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JP4233628B2 - 耐スケール剥離性に優れた水素発生器用オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐スケール剥離性に優れた水素発生器用オーステナイト系ステンレス鋼 Download PDF

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JP4233628B2 JP08773998A JP8773998A JP4233628B2 JP 4233628 B2 JP4233628 B2 JP 4233628B2 JP 08773998 A JP08773998 A JP 08773998A JP 8773998 A JP8773998 A JP 8773998A JP 4233628 B2 JP4233628 B2 JP 4233628B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプ内に充填された触媒に炭化水素系ガスと水を導入し、その触媒部を炭化水素系ガスの燃焼熱を利用して加熱し、高温下での触媒反応により水素を発生させる水素発生器用の耐スケール剥離性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素系ガスの触媒反応を利用した水素発生器は、触媒と導入ガスの反応を開始させ、さらに効率を向上させるため、反応部を外部から加熱する必要がある。この加熱方法としてはヒーター等の電気的加熱では電気の存在が必須となり、使用環境に制約がある。このため、原料気体である炭化水素系ガスの燃焼バーナー等を使用した燃焼加熱方式が用いられる。
【0003】
この炭化水素系ガスの燃焼雰囲気中の加熱の酸化に関しては従来より研究が進められ、燃焼雰囲気中に存在する5〜15%程度の水分により加速酸化が起こり、大気中に比べ酸化量が著しく増加することが良く知られている。この加速酸化による酸化量の増加は材料の薄肉化の原因となり、また厚く形成したスケ−ルが使用中に剥離すると美観を損なうばかりでなく、水素発生器用材料としての触媒反応の効率低下等の大きな問題を引き起こす。
【0004】
このような水蒸気による加速酸化を抑制するため、Cr添加量を増加した耐酸化性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼が開発されてきた。
さらに、特開昭57−39159号公報や特開昭60−92454号公報では剥離を抑えるためにCa、Mg、希土類元素を添加するオーステナイト系ステンレス鋼が、また、特開昭55−43498号公報では高温で安定なAl2 3 皮膜を形成させるためにAlを4.5%から6%添加したオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。また、Siを添加したAISI 302B(18Cr−9Ni−2.5Si)、AISI 314(25Cr−20Ni−2Si)が耐熱部材用のオーステナイト系ステンレス鋼として開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した公知のオーステナイト系ステンレス鋼は連続長時間の加熱下での耐酸化性は優れるものの、加熱−冷却を繰り返す断続加熱下ではオーステナイト系ステンレス鋼が高い熱膨張率を持つが故に、スケールとの整合性が悪くスケールが剥離し易いという欠点がある。
従って、本願発明で適用する水素発生器のように、水素を必要とするある一定時間内に加熱を行い、その後放冷するサイクルで繰り返し使用される場合には、単に酸化速度の低下を目的としたこれまでのオーステナイト系ステンレス鋼では適用できなかった。
【0006】
さらに、水素発生器はその仕様上、原料の炭化水素系ガスと水を導入するガス入側では定常状態で400℃以下の低温、触媒によりそれらが反応する部位では600〜1200℃以上の高温となり、同一パイプ面内で0.2℃/mm以上の温度勾配を持つことになる。
すなわち、水素発生器には、
▲1▼水分が存在する燃焼雰囲気で600℃以上の高温
▲2▼加熱−冷却の熱サイクル
