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JP4372016B2 - 水晶体嚢テンションリング、水晶体嚢テンションリングの製造方法、及び水晶体嚢リング及び眼内レンズアセンブリ - Google Patents

水晶体嚢テンションリング、水晶体嚢テンションリングの製造方法、及び水晶体嚢リング及び眼内レンズアセンブリ Download PDF

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Description

本発明は、白内障に侵された水晶体を切除後に、水晶体の代替として設計された眼内レンズに関連して水晶体嚢に移植されるように設計された水晶体嚢テンションリングに関する。
これらのリングは、「水晶体嚢テンションリング("capsular tension ring")」として知られ、水晶体嚢の形状を維持し、その術後の収縮を制限するために使用されている。
最近では、水晶体嚢テンションリングは、後嚢が不透明となって視力を回復するためにYAGレーザ光線を用いてそれを開くことが必要となる後発白内障を引き起こす水晶体嚢の後嚢の混濁を防ぐように設計されている。
後嚢の混濁には2つの面があり、第1に、前嚢の上皮細胞の原位置の化生に相当する線維形成がある。これは、水晶体の交換を必要とする白内障の切除の40%で発生する合併症である。線維形成は、視力に殆ど影響しないことが見出されている。第2に、手術後に水晶体嚢の赤道に残っている胚芽細胞から形成される「Elschnig」ビーズもある。これらの細胞は後嚢に沿って移動し、後嚢混濁に関連する視力低下の主原因である混濁したビーズを形成する。
テンションリングは、通常は細胞の移動を阻止するものとして有効ではなく、その理由は、それらが、多くの場合に鋭い縁部がなく、及び/又は軸線方向すなわち前後の寸法が小さすぎ、嚢を覆って毛様小帯線維の挿入を可能にし、それによって開かれた赤道成長部を保つからである。
抗混濁水晶体嚢テンションリングもまた当業技術で公知である。最も多く市販されている抗混濁水晶体嚢テンションリングは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)から形成され、これは、硬質で剛性の材料であり、細胞移動の有効な障壁を形成する鋭い縁部を得ることを可能にするものである。外科医によるこのようなリングの手技は、これらが非常に剛性で非常に弾力性があるために重大な問題になり、水晶体嚢に挿入してその中に配置する間は危険性を伴うことになる。この理由は、鉗子が使用される場合は、角膜又は強角膜の切開部を通過した後に、第1の端部が破裂部を通って水晶体嚢内に挿入され、約270°の角度を形成し、その後に、残った部分が、それが外される前に破裂部内で折り返されるためである。
インジェクタが使用される場合は、リングは管内に配置され、リングの一端又は両端にある小穴を通るスライディング・フックを使って移動される。
どちらの場合も、外される時に、PMMAのような剛性の材料から形成されたリングの部分が水晶体嚢の赤道領域に激しく衝撃を与え、嚢の損傷を引き起こし、又は赤道部で水晶体嚢の外面に付いている毛様小帯を裂く危険性を伴う可能性がある。
更に、これらの水晶体嚢テンションリングは、必ず開放型でなければならず、その理由は、閉鎖リングとして構成された場合、角膜又は強角膜の切開部を遙かに大きくする必要があると考えられ、外科医及び患者が期待する早期の治癒を可能にしないからである。
Hara他「実験用兎の研究における赤道リングの効力」、「Arch.Ophthalmol」、113巻、1995年8月、pp.1060−1065は、細胞の移動に対する障壁となるような鋭い縁部を有し、可撓性材料、特にシリコーンで形成された閉鎖輪郭抗混濁リングを提案している。このリングは、比較的小さな(4.5mm)切開で眼内に導入することが可能である。
