JP4239673B2 - 集積型薄膜太陽電池のレーザ加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アモルファスシリコン等からなる集積型薄膜太陽電池のレーザ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原料ガスのグロー放電分解や光CVDにより形成されるアモルファスシリコン(a-Si)、アモルファスシリコンゲルマニウム(a-SiGe)や微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン系薄膜は、気相成長法で形成できるために、大面積化が容易であること、また、形成温度が低いためにプラスチックフィルムのような可撓性を有する基板に形成できることなどの特長を有している。
【0003】
さらに、こうした非単結晶シリコン系薄膜を用いた太陽電池は、基板にガラスやプラスチックフィルム等の絶縁材料を用いると集積型の直列接続構造を採用でき、1枚の基板で数十〜数百(V)の高電圧を取り出せるというメリットがある。この直列接続構造としては、ガラス等の透光絶縁性基板を用い短冊状の素子を一方の面で分離接続する方式や、プラスチックフィルム基板を用い、主面上に太陽電池、背面に接続用電極を配置して穴を介して短冊状の素子を接続する方式等が考えられている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
これらの構造を実現するには、一辺が0.3〜2m程度の大面積基板上に形成した薄膜を短冊状に分離加工する技術が必要であり、以下のことが要求される。
(1)ピンホールを発生させないために、加工塵が残らないクリーンな加工プロセスであること
(2)絶縁距離をある程度かせぐとともに、基板上で発電しない無効領域を少なくするために、加工ライン幅が50〜600μm程度で、安定性が良好であること
(3)加工位置精度が良好であること
ここで、加工位置精度に関しては、集積化構造にもよるので数値を単純に規定できないが、通常±10〜50μm程度の精度が要求される。
【0005】
これらの条件を満足し、現在、最も一般的に用いられているのはYAGレーザ等を用いたレーザ加工技術である。レーザ加工装置としては、基板をX−Yステージ(加工ステージ)上に真空吸着してこれをX−Y方向に移動してレーザにより加工する装置や、あるいは図6のように、逆に基板16をX−Yステージ17に固定し、レーザをファイバ光学系18により出射光学部19に導き、出射光学部19を別の加工ステージに装着してX−Y方向に移動させながらレーザ光15を出射してパターニングを行う装置が知られている。さらに、コアに巻かれたフィルムの送り出し、巻取り機構を持つフィルムのコーティング装置等も知られている。
【0006】
さらに、ガルバノミラーを駆動してレーザ光を走査してパターニングを行うガルバノミラー方式の装置が提案されている(例えば特許文献2,3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−342924号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平8−252684号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2000−288762号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記薄膜太陽電池のレーザ加工方法としては、前述の基板を装着したX−Yステージを移動させて加工する方法、あるいは、レーザの出射光学部を装着したX−Yステージを移動させる方法が一般的である。しかしながら、これらの方法は移動体の慣性負荷が大きいため加減速に時間がかかり、高速化が難しく生産性が低いという問題があった。
【0011】
この対策として、複数のレーザ発振器を配置し、出射光学部から複数のレーザ光を出射させて加工する方法がとられている。しかしながら、複数の発振器を必要とするため、装置コストが高くなる、装置の故障頻度が高くなり稼働率が大幅に低下する等の問題があった。
【0012】
一方、ガルバノミラーを用いたパターニングは、加工速度を大幅に高速化できるため、装置の低コスト化を実現できる。しかしながら、実用上幾つかの問題点があり量産プロセスには用いられていない。具体的には、以下のような問題がある。
【0013】
(1)レーザ光の基板への入射角度の変化により、加工形状が変形し、同時にパワー密度が変化する。
(2)レーザ出射部と加工部の距離が変化することにより焦点がずれる。
【0014】
