JP4350597B2 - 帯電防止性樹脂組成物、帯電防止性樹脂塗料、光学フィルタ - Google Patents
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Description
従来、帯電防止性樹脂組成物としては、ITO(酸化錫ドープ酸化インジウム)やATO(酸化錫ドーブ酸化アンチモン)などの透明性無機導電性酸化物の微粒子を、UV硬化型アクリル樹脂などのハードコート樹脂に分散させたものが使用されていた。
そこで、ピロールのβ位に長鎖のアルキル基が導入されて溶媒に溶解可能にされた導電性高分子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、帯電防止性の安定性に優れ(高抵抗域での安定性に優れ)、透明性が高く、基材との密着性に優れ、しかも安価な帯電防止性樹脂組成物及び帯電防止性樹脂塗料を提供することを目的とする。さらには、これを用いた光学フィルタ、光情報記録媒体を提供することを目的とする。
ハードコート成分とを含有し、
前記分子内にアニオン基を有する可溶化高分子成分が、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリメタクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、これら重合体の塩のいずれかを含むことを特徴とする。
本発明の帯電防止性樹脂組成物においては、可溶性導電性高分子成分がさらにドーパントを含むことが好ましい。
本発明の帯電防止性樹脂塗料は、上述した帯電防止性樹脂組成物が溶媒に溶解又は分散してなることを特徴とする。
本発明の光学フィルタは、上述した帯電防止性樹脂組成物又は上述した帯電防止性樹脂塗料から形成された帯電防止性ハードコート層を有することを特徴とする。
本発明の光学フィルタ及び光情報記録媒体は、ハードコート層によってその下の層が保護されている。また、ハードコート層は透明性、帯電防止性の安定性、密着性に優れるから、光学フィルタ又は光情報記録媒体の品質が高くなる。
本発明の帯電防止性樹脂組成物は、可溶性導電性高分子成分とハードコート成分とを含有するものである。
<可溶性導電性高分子成分>
本発明における可溶性導電性高分子成分は、導電性高分子成分を、分子内にアニオン基及び/又は電子吸引性基を有する可溶化高分子成分に混合して、モノマー種や、置換あるいは無置換を問わずに高い溶媒溶解性を持たせたものである。
本発明における導電性高分子成分としては、抵抗値、コスト、反応性の点が有利であることから、置換あるいは無置換のポリアニリン、置換あるいは無置換のポリピロール、置換あるいは無置換のポリチオフェン、及びこれらから選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が挙げられ。特にポリピロール、ポリチオフェン、ポリN−メチルピロール、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−メトキシチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、これらから選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が好ましい。
特に、ポリN−メチルピロール、ポリ3−メチルチオフェンのようなアルキル置換化合物は溶媒溶解性を向上する効果が見られることから有利である。アルキル基の中では導電性に悪影響を与えることがないため、メチル基が好ましい.
また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)のようなアルキレンジオキシ置換化合物は水又は水と有機溶媒との混合溶液に溶解して使用することができる。
可溶化高分子成分は、分子内にアニオン基及び/又は電子吸引性基を有する高分子であり、導電性高分子成分を溶媒に可溶にするものである。
分子内にアニオン基を有する可溶化高分子成分としては、例えば、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステルから選ばれ、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるポリマーであって、アニオン基を有する構成単位の数をm、アニオン基を有さない構成単位の数をnとしたとき、m/n≦1であるものが挙げられる。
ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2,3,3−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,2−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の酸無水物と、オキシジアニリン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからのポリイミドを例示できる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6, 10等を例示でさる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を例示できる。
これらのうち、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸は、熱エネルギーを吸収して自ら分解することにより、導電性高分子成分の熱分解が緩和されるため、耐熱性、耐環境性に優れ、さらに、エステル基を有することから、ハードコート成分との相溶性、分散性に優れるので、特に好ましい。
さらに、可溶化高分子成分には、他のビニル化合物が共重合されていてもよく、ビニル化合物としては、ハロゲン化ビニル化合物、芳香族ビニル及び/又はその誘導体、複素環ビニル化合物及び/又はその誘導体、脂肪族ビニル化合物及び/又はその誘導体、アクリル化合物、ジエン化合物、マレイミド化合物が挙げられる。