当業者に公知の可撓性材料の剛性を低減すると、開放輪郭水晶体嚢テンションリングの作成にそれを使用することを妨げる。更に、可撓性材料リングの鋭い縁部は、まさに上皮細胞を通過させる材料の可撓性のために、剛性材料リングの鋭い縁部ほど移動に対して有効な障壁を構成しない。
EP−A−0884031において、上皮細胞の移動をブロックする水晶体嚢の収縮に対する「くさび」効果を生じる鋭い縁部を有するほぼC型の開放水晶体嚢テンションリングが説明されている。この特許に説明された水晶体嚢テンションリングは、大きな(0.7mm)軸線方向すなわち前後方向幅と0.2mmの幅を有し、細胞が増殖する起点である水晶体嚢の赤道領域の幅全体を覆っている。
上述の種類の軸線方向に大きな幅を有する水晶体嚢テンションリングは、線維形成に対抗し、上皮細胞又は更に「Elschnig」ビーズが水晶体に代わって移植された眼内レンズの眼の周囲に相当する領域の内側の後嚢上に移動するのを防止するのに不可欠である癒着すなわち水晶体嚢の癒合を妨げる。癒合はまた、それが嚢内に配置された眼内レンズを安定させる点で有利である。
胚芽細胞は、水晶体嚢テンションリング内に必ず存在し、従って、縮瞳のために嚢が完全にはきれいにならないということも見出されている。これらの細胞は、たとえ眼がこのような移動に対する障壁を構成するように意図した鋭い縁部を後部に有しても、眼の背部に容易に通っていく。その理由は、この鋭い縁部が後嚢と緊密に接している場合にのみ有効であり、かつ嚢の癒合を妨げるからである。
更に、現時点では、満足できる条件下で導入されて移植することができ、摘出された水晶体の代わりになる、眼と一体化された剛性材料の抗混濁水晶体嚢テンションリングは存在しない。
本発明の主題は、赤道の細胞の後嚢への移動に対する障壁を提供し、従来技術の抗混濁水晶体嚢テンションリングの欠点を軽減する水晶体嚢テンションリングである。
本発明の第1の態様は、外周の広範囲に亘る鋭い縁部と、約0.3mmから約0.6mm、好ましくは約0.5mmの軸線方向長さとを有する開放又は閉鎖環状体を含み、白内障の切除後に水晶体嚢の赤道領域に移植されるようになった水晶体嚢テンションリングであって、鋭い縁部を含む環状体が、その外周の大部分に亘って剛性材料から形成され、剛性材料環状体の2つのセグメント間に少なくとも1つの可撓性材料の接合部を含むことを特徴とするテンションリングを提供する。
可撓性材料の接合部は、優先的曲げ領域を構成する。鉗子を用いて開放水晶体嚢テンションリングを挿入する従来の方法では、リングの前端部と呼ばれる第1の端部が導入され、リングは、嚢内でそれを回しながら、環状体のほぼ4分の3が導入されるまで押し込まれる。環状体は、可撓性材料の接合部によって2つ又はそれ以上の剛性のセグメントに分割され、損傷を生じ易い大きな振幅の動きを避けることにより制御が容易な作動を可能にする。実際に、セグメントの鋭い縁部は、環状体の外周の少なくとも90%に亘って延びている。
開放輪郭を有する上述の種類の水晶体嚢テンションリングが、インジェクタの補助で水晶体嚢内に導入し易い場合には、これらの可撓性材料の接合部は、増大した柔軟性をもたらし、通常直線形であるか又は水晶体嚢テンションリングの半径に比べて非常に大きな曲率半径を有する管の形態にリングがより良く適応することを可能にするものであり、これは、環状体が裂ける危険性なく達成され、インプラントの剛性材料セグメントの各々は、比較的弱い負荷がかかっている。
開放輪郭水晶体嚢テンションリングの第1の端部、又は前端部、すなわち、それによってリングが挿入されることになる部分は、可撓性材料と嚢に穴を開ける危険性を減少又は更に排除する小穴なしの僅かに凹状の終端部分とを含むことが好ましい。水晶体嚢の術後収縮の間、その力はリングの変形によって減衰されるが、この可撓性材料の終端部分の内側に収まって外周の不連続性を最小限にすることができる、リングを原位置で操作するための小穴を有する突起を設けることが好ましいのは、他方(第2又は後部)の端部である。