▲3▼0.2℃/mm以上の温度勾配
の過酷な環境下での耐スケール剥離性に優れた材料が要求される。
【0007】
しかしながら、これら3要素を満足するオーステナイト系ステンレス鋼は存在せず、適用できないという問題点があった。一方、フェライト系ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレス鋼に比べ、熱膨張率の観点からは有利であるが、高温強度の点で適用が難しいとされていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは上記3条件を満足するための合金指標を検討し、その指標に基づく耐スケ−ル剥離性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を完成させるに至り本発明をなしたものである。すなわち、本発明は、温度勾配を持ち、さらに炭化水素系ガスの燃焼雰囲気下で、断続的に加熱−冷却のサイクルを繰り返して使用される水素発生器用材料として、耐スケール剥離性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼を提供するものであり、その要旨とするところは以下の構成からなる。
(1)質量%で、
C :0.01〜0.15%、 Si:0.5〜3.51%、
Mn:0.2〜2%、 P :0.04%以下、
S :0.02%以下、 Ni:12〜22%、
Cr:17〜26%
含有し、残部Feおよび不可避不純物よりなり、かつ、元素添加量と使用する最高加熱温度T(K)、温度勾配α(℃/mm)との間に、下記(1) 式を満足することを特徴とする耐スケール剥離性に優れた水素発生器用オーステナイト系ステンレス鋼。
{2.1(Cr−17)+3.5(Ni−12)+6.8(Si−0.5)
+3.9Al}/{0.012T+α}≧1 ・・・(1)
(2)前項記載の成分に加えて、さらに質量%で、Al:0.01〜2.74%を含有することを特徴とする前記 ( ) に記載の耐スケール剥離性に優れた水素発生器用オーステナイト系ステンレス鋼
) 前項記載の成分に加えて、さらに質量%で、
Cu:0.1〜2.5%、 Mo:0.1〜6.5%、
La:0.001〜0.1%、 Y :0.001〜0.1%、
Ce:0.001〜0.1%、 Pr:0.001〜0.1%、
Nd:0.001〜0.1%の1種以上を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の耐スケ−ル剥離性に優れた水素発生器用オーステナイト系ステンレス鋼。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に至った経緯を含め、さらに詳細な説明をする。
発明者らは、高温強度、耐酸化性の観点から汎用的に用いられるSUS316L(17Cr−13Ni−2.5Mo)のオーステナイト系ステンレス鋼を中心として、Cr、Ni、Mn、Siを変化させた表1の成分のオーステナイト系ステンレス鋼を300kgの真空溶解し、通常の工程で厚さ0.7mmの薄板を製造し、直径が約15mmのパイプとし、次いで、パイプを200mmの長さに切断し、内部に貴金属を担持した触媒を充填し、メタンガス、空気、水の混合ガスを管内に導入しながら、外部よりメタンガス燃焼バーナーで加熱し、混合ガスの触媒反応により水素発生の実験を行った。
【0010】
この際の定常状態でのガス入側のパイプ温度は200℃、ガス出側のパイプ温度は1050℃であり、200mmの短管に約4℃/mmの温度勾配が存在する。また、水素を発生させるために高温保持する時間を1時間、その後30分間放冷し、再度加熱するサイクルを繰り返した。サイクル数に関しては全高温加熱時間が1000時間が一般的な水素発生器の使用寿命として、ここでは1000サイクルを目安とした。
【0011】
【表1】
Figure 0004233628
【0012】
表2は表1の各種成分鋼を用い、加熱−冷却を1000サイクルまで実施したときの、スケ−ルの剥離状態を観察した結果であり、表中の数字は剥離が開始したサイクル数である。ここで、1000サイクル超は全加熱時間が1000時間となる1000サイクル後でもスケ−ル剥離が無いことを示す。また、同表には燃焼雰囲気および大気中で温度勾配が無い状態での同様の熱サイクルを繰り返した際のスケール剥離開始までのサイクル数も参考として記載した。
