JP4231622B2 - ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷板やIC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、更にその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷板やIC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、更にその他のフォトファブリケーション工程に使用される感光性組成物としては、種々の組成物があり、一般的にフォトレジスト感光性組成物が使用され、それは大きく分けるとポジ型とネガ型の2種ある。
ポジ型フォトレジスト感光性組成物の一つとして、米国特許第4,491,628号、欧州特許第249,139号等に記載されている化学増幅系レジスト組成物がある。化学増幅系ポジ型レジスト組成物は、遠紫外光などの放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させパターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0003】
このような例として、光分解により酸を発生する化合物と、アセタール又はO,N−アセタール化合物との組合せ(特開昭48−89003号)、オルトエステル又はアミドアセタール化合物との組合せ(特開昭51−120714号)、主鎖にアセタール又はケタール基を有するポリマーとの組合せ(特開昭53−133429号)、エノールエーテル化合物との組合せ(特開昭55−12995号)、N−アシルイミノ炭酸化合物化合物との組合せ(特開昭55−126236号)、主鎖にオルトエステル基を有するポリマーとの組合せ(特開昭56−17345号)、第3級アルキルエステル化合物との組合せ(特開昭60−3625号)、シリルエステル化合物との組合せ(特開昭60−10247号)、及びシリルエーテル化合物との組合せ(特開昭60−37549号、特開昭60−121446号)等を挙げることができる。これらは原理的に量子収率が1を越えるため、高い感光性を示す。
【0004】
同様に、室温経時下では安定であるが、酸存在下加熱することにより分解し、アルカリ可溶化する系として、例えば、特開昭59−45439号、特開昭60−3625号、特開昭62−229242号、特開昭63−27829号、特開昭63−36240号、特開昭63−250642号、Polym.Eng.Sce.,23巻、1012頁(1983);ACS.Sym.242巻、11頁(1984);Semiconductor World 1987年、11月号、91頁;Macromolecules,21巻、1475頁(1988);SPIE,920巻、42頁(1988)等に記載されている露光により酸を発生する化合物と、第3級又は2級炭素(例えばt-ブチル、2-シクロヘキセニル)のエステル又は炭酸エステル化合物との組合せ系が挙げられる。これらの系も高感度を有し、遠紫外光領域での吸収が小さいことから、超微細加工が可能な光源短波長化に有効な系となり得る。
【0005】
上記ポジ型化学増幅レジストは、アルカリ可溶性樹脂、放射線露光によつて酸を発生する化合物(光酸発生剤)、及び酸分解性基を有しアルカリ可溶性樹脂に対する溶解阻止化合物から成る3成分系と、酸との反応により分解しアルカリ可溶となる基を有する樹脂と光酸発生剤からなる2成分系に大別できる。
これら2成分系あるいは3成分系のポジ型化学増幅レジストにおいては、露光により光酸発生剤からの酸を介在させて、熱処理後現像してレジストパターンを得るものである。
【0006】
これらポジ型化学増幅レジストは、上述したように、超微細加工が可能な光源の短波長化に有効な系となり得るものであるが、さらに解像力の向上、露光マージンや焦点深度等のプロセス許容性の改善が求められている。
特開平6−242606号公報には、光酸発生剤として塩基性スルホニウム化合物が記載され、特開平7−333844号公報には光酸発生剤として塩基性ヨードニウム化合物が記載れている。また、特開平11−125907号には、光酸発生剤として、カルボン酸を発生する化合物と、カルボン酸以外の酸を発生する化合物とを用いることが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術でも、現在の微細加工に十分に対応できるものではなく、解像力の向上、露光マージンや焦点深度等のプロセス許容性において、改善の余地があった。
本発明の目的は、超微細加工が可能な短波長の露光光源及びポジ型化学増幅レジストを用いたリソグラフィー技術にあって、解像力が向上し、露光マージンや焦点深度等のプロセス許容性が改善されたポジ型レジスト組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成のポジ型レジスト組成物が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
(1)(A)o−、m−、またはp−ヒドロキシスチレンの少なくとも一つ由来の繰り返し構造単位を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂、
(B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物、及び、
(C)活性光線または放射線の照射によりスルホン酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。ただし、(B)成分として、式(B1)で表される化合物と、(C)成分として、式(D1)で表される化合物との組み合わせを除く。
【化5】
式(B1)中、Xはオルト位及び/又はメタ位に置換基を有するフェニル基を表し、mは1〜3の整数を表し、qは0〜2の整数を表し、m+q=3であり、pは1又は2を表し、Z p- はカルボン酸由来のアニオンを表す。
【化6】
式(D1)中、R 9 及びR 10 は夫々独立してアルキル基を表す。
(1’)(A)o−、m−、またはp−ヒドロキシスチレンの少なくとも一つ由来の繰り返し構造単位を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂、
(B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物(ただし、下記一般式(B1)で表される化合物を除く)を含有することを特徴とするKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。
【化7】
式(B1)中、Xはオルト位及び/又はメタ位に置換基を有するフェニル基を表し、mは1〜3の整数を表し、qは0〜2の整数を表し、m+q=3であり、pは1又は2を表し、Z p- はカルボン酸由来のアニオンを表す。
(2)(D)酸の作用により分解し、アルカリ現像液への溶解性が増大する分子量3000以下の化合物をさらに含有することを特徴とする前記(1)または(1’)に記載のKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。
【0009】
(3)(B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物(ただし、下記一般式(B1)で表される化合物を除く)、
(D)酸の作用により分解し、アルカリ現像液への溶解性が増大する分子量3000以下の化合物、及び、
(E)アルカリ可溶性樹脂
を含有することを特徴とするKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。
【化8】
式(B1)中、Xはオルト位及び/又はメタ位に置換基を有するフェニル基を表し、mは1〜3の整数を表し、qは0〜2の整数を表し、m+q=3であり、pは1又は2を表し、Z p- はカルボン酸由来のアニオンを表す。
(4)(C)活性光線または放射線の照射によりスルホン酸を発生する化合物をさらに含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。
【0010】
(5) (F)含窒素塩基性化合物、及び、(G)フッ素系またはシリコン系界面活性剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(6) (B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物が、下記一般式(I)〜(III)のいずれかの式で表される構造を有する化合物であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0011】
【化1】
【0012】
(上記式中、R1 〜R37は、各々独立に、水素原子、直鎖、分岐あるいは環状アルキル基、直鎖、分岐あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、または−S−R38基を表す。ここでR38は直鎖、分岐、環状アルキル基またはアリール基を表す。X-は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンである。)
(7) X-が、パーフルオロ脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸のアニオンであることを特徴とする前記(6)に記載のポジ型レジスト組成物。
(8) X-が、炭素数4個以上のフッ素置換アルキルカルボン酸のアニオンであることを特徴とする前記(6)に記載のポジ型レジスト組成物。
(9) (A)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂が、下記一般式(IV)及び(V)で表される繰り返し構造単位を含む樹脂であることを特徴とする前記(1)、(2)、及び(4)〜(8)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0013】
