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JP4362079B2 - 積層型チップコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

積層型チップコンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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JP4362079B2 JP2004088614A JP2004088614A JP4362079B2 JP 4362079 B2 JP4362079 B2 JP 4362079B2 JP 2004088614 A JP2004088614 A JP 2004088614A JP 2004088614 A JP2004088614 A JP 2004088614A JP 4362079 B2 JP4362079 B2 JP 4362079B2
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Description

本発明は、積層型チップコンデンサおよびその製造方法に関する。
一般にいわゆる積層型のチップコンデンサは、内部電極層を構成する例えばNi含有ペーストと、誘電体層を構成する誘電体層形成用ペーストから予め作製された誘電体セラミックグリーンシートを交互に積層した後、焼成することにより製造される。積層に際しては、同体積での静電容量増大のため薄層多層化が求められているために内部電極層と誘電体層の厚さはさらなる薄層化が求められている。
このような積層体の焼成に際しては、一般に、焼成温度の異なる誘電体層形成材料(セラミック材料)と、内部電極層形成材料(例えばNi)を同時に焼成するために、焼成温度は直接、誘電体層形成材料の焼結温度まで上昇される。
しかしながら、このような方法で内部電極層形成材料と誘電体層形成材料の同時焼成を行なうと、誘電体層形成用材料と比べて焼成温度の低い内部電極層形成材料は、高い焼成温度のために焼結が急激かつ過度に進み、いわゆる球状化による内部電極の途切れが生じる。つまり、シート状に形成されるべき層状体のいたるところに無数の穴が空いた、いわゆる虫食い状態のシート体(内部電極層)が形成されることになる。さらに内部電極の球状化は、誘電体層と内部電極層とが剥がれるいわゆるデラミネーションを誘発させる原因になるとも言われている。
このような球状化がおこると、内部電極の実効面積(電極被覆率)が低下しコンデンサの静電容量を下げてしまう。このため、現状では、内部電極の途切れによる実効面積の低下を見込んでコンデンサの設計をすることが必要となっている。内部電極の実効面積の低下は、それを補うだけの積層数が必要となり、小型化かつ大静電容量化の妨げとなってしまう。
このような問題に対処するために、特開平11−354374号公報には、内部電極を形成させるに際し、導電ペーストの仕様を、金属粉末と、金属粒子の平均粒子径の1/2以下の平均粒子径のセラミック粉末とを含み、セラミック粉末が全固形分の2〜40重量%を占めるように設定し、この導電ペーストを焼成させて電極を形成させる旨の提案がなされている。しかしながら、この提案では、電極と誘電体層の焼成を通常の条件、すなわち、非酸化性雰囲気のもと1240℃の焼成温度で行なっている。そのため、焼成中、ないし焼成後の内部電極層内には、セラミック粉末が残ることができず、内部電極の実効面積の低下を十分に防止する作用を発揮させることができない。すなわち、上記特許文献1では焼成に際しセラミック層(誘電体層)側に内部電極形成用導電ペースト中のセラミック粉末が徐々に排出されしまう(段落〔0022〕)。
また、特開2000−232032号公報には、内部電極形成用の粒子を、ニッケルとチタン酸塩との粒状一体化物として用い、誘電体層と内部電極との焼結に伴う収縮差をする旨の提案がなされている。しかしながら、この場合もやはり通常行なわれる焼成条件では、電極実効面積の低下を十分に防止することはできないと言える。また、ニッケルとチタン酸塩との粒状一体化物を安定して製造するための余分な工程も必要とされる。
また、特開平11−124602号公報や特開2002−348603号公報には、Ni金属粒子周囲に焼結温度の高いものをコーティングすることにより、焼結開始温度を高温側へシフトさせ誘電体層の焼結温度に近づけ電極の球状化を抑制させる旨の提案がなされている。しかしながら、これらの提案では、内部電極の焼結温度を高温へシフトさせることはできても、高温へシフトさせるために施した或いは加えた物質は、誘電体層の焼結時に誘電体層へと拡散してしまい、特に誘電体層が薄層の場合に誘電体層の組成が変化し本来の特性が得られないといった問題が生じる。また、高温へシフトさせるために施した或いは加えた物質が誘電体層と同じ組成である場合でも、誘電体の焼結時に誘電体層側へ拡散していき、内部電極層の緻密性が失われ、内部電極の途切れが生じるといった問題が残ってしまう。
特開平11−354374号公報 特開2000−232032号公報 特開平11−124602号公報 特開2002−348603号公報
このような実状のもとに本発明は創案されたものであり、その目的は、内部電極層形成の際の球状化を抑制して内部電極層の途切れの防止、すなわち、内部電極の実効面積の低下を防止して、高い静電容量が得られる積層型チップコンデンサを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明らが内部電極層形成の際の球状化を防止するために、内部電極の構造およびチップ状積層体の焼成条件について鋭意研究を進めた結果、所定の内部電極構造が実現できた場合にはじめて内部電極層の球状化が抑制され、電極被覆率が格段と向上することが確認でき、本発明に至ったものである。さらに上記所定の内部電極構造は、特定の焼成条件の場合に顕著に実現することが確認でき本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサであって、前記内部電極層は、卑金属の内部電極主要層と、この内部電極主要層中に埋設されたセラミック粒子とを有するコンポジット構造をしてなるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記内部電極主要層中に埋設されたセラミック粒子の断面積表示の含有割合は、1.0〜20%となるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記埋設されたセラミック粒子の平均粒子径は、前記内部電極層の厚さの2/3以下(零を含まない)となるように構成される。
