JP4229731B2 - 樹脂組成物および光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、レンズ、特に、プロジェクションテレビ等に使用されるフレネルレンズないしレンチキュラーレンズ等のレンズ、を形成するための光硬化性樹脂組成物、および当該樹脂組成物からなる光学素子に関する。
【0002】
背景技術
従来、フレネルレンズは、プレス法やキャスト法等により製造されてきたが、レンズの製作に長時間を必要とし、生産性の悪いものであった。近年、紫外線硬化性樹指を使用してレンズを作製する検討がなされている。具体的には、レンズ形状を有する金型に、紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、透明樹脂基板と該金型とで該樹脂組成物を挟み込み、該基板側から紫外線を照射して該樹脂組成物を硬化させることにより、短時間でレンズを製造することができるようになる。さらに、最近のプロジェクションテレビの薄型化や大型化に伴い、レンズ形成用の樹脂に対して、高屈折率化や力学特性などの種々のレンズ特性が要求され、またレンズ使用環境に応じた様々な提案や検討がなされている。
【0003】
プロジェクションスクリーン用のフレネルレンズは、プラスチック製の基材上に電離線硬化型樹脂を用いて、レンズ形状を賦型した構成のものであり、その基材は実質的に光学的異方性がなく、透明性に優れる材質が良いとされている。従来から、その基材として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合体(MS)、ポリカーボネート(PC)、および透明性オレフィン樹脂等が使用されている。
【0004】
また、レンズ(電離線硬化型樹脂の硬化物)が賦型される基材に耐衝撃性を付与させるため、ブタジエンゴム、アクリルゴム等を上記の樹脂にブレンドして、海島構造を有する透明性材料もしばしば使用されている。
【0005】
これらのプラスチック製基材においては、用途、性能およびコストに応じて、どのタイプの基材を選択するかということが非常に重要であり、用いる基材によって、紫外線硬化型樹脂の該基材への密着性を向上させることが、実用上からも、大きな意義を有する。例えば、基材と紫外線硬化型樹脂の密着性を向上させるために、該基材に表面処理(プライマー処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、プラズマ処理等)を施すことができるが、材料によってはその効果に差異がある。また、これらの表面処理を行うには、工程や設備も必要である。したがって、製造コストの観点からは、レンズ材料そのものが、基材との良好な密着性を有することが、非常に有効である。その為には、基板材料の選定において、それぞれの基材に応じて、該基板と良好な密着性を有する樹脂組成物を選定することが、量産レベルのリードタイムの短縮化を図る上で重要となる。
【0006】
しかしながら、これらの紫外線硬化型樹脂は、基板との密着性に優れるのみでは、レンズに要求される性能を満たしたことにはならない。例えば、フレネルレンズにあっては、屈折率等の光学性能を有するのはもちろんのこと、特開2001-228549号公報に開示されているように、レンチキュラーレンズとの接触による擦れを抑える制振性や、レンチキュラーレンズとの接触圧に耐えうる剛性ないし復元性が必要とされる(特許文献1参照)。
【0007】
すなわち、プロジェクションスクリーンは、フレネルレンズとレンチキュラーレンズとを組合せて用いるのが一般的であり、その光学的効果を最大限に発揮させるため、また、レンズ表面を保護するため、互いのレンズ表面を向かい合わせて密着させることがしばしば行われている。該フレネルレンズは、投射光を平行光化して垂直方向に補正する機能を有するものであり、一方、該レンチキュラーレンズは、フレネルレンズで平行光化した光を水平方向に拡散する機能を有するものである。通常、このようなプロジェクションスクリーンにおいては、フレネルレンズ(サーキュラーフレネル凸レンズ)の出光面側とレンチキュラーレンズの入光面側とを密着させて用いられる。
【0008】
このように、光学素子のレンズ面どうしを密着すると、いずれの表面も凹凸を有するため、互いの表面形状に影響を及ぼす。例えば、上記の例においては、フレネルレンズ面の断面は、鋸刃状の先端が尖った凹凸形状を有し、一方、レンチキュラーレンズ面の断面は、半円形もしくは半楕円等の丸みを有する盛り上がったアーチ状の凹凸形状を有している。このような断面形状を持つフレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとが互いに密着すると、レンチキュラーレンズの盛り上がった頂部と、フレネルレンズの尖った先端とが接触し、接触圧により、レンチキュラーレンズおよび/またはフレネルレンズの形状、即ちレンズ表面の凹凸形状が変形し、レンズつぶれが発生する。
【0009】
本現象を回避するため、樹脂の弾性率を調整したり、滑り剤ないし合紙を挟むなど各種回避策が講じられている。さらに、フレネルレンズ樹脂内にシリコーンを練りこむ事で、耐擦れ性を向上させている。
【0010】
一方、上記のレンズ形状の変形は、レンズを構成する樹脂の硬度を高めることにより解消することができる。しかしながら、単に硬度を高めるのみでは樹脂が脆くなってしまい、取り扱い時や断裁時にレンズが欠けやすくなるといった問題を招く。したがって、レンズを構成する樹脂は、硬度が高い一方で、ある程度の柔軟性を有していなければならない。
【0011】
樹脂硬化物の硬度は、一般にガラス転移温度に関係し、ガラス転移温度が低すぎると、ゴム弾性が低下し、加圧により樹脂が塑性変形を起こす。通常、ある程度の架橋密度を有する樹脂であれば、ガラス転移温度が低くてもゴム弾性が発現し、圧力がかかっても、塑性変形するには至らない。しかしながら、光学素子用樹脂組成物においては、その必須要件としての屈折率の向上のために、ベンゼン環や脂環基からなる剛直な鎖を分子鎖中に導入する必要があるため、ガラス転移温度の上昇を招く。したがって、所望の屈折率を維持しながらガラス転移温度を常温付近に低くするのは非常に困難である。逆に、ガラス転移温度が高すぎると、屈折率の向上の点では有利となるが、樹脂の剛性が高くなるため、内部応力(ひずみ)が残存し易い。そのため、基材と貼り合わせた構造のレンズシートでは、レンズ樹脂の緩和により、レンズシートの反りが生じる。
