JP4371028B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、このような実状に鑑み、空燃比を速やかにストイキ点に収束させることのできるエンジンの空燃比制御装置を提供することを目的とする。
また、燃料性状に応じて、空燃比がストイキに達したときの安定性増量値KSTBが変化するが、これを学習して未燃分補正値KUBを設定するため、燃料性状に応じた最適な未燃分補正値KUBを設定でき、軽質燃料の使用時でも排気を悪化させることがない。
図1は本発明の一実施形態を示すエンジン(内燃機関)のシステム図である。
エンジン1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2から吸気ダクト3、スロットル弁4、吸気マニホールド5を経て空気が吸入される。吸気マニホールド5の各ブランチ部には各気筒毎に燃料噴射弁6が設けられている。但し、燃料噴射弁6は燃焼室内に直接臨ませる配置としてもよい。
エンジン1の各燃焼室からの排気は、排気マニホールド8を介して排出される。また、排気マニホールド8からEGR通路9が導出され、これによりEGR弁10を介して排気の一部を吸気マニホールド5に還流している。
ECU12は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイクロコンピュータを備え、各種センサからの入力信号を受け、後述のごとく演算処理して、燃料噴射弁6の作動を制御する。
エアフローメータ14により検出される吸入空気量Qaと、クランク角センサ13により検出されるエンジン回転数Neとを読込み、吸入空気量Qaとエンジン回転数Neとから、次式により、ストイキ相当の基本燃料噴射量(基本噴射パルス幅)Tpを演算する。
Tp=K×Qa/Ne 但し、Kは定数。
Ti=Tp×TFBYA×ALPHA
目標空燃比補正係数TFBYA、空燃比フィードバック補正係数ALPHAは、共に、基準値(ストイキ相当値)を1とする。
燃料噴射量Tiが演算されると、このTiに相当するパルス幅の駆動パルス信号がエンジン回転に同期して各気筒毎に所定のタイミングで燃料噴射弁6に出力されて、燃料噴射が行われる。
目標空燃比補正係数TFBYAは、次式のように、基本目標空燃比補正係数TFBYA0に、補正係数THOSを乗じて、算出される。
TFBYA=TFBYA0×THOS
基本目標空燃比補正係数TFBYA0は、エンジン回転数と負荷(例えば目標トルク)とをパラメータとするマップにより、エンジン回転数と負荷とから定まる運転領域毎に目標空燃比を定めたもので、ストイキ運転領域では、TFBYA0=1、リッチ運転領域(KMR領域)では、TFBYA0>1に設定される。
THOS=1+KSTB+KUB+…
安定性増量値KSTBは、始動直後に低水温時ほど空燃比をリッチ化し、その後時間経過と共に空燃比を徐々にストイキに収束させるように漸減設定されると共に、エンジン回転数及び負荷(例えば目標トルク)により補正されるものである。
次に空燃比フィードバック補正係数ALPHAの設定について説明する。
空燃比フィードバック補正係数ALPHAは、次のように増減設定される。空燃比フィードバック制御条件(少なくとも空燃比センサが活性状態であることを前提とする)において、空燃比センサ出力に基づいてリーン/リッチを判定し、リッチ→リーンへの反転時(前回リッチで今回リーンの時)に、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを比較的大きく設定した比例分(比例ゲイン)P増加させて更新し(ALPHA=ALPHA+P)、リーン状態継続中の時は、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを微小の積分分(積分ゲイン)I増加させて更新する(ALPHA=ALPHA+I)。
空燃比フィードバック制御条件でない場合、空燃比フィードバック補正係数ALPHAは基準値1(又は空燃比フィードバック制御終了時の最後の値)に保持される。
S1では、安定性増量値KSTBの算出のため、その基本値(始動直後に低水温時ほど空燃比をリッチ化し、その後空燃比を徐々にストイキに収束させるように漸減設定されると共にエンジン回転数及び負荷により補正される値)kstbを、次式により、算出する。
KSTBCは、始動直後に空燃比をリッチ化し、その後空燃比を徐々にストイキに収束させるように漸減設定される。