(3)加工サイズの大型化に合わせてレーザ出射部基板との距離を大きくとると、加工精度及び分解能が低下する。
この中で、(1)のパワー密度変化に対しては、上記特許文献3に記載の可変式フィルターでパワー密度調整を行う方法が提案されているが、制御が複雑になり装置コストアップにつながる、フィルターの劣化による変動要因が加わる等の問題が発生する。
【0015】
本発明の目的は、これら問題点を解決し、低コストで高い生産性を実現でき、かつ、安定性に優れたレーザ加工方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明では、絶縁性基板の一方の面に透明電極層,光電変換層,裏面電極層を積層配置し、その積層体の分離工程及び各層間の接続工程を経て形成される集積型薄膜太陽電池の製造工程に適用され、前記各層のうち前記絶縁性基板に隣接して配置された隣接層に対して先発のレーザ加工を行い、前記隣接層のレーザ加工後その前記絶縁性基板とは反対側に積層された層に対して、前記先発のレーザ加工による加工部を基準として後発のレーザ加工を行う集積型薄膜太陽電池のレーザ加工方法であって、前記先発の加工プロセスが、ガルバノミラーの駆動によるレーザ光走査により行われる一方、前記後発の加工プロセスが、前記ガルバノミラーの駆動方式より加工精度の高い他の方式のレーザ加工により行われ、前記ガルバノミラーの駆動によるレーザ光走査において、前記ガルバノミラーを介して照射されるレーザ光の前記絶縁性基板への入射角度が、前記絶縁性基板の加工面の法線方向に対して30度以内となるように設定することを特徴とする集積型薄膜太陽電池のレーザ加工方法が提供される。
【0017】
ここで、「隣接層」とは、絶縁性基板の主面又は背面に直接積層された層を意味する。また、「その絶縁性基板とは反対側に積層された層」とは、この隣接層に順次積層された層を意味し、後発の加工プロセスにおいて当該層をレーザ加工する際には、当該層のみが加工されてもよいし、当該層を含む複数層からなる積層体が加工されてもよい。
【0018】
かかる方法は、ガルバノミラー方式によるレーザ加工と、上述した基板又は出射光学部を加工ステージに装着して移動させる方式(本明細書では、この方式を「ステージスキャン方式」と称する)などの精度の高いレーザ加工とを併用するものである。
【0019】
すなわち、一般に、集積型薄膜太陽電池の製造では、絶縁性基板に最も近い隣接層に対して先発のレーザ加工を行い、その加工部を基準として、その後順次積層される当該隣接層よりも外側にある層に対して(場合によっては、その隣接層と外側の層との積層体に対して)後発のレーザ加工を行う。このため、一般に、その先発の加工部にはそれ程精度が要求されず、当該加工部を基準とした後発の加工部に対して精度が要求される。
【0020】
そこで、先発のレーザ加工にガルバノミラー方式を用い、後発のレーザ加工にガルバノミラー方式よりも加工精度の高い他の方式を用いることにしている。これは、ガルバノミラー方式はガルバノミラーの角度を変えて制御を行う関係上、例えば上述したステージスキャン方式に比べて加工精度が落ちる傾向にあるためである。
【0021】
かかる方法によれば、レーザ加工の中に高速のガルバノミラー方式を組み込むとともに、精度が要求される部分の加工については加工精度の高い他の方式を採用するため、レーザ加工全体として安定性に優れ、低コストで高い生産性を実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を明確にするため、参考例及び実施例を図面と共に説明する。
【0023】
[第1参考例]
図1は、第1参考例にかかるレーザ加工装置の全体構成を表す概略図である。
同図に示すように、レーザ加工装置1において、可撓性を有する厚さ50μmのポリイミドフィルム材の上に成膜を終えた状態の可撓性基板2は、直径150mmのロールコアに巻き付けて送り出しロール3に装着され、送り出し機構内のこの送り出しロール3からマーカ検出器4を経て吸着ステージ5上へと送り出される。そして、マーカホール2hを位置決め基準として位置決め停止した後、吸着ステージ5上に固定される。
【0024】
吸着ステージ5の中央上部には、ガルバノミラー6が取付られており、このガルバノミラー6の入射側には、加工面上でレーザ光が焦点を結ぶように調整するための焦点調整レンズ7を介して光軸を合わせたレーザ発振器8が取り付けられている。ガルバノミラー6は、反射ミラーをサーボモータ等の回転駆動機構により回転可能にしたものであり、2枚の反射ミラーの角度の組合せにより、レーザ発振器から入射したレーザ光を加工面10上の所望の位置に照射しながら高速で移動する。ガルバノミラー6,焦点調整レンズ7,及びレーザ発振器8は、制御系9によって駆動制御され、可撓性基板2の薄膜又は可撓性基板2に順次積層される薄膜は、ガルバノミラーから照射されるレーザ光によって分離加工される。