【0012】
一方、臭素化合物等のハロゲン化合物や硫黄を含有する材料を使用すれば、ベンゼン環等の芳香族系の化合物を用いることなく屈折率を上げることができ、しかも材料物性をうまく制御することが可能になる。しかしながら、環境負荷の観点からは、臭素の使用をできるだけ避けた方が好ましい。
【0013】
このようにプロジェクションテレビ等に使用する、光硬化性樹脂組成物を用いて形成されるレンズには、高屈折率等の光学性能を有し、復元性、耐擦傷性に優れ、かつ基材と光硬化性樹脂組成物の硬化層との密着性が良好であるという性能が要求されている。
【0014】
一方、レンズ作製時には、成形金型から樹脂硬化物を離型する必要があるため、成形金型と樹脂硬化物との離型性が高いことが要求されている。
【0015】
しかしながら、これらの全ての性能を満足できないのが現状であり、より優れた樹脂組成物を提供することが課題となっている。
【0016】
したがって、本発明は、高屈折率等の光学性能を有し、復元性、耐擦傷性に優れ、かつ基材との密着性が良好である樹脂組成物であって、かつ該樹脂組成物をプロジェクションテレビ等のスクリーン等に使用する光学部材(レンズ)として利用した場合に、各種性能を満足できる樹脂組成物とその硬化物を提供することを目的とする。
【0017】
また、2P法により光学部材を成形した場合であっても、光学部材の品質特性を損なうことなく、該金型と光学部材とが容易に離型できる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0018】
【特許文献1】
特開2001-228549号公報
【0019】
【発明の概要】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂組成物は、オリゴマー成分として、ビスフェノールAポリアルコキシジオールと有機ジイソシアネートと水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート、および、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、モノマー成分として、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、および、ビスフェノールAポリエトキシジオールジ(メタ)アクリレート、ならびに、光重合開始剤を含んでなり、樹脂硬化後の屈折率が、1.55以上である。このような組成の樹脂からなる硬化物をレンズとして利用して、透過型スクリーン等を形成した場合、十分な正面輝度を有するものが得られ、また高屈折率等の光学性能を有し、復元性、耐擦傷性に優れた光学部材となり、かつ基材と該硬化物との密着性が良好なものとなる。
【0020】
本発明の好ましい態様として、添加剤として、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含んでなる。
【0021】
また、より好ましい態様として、本発明の樹脂組成物は、内部離型剤として、さらに、下記式Iで表されるリン酸エステル、または、下記式IIで表されるホスホン酸エステルを含んでなるものである。
【化3】
(ここで、nは4以上の整数を示す。)
【化4】
(ここで、nは4以上の整数を示す。)
さらに、樹脂組成物中に含まれる前記ウレタンオリゴマーのウレタン鎖濃度が0.5〜1.3mmol/gである場合において、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜0.5重量%であることが好ましく、また、樹脂組成物中に含まれる前記ウレタンオリゴマーのウレタン鎖濃度が0.28mmol/g以上であり、かつ樹脂組成物中に含まれるOH基の濃度が0.41〜1.2mmol/gである場合において、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜1.0重量%であることが好ましい。このように、離型剤として上記のリン酸エステルないしホスホン酸エステルを用いることにより、添加剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンと併用して、樹脂組成物に加えた場合であっても、光学性能に悪影響を与えることなく、金属金型からの離型性と、滑り性とを硬化物に付与することができる。
【0022】
本発明の好ましい態様として、上記樹脂組成物のガラス転移温度が、19.5℃〜23.7℃であり、かつ、80℃における平衡弾性率が、1.08×108〜1.57×108dyne/cm2である。
【0023】
また、上記の樹脂組成物は、弾性変形率をWe(単位:%)、圧縮弾性率(単位:MPa)をEと表した場合に、We>−0.0189E+34.2の関係を満足するものであることが、より好ましい。
【0024】
このような樹脂を用いることにより、プロジェクションスクリーンにおけるレンズ面同士の圧縮によるレンズつぶれを抑制できる。すなわち、本発明の樹脂組成物を用いた光学素子は、反りを持ったレンチキュラーレンズと密着させてもレンズ表面の凹凸部分がつぶれない。なお、We≦−0.0189E+34.2の領域になると、レンズ面同士の圧縮によるつぶれに対し、復元性が劣る。
【0025】
【発明の具体的説明】
以下に、本発明について、更に詳しく説明する。
まず、本発明の樹脂組成物を構成するオリゴマー成分であるウレタン(メタ)アクリレート(以下、成分Aという。)は、ビスフェノールAポリアルコキシジオールと、有機ジイソシアネートと、水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られるものである。本発明における樹脂組成物は、該成分Aを含有することにより、硬化後の樹脂の復元性を向上させることができる。
【0026】
該成分Aの含有量は、樹脂組成物に対し、5〜60重量%が好ましく、持に好ましくは10〜25重量%である。
【0027】
上記ビスフェノールAポリアルコキシジオールの具体例としては、ビスフェノールAポリエトキシジオール、および、ビスフェノールAポリプロボキシジオール等が挙げられる。
【0028】
また、有機ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、および、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。なお、屈折率の観点からは、トリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが好ましい。
