JP4233856B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノートパソコン、PDA、携帯電話等のモバイル機器、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等に用いる画像表示装置、より詳しくはクーロン力を利用した粒子の飛翔移動により画像を繰り返し表示、消去できる画像表示板を具備する画像表示装置に関するものである。
【0002】
従来より、液晶(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式などの技術を用いた画像表示装置が提案されている。
【0003】
これら従来の技術は、LCDに比べて、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリ機能を有している等のメリットから、次世代の安価な画像表示装置に使用できる技術として考えられ、携帯端末用画像表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液からなる分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する電極間に配置する電気泳動方式が提案され、期待が寄せられている。(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”、p.249-252
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅いという問題がある。更に、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているために沈降し易く、分散状態の安定維持が難しく、画像繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにし、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0006】
一方、溶液中での挙動を利用した電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層を基板の一部に組み入れた方式も提案されている。しかし、電荷輸送層、更には電荷発生層を配置するために構造が複雑になると共に、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しく、安定性に欠けるという問題もある。
【0007】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、乾式で応答速度が速く、単純かつ安価な構成で、安定性に優れた画像表示装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に、色および帯電特性の異なる2種類の粒子を封入し、基板上に設けた電極からなる電極対から上記粒子に表示画像に応じて電界を与えることにより、粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示板を具備した画像表示装置であって、上記電極の固有振動数を含む周波数範囲で周波数が掃引された交番電圧を発生する交番電圧発生手段を有し、上記画像表示板に画像を表示する合間に、上記電極対間に上記交番電圧発生手段からの交番電圧を印加するよう構成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の画像表示装置によると、画像表示の駆動の合間に電極対間に電極の固有振動数を含む周波数範囲で周波数が掃引された交番電圧が印加されることで、粒子は電極対間で振動運動し、これにより各電極に貼り付いた粒子が引き剥がされ、その結果、表示を多数回繰り返しても、表示面に粒子が貼り付いた状態が発生せず、表示の色むらの発生が効果的に抑制される。
【0011】
また、2種類の粒子の色は白色および黒色であることが、モノクロの画像を表示する点で好ましい。
【0012】
さらに、画像表示板は、隔壁により互いに隔離された1つ以上の表示素子を有することが、基板平行方向の余分な粒子移動を阻止し、耐久繰り返し性、メモリ保持性を介助し、かつ基板間の間隔を均一にして画像表示板の強度を上げる点で好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1(a)〜(c)は、本発明の画像表示装置を構成する画像表示板の表示素子の一例の構成と、その表示駆動原理とを示す図である。図1(a)〜(c)において、1は透明基板、2は対向基板、3は表示電極(透明電極)、4は対向電極、5は負帯電性粒子、6は正帯電性粒子、7は隔壁を示している。
【0014】
図1(a)は対向する基板(透明基板1と対向基板2)の間に負帯電性粒子5および正帯電性粒子6を配置した状態を示す。この状態のものに、表示電極3側が低電位、対向電極4側が高電位となるように電圧を印加すると、図1(b)に示すように、クーロン力によって、正帯電性粒子6は表示電極3側に飛翔移動し、負帯電性粒子5は対向電極4側に飛翔移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は正帯電性粒子6の色に見える。
【0015】
次に、電源を切り換えて、表示電極3側が高電位、対向電極4側が低電位となるように電圧を印加すると、図1(c)に示すように、クーロン力によって、負帯電性粒子5は表示電極3側に飛翔移動し、正帯電性粒子6は対向電極4側に飛翔移動する。この場合、透明基板1側から見る表示面は負帯電性粒子6の色に見える。
