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JP4357264B2 - ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents

ガスセンサ及びその製造方法 Download PDF

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JP4357264B2 JP2003366530A JP2003366530A JP4357264B2 JP 4357264 B2 JP4357264 B2 JP 4357264B2 JP 2003366530 A JP2003366530 A JP 2003366530A JP 2003366530 A JP2003366530 A JP 2003366530A JP 4357264 B2 JP4357264 B2 JP 4357264B2
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Description

本発明は、内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出するために使用される酸素センサなどのガスセンサ(以下、単にセンサともいう)に関する。
この種のガスセンサは、内外周面にそれぞれ電極層を有し、先端が閉塞された筒状の酸素イオン導電体からなる検出素子(以下、単に素子ともいう)を、その外周面を包囲するように形成された金具本体内に位置決めして固定している。そして、外周面の電極層を金具本体に電気的に接続し、検出素子の後端の開口に、端子部材(金属端子)をその先端側の内部接続端子側から内挿して内周面の電極層との電気的な接続(導通)を確保する構成とされている(例えば、特許文献1の図2、3参照)。このものは、内燃機関の排気管にその外部から取着され、前記素子の内周面(内側面)の電極層(基準電極層)を基準酸素ガス(大気)に、外周面(外側面)の電極層(測定電極層)を排気ガスに接触させ、素子内外周面の酸素濃度差に対応して両電極間に起電力(電位差)を生じさせ、この起電力に基づく信号を制御回路に出力し、酸素濃度を検知し、空燃比を制御するようにされている。
このような構成のガスセンサでは、素子の内周面(内面)と外周面(外面)との間のシール(気密及び液密)が破られると、排気ガスが素子の内側に侵入することになる。このため、素子内面側の基準酸素ガスが汚染され、酸素濃度の検知能力が低下する。また、排気ガス中に含まれる油等が内側面の電極層の腐食を招くなど様々な問題を生じる。したがって、排気ガスの侵入の可能性のある、本体の内周面と素子の外周面との間のシールは確実にする必要がある。
こうした中、特許文献1中の第2図、第3図に記載のガスセンサは、金具本体(取付け金具)の内側であって、素子の後端(同図上端)寄り部位と、その素子内に先端側が内挿配置された端子部材(金属端子)の外周面の環状空間に、滑石(タルク粉体)等からなるシール材を配置、充填し、これによってシールを保持している。すなわち、シール材の後端にセラミック製スリーブを配置し、金具本体の後端寄り部位において、例えば、その後端寄り部位を内側に曲げかつそのスリーブを先端側に押圧するスリーブ押圧固定手段にてシール材を圧縮してシールを確保していた。
実開昭53−95884号公報(第2図、第3図)
ところが、特許文献1の第2図、第3図に記載のセンサでは、その軸線方向においてシール材が素子と端子部材の2部品に跨っているため、同軸線方向におけるシール材の配置領域が長くなる。このようにシール材の軸線方向長さが長くなるセンサ構造では、シール材を圧縮(加圧)して金具本体内の内側に配置させる場合に、シール材に均一な荷重をかけることが難しくなりがちで、部分的に比重が上がらない部位が存在するシール材を形成し易くなる。そして、部分的に比重が上がらない部位を有するシール材については、十分なシール性能が得られずに、センサとしてのシール性が低下するおそれがある。一方、高い荷重を付与して軸線方向長さの長いシール材の充填密度を高くすることも考えられるが、荷重により検出素子が割れる可能性があるため現実的ではない。
さらに、このようなガスセンサにおいては、その端子部材(金属端子)に、出力用の接続用コードを接続することで制御装置に出力される構成とされている。ここに、その接続の安定性ないし耐水性、絶縁性等の確保のため、通常、そのコードの端子金具の外側はゴム製キャップ(ゴムカバー)にて覆われていることから、次のような要請があった。すなわち、センサをなす金具本体は排気の熱によって高温となるため、ゴム製キャップもこの熱の伝播や放射熱によって高温となる。したがって、このゴム製キャップに耐熱性の高いゴム材料が用いられるとしても、そのような熱害に対する保護対策を講ずる必要がある。このため、ゴム製キャップがガスセンサに嵌合(セット)された状態において、金具本体の後端からそのゴム製キャップの先端までには所定の寸法(距離)を離間させる必要があった。