また、本発明は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサの製造方法であって、該方法は、誘電体層を形成するための誘電体層形成用ペーストを準備する工程と、内部電極を形成するための内部電極形成用ペーストを準備する工程と、前記誘電体層形成用ペーストおよび内部電極形成用ペーストを用いて素子本体の途中形態であるチップ状積層体を形成する工程と、前記チップ状積層体を焼成する焼成工程と、を有し、前記内部電極形成用ペーストは、電極として作用する内部電極主要層を形成するための卑金属粒子と、セラミック粒子とを含有し、前記チップ状積層体の焼成工程は、焼成温度200〜1000℃の第1の焼成工程と、第1の焼成工程の後に行なわれ、第1の焼成工程における焼成温度よりも高い温度で焼成される第2の焼成工程とを有してなるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記内部電極形成用ペースト中のセラミック粒子の含有率は、卑金属の固形分に対する固形分換算で、0.1〜40wt%となるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記内部電極形成用ペースト中に含有される卑金属粒子の平均粒子径は0.4μm以下(零を含まない)であり、セラミック粒子の平均粒子径は0.1μm以下(零を含まない)となるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記第1の焼成工程は、主として内部電極形成用ペーストに添加されているセラミック粒子を内部電極層内部に閉じ込めつつ内部電極層を焼成形成するために行なわれ、前記第2の焼成工程は、主としてセラミック粒子を内部電極層内部に閉じ込めたまま誘電体層を焼成形成するために行なわれる。
また、本発明の好ましい態様として、前記第1の焼成工程は、還元雰囲気中で行なわれる。
本発明は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサであって、前記内部電極層は、卑金属の内部電極主要層と、この内部電極主要層中に埋設されたセラミック粒子とを有するコンポジット構造をしてなるように構成されているので、内部電極層形成の際の球状化による内部電極層の途切れの防止、すなわち、電極実効面積の低下を抑制でき、高い静電容量が得られる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の要部を説明する前に、本発明の対象となる一般的な積層型チップコンデンサの概略構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は、積層型チップコンデンサの一実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示される積層型チップコンデンサのA−A線矢視断面図であり、図3は、積層構造の形成過程を分かりやすく説明するための斜視図である。
図1〜図3に示されるように、本発明の積層型チップコンデンサ1は、第1内部電極層23と第2内部電極層28とが誘電体層7を介して交互に積層された素子本体2と、この素子本体2の対向する端面に設けられた一対の外部電極11,15とを備えている。素子本体2は、通常、直方体形状とされるが、特に形状に制限はない。また、素子本体2の寸法も特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、例えば、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜2.5mm)程度の大きさとすることができる。
本発明における内部電極層23、28は、上述したように誘電体層7を介して交互に積層された第1内部電極層23と第2内部電極層28から構成されている。このような構造を形成するための好適例が図3に示されており、この図によれば、誘電体層7と第1内部電極層23を有するシート体73と、誘電体層7と第2内部電極層28を有するシート体78とが互いに順次繰り返し多層に積層される。
積層される第1内部電極層23は、図3に示されるように前記第1外部電極11側に露出する接続部23aを有し、この接続部23aは第1外部電極11に接続されている。図3に示されるごとく第1内部電極層23は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部23aのみ(より正確には接続部の端部のみ)である。
この一方で、積層される第2内部電極層28は、図3に示されるように第2外部電極15側に露出する接続部28aを有し、この接続部28aは第2外部電極15に接続されている。図3に示されるごとく第2内部電極層28は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部28aのみ(より正確には接続部28aの端部のみ)である。
なお、本発明では、第1内部電極層23と第2内部電極層28とをまとめて単に、「内部電極層23,28」と表現することもある。
本発明の積層型チップコンデンサ1における要部について、図4の内部電極層23,28の断面模式図を参照しつつ説明する。図4は、図2の断面図における内部電極層の一部分を拡大した模式図である。
図4において、本発明の内部電極層23(28)は、卑金属の内部電極主要層20と、この内部電極主要層中に埋設されたセラミック粒子70とを有するコンポジット構造を備えている。卑金属の内部電極主要層20は、内部電極層の本質的機能を発揮させる主成分であり、塗設されるペースト中の固形分の大部分を占めている。ペースト中では、通常、卑金属の粒子状物の形態で含有されている。
