、胴部22が形成されており、また、絶縁碍子20の一端部20a側すなわち火花放電部側では、より径の細い中段部23を形成することで細径化が図られている。
また、図1に示されるように、絶縁碍子20の軸孔21内においては、中心電極30の他端部30b側は、導電性ガラスシール材70を介して抵抗体75が電気的に接続されている。
さらに、図1に示されるように、この抵抗体75よりも絶縁碍子20の他端部20b側における軸孔21内では、導電性ガラスシール材70を介して抵抗体75と端子電極(ステム)80の一端部80aとが電気的に接続されている。
そして、端子電極80の他端部80bは、絶縁碍子20の他端部20bから突出して露出している。この端子電極80の他端部80bには、図示しない点火コイルが装着されるようになっている。
[寸法関係設定の根拠等]
本実施形態において、接地電極40の断面積Sが2mm2以上3mm2以下であること、および、接地電極40において少なくとも屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上となっているものとしたことの根拠について述べる。この寸法関係は、次に述べるような、本発明者らが行った解析や実験検討の結果を根拠とするものである。
まず、混合気流速と着火性との関係をシミュレーションにより求めた。図5は、スパークプラグにおける混合気の流速Vと火炎核Kとの関係を模式的に示す図である。混合気の流速Vが早いと火炎核Kが接地電極40に接触し、消炎作用により着火性に影響を及ぼすことが考えられる。
そこで、混合気の流速Vと接地電極40の断面積S(図2(b)参照)と着火性との関係を解析した。ここで、接地電極40の断面積Sは、接地電極40の他端部43の先端面から屈曲部42に向かう距離LA(図2(a)参照)が2mmの部位における断面積とする。
着火性が最悪条件となる混合気の流速V、すなわち火炎核Kが接地電極40側へ流されるような流速Vを想定して、接地電極40から冷却される冷却エネルギーQを解析することとした。その解析結果が図6、図7に示される。
図6は、混合気の流速Vと冷却エネルギーとの関係を示す図であり、図7は、接地電極40の断面積Sと冷却エネルギーとの関係を示す図である。これら図6、図7において、冷却エネルギーは、相対的な比すなわち冷却エネルギー比として表してある。
図6に示されるように、混合気の流速Sが大きくなるほど、火炎核Kが接地電極40に接触しやすくなり、冷却エネルギーQも大きくなることがわかる。つまり、混合気の流速Sが大きくなるほど、冷却損失の影響が大きくなり着火性が低下する。
従来のエンジンでは混合気の流速Vが5m/s程度であるのに対して、近年の高流速エンジンでは、混合気の流速Vは15m/s程度であり、冷却エネルギーは、従来のエンジンの1.5倍以上に大きくなっている。
また、図7に示されるように、接地電極40の断面積Sが大きくなるほど、冷却エネルギーが大きくなることがわかる。そして、接地電極40の断面積Sが3mm2よりも小さいと、冷却損失の影響が少なくなり着火性が確保できる。
次に、接地電極40が細過ぎると、接地電極40の先端部すなわち上記他端部43での温度上昇が懸念される。この温度上昇の上限は1100℃程度である。
これは、1100℃程度まで上昇すると、正規のタイミングで火花放電ギャップ50間に着火する前に、接地電極40の先端部で着火現象が起きる、いわゆるプレイグニッションが発生してしまい、エンジンを損傷する危険性があるためである。
ちなみに、従来の一般的なスパークプラグにおける接地電極40の断面積Sは、4.4mm2程度であり、この場合、通常、エンジン使用中は最高でも先端温度は1000℃程度である。なお、このサイズは、上記図2(b)に示される接地電極40の厚さdとして1.6mm、幅wとして2.8mm程度である。
接地電極40の断面積Sと接地電極40の先端部の温度との関係をFEM(有限要素法)を用いた温度解析により求めた。その解析結果が図8に示される。図8に示されるように、接地電極40の断面積Sが2mm2未満になると、急激に接地電極40の先端部の温度が上昇する。
これら図6〜図8に示される解析結果から、接地電極40の断面積Sが2mm2以上3mm2以下であれば、高い混合気流速でも消炎作用による冷却損失の影響を少なくして高着火性を確保するとともに、接地電極40の急激な温度上昇を防止することができる。このことから、本実施形態では、接地電極40の断面積Sを2mm2以上3mm2以下としている。
また、上述したように、高温、たとえば1000℃を越える温度レベルに対して接地電極40の耐熱性を確保するには、接地電極40の材質としてNiまたはFeを主成分とし、CrやAlを添加することが有効である。
そこで、接地電極40として、断面積Sを2.5mm2としたもの(厚さd=1.15mm、幅w=2.2mmに相当)であって材質をNi−15wt%Cr−2.5wt%Alとしたものについて、耐折損性の評価を行った。
図9は、耐折損性評価の方法を具体的に示す図である。図9に示されるように、加振器(ここでは、試験機能力が10Gのもの)Fを用い、加速評価として、屈曲部42に大きな作用力が加わるよう、長さLを長くして評価した。通常、長さLは3mm〜5mmであるが、ここでは、長さLを100mmとした。また、上記高さHは6mmとした。