【0013】
【表2】
Figure 0004233628
【0014】
SUS316Lは温度勾配が無く均一加熱の場合、大気中加熱では487サイクルまでスケール剥離が発生しなかったが、メタン燃焼雰囲気中では124サイクルで剥離した。さらに、温度勾配がある場合には55サイクルでスケ−ルが剥離した。また、SUS316LとCr量以外は同成分であるA、B鋼はCr量の増加とともに耐スケール剥離性が改善するものの、温度勾配が存在する条件ではA鋼では106サイクル、B鋼では867サイクルで剥離し、目標の1000サイクルを達成することが出来なかった。
【0015】
これらSUS316L、A鋼およびB鋼のスケ−ル剥離箇所を観察すると、均一加熱条件下での加熱では剥離は全面でランダムに発生しているのに対し、温度勾配を持つ条件下では約600℃程度の低温部から剥離が発生し、温度の増加とともに剥離面積が増大した。この結果から、
▲1▼燃焼雰囲気中とはいえ、通常はスケ−ル剥離がしないと考えられる600℃程度の低温域でも温度勾配が有る場合にはスケ−ル剥離が進行する。
▲2▼Crの増加のみでは耐スケ−ル剥離性を改善できない
ことが明らかになった。
【0016】
一方、A鋼とほぼ同Cr量のD鋼、F鋼、G鋼、またB鋼とほぼ同Cr量のC鋼、E鋼ではいずれの雰囲気、あるいは温度勾配の有無に拘わらず、1000サイクル後でもスケール剥離が認められず、より長時間の使用に耐えることがわかった。この原因を明らかにするために、剥離が発生したSUS316L、および表1のA鋼、B鋼では温度勾配の存在する条件下で加熱した時のスケ−ル剥離直前のサイクルのパイプおよびスケ−ル剥離直後のパイプ、そして剥離が発生しなかったC〜G鋼では1000サイクル終了後のパイプをガス入側の低温部からガス出側の高温部にかけて10mmずつ切り出し、それらの断面を光学顕微鏡観察およびEPMAによる元素分布測定を行った。
【0017】
その結果、以下のことが明らかになった。
▲1▼55サイクルでスケールが剥離したSUS316のスケールは、下地金属側の内層が(Cr、Fe)酸化物、外層がFe酸化物の2層構造であり、この内層スケールのCr量は加熱温度の増加とともに減少し、600℃以上の高温部ではCr量の少ない保護性の無い状態である。
▲2▼A鋼およびB鋼は、SUS316Lに比べて内層スケール中のCr量が多い(Cr、Fe)酸化物であり、スケール厚もSUS316Lよりは薄く、保護皮膜としてある程度作用しているが、温度域が600℃以上の部位より局所的に瘤状の膨れが発生する。この瘤状スケールは平滑部に比べてスケール厚が厚く、内層部もFe量が増加した状態であり、その部位からスケール剥離が進行する。 ▲3▼1000サイクル後も剥離しなかったC鋼〜G鋼の内層スケールは、低温部から高温部にかけてCr量が減少した酸化物となるものの、瘤状の膨れは認められない。また、スケールと下地金属との界面にはC鋼およびD鋼ではSiO2 が点状あるいは層状に形成しており、E鋼とF鋼は界面に金属状Niが濃化した領域が存在し、さらにはG鋼ではAl2 3 が点状あるいは層状に存在する。
【0018】
すなわち、温度勾配のある環境下での耐スケール剥離向上にはNi、Si、また必要に応じて添加するAlが極めて重要な役割を果たすことが明らかになった。そこで、Cr量をA鋼、D鋼、G鋼と同様の19%として、Ni量を11〜21%、Si量を0.4〜5.5%、Al量を0.01〜3.0%に変化させ、他のS、P等はSUS316Lと同量としたオ−ステナイト系ステンレス鋼を真空溶解し、1mm厚の冷延焼鈍板を作製した後、各種長さの直径20mmφのパイプ製造した。これを前述と同様のプロパンガスを使用した水素発生器の状況下でのガス入側温度を100℃〜500℃、ガス出側温度を800℃から1200℃として、1時間加熱、30分間放冷のサイクルを1000サイクル実施した。
【0019】
図1は横軸に{2.1(Cr−17)+3.5(Ni−12)+6.8(Si−0.5)+3.9Al}/{0.012T+α}とするCr、Ni、Si、Alの濃度、および使用時の最高温度T(K)、パイプに存在する温度勾配α(℃/mm)を関数とした因子を、縦軸にスケール剥離が開始までのサイクル数をまとめたものである。同図より明らかなように、{2.1(Cr−17)+3.5(Ni−12)+6.8(Si−0.5)+3.9Al}/{(0.012T+α}が1以上ではスケール剥離は発生せず、良好な特性を持つことがわかる。