一方、このようなセンサについても、その取付けスペースの関係等に基づき、小型化や軽量化の要請があった。しかし、特許文献1の第2図、第3図に記載のセンサでは、このような寸法保持の要請や、上記したようなシール材の配置領域が長くなる構造に基づき、センサの小型化の要請に応えられないといった問題があった。
本発明は、こうした従来のセンサのもつ問題点に鑑みてなされたもので、センサの金具本体と素子との間のシール材によるシール性能の向上を図るとともに、センサの短小化ないし小型化を図ることをその目的とする。
前記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、先端が閉塞されて筒状をなすとともに内外周面に電極層を有する検出素子を、その外周面を包囲するように形成された金具本体内に位置決めして前記外周面の電極層を該金具本体に電気的に接続し、
該検出素子の後端の開口に、端子部材をその先端側から内挿して前記内周面の極層に電気的に接続してなるガスセンサであって、
前記金具本体の内周面と前記検出素子の外周面との間の環状空間にシール材を配置し、
外周面に凸部が設けられた筒状のセラミック製スリーブを、そのスリーブ後端を前記金具本体及び前記検出素子の後端より後方に位置させるとともに、そのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮可能に配置し、
前記金具本体の後端寄り部位において、該セラミック製スリーブの前記凸部を介して該スリーブを先端側に押圧した状態で固定するスリーブ押圧固定手段によって、前記シール材を圧縮して前記金具本体と前記検出素子との間のシールを保持する構成のものにおいて、
前記シール材を、前記金具本体及び前記検出素子の後端より先端側にのみ配置し、前記セラミック製スリーブを、前記検出素子に対して同軸状にかつそのスリーブ先端を前記検出素子の後端よりも先端側に位置させて前記シール材を先端側に圧縮する構成としたことを特徴とする。
本明細書において、ガスセンサ又はその構成部材(構成部品)について、先端又は先というときは、図1におけるガスセンサ又は構成部材の下端又は下をいい、後端又は後というときは、図1におけるガスセンサ又は構成部材の上端又は上をいう。
上記した本発明によれば、次のような作用がある。すなわち、特許文献1の第2図、第3図に記載のセンサのシール構造では、素子の後端寄り部位の外周面と、その後方に位置する端子部材の外周面とに、シール材が素子の軸線方向において跨る状態で配置されるため、シール材の量が多くなりがちで、シール材の軸線方向の長さが長くなり、結果としてシール材の充填密度を高くすることが困難であった。これに対し、本願発明では、シール材を金具本体(以下、単に本体ともいう)の内周面と素子の外周面との間の環状空間の部位のみに配置させて、これをスリーブで圧縮する構造を有している。
つまり、本願発明では、セラミツク製スリーブを、検出素子に対して同軸状にかつ自身の先端部内側に検出素子の後端側を配置させるようにしつつ、このスリーブ先端によってシール材を先端側に圧縮する構成としたのである。これにより、シール材の軸線方向長さを、従来のセンサ構造よりも短くすることができ、セラミツク製スリーブからの押圧力を受けた状態下でのシール材を、高密度で比重の高いものとすることができる。その結果、従来に比してシール性能に優れたガスセンサを得ることができる。
加えて本発明では、セラミック製スリーブの先端部内側に検出素子の後端側に配置ようにしたことから、シール材を圧縮するスリーブを先端側に押圧する、本体の後端寄り部位におけるスリーブ押圧固定手段を、従来のセンサよりも先端側に設けることができる。この結果、本体の後端から端子部材の後端までの寸法を従来と同様に確保するとしても、本体の後端の位置を先端側に設定することができる分、センサの短小化を図ることができる。
本発明のガスセンサによれば、上述したように従来に比してシール材の軸線方向長さを短くすることができるものであるが、この軸線方向長さは、具体的には10mm以下の範囲内に設定することが好ましい。10mmより大きいと、シール材をスリーブ先端により加圧した状態において、シール材に均一な荷重がかかり難いからである。軸線方向長さの下限値としては、検出素子の内周面と金具本体の外周面との間のシール性能が良好に得られれば特に制限はないが、2mm以上とすると良好なシール性能を得ることができる。なお、本明細書において、「シール材の軸線方向長さ」とは、シール材のうちで検出素子と接触する側の先端側の端部と後端側の端部との間の長さであり、検出素子の軸線方向に平行に沿った方向の長さを指すものとする。また、本発明において、スリーブの外周面に設けられる凸部の形態は、軸線方向から見た時、例えば外歯車形状のもののように周方向において不連続のものとしてもよいが、スリーブの周方向に環状をなすフランジであるとよい。環状をなすフランジからなる凸部とすることで、スリーブ自身を良好に軸線方向先端側に向かって押圧することができるからである。
