JP4343902B2 - 薬剤払出装置 - Google Patents
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Description
本発明は、薬剤を1つずつ払い出すことが可能な薬剤払出装置に関するものである。
背景技術
従来、薬剤は、保管棚に引き出し可能に設けたカセット内に収容されている。そして、必要に応じて保管棚からカセットを引き出し、カセット内に収容された薬剤を取り出すことができるようになっている(例えば、特開平10−201825号公報参照)。
しかしながら、前記保管棚では、引き出したカセットの上方開口部より薬剤を把持する必要があるので、カセットの配設位置によっては収容した薬剤の取出が困難な場合がある。また、カセット内の薬剤の収容数が多くなると、カセットの引き出し自体が困難となるばかりか、カセットの奥側に収容した薬剤が取り出しづらいという問題がある。また、例えば、抗がん剤等の使用が厳しく制限されている薬剤の場合、この薬剤が自由に取り出させるのでは問題がある。一方、施錠する等の構成にするのは、作業性の悪化をもたらし、施錠が確実に行われているか否かの確認も必要となる。
そこで、本発明は、カセットをコンパクトにすることにより高密度に配設し、所望数量の薬剤を確実に払い出すことができる薬剤払出装置を提供することを課題とする。
発明の開示
本発明は、前記課題を解決するための手段として、払出装置本体と、該払出装置本体に着脱され、薬剤が整列して収容されるカセットと、該カセット内の薬剤を一端側に向かって押し出す押出手段とを備えた薬剤払出装置であって、
前記カセットは、収容する薬剤を整列状態とするための蓋体、及び、内部の長手方向に配置される係止受部を備え、
前記押出手段は、前記カセット内に収容され、薬剤に当接する当接部と、該当接部を薬剤に付勢することにより、薬剤を押圧してカセットの一端側から整列させる付勢部と、前記蓋体の開放時にのみ前記カセットの係止受部に係止することにより、前記付勢部の付勢力に基づいて前記当接部が薬剤を押圧することを防止する係止部とを備え、前記当接部を移動させる際、係止部を係止受部から脱落させて当接部を任意の位置に移動させて位置決め可能としたものである。
この構成により、カセットをコンパクトに構成することができ、払出装置本体に高密度で配設することができる。また、付勢部の働きにより特別な駆動源を必要とすることなく、薬剤を簡単に取り出すことができる。さらに、押出手段は、蓋体を開放した状態では係止部が係止受部に係止されるので、薬剤の補給時等に薬剤が脱落する等の不具合は発生しない。
前記押出手段は、ケーシング内に付勢部及び係止部を収容すると共に、前記ケーシングの一端面を当接部とする構成とすると、簡単かつコンパクトに形成することが可能となる点で好ましい。
前記カセットは、払出装置本体から取り外した状態で、収容した薬剤の脱落を防止する脱落防止手段を備え、
前記払出装置本体は、前記カセットを装着された際、前記脱落防止手段による脱落防止を解除する解除部と、前記カセット内の薬剤を1つずつ払出可能とする払出部とを備えると、払出装置本体からカセットを着脱する際、薬剤が脱落する心配がなく、しかも薬剤を確実に1つずつ払い出すことができる点で好ましい。
前記係止受部は、カセットの長手方向に沿って並設される複数の凹部からなる係止ラックで構成され、前記係止部は、蓋体の開閉動作に従って回動し、前記係止ラックに噛合するギア部を備えると、簡単な構成であるにも拘わらず、蓋体開放時の押出手段の位置決めを確実に行うことが可能となる点で好ましい。
前記押出手段は、前記係止ラックに噛合するギア及び該ギアに一体化されたオイルダンパを備え、前記付勢部は定荷重バネで構成すると、押出手段による薬剤の押出動作を無理なくスムーズに行うことが可能となる点で好ましい。
前記払出部は、薬剤を1つずつ保持可能な円弧面を備えたロータで構成し、該ロータは、回転軸に設けたギアを介して動力を伝達されて回転し、該ギアには、ロッドに形成したラックを噛合し、該ロッドを往復移動可能な構成とすればよい。
この構成により、ロッドを往復移動させるだけで、予め噛合させたラック及びギアを介してロータを回転させることができ、安定性に優れた動作を得ることが可能である。
また、前記払出部は、薬剤を1つずつ保持可能な円弧面を備えたロータで構成し、該ロータは、回転軸に設けたギアを介して動力を伝達されて回転し、該ギアには、回転駆動する駆動ギアが噛合し、該駆動ギアは、複数のカセットの各ロータのギアに対して接離可能な構成とすると、単一の駆動ギアで複数のカセットから薬剤を払い出させることが可能となる点で好ましい。
