JP4361721B2 - 水性塗料、これを印刷したフィルムおよび積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイレクトラミネ―ション法による積層フィルム製造に適した水性塗料およびその水性塗料を用いた積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種食品や薬品等を入れるための包装容器は、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称する。)、ナイロン6(以下、「Ny6」と略称する。)、ポリプロピレン(以下、「PP」と略称する。)等の熱可塑性樹脂フィルムを基材フィルムとして、この基材フィルムを成形加工することにより作製されている。これらの基材フィルムからなる包装容器により製品を包装して販売する際には、その商品名等を包装容器に印刷する必要がある。近年では、包装容器の多様化、高機能化に伴って、各種の基材フィルムに塗料を印刷した後、印刷面にラミネート加工を施した積層フィルムからなる包装容器が用いられている。
【0003】
ラミネート加工には、基材フィルムに塗料を印刷した後、印刷面に接着剤を塗布して、この上から溶融樹脂を積層する方法(以下、「押出しラミネート法」と称す。)や、印刷面に接着剤を塗布して、この上から各種フィルムを貼り合せる方法(以下、「ドライラミネート法」と称す。)や、接着剤を塗布せずに基材フィルムの印刷面に直接に溶融樹脂を積層する方法(以下、「ダイレクトラミネート法」と称す。)等がある。中でも、ダイレクトラミネート法は、接着剤を塗布する工程を省けることから、経済的、省資源的、環境的に有利である。
【0004】
一方、印刷に使用される塗料には、媒体として有機媒体を用いた油性塗料と、水性媒体を用いた水性塗料とがあるが、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善等の立場から有機溶剤の使用が制限される傾向にあり、水性塗料の使用が望まれている。こうした水性塗料には、従来、アクリル系樹脂やポリウレタン系樹脂等がバインダー樹脂として用いられてきた。しかし、アクリル系樹脂をバインダー樹脂とする水性塗料は、PETフィルムやNy6フィルム、PPフィルムへの密着性が不十分であり、使用できる基材フィルムが限られ、従来、ダイレクトラミネ―ションは不可能であった。また、ポリウレタン系樹脂をバインダー樹脂とする水性塗料は、上記した各種の基材フィルムとの密着性は良好であるものの、ダイレクトラミネート適性に劣るという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点を解決し、各種の基材フィルムに良好な密着性を有し、ダイレクトラミネート適性に優れた水性塗料の提供と、この水性塗料を印刷したフィルム、さらにフィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定組成のポリオレフィン樹脂の微粒子を含む水性塗料から形成された塗膜は、様々な基材フィルムとの密着性が高く、同時にダイレクトラミネート適性に優れていることを見出し、それらに基づいて本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明の第一は、
水性媒体中に、2種類のバインダー樹脂、および顔料または染料を含有する水性塗料であって、
第1のバインダー樹脂が、アクリル系樹脂であり、
第2のバインダー樹脂が、(A1)不飽和カルボン酸またはその無水物、(A2)エチレン系炭化水素、および(A3)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、ビニルエステルおよびアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、(A1)成分の含有率が0.01質量%以上5質量%未満、(A2)/(A3)=55/45〜99/1(質量比)をみたすポリオレフィン樹脂であり、
第2のバインダー樹脂が、第1のバインダー樹脂100質量部あたり10〜125質量部含有されており、第2のバインダー樹脂の数平均粒子径が0.3μm以下であることを特徴とする水性塗料である。
本発明の第二は、第一の発明の水性塗料の製造方法である。
【0008】
本発明の第三は、第一の発明の水性塗料を印刷したフィルムまたは前記フィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムであって、好ましくは基材フィルムが、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかで、ラミネート層がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とするものである。
本発明の第四は、第一の発明の水性塗料を印刷したフィルムの印刷面にラミネート層を設けた積層フィルムの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性塗料は、水性媒体中に2種のバインダー樹脂および、顔料または染料を含有するものである。水性媒体とは水を主成分とする液体からなる媒体であり、水溶性の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類が挙げられる。
第1のバインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が用いられ、特に、アクリル系樹脂とポリウレタン系樹脂が耐候性、耐磨耗性、保色性、経済性の理由で好ましい。
【0010】
上記のアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独または共重合樹脂、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシエステル類、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、スチレン、メチルスチレン等のオレフィン類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボン酸類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド類等と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合樹脂が挙げられる。