他のビニル化合物の具体例としては、スチレン、ブタジエン、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロキシメタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、p−ビニルトルエンなどの重合性ビニル化合物が挙げられる。これらの他のビニル化合物を共重合することで溶媒溶解性やハードコート成分への相溶性をコントロールすることができる。
可溶性導電性高分子成分は、その導電性と耐熱性を向上させるために、ドーパントを含有することが好ましい。通常、ドーパントとしてはハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸などが用いられ、具体的には、有機カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸、有機シアノ化合物、フラーレン、水素化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレンなどが挙げられる。
有機シアノ化合物としては、ジクロロジシアノベンゾキノン(DDQ)、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレンなどが挙げられる。
可溶性導電性高分子成分を製造するには、可溶化高分子成分を、これを溶解する溶媒に溶解し、導電性高分子の前躯体モノマーと必要に応じてドーパントを加えて十分攪拌混合し、その混合物に酸化剤を滴下して重合を進行させる。これにより得られた可溶化高分子成分と導電性高分子との複合体から、酸化剤、残留モノマー、副生成物を除去、精製して可溶性導電性高分子成分を得る。
限外濾過とは、多孔質の限外濾過膜上で溶液を循環させながら、溶液中の液体を限外濾過膜に透過させて濾過する方法である。この方法では、限外濾過膜を挟み、循環溶液側と透過溶液側とで差圧が生じるため、循環溶液側の溶液の一部が透過溶液側に浸透して循環溶液側の圧力を緩和する。この循環溶液の浸透に伴って循環溶液中の限外濾過膜口径より小さい粒子、溶解イオン等の一部が透過溶液側に移動するので、粒子や溶解イオンを除去できる。使用する限外濾過膜は、取り除く粒子径、イオン種によって分画分子量1,000〜1,000,000の範囲から適宜選択できる。
本発明で用いられるハードコート成分は、硬化した際の塗膜の鉛筆硬度(JIS K 5400)がHより硬い硬度になる成分を含むものであり、硬化した際に、例えば、ポリエステル、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドシリコーン等のうちの1種又は2種以上になるものである。
また、ハードコート成分には、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶媒、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
ここで、熱エネルギーにより硬化する液状重合体としては、反応型重合体及び自己架橋型重合体が挙げられる。
反応型重合体は、置換基を有する単量体が重合した重合体であり、置換基としては、カルボキシル基、酸無水物、オキセタン系、グリシジル基、アミノ基などが挙げられる。具体的な単量体としては、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、ピメリン酸、アスコルビン酸、フタル酸、アセチルサルチル酸、アジピン酸、イソフタル酸、安息香酸、m−トルイル酸等のカルボン酸化合物、無水マレイン酸、無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸、ジクロル無水マレイン酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ピメリット酸等の酸無水物、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、アジドメチルメチルオキセタン等のオキセタン化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジル−p−アミノフェノールグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(すなわち、2,2−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン)等のグリシジルエーテル化合物、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N−ジグリシジル−5,5−ジアルキルヒダントイン等のグリシジルアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、DHP30−トリ(2−エチルヘクソエート)、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素、モノエチルアミン、メンタンジアミン、キシレンジアミン、エチルメチルイミダゾール等のアミン化合物、1分子中に2個以上のオキシラン環を含む化合物のうち、ビスフェノールAのエピクロロヒドリンによるグリシジル化合物、あるいはその類似物が挙げられる。
光エネルギーによって硬化する液状重合体を構成する単量体単位としては、例えば、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のアクリレート類、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アルキルメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート類、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーデル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、アクリロイルピペリジン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリル(メタクリル)アミド類、2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル等のビニルエーテル類、酪酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類の単官能モノマー並びに多官能モノマーが挙げられる。