【化2】
【0014】
(上記一般式(IV)中、Lは、水素原子、置換されていてもよい、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、又は置換されていてもよいアラルキル基を表す。
Zは、置換されてもよい、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、又は置換されていてもよいアラルキル基を表す。またZとLが結合して5又は6員環を形成してもよい。)
(10) 一般式(IV)のZが、置換されたアルキル基又は置換されたアラルキル基であることを特徴とする前記(9)に記載のポジ型レジスト組成物。
(11) (B')活性光線または放射線の照射によりフッ素原子で置換されていないカルボン酸を発生する化合物をさらに含むことを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0015】
上記のように特開平11−125907号には、光酸発生剤として、カルボン酸を発生する化合物と、カルボン酸以外の酸を発生する化合物とを用いることが記載されている。このカルボン酸発生化合物は、発生する酸がカルボン酸で、弱酸であるため酸分解性基の分解には直接寄与しない。従って、このカルボン酸発生化合物を光酸発生剤として単独で用いると、画像が形成できなかったり、あるいは感度が著しく低下するといった重大な問題となる。即ち、このカルボン酸発生化合物は、単独で用いることはできず、強酸を発生する光酸発生剤を併用する必要があった。
本発明においては、この問題を見事に解決し、特定の置換基を導入することでカルボン酸発生化合物を単独で用いることができ、且つ優れた性能のレジスト組成物を見いだしたものである。
更に、本発明においては、露光用のエネルギー線としての電子線においても優れた性能を示すことができる。電子線で露光する場合、入射する電子が電荷を持ち、レジストを構成する物質の原子核や電子と相互作用を及ぼしあうため、電子線がレジスト膜に入射すれば必ず散乱が起こり、そのためパターンプロファイルが劣化するという問題があった。また、微細パターンを解像するためにビーム径を絞って露光してもこの散乱によって露光面積が広がり解像力が劣化するという問題もあった。本発明の組成物は、これらの電子線露光による問題も見事に解決できた。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、
1.(A)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂、及び
(B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物
を必須成分として含有するポジ型レジスト組成物(以下「第1組成物」ともいう)と、
2.(B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物、
(D)酸の作用により分解し、アルカリ現像液への溶解性が増大する分子量3000以下の化合物、及び
(E)アルカリ可溶性樹脂
を必須成分として含有するポジ型レジスト組成物(以下「第2組成物」ともいう)
を包含する。以下、単にポジ型レジスト組成物あるいは組成物と称する場合は、第1組成物及び第2組成物の両者を含む。
【0017】
以下、まずこれらポジ型感光性組成物に含有される化合物、樹脂等の成分について詳細に説明する。
【0018】
〔組成物に含有される各成分の説明〕
〔1〕(B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物((B)成分)
本発明のポジ型レジスト組成物は、この(B)成分を必須成分として含有する。
(B)成分のフッ素置換された脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、バレリアン酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸等の脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。これらは、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。また、その脂肪族鎖の中に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基などの連結基を含んでいるものが好ましい。
好ましいフッ素置換された脂肪族カルボン酸として、下記の一般式で表されるものを挙げることができる。
L−(CH2)p(CF2)q(CH2)r−COOH
一般式中、Lは、水素原子又はフッ素原子を表す。p及びrは、各々独立に0〜15の整数、qは1〜15の整数を表す。この一般式におけるアルキル鎖の水素原子又はフッ素原子は、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、または、水酸基で置換されていてもよい。
上記フッ素置換された脂肪族カルボン酸としては、好ましくはその炭素数が2〜20、より好ましくは4〜20である飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。この炭素数を4個以上とすることで、発生するカルボン酸分解性の拡散性が低下し、露光から後加熱までの経時による線幅変化をより抑制できる。なかでも、炭素数4〜18個の直鎖又は分岐飽和脂肪族カルボン酸のフッ素置換物が好ましい。
【0019】
また、(B)成分の上記フッ素置換された芳香族族カルボン酸としては、炭素数が7〜20、より好ましくは7〜15であり、更に好ましくは7〜11である芳香族カルボン酸のフッ素置換物であることが好ましい。具体的には、安息香酸、置換安息香酸、ナフトエ酸、置換ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、置換アントラセンカルボン酸(ここで、置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基が挙げられる)等の芳香族カルボン酸のフッ素置換物が挙げられる。なかでも、安息香酸、置換安息香酸のフッ素置換物が好ましい。
【0020】
これらフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸は、カルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたものであり、特に好ましくはカルボキシル基以外の骨格に存在する水素原子すべてがフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸(パーフルオロ飽和脂肪族カルボン酸あるいはパーフルオロ芳香族カルボン酸)である。これにより、感度が一層優れるようになる。
【0021】
好ましい(B)成分としては、上記のようなフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンをカウンターアニオンとして有するオニウム塩化合物(スルホニウム塩、ヨードニウム塩等)、カルボン酸エステル基を有するイミドカルボキシレート化合物あるいはニトロベンジルエステル化合物等が挙げられる。
(B)成分としては、より好ましくは上記一般式(I)〜(III)で表される化合物が挙げられる。これにより、感度、解像力、露光マージンが一層優れるようになる。この化合物に活性光線または放射線を照射することより、一般式(I)〜(III)のX-に相当する少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生し、光酸発生剤として機能する。
【0022】
一般式(I)〜(III)における、R1〜R38の直鎖、分岐アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
R1〜R37のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
R1〜R37のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R38のアリール基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14個のものが挙げられる。アリール基は置換基を有してもよい。
これらの置換基として好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0023】
本発明で使用される一般式(I)〜(III)で表されるヨードニウム化合物あるいはスルホニウム化合物は、その対アニオンX-として、少なくとも1つのフッ素原子で置換された飽和脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸のアニオンを有する。これらのアニオンは、該カルボン酸(−COOH)の水素原子が離脱したアニオン(−COO-)である。
【0024】
以下に、(B)成分(光酸発生剤)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)で表される光酸発生剤の具体例(I−1)〜(I〜36):
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
一般式(II)で表される光酸発生剤の具体例(II−1)〜(II〜67):
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【0038】
【化16】
【0039】
一般式(III)で表される光酸発生剤の具体例(III−1)〜(III〜4):
【0040】
【化17】
【0041】
その他の光酸発生剤の具体例(IV−1)〜(V〜4):
【0042】
【化18】
【0043】