【0029】
水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2一ヒドロキシブロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ボリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、および、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの水酸基含有モノ(メタ)アクリレートは、1種あるいは2種以上を併用して用いても良い。
【0030】
本発明の樹脂組成物で使用するウレタン(メタ)アクリレートは、公知の手順より得ることができる。すなわち、ビスフェノールAポリアルコキシジオール成分と有機ジイソシアネート成分とを、ウレタン化反応により反応させて、次いで該反応により得られた末端イソシアネートプレボリマーに、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート成分を、(メタ)アクリレート化反応により反応させて得られるものである。
【0031】
上記のウレタン化反応では、ビスフェノールAポリアルコキシジオール成分の水酸基1当量に対し、有機ジイソシアネート成分のイソシアネート基1.3〜1.7当量を反応させることが好ましい。
【0032】
また、上記(メタ)アクリレート化反応は、前記のウレタン化反応によって得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーのイソシアネート基1当量に対して、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート成分の水酸基0.9〜1.1当量を反応させることが好ましい。上記のウレタン化反応および(メタ)アクリレート化反応は、常温〜100℃で行う。また、該反応は、通常無触媒で進行するが、触媒を添加しても良く、触媒としてジブチルスズジラウレートやジブチルスズジアセテート等を用いることができる。
【0033】
さらに、この(メタ)アクリレート化反応は、反応中のラジカル重合によるゲル化を防ぐため、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、および、p−ベンゾキノン等の重合禁止剤を添加することが、より好ましい。
【0034】
なお、上記の反応は、十分な反応時間をかけて合成することが好ましい。また、成分Aの数平均分子量が大きくなりすぎると、80℃における平衡弾性率(架橋密度)が低くなるため、樹脂硬化物に外力が及ぶと、その外力がそのまま粘性セグメントに影響を与えることになる。その結果、樹脂硬化物が塑性変形し易くなる。一方、成分Aの数平均分子量が小さ過ぎると、架橋点間の分子鎖が剛直となるため、樹脂硬化物の復元性を得にくくなる。
【0035】
すなわち、本発明においては、80℃における平衡弾性率が、1.08×108〜1.57×108dyne/cm2の範囲にある樹脂組成物を用いることにより、塑性変形の度合いと復元性とのバランスがとれた、復元性、耐擦傷性に優れる光学素子を得ることができることを見出したものである。上記の平衡弾性率を有する樹脂組成物においては、その構成成分であるウレタン(メタ)アクリレート成分の平均分子量が2000〜8000であることが好ましく、特に4000〜6000が好ましい。なお、本明細書に使用する平均分子量とは、特に断りのない限り、数平均分子量を意味する。
【0036】
上記のビスフェノールAポリアルコキシジオールは、下記一般式(III)で表される。
【化5】
ここで、mおよびnは、整数であり、R1およびR2はそれぞれ、HまたはCH3のいずれかである。
【0037】
本発明における樹脂組成物を構成するビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(以下、成分Bという。)は、該樹脂からなる硬化物の屈折率を1.55以上とするために必要な成分である。該成分Bの含有量は、樹脂組成物に対して、5〜50重量%が好ましく、特に好ましくは5〜20重量%である。なお、本明細書に使用する屈折率とは、特に断りのない限り、25℃における値を意味する。
【0038】
上記ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートは、下記一般式(IV)で表される。
【化6】
ここで、oは整数で、かつ1よりも大きい。また、R3およびR4は、それぞれ、HまたはCH3である。oが1未満であると、樹脂組成物の硬化物が硬くなりすぎて復元性が低下する。また、屈折率が1.55よりも低くなるため、好ましくない。なお、このビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートは、公知の方法により製造することができる。すなわち、ビスフェノールA型エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、0.9〜1.1当量の(メタ)アクリル酸を、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の3級アミノ化合物、4級アミンとの混合物、および4級アミン塩との混合物等の触媒存在下で反応させることにより、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートを製造することができる。反応温度は50℃〜120℃である。
【0039】
本発明の樹脂組成物を構成するフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(以下、成分Cという。)は、樹脂硬化物の屈折率を1.55以上に保ち、かつ、基材との密着性を向上させるために必要な成分である。該成分Cの含有量は、樹脂組成物に対して、10〜60重量%が好ましく、特に好ましくは10〜35重量%である。
【0040】