前記脱落防止手段は、カセットの一端開口部に設けた板バネからなり、該板バネは、カセットから薬剤が脱落することを防止する脱落防止位置から、前記払出部による薬剤の払出を許容する薬剤払出位置に弾性変形可能とするのが好ましい。
これにより、簡単な構成であるにも拘わらず、払出装置本体からカセットを取り外した状態で、板バネによりカセットから薬剤がこぼれ落ちることを確実に防止することができる。また、カセットを払出装置本体に装着した状態で、板バネにより薬剤が弾性支持された状態となるので、薬剤の払出をスムーズに行うことが可能となる。
前記板バネは、ロータの回転により、該ロータの円弧面に受け止めた先頭の薬剤をカセットから払い出す際、次の薬剤の位置を移動させることがないように、前記先頭の薬剤を弾性支持するようにすると、ロータの回転動作をスムーズに行わせることが可能となる点で好ましい。
前記払出装置本体は、前記カセットの払出部を駆動して薬剤を払い出すためのプッシャーと、該プッシャーに連動して前記カセットに係脱する係止保持部材とを備えると、薬剤払出中のカセットを不用意に取り外すといった不具合を防止可能となる点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は本実施形態に係る薬剤払出装置の正面図である。
図2は薬剤払出装置の側面断面図である。
図3は薬剤払出装置の背面側に於けるカセットの装着状態を示す部分斜視図である。
図4Aは薬剤払出装置の背面側に於けるカセットの装着前の状態を示す側面図である。
図4Bは、図4Aの装着後の状態を示す側面図である。
図4Cはカセットの背面図である。
図4Dはストッパを示す側面図である。
図5はカセットの背面側から見た斜視図である。
図6はカセット内の部分斜視図である。
図7は押出ユニットの斜視図である。
図8Aはカセットの蓋体を開放した状態での押出ユニットが位置する部分での断面図である。
図8Bは押出ユニットの側面図である。
図8Cは図8Bの平面図である。
図9Aはカセットの蓋体を閉塞した状態を示す断面図である。
図9Bは押出ユニットの側面図である。
図10はローター駆動部材の退避位置での側面図である。
図11はローター駆動部材の待機位置での側面図である。
図12はローター駆動部材の駆動位置での側面図である。
図13は収集リフターの正面図である。
図14は搬送コンベアユニットの平面図である。
図15は払出装置本体の前面に設けられる操作パネルの正面図である。
図16は払出装置本体の前面に設けられる表示パネルの正面図である。
図17はカセット前面の表示部の正面図である。
図18はカセット側面に設けられる被検出部の例を示す斜視図である。
図19は他の実施形態に係るカセットの背面側から見たロータ装着前の状態を示す斜視図である。
図20は他の実施形態に係るカセットを背面側から見たロータ装着後の状態を示す斜視図である。
図21は他の実施形態に係るカセットを収容棚に装着した払出装置本体の背面側から見た状態を示す斜視図である。
図22は図21とは異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
図23は他の実施形態に係るカセットを収容棚に装着する前の状態を示す部分平面図である。
図24は他の実施形態に係るカセットを収容棚に装着した後の状態を示す部分平面図である。
図25A〜Cは他の実施形態に係るカセットを示す断面図である。
図25Dは図25Cのロータの押圧部材を示す正面図である。
図25Eは図25Cの初期位置を示す正面図である。
図25Fは図25Cの押込位置を示す断面図である。
図26Aは他の実施形態に係るカセットの部分斜視図である。
図26Bは図26Aの平面図である。
図27Aは他の実施形態に係るカセットの部分平面図である。
図27Bは図27Aの側面断面図である。
図27Cは動作状態を示す側面断面図である。
図28Aは他の実施形態に係るカセットの平面図である。
図28Bは突出位置を示す図28Aの側面図である。
図28Cは待機位置を示す図28Aの側面図である。
図29は、他の実施形態に係るプッシャーを示す斜視図である。
図30Aは図29に示すプッシャーの係止保持部材を突出位置に回動させた状態を示す部分平面図である。
図30Bは図30Aの正面図である。
図31Aは図29に示すプッシャーの係止保持部材を突出位置に回動させ、プッシャーロッドを突出させた状態を示す部分平面図である。
図31Bは図31Aの正面図である。
図32Aは図29に示すプッシャーの係止保持部材を退避位置に回動させた状態を示す部分平面図である。
図32Bは図32Aの正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