このような内部電極主要層20中に埋設されたセラミック粒子70の断面積表示の含有割合は、1.0〜20%、より好ましくは1.5〜18%、さらに好ましくは2.0〜10%とされる。この値が1.0%未満であると、セラミック粒子によるNi等の内部電極層の球状化抑制効果が十分に発揮されないという不都合が生じる。また、この値が20%を超えると、内部電極層の連続性が失われ途切れと同様の実効面積の低下が生じてしまうという不都合が生じる。
本発明でいう「断面積表示の含有割合」は、後述するように積層型チップコンデンサを内部電極層の平面に対して垂直な面で破断して、その破断面を走査形電子顕微鏡(SEM)にて5000倍で拡大観察し、内部電極層内部に埋包しているセラミック粒子の割合を画像から面積比率に計算して含有割合(平均値)としている。換言すれば、所定断面において観察されるセラミック粒子の総和面積がその電極面積に対して何%を占めているかを示す数値である。
本発明において、前記埋設されたセラミック粒子の平均粒子径は、前記内部電極層の厚さの2/3以下(零を含まない)とされる。この値が2/3を超えると内部電極層の連続性が失われ途切れと同様の実効面積の低下が生じてしまうという不都合が生じる。この値の下限値は、零とはならないが、使用されるセラミック粒子の平均粒子径がÅ単位やnm単位の極めて細かい微粒子であることもあり、下限の数値表示は限りなく零に近い値となる。下限値を強いて例示すれば、1/10000程度とされる。
以下、積層型チップコンデンサ1を構成する各構成部材の材料について説明する。
〔内部電極層23,28〕
本発明における内部電極層23,28は、前述したように卑金属の内部電極主要層20と、この内部電極主要層20中に埋設されたセラミック粒子70とを有するコンポジット構造を形成している。以下各部材ごとに説明する。
内部電極主要層20
実質的に電極として作用する卑金属の導電材から構成される。具体的には、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、Co、Al、W等の1種以上とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。また、NiまたはNi合金中には、P、C、Nb、Fe、Cl、B、Li、Na、K、F、S等の各種微量成分が0.1重量%以下含有されてもよい。焼成前のペースト中に含有される状態での平均粒子径は、0.4μm以下、特に、0.01〜0.2μmとすることが望ましい。より高度な薄層化を実現できるようにするためである。
内部電極層(内部電極主要層)の厚みは、積層型チップコンデンサの用途等に応じて適宜設定することができ、例えば、0.5〜5μm、特に0.5〜2.5μm程度とすることができる。
セラミック粒子70
前記セラミック粒子70は、本発明の効果を発現させる作用を奏するものであれば、特に限定されることはないが、このものは焼成の際に、ある割合で誘電体層側に移動して取り込まれてしまうことを考慮すれば、誘電体層7を構成する主材料と同一材料、または、添加物元素から構成されることが望ましい。
具体的には、誘電体層に使用する誘電体材料、例えば、酸化チタン系、チタン酸系複合酸化物、あるいは、これらの混合物等を使用することができる。
酸化チタンとしては、必要に応じてNiO、CuO、Mn34、Al23、MgO、SiO2等を総量で0.001〜30重量%程度の範囲で含有するTiO2等が挙げられる。
また、チタン酸系複合酸化物としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)等が挙げられる。Ba/Tiの原子比は、0.95〜1.20の範囲が好ましく、チタン酸バリウムには、MgO、CaO、Mn34、Y23、V25、ZnO、ZrO2、Nb25、Cr23、Fe23、P25、SrO、Na2O、K2O、Li2O、SiO2、WO3等が総量で0.001〜30重量%程度の範囲で含有されてもよい。
その他、Ba、Ca、Sr、Ti、Zr、Mg、Mn、V、Y、Cr、Nb、Si、K、Na、Li、B、Sc、Hf、Al、W、ランタノイド系(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)等の1つまたは2つ以上の組み合わせの酸化化合物からなるセラミック粒子であってもよい。
セラミック粒子の粒径は、電極層内に完全に埋設される粒径であれば特に制限はないが、薄層化に対応できるように、その平均粒子径は、0.1μm以下(零を含まない)とされる。上述したように使用されるセラミック粒子の平均粒子径はnm単位の極めて細かい微粒子であることもあり、下限の数値表示は限りなく零に近い値(例えば、20nm程度)とされる。
〔誘電体層7〕
本発明の積層型チップコンデンサ1を構成する誘電体層に使用する誘電体材料としては、特に制限はなく、種々の誘電体材料を使用することができる。例えば、酸化チタン系、チタン酸系複合酸化物、あるいは、これらの混合物等を使用することができる。
酸化チタンとしては、必要に応じてNiO、CuO、Mn34、Al23、MgO、SiO2等を総量で0.001〜30重量%程度の範囲で含有するTiO2等が挙げられる。
また、チタン酸系複合酸化物としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)等が挙げられる。Ba/Tiの原子比は、0.95〜1.20の範囲が好ましく、チタン酸バリウムには、MgO、CaO、Mn34、Y23、V25、ZnO、ZrO2、Nb25、Cr23、Fe23、P25、SrO、Na2O、K2O、Li2O、SiO2、WO3等が総量で0.001〜30重量%程度の範囲で含有されてもよい。
その他、Ba、Ca、Sr、Ti、Zr、La、Mg、Mn、V、Y、Cr、Nb、Si、K、Na、Li、B、Sc、Hf、Al、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、W等の1つまたは2つ以上の組み合わせの酸化化合物を誘電体材料として使用することもできる。例えば、(Ca,Sr)(Ti,Zr)O3(CaSr/TiZr比0.6〜1.2)を挙げることができる。このものは、必要に応じてBa、La、Mg、Mn、V、Y、Cr、Nb、Si、K、Na、Li、B、Sc、Hf、Al、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Wが0.001〜30重量%程度の範囲で含有されていても良い。