前記凸部は該スリーブの外周面に設けてあればよいが、請求項1に記載のガスセンサにおいては、請求項2に記載の発明のように、前記凸部が、該セラミック製スリーブの先端又は先端寄り部位に設けられているとよい。というのは、このようにすることで、本体の後端寄り部位におけるスリーブ押圧固定手段を、少しでもセンサの先端側に位置させることができるため、金具本体の軸線方向長さを短くすることができ、センサの低コスト化が図られ、またセンサの短小化が図られるからである。
そして、請求項3に記載の本発明は、前記セラミック製スリーブが前記端子部材の外周面を包囲する構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサである。このように前記端子部材の外周面を包囲するものでは、センサ内部の保護に加えて、端子部材の取付けの安定が図られる。その上、前記端子部材に接続される接続用コードの端子金具を覆うゴム製キャップをセンサの後端寄り部位に外嵌することで、その取付けを行なうものでは、セラミック製スリーブに外嵌させることも容易となるため、セラミックの放熱性に基づき、ゴム製キャップの熱害対策としても有効である。なお、包囲する軸線方向についての範囲は、接続用コードの端子金具の接続に支障のない範囲とすればよい。
スリーブ押圧固定手段としては、請求項4に記載のように、前記スリーブ押圧固定手段が、前記スリーブにおける前記凸部の後部に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を、内側に加締めて被せてなるものが好ましい。ただし、該セラミック製スリーブの前記凸部を介して該スリーブを先端側に押圧した状態で固定するものであればよく、これに限定されるものでない。他にも、詳しくは後述するが、例えば、スリーブの前記凸部の後部に、別の金属製の環状部材を被せて先端側に押圧した状態の下で、この環状部材を金具本体の後端寄り部位に溶接などにより固定することでもよい。すなわち、適宜の手段を用いることができる。
また、本発明のガスセンサの好ましい製法は、請求項5〜7に記載したとおりである。請求項5は、請求項4に記載のガスセンサを製造するにあたり、前記セラミック製スリーブを、そのスリーブ後端を前記金具本体及び前記検出素子の後端より後方に位置させるとともに、そのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮可能に配置した後、前記セラミック製スリーブを先端側に押圧してそのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮した状態の下で、前記スリーブにおける前記凸部の後部に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を内側に加締めて被せることを特徴とするガスセンサの製造方法である。
請求項6は、請求項4に記載のガスセンサを製造するにあたり、前記セラミック製スリーブを、そのスリーブ後端を前記金具本体及び前記検出素子の後端より後方に位置させるとともに、そのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮可能に配置した後、前記セラミック製スリーブを先端側に押圧してそのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮するのと略同時に、前記スリーブにおける前記凸部の後部に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を内側に加締めて被せることを特徴とするガスセンサの製造方法である。
請求項7は、請求項5又は6において、前記スリーブにおける前記凸部の後部に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を内側に加締めて被せた後で、前記端子部材をその先端側から前記スリーブ内に挿入し、前記検出素子の後端の開口に内挿して前記内周面の電極層に電気的に接続することを特徴とするガスセンサの製造方法である。
以上の説明から明らかにように、本願発明のガスセンサにおいては、シール材の軸線方向長さを、従来のセンサ構造よりも短くすることができる。このため、セラミツク製スリーブからの押圧力を受けた状態下でのシール材を、高密度で比重の高いものとすることができることから、従来に比してシール性能に優れたガスセンサとなすことができる。