図1及び図2は、本実施形態に係る薬剤払出装置を示す。この薬剤払出装置は、払出装置本体1にマトリックス状にカセット2を装着したものである。各カセット2内の薬剤Dは、払出装置30により払出装置本体1の前面下方の払出口1aへと払い出される。
払出装置本体1は、カセット2を装着される複数の収容棚3を備える。各収容棚3の奥側には解除部と払出部とが形成されている。解除部は、図4Aに示すように、後述するストッパ解除部材13に当接する突起4で構成されている。払出部は、図3及び図4Aに示すように、回転軸の一端部に設けたギア5aを介して後述するロータ駆動部材31の働きにより回転するロータ5で構成されている。ロータ5は、切除されることにより形成された円弧面5bで、カセット2からの薬剤D(ここでは、アンプル)を受け止め、回転することにより、次の薬剤Dを外周面5cで支持し、円弧面5bで受け止めた薬剤Dのみを排出する。ロータ5の回転中心Oは、薬剤の排出経路の中心線Cよりも上方に位置する。また、円弧面5bは、最大外径の薬剤Dであっても1つだけ払い出すことができ、次の薬剤Dとは干渉しないような形状となっている。これにより、取り扱う外径寸法の異なる複数の薬剤Dについて、同一形状のロータ5を使用することが可能である。なお、1bは、カセット2の後端部をガイドするガイド片である。
カセット2は、図5に示すように、縦長の箱状で、上面が支軸6aを中心として回転自在に設けた蓋体6によって閉塞されている。蓋体6には、中央部に長手方向に延びる押え部7が形成され、収容した薬剤Dに当接して所望の整列状態を得ることができるようになっている。
カセット2の(払出装置本体1の前面側に位置する)一端面は、図17に示すように、カセット番号、収容される薬剤Dの名称、及び収容量を記載した表示部8となっており、その近傍には収容棚3に対してカセット2を閉鎖状態に維持するための係止部9が形成されている。なお、表示部8には、前記カセット番号等のほか、収容する薬剤D(アンプル)の外観写真や、その薬剤Dを識別するためのバーコード等を表示するようにしてもよい。
カセット2の他端側には、図4A乃至図4Dに示すように、脱落防止手段であるストッパ10が設けられている。ストッパ10は、カセット2の下面に形成した凹部2aに配置され、図4Dに示すように、両側から突出する軸部10aを中心として回動自在に支持されている。軸部10aの周囲には矩形部11が形成され、先端は略直角に屈曲した脱落防止部12となっている。ストッパ10は、ストッパ解除部材13によってカセット2から薬剤Dが脱落することを防止する閉鎖位置と、脱落を許容する開放位置とに位置決めされる。ストッパ解除部材13は、スプリング14によって水平方向に突出するように付勢されている。ストッパ解除部材13には、ガイド部15と逃し部16とが形成されている。ガイド部15は、前記ストッパ10の矩形部11を、その底面及び側面下部をガイドできるように断面コ字形となっている。逃し部16は、スプリング14の付勢力に抗してストッパ解除部材13を押し込むことにより、ストッパ10を回動自在とするように両側の壁面のみで構成されている。なお、13aは当接片で、この当接片13aを払出装置本体1の突起4によって押し込まれるようになっている。
カセット2の内部底面には、図6に示すように、長手方向に係止ラック17が形成されている。係止ラック17は、長手方向に所定ピッチで設けた複数の縦長の凹部17aで構成されている。
カセット2内には、図6乃至図9に示すように、押出手段である押出ユニット18が配設されている。押出ユニット18は、ケーシング19内に、定荷重バネ20(付勢部に相当)と、係止部材21(係止部に相当)を収容したものである。ケーシング19の一端面は押圧部19aを構成し、カセット2内に収容した薬剤Dに当接する。定荷重バネ20は、ケース内に収容したバネ部20aの一部を外部に伸縮可能に引き出した構成で、この引き出した部分の先端がカセット2の後端側に接続されている。係止部材21は、支軸21aを中心として回動自在に設けられ、一端の操作部22がケーシング19の上面から突出している。ケーシング19の上面は、係止部材21の操作部22が閉鎖した蓋体6によって押え付けられた際、その下面側に沿うように一部が傾斜面19bとなっている。また、係止部材21の他端にはギア部23が形成され、前記係止ラック17の各凹部17aに係脱可能となっている。ギア部23は自重により係止ラック17に係合する(勿論、スプリング等の付勢手段により係合方向に付勢するようにしてもよい。)。ギア部23の側方には、オイルダンパ25と、その回転軸25aに取り付けた補助ギア24とが設けられている。補助ギア24は、係止部材21と同様に係止ラック17の各凹部17aに係合し、オイルダンパ25の働きにより回転時に負荷がかかるようになっている。これにより、カセット2内に薬剤Dを充填した後、蓋体6を閉塞しても、押出ユニット18が急に移動して収容した薬剤Dに衝突するといった不具合の発生を防止することができる。押出ユニット18には被検出部(図示せず)が設けられ、収容棚3のロータ5の近傍に設けた残量検出センサ(図示せず)により検出可能となっている。これにより、カセット2内の薬剤Dの残量が少なくなったことを検出し、利用者に報知することが可能となる。