1つの接合部が存在する場合、それは、前端部から約300°にあることが好ましい。
別の実施形態では、互いに約120°離れた3つの接合部が存在する。
上述の種類のリングは、より詳細には、眼が少なくとも1つの鋭い縁部と水晶体嚢リングの剛性セグメントの主要部分上にもたれるようになった2つ又はそれ以上の触覚要素とを有して良好な安定性及び良好なセンタリングを達成するインプラントを意図している。水晶体嚢テンションリングが赤道領域において上皮細胞の増殖を防止するのに十分な軸線方向の幅を有するにも関わらず、眼の部分の周囲は、前後嚢の癒合のおかげで細胞の移動に対する第2の有効な障壁を提供するものである。
閉鎖水晶体嚢テンションリングは、好ましくは、2つの可撓性材料の接合部を有し、インプラントの著しい長円化又は平坦化、従って、剛性材料の閉鎖輪郭リングに対して必要なものよりも遙かに小さな角膜又は強角膜の切開部を通しての長円化又は平坦化したリングの導入を可能にするものである。鋭い縁部の大部分が剛性又は硬質材料から成るこの種の水晶体嚢テンションリングは、可撓性材料の閉鎖輪郭水晶体嚢リングよりも細胞の移動に対して有効な障壁となる。
実際に、可撓性材料の接合部が小さい(約0.4mmから0.5mmの寸法を有する)とすると、剛性材料セグメント及び可撓性材料接合部の組立、結合、溶融、又はオーバーモールドによる従来の製造方法を用いることは、用いることが不可能ではないとしても困難であろう。この理由で、特許出願EP−1003446に開示した技術を用いる最初に可撓性材料で全体的に形成された環状体の剛性材料セグメントの選択的化学改質、又は最初に剛性材料で全体的に形成された環状体の接合部の選択的化学改質による製造は、控えめに見ても非常に有利である。言うまでもなく、1つの可撓性材料端部が存在する場合は、これは、接合部と同じ方法で得られることになる。
本発明及びその利点は、例示的に添付の図を参照して与えられる本発明による水晶体嚢テンションリングの好ましい実施形態の以下に説明に照らしてより良く理解されるであろう。
図1から図5に示されている水晶体嚢テンションリング10は、開放輪郭の本質的に環状体11を含むものである。緩んだ状態でのリングの直径は、移植される水晶体嚢の直径よりも大きく、実際には、約10.5mmから約11.5mmである。環状体11の主要部分には、第1の端部13と第2の端部14がある。緩んだ状態では、両端は外周で互いに約0.5mmの間隔がある。環状体は、実質的に矩形の半径方向断面を有し、その軸線方向の寸法は約0.5mmであり、半径方向の寸法よりも大きく、半径方向の寸法は、0.1mmから0.3mm、好ましくは約0.15mmである(図3参照)。環状体の外面15は、2つの鋭い縁部16及び17間に延びる実質的に直円柱であることが好ましい。
水晶体嚢テンションリングの第1の端部13は、実際には強角膜切開部及び破裂部を経て水晶体嚢の前嚢に導入される前端部であり、可撓性材料から形成され、その自由縁部が水晶体嚢の組織と接触した場合に思いがけず穴を開ける危険性を低減している。更に、この可撓性により、リングが水晶体嚢の赤道領域に沿って周方向に徐々に押される時、水晶体嚢の赤道領域を通り易くなる。この第1の端部は、リング本体の主要部分よりも厚く丸い自由縁部を含み、僅かに湾曲して窪んでいる。可撓性材料の第1の端部のこの構成のおかげで、リングが水晶体嚢内に徐々に挿入される時に、引っ掛かったり穴を開けたりする危険性がなく、また、一方又は他方のセグメントを外す時、又は水晶体嚢内に徐々に挿入される際にリングを回転させる時に、水晶体嚢の組織に思いがけず穴を開ける危険性がない。
