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JP4342622B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

排ガス浄化用触媒 Download PDF

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  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は排ガス浄化用触媒に関する。本発明は、自動車排ガス中の特にNOx(窒素酸化物)を浄化する触媒として用途の限定なく利用できるものであるが、とりわけディーゼルエンジン排ガス浄化用に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来、いわゆる三元触媒をディーゼルエンジン排ガス浄化用に利用し難いことから、ZSM−5に代表されるゼオライト系無機多孔体の銅イオン交換体等をディーゼルエンジン用排ガス浄化触媒として用い、ゼオライトのHC吸収性能を利用して、排ガス中のNOxのHCによる選択的還元を行おうとする排ガス浄化用触媒が提案されている(例えば、特開平6−327942号公報、共立出版発行の日本表面科学会編「環境触媒」 175頁〜 179頁)。
【0003】
通常、かかる銅−ゼオライト触媒等を調製するに当たっては、予めイオン結合サイトを具備させたゼオライトにCu等の活性金属種をイオン交換により担持させ、かかるゼオライトをミリングしてスラリー状としたもとで、これをコージェライト製やメタル製のハニカム担体等にコーティングさせている。
【0004】
そしてその際、イオン交換によってゼオライトに担持された活性金属種は、その状態のままで問題なくハニカム担体等にコーティングされると見做されており、担持された活性金属種の上記スラリー中での挙動や、これに対するスラリー液のpHの影響等については特に留意されていないのが実情であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願発明者の実験によれば、上記のようにして調製した銅−ゼオライト触媒等は、往々にしてその活性金属種の担持量から期待されるだけのNOx浄化活性を示さない場合があった。
【0006】
そしてその原因を究明する過程で、以下の3点の知見が得られた。
▲1▼上記スラリーは通常、ゼオライトの固体酸性のために、比較的強い酸性のpHを示す場合が多い。
▲2▼スラリーが比較的強い酸性(例えばpH5程度以下)を示す場合、一旦はゼオライトにイオン結合状態で担持されていたCu等の活性金属種が、スラリー中の優勢なプロトンその他の遊離陽イオンによって、かなりの割合で再度イオン交換され、ゼオライトのイオン結合サイトから離脱する。
▲3▼こうしてイオン結合サイトから離脱した遊離状の金属種は、仮にそのままコーティング層に移行したとしても、恐らくは酸化物等の非イオン形態になっているために、上記のNOx選択還元触媒としての充分な活性を示さない。
【0007】
そこで本発明は、上記知見に基づき、活性種がイオン交換により無機多孔材料に担持され、スラリー状態で担体にコーティングされるタイプの排ガス浄化用触媒において、その活性を向上させることを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、イオン結合サイトを備えた無機多孔材料にイオン交換により活性種金属を担持させたもとで、該無機多孔材料を含むpH6〜12のスラリーを調製し、該スラリーを担体にコーティングさせてなる、排ガス浄化用触媒である。
【0009】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明において、スラリーのpHを8〜10に調整する、排ガス浄化用触媒である。
【0010】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る無機多孔体がゼオライトであり、活性種金属が1〜15重量%担持されたAg及び/又はCuである、排ガス浄化用触媒である。
【0011】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第3発明に係るゼオライトが、ケイ酸−アルミナ比(SiO2 /Al2 O3 )10〜500のフェリエライト,ZSM−5,βゼオライト,モルデナイト又はY型ゼオライトのいずれかである、排ガス浄化用触媒である。
【0012】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第4発明に係る担体が、セラミック製又はメタル製のオープンフロー型ハニカム構造体である、排ガス浄化用触媒である。
【0013】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第3発明〜第5発明に係る排ガス浄化用触媒がディーゼルエンジン排ガスのNOx浄化用触媒である、排ガス浄化用触媒である。