カセット2の側面には、図18に示すように、白抜き又は黒塗りの矩形枠を10箇所に並設された被検出部100が設けられている。両端2箇所の矩形枠は収容棚3へのカセット2の装着有無を検出するためのもので、他の8箇所でそのカセット2がいずれのカセットであるのかを特定可能である(8箇所であるから28=256種類まで対応でき、ここで使用する240個のカセット2に対して十分に対応可能である。)。この場合、被検出部100の一部を収容棚3の行又は列の違いに応じたものとし、残りをカセット番号の検出に利用すれば、カセット2に被検出部100を形成する作業を簡略化することが可能となる。また、カセット2の装着有無の検出には、ロータ5側から1番目の矩形枠を白抜き(有)とし、2番目の矩形枠を黒塗り(無)とすることにより、両矩形枠を利用するようにしてもよい。これによれば、収容棚3へのカセット2の装着途中に、1、2番目の矩形枠が同時に検出されてカセット有りと判断されることがなくなる。
なお、26は案内ガイドで、カセット2の内部底面の長手方向に形成したガイド溝27を摺接することにより押出ユニット18の動作を安定させている。
払出装置30は、図2に示すように、ロータ駆動部材31により従動ギア5aを介してロータ5を回転させ、カセット2から薬剤を収集リフター47に排出し、搬送コンベアユニット60から図示しない受渡ユニットを介して払出装置本体1の前面下方の払出口1aへと払い出す。
ロータ駆動部材31は、図10乃至図12に示すように、収集リフター47に固定したガイド板32に駆動モータ33と、回動板34とを設け、駆動モータ33の回転軸に設けた駆動ギア33aから回動板34に設けた中間ギア34a,34b,34c,34dを介して動力伝達ギア34eを回転させるようにしたものである。回動板34は、中間ギア34aと共に、ガイド板32に支軸35を中心として回転自在に取り付けられている。また、中間ギア34cにはワンウェイクラッチが内蔵され、駆動モータ33を逆転駆動して一方向に回転するときにのみ動力が伝達され(図10中矢印a方向に回転し)、回動板34を略水平方向とした退避位置(図10)、及び、斜め下方に向かう待機位置(図11)に回動させることが可能である。回動板34に設けた第1マグネット320がセンサ310によって検出されることにより退避位置を特定して駆動モータ33を停止させることができる。また、回動板34に設けた第2マグネット321がセンサ311に検出されることにより待機位置を特定して駆動モータ33を停止させることができる。また、駆動モータ33を正転駆動した場合、中間ギア34cから回動板34には動力は伝達されず、回動板34は自重(スプリングにより付勢してもよい。)により鉛直下方に向かう駆動位置(図12)に位置する。この状態で、動力伝達ギア34eがロータ5の従動ギア5aに噛合し、駆動モータ33の駆動力が前記各ギア32a,34a,34b,34c,34d,34eを介して従動ギア5aすなわちロータ5を回転させる力として作用する。この場合、動力伝達ギア34eがロータ5の従動ギア5aに対して回転中心の下方側で噛合する。このため、回動板34の回転方向は、従動ギア5aに噛合しようとする方向と一致し、動力の伝達状態が安定する。また、回動板34自体は回動自在であるので、ロータ5のギア5aに対して動力伝達ギア34eが適切に噛合しない場合であっても、一旦、回動板34が回動し、動力伝達ギア34eの回転に従って適切な噛合状態を得ることができる。
収集リフター47は、図13に示すように、リフター筐体部47aの底面が、蝶番49で回動自在に連結した底板48及び落下高さ吸収板50で構成され、前記スペース容器20から回転体21を介して払い出された注射薬を収集する。底板48は開閉モータ51の駆動により、ギア52を介して回動する。落下高さ吸収板50は、前述のように、底板48の自由端縁部に蝶番49を中心として回動自在に連結されているため、収集コンベア63の上面に沿うように回動する。但し、落下高さ吸収板50を、それ自身が弾性変形するスポンジやブラシ等で構成すれば、蝶番49による連結は不要である。また、収集リフター47の上部にはソレノイド88が設けられている。収集リフター47は、昇降支持部54を介して上下のプーリー55に掛け渡したタイミングベルト56に連結され、昇降モータ59の駆動により、案内レール53に沿って昇降する。なお、57は、収集リフター47との重量バランスを図るための重りである。