第2の端部14は、本技術分野で公知のような突起を含み、これは、小穴を含んで内側にオフセットされており、水晶体嚢内のリングの位置を修正するための手技器具のフックを受けるように、又は同じく当業技術で公知の水晶体嚢テンションリング用インジェクタのロッドに装着されるようになっている。
環状体11の大部分は、弱親水性又は弱疎水性である剛性又は硬質の材料からなり、詳細にはPMMAから成るものである。この実施形態において、環状体11は、2つの環状セグメント18A及び18Bを含み、第1の環状セグメント18Aは、約260°よりも大きく約320°よりも小さな角度、好ましくは約300°を形成し、第2の環状セグメント18Bは、約55°の角度を形成することが好ましい。
疎水性又は親水性アクリル樹脂などの特に眼内インプラントに使用されるような可撓性材料の接合部又はブロック19は、2つのセグメント18A及び18B間に配置される。接合部又はブロック19は、矩形断面、好ましくは正方形断面を有し、外面は、好ましくは、セグメントの環状の鋭い縁部16及び17と連続している2つの鋭い縁部間に延びる実質的な直円柱である。接合部19の実質的に正方形の断面は、環状セグメントの主要部分のそれよりも大きく、従って、環状体のそれよりも大きく、軸線方向に約0.4mmから約0.5mm、半径方向に約0.4mmから約0.5mmの寸法であり、接合部に隣接するセグメント部分18A及び18Bは、後者と同じ断面を有する。各接合部の外周の長さは、リングの外周の0.5%から6%までである。組立及び機械的強度に関連する理由から、接合部に隣接する部分の対向する周縁部は、環状体の内部へ向って半径方向に収束する。いずれにせよ、環状体の外面は、接合部に隣接する部分を含んで、それが可撓性材料の接合部であるか又は剛性材料セグメントであるかに関わらず、一端から他端まで実質的に直円柱の形状であることが好ましい。
この実施形態及び本明細書に説明する全ての実施形態において、水晶体嚢テンションリングは、実際にEP1003446に開示された幾何学的形状が最終的な環状体に対応する環状体の製法による選択的化学構造的改質により製作され、より詳細には、眼内レンズの製作と同様に、未完成又は半ば仕上げのレンズを成形又は機械加工することにより製作される。初期段階の環状体は、好ましくは可撓性材料から形成され、望ましいセグメントに対応する範囲の強度又は剛性は、その後に初期段階の環状体の対応する部分の選択的化学構造的改質により得られる。環状体の可撓性材料部分、すなわち、接合部及び第1の端部は、ジエチレングリコール・ジメタクリレートなどの多機能剤を添加することにより架橋されたメチルメタクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレート(MMA−HEMA)の統計的メタクリレート・コポリマーから得ることが好ましい。レンズの剛性材料は、PMMAをベースにすることが好ましい。代替的に、初期段階の環状体が剛性の材料で形成されると、望ましい接合部に対応する範囲は、選択的化学構造的改質により得られる。どちらの場合も、環状体の可撓性材料と剛性材料の間に共有結合が得られる。この製作工程のために、リングの構造的一体性は、従来の方法で得られるものよりも遙かに増大する。そのために、可撓性材料の接合部と硬質又は剛性材料セグメントの間が裂けたり離れたりする危険性なく水晶体嚢テンションリングを挿入するために、環状体の基本平面及び環状体の基本平面に傾斜又は横断する平面の両方において、接合部19を中心に剛性材料セグメント18A及び18Bを曲げることが可能である。
接合部を構成している可撓性材料は、約35℃のガラス転移温度を有することもあり、その結果、切開部及び破裂部からの挿入を容易にするリングを折り畳んだ形状、及び水晶体嚢内に移植時のリングの形状に対応する別の特定の配置形状にすることができる。同じ目的のために、かつ同じ機能を用いて、可撓性材料を形状記憶材料としてもよい。