また、焼成温度、線膨張率の調整等のため、SiO2またはBa、Ca、Sr、Ti、Zr、La、Mg、Mn、V、Y、Cr、Nb、Si、K、Na、Li、B、Sc、Hf、Alとの化合物SiO2等のガラスが含有されていてもよい。
誘電体層の1層当たりの厚みは特に制限されないが、例えば、0.5〜20μm程度に設定することができる。また、誘電体層の積層数は、通常、2〜300程度とすることができる。
〔外部電極11,15〕
本発明の複合電子部品を構成する外部電極11,15は、導電材としてPd、Ag、Au、Cu、Pt、Rh、Ru、Ir等の金属の少なくとも1種、あるいは、これらの合金を使用することができる。外部電極の厚みは特に制限されず、例えば、1〜100μm、特に5〜50μm程度とすることができる。
また、外部電極には、導電材の焼結性を向上させること、積層体との接着性を確保することを目的として、ガラスを含有させてもよい。
積層型チップコンデンサの製造方法
次に、本発明の積層型チップコンデンサの製造方法について説明する。
まず最初に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法により、誘電体層と内部電極層を交互に積層していき、素子本体の原型(積層体)を形成する。次いで、積層体の外部電極側の両端面に外部電極を印刷、転写、貼り付け、またはディッピング等で形成する。しかる後、焼成することにより積層型チップコンデンサを製造することができる。製造工程ごとの詳細を以下(1)〜(5)として順次説明する。
(1)チップ状積層体(素子本体)の作製
いわゆる印刷法を用いる場合、誘電体層形成用ペーストおよび内部電極層形成用ペーストが、ポリエチレンテレフタレート等の支持体上に順次、積層印刷される。このとき、第1内部電極層11および第2の内部電極層15は、それぞれ図2や図3に示されるように、誘電体層形成用ペーストの外枠に対して所定の形態が得られるように印刷される。誘電体層と内部電極層とが順次積層印刷された後、このものは所定形状に切断されチップ化され、しかる後、支持体から剥離されてチップ状積層体(素子本体の原型)が形成される。
また、いわゆるシート法を用いる場合、誘電体層形成用ペーストを用いて誘電体のグリーンシートが複数枚、形成される。それらのグリーンシートの上に内部電極層形成用ペーストが塗設され、図3に示されるようなシート体73,78が形成される。これらは順次積層され、所定の加熱・加圧操作を経た後、所定形状に切断されてチップ状積層体(素子本体の原型)が形成される。
内部電極形成用ペースト中のセラミック粒子の含有率は、卑金属の固形分に対する固形分換算で、0.1〜40wt%、好ましくは、10〜20wt%とするのがよい。この値が、0.1wt%未満であると、コンポジット構造への寄与率が低下してしまう。この一方で、40wt%を超えると、電極の連続性が失われ、コンデンサとしての有効電極面積が低下するという不都合が生じる。
上記工程において、一般に使用されるペーストの組成例について以下に説明を加えておく。
<誘電体層形成用ペースト>
誘電体層形成用ペーストとしては、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練分散したものが使用される。
誘電体原料の平均粒子径は、通常、平均粒子径0.1〜5μm程度の粉末が使用される。誘電体層形成用ペースト中の誘電体原料の含有量は、通常、30〜80重量%程度とされる。
誘電体層形成用ペーストに使用される有機ビヒクルは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。バインダとしては、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラールとメタクリル酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル系共重合体等の公知の樹脂バインダが使用される。また、バインダを溶解するための有機溶剤として、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の有機溶剤が使用される。このようなバインダや有機溶剤の誘電体層形成用ペースト中における含有量は特に制限はないが、通常、バインダは1〜5重量%程度、有機溶剤は10〜50重量%程度とされる。
<内部電極層形成用ペースト>
内部電極層形成用ペーストは、上述の各種導電性金属や合金と、セラミック粒子と、上記有機ビヒクルとを混練分散して調製される。
(2)脱バインダ処理工程
上記のようにして作製されたチップ状積層体は、焼成される前に、脱バインダ処理が施されることが好ましい。この脱バインダ処理の条件は、使用した材料等を考慮して適宜設定することができ、例えば、内部電極層の導電材にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、下記の条件で行うことが特に好ましい。
脱バインダ処理条件
昇温速度 :5〜300℃/時間、特に10〜100℃/時間
保持温度 :200〜400℃、特に250〜300℃
温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間
雰囲気 :空気中
(3)焼成工程
本発明におけるチップ状積層体の焼成は、以下に示すような少なくとも2段階の焼成パターンを含んで行なわれる。
すなわち、チップ状積層体の焼成工程は、焼成温度200〜1000℃(好ましくは500〜900℃、さらに好ましくは600〜800℃)の第1の焼成工程と、第1の焼成工程後に行なわれる第2の焼成工程を有して構成される。第2の焼成工程における焼成温度は、第1の焼成工程における焼成温度よりも高い温度に設定される。
第2の焼成工程における好適な焼成温度は誘電体層の種類等により異なり、例えば、誘電体層が、
(1)BaTiO3や(Ba,Ca)(Ti,Zr)O3を主成分として構成される場合には、第2の焼成温度は1100〜1280℃に設定されることが好ましく、