【0025】
このレーザ加工装置1によって集積型薄膜太陽電池を製造する際には、後述するように、絶縁性基板の一方の面に透明電極層,光電変換層,裏面電極層を積層配置し、その積層体の分離加工及び各層間の接続加工を施すことにより当該薄膜太陽電池を形成する。
【0026】
ここで、ガルバノミラー6と加工基材との距離、つまり、ガルバノミラー6におけるレーザ光の投光位置と可撓性基板2との距離(以下「ワーク間距離」ともいう)は、後述のように、可撓性基板2上の加工部の最長距離(例えば加工領域の対角線の長さ)の0.86〜1.72倍の範囲に設定することが望ましい。このようにして加工された後、可撓性基板2は図示していないフィルムクリーナを通過させて加工塵を取り除いた後、巻取り機構内のこの巻取りロール12に取付られたロールコアに巻き取られる。
【0027】
次に、ワーク間距離を上記所定の範囲に設定するに至った根拠について、図2及び図3に基づいて説明する。
まず、ガルバノミラー6から出射されるレーザ光による加工形状は、基板への入射角度に対応して楕円形に歪み、かつ、パワー密度も変化する。加工面の法線方向に対するレーザ入射角度をθ,入射パワー密度をP(θ)とすると、P(θ)とP(0)との間には以下の関係が成り立つ。
【0028】
【数1】
P(θ)/P(0)=cos(θ) ・・・ (1)
そして、ガルバノミラー方式で加工を行う場合、最大振り角をθ1とするとθは0〜θ1の範囲で変動するので、1−cos(θ1)がパワー密度の変動率になる。図2は最大振り角θ1に対してパワー変動率をプロットしたものである。
【0029】
通常、レーザ加工時のパワー密度には、最適値と許容範囲が存在する。すなわち、加工パワー密度が小さすぎると、ライン上や端面に加工残渣が残る不良が発生する。逆に、加工パワー密度が大きすぎると、下地層や基材あるいは反対面に製膜した層にダメージを与える。また、a-Si等の材料の場合、加工パワー密度が大きすぎると、端面の結晶化により抵抗が小さくなるといった問題が発生する。
【0030】
これらの影響を考慮して、レーザ加工に許されるパワー密度変動幅は、薄膜太陽電池においては通常20〜30%程度とされている。光学部品やレーザ自身によるパワー変動が10%程度あるので、図2のパワー密度変動率は15%以下に抑える必要がある。ここから、加工条件の一つである最大振り角30度以下が導出される。
【0031】
一方、加工分解能や加工精度はワーク間距離が大きくなるほど悪くなる。これらの絶対値はガルバノミラーの駆動方式により若干異なるが、一般的な例として、16ビットのサーボモータ2個でガルバノミラーを駆動した場合のワーク間距離と分解能の関係を図3に示す。通常、薄膜太陽電池におけるレーザ加工に要求される位置精度は±50〜100μm程度であるため、加工分解能については30μm程度に抑える必要がある。このため、薄膜太陽電池の加工プロセスに適用できる最大ワーク間距離は3000mm以下ということになる。
【0032】
また、このワーク間距離,加工範囲,及び振り角は相対関係にあり、その関係を表す例を表1に示す。尚、同表においては、加工領域を正方形領域とし、ワーク間距離3000mmについて、加工範囲を2466mm,1233mmとしてその振り角を算出し、ワーク間距離400mmについて、加工範囲を329mm,164mmとしてその振り角を算出した。
【0033】
【表1】
【0034】
同表から、ワーク間距離を3000mm,加工範囲を2466mmとしたときと、ワーク間距離を400mm,加工範囲を329mmとしたとき、つまり、ワーク間距離と最長距離(加工範囲の対角線の長さ)との距離比を0.86とした場合に振り角が約30度となり、距離比がそれ未満になると振り角が30度を超え、レーザのパワー密度が許容範囲外となることが分かる。
【0035】
一方、ワーク間距離を3000mm,加工範囲を1233mmとしたときと、ワーク間距離を400mm,加工範囲を164mmとしたとき、つまり、ワーク間距離と最長距離との距離比を1.72とした場合に、振り角が約16度になることが分かる。このように距離比が1.72を超えると、加工範囲を通常必要とされる1200mm以上に確保した場合にワーク間距離が3000mmを超える。そして、ワーク間距離が3000mmを超えると、分解能が許容範囲を超えるといった問題が生じた。
【0036】