外科用鉗子を用いた移植については、第1のセグメント18Aは、接合部19が破裂部に到達するまで赤道領域を回って押し込まれ、その後、第2のセグメント18Bは、それが外される前は、水晶体嚢内で第1のセグメント18Aの基本平面に対して傾斜又は横断する平面で折り畳まれており、第2のセグメントの大きさの縮小及び可撓性材料の接合部の減衰効果のおかげで、セグメントが水晶体嚢の組織に与える衝撃を低減し、それによって比較的短い第2のセグメント18Bが嚢を損傷する危険性又は毛様小体を裂く危険性なく赤道領域内で位置につくことができるようになる。
水晶体嚢テンションリングの直径は、移植された状態で水晶体嚢の赤道領域に対して僅かに圧縮されるように選択される。この圧縮には、水晶体嚢テンションリングの両端を互いの方向へ移動させることによりそれを閉じる効果があり、図5に示すように、第1の端部13を第2の端部14の外側に移動して両端13及び14の重なり部分に非常に小さな段を形成する。得られる切れ目は、厚さを小さくすることと第1の端部13の本来の可撓性とにより最小にされる。第1の端部は、赤道において端部14と水晶体嚢の組織の間で外側に押しつぶされる傾向がある。その後の術後期には、水晶体嚢は、直径の約0.5mmから1.5mmまで縮小する傾向があり、その結果、重なり部分の長さは増大する。
上述の種類の水晶体嚢テンションリングはまた、当業技術で公知のインジェクタを用いて移植することもできる。このようなインジェクタは、本質的に直線的なハウジング、又は水晶体嚢テンションリングの直径に比べて非常に大きい直径を有する曲線的ハウジングを有する。接合部19のおかげで、リングを本質的に直線に配置すること又は僅かに曲げて配置することによって起こる応力は非常に縮小され、それにより、詳細には水晶体嚢テンションリングがインジェクタ内に装填され、使用中すなわち包装されてから数ヵ月後に開封されるように滅菌したパッケージに入れて輸送される時に亀裂が入る危険性が最小化される。
水晶体嚢テンションリングを移植した後に、外科医は、リング内に眼内レンズを配置する。触覚要素は、C字型、J字型、又は平坦であり、開口のあるものとないものがあり、例えば、それらのうちの2つか3つが存在する。それぞれは、環状体主要部分の円筒形内面に接しているか又はこれにもたれている。図5に示す例では、特許FR−A−2、745,711に説明されている型の眼内レンズ31は、眼31の周囲から延びて大きな開口を有する3つの触覚要素32を有し、水晶体嚢テンションリングの第1の実施形態とアセンブリを形成している。それによってリングは、眼内レンズを水晶体嚢内で中心に置いて配置するのに有利である。内面の軸線方向の幅は、好ましい実施形態では約0.5mmであり、眼内インプラントの触覚要素のための良好な支持面を提供する。
術後収縮に加えて、前後嚢すなわち被膜は互いの方へ移動する。水晶体嚢テンションリングの軸線方向の幅が好ましくは約0.5mm、すなわち0.45mmから0.55mmまでに限定されているとすれば、より詳細には、眼内レンズの眼の周囲において、水晶体嚢の癒合を妨げることはない。図5に示すように、眼内レンズ31の眼の部分33は、後部面に後嚢の組織の折り眼の中に僅かに入り込む少なくとも1つの鋭い縁部34を有し、それによって上皮細胞又は、「Elschnig」ビーズの移動に対して第2の障壁を形成し、光学要素の後方にある後嚢の混濁及び後発白内障の発生を防いでいる。
図6の水晶体嚢テンションリングの実施形態は、3つの接合部があるという点だけが図1から図5の実施形態とは異なっている。環状体は、開放環状体の端部13及び14から直径方向の反対側にある接合部19Bを含み、他の2つの接合部19A及び19Cは、接合部19Bから約120°離れている。言い換えれば、複数の接合部が一様に開放リングの外周上で一定の間隔を開けている。従って、接合部19A及び19Cは、それぞれ端部13及び14から約60°の位置にある。主要部分及び可撓性材料の接合部は、同じ半径方向断面を有する。