上記(B)の化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
上記(B)成分である、一般式(I)で表される化合物は、過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させ、得られたヨードニウム塩を対応するカルボン酸に塩交換することにより合成可能である。
一般式(II)、一般式(III)で表される化合物は、例えば、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬と置換又は無置換のフェニルスルホキシドを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するカルボン酸と塩交換する方法で合成できる。また、置換又は無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウムなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。
塩交換は、いったんハライド塩に導いた後に酸化銀などの銀試薬を用いてカルボン酸塩に変換する方法、あるいはイオン交換樹脂を用いることでも塩交換できる。また、塩交換に用いるカルボン酸あるいはカルボン酸塩は、市販のものを用いるか、あるいは市販のカルボン酸ハライドの加水分解などによって得ることができる。
【0045】
(B)成分のアニオン部分としてのフッ素置換されたカルボン酸は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものを用いたものも好ましい。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、沃化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme-1に例を示した)。テロマー法による合成においては炭素鎖長の異なる複数の化合物の混合物が得られるが、これを混合物のまま使用してもよいし、精製して用いてもよい。
【0046】
【化19】
【0047】
得られた、末端ヨウ素化テロマーは通常、例えば[Scheme2]のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望の構造へと変換されフルオロ脂肪族基含有化合物の製造に使用される。
【0048】
【化20】
【0049】
(B)成分の化合物の本発明のポジ型レジスト組成物中の含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜7重量%である。
【0050】
〔2〕上記(B)成分と併用してよい光酸発生剤((C)成分)
本発明のポジ型レジスト組成物には、上記(B)成分以外の光酸発生剤を併用することができる。
併用することができる光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0051】
また、その他の併用し得る光酸発生剤としては、たとえばジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物等を挙げることができる。
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物も併用することができる。
【0052】
さらにV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も併用することができる。
上記活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものとして、下記一般式(PAG3)、一般式(PAG4)、一般式(PAG6)又は一般式(PAG7)で示される化合物を挙げることができる。
【0053】
【化21】
【0054】
一般式(PAG3)、(PAG4)中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基及びハロゲン原子が挙げられる。
R203 、R204 、R205 は、同一又は異なって、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基及びそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基及びハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0055】
Z-は対アニオンを示し、例えばBF4 -、AsF6 -、PF6 -、SbF6 -、SiF6 2-、ClO4 -、置換してもよいアルカンスルホン酸、パーフロロアルカンスルホン酸、置換していてもよいベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、樟脳スルホン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましくは、アルカンスルホン酸、パーフロロアルカンスルホン酸、アルキル置換ベンゼンスルホン酸、ペンタフロロベンゼンスルホン酸である。
またR203 、R204 、R205 のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0056】
一般式(PAG6)、(PAG7)中、R206 は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。Rは、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基、あるいは置換していてもよいアリール基を表す。
これらの具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
【化22】
【0058】
【化23】
【0059】
【化24】
【0060】
本発明においては、上記併用する光酸発生剤の中でも、(C)活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸を発生する化合物が感度、解像力が優れる点で好ましい。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、上記(B’)成分として、(B)成分以外の活性光線または放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物(以下、特に「(B')成分」ともいう)を含有することができる。これにより、疎密依存性が向上する。
そのような(B’)成分として、前記一般式(I)〜(III)において、X-がフッ素原子により置換されていない飽和脂肪族カルボン酸あるいは芳香族カルボン酸のアニオンである化合物が挙げられる。その具体例としては、前記(B)成分の具体例において、アニオン部のフッ素原子が水素原子に置き換わったものを挙げることができる。
【0061】
本発明の組成物において、併用する光酸発生剤としては上記式(PAG−3)、式(PAG−4)、式(PAG−7)で示されるもの及び上記(B')成分が好ましい。
これらの併用し得る(C)成分あるいは(B’)成分は、ポジ型レジスト組成物中の固形分を基準として、5重量%以下の範囲で用いられ、好ましくは4重量%以下の範囲で用いられる。
【0062】
〔3〕(A)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂((A)成分)
(A)成分は、本発明の第1組成物に必須成分として用いられる。(A)成分は、酸により分解し、アルカリ現像液中での溶解性を増大させる基(酸で分解しうる基ともいう)を有する樹脂としては、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し得る基を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
酸で分解し得る基として好ましい基は、−COOA0、−O−B0基であり、更にこれらを含む基としては、−R0−COOA0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。
ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0 は、A0 又は−CO−O−A0基を示す(R0、R01〜R06及びArは後述のものと同義)。
【0063】
酸分解性基としては好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。特に好ましくはアセタール基である。
【0064】
次に、これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂としては、側鎖に−OHもしくは−COOH、好ましくは−R0−COOHもしくは−Ar−OH基を有するアルカリ可溶性樹脂である。例えば、後述するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0065】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170A/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは330A/秒以上のものである(ここでAはオングストローム)。
また、矩形プロファイルを達成する点から遠紫外光やエキシマレーザー光に対する透過率が高いアルカリ可溶性樹脂が好ましい。好ましくは、1μm膜厚の248nmでの透過率が20〜90%である。
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、o−、m−、p−ポリ(ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシスチレン)の一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体及び水素化ノボラック樹脂である。
