JP4233272B2 - 物体計数方法及び物体計数装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体計数方法及び物体計数装置に係り、より詳しくは、路上における車両等の移動物体を監視対象として、当該移動物体の通過数を計数する物体計数方法及び物体計数装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特定の道路位置における車両の通過数を把握するために、様々な提案がなされている。その一つは、車両感知器を道路情報あるいは道路脇に配置し、観測点における車両の有無の時間的な推移を検出し、車両の通過数を把握しようとするものである(以下、「従来例1」という)。この従来例1における車両感知器としては、超音波センサ等により下方の物体までの距離を測定することにより、観測点における車両の有無を検出するものや、送光系から射出された光の車両による反射の有無を受光系に到達する光を検出ことにより検出するものが提案されている。
【0003】
また、ビデオカメラによる路上の撮像結果から、個々の車両をパターン認識し、車両の移動状況を検出することにより、車両の通過数を把握しようとする技術も提案されている(以下、「従来例2」という)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来例1の技術では、車両感知器が感知した車両と推定される物体が実際に車両であることを精度良く推定することができない。したがって、車両の通過数を精度良く計数ことができなかった。
【0005】
また、従来例2の技術では、個々の車両をパターン認識によって撮像結果から抽出するので、非常に大規模な計算資源が必要となる。こうした、大規模な計算資源を有するシステムは、必然的に大規模かつ複雑な構成を有するものとなってしまう。
【0006】
本発明は、かかる事情のもとでなされたものであり、車両等の移動物体を監視対象として、監視対象の物体の通過数を迅速にかつ精度良く計数することができる物体計数方法及び物体計数装置物体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の物体計数方法は、監視対象である移動物体の通過数を計数する物体計数方法であって、前記移動物体の移動経路を含む所定領域の撮像により得られる撮像結果画像において、前記移動経路に沿って、前記移動物体の典型的な大きさよりも少し大きめの固定的な監視領域を配置する監視領域配置工程と;前記監視領域内の領域であって、前記移動経路に沿った方向に関しては狭く、前記移動経路と直行する方向に関しては前記監視領域と同等な幅を有する固定的なスリット状領域を配置するスリット状領域配置工程と;前記所定領域の撮像結果画像に基づいて、前記監視領域内に前記移動物体が存在しないときにおける前記監視領域内の撮像画像である背景画像を特定する背景画像特定工程と;前記背景画像及び前記監視領域の各時点における撮像結果に基づいて、前記監視領域内における移動物体領域の各時点における第1面積占有率を算出する第1面積占有率算出工程と;前記背景画像及び前記スリット状領域の各時点における撮像結果に基づいて、前記スリット状領域内における移動物体領域の各時点における第2面積占有率を算出する第2面積占有率算出工程と;前記第1及び第2面積占有率の時間的な推移の波形形状の解析結果を考慮して、前記監視領域を通過した前記移動物体の数を計数する計数工程と;を含むことを特徴とする物体計数方法である。
【0008】
この物体計数方法では、まず、監視領域配置工程において、監視対象の移動物体の移動経路を含む所定領域を撮像したときに得られる撮像結果画像において、移動経路を含む領域であって、移動経路に沿って、移動物体の典型的な大きさよりも少し大きめの少なくとも1つの領域を監視領域として設定する。例えば、移動物体が車両であり、移動経路が道路である場合には、道路を含む所定の領域を撮像したときに得られる撮像結果画像において、道路の車線方向に沿って、監視対象とする車両の典型的な大きさよりも少々大きな固定的な領域を監視領域として設定する。なお、監視対象とする車両が、例えば乗用車及びバスのように、互いに大きく大きさの異なる複数の種類におよぶ場合には、それらの大きさに合わせた複数種類の監視領域を設定すればよい。
