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JP4239139B2 - ディスク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、著作権で保護されるべきプログラムデータ(例えばオーディオデータ)を記録したプログラム領域の目視判別を不可能とすることにより、当該プログラムデータの違法再生及びその違法コピーを防止することが可能なコピープロテクトを施したディスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在オーディオ、コンピュータソフト等のデータ配布用媒体として、大量生産に適し、かつ安価な再生専用型コンパクトディスク(以下「CD」と記す)が多用されている。ところが昨今、CDに記録してあるデータを著作権者の許諾を得ずにその他記録媒体に違法複製して使用する被害が発生している。
【0003】
ここでは、コピープロテクトを施すべきディスクとして、CDを取り上げる。
具体的には、いわゆるマルチセッション方式のCDに記録されているプログラムデータの違法再生及びその違法コピーを防止するためのコピープロテクトについて述べる。
【0004】
図3は通常のオーディオコンパクトディスク(以下「オーディオCD」と記す)に用いるシングルセッション方式のCDのデータ構造を説明するための図であり、オーディオデータは「Red Book」規格に準拠したフォーマットでプログラム領域1bに記録される。図4はマルチセッション方式のCD(以下「マルチCD」と記す)のデータ構造を説明するための図、図5は図3に示すオーディオCDのリードイン領域及びリードアウト領域にそれぞれ記録される8−14変調(以下EFMと記す)フレームフォーマットのデータ(固定データ)の具体例を示す図である。
【0005】
図3に示すオーディオCD 1は、ディスクの内周側から外周側に向って同心円状に順次連続して、リードイン領域1a、オーディオデータが記録されたプログラム領域1b、リードアウト領域1cを各1つずつ有するデータ構造のディスクである。
【0006】
これに対して、マルチCD 2は、ディスクの内周側から外周側に向って同心円状に順次、セッションS1、セッションS2が形成されている。セッションS1は図3のオーディオCDと同一フォーマット(「Red Book」規格に準拠したフォーマット)で記録され、リードイン領域2a1、プログラム領域2b1、リードアウト領域2c1から構成されている。プログラム領域2b1には著作権で保護されるべきオーディオデータであるプログラムデータが格納されている。
【0007】
セッションS2は「Yellow Book」規格に準拠したフォーマットで記録され、リードイン領域2a2、プログラム領域2b2、リードアウト領域2c2から構成されている。プログラム領域2b2又はリードイン領域2a2には、プログラム領域2b1に格納されているプログラムデータの違法コピーを防止するためのコピープロテクトデータが格納されている。
【0008】
このマルチCD 2は、最終セッションS2のプログラム領域2b2又はリードイン領域2a2にコピープロテクトデータを記録しておくことにより、違法複製を行うに際して、プログラム領域2b1のプログラムデータを正しく認識できないようにして違法複製を防止している。
【0009】
なお、図4では、最外周に位置するセッションS2の内側に隣接して1つのセッションS1が設けられているだけであることが図示されているが、必要に応じてこのセッションS1に代えて、複数のセッションを設けてもよいことは勿論である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したマルチCD 2(図4)は、セッションS1が、前述の「Red Book」規格に準拠したフォーマットで記録するため、著作権で保護されるべきプログラムデータを記録してあるプログラム領域2b1の反射率が、これに隣接するリードイン領域2a1とリードアウト領域2c1の各反射率と大きく異なってしまい、この結果、プログラム領域2b1自体が目視により容易に判別可能となリ、違法複製すべき領域が容易く判別できてしまっていた。
【0011】
一方、セッションS2は、前述の「Yellow Book」規格に準拠したフォーマットで記録するため、リードイン領域2a2とリードアウト領域2c2とプログラム領域2b2との各記録をCD−ROM構造で記録することが一般的である。このようなCD−ROM構造を採用すると、リードイン領域2a2とプログラム領域2b2とリードアウト領域2c2にそれぞれ記録される各データが非固定となる。この結果、セッションS2全体の反射率はセッション1のプログラム領域2b1とほぼ同じ反射率となる。