収集リフター47の下方には、搬送コンベアユニット60が配設されている。搬送コンベアユニット60は、収集コンベア63と中央コンベア62を備えている。収集コンベア63は、収集コンベア駆動モータ65により駆動し、注射薬を中央コンベア62に搬送する。中央コンベア62は、モータ(図示せず)の駆動により、収集コンベア63から搬送された注射薬をさらに受渡しユニット61に搬送する。中央コンベア62の上部には、押込みシャッターベルト66と、この押込みシャッターベルト66と共に回転する押込みシャッター67とが設けられている。なお、搬送コンベアユニット60に於ける収集コンベア63と中央コンベア62の配置は、図14に示す通りである。
前記薬剤払出装置では、図17に示すように、各カセット2の前面に、収容した薬剤の番号、薬剤名称、及び容量を表示する表示部8が設けられている、また、払出装置本体1の前面上部には操作パネル200と、各カセット2の列毎に配置された表示パネル300とが設けられている。操作パネル200には、図15に示すように、スタートボタン、ストップボタン、薬品回収ボタン、及びキャンセルボタンと、オンライン、エラー、及び欠品の各LEDが設けられている。表示パネル300には、図16に示すように、カセット番号、エラーLED、欠品LEDが設けられている。操作パネル200で、オンラインLEDが点灯している際、動作可能である。カセット2内の薬剤がなくなり欠品エラーが発生すると、欠品LEDが緑色で点灯し、表示パネル300にカセット番号が表示されると共に欠品LEDが点灯する。これにより、どの列であるのかが一目で分かり、かつ、どのカセットであるのかを識別容易となる。他の薬剤の払出作業を続行する場合には、欠品エラーをキャンセルすることができ、各パネル200,300の欠品LED及び表示パネル300のカセット番号は緑点滅状態に変化する。また、カセット2自体にエラーが発生した場合には、各パネル200,300のエラーLEDが赤点灯すると共に、表示パネル300のカセット番号が赤点滅する。また、カセット2を未装着の場合は、各パネル200,300の欠品LEDが緑点滅し、表示パネル300のカセット番号が緑点灯する。
次に、前記構成の薬剤払出装置の動作について説明する。
カセット2に薬剤Dを補給する場合、払出装置本体1の収容棚3からカセット2を取り外す。このとき、ストッパ解除部材13がスプリング14の付勢力によって水平方向に突出し、ストッパ10を水平方向に回動させる。これにより、カセット2内の薬剤Dがストッパ10の脱落防止部12によって脱落を防止される。そして、カセット2の蓋体6を開放すると、係止部材21が回動し、そのギア部23が係止ラック17の凹部17aに係合する。しかし、係止部材21は回動自在な状態となっているので、押込ユニット18を定荷重バネ20の付勢力に抗して後端側に移動させると、係止部材21のギア部23が係止ラック17の凹部17aから脱落し、移動の妨げとなることはない。薬剤Dの収容作業が完了し、蓋体6を閉鎖すると、操作部22を介して係止部材21が回動し、ギア部23と係止ラック17との係合状態が解除される。このとき、押出ユニット18と薬剤Dとの間に隙間があったとしても、補助ギア24に連結したオイルダンパ25の働きにより、押出ユニット18はゆっくりと薬剤Dに近付き、薬剤Dを損傷させることなくスムーズに整列させる。そして、カセット2を払出装置本体1の収容棚3に収容すると、ストッパ解除部材13が当接片13aを突起4によって押し込まれ、ストッパ10が斜め下方に回動し、薬剤Dを排出可能となる。この状態では、薬剤Dにはロータ5の外周面5cが当接する。
ここで、図示しないホストコンピュータ等から処方箋情報が入力されると、その処方箋情報に基づいて該当する薬剤Dが収容されたカセット2まで収集リフター47が移動し、払出装置30の駆動により、収容棚3のロータ5が回転する。すなわち、駆動モータ33を駆動することにより、ギア32a,34a,34b,34c,34d,34e,5aを介してロータ5を回転させる。これにより、カセット2内の薬剤Dが順次1つずつ払い出される。払い出された薬剤Dは、収集リフター47に回収され、搬送コンベアユニット60と移送された後、図示しない受渡ユニットを介して払出装置本体1の前面下方の払出口1aへと払い出される。