通常、単官能モノマーは、粘度調整や基材との密着性を向上させるために用いられるが、脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素からなる構造では充分な屈折率が得られない。本発明の樹脂組成物においては、フェノキシ基などの芳香族環を含有する構造を有するフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートを構成成分とするため、密着性とともに、所望の屈折率も満足できるものである。
【0041】
フェノキシボリエチレングリコール(メタ)アクリレートは、下記一般式(V)で表される。
【化7】
ここで、pは整数でかつ、1〜4である。R5はHまたはCH3である。pが4より大きくなると、屈折率が低下するとともに基材との密着性が低下する。
【0042】
上記成分Cとしては、アロニックスM-101、M-102(以上、東亜合成(株)製)、NKエステルM-20G、M-40G、AMP−10G、AMP-20G(以上、新中村化学工業(株)製)、KAYARAD R-561、R-564(以上、日本化薬(株)製)、ライトエステルPO、ライトアクリレートPO−A、P-200A(以上、共栄社化学(株)製)、ビスコート#192、#193(以上、大阪有機化学工業(株)製)、および、ニューフロンテイアPHE、PHE-2(以上、第一工業製薬(株)製)等の市販品を用いることができる。
【0043】
本発明の樹脂組成物を構成するビスフェノールAポリエトキシジオールジ(メタ)アクリレート(以下、成分Dという。)は、屈折率を高く保ち、かつ樹脂硬化物の復元性を向上させるために必要な成分である。該成分Dの含有量は、樹脂組成物に対して、15〜75重量%が好ましく、特に好ましくは30〜50重量%である。
【0044】
ビスフェノールAポリエトキシジオールジ(メタ)アクリレートは、下記一般式(VI)で表される。
【化8】
ここで、qおよびrは整数でかつ、q+rの値が6〜14である。また、R6およびR7は、それぞれ、HまたはCH3である。q+rの値が6未満になると、樹脂硬化物の硬度が増し、復元性が低下する。一方、q+rの値が14を超えると、屈折率が1.55より小さくなるため好ましくない。
【0045】
成分Dとしては、NKエステルBPE-500、NKエステルA-BPE-10(以上、新中村化学工業(株)製)、SR-480、SR-602(以上、SARTOMER社製)、ライトアクリレートBP-10EA(以上、共栄仕化学(株)製)、ニューフロンテイアBPE-10、BPEM-10(以上、第一工業製薬(株)製)等の市販品を用いることができる。
【0046】
本発明の樹脂組成物においては、任意成分として、前記の成分Cおよび成分D以外の(メタ)アクリロイル基またはビニル基を含有する化合物(モノマー成分)を使用することもができる。
【0047】
このようなモノマー成分としては、例えば単官能モノマーとして、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカブロラクトン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、スチレン等のビニルモノマー、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、バラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシボリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。
【0048】
多官能モノマー成分としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオベンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオベンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールブロバントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
本発明の樹脂組成物を構成する光重合開始剤(以下、成分Eという)は、樹脂組成物全体に対する含有量として、0.1〜15重量%が好ましい。0.1重量%未満では充分な光硬化性が得られず、一方、15重量%を越えると、樹脂組成物の光硬化に寄与せずに無駄なものとなりコストの上昇を招く。
【0050】
該成分Eとしては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2モルフォリノプロパン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、およびフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0051】
本発明の樹脂組成物には、上記の成分A〜E以外にも、下記のものが含まれていることが好ましい。すなわち、上記樹脂組成物中にシリコーン、シリコーンポリマー、好ましくは変性シリコーン、より好ましくはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン添加剤を含有させても良い。このような添加剤を含有することにより滑り性が向上し、当該樹脂組成物を硬化させてレンズシートを形成した場合に、レンズシート同士の擦れによるレンズ表面の傷の発生を低減させることができる。
【0052】
樹脂組成物全体に対する上記添加剤の含有量は、0.01〜10重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合、所定の滑り性が得られず、一方、10重量%を越えると、樹脂組成物の材料物性が損なわれ、あるいは基材と樹脂硬化物との密着性が低下する。
【0053】
上記のシリコーン、シリコーンポリマーとして、具体的には、ビッグケミージャパン(株)製のBYK−307、BYK−333、BYK−332、BYK−331、BYK−345、BYK−348、BYK−370、BYK一UV3510、信越化学工業(株)製のX-22-2404、KF−62-7192、KF−615A、KF−618、KF−353、KF−353A、KF−96、KF−54、KF−56、KF−410、KF−412、HIVACF−4、HIVACF−5、KF−945A、KF−354、およびKF−353、東レ・ダウコーニング・ジャパン(株)製SH−28PA、SH−29PA、SH−190、SH−510、SH−550、SH−8410、SH−8421、SYLGARD309、BY16-152、BY16-152B、およびBY16-152C、日本ユニカー(株)製FZ-2105、FZ-2165、FZ-2163、L-77、L−7001、L-7002、L-7604、およびL-7607、エフカ・アディティプス製のEFKA-S018、EFKA-3033、EFKA-83、EFKA-3232、EFKA-3236、およびEFKA-3239、ならびに共栄社化学(株)製のグラノール410等が挙げられる。