この種のリングを移植する方法は、第1の実施形態に用いたものと同じとすることができる。しかし、2つの比較的短いセグメント24A及び25Aが最初に比較的長いセグメント24B及び25Bに対して好ましくは内側(外側でも可)に折り曲げられ、これらのセグメントが互いに向けて移動、すなわち接合部19Bを中心に回転する他の移植方法も可能である。短いセグメント24A及び25Bは、単に互いの方向へ移動してもよいが、一方のセグメント25A及び25Bの対が他方のセグメント24A及び24Bの対の後方に(軸線方向に)僅かにずれ、次に中央の接合部19Bの可撓性を利用してセグメント24A及び24Bがセグメント25B及び25Aの右に移動し(図示しない)、全体のサイズを最小化することが好ましい。従って、4つのセグメントは、同時に切開部から導入されて破裂部を経て水晶体嚢内に入る。まず2つの短いセグメント24A及び25Aが連続して又は同時に外され、その後、接合部19Bを中心に曲げられた2つの長いセグメント24B及び25Bが外されることが好ましい。複数の接合部のおかげで、外科医は、セグメントを水晶体嚢内に導入し、そこに配置するための様々な手技及び手順を使用することができる。更に、インジェクタを使って導入することもできる。
3つ又はそれ以上の接合部を有することにより、水晶体嚢テンションリングが受ける応力、特に、実質的に直線形態を採用してインジェクタ内に収容されて数週間又は数ヶ月間もの間その場所に保管される必要がある場合に受ける応力が更に減少することは明らかであろう。
図7及び図8に示す実施形態では、水晶体嚢テンションリング10は閉鎖輪郭を有する。このために、これは、直径方向に向かい合う2つの可撓性材料の接合部19を含むことが好ましい。剛性材料セグメント18A及び18B、及び可撓性材料の接合部19の配置は、セグメントの範囲及び両端のないことを除いて図1から図5を参照して説明したものと同様である。
上述の種類のリングは、水晶体嚢の収縮に関わらずその直径を維持することができるという利点を有する。剛性材料セグメントに沿った鋭い縁部のおかげで、リングの外周全体に亘って2つの鋭い縁部が途切れることなく続いているために、それは、細胞の移動に対して優れた障壁を提供する。
上述の種類の閉鎖輪郭のリングは、両接合部を通る主軸を鉗子の顎部に挟んで押さえ、リングを長円化又は平坦化することができる2つの可撓性材料の接合部19のおかげで、3.5mm程度の比較的小さい切開部からの導入が可能なこともあるが、この切開部は、開放輪郭水晶体嚢テンションリングを導入するために必要である2.5mm程度よりも大きくすべきである。長円化又は平坦化されたリングは、次に、接合部の1つから角膜又は強角膜の切開部を通り、次に破裂部まで通過することにより水晶体嚢内に導入され、他方の接合部を押し続け、リングの嚢内の部分が開いて赤道の形状を支持する。次に、後方接合部を、それが外れて水晶体嚢内のその場所をとる前に、破裂部の円に入るように更に遠くに押す必要がある。この実施形態では、接合部は、リングが水晶体嚢内で緩む時に放出されるエネルギの一部分を吸収する緩衝器としても役立っている。
リングの移植に続いて、標準的な慣例に従って鉗子やインジェクタを用いながら眼内レンズが移植される。眼内レンズの触覚要素は、リングの主要部分の環状の内面に接するか又はこれにもたれており、すなわち、接合部及びセグメントの隣接部分に対してオフセットしている。
更に別の実施形態では、図9に表わされるように、可撓性材料の眼40が水晶体嚢テンションリング10と一体に形成されている。この水晶体嚢テンションリング/眼内レンズアセンブリの緩んだ状態では、眼は、水晶体嚢テンションリングの軸線に対して僅かに中心を外れている。
