JP4365002B2 - 酸化物単結晶の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物単結晶の製造方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニオブ酸リチウムカリウム単結晶やニオブ酸リチウムカリウム−タンタル酸リチウムカリウム固溶体単結晶は、特に半導体レーザー用の青色光第二高調波発生(SHG)素子用の単結晶として注目されている。これは、390nmの紫外光領域まで発生することが可能であるので、こうした短波長の光を利用することで、光ディスクメモリー用、医学用、光化学用、各種光計測用等の幅広い応用が可能である。また、前記の単結晶は、電気光学効果も大きいので、そのフォトリフラクティブ効果を利用した光記憶素子等にも適用できる。
【0003】
しかし、例えば第二高調波発生素子用途においては、単結晶の組成が僅かでも変動すると、素子から発振する第二高調波の波長が変動する。このため、上記単結晶に要求される組成範囲の仕様は厳しいものであり、組成変動を狭い範囲に抑える必要がある。しかし、構成成分が3成分あるいは4成分と多いので、各構成成分の割合を一定に制御しつつ、単結晶を高速度で育成することは一般的に極めて困難である。
【0004】
その上、光学用途、特に第二高調波発生用途においては、単結晶内に例えば400nm近辺の短波長のレーザー光を、できる限り高い出力密度で伝搬させる必要がある。しかも、このときに光損傷を最小限に抑制する必要がある。このように光損傷を抑制することは必須であるが、このためには単結晶の結晶性が良好なものである必要がある。
【0005】
また、ニオブ酸リチウムやニオブ酸リチウムカリウムは、陽イオン間の置換が可能であり、これによって陽イオンが固溶した固溶体を生成する。このため、特定組成の単結晶を育成するためには、溶融物の組成を制御する必要がある。こうした背景から、二重ルツボ法や、原料供給を行いながら結晶を育成する方法が、CZ法やTSSG法を中心に検討されている。例えば、北村らは、二重ルツボCZ法に対して自動粉末供給装置を組み合わせ、化学量論組成のニオブ酸リチウム単結晶の育成を試みている(J. Crystal Growth, 116(1992),327頁)。しかしながら、これらの方法では、結晶育成速度を大きくすることが困難であった。
【0006】
本出願人は、前記のような単結晶を、一定した組成比率で育成する方法として、例えば特開平8−319191号公報において、μ引き下げ法を提案した。この方法では、例えばニオブ酸リチウムカリウムからなる原料を白金ルツボ内に収容し、溶融させ、ルツボの底面に取り付けたノズルの開口から、溶融物を下方へと向かって徐々に連続的に引き出す。また、μ引き下げ法は、CZ法やTSSG法と比較して速い速度での単結晶育成が可能である。また、原料溶融ルツボに単結晶育成用の原料を追加しながら単結晶を連続的に育成することによって、溶融物の組成や、育成される単結晶の組成を制御できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、μ引き下げ技術を使用して、良質の単結晶プレート(単結晶の板状体)を連続的に高速度で育成することには未だ限界があった。
【0008】
本発明者は、最初に酸化物単結晶のファイバー(種結晶)を溶融物に対して接触させ、溶融物を引き下げ、この際溶融物の温度やファイバーの周囲温度などを調節することによって肩部を形成することを試みた。そして、この肩部の幅を徐々に大きくしていき、肩部の幅が所望値に到達した時点でノズル部等の温度を僅かに上昇させ、肩部の幅の増大を停止させる。これによって、肩部の末端から、一定幅の板状体が続けて引き出されてくる。この方法によれば、種結晶と板状体との接合界面付近からクラックが進展しにくい。
【0009】
しかし、この方法を更に検討していく過程で次の問題が生じた。即ち、μ引き下げ法で酸化物単結晶を育成するためには、ルツボの開口における温度に比べて、アニール領域の温度を低下させることによって、ルツボの開口の直下において温度勾配を生じさせる。アニール領域の温度は、アフターヒーターおよび下側炉を使用することで一定値に制御する。しかし、ファイバー状の単結晶を使用した場合には酸化物単結晶を良好に育成可能な条件でも、板状の酸化物単結晶になると、板状単結晶中に縦方向(垂直方向)に向かってクラックが入ることがあった。
【0010】