【0014】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
第1発明の排ガス浄化用触媒は、イオン結合サイトに活性種金属を担持させた無機多孔材料のスラリーを調製する際、該スラリーを中性〜アルカリ性であるpH6〜12とする。従って上記スラリーにおいては、陽イオンの大部分が優勢な陰イオン(水酸イオン等)によって捕捉され、遊離状態で存在しなくなる。
【0015】
このため、無機多孔材料のイオン結合サイトに担持されている活性種金属は、これらの陽イオンによって再度イオン交換されることなく、有効なイオン結合状態のままでコーティング層に移行し、活性金属種の担持量から本来期待される触媒活性を示す。
【0016】
なお、スラリーのpHが過度にアルカリ性(例えばpH13以上)に偏ると、ゼオライト中のSiO2 が溶出する可能性があると言う点から、却って好ましくない。
【0017】
(第2発明の作用・効果)
第2発明のように、スラリーのpHを8〜10に調整した時、第1発明の上記作用・効果が特に顕著に発現される。
【0018】
(第3発明の作用・効果)
第3発明においては、無機多孔体が優れたHC吸収性能とNOx選択還元適性を有するゼオライトであり、活性種金属が1〜15重量%担持されたAg及び/又はCuであるため、特にディーゼルエンジン用排ガスに適したNOx選択還元型の排ガス浄化用触媒を実現できる。
【0019】
即ち、ディーゼルエンジンの排ガス中に含まれるHCをゼオライトに吸収し、該ゼオライトに担持されたイオン交換態の活性種金属により、前記還元性成分であるHCを利用してNOxを選択的に接触還元することができる。
【0020】
そしてゼオライトには活性種金属であるAg及び/又はCuが1〜15重量%担持され、かつ、これらの活性種金属が前記のように有効なイオン交換態として担持されているので、高いNOx選択還元活性を期待できる。
【0021】
(第4発明の作用・効果)
第4発明によって、前記ゼオライトにおけるHC吸収性能とNOx選択還元適性の特に優れた好ましい実施形態が提供される。
【0022】
(第5発明の作用・効果)
第5発明によって、前記担体における接触還元効率や排気圧力損失等の点で特に優れた好ましい実施形態が提供される。
【0023】
(第6発明の作用・効果)
第6発明によって、前記前記第3発明〜第5発明の触媒をディーゼルエンジン排ガスのNOx浄化に用いると言う、最も好適な用途が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第5発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言うときは、第1発明〜第5発明を一括して指している。
【0025】
〔排ガス浄化用触媒の種類及び用途〕
本発明の排ガス浄化用触媒は、無機多孔材料にイオン交換により活性種金属を担持させたものである限りにおいて、その種類及び用途を限定されず、例えば各種の酸化触媒,三元触媒等のガソリンエンジン排ガス浄化用触媒や、ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒等の内燃機関の排ガス浄化用触媒を限定なく含む。
【0026】
但し、無機多孔材料がゼオライトであり、活性種金属がCuやAgである場合には、HCを利用したNOx選択還元型のディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒として用いることが最も好ましい。
【0027】
又、本発明の排ガス浄化用触媒は、エンジンのアイドル回転時のHC吸着能が優れていることから、内燃機関(ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン,LPGエンジン)のエンジン始動直後に多量に排出されるHCを大幅に低減させるコールドスタート触媒としても、好適に用いられる。
【0028】
更に本発明の触媒は、室温下での優れたHC吸着能を利用して、例えば野菜等の鮮度を保つために保蔵庫,冷蔵庫,野菜パック等で用いる炭化水素ガス(エチレン等)の吸着材等としても使用することができる。
【0029】
〔無機多孔材料〕
本発明の無機多孔材料は、イオン結合サイトを備える限りにおいて、その種類及び構成を限定されず、例えば活性アルミナ(γアルミナ),各種のゼオライト,シリカ−アルミナ,チタニア,シリカ,ジルコニア等を触媒の使用目的に応じて任意に選択して使用することができる。イオン結合サイトを備える無機多孔材料は、市販品を入手しても良いし、無機多孔材料を合成することにより調製しても良い。
【0030】
本発明の排ガス浄化用触媒を、第6発明のようにHCを利用したNOx選択還元型のディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒として用いる場合には、無機多孔材料としてイオン結合サイトを備えるゼオライトを選択することが好ましい。