【0066】
本発明に用いられる酸で分解し得る基を有する樹脂は、欧州特許254853号、特開平2−25850号、同3−223860号、同4−251259号等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
【0067】
本発明に使用される酸により分解し得る基を有する樹脂の具体例を以下に示すが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0068】
p−t−ブトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
4−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)−3−メチルスチレン/4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(10%水素添加物)共重合体、
m−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/m−ヒドロキシスチレン共重合体、
o−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/o−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(クミルオキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
クミルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、
4−t−ブトキシカルボニルスチレン/マレイン酸ジメチル共重合体、
ベンジルメタクリレート/テトラヒドロピラニルメタクリレート、
【0069】
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、
p−t−ブトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン/フマロニトリル共重合体、
t−ブトキシスチレン/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、スチレン/N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド/N−(4−t−ブトキシカルボニルオキシフェニル)マレイミド共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体、
スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート共重合体、
スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート共重合体
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/N−メチルマレイミド共重合体、
t−ブチルメタクリレート/1−アダマンチルメチルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−アセトキシスチレン共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン共重合体、
【0070】
本発明において、酸で分解し得る基を有する樹脂((A)成分)としては、上述の一般式(IV)及び一般式(V)で示される繰り返し構造単位を含む樹脂が好ましい。これにより、高解像を有し、且つ露光から加熱までの経時における性能変化がより少なくなる。
【0071】
一般式(IV)のL及びZにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などの炭素数1〜20個の直鎖、分岐あるいは環状のものが挙げられる。
【0072】
アルキル基の好ましい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基等が挙げられ、例えばシクロヘキシルエチル基、アルキルカルボニルオキシメチル基やアルキルカルボニルオキシエチル基、アリールカルボニルオキシエチル基、アラルキルカルボニルオキシエチル基、アルキルオキシメチル基、アリールオキシメチル基、アラルキルオキシメチル基、アルキルオキシエチル基、アリールオキシエチル基、アラルキルオキシエチル基、アルキルチオメチル基、アリールチオメチル基、アラルキルチオメチル基、アルキルチオエチル基、アリールチオエチル基、アラルキルチオエチル基等が挙げられる。この場合のアルキルは特に限定しないが、鎖状、環状、分岐状のいずれでもよく、例えばシクロヘキシルカルボニルオキシエチル基やt−ブチルシクロヘキシルカルボニルオキシエチル基、n−ブチルシクロヘキシルカルボニルオキシエチル基のような基を挙げることができる。また、アリールも限定しないが、例えばフェニルオキシエチル基等が挙げられ、更に置換されても良く、例えばシクロヘキシルフェニルオキシエチル基等を挙げることができる。アラルキルも特に限定しないが、例えばベンジルカルボニルオキシエチル基等を挙げることができる。
【0073】
L、Zにおけるアラルキル基としては、置換又は未置換のベンジル基、置換又は未置換のフェネチル基などの炭素数7〜15個のものが挙げられる。アラルキル基の好ましい置換基としてはアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基等が挙げられ、例えば、アルコキシベンジル基、ヒドロキシベンジル基、フェニルチオフェネチル基等が挙げられる。
上記Zが、置換アルキル基や置換アラルキル基であることが、更にエッジラフネスの向上が認められる点で好ましい。ここで、アルキル基の置換基としては、環状アルキル基、アリールオキシ基、アルキルカルボキシ基、アリールカルボキシ基、アラルキルカルボキシ基が好ましく、アラルキル基の置換基としては、アルキル基、環状アルキル基、水酸基が好ましい。
【0074】
LとZが互いに結合して形成する5又は6員環としては、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環等が挙げられる。
【0075】
上記樹脂中の一般式(IV)で示される繰り返し構造単位と一般式(V)で示される繰り返し構造単位との比率は、好ましくは1/99〜60/40であり、より好ましくは5/95〜50/50であり、更に好ましくは10/90〜40/60である。
【0076】
上述の一般式(IV)及び一般式(V)で示される繰り返し構造単位を含む樹脂には、他のモノマーから誘導される構造単位が含まれてもよい。
他のモノマーとしては、水素化ヒドロキシスチレン;ハロゲン、アルコキシもしくはアルキル置換ヒドロキシスチレン;スチレン;ハロゲン、アルコキシ、アシロキシもしくはアルキル置換スチレン;無水マレイン酸;アクリル酸誘導体;メタクリル酸誘導体;N−置換マレイミド等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(IV) 及び一般式(V)の構造単位と他のモノマーの構造単位との比率は、モル比で、〔(IV) +(V)〕/〔他のモノマー成分〕=100/0〜50/50、好ましくは100/0〜60/40、更に好ましくは100/0〜70/30である。
【0077】
上述の一般式(IV) 及び一般式(V)で示される繰り返し構造単位を含む樹脂、及びその他に本発明において用いることができる樹脂の具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0078】
【化25】
【0079】
【化26】
【0080】
【化27】
【0081】
【化28】
【0082】
【化29】
【0083】
【化30】
【0084】
【化31】
【0085】
【化32】
【0086】
【化33】
【0087】
【化34】
【0088】
【化35】
【0089】
【化36】
【0090】
上記具体例において、Meはメチル基、Etはエチル基、nBuはn−ブチル基、iso−Buはイソブチル基、tBuはt−ブチル基を表す。
【0091】
酸分解性基としてアセタール基を用いる場合、アルカリ溶解速度調整及び耐熱性向上のために合成段階においてポリヒドロキシ化合物を添加してポリマー主鎖を多官能アセタール基で連結する架橋部位を導入してもよい。ポリヒドロキシ化合物の添加量は樹脂の水酸基の量に対して、0.01〜5mol%、更に好ましくは0.05〜4mol%である。ポリヒドロキシ化合物としては、フェノール性水酸基あるいはアルコール性水酸基を2〜6個持つものがあげられ、好ましくは水酸基の数が2〜4個であり、更に好ましくは水酸基の数が2又は3個である。以下にポリヒドロキシ化合物の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
【0092】
【化37】
【0093】
(A)酸で分解し得る基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜300,000の範囲であることが好ましい。2,000未満では未露光部の現像により膜減りが大きく、300,000を越えると樹脂自体のアルカリに対する溶解速度が遅くなり感度が低下してしまう。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
【0094】
また、本発明のポジ型レジスト組成物の(A)成分、即ち酸で分解し得る基を有する樹脂は、2種類以上混合して使用してもよい。
(A)成分の使用量は、本発明の第1組成物の固形分を基準として、40〜99重量%、好ましくは60〜98重量%である。
【0095】
〔4〕(D)酸の作用により分解し、アルカリ現像液への溶解性が増大する分子量3000以下の化合物((D)成分)