(2)(Ca,Sr)(Ti,Zr)O3を主成分として構成される場合には、第2の焼成温度は1100〜1400℃に設定されることが好ましい。
焼成時の温度保持時間は、第1の焼成工程では、1〜50時間、特に2〜24時間が好ましい。第2の焼成工程では、0.5〜10時間、特に1〜4時間が好ましい。
このような所定の温度範囲内に設定された2段階の焼成を行なうことによって、セラミック粒子が内部電極(内部電極主要層)中に埋設されたコンポジット構造を形成することができる。これにより、内部電極層形成の際の球状化による内部電極層の途切れの発生を、従来と比べ格段と低減させることができる。
前記第1の焼成工程は、還元雰囲気中で行なわれることが望ましい。還元雰囲気は、例えば、N2と0.5〜10vol%のH2混合ガスを水蒸気中に流通させることにより形成すればよい。酸素分圧は、10-50〜10-5Paとすることが好ましい
前記第1の焼成工程と前記第2の焼成工程とを作用的に区別するとすれば、前記第1の焼成工程は、前記第1の焼成工程は、主として内部電極形成用ペーストに添加されているセラミック粒子を内部電極層内部に閉じ込めつつ内部電極層を焼成形成するために行なわれ、前記第2の焼成工程は、主としてセラミック粒子を内部電極層内部に閉じ込めたまま誘電体層を焼成形成するために行なわれるということができる。
(4)アニール工程
還元雰囲気で焼成した場合、焼成後の積層体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより絶縁抵抗の加速寿命を著しく長くすることができる。
アニール雰囲気の酸素分圧は、10-9Pa以上、特に10-9〜1Paとすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲未満であると、誘電体層の再酸化が困難であり、また、酸素分圧が上記範囲を超えると、内部電極層の酸化が進行するおそれがある。
アニールの保持温度は、1100℃以下、特に500〜1100℃とすることが好ましい。保持温度が500℃未満であると誘電体層の再酸化が不十分となり、絶縁抵抗の加速寿命が短くなり、1100℃を超えると内部電極層の酸化が進行し、静電容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応し、加速寿命も短くなる。
なお、アニール工程は昇温および降温だけから構成してもよい。この場合、温度保持時間をとる必要はなく、保持温度は最高温度と同義である。また、温度保持時間は、0〜20時間、特に2〜10時間が好ましい。雰囲気ガスにはN2と加湿したH2ガスを用いることが好ましい。
なお、上述の脱バインダ処理、焼成、および、アニールの各工程において、N2、H2や混合ガス等を加湿するには、例えば、ウエッター等を使用することができる。この場合の水温は、0〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成、および、アニールの各工程は、連続して行っても、独立して行ってもよい。これらの工程を連続して行う場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて2段階の焼成の保持温度まで順次昇温して焼成を行い、次いで、冷却し、アニール工程での保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行うことが好ましい。
また、これらの工程を独立して行う場合、脱バインダ処理工程は、所定の保持温度まで昇温し、所定時間保持した後、室温にまで降温する。その際、脱バインダ雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとする。さらに、アニール工程は、所定の保持温度にまで昇温し、所定時間保持した後、室温にまで降温する。その際のアニール雰囲気は、連続して行う場合と同様とする。また、脱バインダ工程と、焼成工程とを連続して行い、アニール工程だけを独立して行うようにしてもよく、あるいは、脱バインダ工程だけを独立して行い、焼成工程とアニール工程を連続して行ってもよい。
(5)外部電極形成工程
上記のように作製したチップ状積層体(素子本体の原型)の対向する両端面側に外部電極形成用ペーストを印刷あるいは転写する。その後、焼成して、外部電極電極を形成する。また、ディッピングにより塗布後、焼成して、形成することもできる。
外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、N2とH2の混合ガス等の還元雰囲気中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。
<外部電極形成用ペースト>
外部電極形成用ペーストとしては、導電材としてPd、Ag、Au、Cu、Pt、Rh、Ru、Ir等の金属の少なくとも1種、あるいは、これらの合金が使用され、上記の内部電極層用ペーストと同様にして調製される。
なお、上述の各種ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択された添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
上述してきたように製造される本発明の積層型チップコンデンサは、必要に応じてリード線が設けられ、ハンダ付け等によりプリント基板上等に実装され使用される。
以下、具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
誘電体層形成用ペーストの調製
誘電体層の主原料として、平均粒子径0.2μmのBaTiO3主成分とするセラミック粉末を準備した。この主原料に対して、有機バインダとしてPVB(ポリビニルブチラ−ル)樹脂を10wt%、および主原料に対して可塑剤としてDOP(ジオクチルフタレート)を5wt%それぞれ秤量して添加し、しかる後ボールミルで混練してスラリー(誘電体層形成用ペースト)とした。
内部電極層形成用ペーストの調整
平均粒子径0.2μmのNi粒子を準備した。このNi粒子に対して上記誘電体層形成用ペーストに用いたのと同じ組成のセラミック粉末(平均粒子径0.05μmのセラミック粒子)を、20wt%添加した。さらにこの混合粉末に対してエチルセルロース樹脂を5wt%、タービネオールを35wt%秤量して添加し、しかる後ボールミルで混練して内部電極層形成用ペーストとした。