【0016】
図1(b)と図1(c)との間は、電源を反転するだけで繰り返し表示することができ、このように電源を反転することで可逆的に色を変化させることができる。
【0017】
なお、粒子の色は随意に選定することができ、例えば、負帯電性粒子5を白色とし、正帯電性粒子6を黒色とすることにより、あるいはそれとは逆に負帯電性粒子5を黒色とし、正帯電性粒子6を白色とすることにより、白色と黒色との間の可逆表示とすることができる。
【0018】
このように、本発明で用いる表示素子では、各帯電性粒子が気体中を飛翔するので、画像表示の応答速度が速く、応答速度を1msec以下にすることができる。また、液晶表示素子における配向膜や偏光板等が不要であることから、構造が単純で、低コストかつ大画面が可能である。また、温度変化に対しても安定で、低温から高温まで使用可能である。さらに、視野角がなく、高反射率で明るいところでも見易く、低消費電力である。しかも、一度電圧を印加して表示を行なった後は、電圧を切っても各粒子は鏡像力により電極に貼り付いた状態となるので、表示画像が長期に保持され、良好なメモリ特性が得られる利点がある。
【0019】
次に、上記表示素子の構成要素について更に詳細に説明する。
【0020】
透明基板1は、装置外側から粒子の色が確認できるように、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。また、対向基板2は透明または不透明な材料で形成する。これら透明基板1および対向基板2は、用途に応じて、例えば電子ペーパー等の用途には可撓性のある材料が好適であり、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器の表示装置等の用途には可撓性のない材料が好適である。このような透明基板1および対向基板2の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル等のポリマーシートや、ガラス、石英等の無機シートを用いることができる。
【0021】
また、透明基板1及び対向基板2の厚みは、薄すぎると強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、厚すぎると表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合には可撓性に欠けることから、2μm〜5000μmが好ましく、特に5μm〜1000μmが好適である。
【0022】
表示電極3は、透明かつパターン形成可能な導電材料で透明基板1上に形成する。例えば、ITO、導電性酸化スズ、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物を用い、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したり、あるいは導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダーに混合して塗布して形成する。
【0023】
導電剤としては、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムパークロレート等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や導電性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等を用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければどのような厚さでも良いが、3nm〜1000nm、好ましくは5nm〜400nmが好適である。
【0024】
対向基板4は、上記の表示電極3と同様の透明電極材料、あるいはアルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の非透明電極材料を用い、表示電極3の形成方法と同様の形成方法で対向電極2上に形成する。
【0025】
なお、各電極には、帯電した粒子の電荷が逃げないように、絶縁性のコート層を形成することが好ましい。コート層は、負帯電性粒子に対しては正帯電性の樹脂を、正帯電性粒子に対しては負帯電性の樹脂を用いると、粒子の電荷が逃げ難いので特に好ましい。
【0026】
負帯電性粒子5および正帯電性粒子6を構成する粒子は、負または正帯電性の着色粒子で、クーロン力により飛翔移動するものであればいずれでも良いが、特に、球形で比重の小さい粒子が好適である。粒子の平均粒径は0.1μm〜50μmが好ましく、特に1μm〜30μmが好ましい。粒径がこの範囲より小さいと、粒子の電荷密度が大きすぎて電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリ性はよいが、電界を反転した場合の応答性が悪くなる。反対に粒径がこの範囲より大きいと、応答性は良いが、メモリ性が悪くなる。
【0027】
粒子を負または正に帯電させる方法は、特に限定されないが、コロナ放電法、電極注入法、摩擦法等の粒子を帯電する公知の方法を用いることができる。粒子の表面電荷密度は絶対値で5〜100μC/m2の範囲が好ましい。表面電荷密度がこの範囲より小さいと、電界の変化に対する応答速度が遅くなり、メモリ性も低くなる。また、表面電荷密度がこの範囲より大きいと、電極や基板への鏡像力が強すぎ、メモリ性はよいが、電界を反転した場合の応答性が悪くなる。