(D)成分は、第2組成物に必須成分として含有される成分であり、第1組成物には必要に応じて配合される成分である。(D)成分は、酸により分解し得る基を有し、アルカリ現像液中での溶解度が酸の作用により増大する、分子量3000以下、好ましくは200〜2,000、更に好ましくは300〜1,500の低分子量化合物である。この(D)成分は、非露光部のアルカリ現像液に対する溶解阻止剤として機能している。なお、以下の記載において、「酸分解性溶解阻止化合物」は(D)成分と同義である。
【0096】
好ましい(D)成分、即ち好ましい酸分解性溶解阻止化合物は、その構造中に酸で分解し得る基を少なくとも2個有し、且つ該酸分解性基間の距離が、最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも8個経由する化合物である。
より好ましい酸分解性溶解阻止化合物は、
(イ)その構造中に酸で分解し得る基を少なくとも2個有し、且つ該酸分解性基間の距離が、最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも10個、好ましくは少なくとも11個、更に好ましくは少なくとも12個経由する化合物、及び
(ロ)酸分解性基を少なくとも3個有し、該酸分解性基間の距離が、最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも9個、好ましくは少なくとも10個、更に好ましくは少なくとも11個経由する化合物
である。
また、上記結合原子の上限は、好ましくは50個、より好ましくは30個である。
【0097】
酸分解性溶解阻止化合物が、酸分解性基を3個以上、好ましくは4個以上有する場合、また酸分解性基を2個有する場合においても、該酸分解性基が互いにある一定の距離以上離れていれば、アルカリ可溶性樹脂に対する溶解阻止性が著しく向上する。
なお、酸分解性基間の距離は、酸分解性基を除く、経由結合原子数で示される。例えば、下記の化合物(1)、(2)の場合、酸分解性基間の距離は、各々結合原子4個であり、化合物(3)では結合原子12個である。
【0098】
【化38】
【0099】
また、酸分解性溶解阻止化合物は、1つのベンゼン環上に複数個の酸分解性基を有していてもよいが、好ましくは、1つのベンゼン環上に1個の酸分解性基を有する骨格から構成される化合物である。
【0100】
酸により分解し得る基、即ち−COO−A0、−O−B0基を含む基としては、−R0−COO−A0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。
ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0は、A0又は−CO−O−A0基を示す。
R01、R02、R03、R04及びR05は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0は置換基を有していてもよい2価以上の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していてもよい2価以上の芳香族基を示す。
【0101】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
また、置換基としては水酸基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基、バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0102】
酸分解性基として好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等を挙げることができる。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。
【0103】
(D)成分は、好ましくは、特開平1−289946号、特開平1−289947号、特開平2−2560号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−191351号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200253号、特開平3−200254号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平3−279959号、特開平4−1650号、特開平4−1651号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特願平3−33229号、特願平3−230790号、特願平3−320438号、特願平4−25157号、特願平4−52732号、特願平4−103215号、特願平4−104542号、特願平4−107885号、特願平4−107889号、同4−152195号等の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物のフエノール性OH基の一部もしくは全部を上に示した基、−R0−COO−A0もしくはB0基で結合し、保護した化合物を包含する。
【0104】
更に好ましくは、特開平1−289946号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平4−1650号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特願平4−25157号、特願平4−103215号、特願平4−104542号、特願平4−107885号、特願平4−107889号、同4−152195号の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物を用いたものが挙げられる。
【0105】
本発明において、(D)成分の好ましい化合物骨格の具体例を以下に示す。
【0106】
【化39】
【0107】
【化40】
【0108】
【化41】
【0109】
【化42】
【0110】
【化43】
【0111】
【化44】
【0112】
【化45】
【0113】
【化46】
【0114】
【化47】
【0115】
【化48】
【0116】
【化49】
【0117】
【化50】
【0118】
【化51】
【0119】
化合物(1)〜(44)中のRは、水素原子、
【0120】
【化52】
【0121】
を表す。但し、少なくとも2個、もしくは構造により3個は水素原子以外の基であり、各置換基Rは同一の基でなくてもよい。
【0122】
第1組成物の場合、(D)成分の含量は、第1組成物の固形分を基準として、好ましくは3〜45重量%、より好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜20重量%である。
第2組成物の場合の(D)成分の含量は、上記第1組成物と同様である。
【0123】
〔5〕(E)アルカリ可溶性樹脂((E)成分)
(E)アルカリ可溶性樹脂は、本発明の第2組成物に必須の成分である。本発明の第1組成物には添加してもよい成分である。(E)アルカリ可溶性樹脂は、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な樹脂であり、第2組成物のアルカリ溶解性を調節するために用いられる。この樹脂は、酸で分解し得る基を実質上有さない。(E)成分としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のO−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体、ポリビニルアルコール誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0124】
特に好ましい(E)アルカリ可溶性樹脂はノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
【0125】
ノボラック樹脂の重量平均分子量は、1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。1,000未満では未露光部の現像後の膜減りが大きく、30,000を越えると現像速度が小さくなってしまう。特に好適なのは2,000〜20,000の範囲である。
また、ノボラック樹脂以外の前記ポリヒドロキシスチレン、及びその誘導体、共重合体の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは5000〜200000、より好ましくは8000〜100000である。また、レジスト膜の耐熱性を向上させるという観点からは、10000以上が好ましい。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
本発明に於けるこれらのアルカリ可溶性樹脂は2種類以上混合して使用してもよい。
【0126】
アルカリ可溶性樹脂の使用量は、第2組成物の固形分を基準として、好ましくは40〜97重量%、より好ましくは60〜90重量%である。
【0127】
〔6〕(F)含窒素塩基性化合物((F)成分)
本発明のポジ型レジスト組成物に配合することのできる好ましい(F)含窒素塩基性化合物は、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。なかでも下記(A)〜(E)で示される構造を含む含窒素塩基性化合物が好ましい。含窒素塩基性化合物を用いることにより、露光から後加熱までの経時によっても性能変化が小さい。
【0128】
【化53】
【0129】
ここで、R250、R251及びR252は、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、ここでR251とR252は互いに結合して環を形成してもよい。
【0130】
【化54】
【0131】
(式中、R253、R254、R255およびR256は、同一または異なり、炭素数1〜6のアルキル基を示す)。
