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JP4368002B2 - Abs系樹脂組成物およびそのブロー成形品 - Google Patents

Abs系樹脂組成物およびそのブロー成形品 Download PDF

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JP4368002B2
JP4368002B2 JP18158899A JP18158899A JP4368002B2 JP 4368002 B2 JP4368002 B2 JP 4368002B2 JP 18158899 A JP18158899 A JP 18158899A JP 18158899 A JP18158899 A JP 18158899A JP 4368002 B2 JP4368002 B2 JP 4368002B2
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高男 柴田
和明 橋本
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形品の表面性に優れ、かつブロー成形時の肉廻り性、耐ドローダウン性、耐衝撃性のバランスに優れたABS系樹脂組成物およびそのブロー成形品に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、ボトルなどを得るためのブロー成形(吹込成形)用材料として、高密度ポリエチレン、低密度ポリチレン、線状低密度ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が用いられている。また、最近では、エアーダクトおよび照明器具などの電気・電子器具、エアースポイラーおよびコンソールなどの自動車部品、机の天板などの家具部品などを得るために、熱的性質および機械的性質に優れた、いわゆるエンジニアリングプラスチック(たとえば特開平7−32454号公報に記載のもの)などが用いられている。
【0003】
前記エンジニアリングプラスチックなどのブロー成形用材料は、ブロー成形時の酸化劣化の改良には有効であるが、得られるブロー成形品の表面に小さいけれども多量の凹(以下、ヘコという)が発生し、エアースポイラーのように平滑な塗装表面が要求される用途に用いる場合には、サンディングによる2次加工が必要となるケースが多いという問題がある。
【0004】
そこで、ブロー成形用金型の表面をシボ面化したり、加熱する手段と冷却する手段を備えたブロー成形用金型が提案されている(たとえば特開平7−108534号公報)。
【0005】
しかし、このようなブロー成形用金型は高価なばかりでなく、成形サイクルが従来に比べて長くなり、生産性を犠牲にするなど、必ずしも満足できるものではない。
【0006】
特公平5−76500号公報には、射出成形により艶消しされた外観を有する成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物が開示されているが、ブロー成形についてはいっさい触れられていない。
【0007】
本発明は、ブロー成形品の表面性に優れ、同時にブロー成形時の肉廻り性、耐ドローダウン性、耐衝撃性に優れバランスがよいABS系樹脂組成物およびそのブロー成形品が得られていない、という課題を解決するためになされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のグラフト共重合体(A)およびビニル系共重合体(B)を配合した組成物(イ)と、ABS系樹脂(ロ)とを配合して得られる組成物が、ブロー成形品の表面性に優れ、サンディング工程なしに塗装を行なっても良品を得ることができ、しかもブロー成形時の肉廻り性、耐ドローダウン性、耐衝撃性に優れバランスがよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(イ)(A)ゴム重合体5〜95重量部(以下、部という)に、α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物0.1〜30.2重量%(以下、%という)、シアン化ビニル化合物9.9〜40%、芳香族ビニル化合物59.9〜90%およびこれらと共重合可能なビニル系化合物0〜30%からなるビニル系単量体5〜95部を合計量が100部になるように重合させてなるグラフト共重合体5〜100部と、
(B)シアン化ビニル化合物10〜40%、芳香族ビニル化合物50〜90%およびこれらと共重合可能なビニル系化合物0〜30%を重合させてなる共重合体0〜95部
とからなるグラフト共重合体(A)と共重合体(B)との合計量が100部となる組成物1〜30部と、
(ロ)ABS系樹脂70〜99部
とからなる(イ)成分と(ロ)成分との合計量が100部の組成物(I)であり、かつ、組成物(I)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.3〜1.5dl/g(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液)であるABS系樹脂組成物(請求項1)、および
請求項1記載のABS系樹脂組成物をブロー成形してなる成形品(請求項2)