【0011】
一方、ポリウレタン系樹脂は、主鎖中にウレタン結合を含有する樹脂であり、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られ、水性媒体への分散性の点から陰イオン性基を有しているものが好ましい。
ここで陰イオン性基とは水性媒体中で陰イオンとなる官能基のことであり、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基等である。
【0012】
ポリウレタン系樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されず、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類等の高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。
【0013】
一方、ポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族および脂環族の公知ジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、およびこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。また、ジイソシアネート類にはトリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
【0014】
また、ポリウレタン系樹脂に陰イオン性基を導入するには、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基等を有するポリオール成分を用いればよく、カルボキシル基を有するポリオール化合物としては、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシル−プロピオンアミド等が挙げられる。
【0015】
さらに、鎖長延長剤を用いて適宜ポリウレタン系樹脂の分子量を調整することもできる。こうした化合物としては、イソシアネート基と反応することができるアミノ基や水酸基等の活性水素を2個以上有する化合物が挙げられ、例えば、ジアミン化合物、ジヒドラジド化合物、グリコール類を用いることができる。
【0016】
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分より構成される樹脂であり、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、パルミチン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。一方、ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール等が挙げられる。なお、必要に応じて3官能以上の酸またはアルコール成分である、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が共重合されていてもよい。
【0017】
酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルのホモポリマーや、エチレン、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等との共重合体を用いることができる。
【0018】
塩素化ポリオレフィン系樹脂としては、塩素化プロピレン樹脂や、塩化ビニルの共重合体等が挙げられ、塩素化プロピレン樹脂は塩素化度が5〜60、重量平均分子量は3000〜2000000のものが好ましく、他のモノマー、エポキシ、ウレタンなどで変性されていてもよい。塩化ビニルの共重合体としては、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、イソブチルビニルエーテル、アクリロニトリル、プロピレン、ブタジエン等との共重合体が挙げられる。
【0019】
本発明の水性塗料における第2のバインダー樹脂は、(A1)不飽和カルボン酸またはその無水物、(A2)エチレン系炭化水素、および(A3)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、ビニルエステルおよびアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種の化合物からなるポリオレフィン樹脂である。
【0020】
(A1)成分は、ポリオレフィン樹脂中に0.01質量%以上、5質量%未満含有していることが必要であり、より好ましくは1〜4質量%である。(A1)成分の含有量が0.01質量%未満の場合は、樹脂を水性媒体中で分散(水性化)することが困難になる傾向がある。一方、(A1)成分の含有量が5質量%以上の場合には、ポリオレフィン樹脂の極性が高くなり、極性の低いフィルムとの密着性が低下しやすい。このような(A1)成分としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸は、塩、酸無水物、ハーフエステル、ハーフアミド等の誘導体になっていてもよい。中でもアクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また、この成分の共重合形態は特に限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等のいずれでもよい。
【0021】
また、(A2)成分と(A3)成分との質量比(A2)/(A3)は、55/45〜99/1の範囲であることが必要であり、様々な熱可塑性樹脂フィルムとの良好な接着性を持たせるために、この範囲は75/25〜90/10であることが好ましい。(A3)成分の比率が1質量%未満では、ポリオレフィン樹脂の水性化は困難になり、良好な水性分散体を得ることが難しい。一方、化合物(A3)の含有量が45質量%を超えるとオレフィン由来の樹脂の性質が失われ、耐水性、ラミネート強力等の性能が低下する。