【0028】
本発明において用いた、表面電荷密度を求めるのに必要な、帯電量の測定および粒子比重の測定は以下によって行った。表面電荷密度は、帯電量および比重に基づき算出した。
<ブローオフ測定原理及び方法>
ブローオフ法においては、両端に網を張った円筒容器中に粉体とキャリヤの混合体を入れ、一端から高圧ガスを吹き込んで粉体とキャリヤとを分離し、網の目開きから粉体のみをブローオフ(吹き飛ばし)する。この時、粉体が容器外に持ち去った帯電量と等量で逆の帯電量がキャリヤに残る。そして、この電荷による電束の全てはファラデーケージで集められ、この分だけコンデンサーは充電される。そこでコンデンサー両端の電位を測定することにより粉体の電荷量Qは、
Q=CV (C:コンデンサー容量、V:コンデンサー両端の電圧)
として求められる。
ブローオフ粉体帯電量測定装置としては東芝ケミカル社製のTB-200を用いた。本発明ではキャリヤとして正帯電性・負帯電性の2種類のものを用い、それぞれの場合の単位面積あたり電荷密度(単位:μC/m2)を測定した。すなわち、正帯電性キャリヤ(相手を正に帯電させ自らは負になりやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF963-2535を、負帯電性キャリヤ(相手を負に帯電させ自らは正に帯電しやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF921-2535を用いた。
<粒子比重測定方法>
粒子比重は、株式会社島津製作所製比重計、マルチボリウム密度計H1305にて測定した。
【0029】
粒子はその帯電電荷を保持する必要があるので、体積固有抵抗で、1×1010Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましく、特に1×1012Ω・cm以上の絶縁性粒子が好ましい。また、以下に述べる方法で評価した電荷減衰性の遅い粒子が更に好ましい。
【0030】
すなわち、粒子を、別途、プレス、加熱溶融、キャスト等により、厚み5μm〜100μmのフィルム状にする。そして、そのフィルム表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8KVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させ、その表面電位の変化を測定し判定する。この場合、0.3秒後における表面電位の最大値が300Vより大きく、好ましくは400Vより大きくなるように、粒子構成材料を選択、作成することが肝要である。
【0031】
なお、上記表面電位の測定は、例えば図2に示した装置(QEA社製CRT2000)を用いて行うことができる。すなわち、ローラ11の表面に前述したフィルムを保持して、ローラ11のシャフト12の両端部をチャック13a,13bにて支持し、小型のスコロトロン放電器15と表面電位計16とを所定間隔離して併設した計測ユニット17を上記フィルムの表面と1mmの間隔を持って対向配置して、上記フィルムを静止した状態のまま、計測ユニット17をフィルムの一端から他端まで一定速度で移動させることにより、表面電荷を与えつつその表面電位を測定する。なお、測定環境は温度25±3℃、湿度55±5RH%とする。
【0032】
粒子は帯電性能等が満たされれば、いずれの材料から構成されても良い。例えば、樹脂、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等から、あるいは、着色剤単独等で形成することができる。
【0033】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0034】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。
【0035】
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。
【0036】
その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物およびその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0037】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0038】
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
【0039】
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等がある。
【0040】
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等がある。
【0041】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等がある。
【0042】
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
【0043】
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC等がある。
【0044】
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
【0045】