また、接地電極40の先端部43から屈曲部42の部位にかけて、ガスバーナーを用い昇温させることによりエンジンでの温度環境に合わせた。ここでは、当該部位の温度を900℃とした。
そして、図9に示されるように、接地電極40の一端部41を加振器Fに固定し、周波数を調整して先端部43側を共振させ、強制的に折損させる条件とした。ここでは、周波数は60Hzとした。
そして、接地電極40の屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dを変えて、耐折損性を評価した。ここでは、熱処理条件により結晶粒径を調整し、耐折損性を評価した。
具体的には、上記結晶粒径の平均値Dを30μm、75μm、100μm、160μmとしたものについて評価した。結晶粒径の平均値Dは初期が30μmであり、これを、850℃、30分で熱処理すると75μm、900℃、30分で熱処理すると100μm、1000℃、30分で熱処理すると160μmとなる。
この耐折損性の評価結果は、次の表1に示される。この表1は、接地電極40の屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dと折損の有無との関係を示すもので、折損有無の項目において「×」は折損が発生したことを示し、「○」は折損しなかったことを示すものである。
Figure 0004375119
この表1に示されるように、接地電極40の屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上であれば、折損が発生しなくなることがわかった。
このことから、本実施形態では、接地電極40を900℃以上で熱処理することにより、接地電極40において少なくとも屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dを、100μm以上としている。
なお、本実施形態では、接地電極40のうち比較的折損しやすい屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上であればよいが、接地電極40全体において上記結晶粒径の平均値Dが100μm以上であってもよい。もちろん、屈曲部42のみにおいて上記結晶粒径の平均値Dが100μm以上であってもよい。
[効果等]
ところで、本実施形態のスパークプラグは、エンジンに取り付けるための取付用ネジ部11が外周に設けられた取付金具10と、一端部20aが取付金具10の一端部10aから突出するように取付金具10内に固定された絶縁碍子20と、一端部30aが絶縁碍子20の一端部20aから突出するように絶縁碍子20の軸孔21内に固定された中心電極30と、一端部41が取付金具10に固定されて中間部に屈曲部42を有し他端部43が中心電極30の一端部30aとの間に火花放電ギャップ50を介して対向する接地電極40とを備えるスパークプラグS1において、次のような点を特徴とするものである。
すなわち、接地電極40は、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものであり、断面積Sが2mm2以上3mm2以下であり、少なくとも屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上であることを特徴としている。
それによれば、接地電極40を、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものとしているため、接地電極40の耐熱性を確保することができる。また、接地電極40の強度も適切に確保できる。
また、接地電極40の断面積Sを2mm2以上3mm2以下とすることにより、高い混合気流速でも消炎作用による冷却損失の影響を少なくして高着火性を確保するとともに、接地電極40の急激な温度上昇を防止することができる。
そして、接地電極40のうち少なくとも屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dを100μm以上とすることにより、エンジンでの使用時において温度や振動が厳しい条件においても、接地電極40が折損するのを防止できる。
このように、本実施形態によれば、高い混合気流速でも高着火性を確保できるように細化された接地電極40を有するスパークプラグS1において、接地電極40における耐熱性・耐折損性を満足することができる。
また、上述したが、本実施形態では、接地電極40の材質は、具体的には、Alが0.5重量%以上2重量%未満であってCrが18重量%以上25重量%以下含有されたもの、あるいは、Alが2重量%以上5重量%未満であってCrが10重量%以上18重量%以下含有されたものにできる。
上述したように、Cr、Alの両方を添加すれば耐熱性確保に有効であるが、過度の添加は、ギャップ成形性など、接地電極40の加工性を悪化させてしまう。特に、Alの量は加工性に大きく影響を与える。そこで、接地電極40の耐熱性と加工性とを考慮すると、接地電極40は、上記したような組成とすることが好ましい。