【0031】
その場合、ゼオライト中でも、HC吸収性能とNOx選択還元適性を考慮して、ケイ酸−アルミナ比10〜500(特に好ましくは10〜70)のフェリエライト,ZSM−5,βゼオライト,モルデナイト又はY型ゼオライトのいずれかが、とりわけ好ましい。
【0032】
〔活性種金属とその無機多孔材料への担持〕
本発明の活性種金属は、イオン交換により無機多孔材料に担持されたもとで任意の排ガス浄化触媒活性を示す限りにおいて、その種類を限定されず、例えば、Pt,Pd,Rh,Cu,Ag,Co等のこの種の用途に使用される各種の活性種金属の1種又は2種以上を任意に選択して利用することができる。
【0033】
但し、無機多孔材料が上記のゼオライトである場合において一般に、とりわけ触媒の用途がNOx選択還元型のディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒である場合においては、Ag又はCuをイオン交換により担持させること、あるいはこの両者をイオン交換により共存担持させることが好ましい。
【0034】
かかるAg及び/又はCuの合計担持量は、1〜15重量%であること、とりわけ3〜10重量%であることが好ましい。後述の実施例より分かるように、担持量が1重量%未満の場合や15重量%を超える場合には、NOxの浄化率が相対的に低減する。
【0035】
活性種金属をイオン交換により無機多孔材料に担持させる方法は任意であるが、通常は、活性種金属の塩溶液をアルカリ等でpH調整し、この溶液に粉粒状の無機多孔材料を投入/攪拌してイオン交換させ、しかる後に乾燥させる、等の方法が用いられる。
〔スラリーの調製と担体へのコーティング〕
スラリーは、pHを所定の範囲内に調整する点を除き、常法に従って調製すれば良い。即ち、例えば上記無機多孔材料のイオン交換体を投入した脱イオン水等に、バインダー(接着材)としてのシリカゾル等や、無機ファイバー等を適宜に加え、ミリングを行う。そしてこのプロセスの適宜な時点で、重要な操作としてスラリーのpHを第1発明又は第2発明に規定する範囲に調整する。
【0036】
上記スラリーのpH調整手段は限定されないが、アンモニア水等のアルカリの添加を行っても良いし、例えば上記シリカゾル等はスラリーのpHに対する影響が比較的強いので、その種類を適宜に選択すること(例えばシリカゾルとして、塩基性の、日産化学工業製「スノーテックスS」等を用いることが、より好ましい)等のスラリー添加成分の種類の選択によるpH調整も考えられる。
【0037】
スラリーがコーティングされる担体の種類や形状は特段に限定されないが、ペレット触媒よりもモノリス触媒の方が好適であるため、担体としては耐火性三次元構造体、特にコージェライト等からなるセラミック製又はステンレス箔等からなるメタル製のハニカム構造体が好ましい。ハニカム構造の形態としてはオープンフロー型ハニカム構造が特に好ましい。
【0038】
スラリーのコート層の厚さ、焼成温度等の条件については、必要に応じて任意に設定されるべきであり、一律に限定されるものではない。
【0039】
【実施例】
実施例1
20重量部の脱イオン水に10重量部の硝酸銀を溶解させ、アンモニアでpH10に調整して、銀アンモニア錯体塩溶液を得た。
【0040】
一方、ケイ酸/アルミナ比=20のフェリエライト100重量部を100重量部の脱イオン水に分散させ、これに上記銀アンモニア錯体塩溶液を全量投入し、3時間以上攪拌した後150〜250°Cの温度範囲で12時間乾燥させ、次いで500°Cで焼成してAgイオン交換フェリエライトを得た。
【0041】
得られたAgイオン交換フェリエライト100重量部を脱イオン水に投入し、更に日産化学工業製の塩基性シリカゾル(商品名スノーテックスS)を固形分で30重量部、セラミックファイバーを20重量部、及び28%アンモニア水10重量部を添加し、湿式粉砕してスラリー化した。このスラリーのpHは9であった。
【0042】
得られたスラリーを断面積1平方インチ当たり約400個のオープンフローのガス流通セルを有する10.3cm径×15.5cm長さの円柱形状のコージェライト製ハニカム担体に塗布し、250°Cで1時間乾燥し、次いで500°Cで1時間焼成して、ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びAgの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び8.3gであった。
【0043】
実施例2
実施例1における前記フェリエライトに代えてケイ酸/アルミナ比=40のZSM−5を用いた点以外は実施例1と同様にして、Agイオン交換ZSM−5を得、かつ、そのスラリー(pH9)を塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びAgの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び8.3gであった。