【0012】
この反射率の差が生じる理由は次のとおりである。
即ち、プログラム領域2b1に記録してあるプログラムデータは、オーディオデータであるため、互いに隣接する1バイトのデータ同士が同一である固定データ(例えば、0x00,0x00,0x00,…(「0x00」は16進数データ「00」の意)」)であることはほとんどなく、オーディオデータの内容に応じたデータ列である非固定データ(例えば「0x02,0xFA,0x17,0xA0,…」)として記録されている(図4のダーク部分)。
【0013】
これに対して、リードイン領域2a1、リードアウト領域2c1にそれぞれ記録してある各データ列は、「Red Book」規格に準拠したEFMフレームフォーマットのデータとして、互いに隣接する1バイトのデータ同士が同一である固定データ(例えば12バイトのデータ列「0x00,0x00,0x00,0x00,0x00,0x00,0x00,0x00,0x00,0x00,0x00,0x00」)が所定時間に亘って順次記録されている(図4の白色部分)。
【0014】
このために、記録データの固定データと非固定データとの差がプログラム領域2b1(非固定データ)、リードイン領域2a1(固定データ)、リードアウト領域2c1(固定データ)、でそれぞれ発生する照射光に対する回折光(反射光)散乱状態の大きな相違となる。この結果、リードイン領域2a1、プログラム領域2b1、リードアウト領域2c1、の各反射率の差となる。
【0015】
リードイン領域2a1、リードアウト領域2c1にそれぞれ記録してあるEFMフレームフォーマットのデータの例を図5に示す。リードアウト領域2c1の長さはその都度変わることが多い。因みにリードアウト領域2c1が1分30秒の時の長さは98EFMフレーム×75×90秒である。
【0016】
ここで、EFMフレームの概要について図5で説明する。
各EFMフレームは33シンボルのデータを一まとめにしたものである。ここで1シンボルは1バイト(8ビット)に対応する。各EFMフレームの先頭に位置するサブコードはアドレスやデータの種別(オーディオデータ、ROMデータ等の種別)を1バイトで示す情報を記録する。CDプレーヤ等で再生する音楽信号はEFMフレームに24バイト割当てられ、半分の12バイトづつ記録される(これは図5に示してある「データ12バイト+データ12バイト」に対応)。また、音楽データのエラー訂正用に訂正符号が8バイト用意され、各「データ12バイト」間に4バイトづつ配置される。
【0017】
こうした構成のEFMフレームが98個集合し、1ブロック(1/75秒)を構成する。
実際にCDに記録されるデータは、EFMフレーム(図5(図2))のデータに同期パターンを追加して、変調テーブルに従って各8ビットデータを各14ビットデータに変換し、データ間にマージンビット3ビットの追加を行なった後に生成される一連のデータ列である。(図5では省略)
【0018】
図5に示すEFMフレームの33バイトのうち、先頭のサブコードは時間情報等を記録するため、常に値は変化する。しかし、オーディオデータの24バイトが固定データのため、訂正符号のデータも一義的に固定値となる。具体的に示すと、24バイトの「データ」を構成する2つの12バイトのデータ列は、全て「0x00」の固定データである。
【0019】
こうしたことから、マルチCD 2の表面における入射光に対する反射光の各反射率は、このような固定データ、非固定データに応じて大きく異なるものとなる。この反射率の大きな相違によって、リードイン領域2a1、プログラム領域2b1、リードアウト領域2c1は、目視により容易に判別可能となる。例えば、リードイン領域2a1及びリードアウト領域2c1の各反射率は75.0%程度であるのに対して、プログラム領域2b1の各反射率は76.5%程度である。反射率の差は1.5%である。
【0020】
従って、プロテクトデータを記録したプログラム領域2b2の物理的位置も目視で認識可能となるので、このプログラム領域2b2の物理的位置を物理的に隠す事によって(例えばこの部分を筆記具等で黒く塗りつぶすことによりプログラム領域と認識できないようにすることにより)、CD再生装置に装填して再生状態に移行する際には、このマルチCD 2(図4)を、あたかも、マルチセッション方式でない通常のオーディオCD 1(図3)であると装置側に誤認させて、通常のオーディオCDの再生状態を創出させることによって、プログラム領域2b1に記録してあるオーディオデータのみを違法に再生して、再生したこのプログラムデータを別の記録装置で違法にコピー可能とする問題があった。
【0021】