引き続き、スリット状領域配置工程において、監視領域内の領域であって、移動経路に沿った方向に関しては狭く、当該移動経路と直行する方向に関しては監視領域と同等な幅を有する固定的なスリット状領域を配置する。例えば、移動物体が車両であり、移動経路が道路である場合には、スリット状領域の道路に沿った幅は、渋滞時における車間よりも狭くすることが好ましい。
【0009】
次に、背景画像特定工程において、前記所定領域の撮像結果画像に基づいて、前記監視領域内に前記移動物体が存在しないときおける前記監視領域内の撮像画像である背景画像を特定する。
【0010】
次いで、第1面積占有率算出工程において、特定された背景画像と実際に各時点において撮像された監視領域内の撮像画像との差分画像が算出される。そして、算出された差分画像における所定の閾値以上の絶対値を有する画素の分布から監視領域内における移動物体領域を特定し、監視領域内における移動物体領域の各時点における第1面積占有率を算出するとともに、スリット状領域内における移動物体領域の各時点における第2面積占有率を算出する。
【0011】
上記のような背景画像の特定及び監視領域内における移動物体領域の各時点における第1及び第2面積占有率の算出を、監視領域を含む所定の領域の定期的な撮像のたびに行うとともに、計数工程において、上記の第1及び第2面積占有率の時間的な推移の波形形状の解析結果を考慮して、監視領域を通過した前記移動物体の数を計数する。
【0012】
すなわち、本発明の物体計数方法では、個々の車両をパターン認識によって特定する場合のように大規模な演算を必要とせず、移動物体領域の抽出、移動物体領域の監視領域内における面積比率の抽出及び面積比率の時間推移という比較的簡易な演算により、監視領域を通過する物体の計数を行う。したがって、本発明の物体計数方法によれば、車両等の移動物体の通過数を迅速にかつ精度良く計数することができる。また、例えば道路を含む領域を上方斜め方向から透視図法的に撮像した場合であっても、道路上を連続的に複数の車両が進行したときであっても、分解能良く車両を計数することができる。
【0014】
また、本発明の物体計数方法では、前記監視領域として、その内部に前記移動物体が存在しないとき、撮像結果おける前記移動経路領域の画素濃度値の分散及び変化幅が許容値以下となる領域を選択することができる。かかる場合には、簡易な撮像画像処理により精度良く背景画像を特定することができる。
【0015】
また、本発明の物体計数方法では、前記移動物体領域の代表位置の時間的な変化に基づいて、前記移動物体の速度を算出する速度算出工程を更に含むことができる。かかる場合には、監視領域を通過する移動物体の数に加えて、監視領域を通過する移動物体の速度を求めることができるので、移動物体の移動状況を総合的に把握することができる。
【0016】
また、本発明の物体計数方法では、前記移動経路を道路とし、前記移動物体を前記道路上の車両とすることができる。
【0017】
本発明の物体計数装置は、監視対象である移動物体の数を計数する物体計数装置であって、前記移動物体の移動経路を含む所定領域の撮像する撮像手段と;前記撮像装置による撮像結果画像に基づいて、前記所定領域において、前記移動経路に沿って、前記移動物体の典型的な大きさよりも少し大きめの固定的な監視領域内に前記移動物体が存在しないときにおける、前記監視領域内の撮像画像である背景画像を特定する背景画像特定手段と;前記背景画像及び前記監視領域の各時点における撮像結果に基づいて、前記監視領域内における移動物体領域の各時点における第1面積占有率、及び、前記監視領域内の領域であって、前記移動経路に沿った方向に関しては狭く、前記移動経路と直行する方向に関しては前記監視領域と同等な幅を有する固定的なスリット状領域の各時点における撮像結果に基づいて、前記スリット状領域内における移動物体領域の各時点における第2面積占有率を算出する面積占有率算出手段と;前記第1及び第2面積占有率の時間的な推移の波形形状の解析結果を考慮して、前記監視領域を通過した前記移動物体の数を計数する計数手段と;を備えることを特徴とする物体計数装置である。
【0018】