【0022】
(A2)成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のオレフィン類が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のオレフィンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0023】
(A3)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類等が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。この中で、(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、あるいは(メタ)アクリル酸エチルが特に好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが最も好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。)
【0024】
上記のような構成を有するポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体またはエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体が最も好ましい。三元共重合体の形態はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよいが、入手が容易という点でランダム共重合体、グラフト共重合体が好ましい。
【0025】
(メタ)アクリル酸エステル単位は、樹脂の水性化の際に、エステル結合のごく一部が加水分解して(メタ)アクリル酸単位に変化することがあるが、その様な場合には、それらの変化を加味した各構成成分の比率が規定の範囲にあればよい。
なお、本発明で用いる無水マレイン酸単位を含有するポリオレフィン樹脂中のマレイン酸単位は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した無水マレイン酸構造を取りやすく、一方、後述する塩基性化合物を含有する水性媒体中ではその一部、または全部が開環してマレイン酸、あるいはその塩の構造を取りやすくなる。
【0026】
本発明において、ポリオレフィン樹脂は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(以下、「MFR」と略称する。)が、0.1〜500g/10分、より好ましくは2〜250g/10分のものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂のMFRが0.1g/10分未満では、樹脂の水性化が困難になるだけでなく、基材フィルムとの密着性およびダイレクトラミネート適性に劣るものとなる。一方、ポリオレフィン樹脂のMFRが500g/10分を超えると、その水性分散体から得られる塗膜は、硬くてもろくなり、機械的物性やラミネート強力が低下する。
【0027】
ポリオレフィン樹脂の合成法は特に限定されず、一般的には、ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧ラジカル共重合して得られる。また、不飽和カルボン酸、あるいはその無水物はグラフト共重合(グラフト変性)されていてもよい。なお、乳化剤や保護コロイドを用いない製法が、塗膜としたときの性能上、好ましい。
【0028】
本発明の水性塗料におけるバインダー樹脂の配合比率は、第1のバインダー樹脂100質量部に対して第2のバインダー樹脂であるポリオレフィン樹脂を10〜125質量部とすることが必要で、さらに好ましくは15〜100質量部である。10質量部未満では前記ポリオレフィン樹脂が有する密着性およびダイレクトラミ適性が充分に発現されず、そのような水性塗料を用いた積層フィルムは容易に剥離してしまう場合がある。
【0029】
また、本発明に用いるポリオレフィン樹脂の水性塗料中における数平均粒子径(以下、mn)は、0.3μm以下であることが必要で、密着性の観点から0.2μm以下がより好ましく、0.1μm未満が最も好ましい。さらに、重量平均粒子径(以下、mw)に関しては、0.3μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。粒子径を小さくすることで、密着性が向上する。数平均粒子径が0.3μmを超えると、水性塗料の保存安定性が低下すると同時に、印刷性および密着性が低下するため、ダイレクトラミネート適性が損なわれる場合がある。粒子の分散度(mw/mn)は、水性分散体の保存安定性、及び密着性の観点から、1〜3が好ましく、1〜2.5がより好ましく、1〜2が特に好ましい。ここで、上記ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径および重量平均粒子径は、微粒物質の粒子径を測定するために一般的に使用されている動的光散乱法によって測定される。
【0030】
また、水性塗料に含まれる顔料または染料は、塗料分野で汎用に使用されているものであれば特に限定されない。顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾール系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラピリジン系、ジオキサジン系等の有機顔料が挙げられる。また、染料としては直接染料や反応染料、酸性染料、カチオン染料、バット染料、媒染染料等が挙げられる。上記の顔料または染料は、単独もしくは2種類以上が含有されていても差し支えない。また、顔料または染料の配合量は、バインダー樹脂の合計量100質量部に対して600質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは400質量部以下である。600質量部を超えると充分な密着性およびダイレクトラミネート適性が得られなくなる場合がある。