さらに、本実施形態において、接地電極40は、ScやYおよびランタノイドなどの希土類元素が添加されたものとしてもよい。接地電極40にランタノイドなどの希土類元素を微量(たとえば0.5重量%程度)添加することにより、接地電極40の耐熱性を向上させることができる。
また、上述したが、本実施形態では、接地電極40の屈曲部42における曲げ角度θ(図3参照)が100°以下であることが好ましいとしている。
このことは、次の述べるような本発明者の行った解析結果によるものである。上記曲げ角度θが大きいと、火炎核Kが接地電極40へ接触して消炎作用を引き起こし、着火性を悪化させやすくなる。
接地電極40の断面積Sを2.5mm2(厚さd=1.15mm、幅w=2.2mmの接地電極に相当)とし、混合気の流速Vを15m/sとした場合について上記解析を実施した。その解析結果が図10に示される。
図10は、上記曲げ角度θと冷却エネルギーとの関係を示す図であり、この図10において、冷却エネルギーは、相対的な比すなわち冷却エネルギー比として表してある。
図10に示されるように、曲げ角度θが100°を超えると、冷却エネルギーQが急激に大きくなる。そこで、曲げ角度θは100°以下がよい。このように、曲げ角度θを100°以下とすることにより、着火性を適切に確保することができ、好ましい。
なお、曲げ角度θをあまり小さくなるように接地電極40のギャップ成形を行うと、過変形により屈曲部42に亀裂が発生するため、曲げ角度θは80°以上であることが好ましい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、上記第1実施形態に使用した図を参照して、主として上記実施形態との相違点について述べることとする。
本実施形態のスパークプラグは、エンジンに取り付けるための取付用ネジ部11が外周に設けられた取付金具10と、一端部20aが取付金具10の一端部10aから突出するように取付金具10内に固定された絶縁碍子20と、一端部30aが絶縁碍子20の一端部20aから突出するように絶縁碍子20の軸孔21内に固定された中心電極30と、一端部41が取付金具10に固定されて中間部に屈曲部42を有し他端部43が中心電極30の一端部30aとの間に火花放電ギャップ50を介して対向する接地電極40とを備えるスパークプラグにおいて、次のような点を特徴とするものである。
すなわち、本実施形態では、接地電極40は、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものであり、断面積Sが2mm2以上3mm2以下であり、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが50μm以下であり、取付金具10の一端部10aから屈曲部42までの高さHが4mm以上6.5mm以下であることを特徴としている。
それによれば、接地電極40を、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものとしていること、および、接地電極40の断面積Sを2mm2以上3mm2以下としていること、これら2点による作用効果は、上記実施形態と同様である。
また、本実施形態のスパークプラグによれば、接地電極40において、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが50μm以下と小さいものの、取付金具10の一端部10aから屈曲部42までの高さHを4mm以上6.5mm以下としている。
上記高さHを、このような範囲に規定したのは、本発明者の行った解析結果によるものである。
接地電極40において、初期の厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが小さくても、エンジン使用中に屈曲部42の温度が上昇し、再結晶により必要な値、すなわち当該結晶粒径の平均値Dが100μm以上になればよい。これは、接地電極40の折損が発生するのは高回転・高出力条件であり、接地電極40の温度が最も上がる条件だからである。
そこで、FEM解析により上記高さHをパラメータとして、次に述べるような解析を行った。
上述したように、プレイグニッションの発生を防止するために、接地電極40の先端部43の温度すなわち先端温度は1100℃以下が必要である。ここで、接地電極40においては、上記長さLが長いほど、また、上記断面積Sが小さいほど、熱引き性が小さく先端温度が上昇しやすくなる。
そこで、本実施形態のスパークプラグとして、最も接地電極の先端温度が上昇しやすい条件、すなわち、上記長さLを5mm、上記断面積Sを2mm2とした場合に対して、解析を実施した。その解析結果が図11に示される。
図11は、上記高さHと接地電極の先端温度との関係を示す図である。この図11に示されるように、高さHが大きくなるにつれて、接地電極の先端温度が高くなっていくことがわかる。そして、接地電極の先端温度を1100℃以下とするには、上記高さHは6.5mm以下であることが必要である。