加えて本発明のガスセンサでは、セラミック製スリーブの先端部内側に検出素子の後端側に配置させるようにしたことから、シール材を圧縮するスリーブを先端側に押圧する、本体の後端寄り部位におけるスリーブ押圧固定手段を、従来のセンサよりも先端側に設けることができる。この結果、本体の後端から端子部材の後端までの寸法を従来と同様に確保するとしても、本体の後端の位置を先端側に設定することができる分、センサの短小化を図ることができる。
さらに、本発明のガスセンサの製造方法によれば、前記セラミック製スリーブを先端側に押圧してそのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮した状態の下で、或いは、前記シール材を先端側に圧縮するのと略同時に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を内側に加締めて被せることとした。このため、その加締めに際しては、シール材は圧縮されているから、高いシール性が確保される。なお、本発明のガスセンサの製造方法では、セラミック製スリーブのスリーブ先端とシール材とを当接させて、セラミック製スリーブを先端側に押圧させるようにしてもよく、あるいはセラミック製スリーブのスリーブ先端とシール材との間に中間部材(例えば、一定厚さの環状板部材)を介在させて、セラミック製スリーブを先端側に押圧させてもよい。
本発明に係るガスセンサを具体化した実施の形態例について、図1ないし図4を参照して詳細に説明する。図中、1は本例のセンサであって、金具本体2はSUS430からなり、先端側(図下側)の内周が細い円断面でストレートに形成された小径空孔3を備えており、その小径空孔3の上端部には上向き拡径状のテーパーをなす内周段部4が周設され、内周段部4の後端(図上端)より後方には小径空孔3より大径の円断面でストレートの円筒内周面5が形成されている。そして、円筒内周面5の後端より後方の内周面は、上向きに拡径状のテーパ面6を介して円筒内周面5より拡径され、薄肉円筒部7からなる拡径円筒内周面8を備えている。この薄肉円筒部7における後端寄り部位7bは、図2に示したように、センサの軸線Gと同軸の円筒状態から、ダイスDを力Pで先端側に押されて、内側に押し曲げられると同時に先端側にカシメられたものである。このような、金具本体2はその内周面が、センサの軸線(次記するねじ10の軸線と同じ)Gに対して先端(図示下端)2a側から後端2b側に向かって同軸で拡径する段付き円筒状をなしている。
一方、このような金具本体2における円筒内周面5及びテーパ面6に対応する部位の外側には、排気管Hへの取付け用(ねじ込み用)の六角部9を膨拡状に備えている。そして、六角部9の下部外周には取付け用のねじ10を備えており、この取付け用のねじ10の先端側には外径が縮径された縮径部11を備えており、ここには複数のガス流通孔付きの素子保護キャップ12が嵌合されて溶接などにより固定されている。また、六角部9の上部には上記した薄肉円筒部7が連接されている。
本形態では、金具本体2の内側の内周段部4に、後端側からリング状の金属製(SUS430製)パッキン13が載置状にセットされている。そして、金具本体2の内部にはその上方から先端15aが閉塞状で筒状をなす検出素子15がその先端15a側から同軸状に内挿されている。ただし、検出素子15はその中間位置よりやや上部の外周面に外向きに突出するよう周設された外周凸部(フランジ)16を備えており、この外周凸部(フランジ)16が、金具本体2の内側の内周段部4に金属製パッキン13を介して行き止り状に位置決めされている。なお、本形態では、素子15の先端側外周面に形成された電極層(図示せず)は、外周凸部16に延設されており、金属製パツキン13を介して金具本体2に電気的に接続されている。また、外周凸部16は、その先端側の辺が内周段部4のテーパー角に対応するように形成されており、外径は円筒内周面5内に収まるように設定されている。そして、外周凸部16の上下(軸線G)方向の幅は円筒内周面5における上下方向の寸法より小さめに設定されている。なお、外周凸部16より、先端側の外周面は緩テーパーで先細り状に形成され、後端側の外周面は略ストレートに形成されている。ただし、後端15bの開口寄りの内外周面には面取りが付されている。
さて、このような素子15における外周凸部16の上方であって、素子15の外周面15cと本体2の円筒内周面5の間には、金属(Ni)線製のパッキング18が配置されている。そして、金具本体2のテーパ面6と薄肉円筒部7の内周面である拡径円筒内周面8の内側と、素子15の外周面15cとによって形成された環状空間内には、本形態では滑石粉末(又は六方晶窒化ホウ素の粉末)からなるシール材21が配置(圧縮充填)されている。ただし、このシール材21は、その後端が素子15及び本体2の後端より先端側に位置するように配置され、本形態では断面略楔形をなしている。