【0020】
すなわち、温度勾配のある燃焼雰囲気中での形成するスケールの剥離を抑制するためには、使用する最高温度と温度勾配によりCrやNi、Si、また必要に応じて添加するAl量を考慮する必要がある。また、Cr量の係数は他の元素に比べて小さく、このことが前述したCrの増加ではスケール剥離を抑制できなかった理由であったことを示唆している。
【0021】
さらに発明者らは、このNi、SiおよびAlの効果について検討するため、上記試験材の断面観察を行った。その結果、Ni、Si、また必要に応じて添加するAlはスケール/下地界面に点状あるいは層状濃化しており、それらの濃化量は含有するSi、NiあるいはAl量の増加とともに増加することが明らかになった。一般的に、Ni、Si、Alの効果については、それらが酸化物あるいは金属状態でスケール/下地界面に濃化することにより、金属イオンの拡散係数を低下させ、スケール生成を抑制することで耐酸化性を向上させると考えられる。しかしながら、表2から明らかなように、温度勾配の有る場合にはスケール厚が薄い低サイクル数でも剥離し、温度勾配が無い場合にはそれ以上のスケール厚となってから剥離が発生する。したがって、発明者らはNi、Si、Alの効果は従来知見のような単にスケールの成長を抑制する役割ではなく、他の作用により耐スケ−ル剥離性向上に寄与しているとの知見を得た。
【0022】
そこで、スケールと下地金属界面を詳細に調査した結果、界面に濃化したSiやAlの酸化物、あるいは金属状Niは母材が温度勾配により長手方向に異なる膨張率で膨張する、あるいは冷却時に収縮する場合に、表層スケールに与える応力を緩和するように作用し、スケール剥離を抑制していることを見出した。さらに、Crを含めたこれらNi、Si、また必要に応じて添加するAlの添加量は使用する最高温度T(K)、温度勾配α(℃/mm)に下記(1) 式の関係があり、その条件を満足する場合にのみスケ−ル剥離が発生しないとの結論を得た。
{2.1(Cr-17) +3.5(Ni-12)+6.8(Si-0.5)+3.9Al}/{(0.012T+ α} ≧1
・・・(1)
【0023】
次に、本発明の限定理由について説明する。
CはCr炭化物を形成し易く、耐食性を劣化させるので低い方がよいが、水素発生器のように装置として固定した状態で使用する場合には高温強度も必要な特性となるため、0.01%以上、0.15以下とした。
【0024】
Siは前述したように、加熱時でスケ−ル/下地金属界面に濃化し、温度勾配により板面内に発生する応力分布を緩和し、耐スケール剥離性を向上させる元素である。一方、多量の添加は靱性を著しく低下するため、0.5%以上、3.51%以下とした。
【0025】
Mnは脱酸元素として有効であるのである程度必要である。しかし、耐食性、加工性の点から限界があるので0.2%〜2.0%とした。
【0026】
Pは粒界偏析し易い元素であり、熱間加工性、耐食性を劣化させ、さらには加熱使用時にスケ−ル/下地界面に濃化し易く、スケール剥離の原因ともなるため0.04%以下とした。
【0027】
Sは粒界偏析し易く、熱間加工性を著しく劣化し、熱間加工時の粒界割れを生じてヘゲ疵の主原因となる。また、SはPと同様に、使用加熱時にスケール/下地金属界面に濃化し、スケ−ル剥離の原因ともなるため0.02%以下とした。
【0028】
Niはオ−ステナイト系ステンレス鋼の主要元素である。温度勾配のある環境下では耐スケ−ル剥離性を向上させる作用を持ち、多くの添加が好ましいが、経済性の面から22%以下とした。また、下限については、スケール剥離抑制として作用する最低量として12%とした。
【0029】
Crは耐酸化性を確保する上で17%以上が必要であるが、熱間加工性、脆性を考慮して上限を26%とした。
【0030】
Alは耐スケール剥離性に効果があるものの、過剰な添加は製造性を著しく悪くするため、必要に応じて添加するものであり、その添加量は0.01%以上、2.74%以下とした。
【0032】