チップ状積層体(素子本体の原型)の作製
上記誘電体層形成用スラリー(ペースト)を用いて、ドクターブレード法で乾燥後の厚さが1.5μmの厚みとなるセラミックグリーンシート(誘電体のグリーンシート)を作製した。このセラミックグリーンシートの上に上記の内部電極層形成用ペーストをスクリーン印刷法で塗設し、厚さ1.8μmの内部電極層パターンを形成した。
次いで、内部電極層パターンを印刷していないセラミックグリーンシートを厚さ300μmに至るまで重ね、この上に上記の要領で内部電極層パターンを印刷して作製したセラミックシートを5枚重ね、さらにこの上に電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートを厚さ300μmに至るまで重ね、温度80℃、圧力1ton/cm2の条件で加熱・加圧して3.2mm×1.6mm×1.0mmの大きさのチップ状積層体を得た。
脱バインダー工程および焼成工程
次に、このチップ状積層体の中に含有されるバインダーを飛ばす、いわゆる脱バインダーを目的として、250℃の温度条件下に8時間放置した。
その後、還元雰囲気中で本発明の2段階焼成(第1および第2の焼成工程)を行い、コンポジット構造の内部電極層を備える積層型チップコンデンサを得た。還元雰囲気は、N2と5vol%H2の混合ガスを、30℃の飽和水蒸気中に通して得た。主として、内部電極形成用ペーストに添加されているセラミック粒子(誘電体粒子:共材)を内部電極層内部に閉じ込めるために行なわれる第1の焼成工程は、焼成温度600℃、保持時間2時間で行なった。第1の焼成工程の後に行なわれる第2の焼成工程は、同じ還元雰囲気中、焼成温度1240℃、保持時間2時間で行なった。
このような第1および第2の焼成工程の後、誘電体層の再酸化を目的としたアニ−ル工程を行なった。すなわち、N2ガスを水蒸気に通して得た還元雰囲気中で、1050℃の熱処理を施した。
このような手順で本発明の実施例1のサンプルを作製した。
(実施例2)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における還元雰囲気を、N2と5vol%H2の混合ガスから、N2と0.5vol%H2の混合ガスに変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例2のサンプルを作製した。
(実施例3)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における焼成温度を600℃から800℃に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例3のサンプルを作製した。
(実施例4)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における焼成温度を600℃から1000℃に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例4のサンプルを作製した。
(実施例5)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における還元雰囲気を、N2と5vol%H2の混合ガスから、N2と0.5vol%H2の混合ガスに変えた。さらに、上記実施例1において使用した第1の焼成工程における焼成温度を600℃から260℃に変えるとともに、保持時間を2時間から8時間に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例5のサンプルを作製した。
(実施例6)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における還元雰囲気を、N2と5vol%H2の混合ガスから、通常の空気に変えた。さらに、上記実施例1において使用した第1の焼成工程における焼成温度を600℃から260℃に変えるとともに、保持時間を2時間から8時間に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例6のサンプルを作製した。
(実施例7)
上記実施例1において使用した内部電極層形成用ペースト中のセラミック粉末を、誘電体層の主原料であるBaTiO3主成分とするセラミック粉末から、ZrO2のセラッミック粒子(平均粒子径0.05μm)に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例7のサンプルを作製した。
(実施例8)
上記実施例1において使用した内部電極層形成用ペースト中のセラミック粉末を、誘電体層の主原料であるBaTiO3主成分とするセラミック粉末から、BaSiO3のセラッミック粒子(平均粒子径0.05μm)に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例8のサンプルを作製した。
(実施例9)
上記実施例1において使用した内部電極層形成用ペースト中のセラミック粉末を、誘電体層の主原料であるBaTiO3主成分とするセラミック粉末から、CaTiO3のセラッミック粒子(平均粒子径0.05μm)に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例9のサンプルを作製した。
(実施例10)
上記実施例1において使用した内部電極層形成用ペースト中のセラミック粉末の含有割合を20wt%から5wt%に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例10のサンプルを作製した。
(実施例11)
上記実施例1において使用した内部電極層形成用ペースト中のセラミック粉末の含有割合を20wt%から10wt%に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例11のサンプルを作製した。
(実施例12)
上記実施例1において使用した内部電極層形成用ペースト中のセラミック粉末の含有割合を20wt%から15wt%に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例12のサンプルを作製した。