この物体計数装置では、撮像手段が撮像した所定領域の撮像結果に基づいて、背景画像特定手段が、移動経路に沿って、移動物体の典型的な大きさよりも少し大きめの固定的な監視領域内の背景画像を特定する。引き続き、面積占有率算出手段が、背景画像及び監視領域の各時点における撮像結果に基づいて、監視領域内における移動物体領域の各時点における第1面積占有率を算出するとともに、監視領域内の領域であって、移動経路に沿った方向に関しては狭く、移動経路と直行する方向に関しては監視領域と同等な幅を有する固定的なスリット状領域内における移動物体領域の各時点における第2面積占有率を算出する。そして、計数手段が、当該第1及び第2面積占有率の時間的な推移の波形形状の解析結果を考慮して、監視領域を通過した前記移動物体の数を計数する。
【0019】
すなわち、本発明の物体計数装置では、上述した本発明の物体計数方法を使用して、車両等の移動物体の通過数を計数することができる。したがって、本発明の物体計数装置によれば、簡易な構成で、車両等の移動物体の通過数を迅速にかつ精度良く計数することができる。
【0020】
本発明の物体計数装置では、前記移動物体領域の代表位置の時間的な変化に基づいて、前記移動物体の速度を算出する速度算出手段を更に備える構成とすることができる。かかる場合には、監視領域を通過する移動物体の数に加えて、監視領域を通過する移動物体の速度を求めることができるので、移動物体の移動状況を総合的に検出することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。
【0022】
図1には、一実施形態に係る物体計数装置100の構成が、ブロック図にて示されている。この物体計数装置100は、車道の特定の車線における車両の通過数を計数する装置である。
【0023】
図1に示されるように、この物体計数装置100は、路上を撮像する撮像手段としてのビデオカメラ10と、ビデオカメラ10による撮像結果を処理して、車両の通過数の計数処理を行う処理装置20と、計数結果を表示する画面表示装置43及び音声表示装置45とを備えている。また、物体計数装置100は、オペレータによる処理装置20への指示入力用に、キーボード装置41及びマウス43を更に備えている。なお、画面表示装置43は、キーボード装置41やマウス43からの入力情報を確認のために表示や、物体計数装置100の動作状況を表示するためにも使用される。
【0024】
前記ビデオカメラ10は、図2(A)に概念的に示されるように、車道Rの上方に設置され、斜め上方から車道Rの監視対象の車線RL(図2(B)参照)における車両OBJ1,OBJ2,OBJ3の進行方向を見込む視野で、車道R上を観察するようになっている。この結果、ビデオカメラ10の視野内には、図2(B)に示されるような斜視像で、車道R上の車両OBJ1,OBJ2,OBJ3及びそれらの周辺の様子が捉えられるようになっている。また、渋滞時においても少なくとも手前側では、車間における車道面が観察できるような角度で車道Rを見込むように、ビデオカメラ10の視野が設定されるようになっているものとする。
【0025】
なお、以下の説明においては、車道Rの車線RLにおける車両OBJ1,OBJ2,OBJ3の進行方向をY方向とし、また、車道Rの幅方向をX方向と記すものとする。ここで、画像上(すなわち、図2(B)におけるモニタ座標系(XM,YM)においては、車線RLにおける車両OBJ1,OBJ2,OBJ3の進行方向がX方向位置によって異なることになるが、車線RLにおける車両OBJ1,OBJ2,OBJ3の進行方向を総括的にY方向と記すものとする。
【0026】
また、車道Rは、片側一車線であり、車線の分離が白線WL1〜WL5によって表示されているものとする。また、車道Rと歩道とは段差があり、その段差の壁面により車道Rと歩道との識別が可能であるものとする。
【0027】
図1に戻り、前記処理装置20は、(a)物体計数装置100全体を統括制御する制御装置29と、(b)ビデオカメラ10による撮像結果データを収集する撮像データ収集装置21と、(c)収集された撮像データから後述する監視領域JGA(図2(B)参照)内の画像データを抽出する監視領域抽出装置22と、(d)監視領域JGA内における背景画像を特定する背景画像特定装置23とを備えている。また、処理装置20は、(e)監視領域JGA内における移動物体領域(車両領域)MBA(図4参照)を特定する移動物体領域特定装置24と、(f)監視領域JGA内における移動物体領域MBAの面積占有率を算出するとともに、面積占有率の時間変化に基づいて監視領域JGAを通過した車両の数を計数する車両計数装置25と、(g)監視領域JGA内における移動物体領域MBAの時間変化に基づいて通過車両の速度を算出する速度算出装置26とを備えている。