さらに本発明では、Cu,Mo,Ca,Y,Ce,Pr,Ndの少なくとも1種を必要に応じて添加する
【0033】
Cuは耐食性を向上させ、水素発生器として海浜地区等の環境下で使用する場合、あるいは触媒担体から出る腐食性物質が問題となる場合には有効な元素である。しかし、多量の添加は熱間加工性を著しく低下させるため、0.1%から2.5%とした。
【0034】
MoはCuと同様に耐食性を向上し、さらに高温強度の増加には有効な元素であるが、原料コストとδ−フェライト量の観点から0.1〜6.5%とした。
【0035】
【0036】
La、Y、Ce、Pr、Ndはスケ−ルの剥離性に有効な元素であるが、多くの添加はコストの増加と製造性の著しい低下の原因となるため、それぞれ0.001〜0.1%とした。
【0037】
【実施例】
表3には各種成分のオーステナイト系ステンレス鋼を用いて、各種板厚のパイプを製造し、触媒担体を充填した後、各種炭素系ガスの燃焼雰囲気下で加熱して水素発生を各種温度勾配、温度、時間で実施した時の全加熱時間が1000時間までのスケール剥離状態を観察した結果を示す。
【0038】
実験は水素発生器の使用寿命としての全加熱時間1000時間を目安として、1000時間までのサイクルで実施した。A鋼、B鋼およびC鋼の次式の(1) 式から計算されるA値が1以下の場合には1000時間以下で剥離が発生するが、A値が1以上となるC鋼〜L鋼では全加熱時間が1000時間でもスケ−ル剥離が無く、それ以上での使用に十分耐えることが明らかである。
A={2.1(Cr-17)+3.5(Ni-12)+ 6.8(Si-0.5)+3.9Al}/{0.012T+ α} ≧1・・・(1)
【0039】
【表3】
Figure 0004233628
【0040】
【発明の効果】
本発明により、炭素系ガスの燃焼雰囲気中で加熱−冷却が繰り返され、かつその温度分布に温度勾配がある水素発生器に於いて、全加熱時間が1000時間を超えてもスケール剥離の無い、オーステナイト系ステンレス鋼の提供が可能となった。水素発生器は次世代のエネルギー源として非常に重要であり、このための材料を提供できる本願発明の工業的価値は極めて高いものであるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐スケール剥離性因子{2.1(Cr-17)+3.5(Ni-12)+ 6.8(Si-0.5)+3.9Al}/{0.012T+ α} と燃焼雰囲気下におけるスケ−ル剥離までの断続加熱時間の関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C :0.01〜0.15%、
    Si:0.5〜3.51%、
    Mn:0.2〜2%、
    P :0.04%以下、
    S :0.02%以下、
    Ni:12〜22%、
    Cr:17〜26%、
    含有し、残部Feおよび不可避不純物よりなり、かつ、元素添加量と使用する最高加熱温度T(K)、温度勾配α(℃/mm)との間に、下記(1) 式を満足することを特徴とする耐スケール剥離性に優れた水素発生器用オーステナイト系ステンレス鋼。
    {2.1(Cr−17)+3.5(Ni−12)+6.8(Si−0.5)
    +3.9Al}/(0.012T+α)≧1 ・・・(1)
  2. 鋼成分として、さらに質量%で、Al:0.01〜2.74%を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐スケール剥離性に優れた水素発生器用オーステナイト系ステンレス鋼
  3. 鋼成分として、さらに質量%で、
    Cu:0.1〜2.5%、
    Mo:0.1〜6.5%、
    La:0.001〜0.1%、
    Y :0.001〜0.1%、
    Ce:0.001〜0.1%、
    Pr:0.001〜0.1%、
    Nd:0.001〜0.1%
    の1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐スケール剥離性に優れた水素発生器用オーステナイト系ステンレス鋼。
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