そして、このようなシール材21の後端側には、アルミナ等からなり、略円筒状に形成された絶縁性を有するセラミック製スリーブ25が次のように配置され、固定されている。すなわち、セラミック製スリーブ25は、その先端26寄り部位を、素子15の後端15b寄り部位の外周面15cと、本体2の薄肉円筒部7の内周面8との間に、素子15と同軸状に配置されている。そして、その先端26でシール材21を先端側に圧縮し、金具本体2と素子15との間のシールを保持している。ただし、スリーブ25は先端26の外周面に凸部であるフランジ28を周方向に備えており、そのフランジ28を介して、そのスリーブ25を先端側に押圧させた状態で固定するスリーブ押圧固定手段によって、シール材21を圧縮し、金具本体2と検出素子15との間のシールを保持している。本形態では、同フランジ28の後部(後端向き面)28bに、金属(SUS430)線製のOリングパッキング30を配置し、その状態において、上記したように、薄肉円筒部7における後端寄り部位7bの周縁を、内側に加締めて被せることによって、スリーブを先端側に押圧している。なお、この段階においては、図3の左側に示した仕掛かり品を呈している。
なお、薄肉円筒部7における後端寄り部位7bの周縁を、内側に加締めて被せるに当たっては、その前に、図3中、矢印Kで示したように、所定の荷重(例えば、10〜30kN)で、セラミック製スリーブ25を先端側に押圧してそのスリーブ先端26によってシール材21を先端側に圧縮しておくのが好ましい。すなわち、このように圧縮した状態の下で、ダイスDを先端側に押し、スリーブ25における凸部28の後部に、金具本体2の後端寄り部位7bの周縁を内側に加締めて被せるのが好ましい。このようにすれば、そのカシメとは別に、シール材21を十分に圧縮することができるため、より高いシール性が確保されるためである。ただし、シール材21を先端側に圧縮するのと略同時に、スリーブ25における凸部28の後部に、金具本体2の後端寄り部位7bの周縁を内側に加締めて被せることとしてもよい。
一方、このような本形態のセラミック製スリーブ25は、後端27側の内周面に内向きに微量突出するフランジ29を備えており、この内側に出力用の端子部材31が内挿されるように形成されている。また、同スリーブ25の内外周面は両フランジ28、29の部位を除いてそれぞれ同径(ストレート)とされ、本形態では後端寄り部位の半分以上が、素子15及び金具本体2の後端から後方に突出し、外部に露出している。
しかして、図3に示したセンサ仕掛かり品に、先細りの段付き円筒状に形成された端子部材31を、その先端側の内部接続端子33の側から、セラミック製スリーブ25の内側を通して、素子15の後端15b寄り部位の開口内に圧入することで、図1及び図4に示したセンサとして組立てられる。なお、端子部材31の内部接続端子33は素子15の内周面15dに形成された電極層(図示せず)に、それ自体のバネ性により圧接され、電気的接続(導通)が保持されている。図4に示したように、このように組立てられたセンサ1における本体2の後端2bから端子部材31の後端31bまでの軸線方向長さL1は、接続用コード40構成する端子金具43を端子部材31に嵌合して接続したときにおいて、接続用コード40のうちで端子金具43を被覆してなるゴム製キャップ45が排気管の熱害を受けないように、本体2の後端2bと接続用コード40のゴム製キャップ45との間に必要な軸線方向長さSが保持されるものに設定されている。
前記した組立てにおいては、端子部材31を予め検出素子15の後端15bの開口に内挿してその内周面の電極層に電気的に接続しておいてから、セラミック製スリーブ25をセットし、金具本体2の後端寄り部位7bの周縁を内側に加締めて被せることもできる。しかし、前記したように、スリーブ25をセットして金具本体2の後端寄り部位7bの周縁を内側に加締めて被せた後で、端子部材31をその先端側からスリーブ25内に挿入し、検出素子15の後端15bの開口に内挿してその内周面の電極層に電気的に接続する場合には、組立てが容易となる。というのは、端子部材31を予め検出素子15に内挿しておいてから、セラミック製スリーブ25をセットする場合には、端子部材31の傾斜により、セラミック製スリーブ25が端子部材31に干渉したり、衝突してセットが困難となる場合がある。しかし、端子部材31を後で内挿する場合には、このような問題を容易に回避できる。