終端部分を形成する第1の端部の代わりに、これは、周囲に鋭い縁部を有する眼40との結合部45を構成する。結合部45は、眼40の周囲で斜角を形成する好ましくは半径方向でも接線方向でもない直線の第1の触覚部分46を含み、リング10の第1の端部13の内縁を再結合させる前は、リングの第2の端部に向いて周囲に開いているステップ48の付いた湾曲した第2の触覚部分47が続いている。相補形のステップ48は、嚢の術後収縮後に2つの端部が互いの方へ移動する時に、小穴を有する突起の第2の端部を受け入れるようになっている。この種のアセンブリも、同様に選択的化学的改質によって得られることは明らかである。水晶体嚢テンションリング及び眼を含むこのアセンブリの移植もまた、セグメント18A及び18B間にある接合部19によって容易になり、リングの第1の端部13よりもむしろ第2の端部14の導入から開始し、水晶体嚢テンションリングの大部分が赤道領域内に位置すると、折り畳まれた眼及び触覚部分が外され、眼は、赤道領域に移植された水晶体嚢テンションリングに対して中央に、従って水晶体嚢に対して中央に位置決めして保つことが可能になる。
水晶体嚢テンションリングの全ての実施形態は、抗増殖製品及び特に「5−FU」を用いて予め含浸することができる。リングの含浸及び移植後の配置方法は、好ましくは、特許出願WO98/25652の教示に準ずるものである。
本発明は、説明した実施形態又は好ましい材料に限定されず、逆に本発明の主題に適合する構造、構成、及び材料の全ての変形を含むことは言うまでもない。
本発明の開放輪郭水晶体嚢テンションリングの第1の実施形態を示す図である。 図1の線II−IIに沿って切り取った断面図である。 図1の線III−IIIに沿って切り取った断面図である。 図1から図3の水晶体嚢テンションリングの立面図である。 嚢の収縮及び前後水晶体嚢の癒合後に水晶体嚢に移植された第1の実施形態を示す図である。 本発明の開放輪郭水晶体嚢テンションリングの第2の実施形態を示す図である。 第1の実施形態の曲げモードを示す図である。 本発明の閉鎖輪郭水晶体嚢テンションリングの第3の実施形態を示す図である。 開放輪郭水晶体嚢テンションリングと眼内レンズとを含む一体型アセンブリを示す図である。

Claims (26)

  1. 鋭い縁部と、約0.3mmから約0.6mmの軸線方向長さとを有する開放又は閉鎖環状体を含み、白内障の切除後に水晶体嚢の赤道部に移植されるようになった水晶体嚢テンションリングであって、
    鋭い縁部を含む環状体は、その外周の大部分に亘って剛性材料から作られ、該剛性材料環状体の2つのセグメント間に少なくとも1つの可撓性材料接合部を含む、
    ことを特徴とするリング。
  2. 前記環状体の軸線方向の幅は、約0.5mmである、
    請求項1に記載のリング。
  3. 前記環状体の軸線方向の幅は、0.45mmから0.55mmである、
    請求項1に記載のリング。
  4. 前記環状体は、閉じており、少なくとも2つの直径方向に対向する接合部を含む、
    請求項1に記載のリング。
  5. 前記接合部の各々の外周方向の広がりは、リングの外周の約0.5%から約6%である、請求項3または4に記載のリング。
  6. リングは開いており、前記接合部は、第1の端部から約260°から約320°の位置にある、
    請求項1または2に記載のリング。
  7. 開いたリングは、その外周に亘って等間隔に置かれた複数の接合部を有する、
    請求項6に記載のリング。
  8. 開いたリングは、互いに実質的に120°を成す3つの接合部と、2つが約60°の角度を形成し、2つが約120°の角度を形成する4つのセグメントとを有する、
    請求項7に記載のリング。
  9. 前記接合部と該接合部に隣接するセグメントの端部との半径方向の幅は、前記環状体のセグメントの半径方向の幅よりも大きい、
    請求項1ないし8のいずれか1項に記載のリング。
  10. 前記環状体の端部の少なくとも1つは、凹状で丸い縁部を有する可撓性材料終端部分を有する、