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるグラフト共重合体(A)は、ゴム重合体5〜95部、好ましくは10〜90部に、α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物0.1〜30.2%、好ましくは0.1〜25%、シアン化ビニル化合物9.9〜40%、好ましくは9.9〜35%、芳香族ビニル化合物59.9〜90%、好ましくは59.9〜85%およびこれらと共重合可能なビニル系化合物0〜30%、好ましくは0〜25%からなるビニル系単量体5〜95部、好ましくは10〜90部を合計量が100部になるように重合させてなるグラフト共重合体である。
【0011】
グラフト共重合体(A)において、ゴム重合体が5部未満では耐衝撃性が低下し、95部をこえると成形加工性が低下する。また、α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物が0.1%未満では表面を均一にする効果が不充分であり、30.2%をこえると耐衝撃性が低下する。さらに、シアン化ビニル化合物が9.9%未満では耐衝撃性が低下し、40%をこえると成形時の熱着色が生じる。そして、芳香族ビニル化合物が59.9%未満では成形加工性が低下し、90%をこえると耐衝撃性が低下する。前記共重合可能なビニル系化合物が30%をこえると、成形加工性や耐衝撃性が低下する。
【0012】
グラフト共重合体(A)で使用されるゴム重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体(SBR)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(NBR)、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体などのジエン系ゴム、スチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)などのオレフィン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリ2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル系ゴム、シリコーンゴム、シリコーン−アクリル複合ゴムなどのシリコーン系ゴムなどがあげられる。これらのうちでもポリブタジエンが耐衝撃性の点から好ましい。
【0013】
前記ゴム重合体の重量平均粒子径としては、0.05〜2μm、さらには0.05〜1.5μmのものが耐衝撃性の点から好ましい。
【0014】
前記α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物としては、たとえばアクリル酸グルシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなど、前記シアン化ビニル化合物としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリルニトリルなど、前記芳香族ビニル化合物としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルナフタレンなど、前記これらと共重合可能なビニル化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチレメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルやマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミドなどがあげられる。
【0015】
本発明に使用される共重合体(B)は、シアン化ビニル化合物10〜40%、好ましくは10〜35%、芳香族ビニル化合物50〜90%、好ましくは50〜85%、およびこれらと共重合可能なビニル系化合物0〜30%、好ましくは0〜28%を重合させたビニル系共重合体である。
【0016】
前記シアン化ビニル化合物が10%未満では耐衝撃性が低下し、40%をこえると成形時の熱着色が生じる。また、芳香族ビニル化合物が60%未満では成形加工性の低下が生じ、90%をこえると耐衝撃性が低下する。さらに、これらと共重合可能なビニル系化合物が30%をこえると、成形加工性や耐衝撃性が低下する。
【0017】
前記シアン化ビニル化合物としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリルニトリルなど、前記芳香族ビニル化合物としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルナフタレンなど、前記これらと共重合可能なビニル化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチレメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルやマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミドなどがあげられる。
【0018】
組成物(イ)におけるグラフト共重合体(A)と共重合体(B)との割合は、合計量が100部になるようにグラフト共重合体(A)が5〜100部、好ましくは10〜100部、共重合体(B)が0〜95部、好ましくは0〜90部である。グラフト共重合体(A)が5部未満では耐衝撃性が低下する。