なお、本形態において端子部材31は、その先端31aから後端31bに向けて、小径の挿入ガイド部32、内部接続端子33の部位、中間筒部34、そして、括れ部35を介して後端寄りの外部接続端子36をなすように、SUS304製の金属薄板を丸めて形成されており、一側が軸線に沿って切れたものとされている(図3の右図参照)。ただし、内部接続端子33における切れ目は軸線方向において凹凸に形成されており、素子15へのセット時に内部接続端子33の部位がそのバネ性により素子15の内周面15dの電極層に圧接されるように形成されている。なお、外部接続端子36をなす外周面の後端は面取り状に形成されており、接続用コード40を構成する端子金具43を被せ易く形成されている。また、接続用コード40は、端子金具43と、端子金具43を被覆するゴム製キャップ45(例えばフッ素系ゴムにて形成)と、リード線41と、一端側が端子金具43と当接しつつ電気的に接続し、他端側がリード線41に加締められ電気的に接続する加締め端子42とを有している。このうち、端子金具43は、端子部材31の外側に嵌合させて接続されたときに、自身は変形することなく、端子部材31の外部接続端子36を縮径させる剛性を有する材料(例えばインコネル178)から形成される。このような接続用コード40をガスセンサ1に取付けることで、リード線41を通じて、ガスセンサ1の検出素子15からの出力信号を外部装置(例えばECU)に送信することができる。
図4中に示した接続用コード40は、前記もしたが端子金具43を覆うように図示断面においてL字状をなすゴム製キャップ45を備えており、センサ1への装着時において、ゴム製キャップ45の開口寄り内側が、スリーブ25に弾性的に嵌合するように形成されている。なお端子部材31における38は、素子15に対する過挿入防止のストッパーであり、スリーブ25の後端27に係止するように外方に突出状に形成されている。そして、図中の39は、端子部材の挿入後における抜け止めであり、挿入時にはセラミック製スリーブ25の後端27のフランジ29の内周面にてバネ性によって絞り込まれてそのフランジ29を通過し、通過後はフランジ29の先端でバネ性により開放されて、その上方が広がる舌片状に、中間筒部34において切り込み状に形成されている。
このようなセンサ1は、図4に示したように、排気管Hに、ワッシャWを介してねじ込み方式で取付けられる。そして、端子部材31の外部接続端子36に、接続用コード40の端子金具43を被せることでその間の導通が保持され、センサとして使用される。一方、本形態のセンサ1においては、セラミック製スリーブ25の先端寄り部位を素子15の後端15b寄り部位の外周面15cに重なるように同軸状に配置して組立てられている。すなわち、シール材21は、本体2の内側において素子15の外周面の周りにのみ存在し、従来のように軸線方向において素子と端子部材とに跨がせて配置されていないため、シール材21の軸線方向長さL3を短くすることができる。このため、スリーブ25の押圧力によって圧縮充填された状態のシール材21における充填密度を高くすることができ、従来のセンサ構造に比してシール性能に優れたガスセンサ1を得ることができる。なお、本形態においてシール材の長さL3は4mmである。
しかも、シール材21の軸線方向における配置領域を小さくしつつ、スリーブ25のフランジ28の形成位置を先端26の外周面に設定したため、本体2の後端2bの位置を素子15の先端側に設定することができるから、センサの短小化ひいては小型化が図られる。また、その短小化が図られる分、センサ1を排気管Hに取り付けた際における排気管からセンサの後端までの長さL2を短くできるため、取り付けスペースを小さくできる。
さらに本形態では、接続用コード40におけるゴム製キャップ45が、セラミック製スリーブ25の外周面に軸線方向長さSを保持した状態で弾性的に嵌合(接触)されている。このため、ゴム製キャップ45に対する熱害も少なくできる上に、その取付けの安定が図られ、センサ内部に対する水、油の侵入防止効果も高く保持できる。
なお、上記の形態では、スリーブ押圧固定手段として、本体2の後端寄り部位におけるカシメによって、スリーブ25のフランジ(凸部)28を先端側に押圧した場合を例示したが、図5に示したようにしても具体化できる。図5は、スリーブ押圧固定手段の別例を示したもので、前記形態のそれとの相違点のみ説明し、同一部位には同一の符号を付すに止める。以下も同様とする。すなわち、本体2の後端寄り部位7bの外周面に、図示のようなL形断面を有するリング51を、その縦筒部52を介して外嵌し、平リング部53を介して、Oリングパッキング30を押圧するように配置しておく。そして、このリング51を介してスリーブを矢印Pで示したように先端側に押圧してシール材21を圧縮し、その状態の下で、縦筒部52の内周面と本体2の後端寄り部位7bの外周面との間を溶接してスリーブ25を本体2に固定したものである。