KASは、始動直後において、KSTBの値を始動時の増量値からKSTBCへ収束させるように漸減設定される。
S3では、次式のように、安定性増量値の基本値(始動直後に低水温時ほど空燃比をリッチ化し、その後空燃比を徐々にストイキに収束させるように漸減設定されると共にエンジン回転数及び負荷により補正される値)kstbに対し、減量補正係数DRTKSTB(ここでは、DRTKSTB=1)を乗じて、安定性増量値KSTBを算出する。
ここでは、DRTKSTB=1であるので、KSTB=kstbとなる。
S4では、空燃比センサの活性判定を行う。
活性判定は、図3のフローチャートに従って行われる。S101では、空燃比センサの出力VO2が予め定めたリッチ側活性判定レベルSR#以上になったか否かを判定する。S101での判定でYESの場合は、S102へ進み、上記S101のVO2≧SR#の条件で、所定時間T1#経過したか否かを判定する。S102での判定でYESの場合は、S103へ進み、スタートスイッチ(ST/SW)のOFF後、所定時間T2#経過したか否かを判定する。S103での判定でYESの場合、すなわち、S101〜S103での判定で全てYESの場合は、S104へ進み、空燃比センサが活性したものとみなして、活性検出フラグF1を1にセットする。
S4での判定でNOの場合、すなわち、活性検出フラグF1=0の場合は、S1へ戻り、S1〜S3での安定性増量値KSTBの演算を繰り返す。
従って、始動後、空燃比センサの活性が検出されるまでの間、安定性増量値KSTBは、始動直後に低水温時ほど空燃比をリッチ化し、その後時間経過と共に空燃比を徐々にストイキに収束させるように漸減設定されると共にエンジン回転数及び負荷により補正される。そして、この安定性増量値KSTBによって目標空燃比補正係数TFBYAが定まる(KUB=0)ので、目標空燃比補正係数TFBYAも同様に設定される。この間、空燃比フィードバック補正係数ALPHAは基準値1に保持される。
S5では、S1と同様に、安定性増量値KSTBの算出のため、その基本値kstbを、次式により、算出する。
kstb=(KSTBC+KAS)×KNE
S6では、単位時間毎に、減量補正係数DRTKSTBの前回値から所定値DKSTB#を減算して、減量補正係数DRTKSTBを減少側に更新することにより(次式参照)、減量補正係数DRTKSTBを1から0へ漸減する。
S7では、S3と同様に、次式のように、安定性増量値の基本値kstbに対し、減量補正係数DRTKSTB(ここでは、1から0へ漸減する値)を乗じて、安定性増量値KSTBを算出する。
KSTB=kstb×DRTKSTB
ここで、活性検出後は、活性検出前(DRTKSTB=1)に対し、DRTKSTBが1から0へ漸減するので、安定性増量値KSTBの減少速度は、活性検出前に比べて大きくなる。
空燃比フィードバック制御(λコン)開始条件か否かの判定は、図4のフローチャートに従って行われる。S201では、空燃比センサの活性検出フラグF1=1を否かを判定する。S201での判定でYESの場合は、S202へ進み、空燃比センサの出力VO2がストイキ相当値SST#に到達した(VO2≦SST#)か否かを判定する。
一方、S202での判定でNOの場合は、S203へ進み、活性検出(F1=1)後、所定時間T3#経過したか否かを判定する。ここで、YESの場合も、空燃比フィードバック制御(λコン)の開始条件であると判定して、S204へ進み、λコン開始フラグF2を1にセットする。
S8での判定でNOの場合、すなわち、λコン開始フラグF2=0の場合は、S5へ戻り、S5〜S7での安定性増量値KSTBの演算を繰り返す。
従って、活性検出後、空燃比フィードバック制御を開始するまでの間、安定性増量値KSTBは、活性前の減少速度に比べて、大きな減少速度で、0となるまで、減少せしめられる。そして、この安定性増量値KSTBによって目標空燃比補正係数TFBYAが定まる(KUB=0)ので、目標空燃比補正係数TFBYAも同様に減少せしめられる。この間も、空燃比フィードバック補正係数ALPHAは基準値1に保持される。
S9では、現時点の安定性増量値KSTBを回転負荷補正係数KNEで除算することで、現時点の安定性増量値KSTBからエンジン回転数及び負荷による補正分を除去した値(KSTB/KNE)を学習し、これを学習値KSTBLMDとして記憶する(KSTBLMD=KSTB/KNE)。未燃分補正値KUBの基本値とするためである。
S11では、未燃分補正値KUBを次式に従って演算する。
KUB=KSTBLMD×KUBDTW×KUBICN