【0019】
組成物(イ)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度は、0.3〜1.5dl/g(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液、30℃)、さらには0.4〜1.3dl/g、とくには0.5〜1.1dl/gが好ましい。該還元粘度が0.3dl/g未満では耐衝撃性、耐シンナー性、耐油性が低下し、1.5dl/gをこえるとブロー成形性が低下する傾向が生じる。
【0020】
本発明に使用されるABS系樹脂(ロ)の具体例としては、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルからなるABS樹脂、前記ABS樹脂のスチレンの一部または大部分をα−メチルスチレンまたはマレイミドなどに置き換えた耐熱ABS樹脂、前記ブタジエンをエチレン−プロピレン系ゴムやポリブチルアクリレートなどに置き換えた(耐熱)AES樹脂や(耐熱)AAS樹脂などのABS系樹脂、前記ブタジエンをシリコーンゴム、シリコーン−アクリル複合ゴムに置き換えた(耐熱)ABS系樹脂などがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
なお、前記ABS系樹脂は、通常、アクリロニトリル単位5〜50%、好ましくは10〜45%、ブタジエン単位10〜55%、好ましくは15〜50%およびスチレン単位40〜85%、好ましくは40〜70%、これらと共重合可能なビニル系化合物単位0〜30%、好ましくは0〜25%含有するものである。ただし、α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物は含まない。
【0022】
ABS系樹脂(ロ)は、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.3〜1.5dl/g(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液、30℃)、さらには0.4〜1.3dl/g、ことには0.5〜1.1dl/gが好ましい。該還元粘度が0.3dl/g未満では耐衝撃性、耐シンナー性、耐油性が低下し、1.5dl/gをこえるとブロー成形性が低下する傾向が生じる。
【0023】
本発明における組成物(I)は、組成物(イ)が1〜30部、好ましくは1.5〜30部、ABS系樹脂(ロ)が70〜99部、好ましくは70〜98.5部からなる合計量が100部の組成物であり、かつ、組成物(I)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度は、0.3〜1.5dl/g(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液、30℃)、さらには0.4〜1.3dl/g、とくには0.5〜1.1dl/gである。組成物(I)における組成物(イ)の割合が1部未満では表面を均一にする効果が不充分であり、30部をこえると肉廻り性が低下する。また、組成物(I)の還元粘度が0.3dl/g未満では耐衝撃性、耐シンナー性、耐油性が低下し、1.5dl/gをこえるとブロー成形性が低下する。
【0024】
本発明のABS系樹脂組成物には、本発明の効果を損わない範囲で滑剤、酸化防止剤、タルク、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩、さらに必要に応じて、顔料、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの1種または2種以上を混合してもよい。
【0025】
また、本発明のABS系樹脂組成物は、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレートなどの1種または2種以上と組み合わせて用いてもよい。
【0026】
前記スチレン系樹脂としては、一般用(GP)ポリスチレン、耐衝撃性(HIPS)ポリスチレン、スチレンとアクリロニトリルとの共重合体であるAS樹脂があげられる。
【0027】
つぎに、本発明のABS系樹脂組成物の製法について説明する。
【0028】
グラフト共重合体(A)および共重合体(B)、ABS系樹脂(ロ)の製法にはとくに限定はなく、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの方法で製造すればよいが、グラフト共重合体(A)やABS系樹脂(ロ)のように、通常ゴムラテックスを用いて製造する場合には、乳化重合法がゴム粒子の粒子径をコントロールしやすく、成形品の耐衝撃性をよくしやすい点から好ましい。
【0029】
前記乳化重合法にも特別な限定はなく、通常の方法が適用可能である。すなわち、前記化合物を水性媒体中、ラジカル開始剤の存在下に反応させればよい。その際、前記化合物を混合物として使用しても、また必要に応じ、分割して使用してもよい。さらに、前記化合物の添加方法も一度に全量仕込んでも、また逐次添加してもよく、とくに制限はない。
【0030】