(実施例13)
上記実施例1において使用した内部電極層形成用ペースト中のセラミック粉末の含有割合を20wt%から25wt%に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例13のサンプルを作製した。
(実施例14)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における保持時間を2時間から10時間に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例14のサンプルを作製した。
(実施例15)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における焼成温度を600℃から700℃に変えるとともに、保持時間を2時間から20時間に変えた。さらに、第2の焼成工程における焼成温度を1240℃から1220℃に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例15のサンプルを作製した。
(実施例16)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における保持時間を2時間から20時間に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして本発明の実施例16のサンプルを作製した。
(比較例1)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程を省略して行なわず、第2の焼成工程のみとした。それ以外は、上記実施例1と同様にして比較例1のサンプルを作製した。この比較例サンプルは上記特許文献1(特開平11−354374号公報)に相当するサンプルである。
(比較例2)
上記実施例1において使用した内部電極層形成用ペースト中のセラミック粉末の含有割合を20wt%から0wt%(無添加)に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして比較例2のサンプルを作製した。
(比較例3)
上記実施例1において使用した第2の焼成工程における焼成温度を1240℃から1300℃に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして比較例3のサンプルを作製した。
(比較例4)
上記実施例1において使用した第1の焼成工程における焼成温度を600℃から1080℃に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして比較例4のサンプルを作製した。
(実施例17)
上記実施例1において使用した誘電体層形成用のセラミック主成分を平均粒子径0.2μmのBaTiO3材料から平均粒子径0.3μmのCa0.7Sr0.3Ti0.97Zr0.033材料に変えるとともに、内部電極層形成用ペースト中に含有させるセラミック粉末を、BaTiO3主成分とするセラミック粉末から、Ca0.7Sr0.3Ti0.97Zr0.033のセラミック粒子(平均粒子径0.03μm)に変えた。さらに、第2の焼成工程における焼成温度を1240℃から1320℃に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして実施例17のサンプルを作製した。
(実施例18)
上記実施例1において使用した誘電体層形成用のセラミック主成分を平均粒子径0.2μmのBaTiO3材料から平均粒子径0.3μmのCa0.7Sr0.3Ti0.97Zr0.033材料に変えた。さらに、第2の焼成工程における焼成温度を1240℃から1320℃に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして実施例18のサンプルを作製した。
(実施例19)
上記実施例1において使用した誘電体層形成用のセラミック主成分を平均粒子径0.2μmのBaTiO3材料から平均粒子径0.3μmのCa0.7Sr0.3Ti0.97Zr0.033材料に変えるとともに、内部電極層形成用ペースト中に含有させるセラミック粉末を、BaTiO3主成分とするセラミック粉末(含有率20wt%)から、MgTiO3のセラミック粒子(含有率10wt%;平均粒子径0.05μm)に変えた。さらに、第2の焼成工程における焼成温度を1240℃から1320℃に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様にして実施例19のサンプルを作製した。
(実施例20)
上記実施例1において使用した誘電体層形成用のセラミック主成分を平均粒子径0.2μmのBaTiO3材料から平均粒子径0.3μmのBa0.97Ca0.03Ti0.8Zr0.23材料に変えるとともに、内部電極層形成用ペースト中に含有させるセラミック粉末を、BaTiO3主成分とするセラミック粉末から、Ba0.97Car0.03Ti0.8Zr0.23のセラミック粒子(平均粒子径0.05μm)に変えた。さらに、第1の焼成工程における焼成条件を焼成温度600℃、焼成時間2時間、焼成雰囲気3%H2雰囲気とし、第2の焼成工程における焼成条件を焼成温度1260℃、焼成時間2時間、焼成雰囲気3%H2雰囲気とした。それ以外は、上記実施例1と同様にして実施例20のサンプルを作製した。
(実施例21)
上記実施例1において使用した誘電体層形成用のセラミック主成分を平均粒子径0.2μmのBaTiO3材料から平均粒子径0.3μmのBa0.97Ca0.03Ti0.8Zr0.23材料に変えた。さらに、第1の焼成工程における焼成条件を焼成温度600℃、焼成時間2時間、焼成雰囲気3%H2雰囲気とし、第2の焼成工程における焼成条件を焼成温度1260℃、焼成時間2時間、焼成雰囲気3%H2雰囲気とした。それ以外は、上記実施例1と同様にして実施例21のサンプルを作製した。
(実施例22)