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0046】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。
【0047】
また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0048】
これらの着色剤は、単独或いは複数組み合わせて用いることができる。特に黒色着色剤としてカーボンブラックが、白色着色剤として酸化チタンが好ましい。
【0049】
粒子の製造方法については特に限定されないが、例えば、電子写真のトナーを製造する場合に準じた粉砕法および重合法を使用することができる。また、無機または有機顔料の粉体の表面に樹脂や荷電制御剤等をコートする方法も適用することができる。
【0050】
上記の負帯電性粒子5および正帯電性粒子6を含む粒子の充填量は、透明基板1および対向基板2間の空間体積に対して体積占有率で、10%〜80%、好ましく20%〜70%を占める体積になるように充填する。
【0051】
隔壁7は、各表示素子の平行する2方向に設けることもできるが、好ましくは各表示素子の四周に設ける。このような隔壁7を設けることにより、基板平行方向の余分な粒子移動を阻止し、耐久繰り返し性、メモリ保持性を介助することができると共に、基板間の間隔を均一にでき、かつ基板を補強して画像表示板の強度を上げることができる。
【0052】
この隔壁7の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、スクリーン版を用いて所定の位置にペーストを重ね塗りするスクリーン印刷法や、基板上に所望の厚さの隔壁材をベタ塗りし、隔壁として残したい部分のみレジストパターンを隔壁材上に被覆した後、ブラスト材を噴射して隔壁部以外の隔壁材を切削除去するサンドブラスト法や、基板上に感光性樹脂を用いてレジストパターンを形成し、レジスト凹部へペーストを埋め込んだ後レジストを除去するリフトオフ法(アディティブ法)や、基板上に隔壁材料を含有した感光性樹脂組成物を塗布し、露光・現像により所望のパターンを得る感光性ペースト法や、基板上に隔壁材料を含有するペーストを塗布した後、凹凸を有する金型等を圧着・加圧成形して隔壁を形成する鋳型成形法等、種々の方法が採用される。さらに、鋳型成形法を応用し、鋳型として感光性樹脂組成物により設けたレリーフパターンを使用する、レリーフ型押し法も採用することもできる。
【0053】
隔壁7は、透明基板と対向基板との間を粒子が飛翔移動でき、コントラストを維持できるように、通常10μm〜5000μm、好ましくは30μm〜500μmの高さとする。
【0054】
本発明の画像表示装置に用いる画像表示板は、上記の表示素子をマトリックス状に複数配置して複数の画素を形成する。ここで、画像表示板の一画素は、白黒表示の場合は一つの表示素子を一画素とし、白黒以外の任意の色表示の場合は、粒子の色の組み合わせを適宜選択して同様に一つの表示素子を一画素として構成する。また、フルカラー表示の場合は、3種の表示素子、例えば、R(赤色)の粒子と黒色の粒子、G(緑色)の粒子と黒色の粒子、およびB(青色)の粒子と黒色の粒子とを持つ3種の表示素子により一画素を構成するようにする。
【0055】
このようにして、入力画像データに応じて、ドライブ回路により画像表示板の順次の表示素子を走査しながら、各表示素子への電圧の印加を制御して、すなわち各表示素子に対して図1(b)および(c)に示したように、一方の電極に高電位を付与し、他方の電極に低電位を付与したり、それとは逆に、一方の電極に低電位を付与し、他方の電極に高電位を付与したりして、画像を表示する。
【0056】
ところで、本発明者らによる実験検討によると、上述したように図1(b)と(c)との間を多数回繰り返して画像表示を行なうと、表示面に一部の粒子が貼り付いた状態となって、色むらが発生する場合があることが判明した。特に、表示素子の表示面が大きい場合には、この現象が起こり易い。
【0057】
そこで、本発明の一実施の形態では、図3に概略構成のブロック図を示すように、図1に示した表示素子1を有する画像表示板21のドライブ回路22に、周波数が掃引された交番電圧を発生する交番電圧発生回路23を接続し、これらドライブ回路22および交番電圧発生回路23を制御回路24により制御して、入力画像データに応じたドライブ回路22による画像表示板21の表示駆動の合間に、交番電圧発生回路23を駆動してその交番電圧をドライブ回路22を介して画像表示板21の各表示素子の電極間に印加する。
【0058】
なお、交番電圧は、例えば、画像表示の垂直ブランキング期間に全ての表示素子に同時に印加したり、表示面を複数の領域に分割し、同一領域内の表示素子に対しては同一の垂直ブランキング期間に同時に印加するようにして、順次の垂直ブランキング期間に領域単位で順次に印加したり、あるいは1表示素子毎に任意のタイミングで順次に印加したり、任意の方法で印加する。
【0059】
このように、各表示素子1に交番電圧を印加すると、その表示素子1内の粒子は、電極間、特に電極近傍で振動運動する。この振動運動は、粒子の振動周波数と電極系の固有振動数とが共振する周波数で最も激しくなり、電極に貼り付いた粒子を引き剥がす剥離効果が最大となるが、上記固有振動数は振動系およびその状態によって変わるので、予め設定した一定の周波数の交番電圧を印加しても効果は小さい。そこで、電極系の固有振動数を含むように、低い周波数と高い周波数との間で交番電圧の周波数を掃引すれば、極めて大きな剥離効果を得ることができる。
【0060】