【0031】
本発明の水性塗料には、耐溶剤性等の性能、特に耐アルコール性をさらに向上させるために、架橋剤を配合してもよい。架橋剤の配合割合は、バインダー樹脂の合計量100質量部に対して0.1〜30質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜20質量部の範囲であることがより好ましい。添加量が0.1質量部未満であると添加効果が小さく、30質量部を超えるとフィルムとの密着性やダイレクトラミネート適性が低下する傾向にある。架橋剤としては、自己架橋性を有する化合物、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属塩等を用いることができ、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、あるいは2種類以上を併用してもよい。
【0032】
さらに、本発明の水性塗料には、その特性が損なわれない範囲で、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、凍結融解安定剤、塗膜形成助剤、防腐剤、防カビ剤、防サビ剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル補足剤等を添加することができる。
【0033】
次に、本発明の第二の水性塗料の製造方法について説明する。
本発明の水性塗料を得るための製造方法としては、例えば、(A)第1のバインダー樹脂を含んだ予め調製された水性塗料と、数平均粒子径が0.3μm以下であるポリオレフィン樹脂の水性分散体とを混合する方法、(B)第1のバインダー樹脂の水性分散体と、数平均粒子径が0.3μm以下のポリオレフィン樹脂の水性分散体との混合物に、顔料または染料を添加する方法が挙げられる。
ここで、「予め調製された水性塗料」とは、市販の水性塗料等のそれ単独で使用可能な水性塗料を意味し、例えば、東洋インキ製造株式会社製「アクアエコール JW 224」等がある。
【0034】
上記(A)、(B)で用いる数平均粒子径0.3μm以下のポリオレフィン樹脂水性分散体は、例えば、国際公開 第02/055598号パンフレット記載の方法に従い、既述した特定組成のポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、水、さらに水溶性の有機溶剤を、密閉可能な容器中で加熱、攪拌する製造方法により、得ることができる。
また、上記(B)で用いる第1のバインダー樹脂の水性分散体としては、市販のものを用いることができ、特に塗料分野で汎用に使用されているものが好ましい。具体的には、日本純薬株式会社製「ジュリマー FC−30」、楠本化成株式会社製「NeoRez R−972」、三井武田ケミカル株式会社製「タケラック W−6010」等がある。
【0035】
本発明の水性塗料の製造方法(A)で用いる混合装置としては、液/液混合装置として広く知られている装置を使用することができる。水性分散体と水性塗料の分散混合性が良好であるため、極めて短時間かつ簡単な混合操作でよい。
【0036】
(B)における水性塗料の製造方法としては、例えば、顔料または染料と水、その他顔料分散剤、増粘剤、消泡剤等を混合して顔料ベースを調製しておき、次いでこの顔料ベースと2種のバインダー樹脂の水性分散体の混合物、必要に応じて凍結融解安定剤、塗膜形成助剤、防腐剤、防カビ剤等を配合してもよいし、顔料または染料、水、2種のバインダー樹脂の水性分散体、その他必要に応じて前記添加剤を同時に配合してもよい。この際には、ディゾルバー、ホモジナイザー、ホモミキサー等の混合機またはペイントシェイカーやボールミル、サンドミル、アトラクター、ロールミル、ニーダー等の分散機等を用いることができる。
【0037】
さらに、混合後の固形分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒体を留去したり、水により希釈したりする方法が挙げられる。また、塗布性能を向上させるために例えばイソプロパノール等の低沸点アルコールのような有機溶媒を加えてもよい。
【0038】
本発明の水性塗料は、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用でき、特に、基材フィルムとして熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、ダイレクトラミネーション法により、積層フィルムとすることができる。
【0039】
基材フィルムとしては、Ny6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂に代表される生分解性樹脂、PP、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでも良く、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1〜500μmの範囲であればよい。
また、基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましい。また、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
【0040】
本発明の水性塗料を基材フィルムに印刷する方法は特に限定されるものではないが、フレキソ印刷方式やグラビア印刷方式等が採用できる。
【0041】
印刷されたフィルムの印刷面にラミネート層を形成して積層フィルムとする場合には、ラミネート層を押出しラミネート法、ドライラミネート法、ダイレクトラミネート法等により形成する。押出しラミネート法では、基材フィルムに水性塗料を印刷した後、印刷面にイミン系、イソシアネート系、チタネート系等のアンカーコート剤を塗布して、溶融ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を積層することで積層フィルムが得られる。ドライラミネート法では、基材フィルムの印刷面にポリウレタン系樹脂等の接着剤を塗布して、熱可塑性樹脂フィルムを貼り合せることで積層フィルムが得られる。さらに、ダイレクトラミネート法では、基材フィルムに水性塗料を印刷した後、印刷面に直接に溶融したポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を積層する、あるいは、印刷面にポリエチレンまたはポリプロピレンからなるフィルムを直接積層してラミネート層を形成することで、積層フィルムが得られる。