そこで、上述した課題を解決するために本発明は創案されたものであり、半径方向に亘り同心円状に順次連続して形成し、かつリードイン領域とプログラム領域とリードアウト領域とを1組とするセッション構造のディスクであって、ユーザデータとして使用可能な前記プログラム領域を除く、前記リードイン領域及び前記リードアウト領域の各反射率を前記プログラム領域の反射率とほぼ等しく、目視によって区別不可能な程度の値としたことにより、前記プログラム領域に記録されているプログラムデータの違法再生による違法コピーを防止可能なディスクを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明は次の手段を有する。
定のプログラムデータが記録されたディスクにおいて、径方向に、順次、同心円状に設けられた、前記プログラムデータが非固定データとして記録された第1のプログラム領域と、互いに隣接するデータが相違する非固定データ列が記録されたリードアウト領域と、前記プログラムデータがコピーされることを防止するためのコピープロテクトデータが非固定データとして記録された第2のプログラム領域と、を有することを特徴とするディスクである
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、その好ましい実施例を用いて、図1、図2に沿って説明する。
図1は本発明の一実施例であるマルチセッション方式のCDを説明するための図、図2は図1に示すマルチCDにおける音楽データを記録するセッションのリードイン領域及びリードアウト領域にそれぞれ記録されるEFMフレームフォーマットのデータの具体例を示す図である。
前述したものと同一構成のものには同一符号を付しその説明を省略する。
【0024】
本発明の一実施例であるマルチCD 3は、図1に示すように、前述したマルチセッション方式のマルチCD 2(図4)における、セッションS1とセッション2の反射率を略等しくすることで著作権で保護されるべきプログラムデータが格納されているプログラム領域2b1の領域の境界を示すリードイン領域2a1とリードアウト領域2c1との境目が目視により判別不可能した構成を有するものである。特に、リードイン領域2a1、リードアウト領域2c1にそれぞれ記録してある各データ列として、互いに隣接する1バイトのデータ同士が相違する非固定データ列(図2に示すEFMフレームのデータ)を用いることに特徴があるものである。換言すれば、本発明の実施前のディスクは前記したマルチCD 2(図4)であり、本発明の実施後のディスクはマルチCD 3(図1)であるといえる。
【0025】
本発明の一実施例であるマルチCD 3は、図1に示すように、半径方向に亘り同心円状に順次連続して形成したリードイン領域2a1とプログラム領域2b1とリードアウト領域2c1とを1組(セッションS1)として、セッション数を少なくとも2つ以上設けてなるマルチセッション方式のディスク3である。
【0026】
ディスク3は、ディスク3の最内周に位置するセッションS1と、このセッションS1の外側に隣接するセッションS2とを少なくとも備えている。セッションS1はリードイン領域2a1とプログラム領域2b1とリードアウト領域2c1とを有している。またセッションS2はリードイン領域2a2とプログラム領域2b2とリードアウト領域2c2とを有している。
【0027】
具体的には、リードイン領域2a1のリードインデータとリードアウト領域2c1のリードアウトデータは、互いに隣接するデータが相違する非固定データ列(図2に示す計33バイト分のEFMフレーム(24バイト分のデータ))である。
加えてこれら非固定データ列は、オーディオCDレーヤでマルチCD 3を再生した場合に、一般的に聴感不能な音で再生されるように、互いに隣接するデータを適宜設定して使用することは勿論である。
【0028】
図2に示すように、リードイン領域2a1及びリードアウト領域2c1にそれぞれ記録するデータは、互いに隣接する1バイトのデータが同一ではなく相違する非固定データ(例えば12バイトのデータ列(6バイトのLチャンネルデータ「0x00,0x05,0x00,0x05,0x00,0x05」,6バイトのRチャンネルデータ「0x00,0x12,0x00,0x12,0x00,0x12」)が所定時間に亘って順次記録されている。
【0029】
マルチCD 3のリードイン領域2a1のリードインデータとリードアウト領域2c1のリードアウトデータを構成するEFMフレームを図2に示す。
このEFMフレームは33バイトのデータで構成され、前述図5と同様なフォーマットで記録する。