すなわち、安定性増量値の学習値KSTBLMDに対し、補正係数KUBDTW、KUBICNによる補正を行って、未燃分補正値KUBを設定する。
KUBDTW=(KUBZTW#−TW)/(KUBZTW#−TW0)
KUBZTW#は、未燃分補正水温上限値である。
従って、KUBDTWは、λコン開始時は、TW=TW0であるので、1となり、λコン開始後は、水温TW上昇に伴って、減少し、水温TWが上限値KUBZTW#に達すると、0となる。
S12では、安定性増量値KSTBを強制的に0にする(KSTB=0)。
従って、目標空燃比補正係数TFBYAは、TFBYA=TFBYA0×(1+KSTB+KUB+…)であるので、TFBYA0=1である限り、TFBYA≒1+KUBとなる。
次に、図7に示す従来の始動後の空燃比制御のタイムチャートとの比較で、本制御(図5)について説明する。
また、未燃分補正値KUBは、運転性の観点から重質燃料で適合されているため、軽質燃料の使用時には、フィードバック制御が収束するまでの間、リッチ化してしまい、エミッション低下代が十分でない場合がある。
図6は本制御での回転負荷補正有りの場合のタイムチャートである。
本実施形態によれば、未燃分補正値KUBは、安定性増量値KSTBからエンジン回転数及び負荷による補正分を除去した値(KSTB/KNE)を初期値とし、これに冷却水温TWの上昇に伴って減少するような補正を施して設定することにより、水温上昇と共に補正値を適正に減少させることができる。
また、本実施形態によれば、空燃比フィードバック制御は、空燃比センサの出力がストイキ相当値(SST#)に達しない場合でも、空燃比センサの活性検出後、所定時間(T3#)経過したときに開始することにより、何らかの原因でリッチ状態が続く場合であってもフィードバック制御によりストイキ相当にでき、確実にフィードバック制御を開始できる。
6 燃料噴射弁
12 ECU
17 空燃比センサ
Claims (5)
- 始動直後に空燃比をリッチ化し、その後空燃比を徐々にストイキに収束させるように漸減設定されると共にエンジン回転数及び負荷により補正される安定性増量値を含む目標空燃比補正係数と、空燃比フィードバック制御条件にて空燃比センサからの信号に基づいて空燃比をストイキに収束させるように設定される空燃比フィードバック補正係数とを用いて、燃料噴射量を演算・制御するエンジンの空燃比制御装置において、
空燃比センサの活性を検出した後に、前記安定性増量値の減少速度を、活性検出前に比べて大きくし、その後、空燃比がストイキに達した時点で、空燃比フィードバック制御を開始し、
空燃比フィードバック制御の開始時には、その時点の前記安定性増量値からエンジン回転数及び負荷による補正分を除去した値に基づいて未燃分補正値を設定して、前記目標空燃比補正係数に付加すると同時に、前記安定性増量値を0にすることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。 - 前記未燃分補正値は、前記安定性増量値からエンジン回転数及び負荷による補正分を除去した値を初期値とし、これに冷却水温の上昇に伴って減少するような補正を施して設定することを特徴とする請求項1記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記安定性増量値は、始動直後に空燃比をリッチ化し、その後空燃比を徐々にストイキに収束させるように漸減設定されると共にエンジン回転数及び負荷により補正される値に対し、減量補正係数を乗じて算出するようにし、
空燃比センサの活性前は、前記減量補正係数を1とし、空燃比センサの活性後は、前記減量補正係数を1から0まで時間経過と共に一定速度で減少させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジンの空燃比制御装置。 - 空燃比センサの活性は、空燃比センサの出力と始動後経過時間とに基づいて検出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 空燃比フィードバック制御は、空燃比センサの出力がストイキ相当値に達しない場合でも、空燃比センサの活性検出後、所定時間経過したときに開始することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
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