以上に述べたように、レーザ光の振り角とワーク間距離の双方を考慮すると、最大振り角を30度以下に抑え、極力ワーク間距離を小さくすることが望ましい。そして特に、ワーク間距離を3000mm以下にすることが望ましく、そのワーク間距離を基板上の加工部の最長距離の0.86〜1.72倍の範囲に設定することが最適であるという結論に至った。
【0037】
次に、上記レーザ加工装置を用いて508mm幅のフィルム上に400×815サイズのパターンを加工したときの実験結果について述べる。
まず、フィルム上にAg/ZnO構造の電極膜を形成したフィルム上に、出力15WのYAGレーザを照射し、加工速度2500mm/秒,加工幅100μmとして815mm方向に68直列(68ユニット)のパターンを加工した。ここで、基板上の加工部の最長距離は908mmであり、ワーク間距離を1500mmとしたため、ワーク間距離は基板上の加工部の最長距離の1.65倍である。
【0038】
そして、加工ラインを観察したところ、設計値からの位置ズレは±50μm以下であり、加工ライン幅は100〜105μmの範囲となった。
続いて、この400×815サイズのパターンを、24時間のインターバルをとって3回同じ位置に加工する実験を行った。実験の結果、加工ラインのズレは小さく、加工ライン幅が最大160μmに広がるのに留まった。従って、加工ラインの繰り返し精度は±30μm以内となり、薄膜太陽電池のレーザ加工プロセスに十分適用できることが確認できた。
【0039】
[第2参考例]
次に、第2参考例として、より大面積あるいはより高精度が要求される場合の薄膜太陽電池のレーザ加工方法について述べる。尚、本参考例は、第1参考例を応用したものであり、レーザ加工装置それ自体の構成等は第1参考例とほぼ同様であるため、その説明については省略する。
【0040】
すなわち、本参考例のレーザ加工方法においては、図4に示すように、可撓性基板上の加工領域を複数個(加工領域A,加工領域B・・・)に分割し、それぞれ独立したガルバノミラーとレーザにより加工する。これにより、最大振り角とワーク間距離の双方を抑えて加工することが可能になり、大面積化と精度の双方を両立することが可能となる。一例としては、1m×2mサイズ等の大面積太陽電池の加工に適用可能である。
【0041】
尚、この場合、レーザ発振器及び光学系が複数必要となるが、加工速度において同じ処理能力を実現することを考えた場合には、従来方式のステージスキャン方式よりもその数を著しく削減することができる。
【0042】
すなわち、従来方式のステージスキャン方式のレーザ加工では、X−Yテーブル(加工テーブル)の速度の限界があり(現行の装置では1000mm/sec以下)、高速(例えば5000mm/sec以上)での加工が可能なガルバノミラー方式のレーザ加工と同等の処理能力を得ようとした場合、処理速度比率(この例では5倍)以上の数のレーザ発振器及び光学系が必要となる。このため、その加工領域が大きくなるにつれ、本参考例のようにガルバノミラー方式を複数採用したほうがレーザ発振器及び光学系の設置数も格段に少なくなり、故障が大幅に減少し設備稼働率が向上する。
【0043】
[実施例]
次に、実施例として、ガルバノミラー方式のレーザ加工とステージスキャン方式のレーザ加工を組み合わせる加工方法について述べる。図5は、本実施例にかかるガラス基板タイプの集積型a-Si太陽電池の断面模式図である。
【0044】
同図に示すように、薄膜太陽電池20においては、ガラス基板21(絶縁性基板)の上に、直列接続構造の透明電極層22、a-Si層23(光電変換層)、裏面電極層24が形成されている。この場合、透明電極加工(1)、a-Si加工(2)、裏面電極加工(3)の3回の加工が必要となる。ここで、有効面積率(発電領域の面積率)を大きくするには、加工ライン(2)、(3)を極力(1)に隣接させる必要がある。通常、各ライン幅が50〜150μm、ライン間のスペースが50〜100μm程度であり、無効領域(発電しない領域)の幅が500μm程度になるように設計される。従って、全パターニングをガルバノミラー方式でおこなうことは可能であるが、この場合、ライン間のスペースを比較的大きく取る必要があり、有効面積率を低下させてしまう。また、同じ分解能とした場合、ガルバノミラーからの距離が離れると、その位置精度が落ちていくことになる。
【0045】
そこで、本実施例では、位置精度がそれ程要求されない先発の(1)の加工をガルバノミラー方式で行い、(1)の加工位置を基準とした後発の(2),(3)の加工を通常のレーザパターニング、つまりステージスキャン方式により行う。
【0046】