本発明の課題は、酸化物単結晶をμ引き下げ法によって育成するのに際して、良好な結晶性を有する酸化物単結晶を安定して育成できるようにし、結晶中にクラックが入るのを防止することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化物単結晶を製造する方法であって、酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、溶融物に対して種結晶を接触させ、この種結晶を引き下げて前記溶融物を前記ルツボの開口から引下げることによって酸化物単結晶を育成するのに際して、前記ルツボの下流に、前記酸化物単結晶を加熱してアニールするアニール領域が設定されると共に、該アニール領域よりも上流側でルツボの前記開口の下側に冷却装置を設け、この冷却装置によって、前記ルツボの前記開口から引き出されてくる前記酸化物単結晶を冷却することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、酸化物単結晶を製造する装置であって、酸化物単結晶の原料を溶融させるための、開口を備えているルツボおよび前記ルツボの下流に、前記酸化物単結晶を加熱してアニールするアニール領域が設定されると共に、該アニール領域よりも上流側で前記ルツボの開口の下側に設けられている冷却装置を備えており、溶融物に対して種結晶を接触させ、種結晶を引き下げて溶融物をルツボの開口から引下げることによって酸化物単結晶を育成するのに際して、冷却装置によって、ルツボの開口から引き出されてくる酸化物単結晶を冷却することを特徴とする。
【0013】
本発明者は、前述した結晶中に垂直方向に向かって延びるクラックを防止するために種々検討を行った。本発明者は、最初にクラックが縦方向に入った原因を調査し、板状単結晶中に寸法の変化が生じていることに着目した。即ち、ルツボの開口の近辺における板状単結晶の幅は、開口から下方に離れたアニール領域における板状単結晶の幅よりも、例えば0.5%程度大きかった。これは、酸化物単結晶の熱膨張によって生ずるものである。こうした板状単結晶の幅の大きさの変化によって、結晶内に熱応力が発生し、垂直方向に延びるクラックが引き起こされる可能性が高い。
【0014】
本発明者は、アニール領域の温度を変化させた場合に結晶内に発生する熱応力の大きさを、有限要素法を用いて計算した。この結果を図4に示す。この結果、結晶幅が大きくなるに従って熱応力が増大し、やがてほぼ一定の値となることが分かった。また、アニール領域の温度が低い方が、最終的に到達する熱応力が大きいことを見出した。
【0015】
このため、本発明者は、アフターヒーターへの投入電力を上昇させ、アニール領域における温度を例えば100℃前後高くすることによって、板状単結晶内に発生する熱応力を減少させることを試みた。しかし、この場合には、ルツボの開口から引き出されてきた溶融物の過冷却度が不足するために、固液界面が降下し、径変動が発生して、単結晶の結晶性が劣化し、あるいは結晶の組成が不均一化するという問題が生じた。また、板状単結晶の幅をある程度以上大きくすることは不可能であった。この原因は、ルツボの開口近辺の温度とアニール領域の温度との温度差が縮小したことによって、ルツボの開口近辺における温度勾配が小さくなったためである。
【0016】
このため、本発明者は、少なくともルツボの開口の下側に冷却装置を設け、この冷却装置によって、ルツボの開口から引き出されてくる酸化物単結晶を冷却することを想到した。これによって、ルツボの開口近辺の温度とアニール領域の温度との温度差を、単結晶内部にクラックが生じない程度に小さくした場合であっても、ルツボの開口の直下の領域において充分に大きな温度勾配を生成させ、良好な品質の単結晶を育成できる。
【0017】
本発明は主として板状単結晶を目的としているものであるが、ファイバー状単結晶の場合にも、一部の単結晶にはクラックが生じて歩留り低下を招くことがあるので、これを防止する上で本発明は有効である。
【0018】
酸化物単結晶中にクラックが入るのを防止するという観点からは、ルツボの開口における酸化物単結晶の温度とアニール領域における温度との温度差は、300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることが一層好ましい。
【0019】
特に好ましくは、ルツボの開口から1mmの間の温度勾配を100℃/mm以上とし、更には150℃/mm以上とする。
【0020】
冷却装置は、少なくとも開口の下側に設けるが、更に開口の周囲にも設けることができ、またノズル部を包囲するように設けることができる。
【0021】
本発明の好適な実施形態においては、冷却装置が冷却媒体を流すための通路を備えており、冷却媒体によって冷却装置の周囲の熱を逃がす。
【0022】
本発明の好適な実施形態においては、冷却装置が、冷却媒体を酸化物単結晶へと向かって噴出させるための噴出孔を備えている。これによって、一層冷却効率を向上させることができる。
【0023】
冷却媒体は、気体であっても液体であってよい。気体としては、大気、窒素、ヘリウムなどを例示できる。気体の温度は、アフターヒーターおよび下側炉によって制御されるアニール領域の温度よりも、500℃以上低いことが好ましい。また、冷却媒体として液体も利用できる。この際、ミストを使用すると、冷却効率が高くなり、かつ水蒸気爆発などのおそれもない。