【0028】
更に、処理装置20は、(f)記憶装置30とを備えている。この記憶装置30は、撮像データ格納領域31、監視領域データ格納領域32、背景画像格納領域33、及び移動物体領域情報格納領域34を有している。
【0029】
なお、図1においては、データの流れが実線矢印で示され、制御の流れが点線矢印で示されている。以上のように構成された処理装置20の各装置の作用は後述する。
【0030】
本実施形態では、処理装置20を上記のように、各種の装置を組み合わせて構成したが、処理装置20を計算機システムとして構成し、記憶装置30を除く各装置の機能を処理装置20に内蔵されたプログラムによって実現することも可能である。
【0031】
以下、本実施形態の物体計数装置100による車両の計数動作を、図3に示されるフローチャートに沿って、適宜他の図面を参照しながら説明する。
【0032】
まず、図3のステップ111において、監視領域JGAの設定が行われる。かかる監視領域JGAの設定では、まず、撮像データ収集装置21が、ビデオカメラ10から送られてきた撮像データを一画面分だけ収集する。そして、撮像データ収集装置21は、収集した撮像データを撮像データ格納領域31に格納する。引き続き、制御装置29が、撮像データ格納領域31から撮像データを読み出して、画面表示装置43に表示する。
【0033】
引き続き、画面表示装置43に表示された撮像画像を見ながら、オペレータがポインティングデバイスであるマウス44を操作して、図2(B)に示されるような、車道R上の領域であって、車両OBJ1,OBJ2,OBJ3の典型的な大きさよりも少し大きめの領域JGAを監視領域JGAとして設定する。なお、この監視領域JGAの設定においては、監視領域JGAの画面上の位置が設定されるのではなく、監視領域JGAの上述した白線WL1〜WL5及び車道Rと歩道との境界壁面との位置関係が、監視領域JGAの位置情報として設定される。こうして設定された監視領域情報は、制御装置29から監視領域抽出装置22に通知される。
【0034】
こうして監視領域JGAが設定された後、図3のステップ112において、車両の計数用の撮像が行われる。この撮像においても、上述のステップ111における撮像と同様に、撮像データ収集装置21が、ビデオカメラ10から送られてきた撮像データを一画面分だけ収集する。そして、撮像データ収集装置21は、収集した撮像データを撮像データ格納領域31に格納する。
【0035】
次に、ステップ113において、監視領域JGA内の背景画像が特定される。かかる背景画像の特定にあたっては、まず、監視領域抽出装置22が、撮像データ格納領域31から今回の撮像データを読み出す。そして、上述した監視領域JGAの位置情報に基づいて、監視領域JGA内の画像データを抽出する。こうして、本来は動かない白線や境界壁面を基準として監視領域JGAを特定し、その内部の画像データを抽出することにより、ビデオカメラの揺れ等による撮像画像中における監視領域JGA内の画像データ抽出の不安定さが解消される。監視領域抽出装置22は、抽出された判定領域JGA内の画像データを今回の監視領域データとして監視領域データ格納領域32に格納する。
【0036】
引き続き、背景画像特定装置23が、監視領域JGA内における背景画像を特定する。かかる背景画像の特定に際し、本実施形態では、背景画像特定装置23が、監視領域JGAを複数の小領域に分割する。引き続き、複数の小領域ごとに、今回の内部画素濃度分布が監視領域の背景画像における画素濃度分布として期待される基準画素濃度分布から許容誤差範囲にあるか否かを、分散値が許容分散値以下であり、かつ、変化幅が許容変化幅以下であるか否かにより判定する。
【0037】
そして、背景画像特定装置23は、肯定的な判定がされた小領域については、前回までの推定背景画像及び今回の内部画素濃度分布に基づいて新たな背景画像を特定する。また、背景画像特定装置23は、肯定的な判定がされた小領域については、前回までの推定背景画像に基づいて新たな背景画像を特定するか、近傍の小領域の新たな背景画像に基づいて、いわゆる膨張手法を使用して新たな背景画像を特定する。
【0038】