【0054】
また、樹脂硬化後の環境変化により、経時的にシリコーン成分がブリードアウトしてくるのを防ぐため、補助的にシリコーンアクリレート、もしくはシリコーンメタクリレート等の反応性シリコーンを併用することもできる。該反応性シリコーンの具体的なものとして、ビッグケミージャパン(株)製のBYK−UV3500、およびBYK−UV3530、ダウコーニング(株)製ペンタッドUV-31、ならびに信越化学工業(株)製のX-24-8201、X-22-174DX、X-22-2426、X-22-2404、X-22-164A、X-22-164B、およびX−22-164C、等が挙げられる。
【0055】
本発明の樹脂組成物においては、さらに、下記式VIIまたはVIIIで表される離型剤を含んでなることが好ましい。
【0056】
【化9】
(ここで、nは4以上の整数を示す。)
【化10】
(ここで、nは4以上の整数を示す。)
【0057】
本発明の樹脂組成物を金型表面に塗布し、紫外線により樹脂組成物を硬化させてレンズシートを作製する場合、該硬化物を金型から剥離する必要がある。しかしながら、本発明の樹脂組成物は、水酸基等の極性基やウレタン鎖等の極性を有する鎖を含んでいるため、当該樹脂組成物と金属製金型との密着性が強く、硬化物を金型から剥離することが困難となる。上記のようなシリコーン系の添加剤が樹脂組成物に含有している場合であっても、特に、フレネルレンズにおいては、レンズ表面が複雑な形状であるため、金型表面の賦型部分に樹脂が入り込み、金型とレンズ(硬化物)とを剥離させることが困難となる。上述のごとく、シリコーンの添加量を増やすと、離型性は向上するものの、レンズの材料物性が低下したり、また基材との密着性が低下してしまう。
【0058】
このような問題に対し、特公平6−20752号公報、特開平3−287641号公報、および特開平11−43493号公報には、レンズ用の離型剤としてアルコキシアルキルリン酸エステルが開示されており、また、特開平8−57864号公報には酸性ホスホン酸誘導体系内部離型剤が開示されている。
【0059】
しかしながら、上記のように、樹脂組成物に滑り剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが含まれている場合、該ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンと離型剤との相溶性を考慮する必要がある。すなわち、樹脂組成物中の離型剤および滑り剤の含有量が低い場合であっても、シリコーン成分とリン酸エステル成分の双方が、金型界面にブリードアウトし、金型界面ではシリコーン成分および離型剤の濃度が局所的に高くなる。シリコーンと離型剤との相溶性が低い場合、樹脂組成物の状態(液体状態)では曇点を有したり、液体状態では透明であっても樹脂硬化後に成形物の表面に曇りが生じる場合がある。また、離型剤成分とシリコーン成分との相溶性が低いと、離型性のみ発現し、滑り性や成形物の透明性が改善されないか、逆に、滑り性が向上しても離型性が十分ではなく、経時的に外観が変化する(シリコーン成分のブリード)などの不具合が発生する。
【0060】
本発明においては、内部離型剤として、上記の式VIIの構造を有するリン酸エステルまたは式VIIIの構造を有するホスホン酸エステルを用いることにより、硬化させた場合でも硬化物の透明性が維持され、かつ、離型性に優れる、樹脂組成物を提供することができる。すなわち、滑り性を付与するために必要な添加剤であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの十分な相溶性を有するため、樹脂硬化後、硬化物表面に該離型剤および添加剤がブリードアウトしても、硬化物(成形品)の表面に曇りを生じることはない。
【0061】
また、本発明における上記式VIIまたは式VIIIに示した構造の離型剤を含んでなる樹脂化合物を硬化させて成形したレンズシートは、高温多湿環境中に長時間保存した場合でも外観が変化することなく経時安定性に優れるものである。
【0062】
本発明における離型剤としては、OH基を一つ有する、すなわちリン酸ジエステルないしホスホン酸モノエステルの構造を有するものである。OH基を有しないリン酸トリエステルでは、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶性は高いものの、離型性が十分でない。一方、二つのOH基を有するリン酸モノエステルでは、樹脂硬化物(レンズシート)の透明性や滑り性の観点からは優れるものの、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶性が低く、上記の離型性の問題が生ずる。
【0063】
本発明における離型剤としてのリン酸エステルおよびホスホン酸エステルは、エステル部分の炭素数は4以上である。炭素数が小さい場合、十分な離型性が得られない。好ましくは、炭素数は8以上である。
【0064】
好ましい態様として、本発明における離型剤の含有量は、樹脂組成物に対し0.05〜5.0重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。0.05重量%未満では離型性が十分でなく、一方、5.0重量%を超える含有量では、成形物の材料物性が損なわれる。
【0065】
樹脂組成物中に含まれる化合物のウレタン鎖濃度が、前記ウレタンオリゴマーのウレタン鎖濃度が0.5〜1.3mmol/gである場合において、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜0.5重量%であることが好ましく、また、樹脂組成物中に含まれる前記ウレタンオリゴマーのウレタン鎖濃度が0.28mmol/g以上であり、かつ樹脂組成物中に含まれるOH基の濃度が0.41〜1.2mmol/gである場合において、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜1.0重量%であることが好ましい。なお、OH基濃度とは、組成物を構成する上記の化合物のうち、ビスフェノールA型エポキシアクリレートオリゴマーやヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシモノマー中のOH基の樹脂組成物全体に占める割合を示す。また、ウレタン鎖濃度とは、本発明の樹脂組成物を構成するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーに含まれるウレタン結合の樹脂組成物全体に占める割合を示す。