【0044】
実施例3
実施例1における前記フェリエライトに代えてケイ酸/アルミナ比=25のβゼオライトを用いた点以外は実施例1と同様にして、Agイオン交換βゼオライトを得、かつ、そのスラリー(pH9)を塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びAgの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び8.3gであった。
【0045】
実施例4
実施例1における前記フェリエライトに代えてケイ酸/アルミナ比=30のモルデナイトを用いた点以外は実施例1と同様にして、Agイオン交換モルデナイトを得、かつ、そのスラリー(pH9)を塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びAgの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び8.3gであった。
【0046】
実施例5
実施例1における前記フェリエライトに代えてケイ酸/アルミナ比=40のY型ゼオライトを用いた点以外は実施例1と同様にして、Agイオン交換Y型ゼオライトを得、かつ、そのスラリー(pH9)を塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びAgの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び8.3gであった。
【0047】
実施例6
実施例2における硝酸銀の使用量を1重量部に変更した点以外は実施例2と同様にして、Agイオン交換ZSM−5を得、かつ、そのスラリー(pH9)を塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びAgの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び0.83gであった。
【0048】
実施例7
実施例2における硝酸銀の使用量を40重量部に変更した点以外は実施例2と同様にして、Agイオン交換ZSM−5を得、かつ、そのスラリー(pH9)を塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びAgの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び約33gであった。
【0049】
参考例8
100重量部の脱イオン水に20重量部の硝酸銅を溶解させ、アンモニアでpH10に調整して、銅アンモニア錯体塩溶液を得た。
【0050】
一方、ケイ酸/アルミナ比=40のZSM−5の100重量部を1000重量部の脱イオン水に分散させ、これに上記銅アンモニア錯体塩溶液を全量投入し、60〜80°Cの温度範囲で加温しながら12時間以上攪拌した後、濾過により溶液と粉末を分離した。。
【0051】
得られた粉末を150°C〜250°Cの温度範囲で3時間乾燥させ、500°Cで焼成してCuイオン交換ZSM−5を得た。以下、実施例1と同様にしてディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。
【0052】
この触媒におけるゼオライト及びCuの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び6.8gであり、又、触媒調製に用いたスラリーのpHは9であった。
【0053】
参考例9
参考例8におけるZSM−5に代えてケイ酸/アルミナ比=25のβゼオライトを用いた点以外は参考例8と同様にして、Cuイオン交換βゼオライトを得、かつ、そのスラリー(pH9)を塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びCuの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び6.8gであった。
【0054】
比較例1
実施例2における前記スノーテックスSに代えて日産化学工業製の酸性シリカゾル(商品名スノーテックスO40)を用いた点以外は実施例2と同様にして、Agイオン交換ZSM−5を得、かつ、そのスラリーを塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。
【0055】
この触媒におけるゼオライト及びAgの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び8.3gであり、又、触媒調製に用いたスラリーのpHは3であった。
【0056】
比較例2
参考例8における前記スノーテックスSに代えて上記スノーテックスO40を用いた点以外は参考例8と同様にして、Cuイオン交換ZSM−5を得、かつ、そのスラリーを塗布したディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。
【0057】