本発明の水性塗料は基材との密着性に優れているため、いずれのラミネート形成方法も用いることができるが、最も経済的な方法であるダイレクトラミネート法が、本発明の水性塗料の性能を発揮できる最適な方法である。
【0042】
ここで、ラミネート層として用いるポリエチレン樹脂は、エチレン成分が主成分であればよく、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の2元以上の多元共重合体であってもよい。さらに、無水マレイン酸等で酸変性してあるポリエチレン樹脂でもよく、高温での酸化処理を施したポリエチレン樹脂でもよい。
【0043】
また、ポリプロピレン樹脂については、その立体構造は特に限定されないが、例えば、アイソタクチックまたはシンジオタクチックおよび種々の立体規則性を有するポリプロピレン樹脂単独重合体や、主成分であるプロピレンと、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のαオレフィンとの共重合を挙げることができる。これらの共重合体は、2元以上の多元共重合体であってもよく、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよい。さらに、無水マレイン酸等で酸変性してあるポリプロピレン樹脂でも良く、高温での酸化処理を施したポリプロピレン樹脂でもよい。これらは単独で使用しても良く、あるいは複数を混合して用いてもよい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。なお、各種の物性については以下の方法によって測定又は評価した。
【0045】
(1)MFR(g/10分):JIS−6730に記載の方法に準じて190℃、2160g荷重の条件下で測定した。
(2)融点(℃):示差走査型熱量計(パーキンエルマー株式会社製;DSC−7型)を用いて、試料質量を5mg、昇温速度を20℃/分として測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
(3)ポリオレフィン樹脂の組成:オルトジクロロベンゼン(d4)中で、120℃、300MHzの条件下にて1H−NMR分析器(バリアン株式会社製)を用いて測定した。
【0046】
(4)エステル基残存率(%):水性化後のポリオレフィン水性分散体を150℃で乾燥した後、オルトジクロロベンゼン(d4)中で、120℃、300MHzの条件下にて1H−NMR分析器(バリアン社製)を用いて、水性化前のアクリル酸エステルのエステル基量を100としてエステル基の残存率(%)を求めた。
(5)ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度(質量%):ポリオレフィン水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、ポリオレフィン樹脂固形分濃度を求めた。
(6)ポリオレフィン樹脂水性分散体の粘度(mPa・s):DVL−BII型デジタル粘度計(トキメック社製、B型粘度計)を用い、温度20℃における水性分散体の回転粘度を測定した。
(7)ポリオレフィン樹脂粒子の粒子径(μm)および分散度:マイクロトラック粒度分布計UPA150(日機装株式会社製、MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径(mn)、重量平均粒子径(mw)を求め、合わせて粒子の分散度(mw/mn)を求めた。
(8)市販の水性塗料の樹脂成分および顔料成分濃度(質量%):市販の水性塗料を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、残存物の重量を求めた。さらに残存物をトルエン中、70℃、2時間撹拌した後の不溶物のろ過・乾燥後の重量を顔料成分重量とし、顔料成分濃度を求めた。さらに、先の残存物の重量から顔料成分重量を除いた重量を市販水性塗料の樹脂成分重量とし、市販の水性塗料の樹脂成分濃度を求めた。
【0047】
(9)ポットライフ:調製した水性塗料を室温で90日放置したときの外観を、次の3段階で評価した。
○:外観に変化がなかった
△:増粘がみられた
×:固化、凝集が見られた
【0048】
以下、(10)〜(13)の評価において、2軸延伸PETフィルムとしては、ユニチカ株式会社製エンブレットPET12(厚み12μm)、2軸延伸Ny6フィルムとしては、ユニチカ株式会社製エンブレム(厚み15μm)、延伸PPフィルムとしては、東セロ株式会社製OP U−1(厚み20μm)を用いた。
(10)耐水性評価:2軸延伸PETフィルムのコロナ処理面に調製した水性塗料をグラビア校正機で印刷し、80℃で乾燥した後、得られたフィルムを室温で1日放置した。その後、水で濡らした布でフィルムの印刷面を数回擦り、印刷面の状態を目視で観察して下記のように評価した。
○:外観に変化がなかった
△:印刷した塗料がくもった
×:印刷した塗料が完全に溶解した
(11)耐アルコール性評価:2軸延伸PETフィルムのコロナ処理面に調製した水性塗料をグラビア校正機で印刷し、80℃で乾燥した後、得られたフィルムを室温で1日放置した。その後、イソプロパノールで濡らした布でフィルムの印刷面を数回擦り、印刷面の状態を目視で観察して下記のように評価した。
○:外観に変化がなかった
△:印刷した塗料がくもった
×:印刷した塗料が完全に溶解した
(12)密着性評価:基材フィルムのコロナ処理面にグラビア校正機で調製した水性塗料を印刷し、80℃で乾燥した後、印刷面に粘着テープ(ニチバン株式会社製、TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。印刷面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:全く剥がれがなかった