【0024】
本発明の好適な実施形態においては、ルツボがノズル部を備えており、開口がノズル部の先端に設けられている。
【0025】
図1は、単結晶育成用の製造装置を示す概略断面図である。図2(a)、(b)は、それぞれノズル部の先端付近の概略断面図である。
【0026】
炉体の内部にはルツボ7が設置されている。ルツボ7およびその上側空間5を包囲するように、上側炉1が設置されており、上側炉1内にはヒーター2が埋設されている。ルツボ7の下端部から下方向へと向かってノズル部13が延びている。ノズル部13は、細長い連結管部13aと、連結管部13aの下端部にある細長い拡張された板状拡張部13bとを備えている。ただし、図1には、板状拡張部13bの横断面を示している。連結管部13aおよび板状拡張部13bの形状は、種々に変更可能である。
【0027】
板状拡張部13bの下端部には、細長い開口13cが形成されており、開口13cの近辺が単結晶育成部35となる。ノズル部13およびその周囲の空間6を包囲するように下側炉3が設置されており、下側炉3の中にヒーター4が埋設されている。ルツボ7内で、取り入れ管11が上方向へと向かって延びており、この取り入れ管11の上端に取り入れ口22が設けられている。この取り入れ口22は、溶融物8の底部から若干突き出している。ルツボ7およびノズル部13は、いずれも耐食性の導電性材料によって形成されている。
【0028】
ルツボ7の位置Aに対して、電源10の一方の電極が電線9によって接続されており、ルツボ7の下端Bに対して、電源10の他方の電極が接続されている。連結管部13aの位置Cに対して、電源10の一方の電極が電線9によって接続されており、板状拡張部13bの下端Dに対して他方の電極が接続されている。これらの各通電機構は、共に分離されており、独立してその電圧を制御できるように構成されている。
【0029】
ノズル部13の開口13cの直下には、酸化物単結晶31に隣接して冷却装置14が設けられており、冷却装置14の下にアフターヒーター15が設けられている。アフターヒーター15はアニール領域20内に設けられている。
【0030】
図2(a)においては、冷却装置14Aは冷却管からなり、冷却管14Aの内部14aに冷却媒体16を流す。図2(b)においては、冷却装置14Bは冷却管からなり、冷却管14Bの内部14aに冷却媒体16が流されている。冷却管14Bには、酸化物単結晶31に対向するように噴出口14bが形成されており、管の内部の冷却媒体を噴出口14bから矢印Aのように酸化物単結晶31へと向かって噴出させる。
【0031】
上側炉1、下側炉3およびアフターヒーター15を発熱させ、かつ冷却装置14を作動させることによって、空間5、6の温度分布を適切に定め、溶融物の原料をルツボ7内に供給し、ルツボ7、ノズル部13に電力を供給して発熱させる。この状態では、単結晶育成部35では、開口13cから溶融物が僅かに突出する。
【0032】
冷却装置の形態は管状のものには限定されず、例えば平板状などの形態であってよい。また、冷却装置における冷却作用は、冷却媒体の通過による熱交換には限定されず、例えば気体の膨張を利用した冷却や、熱電変換素子等の電気的な冷却を利用できる。
【0033】
酸化物単結晶は特に限定されないが、例えば、ニオブ酸リチウムカリウム(KLN)、ニオブ酸リチウムカリウム−タンタル酸リチウムカリウム固溶体(KLTN:〔K3 Li2-x (Tay Nb1-y )5+x O15+2x 〕)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、Ba1-X SrX Nb2 O6 、Mn−Znフェライト、Nd、Er、Ybによって置換されたイットリウムアルミニウムガーネット、YAG、Nd、Er、Ybによって置換されたYVO4 を例示できる。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
図1に示すような単結晶製造装置を使用し、本発明に従ってニオブ酸リチウムカリウム単結晶の板状体を製造した。図2(a)に示す冷却管14Aを使用した。冷却管の外径は6mmとし、内径は4mmとし、冷却管の内部に空気を流した。
【0035】
上側炉1と下側炉3とによって炉内全体の温度を制御した。ノズル部13に対する電力供給とアフターヒーター15の発熱、および冷却管14A内部の空気の流量を制御することによって、単結晶育成部35近辺の温度勾配を制御できるように構成した。単結晶プレートの引下げ機構としては、垂直方向に2〜100mm/時間の範囲内で、引下げ速度を均一に制御しながら、単結晶プレートを引き下げる機構を搭載した。
【0036】