本発明の帯電防止性樹脂塗料は、上記帯電防止性樹脂組成物が溶媒に溶解又は分散してなるものである。
ここで、溶媒としては、上記可溶性導電性高分子成分を溶解する溶媒と同じものを用いることができる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
また、ヘイズ(JIS K 6714)が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
さらに、表面抵抗値が1×104〜1×1013Ωであることが好ましい。
塗膜の光透過率、ヘイズ、表面抵抗値は、塗膜厚さにより調節できる。
このような性質の帯電防止性樹脂組成物及び帯電防止性樹脂塗料は、特に光学フィルタ、光情報記録媒体に好適に用いることができる。
次に、本発明の光学フィルタの一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の光学フィルタを示す。この光学フィルタ1は、フィルム基材10と、フィルム基材10上に形成された帯電防止性ハードコート層20(以下、ハードコート層20と略す)と、ハードコート層20上に形成された反射防止層30とを有して構成されている。
この光学フィルタ1をディスプレイ装置の表示面に貼り付ける際には、光学フィルタ1のフィルム基材10側の表面に透明な接着剤層を設け、その接着剤層を介して貼り付ける。
また、フィルム基材10はその表面にスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理が施されていることが好ましい。このような処理が表面に施されていれば、ハードコート層20に対する密着性をより高めることができる。
さらに、フィルム基材10の表面は、ハードコート層20を設ける前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化されていてもよい。
ハードコート層20の形成方法としては、フィルム基材10上に、帯電防止性樹脂組成物又は帯電防止性樹脂塗料を浸漬、コンマコート、スプレーコート、ロールコート、グラビア印刷などの公知の手法を用いて塗布し、その後、溶媒を乾燥、又は熱やUVによって硬化する方法が挙げられる。
反射防止層30は、乾式法、湿式法のいずれかによって形成できる。乾式法としては、例えば、電子ビーム蒸着法、誘電加熱式蒸着法、抵抗加熱蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のような物理気相堆積法やプラズマCVD法が挙げられる。乾式法で反射防止層30を形成する場合には、反射防止層30の成分として、例えば、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化スズなどの無機化合物を用いることができる。
また、湿式法としては、例えば、コンマコート、スプレーコート、ロールコート、グラビア印刷等の公知の手法により硬化性化合物を含む塗料を塗布し、これを硬化する方法が挙げられる。湿式法で反射防止層30を形成する場合には、硬化性化合物として、例えば、含フッ素有機化合物、含フッ素有機ケイ素化合物、含フッ素無機化合物などの含フッ素化合物を用いることができる。
防汚層としては、反射防止層30の反射防止機能を阻害せず、高い撥水性と撥油性を発揮し、汚染の付着を防止できるものであれば特に制限されず、有機化合物からなる層であってもよいし、無機化合物からなる層であってもよい。例えば、パーフルオロシラン基又はフルオロシクロアルキル基を有する有機ケイ素化合物や、フッ素有機化合物を含む層が挙げられる。
防汚層の形成方法は、その種類に応じて適宜選択でき、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のような物理気相堆積法又は化学気相堆積法、プラズマ重合法のような真空プロセス、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法などを採用できる。
そして、このような光学フィルタ1は、液晶画面やプラズマディスプレイ両面の反射防止フィルム、赤外吸収フィルム、電磁波吸収フィルム等に好適に用いられる。
本発明の光情報記録媒体の一実施形態例について説明する。
図2に、本実施形態例の光情報記録媒体を示す。この光情報記録媒体2は書換型ディスクであり、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレートなどからなる円盤状の透明性樹脂基板40、第1誘電体層50、光情報記録層60、第2誘電体層70、金属反射層80、帯電防止性ハードコート層90(以下、ハードコート層90と略す)が順次形成された構造を有したものである。
これらの誘電体層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の手段によって厚さ10〜500nmで形成される。
光情報記録層60が無機系の光磁気型記録材料からなる場合、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の手段によって厚さ10〜999nmで形成することができる。また、有機色素からなる場合、有機色素をアセトン、ジアセトンアルコール、エタノール、メタノール等の溶媒に溶解した溶液を公知の印刷方法又は塗布方法により厚さ10〜999nmで形成することができる。