一方、上述したように、接地電極40の屈曲部42において再結晶を発生させ、屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dを100μm以上とするには、屈曲部42の温度すなわち屈曲部温度が900℃以上になればよい。ここで、接地電極40においては、上記長さLが短いほど、また、上記断面積Sが大きいほど、熱引き性が大きく屈曲部温度が下がりやすくなる。
そこで、本実施形態のスパークプラグとして、最も接地電極の先端温度が上昇しにくい条件、すなわち、上記長さLを3mm、上記断面積Sを3mm2とした場合に対して、解析を実施した。その解析結果が図12に示される。
図12は、上記高さHと接地電極の屈曲部温度との関係を示す図である。この図12に示されるように、高さHが小さくなるにつれて、接地電極の屈曲部温度が低くなっていくことがわかる。そして、接地電極の屈曲部温度を900℃以上とするには、上記高さHは4mm以上であることが必要である。
これら図11および図12に示される結果から、本実施形態では、取付金具10の一端部10aから屈曲部42までの高さHを4mm以上6.5mm以下としている。
このように高さHを規定することにより、接地電極40の温度上昇を実用レベルの範囲にとどめるとともに、スパークプラグの使用中に屈曲部42の温度を、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上となるような温度まで上昇させることができる。
つまり、本実施形態によれば、上記高さHを規定することで、初期の結晶粒径は小さくても、エンジンでの使用中に屈曲部42の温度が上昇し、再結晶により、耐折損性を確保するのに必要な結晶粒径になる。そのため、本スパークプラグによれば、耐折損性を確保することができる。
よって、本実施形態によれば、高い混合気流速でも高着火性を確保できるように細化された接地電極40を有するスパークプラグにおいて、接地電極40における耐熱性・耐折損性を満足することができる。
なお、本実施形態では、接地電極40において初期の結晶粒径が50μm以下と小さい。接地電極40における屈曲部42から取付金具10に至る部位の温度が比較的低いため、当該部位においては強度の面から結晶粒径は小さい方が望ましい。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、上記第1実施形態に使用した図を参照して、主として上記実施形態との相違点について述べることとする。
本実施形態のスパークプラグは、エンジンに取り付けるための取付用ネジ部11が外周に設けられた取付金具10と、一端部20aが取付金具10の一端部10aから突出するように取付金具10内に固定された絶縁碍子20と、一端部30aが絶縁碍子20の一端部20aから突出するように絶縁碍子20の軸孔21内に固定された中心電極30と、一端部41が取付金具10に固定されて中間部に屈曲部42を有し他端部43が中心電極30の一端部30aとの間に火花放電ギャップ50を介して対向する接地電極40とを備えるスパークプラグにおいて、次のような点を特徴とするものである。
・接地電極40は、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものであり、断面積Sが2mm2以上3mm2以下であり、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが50μm以下であること。
・本スパークプラグをエンジンとして2000ccのものに取り付け5600rpmの回転数でスロットル全開の条件で10時間以上使用されたとき、接地電極40は、少なくとも屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上となる構成となっていること。
それによれば、接地電極40を、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものとしていること、および、接地電極40の断面積Sを2mm2以上3mm2以下としていること、これら2点による作用効果は、上記実施形態と同様である。
また、本実施形態のスパークプラグによれば、接地電極40において、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが50μm以下と小さいものの、本スパークプラグをエンジンとして2000ccのものに取り付け5600rpmの回転数でスロットル全開の条件で10時間以上使用したとき、接地電極40のうち少なくとも屈曲部42における厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが100μm以上となる構成となっている。
なお、このような構成は、たとえば上記第2実施形態に示されるような高さHを規定した構成により、好適に実現できる。また、本実施形態における使用条件は、出荷後においてスパークプラグを使用する際に実現されるものでもよい。また、出荷前に当該使用条件にてエンジンで使用した後に本スパークプラグを出荷してもよい。