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダーゾル、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられ、モノ、ジ、トリアルキルアミン、置換もしくは未置換のアニリン、置換もしくは未置換のピペリジン、モノあるいはジエタノールアミン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0132】
好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデカ−7−エン、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルピペリジン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルチオ尿素、N−ヒドロキシエチルモルホリン等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0133】
これらの中でも特に好ましい化合物としては、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7エン、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルピペリジン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルチオ尿素、N−ヒドロキシエチルモルホリンである。
これらの含窒素塩基性化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0134】
含窒素塩基性化合物の使用量は、組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。0.001重量%未満では上記含窒素塩基性化合物の添加の効果が得られない。一方、10重量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0135】
〔7〕(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤((G)成分)
本発明のポジ型レジスト組成物は、(G)成分を含有することが好ましい。
(G)成分としては、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤の少なくとも1種の界面活性剤である。
本発明のポジ型レジスト組成物が上記界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、感度、解像力、基板密着性、耐ドライエッチング性が優れ、経時保存後のパーティクル発生が少なく、更に現像欠陥とスカムの少ないレジストパターンが得られる。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62-36663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-34540号、特開平7-230165号、特開平8-62834号、特開平9-54432号、特開平9-5988号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾールS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0136】
上記界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分を基準として、通常0.001重量%〜2重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%である。
これらの界面活性剤は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0137】
〔8〕本発明に使用されるその他の成分
本発明のポジ型感光性組成物には必要に応じて、更に染料、顔料、可塑剤、上記以外の界面活性剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させるフェノール性OH基を2個以上有する化合物などを含有させることができる。
【0138】
本発明で使用できるフェノール性OH基を2個以上有する化合物は、好ましくは分子量1000以下のフェノール化合物である。また、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有することが必要であるが、これが10を越えると、現像ラチチュードの改良効果が失われる。また、フェノ−ル性水酸基と芳香環との比が0.5未満では膜厚依存性が大きく、また、現像ラチチュードが狭くなる傾向がある。この比が1.4を越えると該組成物の安定性が劣化し、高解像力及び良好な膜厚依存性を得るのが困難となって好ましくない。
【0139】
このフェノール化合物の好ましい添加量は、アルカリ可溶性樹脂に対して2〜50重量%であり、更に好ましくは5〜30重量%である。50重量%を越えた添加量では、現像残渣が悪化し、また現像時にパターンが変形するという新たな欠点が発生して好ましくない。
【0140】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4916210号、欧州特許第219294号等に記載の方法を参考にして、当業者に於て容易に合成することが出来る。
フェノール化合物の具体例を以下に示すが、本発明で使用できる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0141】
レゾルシン、フロログルシン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3′,4′,5′−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、アセトン−ピロガロール縮合樹脂、フロログルコシド、2,4,2′,4′−ビフェニルテトロール、4,4′−チオビス(1,3−ジヒドロキシ)ベンゼン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルエーテル、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルフォキシド、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,2,2−トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,2−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)ブタン、パラ〔α,α,α′,α′−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)〕−キシレン等を挙げることができる。
【0142】
〔ポジ型レジスト組成物の調製及びその使用〕
以上、本発明のポジ型レジスト組成物に含有される各成分を説明した。次に、本発明のポジ型レジスト組成物の調製方法及びその使用方法について説明する。本発明の組成物は、上記各成分を溶解する前記溶媒に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
【0143】
上記の中でも、好ましい溶媒としては2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランを挙げることができる。
【0144】
この際、上記溶媒に上記した(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を加えることが好ましい。
また、(G)成分以外の界面活性剤を添加することができる。そのような界面活性剤として、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤;アクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100重量部当たり、通常、2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
【0145】
上記組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。
【0146】
本発明の感光性組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0147】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲がこれによりいささかも限定されるものではない。
【0148】
合成例1〔(B)成分:フッ素置換カルボン酸を発生する化合物の合成〕
(1)<ビス(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムヘプタフロロブチレート(化合物I−3)の合成>
ビス(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムヨージド10gをメタノール500mlに溶解させ、これに酸化銀4.44gを加えて室温で4時間撹拌した。反応液をろ過して銀化合物を除いた後、この溶液にヘプタフロロブチリックアシッド4.67gを加えた。この溶液を濃縮し、得られた固形物をアセトン/水(4/6)から再結晶すると目的物が6g得られた。
【0149】
(2)上記(1)と同様の方法を用い、対応するヨードニウムヨージドおよびカルボン酸を用いることにより、(B)成分である化合物(I−1)〜(I−24)および下記に示される、未置換のカルボン酸を発生する下記(化合物B'−3)と(化合物B'−4)を合成した。
【0150】
(3)<トリフェニルスルホニウムノナフロロペンタノエート(化合物II−4)の合成>