前記ラジカル開始剤としては、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウム、キュメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどの水溶性または油溶性の過酸化物があげられる。その他、重合促進剤、重合度調整剤、乳化剤も公知の乳化重合法で使用されているものを適宜使用し得る。
【0031】
本発明のABS系樹脂組成物の各成分を製造したのちのブレンド、造粒化(ペレット化)なども、公知の方法で実施すればよい。たとえば、グラフト共重合体(A)および共重合体(B)各々のラテックスの混合物を塩析し、凝固、脱水、乾燥して得た組成物(イ)のパウダーを、ABS系樹脂(ロ)とヘンシェルミキサーで混合し、単軸または多軸の押出機で溶融押出しペレット化して、本発明のABS系樹脂組成物にしてもよい。
【0032】
得られた本発明のABS系樹脂組成物は、たとえばブロー成形法により成形すればよい。
【0033】
前記ブロー成形法としては、通常のブロー成形法の他、シートパリソン法、コールドパリソン法、ボトルパック法、インジェクションブロー成形法、延伸ブロー成形法などの各種の方法があげられる。いずれの方法を用いてもよいが、ブローアップ性、表面性などの点から、ABS系樹脂組成物を200℃以上のパリソンまたはシートでブロー成形する方法が好ましい。さらに、より良い効果を得るために、パリソンおよびシートを膨らませる際に、空気に代え、チッ素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性ガスを用いてもよい。
【0034】
本発明のABS系樹脂組成物は、前記のようなブロー成形法にとくに好適であるが、押出成形法によってもブロー成形法の場合と同様、優れた成形品を提供することができる。
【0035】
【実施例】
本発明を実施例および比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
なお、本実施例および比較例における評価方法を以下にまとめて示す。
【0037】
(還元粘度)
得られたペレットなどをメチルエチルケトンに23℃で12時間溶解させたのち、遠心分離し、可溶分をメタノールで析出させた。析出物を真空乾燥機で乾燥させ、サンプルを得た。得られたサンプルをN,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液とし、ウベ・ローデ粘度計を用いて30℃で測定した。
【0038】
(熱変形温度(HDT))
ASTM D−648に準拠して4.6kg/cm2荷重で測定した。
【0039】
(曲げ強度および曲げ弾性率)
ASTM D−790に準拠して23℃で測定した。
【0040】
(ブロー成形品の評価)
得られたペレット状の樹脂組成物をプラコー(株)製のDA−50型ブロー成形機でブロー成形し、成形体を得、下記評価を行なった。
【0041】
成形条件は、パリソン温度が約240℃、射出速度(指数)が150、スクリュー回転数が60rpm、ブロー圧が6kg/cm2G(エアー)、冷却時間が100秒、金型温度が60℃であった。
【0042】
(1)表面外観
(W)60×(L)400×(H)30(mm)、平均肉厚3.5mmの箱型状ブロー成形体を用い、成形体表面に40×80(mm)の長方形を描き、長方形内のヘコ(大きさは、0.02〜0.2mm)を目視で数え、長方形5個のヘコ数の平均値を求めた。以下の基準により評価した。
○:平均ヘコ数が1個未満である
×:平均ヘコ数が1個以上である
【0043】
(2)肉廻り性
(W)100×(L)310×(H)40(mm)、平均肉厚4mmの箱型状ブロー成形体で、両端にM6のインサートボルトを取り込んだブロー成形体のボルトの頭部への肉廻り状態を目視で観察し、以下の基準により評価した。
○:良(ブロー成形体のインサートボルトを含む断面説明図(インサートボルトは断面説明図ではない)である図1に示すように、インサートボルト1の段部3の周囲P1にABS系樹脂組成物2がほぼ廻っており、隙間がない状態)
×:不良(ブロー成形体のインサートボルトを含む断面説明図(インサートボルトは断面説明図ではない)である図2に示すようにインサートボルト1の段部3の周囲P2にABS系樹脂組成物2が充分に廻っておらず、隙間がある状態)
【0044】
(3)ドローダウン性
パリソンを長さ約500mm(パリソン重量500g)に射出後放置し、パリソンがダイスからはずれ、落下するまでの時間を測定し、評価した。
○:パリソン射出後、パリソン落下までの時間が60秒をこえる
△:パリソン射出後、パリソン落下までの時間が20〜60秒
×:パリソン射出後、パリソン落下までの時間が20秒未満
【0045】
(4)落錘強度
外径70mm、長さ400mm、平均肉厚3.2mmの円筒状ブロー成形体を用い、−30℃での落錘強度(錘の重量×半数破壊高さ(kg・m))を測定した。
【0046】
また、実施例中の略号とその内容との関係は以下のとおりである。
R−1:重量平均粒子径0.3μm、ゲル分率90%のポリブタジエン
R−2:重量平均粒子径0.08μm、ゲル分率90%のポリブタジエン
αMSt:α−メチルスチレン
St:スチレン
AN:アクリロニトリル
PMI:N−フェニルマレイミド
GMA:グリシジルメタクリレート
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:t−ドデシルメルカプタン
PN:パルミチン酸ナトリウム
ABS:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