    請求項5ないし9のいずれか1項に記載のリング。
  11. 前記端部の1つは、小穴を含む、
    請求項7ないし10のいずれか1項に記載のリング。
  12. 前記接合部に隣接する前記セグメントの部分の外側の前記環状体の半径方向の幅は、0.10mmから0.3mmである、
    請求項1ないし11のいずれか1項に記載のリング。
  13. 各接合部は、実質的に同じ角度を内在する、
    請求項4及び請求項8ないし12のいずれか1項に記載のリング。
  14. 前記剛性材料は、PMMA及びアクリルから選択され、前記可撓性材料は、HEMA、親水性可撓性アクリル、及び/又は疎水性可撓性アクリルから選択される、
    請求項1ないし13のいずれか1項に記載のリング。
  15. 前記環状体の前記可撓性材料と前記剛性材料の間に共有結合が存在する、
    請求項1ないし14のいずれか1項に記載のリング。
  16. 前記可撓性材料は、メチルメタクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレート(MMA−HEMA)の架橋した統計的メタクリレートコポリマーであり、前記剛性材料は、PMMAコポリマーに基づいている、
    請求項1ないし14のいずれか1項に記載のリング。
  17. 前記剛性材料は、前記可撓性材料の化学的改質物を構成し、又はその逆である、
    請求項1ないし16のいずれか1項に記載のリング。
  18. 前記接合部を構成する前記可撓性材料は、約35℃のガラス転移温度を有する、
    請求項1ないし17のいずれか1項に記載のリング。
  19. 前記接合部を構成する前記可撓性材料は、形状記憶材料である、
    請求項1ないし18のいずれか1項に記載のリング。
  20. 請求項2から請求項19のいずれか1項に記載の水晶体嚢テンションリングと、中央の眼の部分と該眼の部分から半径方向に延びる1つ又はそれ以上の触覚要素を含む周囲の触覚部分とを有する種類の眼内インプラントとを含むアセンブリであって、
    眼の部分は、その後ろ側に鋭い周囲縁部を有する、
    ことを特徴とするアセンブリ。
  21. 前記眼内レンズ及び前記水晶体嚢テンションリングは一体であり、該眼内レンズの前記眼の部分及び触覚部分、及び該触覚部分と前記リングの第1の端部との間の結合部は、可撓性材料で作られている、
    請求項20に記載のアセンブリ。
  22. 前記触覚部分は、第2の端部に面して前記リングが圧縮される時にそれを受けるステップを有する、
    請求項21に記載のアセンブリ。
  23. 請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の移植可能な水晶体嚢テンションリングを製造する方法であって、
    可撓性材料環状体が調製され、該環状体のセグメントを化学的に改質して剛性材料セグメントを構成し、その間の接合部は、可撓性材料であるように構成される、
    ことを特徴とする方法。
  24. 端部の1つが、同じく可撓性材料であるように構成される、
    請求項23に記載の製造方法。
  25. 請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の移植可能な水晶体嚢テンションリングを製造する方法であって、
    剛性材料環状体が調製され、該環状体の1つ又はそれ以上の領域を化学的に改質して剛性材料セグメント間に1つ又はそれ以上の可撓性材料接合部を構成する、
    ことを特徴とする方法。
  26. 前記化学的に改質した領域の1つは、前記環状体の端部の1つである、
    請求項23に記載の製造方法。
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