上記実施例1において使用した誘電体層形成用のセラミック主成分を平均粒子径0.2μmのBaTiO3材料から平均粒子径0.3μmのBa0.97Ca0.03Ti0.8Zr0.23材料に変えるとともに、内部電極層形成用ペースト中に含有させるセラミック粉末を、BaTiO3主成分とするセラミック粉末から、BaSiO3のセラミック粒子(平均粒子径0.05μm)に変えた。さらに、第1の焼成工程における焼成条件を焼成温度600℃、焼成時間2時間、焼成雰囲気3%H2雰囲気とし、第2の焼成工程における焼成条件を焼成温度1260℃、焼成時間2時間、焼成雰囲気3%H2雰囲気とした。それ以外は、上記実施例1と同様にして実施例22のサンプルを作製した。
(比較例5)
上記実施例20において、第1の焼成工程を省き、第2の焼成工程のみとした。それ以外は、上記実施例20と同様にして比較例5のサンプルを作製した。
上記の各サンプルについて、(1)内部電極層中に埋設されたセラミック粒子の断面積表示の含有割合(2)内部電極被覆率および(3)静電容量を下記の要領で測定した。
(1)内部電極層中に埋設されたセラミック粒子の断面積表示の含有割合
積層型チップコンデンサを内部電極層の平面に対して垂直な面で3箇所破断して(1箇所につき5層分が測定できる)、それらの各破断面を走査形電子顕微鏡(SEM)にて5000倍で拡大観察し、内部電極層内部に埋包しているセラミック粒子の割合を画像から面積比率に計算して含有割合(平均値)とした。
(2)内部電極被覆率
上記破断面での内部電極層の存在割合を内部電極被覆率X(%)として式1より算出した。理想的には内部電極層は連続性を有し、所定の設定長さLを備えるはずである。しかしながら、実際にはいわゆる球状化による内部電極の途切れが複数の場所で生じ、途切れ部分を除いた分断された電極の総和の長さΣLiが現実の長さ値となる。分かり易く表示すれば(ΣLi/L)2×100が内部電極被覆率X(%)となる。
Figure 0004362079
式1の適用を理解するには、例えば図5のモデル図を参照して頂きたい。
式1を図5のモデル図にフィットさせると、ΣLi=L1+L2+L3+L4+L5となり、電極層が2層であるからN×L=2Lとなる。従ってX=((L1+L2+L3+L4+L5)/2L)2×100と算出される。
(3)静電容量
コンデンサ静電容量については、LCRメータにて、1kHz、1Vrmsで測定した。
これらの結果を下記表1に示した。なお、表1中の内部電極被覆率の判定の基準は以下のとおりである。
内部電極被覆率が70%以上…従来例をはるかに超えた非常に良いレベル
内部電極被覆率が60%以上…従来例を超えた良いレベル
内部電極被覆率が60%未満…従来例レベル
Figure 0004362079
Figure 0004362079
Figure 0004362079
本発明は、積層型チップコンデンサおよびその製造方法に関する産業に利用可能である。
図1は、積層型チップコンデンサの一実施形態を示す斜視図である。 図2は、図1に示される積層型チップコンデンサのA−A線矢視断面図である。 図3は、積層構造の形成過程を分かりやすく説明するための斜視図である。 図4は、図2の断面図における内部電極層の一部分を拡大した模式図である。 図5は、内部電極被覆率X(%)を算出する式1の適用の理解を容易にするためのモデル図である。
符号の説明
1…積層型チップコンデンサ
2…素子本体
7…誘電体層
11,15…外部電極
20…内部電極主要層
23,28…内部電極層
70…セラミック粒子

Claims (6)

  1. 誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサであって、
    前記内部電極層は、卑金属の内部電極主要層と、この内部電極主要層中に完全に埋設されたセラミック粒子とを有するコンポジット構造をしており、
    前記内部電極主要層中に完全に埋設されたセラミック粒子の断面積表示の含有割合は、1.13〜20%であり、
    内部電極被覆率が62%以上であることを特徴とする積層型チップコンデンサ。
  2. 前記内部電極主要層中に完全に埋設されたセラミック粒子の平均粒子径は、前記内部電極層の厚さの2/3以下(零を含まない)である請求項1に記載の積層型チップコンデンサ。
  3. 誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する請求項1に記載の積層型チップコンデンサの製造方法であって、
    該方法は、
    誘電体層を形成するための誘電体層形成用ペーストを準備する工程と、
    内部電極を形成するための内部電極形成用ペーストを準備する工程と、
    前記誘電体層形成用ペーストおよび内部電極形成用ペーストを用いて素子本体の途中形態であるチップ状積層体を形成する工程と、
    前記チップ状積層体を焼成する焼成工程と、を有し、
    前記内部電極形成用ペーストは、電極として作用する内部電極主要層を形成するための卑金属粒子と、セラミック粒子とを含有し、
    前記チップ状積層体の焼成工程は、還元雰囲気中で行なわれる焼成温度600〜800℃の第1の焼成工程と、第1の焼成工程の後に行なわれ、第1の焼成工程における焼成温度よりも高い温度である焼成温度1220〜1320℃で焼成される第2の焼成工程とを有してなることを特徴とする積層型チップコンデンサの製造方法。
  4. 前記内部電極形成用ペースト中のセラミック粒子の含有率は卑金属の固形分に対する固形分換算で、0.1〜40wt%である請求項3に記載の積層型チップコンデンサの製造方法。
  5. 前記内部電極形成用ペースト中に含有される卑金属粒子の平均粒子径は0.4μm以下(零を含まない)であり、セラミック粒子の平均粒子径は0.1μm以下(零を含まない)である請求項3または請求項4に記載の積層型チップコンデンサの製造方法。
  6. 前記第1の焼成工程は、主として内部電極形成用ペーストに添加されているセラミック粒子を内部電極層内部に閉じ込めつつ内部電極層を焼成形成するために行なわれ、前記第2の焼成工程は、主としてセラミック粒子を内部電極層内部に閉じ込めたまま誘電体層を焼成形成するために行なわれる請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の積層型チップコンデンサの製造方法。
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