各データは、先頭から、1バイトの「サブコード」、24バイトの「音楽データ」、8バイトの「訂正符号」で順次構成される。24バイトの「データ」は、6バイトのLチャンネルデータ「0x00,0x05,0x00,0x05,0x00,0x05」,6バイトのRチャンネルデータ「0x00,0x12,0x00,0x12,0x00,0x12」,4バイトの訂正符号、6バイトのLチャンネルデータ「0x00,0x05,0x00,0x05,0x00,0x05」,6バイトのRチャンネルデータ「0x00,0x12,0x00,0x12,0x00,0x12」,4バイトの訂正符号、の順で構成されている。こうして24バイトの「データ」は、全て非固定データとなる。
【0030】
このように、プログラム領域2b1の反射率との差を僅少とし、かつこれを再生したときにも一般的に聴感不能な音となるように、リードイン領域2a1及びリードアウト領域2c1にそれぞれ同一の非固定データ列(図2)を記録した。
この結果、リードイン領域2a1の反射率とリードアウト領域2c1の反射率とプログラム領域2b1の反射率との差が、リードイン領域2a1とリードアウト領域2c1とプログラム領域2b1とを目視によって区別不可能な程度の、反射率の差(例えば0.5〜1.0%程度)の小なる値とすることができた。これを実験で確認したところ、プログラム領域2b1の反射率が76.5%の場合には、リードイン領域2a1とリードアウト領域2c1の反射率がそれぞれ、76.5%±(0.5〜1.0)%の範囲の値であれば、プログラム領域2b1とリードイン領域2a1とリードアウト領域2c1との3領域は目視によって区別不可能な状態を醸成することが出来た。
【0031】
上述した実施例では、リードイン領域2a1、リードアウト領域2c1、の物理的位置の目視での認識を不可能とする方法を挙げたが、本発明はオーディオCDにおいて、トラックとトラックを隔てる曲間(Index-0)の領域にも応用は可能である。つまり、通常のIndex-0はリードイン領域とリードアウト領域と同じ、固定データを入れるため、容易にトラックを目視で判別しやすい。これを、本発明のようにIndex-0を非固定データで置き換えることで、著作権を保護すべき領域を目視で判別しにくくすることができる。
【0032】
さらに、セッション2の「Yellow Book」規格に準拠するフォーマットのプログラム領域(ROM領域)の、リードイン領域およびリードアウト領域は通常はCD−ROM構造にするが、「Red Book」規格に準拠する前記セッション1と同様な固定データにすることは規格上許されている。
このため、本発明の効果を高めるためには、セッション2のリードイン領域およびリードアウト領域をCD−ROM構造にするか、または「Red Book」規格に準拠するフォーマットにするならば、セッション1の本発明の固定データにすることが望ましい。上述したのはオーディオデータを例として説明したが、これ以外の著作権で保護されるべき各種のデータを本発明に適用できることは言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明は、著作権で保護されるべきプログラムデータが記録されたプログラム領域の目視による判別を不可能として、プログラム領域からのプログラムデータの違法再生による違法コピーを防止可能なマルチセッション方式のディスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるマルチセッション方式のCDを説明するための図
【図2】 図1に示すセッション1のリードイン領域及びリードアウト領域にそれぞれ記録されるEFMフレームフォーマットのデータの具体例を示す図
【図3】 シングルセッション方式のオーディオCDのデータ構造を説明するための図
【図4】 マルチセッション方式のCDのデータ構造を説明するための図
【図5】 図3に示すオーディオCDのリードイン領域及びリードアウト領域にそれぞれ記録されるEFMフレームフォーマットのデータの具体例を示す図
【符号の説明】
1〜3 CD、ディスク
2a1,2a2 リードイン領域
2b1,2b2 プログラム領域
2c1,2c2 リードアウト領域
S1,S2 セッション

Claims (1)

  1. 所定のプログラムデータが記録されたディスクにおいて、
    径方向に、順次、同心円状に設けられた、
    前記プログラムデータが非固定データとして記録された第1のプログラム領域と、
    互いに隣接するデータが相違する非固定データ列が記録されたリードアウト領域と、
    前記プログラムデータがコピーされることを防止するためのコピープロテクトデータが非固定データとして記録された第2のプログラム領域と、
    を有することを特徴とするディスク
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