トリフェニルスルホニウムヨージド20gをメタノール500mlに溶解させ、これに酸化銀12.5gを加えて室温で4晴間撹拌した。反応液をろ過して銀化合物を除いた後、この溶液にノナフロロペンタノイックアシッド14.9gを加え、この溶液を濃縮した。得られた油状物にジイソプロピルエーテル300mlを加えて十分に撹拌した後、ジイソプロピビルエーテルをデカントで除く操作を2回繰り返した。得られた油状物を減圧乾燥すると目的物が18g得られた。
【0151】
(4)上記(3)と同様の方法を用い、対応するスルホニウムヨージドおよびカルボン酸を用いることにより、(B)成分である(化合物II−1)〜(化合物II−48)および未置換のカルボン酸を発生する下記(化合物B'−1)と(化合物B'−2)を合成した。
【0152】
【化55】
【0153】
(5)<トリアリールスルホニウムヘプタフロロブチレート(化合物II−24)、(化合物III−3)を主成分とする混合物)の合成>
Fluka製トリフェニルスルホニウムクロリド45%水溶液(トリアリールスルホニウムクロリドの混合物)10gにメタノール100mlを加え、これに酸化銀3.44gを加えて4時間撹拌した。反応液をろ過して銀化合物を除いた後、この溶液にヘプタフロロブチリックアシッド3.38gを加え、この溶液を濃縮した。得られた油状物にジイソプロピルエーテル300mlを加えて十分に撹拌した後、ジイソプロピルエーテルをデカントで除く操作を2回繰り返した。得られた油状物を減圧乾燥すると目的物が4.2g得られた。
【0154】
(6)<N−ペンタフロロベンゾイルオキシフタルイミド(化合物IV−1)の合成>
N−ヒドロキシフタルイミド10gを脱水THF200mlに溶解させこれを0℃まで冷却した。この溶液にペンタフロロベンゾイルクロリド13.6gを滴下して加えた。この溶液にトリエチルアミン7.0gを加えてそのまま2時間撹拌した。反応液を蒸留水1.5Lにゆっくり投入し、析出した粉体をろ取、水洗すると目的物が17g得られた。
【0155】
(7)上記(6)と同様の方法を用い、対応するヒドロキシイミドとカルボン酸クロリドを塩基性条件下で反応させることによって(B)成分である(化合物IV−2)、(化合物IV−3)を合成した。
【0156】
(8)2−ニトロ−6−トリフロロメチルベンジルペンタフロロベンゾエート(化合物V−2)の合成
2−ニトロ−6−トリフロロメチルベンジルアルコール10g、ジシクロヘキシルアミン9.8gをアセトン150mlに溶解させ、この溶液にペンタフロロベンゾイルクロリド11.5gをゆっくり滴下して加えた。室温で2時間反応させた後、反応液を蒸留水1Lにゆっくり投入し析出した固体を蒸留水で洗浄すると目的物が14g得られた。
【0157】
(9)同様の方法を用い、対応するベンジルアルコールおよびカルボン酸クロリドを塩基性条件で反応させることによって、(B)成分である上述の構造の(化合物V−1)〜(化合物V−4)を得た。
【0158】
また、化合物(I−25)、(I−31)、(I−33)、(II−49)、(II−50)、(II−56)、(II−59)、(II−61)、(II−64)も同様にして合成した。但し、これらの化合物について、アニオン部は、テロマー法により合成し、各式中で示したアニオンを有する化合物50%以上と、炭素鎖長において異なるアニオンを有する化合物との混合物である。
【0159】
合成例2〔(A)成分である樹脂の合成〕
(1)<p−(1−(シクロヘキシルエトキシ)エトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(30/70)(樹脂A−25)の合成>
p−ヒドロキシスチレン(日本曹達製VP−8000)70gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)320gに加熱溶解させ、減圧留去により脱水した後20℃まで冷却した。この溶液にピリジニウム−p−トルエンスルホネート0.35gおよびシクロヘキサンエタノール22.4gを加えた。この溶液にt−ブチルビニルエーテル17.5gをゆっくり加え、20℃で5時間反応させた。反応液にトリエチルアミン0.28g、酢酸エチル320mlを加え、これを蒸留水150mlで3回洗浄した。溶剤を留去、濃縮した。得られたオイルをアセトン100mlに溶解させこれを、蒸留水2Lにゆっくりと注いだ。析出した粉体をろ取、乾燥すると目的物が54g得られた。
【0160】
(2)<p−(1−(シクロヘキシルエトキシ)エトキシ)スチレン/p−アセトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン(30/10/60)樹脂A−38の合成>
p−ヒドロキシスチレン(日本曹達製VP−8000)70gをプロピレングリコールモノメテルエーテルアセテート(PGMEA)320gに加熱溶解させ、減圧留去により脱水した後20℃まで冷却した。この溶液にビリジニウム−p−トルエンスルホネート0.35gおよびシクロヘキサンエタノール22.4gを加えた。この溶液にt−ブチルビニルエーテル17.5gをゆっくり加え、20℃で5時間反応させた。反応液にピリジン5.53gを加え、これに無水酢酸5.9gをゆっくり加えた。室温で1時間反応させ、この溶液に酢酸エチル320mlを加え、これを蒸留水150mlで3回洗浄した。溶剤を留去、濃縮した。得られたオイルをアセトン100mlに溶解させこれを、蒸留水2Lにゆっくりと注いだ。析出した粉体をろ取、乾燥すると目的物が58g得られた。
【0161】
(3)上記(1)及び(2)と同様の方法を用いることにより下記樹脂を合成した。
A−3;p−(1−エトキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(35/65)分子量15000、分散度(Mw/Mn)1.1
A−7;p−(1−isoブトキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(30/70)分子量6000、分散度(Mw/Mn)1.2
A−36;p−(1−フェネチルオキシエトキシ)スチレン/p−アセトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン(30/10/60)分子量11000、分散度(Mw/Mn)1.2
A−41;p−(1−(4−t−ブチルシクロヘキシルカルボキシエトキシ)エトキシスチレン/p−アセトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン(30/10/60)分子量12000、分散度(Mw/Mn)1.1
A−43;p−(1−(シクロヘキシルエトキシ)エトキシ)スチレン/p−t−ブチルスチレン/p−ヒドロキシスチレン(30/8/62)分子量18000、分散度(Mw/Mn)2.3
A−22;p−(1−ベンジルオキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(25/75)分子量13000、分散度(Mw/Mn)1.3
A−35;p−(1−ベンジルオキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/p−アセトキシスチレン(20/70/10)分子量9000、分散度(Mw/Mn)1.2
【0162】
A−14:p−(1−isoブトキシエトキシ)スチレン/p−(t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(20/10/70)、分子量13000、分散度(Mw/Mn)1.3
A−50:スチレン/p−ヒドロキシスチレン/p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン(10/70/20)、分子量13000、分散度(Mw/Mn)1.4
A−52:p−ヒドロキシスチレン/p−エトキシエトキシスチレン/シクロヘキシルアクリレート(20/70/10)、分子量18000、分散度(Mw/Mn)1.9
【0163】
さらに、(A)成分である下記の樹脂を合成した。
(4)<A−48;p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート(79/21)の合成>
p−ビニルフェノール84.1g、t−ブチルアクリレート22.4gをジオキサン150gに溶解し、1時間窒素気流を導入した。
2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル6.91gを添加し、窒素気流下混合液を75℃に加熱し12時間重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、アセトン150gを添加して希釈後大量のヘキサン中に滴下し、固体のポリマーを得た。アセトン希釈と、ヘキサンへの投入を3回繰り返し、残存モノマーを除去した。
得られたポリマーを、60℃で減圧乾燥し、ポリマーA−48を得た。
NMRによる分析の結果、p−ビニルフェノール:t−ブチルアクリレートの組成比率は79:21であった。
Mwは12,000、分散度(Mw/Mn)は2.6であった。
【0164】
(5)<A−16;p−(1−isoブトキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート(20/59/21)の合成>
上記ポリマー(A−48)20gをプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)80gに溶解し、60℃に加熱した後徐々に系を減圧にして20mmHgとし、PGMEAと系中の水を共沸脱水した。共沸脱水の後20℃まで冷却し、イソブチルビニルエーテルを2.2gを添加し、更にp−トルエンスルホン酸を3mg添加した。添加後反応を2時間行い、トリエチルアミン少量添加により酸を中和した。その後、反応液に酢酸エチルを投入し、イオン交換水で洗浄することで塩を除去した。更に、反応液から酢酸エチルと水を減圧留去することで目的物であるポリマーA−16を得た。