なお、前記実施形態では、ロータ5を払出装置本体1の各収容棚3側に設けるようにしたが、図19及び図20に示すように、カセット2に一体的に設けるようにしても構わない。すなわち、カセット2の後端側にロータ装着部400を形成し、その側面に形成した貫通孔401よりロータ5を回転自在に装着するように構成することが可能である。ロータ5は、前述のように、回転中心が薬剤の排出経路の中心よりも上方に位置し、円弧面5bが最大外径の薬剤Dであっても1つだけ払い出すことができ、次の薬剤Dとは干渉しないような形状となっている。また、ロータ装着部400の底面は、カセット2の底面よりも下方に位置する逃がし部410となっている。そして、係止ラック17の両側から板バネ411が延設されている。
板バネ411は、ロータ5の円弧面5bによって受け止められた先頭の薬剤Dに圧接し、カセット2から脱落することを防止する。板バネ411は、最も外径の小さな薬剤Dであっても、ロータ5の円弧面5bによって保持することができるように薬剤Dに圧接する。また、板バネ411は、最も外径の大きな薬剤Dであれば、前記逃がし部410内に弾性変形し、前記ロータ5によって払出可能とする。したがって、外径寸法の異なる薬剤Dがそれぞれ収容されるいずれのカセット2であっても同一形状のロータ5を使用することができる。
板バネ411の先端は、図25Aに示すように、上方に向かって所定角度で屈曲させるのが好ましい。これにより、カセット2に収容した薬剤Dの不用意な飛び出しをより効果的に防止することが可能となる。この場合、板バネ411の先端屈曲部分により、ロータ5の円弧面5bの縁Eが、ロータ5の回転中心O1と、次の薬剤Dの中心O2とを結ぶ直線Sよりも上方に位置しないように、薬剤Dに弾性力を付与するようにすればよい。これにより、ロータ5が回転しても、その外周面5cによって次の薬剤Dが押し戻されることがなくなり、不要な負荷が作用しない結果、ロータ5をスムーズに回転させることが可能となる。
また、板バネ411は、カセット2の底面でなく、図25Bに示すように、天井面に設けるようにしてもよい。この場合、ロータ5は反対方向(図25B中、反時計回り方向)に回転させるようにすればよい。
また、板バネ411に代えて、図25Cに示すように、円弧面5bを含むロータ5の一部を押込可能に弾性支持した押圧部材520で構成することにより、薬剤Dの大きさの違いに対応するようにしてもよい。ここでは、押圧部材520は、図25Dに示すように、6箇所に設けたスプリング521により、図25Eに示す初期位置から、図25Fに示す押込位置まで押込可能に弾性支持されている。
また、カセット2に設けた係止部9に代えて、図21乃至図24に示すように、収容棚3側に係止部材402を設けるようにしてもよい。この場合、図23及び図24に示すように、カセット2の側面に係止凹部406を形成し、収容棚3側に係止部材402を配置すればよい。係止部材402としては、収容棚3へのカセット2の装着により本体403側に押込部404を押し込んで側方に突出する係止部405を備えた構成のものが使用可能である。係止部材402は、1回目の押込操作により係止部405を側方に突出させ、2回目の押込操作により係止部を押込部404内に没入させる。なお、407はスプリングで、その一端部はカセット3の底面から突出する係止片に、他端部はカセット3の底面にスライド自在に設けたロッドの一端部にそれぞれ係止されている。そして、収容棚3からカセット2を取り外す際、係止部材402による係止状態が解除されると、ロッドを介してスプリング407の付勢力が作用し、カセット2を払出装置本体1の前面から突出させる。スプリングの付勢力(線径、巻数、長さ等)は、収容棚3に収容されるカセット2の大きさや重さ、あるいは、収容棚3からカセット2を突出させる寸法等を考慮して決定する。
また、前記ロータ5に設けたギア5aには、図26に示すように、中間ギア501の大径歯車501bを噛合させ、その小径歯車501aをラックギア500に噛合させ、このラックギア500を往復移動させることによりロータ5を正逆回転させるようにしてもよい。ラックギア500の一端部には、押圧容易とするための押圧受片500aが設けられている。また、ラックギア500の他端にはスプリング502が配設され、ラックギア500がカセット2から突出方向に付勢されている。ここでは、中間ギア501の大径歯車501bの歯数が20であるのに対し、小径歯車501aの歯数は14に設定されている。これにより、ラックギア500のストローク量を16mmとしただけで、ロータ5を240度回転させること、すなわち短いストロークでロータ5を所望の角度回転させることが可能となっている。