さらに、図6に示したように、本体2の後端寄り部位7bの外周面にネジ7cを設けておき、図示のようなL形断面を有するリング61における、縦筒部62の内周面にメスネジを設けておき、これを本体2のネジ7cにねじ込むことで、縦筒部62の上端内側に突出する平リング部63を介して、Oリングパッキング30を押圧することにより、スリーブ25を先端側に圧縮するようにしてもよい。
また、前記形態では、セラミック製スリーブ25における凸部を環状のフランジとしたが、このようなものに限定されるものでない。さらに、前記形態では、セラミック製スリーブ25における凸部をその先端に設けたが、この位置は、例えば図7に示したように、同スリーブ25の先端26よりも後端寄り位置としてもよい。図7では、その凸部28の先端面28aでもシール材21を圧縮するようにシール材が配置されている。
なお、図7においては、そのフランジ(凸部)28の先端面28aにおいてもシール材21を圧縮しているが、このような凸部は、シール材の圧縮を受け持たなくてもよい。図8はその一例を示したものであり、前記形態における拡径円筒内周面8のテーパ面6寄り部位8bの内径を小さくし、シール材21の外径を小さくしたものである。この図8のものにおいては、スリーブ25の先端寄りにあるフランジ(凸部)28を除くスリーブの先端26のみにてシール材21の圧縮を行なう構成とされている。このことからも理解されるが、凸部28の軸線G方向における位置は、シール材の使用量の低減化の観点からはいずれにあってもよい。ただし、後端側にするほど、本体の後端部が後方に位置することとなる。また、凸部28の軸線G方向における厚さが厚い場合も同様である。
また、上記した各実施の形態では、スリーブ25の先端26がシール材21を直接圧縮する構造のものを例示したが、図9に示したように、図2において、スリーブ25の先端26とシール材21の後端(後端面)22との間に、一定厚さの雲母やSUS430等によりなる環状板部材71を介在させて圧縮するようにしてもよい。このような環状板部材71を介在させる場合には、次のような効果がある。というのは、スリーブ25の内周面と検出素子15の外周面15cとの間の隙間を小さく設定した場合、スリーブ25の配置(セット)時において検出素子15が金具本体2の軸線に対して偏心して配置を生じていることがあると、素子15に過度の応力がかかって素子15が割れるなどの破損を生じるおそれがある。このような破損防止のため、素子15の外周面とスリーブ25の内周面との間には、ある程度の隙間を設ける必要がある。一方、このような隙間が大きくなるほど、その隙間からのシール材21のはみ出しや漏出等の不具合を招くおそれがある。ところが、図9に示したように、スリーブ25の先端26とシール材21の後端22との間に、環状板部材71を介在させた場合には、この環状板部材71の内周面と素子15の外周面との隙間を小さくしておくことで、このような不具合の発生を防止できる。つまり、図9に示したように環状板部材71を介在させることで、素子15の外周面とスリーブ25の内周面との隙間を大きくせざるを得ない設計とする場合においても、その隙間からのシール材のはみ出し等を防止できるという効果がある。
さらに、前記形態ではセラミック製スリーブが、その後端から端子部材の後端寄り部位を突出させて、その端子部材の外周面を包囲する構成のものとしたが、本発明において、同スリーブはこのようなものに限定されるものではない。すなわち、スリーブの長さは適宜に設定すればよく、また、端子部材は、それへの接続用のコードの端子が接続できれば良く、したがって、必ずしも、端子部材は、セラミック製スリーブの後端から突出していることを要しない。
また、セラミック製スリーブについては、その外周面を凸部を除いて同径(ストレート)のものとして具体化したが、テーパーが付けられていてもよい。とくに、後端(図示上端)に向って細い緩勾配のテーパーに形成したときは、コードの端子金具のゴム製キャップを嵌合させる場合、テーパー嵌合となるため安定した固定が得られる。
さらに、端子部材については、金属薄板を丸めて周方向において有端の筒状に形成したものとしたが、周方向に無端の管材で形成したものでもよい。なお、本発明におけるセラミック製スリーブは、絶縁性を有するセラミックであればよくアルミナに限定されるものではない。また、シール材についても、滑石や六方晶窒化ホウ素の粉末に限定されるものではない。
本発明のガスセンサの実施の形態を示す半断面正面図。 図1のA部(要部)拡大図。 図1のガスセンサの仕掛かり品(端子部材の組立て前)を示す断面正面図。 図1のガスセンサを排気管に取付け、ゴム製キャップ付きのコードの端子金具を端子部材に接続した状態の半断面正面図。 本発明のガスセンサにおけるスリーブ押圧固定手段の別例を示す要部拡大断面図。 本発明のガスセンサにおけるスリーブ押圧固定手段の別例を示す要部拡大断面図。 セラミック製スリーブにおける凸部の別例を示す要部拡大断面図。 セラミック製スリーブにおける凸部の別例を示す要部拡大断面図。 図2において、セラミック製スリーブの先端とシール材との間に環状板部材を介在させた要部拡大断面図。