【0047】
実施例1〜5および比較例1〜10
(1)グラフト共重合体(A)の製造
グラフト共重合体(A−1)
撹拌機付き重合容器に、水280部および重量平均粒子径0.3μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、チッ素気流中で撹拌しながら60℃に加熱したのち、AN10部、St25部、GMA5部、CHP0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌を続けたのち、重合を終了させ、グラフト共重合体(A−1)ラテックスを得た。結果を表1に示す。
【0048】
グラフト共重合体(A−2)、(A−3)
グラフト共重合体(A−1)と同様の方法で、表1に示すゴム重合体、単量体混合物を使用し、グラフト共重合体(A−2)、(A−3)を製造した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004368002
【0050】
(2)共重合体(B)の製造
共重合体(B−1)
撹拌機付き重合容器に、水250部およびPN1.0部を投入し、脱酸素後、チッ素気流中で撹拌しながら70℃まで加熱した。さらにナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込んだのち、αMSt60部、AN30部、St10部、tDM0.25部、CHP0.2部からなる単量体混合物を、重合温度70℃で連続的に7時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を75℃にし、1時間撹拌を続けて重合を終了させ、共重合体(B−1)ラテックスを得た。結果を表2に示す。
【0051】
共重合体(B−2)、(B−3)
共重合体(B−1)と同様の方法で、表2に示す単量体混合物を使用し、共重合体(B−2)、(B−3)を製造した。結果を表2に示す。
【0052】
なお、共重合体(B−2)の製造では、PNのかわりにABSを使用した。
【0053】
【表2】
Figure 0004368002
【0054】
(3)組成物(イ)の製造
組成物(イ−1)
グラフト共重合体(A−1)30部(固形分)と共重合体(B−1)70部(固形分)とをラテックスのまま混合した。得られた混合物を塩化カルシウムで塩析し、洗浄、濾過および乾燥工程を経てパウダー状の組成物(イ−1)を得、評価した。結果を表3に示す。
【0055】
組成物(イ−2)、(イ−3)、(イ−4)、(イ−5)
組成物(イ−1)と同様の方法で、表3に示すグラフト共重合体(A)と共重合体(B)を使用し、組成物(イ−2)、(イ−3)、(イ−4)、(イ−5)を製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
Figure 0004368002
【0057】
(4)ABS系樹脂(ロ)の製造
(4−1)グラフト共重合体(C)の製造
グラフト共重合体(C−1)
撹拌機付き重合容器に、水280部および重量平均粒子径0.3μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、チッ素気流中で撹拌しながら60℃に加熱したのち、AN10部、St30部、CHP0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌続けたのち、重合を終了させ、グラフト共重合体(C−1)ラテックスを得た。重合転化率は98%、グラフト率は40%であった。
【0058】
(4−2)共重合体(D)の製造
共重合体(D−1)
撹拌機付き重合容器に、水250部およびPN1.0部を投入し、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら70℃まで加熱した。さらにナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み後、αMSt60部、AN30部、St10部、tDM0.3部、CHP0.2部からなる単量体混合物を、重合温度70℃で連続的に7時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を75℃にし、1時間撹拌を続けて重合を終了させ、共重合体(D−1)ラテックスを得た。結果を表4に示す。
【0059】
共重合体(D−2)、(D−3)
共重合体(D−1)と同様の方法で、表4に示す単量体混合物を使用し、共重合体(D−2)、(D−3)を製造した。結果を表4に示す。
【0060】
なお、共重合体(D−2)の製造では、PNのかわりにABSを使用した。
【0061】
【表4】
Figure 0004368002
【0062】
(4−3)ABS系樹脂(ロ)の製造
ABS系樹脂(ロ−1)
グラフト共重合体(C−1)30部(固形分)と共重合体(D−1)70部(固形分)とをラテックスのまま混合した。得られた混合物を塩化カルシウムで塩析し、洗浄、濾過および乾燥工程を経てパウダー状の組成物(ロ−1)を得、評価した。結果を表5に示す。
【0063】
ABS系樹脂(ロ−2)、(ロ−3)
ABS系樹脂(ロ−1)と同様の方法で、表5に示すグラフト共重合体(C)と共重合体(D)を使用し、組成物(ロ−2)、(ロ−3)を製造し、評価した。結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