ハードコート層90の厚さは3〜15μmであることが好ましい。3μmより薄いと、均一な膜を形成するのが困難になる傾向にあり、十分な帯電防止性、表面傷つき防止性、金属反射層80の酸化防止性を発揮できないことがある。一方、15μmより厚いと、内部応力が大きくなり、光情報記録媒体2の機械特性が低下するおそれがある。
(製造例1)電子吸引性基を含有する可溶化高分子成分の合成
アクリロニトリル50gとスチレン10gをトルエン500ml中に溶解し、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリルを1.5g加え、50℃で5時間重合した。その後、重合により生成したポリマーをメタノールで洗浄した。
(製造例2)アニオン基を含有する可溶化高分子成分の合成
イオン交換水(100ml)に、43.4gのメタクリル酸エチルスルホン酸ナトリウム(商品名:アントックス。日本乳化剤社製)を加え、掻き混ぜながら80℃に保ち、予め10mlのイオン交換水に溶解した0.114gの過硫酸アンモニウムと0.04gの硫酸第二鉄の複合酸化剤溶液を加えた後、80℃に保ちながら3時間攪拌した。
反応終了後、反応溶液を室温まで冷やし、それに1000mlのイオン交換水を添加し、そして50質量%硫酸水溶液を30g加えてから、溶液を300mlまで濃縮した。この操作を4回繰り返した。
さらに、2000mlのイオン交換水を加え300mlまで濃縮する操作を透過溶液が中性になるまで繰り返し、得られた濃縮溶液をオーブン中で乾燥してポリメタクリル酸エチルスルホン酸を得た。
(製造例3)アニオン基を有する成分と電子吸引性基を有する成分との共重合体を含有する可溶化高分子成分の合成
アクリル酸エチルスルホン酸ナトリウム40gとメタクリロニトリル20gをアセトニトリルとイオン交換水(7:3)500mlに加えて、掻き混ぜながら80℃に保ち、予め10mlのイオン交換水に溶解した0.14gの過硫酸カリウムと0.04gの硫酸第二鉄の複合酸化剤溶液を加えた後、80℃に保ちながら3時間攪拌した。
反応終了後、反応溶液を室温まで冷やし、それに1000mlのイオン交換水を添加し、そして50質量%硫酸水溶液を30g加えてから、溶液を300mlまで濃縮した。この操作を4回繰り返した。
さらに、2000mlのイオン交換水を加え300mlまで濃縮する操作を透過溶液が中性になるまで繰り返し、得られた濃縮溶液をオーブン中で乾燥してアクリル酸エチルスルホン酸とメタクリロニトリルとの共重合体を得た。
(実施例1)
製造例1の可溶化高分子成分10gをアセトニトリル90gに溶解し、チオフェン50gとオクタデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム20gを加え、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gをアセトニトリル1250mlに溶解した酸化剤溶液を、20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けてチオフェンを重合した。
反応終了後、チオフェンの重合体を含む溶液に2000mlのメタノールを加え、限外濾過法により洗浄して沈殿物をろ過し、この沈殿物をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して濃度5質量%として可溶性導電性高分子の溶液を調製した。
この可溶性導電性高分子溶液にエチルビニルエーテルを混合し、その混合液にハードコート成分であるポリエステルアクリレート(東亜合成社製)を混合し、攪拌して帯電防止性樹脂塗料を得た。
製造例1の可溶化高分子成分10gをアセトニトリル90gに溶解し、ピロール50gを加え、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gをアセトニトリル1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けてピロールを重合した。
反応終了後、ピロールの重合体を含む溶液に2000mlのメタノールを加え、限外濾過法により洗浄して沈殿物をろ過し、この沈殿物をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して濃度5質量%として可溶性導電性高分子の溶液を調製した。
この可溶性導電性高分子溶液にジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを混合し、その混合溶液にハードコート成分であるエポキシアクリレート(日本触媒社製)を混合し、攪拌して帯電防止性樹脂塗料を得た。そして、この帯電防止性樹脂塗料を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
製造例2の可溶化高分子成分10gをアセトニトリル90gに溶解し、3−メトキシチオフェン50gとp−トルエンスルホン酸ナトリウム25gを加え、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、塩化第二鉄250gをアセトニトリル1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けて3−メトキシチオフェンを重合した。
反応終了後、3−メトキシチオフェンの重合体を含む溶液に2000mlのメタノールを加え、限外濾過法により洗浄して沈殿物をろ過し、この沈殿物をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して濃度5質量%として可溶性導電性高分子の溶液を調製した。
この可溶性導電性高分子溶液にハードコート成分であるテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルを混合し、その混合溶液に架橋剤としてAl(OH)3を混合し、攪拌して帯電防止性樹脂塗料を得た。そして、この帯電防止性樹脂塗料を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