△:一部に剥がれが生じた
×:全て剥がれた
なお、基材フィルムには、2軸延伸PETフィルム、2軸延伸Ny6フィルム、延伸PPフィルムを用いた。
(13)ダイレクトラミネート強力(mN/15mm):基材フィルムとして2軸延伸PETフィルムを用い、この基材フィルムのコロナ処理面に調製した水性塗料をグラビア校正機で印刷して、乾燥した。次いで、フィルムの印刷面上にエキストルーダー(田辺プラスチック機械株式会社製、VE−40)を用いて300℃の溶融したポリエチレン樹脂(住友化学株式会社製、スミカセンL211、MFR:12(g/10分))を厚み30μmとなるように積層して積層フィルムを作製した。この積層フィルムから試験片を15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ株式会社製、インテスコ精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度でラミネート層と印刷面との間の剥離強度を測定することでダイレクトラミネート強力(mN/15mm)を評価した。
【0049】
参考例1
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の調製)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、ポリオレフィン樹脂として60.0gのボンダインHX-8290(住友化学工業株式会社製、樹脂組成(質量%)エチレン:80、アクリル酸エチル:18、アクリル酸:0、無水マレイン酸:2、MFR:65g/10分、融点:81℃)、60.0gのイソプロパノール(以下、「IPA」と略称する。)、3.0g(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量)のトリエチルアミン(以下、「TEA」と略称する。)および177.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。固形分濃度を測定したところ、20.2質量%であったので、撹拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が20.0質量%になるように調整し、水性分散体E−1とした。
この水性分散体の数平均粒子径、重量平均粒子径はそれぞれ0.060μm、0.088μmであり、その分布は1山であり、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に良好な状態で分散していた。なお、水性化後の樹脂のエステル基残存率は100%であり、アクリル酸エチルは加水分解されていなかった。このエステル基残存率は室温で90日、放置後でも変化せず100%であった。
【0050】
参考例2
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の調製)
ポリオレフィン樹脂としてボンダインTX−8030(住友化学工業株式会社製、樹脂組成(質量%)エチレン:85、アクリル酸エチル:12、アクリル酸:0、無水マレイン酸:3、MFR:3g/10分、融点:95℃)を用い、IPAの添加量を28質量%とした。そしてそれ以外は参考例1のポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の調製と同様にして、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。固形分濃度を測定したところ、20.2質量%であったので、撹拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が20.0質量%になるように調整した。数平均粒子径、重量平均粒子径はそれぞれ0.081μm、0.122μmであり、その分布は1山であり、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に良好な状態で分散していた。なお、水性化後の樹脂のエステル基残存率は100%であり、アクリル酸エチルは加水分解されていなかった。このエステル基残存率は室温で90日、放置後でも変化せず100%であった。
【0051】
参考例3
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3の調製)
ポリオレフィン樹脂としてボンダインHX−8210(住友化学工業株式会社製、樹脂組成(質量%)エチレン:91、アクリル酸エチル:6、アクリル酸:0、無水マレイン酸:3、MFR:200g/10分、融点:100℃)を用いた。そしてそれ以外は参考例1のポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の調製と同様にして、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。固形分濃度を測定したところ、20.1質量%であったので、撹拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が20.0質量%になるように調整した。数平均粒子径、重量平均粒子径はそれぞれ0.065μm、0.096μmであり、その分布は1山であり、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に良好な状態で分散していた。なお、水性化後の樹脂のエステル基残存率を分析したところ、アクリル酸エチル単位の1%が加水分解されてアクリル酸に変化していた。すなわちエステル基残存率は99%であった。
【0052】
参考例4
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4の調製)