背景画像特定装置23は、こうして特定された監視領域JGAの背景画像を、背景画像格納領域33に格納する。
【0039】
次に、ステップ114において、移動物体領域特定装置24が、図4に示される移動物体領域(車両領域)MBAを特定する。かかる移動物体領域MBAの特定に際し、移動物体領域特定装置24は、まず、監視領域データ格納領域32から監視領域JGA内の撮像画像を読み出すとともに、背景画像格納領域33から背景画像を読み出す。引き続き、移動物体領域特定装置24は、撮像画像と背景画像との差を算出した後、近傍数画素の濃度値を平均することにより差分画像を算出する。
【0040】
引き続き、移動物体領域特定装置24は、差分の絶対値が所定の閾値以上となった画素からなる領域を移動物体領域MBAとして特定する。そして、移動物体領域特定装置24は、特定した移動物体領域MBAの情報を移動物体領域情報格納領域34に格納する。
【0041】
図3に戻り、次に、ステップ115において、車両計数装置25が、移動物体領域情報格納領域34から移動物体領域MBAの情報を読み出して、監視領域JGAにおける移動物体領域MBAの面積占有率を算出する。こうして算出された面積占有率は、時間の経過とともに、例えば、図5(A)〜図5(C)において実線で示されるように変化する。ここで、図5(A)には、車間が十分に空いている場合の面積占有率の時間変化が実線で示されている。また、図5(B)には、車間が十分に空いており、かつ、図5(A)の場合よりも車両の速度が遅い場合の面積占有率の時間変化が実線で示されている。また、図5(C)には、車間が詰まっている面積占有率の時間変化が実線で示されている。なお、図5(A)〜図5(C)に示される面積占有率の時間変化時波形は、本実施形態でも行われているスムーズ化処理が施されたものである。
【0042】
図3に戻り、次いで、ステップ116において、車両計数装置25が、監視領域JGAを通過する車両の計数を行う。かかる車両の計数において、車両計数装置25は、上述した図5(A)〜図5(C)において実線で示されるような面積占有率の時間変化波形の微分波形を算出する。そして、原波形及び微分波形を解析することにより、監視領域JGAを通過する車両の計数を行う。例えば、微分波形値の符号が正から負へ変化し、かつ、その変化時点における原波形における面積占有率が所定の閾値以上であることが満たされたときに、1台の車両が監視領域JGAを通過したと判断し、計数カウント値をインクリメントする。
【0043】
この計数結果は、制御装置29に通知される。制御装置29は、受信した計数結果を、画面表示装置43や音声表示装置45に表示指示する。これにより、監視領域JGAを通過した車両の数が、視覚や聴覚を通じてオペレータに提供される。
【0044】
次に、ステップ117において、速度算出装置26が、通過車両の速度を算出する。かかる速度算出に際して、速度算出装置26は、まず、移動物体領域情報格納領域34から移動物体領域MBAの情報を読み出す。引き続き、速度算出装置26は、移動経路方向における車両の先頭位置又は後尾位置を、車道Rの幅方向(X方向)の画素列をYM方向へ移動させながら、移動物体領域MBAと交差するか否かを調査することにより求める。そして、車両の先頭位置又は後尾位置の時間変化に基づいて、車両の速度を算出する。
【0045】
この速度算出結果は、制御装置29に通知される。制御装置29は、受信した速度算出結果を、画面表示装置43や音声表示装置45に表示指示する。これにより、監視領域JGAを通過する車両の速度が、視覚や聴覚を通じてオペレータに提供される。
【0046】
次に、ステップ118において、制御装置29が、キーボード装置41から車両計数動作の終了が指示されたか否かを判定する。ここで、否定的な判定がなされた場合には、処理はステップ111へ移行し、上記と同様にして、車両の計数が続行される。一方、ステップ118において、肯定的な判定がなされると、車両の計数動作が終了する。こうして、キーボード装置41から車両の計数動作の終了が指示されるまで、監視領域JGAを通過する車両の計数がなされる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の物体計数装置100によれば、各回のビデオカメラ10による撮像結果に基づいて、監視領域JGA内における移動物体領域MBAの面積占有率の時間変化を求め、その面積占有率の時間変化から監視領域JGAを通過する車両の数を計数する。したがって、簡易な構成で、車両等の移動物体の通過数を迅速にかつ精度良く計数することができる。