【0066】
本発明の樹脂組成物においては、金属製の成形型からの離型性を阻害する要因として、樹脂組成物中に水酸基とウレタン鎖(ウレタンアクリレートオリゴマー等のウレタン鎖を含む材料全般)が含まれていることである。ウレタン鎖の濃度が、0.5mmol/gよりも低い場合であっても、金型からの離型性の観点からは離型剤が含まれていてもよい。しかしながら、実用的には、成型物の材料物性を損ねない範囲で、すなわち、0.2重量%未満、好ましくは0.05〜0.2重量%程度の範囲であれば、離型剤が含有されていてもよい。金属型を用いない樹脂成形の場合は、離型剤は含まれていなくても良い。すなわち、非金属製の成形型に使用されている樹脂と塗布する樹脂との表面エネルギーの差が大きい樹脂や、または表面エネルギーの差が小さい場合であっても、フッ素系添加剤やシリコーン添加剤を添加したり、樹脂組成物としてフッ素原子やシリコン原子を有する材料を用いることができる。
【0067】
ウレタンオリゴマーのウレタン鎖濃度が、1.3mmol/g以上になると、金属との接着性が増し、金型から成形物が剥離せず、また、成形初期には剥離しても数枚〜数十枚成形すると樹脂が金型に残り始め、その残留樹脂のために、離型性がさらに低下する。本発明においては、上記式VIIまたは式VIIIで表される離型剤を樹脂組成物に対して0.1〜0.5重量%含有させる事により、上記離型性の問題を解消することができる。離型剤の含有量が0.1重量%未満であると、離型性が改善されず、一方、0.5重量%を超えると、リン酸等の存在により、ポリエステルウレタンポリマー等のエステル構造が加水分解されてしまい、分子量低下による粘度低下が生じ、樹脂の成形性が悪化する。
【0068】
なお、レンズ型に非金属製の樹脂成形型を用いる場合は、リン酸エステル系離型剤を含有する必要はないが、樹脂成形型に金属微粒子や金属元素等が含有されている場合は、金属製成形型と同様に、上記の離型剤を含有することが好ましい。また、非金属製の成形型を用いる場合であっても、成形型または樹脂組成物のいずれか一方の表面エネルギーをできるだけ小さくし、両者の表面エネルギー差をできるだけ大きくすることにより、良好な離型性を発現できる。すなわち、レンズ成形用樹脂組成物との表面エネルギーの関係によっては、樹脂組成物にシリコン系滑り剤やフッ素系添加剤を添加するか、ないしシリコンやフッ素系添加剤を樹脂組成物にブレンドして用いることにより、成形型からの離型性を向上させることができる。
【0069】
また、屈折率の観点からは、エステル部分にアルキル鎖を用いるよりも、芳香族系化合物を導入する方が屈折率が高くるため好ましい。しかしながら、芳香族系化合物を導入すると、リン酸エステルおよびホスホン酸エステル自体の凝固点温度が上昇するため、低温での樹脂組成液の保存安定性や、成形物を低温保管した場合の安定性の観点から好ましくない。また、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶度合いにもよるが、離型剤とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとがある程度相溶している状態では、離型剤が固化する際にシリコーン成分も固化するため、低温環境下での滑り性が損なわれる。本発明におけるリン酸エステルおよびホスホン酸エステルの凝固点温度は、使用する環境にもよるが、概ね−50℃以下が好ましく、より好ましくは−30℃以下である。
【0070】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、熱重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、および溶剤等を含有させてもよい。
【0071】
本発明の樹脂組成物は、上記の成分A〜Eと、必要に応じ他の成分とを混合して溶解させることにより、通常は液状組成物として得ることができる。その液状組成物の粘度は500〜10000cps(25℃)程度が好ましい。
【0072】
また、本発明の光学素子は、常法に従い得ることができる。すなわち、上記の液状の樹脂組成物が濃度勾配が無く、均一に乳化したような、各成分が均一に分散した状態で、その液状樹脂組成物に紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させることにより光学素子を得ることができる。各成分を均一に分散させることにより、該光学素子は高い屈折率を有する。例えば、屈折率は1.55以上(25℃)が好ましく、該光学素子を用いて高屈折率の光学性能を有するレンズを作製できる。なお、本発明の樹脂組成物を用いた光学素子は、各成分が均一に分散した状態で硬化したもので、かつ光透過性が一定以上あればよく、必ずしも透明性の高いものを要求するものではなく、光拡散性を持たせたものであっても良い。
【0073】
本発明の光学素子は、透明樹脂基板上に上記の本発明の樹脂組成物からなる硬化物層をレンズ状に形成したものである。硬化物層の厚さは、10〜300μm程度が好ましい。透明樹脂基材としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、またはこれらの混合樹脂等が挙げられる。上記の透明樹脂基材と樹脂組成物の硬化物層との密着性(接着性)を向上させるための手段として、大別すると、洗浄処理、研磨処理、薬品処理1(基材表面を酸化、エッチングして該組成物との親和性を向上させる処理)、活性ガス処理、薬品処理2(接着剤と被着材の両者に親和性のある化合物を塗布する処理;プライマー処理)の5つの処理がある。これらの処理のうち、洗浄処理、研磨処理、および薬品処理1は、基材そのものを侵してしまうため、基材自体の材料物性に影響を与える可能性もあるため、上記処理を利用することは困難である。
【0074】