符号の説明
1 ガスセンサ
2 金具本体
2b 金具本体の後端
7b 後金具本体の後端寄り部位
15 検出素子
15b 検出素子の後端
21 シール材
25 セラミック製スリーブ
26 セラミック製スリーブの先端
27 セラミック製スリーブの後端
28 セラミック製スリーブのフランジ(凸部)
31 端子部材
H 排気管

Claims (7)

  1. 先端が閉塞されて筒状をなすとともに内外周面に電極層を有する検出素子を、その外周面を包囲するように形成された金具本体内に位置決めして前記外周面の電極層を該金具本体に電気的に接続し、
    該検出素子の後端の開口に、端子部材をその先端側から内挿して前記内周面の電極層に電気的に接続してなるガスセンサであって、
    前記金具本体の内周面と前記検出素子の外周面との間の環状空間にシール材を配置し、
    外周面に凸部が設けられた筒状のセラミック製スリーブを、そのスリーブ後端を前記金具本体及び前記検出素子の後端より後方に位置させるとともに、そのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮可能に配置し、
    前記金具本体の後端寄り部位において、該セラミック製スリーブの前記凸部を介して該スリーブを先端側に押圧した状態で固定するスリーブ押圧固定手段によって、前記シール材を圧縮して前記金具本体と前記検出素子との間のシールを保持する構成のものにおいて、
    前記シール材を、前記金具本体及び前記検出素子の後端より先端側にのみ配置し、前記セラミック製スリーブを、前記検出素子に対して同軸状にかつそのスリーブ先端を前記検出素子の後端よりも先端側に位置させて前記シール材を先端側に圧縮する構成としたことを特徴とするガスセンサ。
  2. 前記凸部が、該セラミック製スリーブの先端又は先端寄り部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記セラミック製スリーブが前記端子部材の外周面を包囲する構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記スリーブ押圧固定手段が、前記スリーブにおける前記凸部の後部に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を、内側に加締めて被せてなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスセンサ。
  5. 請求項4に記載のガスセンサを製造するにあたり、前記セラミック製スリーブを、そのスリーブ後端を前記金具本体及び前記検出素子の後端より後方に位置させるとともに、そのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮可能に配置した後、前記セラミック製スリーブを先端側に押圧してそのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮した状態の下で、前記スリーブにおける前記凸部の後部に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を内側に加締めて被せることを特徴とするガスセンサの製造方法。
  6. 請求項4に記載のガスセンサを製造するにあたり、前記セラミック製スリーブを、そのスリーブ後端を前記金具本体及び前記検出素子の後端より後方に位置させるとともに、そのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮可能に配置した後、前記セラミック製スリーブを先端側に押圧してそのスリーブ先端によって前記シール材を先端側に圧縮するのと略同時に、前記スリーブにおける前記凸部の後部に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を内側に加締めて被せることを特徴とするガスセンサの製造方法。
  7. 請求項5又は6において、前記スリーブにおける前記凸部の後部に、前記金具本体の後端寄り部位の周縁を内側に加締めて被せた後で、前記端子部材をその先端側から前記スリーブ内に挿入し、前記検出素子の後端の開口に内挿して前記内周面の電極層に電気的に接続することを特徴とするガスセンサの製造方法。
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