【0048】
また、面積占有率の時間的な推移の波形形状を解析して、監視領域JGAを通過した車両の数を計数するので、分解能良く車両を計数することができる。
【0049】
また、速度算出装置26が、移動物体領域(車両領域)の代表位置である先頭位置あるいは後尾位置の時間的な変化に基づいて、監視領域JGAを通過する車両の速度を算出するので、移動物体の移動状況を総合的に把握することができる。
【0050】
なお、上記の実施形態では、監視領域を1つとしたが、乗用車とバスのように、車両の大きさが大きく異なる複数種類の車両をそれぞれ計数する場合には、複数種類の車両の大きさそれぞれに応じた大きさの複数の監視領域を設定することができる。
【0051】
また、車両の大きさがほぼ同一の大きさの車両を計数する場合であっても、上記の実施形態における監視領域JGAと同様の形状の監視領域を複数設定することもできる。例えば、車両の移動方向(Y方向)に沿って異なる近接する位置に複数の監視領域を設定し、それぞれにおける移動物体領域の面積占有率の変化の時間ずれを検出することにより、車両の進行方向や車両のおおよその速さを検出することができる。
【0052】
また、上記の実施形態では、車両の典型的な大きさより少し大きめの監視領域JGA内における移動物体領域MBAの面積占有率の時間変化にのみ基づいて、監視領域JGAを通過する車両を計数したが、図4において破線で示されるようなスリット状領域PGA内における移動物体領域の面積占有率の時間変化の解析を、監視領域JGA内における移動物体領域MBAの面積占有率の時間変化の解析と合わせて行うこともできる。ここで、スリット状領域PGAは、車両の移動方向(Y方向)に関しては幅が狭く、車道Rの幅方向(X方向)に関しては監視領域JGAと同等な幅を有している。なお、スリット状領域PGAは、図4に示されるように、監視領域JGAの中央部付近に配置することが好ましい。
【0053】
以上のようなスリット状領域PGA内における移動物体領域の面積占有率の時間変化は、図5(A)〜図5(C)において破線で示されるようになる。すなわち、スリット状領域PGA内における移動物体領域の面積占有率の時間変化は、監視領域JGA内における移動物体領域MBAの面積占有率の時間変化と比べて、監視領域JGA内における移動物体領域MBAの面積占有率の時間変化のピーク付近の時刻で値がほぼ0から急激に立ち上がった後、かつ、値がほぼ0へ急激に立ち下がる。
【0054】
そして、例えば図5(C)のように、車間が詰まっている場合であっても、画像上において車間が認識できる場合であれば、監視領域JGA内における移動物体領域MBAの面積占有率はその車間において確実に一度0付近の値となる。このため、図5(C)において実線で示されるような監視領域JGA内における移動物体領域MBAの面積占有率の時間変化波形が得られたときに、2台の車両の車間が詰まっているために生じた波形なのか、通過車両の撮像結果における1台の移動物体領域の形状によって生じた波形なのかを弁別することができる。したがって、更に精度良く監視領域JGAを通過する車両を計数することができる。
【0055】
また、本実施形態では、道路を片側一車線としたが、複数車線であってもよい。
【0056】
また、本実施形態では、ビデオカメラ10によって斜め上方から監視領域を撮像したが、広角な撮像装置を使用すれば、監視領域の鉛直上方から、監視領域を撮像することもできる。かかる場合には、斜視像であることに由来する、座標変換の面倒さを解消することができる。
【0057】
また、本実施形態では、監視対象を路上の車両としたが、移動物体であれば、他の物や人であっても、本発明を適用することができる。また、戸外であるか否かを問わず、本発明を適用することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上詳細に説明にしたように、本発明の物体計数方法及び物体計数装置によれば、簡単な構成で、車両等の移動物体の通過数を迅速にかつ精度良く計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る物体計数装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A)は、図1のビデオカメラの配置を説明するための図であり、図2(B)は、図1のビデオカメラによる撮像結果を説明するための図である。