光学素子用部材として用いる場合、活性ガス処理、薬品処理2が挙げられるが、活性ガス処理は接着剤と被着材の種類によって、処理の能力に差があるため、汎用性低い。また、処理後すぐ接着しないとその効果がなくなることもあり、製造工程上、制約される場合がある。また薬品処理2は製造コストの増加、ゴミ付着などの取扱い上の問題があるため、あらゆる製造方法に適用することができない。さらに、薬品処理2は接着効果はあるものの、生産上は基材の種類、紫外線硬化型等の樹脂組成物との両方に親和性のある化合物を選定する煩雑さもあり、これらの問題を解消することが困難である。
【0075】
本発明の樹脂組成物においては、上記のような特別な処理を行なわずに、基材上に直接、樹脂組成物を塗布し、それを硬化させて硬化層を形成することにより、基材と該硬化物の層との密着性が良好となる。本発明の樹脂組成物は、耐吸湿性を有するポリスチレン樹脂系基材(具体的には、例えば旭化成(株)製SX100、電気化学(株)製TH21、大日本インキ化学工業(株)製クリアパクトT1300、新日鉄化学(株)製エスチレンMS-600等)やPMMA(ポリメチルメタアクリレート)樹脂基材、PC(ポリカーボネート)樹脂基材等の各種基材に対する密着性に優れる。
【0076】
本発明におけるレンズ状成型物の製造方法は、例えば、フレネルレンズ形状を有する成形型に本発明の樹脂組成物を塗布して、塗膜を形成し、その塗膜の上に透明樹脂基材を設け、次いで、その状態で該透明樹脂基材側から高圧水銀灯などにより、紫外線等の電離放射線を照射して、該樹脂組成物を硬化させた後、該成形型から基材と硬化物と剥離するものである。この様にして通常、屈折率が1.55以上(25℃)を有する該硬化物からなるフレネルレンズ等を得ることができる。
【0077】
尚、本発明の樹脂組成物は、光硬化性を有する電離放射線硬化型の樹脂組成物である。その電離放射線としては、可視光線、紫外線、X線等の電磁波、ないし電子線等の荷電粒子線が用いられるが、これらの内で、可視光線、紫外線、または電子線が実用上、好適に用いられる。特に可視光線または紫外線を用いる場合には、波長1000〜8000Åの紫外線または可視光線によって、解離し、ラジカルを発生するような光重合開始剤を使用することが必要である。
【0078】
本発明の樹脂組成物の硬化物を光学素子用部材として用いる場合、圧縮弾性率、クリープ変形率および耐つぶれ性、低温における耐擦れ性、貯蔵弾性率、損失正接、ならびに動摩擦係数等で示される材料物性が重要な指標となる。プロジェクションスクリーンは、レンチキュラーレンズとフレネルレンズの二種類のレンズにより構成されたものが現在の主流となっている。この一組のレンズは、レンチキュラーレンズの入光面側の曲形状(アーチ状)レンズと、フレネルレンズの三角形状(くさび状)レンズとが接触した状態で構成されているため、両レンズ間に圧力がかかり、特にレンズ先端部分の形状の変形が起こりやすい。このような接触圧力は以下の理由により生ずるものと考えられる。すなわち、2枚のレンズがセパレーションを起こすと映像に悪影響を及ぼすことから、2枚のレンズが分離しないようにレンチキュラーレンズに反り形状を付与している。この反りを有するレンチキュラーレンズを、その対になるフレネルレンズに押し付けてプロジェクションスクリーンを作製するため、自ずと両レンズの接触部分に圧力が発生することになる。したがって、フレネルレンズを形成する樹脂はその圧力に耐え得る程度の材料物性を有していなければならない。
【0079】
そのためには、硬さだけではなく、両レンズ間に長時間およぼされる圧力に対する対抗力(クリープ性)を考慮する必要がある。微小硬度計を用いて測定した圧縮弾性率やクリープ変形率により、樹脂の評価を行うことができる。
【0080】
また、2枚構成であるレンズシートのうち一方のフレネルレンズは、その表面がくさびが連続した形状を有しており、他方のレンチキュラーレンズは、その表面が連続したアーチ状の形状を有している。そのため両レンズを重ねあわせると、そのくさび形状部分とアーチ形状部分が互いに接触する。上記の二種のレンズを組み合わせて輸送する際には、輸送時の振動によって、剛性の異なる両レンズがそれぞれ異なった挙動をするために、擦れや衝撃によって、フレネルレンズ突端部(くさびの先端部)が変形または破壊されたり、また、レンズ表面が削れ、白い粉が発生したりする。
【0081】
さらに、上記フレネルレンズは、通常、レンズ部を構成する樹脂が弾性率の高い樹脂からなるため、温度変化に対する耐擦れ性能を備えておく必要がある。様々なスクリーン使用環境下、すなわち、高温でもレンズの変形を生じさせず、かつ、低温(0℃)や極低温(−20℃)でも擦れを発生させないような材料物性を有するスクリーン用樹脂材料が望まれる。
【0082】
それには動的粘弾性試験において、貯蔵弾性率(硬さ)が所定の値以下であり、共振周波数域での振幅量を減衰させる必要がある。言い換えれば、振動エネルギーを熱エネルギーに変換する指標である損失正接(tanδ)が大きい程、制振され擦れが低減される。また、ずれに効果のある滑り性能も付与しておく必要がある。
【0083】
【実施例】
ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、および、耐吸湿性能を有するスチレン樹脂に耐衝撃性を付与させるべく、ゴム状弾性体を分散粒子として含有させたゴム変性スチレン系樹脂(MBS樹脂)の3種の樹脂を基材として用いた。以下に、樹脂組成物の配合割合、各樹脂組成物の粘度、基材と該樹脂組成物との密着性、さらに該樹脂組成物の光学特性(屈折率、ヘイズ値および全光線透過率)、ならびに材料物性(圧縮弾性率、弾性変形率、ガラス転移温度、平衡弾性率、および動摩擦係数)を下記の表1に示す。また、各樹脂組成物を用いた光学素子の評価結果(TVセット潰れ試験、耐擦れ性試験)
も表1に示す。なお、組成B、組成C、組成F、組成Gおよび組成Hは実施例であり、組成A、組成D、組成Eおよび組成Jは参考例である。
【0084】
【表1】
【0085】
上記の各評価および測定結果は、以下の方法による。
インキ粘度
樹脂組成物の粘度は、JIS K-5400の回転粘度計法に基づいて測定した。(株)東京計器製BL型粘度計、No.3ロータを使用し、40℃で12rpm、1分後の粘度計の指示値を測定した。測定した粘度計指示値に換算乗数(本条件では100)を乗じた値を粘度とした。
【0086】
屈折率