ポリオレフィン樹脂として60gのボンダインHX−8210(住友化学工業株式会社製、樹脂組成(質量%)エチレン:91、アクリル酸エチル:6、アクリル酸:0、無水マレイン酸:3、MFR:200g/10分、融点:100℃)、4.5gのTEA(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量)、6.0gの乳化剤であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールおよび229.5gの蒸留水をガラス容器に仕込み、参考例1と同様にして撹拌処理を行った。有機溶剤は配合しなかった。得られた水性分散体を、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)しようとしたが、目詰まりを起こしたので、濾過していない乳白色のポリオレフィン樹脂水性分散体をE−4とした。固形分濃度を測定したところ、22.0質量%であったので、撹拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が20.0質量%になるように調整した。数平均粒子径、重量平均粒子径はそれぞれ1.900μm、3.600μmであった。E−4は分散安定性に乏しく3日後に凝集物が確認された。なお、水性化後の樹脂のエステル基残存率は100%であった。
【0053】
参考例5
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の調製)
参考例1において、ポリオレフィン樹脂としてプリマコール5980I(ダウ・ケミカル株式会社製、樹脂組成(質量%)エチレン:80、アクリル酸エチル:0、アクリル酸:20、無水マレイン酸:0、MFR:300g/10分、融点:79℃)60.0gと、塩基性化合物としてTEAを20.3gと、蒸留水219.7gとを仕込んだ。なお、TEA20.3gは、樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量に相当する。
そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ、室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、得られた微白色の水性分散体E−5とした。なお、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
【0054】
実施例1
(水性塗料J−1の調製)
ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を、アクリル樹脂系水性塗料(東洋インキ製造株式会社製、アクアエコール JW 224)のバインダー樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン樹脂100質量部となるよう配合し、ペイントシェイカーで混合を行い、水性塗料J−1を得た。
【0055】
得られた水性塗料J−1を各種基材フィルムに印刷して乾燥した後、耐水性、耐アルコール性、密着性、ダイレクトラミネート適性の評価を行った。
【0056】
実施例2
(水性塗料J−2の調製)
実施例1の水性塗料の調製において、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の添加量を、アクリル系水性塗料(東洋インキ製造株式会社製、アクアエコール JW 224)中のバインダー樹脂100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂が20質量部となるように配合した以外は実施例1と同様にして水性塗料J−2を作製し、各種物性の評価を行った。
【0057】
実施例3
(水性塗料J−3の調製)
実施例1の水性塗料の調製において、水性塗料として下記の調製法により得られた水性塗料T−1を用いた以外は実施例1と同様にして水性塗料J−3を作製し、各種物性の評価を行った。
(水性塗料T−1の調製)
顔料として酸化チタン(石原産業株式会社製、タイペークCR−50)60質量部、増粘剤(ナカライテスク株式会社製、ヒドロキシエチルセルロース)0.5質量部、分散剤(サンノプコ株式会社製、SNディスパーサント5468)1質量部、蒸留水38.5質量部を配合し、ホモミキサーを用いて均一に混合した後、ペイントシェイカーで顔料分散を行い、顔料ベースを得た。ここへ、アクリル系エマルション(日本純薬株式会社製、ジュリマー FC−30、不揮発性成分濃度40質量%)を蒸留水で固形分濃度20質量%に調整したものを75質量部配合し、ペイントシェイカーで混合を行い、水性塗料T−1を調製した。
【0058】
参考例6
(水性塗料J−4の調製)
実施例3の水性塗料T−1の調製において、アクリル系エマルションの代わりにウレタン樹脂系エマルション(三井武田ケミカル株式会社製、タケラック W−6010、不揮発性成分濃度30質量%)を蒸留水で固形分濃度20質量%に調整したものを用いて調製した水性塗料T−2を用いた以外は実施例3と同様にして水性塗料J−4を作製し、各種物性の評価を行った。
【0059】
実施例5
(水性塗料J−5の調製)
顔料として酸化チタン(石原産業株式会社製、タイペークCR−50)60質量部、増粘剤(ナカライテスク株式会社製、ヒドロキシエチルセルロース)0.5質量部、分散剤(サンノプコ株式会社製、SNディスパーサント5468)1質量部、蒸留水38.5質量部を配合し、ホモミキサーを用いて均一に混合した後、ペイントシェイカーで顔料分散を行い、顔料ベースを得た。ここへ、アクリル系エマルション(日本純薬株式会社製、ジュリマー FC−30、不揮発性成分濃度40質量%)を蒸留水で固形分濃度20質量%に調整したもの37.5質量部とポリオレフィン樹脂水性分散体(E−1)37.5質量部を配合し、ペイントシェイカーで混合を行い、水性塗料J−5を作製し、各種物性の評価を行った。
【0060】
実施例6
(水性塗料J−6の調製)
ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2をE−1の代わりに用いた以外は実施例1の水性塗料の調製と同様にして水性塗料J−6を作製し、各種物性の評価を行った。
【0061】
実施例7
(水性塗料J−7の調製)
ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3をE−1の代わりに用いた以外は実施例1の水性塗料の調製と同様にして水性塗料J−7を作製し、各種物性の評価を行った。