この触媒におけるゼオライト及びCuの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び6.8gであり、又、触媒調製に用いたスラリーのpHは3であった。
【0058】
比較例3
ケイ酸/アルミナ比40のZSM−5の100重量部を所定量の脱イオン水に投入し、スノーテックスO40を固形分で30重量部、セラミックファイバーを20重量部添加し、湿式粉砕してスラリー化した。このスラリーのpHは3であった。
【0059】
得られたスラリーを断面積1平方インチ当たり約400個のオープンフローのガス流通セルを有する10.3cm径×15.5cm長さの円柱形状のコージェライト製ハニカム担体に塗布し、250°Cで1時間乾燥し、次いで500°Cで1時間焼成した後、塩基性Pt錯体(Ptアンミンヒドロキシド)を用い、1時間振蕩すると言う方法によってPtを担持させ、更に250°Cで1時間乾燥してPt担持ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるゼオライト及びPtの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び2.0gであった。
【0060】
比較例4
γアルミナ粉末100重量部を所定量の脱イオン水に投入し、これに硝酸アルミニウム15重量部を添加して、湿式粉砕しスラリー化した。このスラリーのpHは2であった。このスラリーを用いて、以後比較例3と同様にしてPt担持ディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒を得た。この触媒におけるγアルミナ及びPtの担持量は、ハニカム担体1リットル当たりそれぞれ130g及び2.0gであった。
【0061】
触媒の評価
上記格例に係るディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒の性能を次の方法により評価した。
【0062】
即ち、自然吸気副室噴射式ディーゼルエンジン(4気筒,3200cc)を用い、規定の運転条件(100°Cから450°Cまで昇温)により、堀場製作所製のガス分析計(MEXA9100)で窒素酸化物濃度を測定し、窒素酸化物浄化率を計算した。又、アイドル回転時の炭化水素濃度を同上のMEXA9100で測定し、炭化水素吸着率を計算した。これらの浄化率及び吸着率(%)は末尾の「式1」により算出した。
【0063】
それらの結果を末尾の「表1」に示すが、各実施例は比較例に対比して良好な窒素酸化物浄化性能及び炭化水素吸着性能を示している。実施例中、活性金属種の担持量がかなり少ない実施例6と、逆にこれがかなり多い実施例7とは、相対的に窒素酸化物浄化性能性能がやや劣った。又、各比較例は炭化水素吸着性能においても実施例より見劣る。
【0064】
〔触媒の耐久性の確認〕
実施例2,参考例8,比較例1及び比較例2に係るディーゼルエンジン排ガス浄化用触媒の耐久性を次の方法により確認した。
【0065】
即ち、自然吸気直接噴射式ディーゼルエンジン(4気筒,4200cc)で、650°C×50時間の劣化処理を施した後、自然吸気副室噴射式ディーゼルエンジン(4気筒,3200cc)を用い、規定の運転条件(100°Cから450°Cまで昇温)により、上記ガス分析計MEXA9100で窒素酸化物濃度を測定し、「式1」により窒素酸化物浄化率を計算した。
【0066】
それらの結果を末尾の「表2」に示すが、実施例2及び参考例8は劣化処理後も窒素酸化物浄化性能及び炭化水素吸着性能が低下しないことが確認された。
【0067】
【式1】
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】

Claims (4)

  1. イオン結合サイトを備えた無機多孔材料にイオン交換によりAgを担持させたもとで、該無機多孔材料を含むpH8〜10のスラリーを調製し、該スラリーを担体にコーティングさせてなる、ディーゼルエンジン排ガスのNOx浄化用触媒であることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 前記無機多孔材料がゼオライトであり、前記Agが1〜15重量%担持されたことを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記ゼオライトが、ケイ酸−アルミナ比(SiO2 /Al2O3 )10〜500のフェリエライト,ZSM−5,βゼオライト,モルデナイト又はY型ゼオライトのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記担体が、セラミック製又はメタル製のオープンフロー型ハニカム構造体であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の排ガス浄化用触媒。
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