なお、交番電圧の波形は、正弦波、矩形波、三角波、鋸歯波等、いずれでも良い。また、交番電圧の周波数の掃引範囲は、例えば10Hz〜100KHzの範囲内で、上述したように電極系の固有振動数を含む範囲に設定し、交番電圧の振幅は、周波数の掃引と相俟って十分な剥離効果が得られるよう、例えば1V〜500Vとする。
【0061】
このように、本実施の形態による画像表示装置では、画像表示板21を画像データに応じて表示駆動する合間に、画像表示板21の各表示素子に電極系の固有振動数を含む周波数範囲で周波数が掃引された交番電圧を印加するようにしたので、表示を多数回繰り返しても、表示面に粒子が貼り付いた状態が発生せず、表示の色むらの発生を効果的に抑制することができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1(a)に示すような画像表示板を、透明基板1としてガラス基板を用い、対向基板2としてエポキシ板を用い、表示電極3をITO電極とし、対向電極4を銅電極として作製した。各電極3、4の表面には、付着防止と電荷漏洩防止のために、絶縁性のシリコーン樹脂を約1μmの厚さにコートした。負帯電性粒子5として電子写真用黒色重合トナー(平均粒径8μmの球形、表面電荷密度−50μC/m2、上記0.3秒後の表面電位450V)を用いた。正帯電性粒子6としては、白色顔料に酸化チタンを用い、荷電制御剤に4級アンモニウム塩系化合物を用いて、スチレンアクリル樹脂の重合粒子を作製した(平均粒径8μmの球形、表面電荷密度+45μC/m2、上記0.3秒後の表面電位500V)。粒子の帯電は、両粒子を等量混合撹拌して摩擦帯電により行った。表示面の面積を50mm×50mm、隔壁7の高さを200μmとして、粒子の充填量(体積占有率)は、空間の60%とした。
【0063】
かかる画像表示板の各表示素子の表示電極に−100V、対向電極に+100Vの直流電圧を印加すると、正帯電性粒子6は表示電極3側に飛翔して付着し、負帯電性粒子5は対向電極4側に飛翔して付着し、画像表示板は白色に表示された。次に、印可する電圧の極性を逆にすると、負帯電性粒子5は表示電極3側に飛翔して付着し、正帯電性粒子6は対向電極4側に飛翔して付着し、画像表示板は黒色に表示された。
【0064】
電圧印加に対する応答時間を測定したところ、1msecであった。また、画像表示後に電圧印加を停止して1日間放置したところ、表示は保たれていた。
【0065】
また、図1(a)に示す状態から、電圧の極性を切り替えて、図1(b)と図1(c)との繰り返しである表示サイクルを50回行なった後に、電極間に500Hz〜50KHzで掃引した振幅200Vの正弦波交番電圧を印加するようにして、表示サイクルを合計1万回実施したところ、電極に対する粒子の貼り付きは起こらず、表示の色むらの発生は見られなかった。
【0066】
比較のために、上記と同様な表示板を用いた同様な実験において、図1(b)と図1(c)との繰り返しである表示サイクルのみを行なった。この場合は、表示サイクルを100回行った時点で、電極に対する粒子の貼り付きが見られ、表示の色むらの発生が見られた。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、粒子に直接的に電界を与えてクーロン力などにより粒子を飛翔移動させる乾式で画像を表示するので応答速度を速くできると共に、液晶表示素子における配向膜や偏光板等が不要であることから、構造が単純で、低コストかつ大画面にでき、しかも画像表示の駆動の合間に、電極対間に交番電圧発生手段からの電極の固有振動数を含む周波数範囲で周波数が掃引された交番電圧を印加する簡単かつ安価な構成で、表示を多数回繰り返しても、表示面に粒子が貼り付いた状態が発生せず、表示の色むらの発生を効果的に抑制することができ、安定性に優れた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の画像表示装置に用いる画像表示板の表示素子の一例とその表示駆動原理を示す図である。
【図2】 粒子の表面電位の測定要領を示す図である。
【図3】 本発明による画像表示装置の一実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 対向基板
3 表示電極
4 対向電極
5 負帯電性粒子
6 正帯電性粒子
7 隔壁
21 画像表示板
22 ドライブ回路
23 交番電圧発生回路
24 制御回路
Claims (3)
- 少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に、色および帯電特性の異なる2種類の粒子を封入し、基板上に設けた電極からなる電極対から上記粒子に表示画像に応じて電界を与えることにより、粒子を飛翔移動させて画像を表示する画像表示板を具備した画像表示装置であって、
上記電極の固有振動数を含む周波数範囲で周波数が掃引された交番電圧を発生する交番電圧発生手段を有し、上記画像表示板に画像を表示する合間に、上記電極対間に上記交番電圧発生手段からの交番電圧を印加するよう構成したことを特徴とする画像表示装置。 - 上記2種類の粒子の色が白色および黒色であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 上記画像表示板は、隔壁により互いに隔離された1つ以上の表示素子を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
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