製造例3の可溶化高分子成分10gを水90gに溶解し、ピロール50gを加え、−20℃に冷却しながら、1時間攪拌した。
この溶液に、過硫酸アンモニウム200gを水1250mlに溶解した酸化剤溶液を、−20℃を保ちながら2時間かけて滴下し、さらに12時間攪拌を続けてピロールを重合した。
反応終了後、限外濾過法により洗浄して沈殿物をろ過し、この沈殿物を濃度5質量%になるまで濃縮して可溶性導電性高分子の溶液を調製した。
この可溶性導電性高分子溶液にアリルメタクリレートを混合し、その混合溶液にハードコート成分であるウレタン系アクリレート(根上工業社製)を混合し、攪拌して帯電防止性樹脂塗料を得た。そして、この帯電防止性樹脂塗料を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
ITOパウダ15g、ジメチルホルムアミド(DMF)60g、エタノール75g、及びジルコニアビーズ200gを混合し、ボールミルを用いて約1〜24時間攪拌し、その後、得られたITOコロイド液のpHを2〜8の範囲に調整した。このITOコロイド液を、メタノール、エタノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1−メトキシ2−プロパノールの混合溶剤で、ITO濃度が1.0〜1.5質量%になるように希釈してITOコロイドコーティング溶液を調製した。
得られたITOコロイドコーティング溶液をフィルム基材のハードコート層上に300rpmの速さでスピンコートしてITO層を形成した。次いで、このITO層の上にシリカコーティング溶液を300rpmの速さでスピンコートし、100℃30分間加熱してフィルム基材/ハードコート層/ITO層/シリカ層を有する積層体を得た。
この積層体の評価結果を表1に示す。
一方の面に粘着層とカバーフィルムとが積層されたPETフィルム(フィルム基材)の他方の面をコロナ処理した。次いで、そのPETフィルムのコロナ処理した面に実施例1の帯電防止性樹脂塗料をコンマコーターにより塗布した。乾燥後、高圧水銀灯の露光により硬化して帯電防止性を有するハードコート層を形成した。次いで、ハードコート層上に、内部に微細な空孔を有する中空シリカのエタノール分散液(触媒化成工業(株)製、固形分濃度15.6質量%)80gにエタノール42.0gを加えた溶液を塗布した。その後、乾燥し、100℃1時間熱処理して90mmの反射防止層を形成して光学フィルタを得た。
[可視光透過率・ヘイズ・表面抵抗測定]可視光透過率は96.3%、ヘイズは0.4%、表面抵抗値は1×105Ωであった。
[鉛筆硬度試験] JIS S 6006に規定された試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400に従い、1Kgの荷重の際に傷がまったく認められない硬度を測定したところ、鉛筆硬度は2Hであった。
[密着性試験]碁盤目テープ法(JIS K 5400)に準じて密着性試験を行った。具体的には、光学フィルムの反射防止層側の表面にカッターにより1mm間隔で縦横各11本の切込みを入れた(計100個の正方形マス目を形成させた)。これに粘着テープを貼った後、剥離して、PETフィルム上に残ったマス目の数をカウントした。その結果、この光学フィルムでは、100個のマス目が全て残っていた(100/100)。
すなわち、この光学フィルタは、ハードコート層が充分な硬度を有し、透明性、帯電防止性、基材との密着性に優れたものであった。
射出成形により形成した円盤状のポリカーボネート基板上に、スパッタリング法により、第1誘電体層として300nmのTa2O5を形成し、光情報記録層として500nmのTb−Fe層を形成し、第2誘電体層として300nmのTa2O5を形成し、金属反射層として100nmのアルミニウム層を形成した。次いで、金属反射層上に、実施例1の帯電防止性樹脂塗料をコンマコーターで塗布し、乾燥後、高圧水銀灯の露光により硬化して帯電防止性ハードコート層を形成して光情報記録媒体を得た。この光情報記録媒体を以下のように評価した。
実施例5と同様に表面抵抗測定、鉛筆硬度測定、密着性試験を行ったところ、この光情報記録媒体の表面抵抗値は1×105Ω、帯電防止性ハードコート層の鉛筆硬度は2H、密着性試験では100個のマス目が全て残っていた。
[透過率測定]光情報記録媒体の読み取り用レーザダイオードの発光波長である780nmと635nmでの帯電防止性ハードコート層の透過率を分光光度計により測定した。その結果、780nmでの透過率は98.9%、635nmの透過率は98.6%であった。
すなわち、この光情報記録媒体は、波長780nmと635nmでの透明性に優れる上に、帯電防止性、耐傷つき性、帯電防止性ハードコート層と基材との密着性が優れたものであった。
2 光情報記録媒体
10 フィルム基材
20,90 帯電防止性ハードコート層(ハードコート層)
Claims (4)
- 分子内にアニオン基及び/又は電子吸引性基を有する可溶化高分子成分と導電性高分子成分とを含む可溶性導電性高分子成分と、
ハードコート成分とを含有し、
前記分子内にアニオン基を有する可溶化高分子成分が、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリメタクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、これら重合体の塩のいずれかを含むことを特徴とする帯電防止性樹脂組成物。 - 可溶性導電性高分子成分がさらにドーパントを含むことを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の帯電防止性樹脂組成物が溶媒に溶解又は分散してなることを特徴とする帯電防止性樹脂塗料。
- 請求項1若しくは2に記載の帯電防止性樹脂組成物又は請求項3に記載の帯電防止性樹脂塗料から形成された帯電防止性ハードコート層を有することを特徴とする光学フィルタ。
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