Figure 0004368002
【0065】
実施例1
組成物(イ−1)10部とABS系樹脂(ロ−1)90部に対して、リン系安定剤(アデカスタブPEP−36、旭電化工業(株)製)0.4部、フェノール系安定剤(アデカスタブAO−30、旭電化工業(株)製)0.4部、滑剤としてエチレンビスステアリルアミド0.5部(日本油脂(株)製)、ポリエチレンワックス(ネオワックスACL、安原油脂工業(株)製)0.5部、タルク(ミクロエースL−1、日本タルク(株)製)0.5部、アルカリ金属の水酸化物として水酸化カルシウム(スーパーミクロスター、丸尾カルシウム(株)製)1.0部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、ベント式単軸押出機(HV−40−28、田端機械工業(株)製)で270℃の設定温度で押し出し、樹脂組成物(1)を得、評価した。結果を表6に示す。
【0066】
実施例2〜5および比較例1〜10
実施例1と同様の方法で、表6に示す組成物(イ)とABS系樹脂(ロ)を使用し、実施例2〜実施例5および比較例1〜10を製造し、評価した。結果を表6に示す。
【0067】
【表6】
Figure 0004368002
【0068】
【発明の効果】
表6の結果から明かなように、特定成分を含有したグラフト共重合体(A)とビニル共重合体(B)とを配合して得た組成物(イ)と、ABS系樹脂(ロ)とを配合して得た組成物が、ブロー成形品の表面性を均一にし、サンディング工程なしに塗装を行なっても良品を得ることができ、しかもブロー成形時の肉廻り性、耐ドローダウン性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例の肉廻り性評価で、肉廻り性が良好な場合の状態を示す断面説明図。
【図2】比較例の肉廻り性評価で、肉廻り性が不良の場合の状態を示す断面説明図。
【符号の説明】
1 インサートボルト
2 ABS系樹脂組成物
3 段差
P1 ABS系樹脂組成物2がほぼ廻っており、隙間がない状態のインサートボルト1の段部3の周囲
P2 ABS系樹脂組成物2が充分に廻っておらず、隙間がある状態のインサートボルト1の段部3の周囲

Claims (2)

  1. ABS系樹脂組成物をブロー成形してなる成形品であって、
    前記ABS系樹脂組成物が、(イ)(A)ジエン系ゴム5〜95重量部に、α,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物0.1〜30.2重量%、シアン化ビニル化合物9.9〜40重量%、芳香族ビニル化合物59.9〜90重量%およびこれらと共重合可能なビニル系化合物0〜30重量%からなるビニル系単量体5〜95重量部を合計量が100重量部になるように重合させてなるグラフト共重合体5〜100重量部と、
    (B)シアン化ビニル化合物10〜40重量%、芳香族ビニル化合物50〜90重量%およびこれらと共重合可能なビニル系化合物0〜30重量%を重合させてなる共重合体0〜95重量部と
    からなるグラフト共重合体(A)と共重合体(B)との合計量が100重量部となる組成物1〜30重量部と、
    (ロ)スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルからなるABS樹脂、または、前記ABS樹脂のスチレンの一部または大部分をα−メチルスチレンおよび/またはマレイミドに置き換えた耐熱ABS樹脂であり、かつ、そのメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.3〜1.5dl/g(N,N−ジメチルホルムアミド0.3重量%溶液)であるABS系樹脂70〜99重量部と
    からなる組成物(イ)とABS系樹脂(ロ)との合計量が100重量部の組成物(I)であり、かつ、組成物(I)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.3〜1.5dl/g(N,N−ジメチルホルムアミド0.3重量%溶液)であるABS系樹脂組成物であって、
    (イ)(A)の前記これらと共重合可能なビニル系化合物が、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミドであり、
    (イ)(B)の前記これらと共重合可能なビニル系化合物が、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミドである成形品。
  2. 前記グラフト共重合体(A)のα,β−不飽和酸グリシジルエステル化合物が、アクリル酸グルシジル、メタクリル酸グリシジルまたはエタクリル酸グリシジルであり、
    前記グラフト共重合体(A)および共重合体(B)のシアン化ビニル化合物が、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルであり、
    前記グラフト共重合体(A)および共重合体(B)の芳香族ビニル化合物が、スチレンまたはα−メチルスチレンであり、
    前記グラフト共重合体(A)および共重合体(B)のこれらと共重合可能なビニル系化合物が、N−フェニルマレイミドである請求項1記載の成形品。
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