また、前記ロータ5に設けたギア5aには、図27Aに示すように、接離可能に動作する第1ギア510を噛合させるようにしてもよい。第1ギア510は、ロッド511の先端に設けた略コ字形の支持片512に回転可能に支持され、支持片512に固定したモータ513の駆動により回転する。ロッドは、支持体514の先端にスプリング515によって突出方向に付勢された状態で取り付けられている。支持体514は、側面4箇所を回転自在なローラ516によってガイドされ、往復移動可能となっている。支持体514の側面にはラック517が形成され、このラック517には進退用モータ518の回転軸に設けた第2ギア519が噛合している。そして、進退用モータ518を駆動すると、図27B及び図27Cに示すように、第2ギア519及びラック517を介して支持体514が進退し、第1ギア510をロータ5のギア5aに接離する。
また、前記ロータ5に設けたギア5aには、図28Aに示すように、スプリング520によって突出方向に付勢されたラックギア521を噛合し、このラックギアの端部をプッシャー522で押圧することにより、ロータ5を回転可能としてもよい。プッシャー522は、プッシャー本体523にラックギア524をスライド可能に配置し、このラックギア524の先端にプッシャーロッド525を固定したものである。ラックギア524は、モータ526の回転軸に一体化した駆動ギア527が噛合し、このモータ526を駆動することによりスライド移動する。ラックギア524は、3箇所に設けたセンサ528a、528b、及び、528cによって、プッシャーロッド525でラックギア521を押し込む突出位置(図28A及び図28B参照)、プッシャーロッド525を突出させる前の待機位置(図28C参照)、及び、収集リフター47の底板48を開放する際に、この底板48との干渉を避ける回避位置をそれぞれ検出される。
また、前記プッシャー522は、図29に示すように、係止保持部材529を備えた構成としてもよい。係止保持部材529は、板状で、一端側に係止爪部530が突設されている。係止爪部530は、係止保持部材529よりも幅狭である。係止爪部530の先端は、側方に向かって屈曲し、カセット2の後端側面に形成した係止孔2bに係脱する。また、係止保持部材529には、他端側に、先端に向かうに従って徐々に斜め側方に傾斜する傾斜片531が延設されている。また、係止保持部材529には、傾斜片531から前記係止爪部530の近傍にかけて側縁部に沿う長穴532が形成されている。
前記係止保持部材529は、プッシャー本体523から延設された支持片534に支軸535を中心として回動自在に連結されている。また、係止保持部材529の長穴532には、ラックギア521の上面から突出するガイドピン536が摺動自在となっている。ガイドピン536が長穴532の直線部532a(ラックギア521の突出方向に沿う部分)を摺動する際、係止保持部材529は、図30A及びBに示すように、ラックギア521に沿う突出位置に回動し、この突出位置で、係止爪部530をカセット2の係止孔2bに係止可能である。また、ガイドピン536が長穴532の傾斜部532b(傾斜片531に形成された部分)を摺動する際、係止保持部材529は、図32A及びBに示すように、ラックギア521に対して傾斜した退避位置に回動する。この退避位置では、プッシャー522を各カセット2へ移動させても、係止保持部材529がカセット2と干渉することはない。
前記構成の係止保持部材529を備えたプッシャー522では、処方箋情報に従って薬剤Dを払い出す場合、カセット2から薬剤Dを払い出すことができるだけでなく、収容棚3からカセット2を取り外すことができないようにすることが可能である。
すなわち、プッシャー522を該当する薬剤Dが収容されたカセット2に移動させ、モータ526を駆動し、ラックギア524を前進させると、この前進動作に伴って、図30A及びBに示すように、ガイドピン536が長穴532の傾斜部532bから直線部532aへと摺動し、係止保持部材529が支軸535を中心として退避位置から突出位置へと回動する。これにより、係止爪部530がカセット2の係止孔2bに係止してロック状態となることにより、払出処理中のカセット2を収容棚3から取り外すことができなくなる。
そして、前記ロック状態で、図30A,B及び図31A,Bに示すように、モータ526を正逆回転駆動することにより、ラックギア524を往復移動させ、プッシャーロッド525でラックギア521を処方箋情報に従って所定回数押圧することにより、ロータ5を回転させて所定数量の薬剤を払い出す。この間、ガイドピン536は長穴532の直線部532aで往復移動するので、係止保持部材529によるロック状態が維持される。
その後、薬剤の払出が終了すれば、モータ526を逆回転駆動することにより、図32A及びBに示すように、ラックギア524を後退させる。これにより、ガイドピン536が長穴532の直線部532aから傾斜部532bへと摺動し、係止保持部材529は退避位置に回動する。このため、係止爪部530がカセット2の係止孔2bから離脱し、このカセット2を収容棚3から取り外すことが可能となる。