つまり、本実施形態によれば、実用上エンジンでの使用において接地電極の折損が発生しやすい最も厳しい熱負荷条件となったときに、屈曲部42の温度が上昇し、再結晶により、耐折損性を確保するのに必要な結晶粒径になる。そのため、本スパークプラグによれば、耐折損性を確保することができる。
よって、本実施形態によれば、高い混合気流速でも高着火性を確保できるように細化された接地電極40を有するスパークプラグにおいて、接地電極40における耐熱性・耐折損性を満足することができる。
(他の実施形態)
なお、本発明のスパークプラグにおいては、接地電極40としては、熱引き性向上のためにCuからなる芯材が埋設されているものであってもよい。
また、上記各実施形態は、高い混合気流速でも高着火性を確保できるように細化された接地電極40を有するスパークプラグに関するものであるが、上記実施形態のスパークプラグは、取付用ネジ部11がM10以下である細径化したものであり、細化された接地電極を有するのに適した構成となっている。
なお、本発明のスパークプラグでは、取付用ネジ部11は、M10よりも大きいものであってもよいことはもちろんである。
本発明の第1実施形態に係るスパークプラグの全体構成を示す半断面図である。 (a)は、図1に示されるスパークプラグにおける発火部近傍の拡大構成を示す側面図であり、(b)は、(a)中のA−A線に沿った断面図である。 接地電極の各寸法L、H等を説明するための図である。 上記第1実施形態の接地電極における屈曲部の近傍部の概略断面図である。 スパークプラグにおける混合気の流速Vと火炎核Kとの関係を模式的に示す図である。 混合気の流速Vと冷却エネルギーとの関係を示す図である。 接地電極の断面積Sと冷却エネルギーとの関係を示す図である。 接地電極の断面積Sと接地電極の先端温度との関係を示す図である。 耐折損性評価の方法を具体的に示す図である。 屈曲部の曲げ角度θと冷却エネルギーとの関係を示す図である。 高さHと接地電極の先端温度との関係を示す図である。 高さHと接地電極の屈曲部温度との関係を示す図である。
符号の説明
10…取付金具、10a…取付金具の一端部、11…取付用ネジ部、
20…絶縁碍子、20a…絶縁碍子の一端部、30…中心電極、
30a…中心電極の一端部、40…接地電極、41…接地電極の一端部、
42…接地電極の屈曲部、43…接地電極の他端部、50…火花放電ギャップ。

Claims (7)

  1. エンジンに取り付けるための取付用ネジ部(11)が外周に設けられた取付金具(10)と、
    一端部(20a)が前記取付金具(10)の一端部(10a)から突出するように前記取付金具(10)内に固定された絶縁碍子(20)と、
    一端部(30a)が前記絶縁碍子(20)の一端部(20a)から突出するように前記絶縁碍子(20)の軸孔(21)内に固定された中心電極(30)と、
    一端部(41)が前記取付金具(10)に固定されて中間部に屈曲部(42)を有し他端部(43)が前記中心電極(30)の一端部(30a)との間に火花放電ギャップ(50)を介して対向する接地電極(40)とを備えるスパークプラグにおいて、
    前記接地電極(40)は、NiとFeとのどちらか一方を主成分としてCrおよびAlのうち少なくとも1種が添加されたものであり、断面積Sが2mm以上3mm以下であり、厚さ方向の結晶粒径の平均値Dが50μm以下であり、
    前記接地電極(40)を900℃以上で加熱処理したとき、前記接地電極(40)は、少なくとも前記屈曲部(42)における厚さ方向の結晶が再結晶し、当該結晶粒径の平均値Dが100μm以上となる構成となっていることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 記取付金具(10)の一端部(10a)から前記屈曲部(42)までの高さHが4mm以上6.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記接地電極(40)は、Alが0.5重量%以上2重量%未満であってCrが18重量%以上25重量%以下含有されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記接地電極(40)は、Alが2重量%以上5重量%未満であってCrが10重量%以上18重量%以下含有されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のスパークプラグ。
  5. 前記接地電極(40)は、希土類元素が添加されたものであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載のスパークプラグ。
  6. 前記屈曲部(42)における曲げ角度θが100°以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載のスパークプラグ。
  7. 前記取付用ネジ部(11)は、M10以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載のスパークプラグ。
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