ニオブ酸リチウムカリウムからなるファイバー状の種結晶を使用した。種結晶の寸法は、断面1mm×1mm、長さ15mmとした。種結晶を耐熱性無機接着剤によって保持棒に接着し、保持棒を、図示しない引き下げ機構に接続した。
【0037】
ルツボ7の平面形状は楕円形とし、その長径は70mmとし、その短径は10mmとし、その高さは10mmとした。連結管部の長さは5mmとした。板状拡張部13bの横断面寸法は1mm×70mmとした。開口13cの寸法は、縦1mm×横70mmとした。
【0038】
炭酸カリウム、炭酸リチウムおよび五酸化ニオブを、mol比で、30:25:45の比率で調合し、原料粉末を製造した。この原料粉末を、白金製のルツボ7内に供給し、このルツボ7を所定位置に設置した。上側炉1内の空間5の温度を1100〜1200℃の範囲に調整し、ルツボ7内の原料を融解させた。下側炉3内のアニール領域20の温度は、700℃に均一に制御した。ルツボ7、ノズル部13およびアフターヒーター15に対して所定の電力を供給し、冷却管14Aに50リットル/分の空気を流し、単結晶成長を実施した。この際、単結晶育成部35の温度を約1000℃とすることができた。開口13cの下側における温度勾配は、ノズル部13の開口13cから1mmの範囲で150℃/mmに制御し、1−5mmの範囲で平均25℃/mmに制御し、5−30mmの範囲で1℃/mmに制御することができた。
【0039】
この際のノズルの先端からの距離と温度との関係を図3に示す(実施例1)。
【0040】
この状態で、10mm/時間の速度で種結晶12を引き下げた。この結果、融帯の下部が次第に結晶化し、肩部が生成した。更に引き下げを継続すると、肩部の面積は次第に増大した。このとき、ノズル部13の温度を調節することにより、肩部の幅の拡大を停止し、板状体31の横幅を50mmに調節した。
【0041】
結晶化した溶融物と等量の原料をルツボ7内に供給しながら、結晶育成を継続し、肩部および板状体の合計長さが100mmに達したところで、板状体をノズル部13から切り離し、徐冷した。
【0042】
回収した板状体の格子定数を測定したところ、a軸長さは12.57オングストロームであり、c軸長さは4.03オングストロームであった。カリウムとリチウムとニオブとの比率は、mol比で、30:18:52であった。板状体のX線ロッキングカーブの半値幅は50秒であった。結晶育成中および徐冷中にクラックは発生しなかった。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様にして板状体を育成した。ただし、図2(b)に示す冷却管14Bを使用した。冷却管14Bの外径は6mmとし、内径は4mmとした。噴出口14bの直径は1mmとした。冷却管14Bの内部に、10リットル/分の流量で空気を流した。この結果、実施例1と同様の温度勾配が得られた。また、得られた板状体の格子定数、組成比率、半値幅は実施例の板状体とほぼ同様であった。また、結晶育成中および徐冷中にクラックは発生しなかった。
【0044】
(比較例1)
実施例1と同様にして板状体を育成した。ただし、冷却装置は設置しなかった。上側炉1内の空間5の温度を1100〜1200℃の範囲に調整した。下側炉3内のアニール領域20の温度は、600℃に均一に制御した。ルツボ7、ノズル部13およびアフターヒーター15に対して所定の電力を供給し、単結晶成長を実施した。この際、単結晶育成部35の温度を約1000℃とすることができた。開口13cの下側における温度勾配は、開口13cから1mmの範囲で150℃/mmに制御し、1−5mmの範囲で平均40℃/mmに制御し、5−30mmの範囲で6℃/mmに制御することができた。この際のノズルの先端からの距離と温度との関係を図3に示す(比較例1)。
【0045】
実施例1と同様にして結晶育成を行ったところ、肩部の幅が40mmに達した時点で、結晶中央付近に垂直方向にクラックが発生した。
【0046】
(比較例2)
実施例1と同様にして板状体を育成した。ただし、冷却装置は設置しなかった。上側炉1内の空間5の温度を1100〜1200℃の範囲に調整した。下側炉3内のアニール領域20の温度は、700℃に均一に制御した。ルツボ7、ノズル部13およびアフターヒーター15に対して所定の電力を供給し、単結晶成長を実施した。この際、単結晶育成部35の温度を約1000℃とすることができた。開口13cの下側における温度勾配は、開口13cから1mmの範囲で90℃/mmに制御し、1−5mmの範囲で平均25℃/mmに制御し、5−30mmの範囲で3℃/mmに制御することができた。この際のノズルの先端からの距離と温度との関係を図3に示す(比較例2)。
【0047】