【0165】
(6)A−51;p−ヒドロキシスチレン/スチレン/t−ブチルアクリレート(78/7/15)(分子量13100、分散度(Mw/Mn)2.7)の合成を、上記樹脂A−48と同様に合成した。
(7)<A−49;p−ヒドロキシスチレン/p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン(60/40)の合成>
ポリp−ヒドロキシスチレン(日本曹達製VP−8000、重量平均分子量11000)をピリジン40mlに溶解させ、これに室温攪拌下二炭酸ジ−t−ブチル1.28gを添加した。室温で3時間反応させた後、イオン交換水1リットル/濃塩酸20gの溶液に投入した。析出した粉体を、ろ過、水洗、乾燥し、p−ヒドロキシスチレン/p−(t−ブチルオキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体(60/40)を得た。
【0166】
実施例1〜42、比較例1〜3(ただし、実施例26は参考例である。)
表−1に示す配合に従い、各成分を溶剤に溶解して、固形分濃度15%に調液し、この溶液を0.1μmのポリエチレン製フィルターでろ過してレジスト溶液を調製した。このレジスト溶液について下記の評価を行った。
【0167】
A.KrFエキシマレーザー露光評価
レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルシシラザン処理を施したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.6μmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上て加熱した。更に2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃下60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウェハー上のパターンから下記の方法でレジストの性能を評価した。その結果を表−2に示す。
【0168】
(解像力)
0.18μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量における限界解像力を表す。
(露光マージン)
0.16μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、0.16μm±10%の線幅を再現する露光量幅を最適露光量で割った値を100分率(%)で表した。数字が大きいほど露光量変化に対して線幅変化が少ない。
【0169】
(焦点深度)
0.15μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量における0.15μmのラインアンドスペース(1/1)の焦点深度を測定した。この値が大きい程、焦点深度が広い。
【0170】
【表1】
【0171】
【表2】
【0172】
【表3】
【0173】
(表−1の成分の説明)
(A)成分(配合量は固形分としての値である)
実施例31のPHS/STは、p−ヒドロキシスチレン/スチレン(モル比;85:15)共重合体(重量平均分子量;20000、分散度;2.9)であり、アルカリ可溶性樹脂である。
(B)成分
実施例8:合成例1、(5)で合成した(II−24)と(III−3)を主成分とする混合物を(B)成分として使用。
(C)成分
(C−1):前述の(PAG4−5)
(C−2):前述の(PAG4−4)
(C−3):前述の(PAG4−1)
(C−4):前述の(PAG7−2)
(C−5)は下記構造のスルホン酸を発生する光酸発生剤。
【0174】
【化56】
【0175】
(D)成分
(D−1):下記構造の化合物である。
【0176】
【化57】
【0177】
(F)塩基性化合物成分
(1);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
(2);2,4,5−トリフェニルイミダゾール
(3);トリ−n−ブチルアミン
(4);N−ヒドロキシエチルピペリジン
(G)界面活性剤成分
W−1:メガファックF176(大日本インキ(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ(株)製)(フッ素及びシリコ ーン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−4;トロイゾールS−366(トロイケミカル(株)製)(シリコン系)
溶剤
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME;プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)
EL;乳酸エチル
EEP;エトキシプロピオン酸エチル
BL;γ−ブチロラクトン
CH;シクロヘキサノン
【0178】
【表4】
【0179】
【表5】
【0180】
表−2に示された結果から下記のことが明らかである
本発明のポジ型レジスト組成物である実施例1〜42のレジスト膜に遠紫外光線であるKrFレーザー光線を露光にすることによって、高解像力で、しかも広い露光マージン及び広い焦点深度でパターンが形成される。一方、(B)成分を用いない比較例1〜3の場合、露光マージン及び焦点深度が狭い。
【0181】
B.電子線露光評価
上記表−1に記載の実施例のうち一部(表−3に記載の実施例)を固形濃度17%に調製し、レジスト溶液を得た。そのレジスト溶液をスピンコーターによりヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱、乾燥を行い、0.8μmのレジスト膜を形成した。このレジスト膜を、電子線描画装置(加速電圧50keV、ビーム径0.20μm)で露光し、露光後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウェハー上のパターンから下記の方法でレジストの性能を評価した。その結果を表−3に示す。
【0182】
(画像評価法)
形成された0.20μmコンタクトホールパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、プロファイルを調べた。
【0183】
(感度評価法)
0.20μmのコンタクトホールパターンを再現する露光量(μC/cm2)をもって評価した。
(解像力評価法)
解像力は0.20μmのコンタクトホールパターンを再現する露光量における限界解像力を表す。
【0184】
【表6】
【0185】
上記表−3の結果から、本発明の組成物は、さらに電子線露光によって、高感度、高解像力で、電子線露光特有の散乱に起因する逆テーパープロファイルにならず優れた矩形のプロファイルのパターンが形成される。
【0186】
【発明の効果】
本発明のポジ型レジスト組成物は、超微細加工が可能な短波長の露光光源及びポジ型化学増幅レジストを用いたリソグラフィー技術にあって、解像力が向上し、露光マージンや焦点深度等のプロセス許容性が改善されている。また、露光用エネルギー線として電子線を用いた場合でも優れた性能を示す。
Claims (7)
- (A)o−、m−、またはp−ヒドロキシスチレンの少なくとも一つ由来の繰り返し構造単位を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂、
(B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物、及び、
(C)活性光線または放射線の照射によりスルホン酸を発生する化合物
を含有することを特徴とするKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。ただし、(B)成分として、式(B1)で表される化合物と、(C)成分として、式(D1)で表される化合物との組み合わせを除く。
- (A)o−、m−、またはp−ヒドロキシスチレンの少なくとも一つ由来の繰り返し構造単位を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂、
(B)活性光線または放射線の照射により、少なくとも1つのフッ素原子で置換された脂肪族あるいは芳香族のカルボン酸を発生する化合物(ただし、下記一般式(B1)で表される化合物を除く)を含有することを特徴とするKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。
- (D)酸の作用により分解し、アルカリ現像液への溶解性が増大する分子量3000以下の化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載のKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。
- (C)活性光線または放射線の照射によりスルホン酸を発生する化合物をさらに含有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。
- (F)含窒素塩基性化合物、及び、(G)フッ素系またはシリコン系界面活性剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のKrFエキシマレーザーまたは電子線用ポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物によりレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を、KrFエキシマレーザーまたは電子線を照射、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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