このように、プッシャー522に係止保持部材529を設けるようにしたので、個々の収容棚3にロック機構を必要とすることなく、払出処理中のカセット2が取り外されて装置内に薬剤Dが残留するといった不具合を防止することができる。また、払出処理中のカセット2のみをロック状態とすることができるので、他のカセット2で薬剤の充填作業等を行うことが可能となり、作業性を向上させることが可能となる。また、個々の収容棚3にロック機構を設ける場合には、それぞれについてオン・オフ制御を行う必要が生じ、コストアップを招来するが、本実施形態では、プッシャー522に係止保持部材529を設けだけの構成で、安価に対応することが可能となる。
Claims (10)
- 払出装置本体と、該払出装置本体に着脱され、薬剤が整列して収容されるカセットと、該カセット内の薬剤を一端側に向かって押し出す押出手段とを備えた薬剤払出装置であって、
前記カセットは、収容する薬剤を整列状態とするための蓋体、及び、内部の長手方向に配置される係止受部を備え、
前記押出手段は、前記カセット内に収容され、薬剤に当接する当接部と、該当接部を薬剤に付勢することにより、薬剤を押圧してカセットの一端側から整列させる付勢部と、前記蓋体の開放時にのみ前記カセットの係止受部に係止することにより、前記付勢部の付勢力に基づいて前記当接部が薬剤を押圧することを防止する係止部とを備え、前記当接部を移動させる際、係止部を係止受部から脱落させて当接部を任意の位置に移動させて位置決め可能としたことを特徴とする薬剤払出装置。 - 前記押出手段は、ケーシング内に付勢部及び係止部を収容すると共に、前記ケーシングの一端面を当接部とする構成であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出装置。
- 前記カセットは、払出装置本体から取り外した状態で、収容した薬剤の脱落を防止する脱落防止手段を備え、
前記払出装置本体は、前記カセットを装着された際、前記脱落防止手段による脱落防止を解除する解除部と、前記カセット内の薬剤を1つずつ払出可能とする払出部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出装置。 - 前記係止受部は、カセットの長手方向に沿って並設される複数の凹部からなる係止ラックで構成され、前記係止部は、蓋体の開閉動作に従って回動し、前記係止ラックに噛合するギア部を備えることを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出装置。
- 前記押出手段は、前記係止ラックに噛合するギア及び該ギアに一体化されたオイルダンパを備え、前記付勢部は定荷重バネで構成したことを特徴とする請求項4に記載の薬剤払出装置。
- 前記払出部は、薬剤を1つずつ保持可能な円弧面を備えたロータで構成し、該ロータは、回転軸に設けたギアを介して動力を伝達されて回転し、該ギアには、ロッドに形成したラックを噛合し、該ロッドは往復移動可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の薬剤払出装置。
- 前記払出部は、薬剤を1つずつ保持可能な円弧面を備えたロータで構成し、該ロータは、回転軸に設けたギアを介して動力を伝達されて回転し、該ギアには、回転駆動する駆動ギアが噛合し、該駆動ギアは、複数のカセットの各ロータのギアに対して接離可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の薬剤払出装置。
- 前記脱落防止手段は、カセットの一端開口部に設けた板バネからなり、該板バネは、カセットから薬剤が脱落することを防止する脱落防止位置から、前記払出部による薬剤の払出を許容する薬剤払出位置に弾性変形可能であることを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
- 前記板バネは、ロータの回転により、該ロータの円弧面に受け止めた先頭の薬剤をカセットから払い出す際、次の薬剤の位置を移動させることがないように、前記先頭の薬剤を弾性支持することを特徴とする請求項8に記載の薬剤払出装置。
- 前記払出装置本体は、前記カセットの払出部を駆動して薬剤を払い出すためのプッシャーと、該プッシャーに連動して前記カセットに係脱する係止保持部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出装置。
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