実施例1と同様にして結晶育成を行ったところ、育成部における温度勾配が小さいために過冷却度が不足し、結晶の幅が20mm以上に増大しなかった。また、固液界面が降下し、径変動が発生した。得られた板状体にはストリエーションが多く見られ、その半値幅は70秒であった。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、酸化物単結晶をμ引き下げ法によって育成するのに際して、良好な結晶性を有する板状体を安定して育成できるようにし、結晶中にクラックが入るのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化物単結晶の製造装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)、(b)は、それぞれノズル部13の開口13cの周囲領域を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施例1、比較例1および比較例2の各製造装置における、ノズル部の開口の直下領域における温度勾配の変化を示すグラフである。
【図4】アニール領域の温度を変化させた場合に結晶内に発生する熱応力の大きさを有限要素法を用いて計算した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
5 上側空間 7 ルツボ 9 ルツボおよびノズル部を発熱させるための電線 10 ルツボおよびノズル部を発熱させるための電源 13 ノズル部 13a 連結管部 13b板状拡張部 13c ノズル部13の開口(ルツボ7の開口) 14冷却装置 14A、14B 冷却管 14a 冷却管の内部空間14b 冷却媒体の噴出口 15 アフターヒーター20 アニール領域 31 酸化物単結晶 35 単結晶育成部
Claims (11)
- 酸化物単結晶を製造する方法であって、
前記酸化物単結晶の原料をルツボ内で溶融させ、この溶融物に対して種結晶を接触させ、この種結晶を引き下げて前記溶融物を前記ルツボの開口から引下げることによって酸化物単結晶を育成するのに際して、
前記ルツボの下流に、前記酸化物単結晶を加熱してアニールするアニール領域が設定されると共に、該アニール領域よりも上流側で前記ルツボの前記開口の下側に冷却装置を設け、この冷却装置によって、前記ルツボの前記開口から引き出されてくる前記酸化物単結晶を冷却することを特徴とする、酸化物単結晶の製造方法。 - 前記冷却装置が冷却媒体を流すための通路を備えており、前記冷却媒体によって前記冷却装置の周囲の熱を逃がすことを特徴とする、請求項1記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 前記冷却装置が、冷却媒体を前記酸化物単結晶へと向かって噴出させるための噴出孔を備えていることを特徴とする、請求項1または2記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 前記ルツボがノズル部を備えており、前記開口が前記ノズル部の先端に設けられていることを特徴とする、請求項1−3のいずれか一つの請求項に記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 前記酸化物単結晶が板状であることを特徴とする、請求項1−4のいずれか一つの請求項に記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 酸化物単結晶を製造する装置であって、
前記酸化物単結晶の原料を溶融させるための、開口を備えているルツボおよび前記ルツボの下流に、前記酸化物単結晶を加熱してアニールするアニール領域が設定されると共に、該アニール領域よりも上流側で前記ルツボの前記開口の下側に設けられている冷却装置を備えており、前記溶融物に対して種結晶を接触させ、この種結晶を引き下げて前記溶融物を前記ルツボの開口から引下げることによって酸化物単結晶を育成するのに際して、
前記冷却装置によって、前記ルツボの前記開口から引き出されてくる前記酸化物単結晶を冷却することを特徴とする、酸化物単結晶の製造装置。 - 前記冷却装置が冷却媒体を流すための通路を備えており、前記冷却媒体によって前記冷却装置の周囲の熱を逃がすことを特徴とする、請求項6記載の酸化物単結晶の製造装置。
- 前記冷却装置が、冷却媒体を前記酸化物単結晶へと向かって噴出させるための噴出孔を備えていることを特徴とする、請求項6または7記載の酸化物単結晶の製造装置。
- 前記ルツボがノズル部を備えており、前記開口が前記ノズル部の先端に設けられていることを特徴とする、請求項6−8のいずれか一つの請求項に記載の酸化物単結晶の製造装置。
- 前記アニール領域には、前記酸化物単結晶の周囲の温度を制御するためのアフターヒーターが設けられていることを特徴とする、請求項6−9のいずれか一つの請求項に記載の酸化物単結晶の製造装置。
- 前記酸化物単結晶が板状であることを特徴とする、請求項6−10のいずれか一つの請求項に記載の酸化物単結晶の製造装置。
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