【図3】図1の物体計数装置による通過車両の計数処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】監視領域内の移動物体領域を説明するための図である。
【図5】監視領域内における移動物体領域の面積占有率の時間変化の例を説明するための図である。
【符号の説明】
10…ビデオカメラ(撮像手段)、22…監視領域抽出装置、23…背景画像特定装置(背景画像特定手段)、24…移動物体領域特定装置(移動物体領域特定手段)、25…車両計数装置(面積占有率算出手段、計数手段)、26…速度算出装置(速度算出手段)。
Claims (6)
- 監視対象である移動物体の通過数を計数する物体計数方法であって、
前記移動物体の移動経路を含む所定領域の撮像により得られる撮像結果画像において、前記移動経路に沿って、前記移動物体の典型的な大きさよりも少し大きめの固定的な監視領域を配置する監視領域配置工程と;
前記監視領域内の領域であって、前記移動経路に沿った方向に関しては狭く、前記移動経路と直行する方向に関しては前記監視領域と同等な幅を有する固定的なスリット状領域を配置するスリット状領域配置工程と;
前記所定領域の撮像結果画像に基づいて、前記監視領域内に前記移動物体が存在しないときにおける前記監視領域内の撮像画像である背景画像を特定する背景画像特定工程と;
前記背景画像及び前記監視領域の各時点における撮像結果に基づいて、前記監視領域内における移動物体領域の各時点における第1面積占有率を算出する第1面積占有率算出工程と;
前記背景画像及び前記スリット状領域の各時点における撮像結果に基づいて、前記スリット状領域内における移動物体領域の各時点における第2面積占有率を算出する第2面積占有率算出工程と;
前記第1及び第2面積占有率の時間的な推移の波形形状の解析結果を考慮して、前記監視領域を通過した前記移動物体の数を計数する計数工程と;
を含むことを特徴とする物体計数方法。 - 前記監視領域は、その内部に前記移動物体が存在しないとき、撮像結果おける前記移動経路領域の画素濃度値の分散及び変化幅が許容値以下となる領域である、ことを特徴とする請求項1に記載の物体計数方法。
- 前記移動物体領域の代表位置の時間的な変化に基づいて、前記移動物体の速度を算出する速度算出工程を更に含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の物体計数方法。
- 前記移動経路は道路であり、前記移動物体は前記道路上の車両である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体計数方法。
- 監視対象である移動物体の数を計数する物体計数装置であって、
前記移動物体の移動経路を含む所定領域の撮像する撮像手段と;
前記撮像装置による撮像結果画像に基づいて、前記所定領域において、前記移動経路に沿って、前記移動物体の典型的な大きさよりも少し大きめの固定的な監視領域内に前記移動物体が存在しないときにおける、前記監視領域内の撮像画像である背景画像を特定する背景画像特定手段と;
前記背景画像及び前記監視領域の各時点における撮像結果に基づいて、前記監視領域内における移動物体領域の各時点における第1面積占有率、及び、前記監視領域内の領域であって、前記移動経路に沿った方向に関しては狭く、前記移動経路と直行する方向に関しては前記監視領域と同等な幅を有する固定的なスリット状領域の各時点における撮像結果に基づいて、前記スリット状領域内における移動物体領域の各時点における第2面積占有率を算出する面積占有率算出手段と;
前記第1及び第2面積占有率の時間的な推移の波形形状の解析結果を考慮して、前記監視領域を通過した前記移動物体の数を計数する計数手段と;
を備えることを特徴とする物体計数装置。 - 前記移動物体領域の代表位置の時間的な変化に基づいて、前記移動物体の速度を算出する速度算出手段を更に備える、ことを特徴とする請求項5に記載の物体計数装置。
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