すなわち、まず、ガラス基板21上に透明電極層22を積層した積層体に対してガルバノミラー方式のレーザ加工による分離加工を行う。そして、その上面にa-Si層23を積層(接続加工)した積層体に対してステージスキャン方式のレーザ加工による分離加工を行い、さらに、その上面に裏面電極層24を積層した積層体に対してステージスキャン方式のレーザ加工による分離加工を行うことにより、薄膜太陽電池20を形成する。
【0047】
これにより、全ての層を通常のレーザパターニングで加工した場合と同様の有効面積率が得られる。また、レーザパターニングのための設備コストは、全てガルバノミラー方式で行った場合に比べると高くなるが、全て通常のレーザパターニングにより行う場合に比べると低く抑えることが可能となる。
【0048】
以上、参考例及び実施例について説明したが、本発明の実施の形態は、上記参考例及び実施例によって何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0049】
例えば、上記実施例では、薄膜太陽電池において、ガラス基板21の上に、透明電極層22,a-Si層23(光電変換層),裏面電極層24を積層して形成した例を示したが、ガラス基板21の上記各層が配置された面とは反対側の面に、さらに接続用電極層を配置するようにしてもよい。その場合には、そのガラス基板21の背面側に照射されるレーザ光の入射角度が、その背面側加工面の法線方向に対して30度以内となるように設定し、レーザ光の投光位置とガラス基板21との距離を、3000mm以下の範囲に設定すればよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、集積型薄膜太陽電池のレーザ加工にガルバノミラー方式を採用し、そのガルバノミラーを介して照射されるレーザ光の入射角度を、基板の加工面の法線方向に対して30度以内とすることで、パワー密度変動率を抑え、安定した加工を実現することができる。また、ガルバノミラー方式を採用することで、大面積集積型太陽電池を量産する際のレーザ加工の製造効率を高めることができ、また設備コストを抑えることが可能となる。
【0051】
そして、さらにガルバノミラーにおけるレーザ光の投光位置と基板との距離を3000mm以下の範囲に設定することで、加工分解能や加工精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1参考例のレーザ加工装置の全体構成を表す概略図である。
【図2】 レーザ光の最大振り角とレーザパワー密度変動率の関係を表す説明図である。
【図3】 ワーク間距離と分解能との関係を表す説明図である。
【図4】 第2参考例の加工領域を表す側面図である。
【図5】 実施例により加工した太陽電池の断面模式図である。
【図6】 従来のレーザ加工方法の一例を表す側面図である。
【符号の説明】
1 レーザ加工装置
2 可撓性基板
3 送り出しロール
4 マーカ検出器
5 吸着ステージ
6 ガルバノミラー
7 焦点調整レンズ
8 レーザ発振器
9 制御系
10 加工面
12 巻取りロール
15 レーザ光
16 基板
17 ステージ
18 ファイバ光学系
19 出射光学部
20 薄膜太陽電池
21 ガラス基板
22 透明電極層
23 a-Si層
24 裏面電極層
Claims (2)
- 絶縁性基板の一方の面に透明電極層,光電変換層,裏面電極層を積層配置し、その積層体の分離工程及び各層間の接続工程を経て形成される集積型薄膜太陽電池の製造工程に適用され、前記各層のうち前記絶縁性基板に隣接して配置された隣接層に対して先発のレーザ加工を行い、前記隣接層のレーザ加工後その前記絶縁性基板とは反対側に積層された層に対して、前記先発のレーザ加工による加工部を基準として後発のレーザ加工を行う集積型薄膜太陽電池のレーザ加工方法であって、
前記先発の加工プロセスが、ガルバノミラーの駆動によるレーザ光走査により行われる一方、前記後発の加工プロセスが、前記ガルバノミラーの駆動方式より加工精度の高い他の方式のレーザ加工により行われ、
前記ガルバノミラーの駆動によるレーザ光走査において、前記ガルバノミラーを介して照射されるレーザ光の前記絶縁性基板への入射角度が、前記絶縁性基板の加工面の法線方向に対して 30 度以内となるように設定することを特徴とする集積型薄膜太陽電池のレーザ加工方法。 - 前記後発の加工プロセスが、前記絶縁性基板を装着した加工ステージを移動、又はレーザ発振器のレーザヘッドを装着した加工ステージを移動させてレーザ光走査を行うステージスキャン方式により行われることを特徴とする請求項1記載の集積型薄膜太陽電池のレーザ加工方法。
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