【0062】
実施例8
(水性塗料J−8の調製)
アクリル系水性塗料(東洋インキ製造株式会社製、アクアエコール JW 224)に対して、この塗料のバインダー樹脂100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を樹脂成分が100質量部となるように、また、架橋剤としてメラミン樹脂(三井サイテック株式会社製、サイメル327)を固形分が10質量部となるよう配合し、ペイントシェイカーで混合を行い、水性塗料J−8を得た。そしてそれ以外は実施例1と同様にして各種物性の測定を行った。
【0063】
実施例9
(水性塗料J−9の調製)
架橋剤としてイソシアネート化合物(第一工業製薬株式会社製、エラストロンBN−11)を用いた。そしてそれ以外は実施例8と同様にして水性塗料J−9を作製し、各種物性の評価を行った。
【0064】
実施例1〜9で得られた測定結果等をまとめて表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
比較例1
(水性塗料H−1)
実施例1〜3で用いたアクリル系水性塗料(東洋インキ製造株式会社製、アクアエコール JW 224)をH−1とし、単独での各種物性の評価を行った。
【0067】
比較例2
(水性塗料H−2の調製)
実施例1の水性塗料の調製において、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の添加量を、アクリル系水性塗料(東洋インキ製造株式会社製、アクアエコール JW 224)中のバインダー樹脂100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂が5質量部となるように配合した以外は実施例1と同様にして水性塗料H−2を作製し、各種物性の評価を行った。
【0068】
比較例3
(水性塗料H−3の調製)
水性分散体E−4を用いた以外は実施例1の水性塗料の調製と同様にして水性塗料H−3を作製し、各種物性の評価を行った。
【0069】
比較例4
(水性塗料H−4の調製)
水性分散体E−5を用いた以外は実施例1の水性塗料の調製と同様にして水性塗料H−4を作製し、各種物性の評価を行った。
【0070】
比較例1〜4で得られた測定結果等を表1に示す。
【0071】
実施例1〜9では、基材フィルムの種類にかかわらず基材フィルムとの密着性およびダイレクトラミネート適性に優れたものが得られた。なお、実施例8、9では、さらに架橋剤が添加されていたため、塗料の耐アルコール性が向上していた。
【0072】
これに対し、比較例1は、ポリオレフィン樹脂を配合していないため、基材フィルムとの密着性およびダイレクトラミネート適性に劣っていた。また、比較例2は、バインダー樹脂に対するポリオレフィン樹脂の配合量が、本発明の範囲を下方に外れたため、基材フィルムとの密着性およびダイレクトラミネート適性に劣っていた。比較例3は、ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が本発明の範囲を超えていたため、得られた水性塗料は混合安定性に劣り、また、基材フィルムとの密着性およびダイレクトラミネート適性にも劣っていた。比較例4は、ポリオレフィン樹脂の組成が本発明の範囲外であったため、得られた水性塗料は混合安定性に劣り、また、基材フィルムとの密着性およびダイレクトラミネート適性にも劣っていた。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、バインダー樹脂に特定組成のポリオレフィン樹脂微粒子を配合することで、各種の基材フィルムとの密着性およびダイレクトラミネート適性に優れた水性塗料が簡便に得られ、経済的、省資源的に有利な方法で実用的な積層フィルムを製造することができる。
Claims (8)
- 水性媒体中に、2種類のバインダー樹脂、および顔料または染料を含有する水性塗料であって、
第1のバインダー樹脂が、アクリル系樹脂であり、
第2のバインダー樹脂が、(A1)不飽和カルボン酸またはその無水物、(A2)エチレン系炭化水素、および(A3)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、ビニルエステルおよびアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、(A1)成分の含有率が0.01質量%以上5質量%未満、(A2)/(A3)=55/45〜99/1(質量比)をみたすポリオレフィン樹脂であり、
第2のバインダー樹脂が、第1のバインダー樹脂100質量部あたり10〜125質量部含有されおり、第2のバインダー樹脂の数平均粒子径が0.3μm以下であることを特徴とする水性塗料。 - 水性媒体中にアクリル系樹脂、顔料または染料を含む水性塗料と、数平均粒子径が0.3μm以下のポリオレフィン樹脂の水性分散体とを混合することを特徴とする請求項1記載の水性塗料の製造方法。
- アクリル系樹脂を含む水性分散体と、数平均粒子径が0.3μm以下のポリオレフィン樹脂の水性分散体とを混合し、次いで顔料または染料を混合することを特徴とする請求項1記載の水性塗料の製造方法。
- 請求項1記載の水性塗料を基材フィルムの少なくとも片面に印刷したことを特徴とするフィルム。
- 基材フィルムが、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンのいずれかである請求項4記載のフィルム。
- 請求項4または5記載のフィルムの印刷面の上にさらにラミネート層を設けてなる積層フィルム。
- ラミネート層がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする請求項6記載の積層フィルム。
- 基材フィルムの少なくとも片面に請求項1記載の水性塗料を印刷して乾燥し、前記印刷面に溶融したポリエチレンまたはポリプロピレンを積層することでラミネート層を形成することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
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