試料としては、下記に示す動的粘弾性測定用の試料と同様にして調整した硬化済シートを用い、その試料をアッベ屈折率計のプリズム部に1−ブロモナフタレンを用いて密着させ、試料温度を25℃として、D線(λ=589nm)での屈折率を測定した。(その他はJIS K7105に準拠)
【0087】
ヘイズ値および全光線透過率
JIS K7150に基づき、積分球式光線透過率測定装置を用いて、拡散透過率Td、および全光線透過率Tiを測定し、Tiに対するTdの比の100分率をヘイズ値とした。
【0088】
基材との密着性
基材と樹脂組成物との密着性は以下のようにして評価した。表1に示す各樹脂組成物を、フレネルレンズ形成用金型の表面に所定の方法で塗布し、その塗膜上にMBS樹脂基材を設けて樹脂組成物を該金型と該基材との間に挟み込み、塗膜厚みが一定になるように該基材を加圧した。次に、紫外線を該基材側から照射して、樹脂組成物を硬化させて硬化層を形成した後、金型から該硬化層と該基材と(これらがシート状レンズである)を剥離して、シート状レンズを得た。(尚、表1の各組成には記載していないが、全て光開始重合剤を同量同条件で加えて硬化させている。)
得られたシート状レンズの剥離表面側から樹脂組成物(硬化層)と、MBS樹脂基材との接着性を評価するため、JIS K5400に準拠した碁盤目剥離試験を行った。
その評点は、碁盤目(一升が1mm×1mmの大きさ)100個に対する、接着している個数(X)の割合、X/100の値を算出することにより行った。
【0089】
動的粘弾性測定用試料の調整
貯蔵弾性率、および平衡弾性率の動的粘弾性の測定用の試料の作製は、以下のようにして行なった。40〜42℃に温度制御された、表面が平坦なステンレス板を金型とし、該金型面に40〜42℃に調整した各樹脂組成物を厚さが200μmになるように塗布した。メタルハライドタイプの紫外線ランプ(日本電池(株)製)を用い、積算光量2000mJ/cm2、ピーク照度250mW/cm2の条件で照射を行なって、樹脂組成物を硬化させた後、硬化したシートを剥離して、試料用のシートを得た。
【0090】
圧縮弾性率測定用試料の調整
圧縮弾性率の測定用の試料の作成は、表面が平坦なステンレス板に替えて、表面にフレネルレンズの逆型形状を有するニッケル製金型を用いた以外は、上記の動的粘弾性測定用試料の調整と同様にして、フレネルレンズの形状を有する試料用のシートを得た。
【0091】
動的粘弾性の測定
得られた試料を30mm×3mm×0.2mmの短冊状に成形し、動的粘弾性測定装置((株)オリエンテック製、「レオバイブロン」)を用いて、試料に0.05%の負荷歪みを与えて、貯蔵弾性率、および損失正接の測定を行った。周波数は1〜10Hzとし、温度範囲は、−100〜100℃とした(3℃/minの昇温速度)。この測定により、貯蔵弾性率の温度依存性曲線、および損失正接の温度依存性曲線を得た。
得られた貯蔵弾性率の温度依存性曲線から、25℃(常温)、0℃、および−20℃の各温度における貯蔵弾性率を求めた。これとは別に、強制振動の周波数を1Hzとし、その他は上記と同様にして得た貯蔵弾性率の温度依存性曲線から、80℃における貯蔵弾性率を求め、平衡弾性率とした。
また、得られた損失正接の温度依存性曲線から、25℃(常温)、0℃、および−20℃の各温度における損失正接を求めた。
ガラス転移温度は、損失正接(tanδ)の1Hzにおけるピーク位置での温度とした。
【0092】
動摩擦係数の測定
厚さ100μmとし、アクリル板で覆って紫外線を照射した以外は、上記の動的粘弾性測定用の試料と同様にして試料を得た。測定には、表面性測定装置(新東科学(株)製、ヘイドン・トライポギア タイプ:14DR)を使用した。得られた試料表面にボール圧子で垂直荷重を加え(100gの点圧)、ボール圧子を300mm/minの速度で試料表面を滑らせて動摩擦係数を測定した。この測定を5回行い、その平均値を動摩擦係数の値とした。
【0093】
圧縮弾性率の測定
超微小硬度計(独国フィッシャー社製、H-100V)を用いたユニバーサル硬さ試験を応用することにより、圧縮弾性率を算出した。すなわち、圧子による荷重を所定の値になるまで徐々に増加させ、その後、徐々に減少させることにより、侵入深さの荷重依存性曲線を得、その測定結果を解析することにより圧縮弾性率を算出した。圧子として、直径が0.4mmのタングステンカーバイト(WC)製のボール圧子を使用した。
侵入深さの荷重依存性曲線は、典型的には、図1に示すような様相を示す。まず、荷重が0(点a)から荷重fを徐々に増加させると変形が起き、徐々に圧子の侵人深さが増加する。ある荷重値で荷重の増加を停止させると、塑性変形による侵入が停止し(点b)、その後、荷重値をそのまま維持すると、その間、クリープ変形により侵入深さの増加が続き、荷重値の維持を止める点cに至る。その後、荷重を徐々に減少させると、弾性変形によって、点dに向かって侵入深さが減少する。
【0094】
上記において、図1中の点bにおける荷重値である最大荷重値Fは、20mNに設定した。その理由は以下のとおりである。実際のプロジェクションスクリーンでは、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとの接触圧を測定することは困難である。しかしながら、スクリーンを構成するレンズの変形が、条件の厳しいレンズシートの外周部で10μm程度であれば、レンズの性能上、許容できる。したがって、従来用いられているレンズシートが10μm変形するのに必要な荷重が、ほぼ20mNであることから、最大荷重値を20mNとしたものである。また、クリーブ変形を行なわせる時間は、適宜60秒間とした。
【0095】
侵入深さの荷重依存性曲線を求める手順を以下に示す。
(1)圧縮のための荷重値を0から20mNになるまで、0.1秒毎に100ステップで増加させる。
(2)20mNになった荷重値を60秒間維持し、クリープ変形を起こさせる。
(3)荷重値が0.4mN(試験機最低荷重)になるまで、0.1秒毎に40ステップで減少させる。
(4)荷重値が0.4mNのまま60秒間維持し、侵入深さを回復させる。
(5)以上の(1)〜(4)の操作を三回繰り返す。
なお、ボール圧子を作用させる部位としては、図2に示すように、フレネルレンズを構成する個々の細分化されたレンズ面、例えば、図2中、2c、2c’、および2c"で示すような部分の、中央部付近であることが好ましい。レンズ面の隣接する凹部同士の間隔をピッチPとすれば、P/2に相当する位置の付近である。その他のレンズ形状の場合にも、レンズを形成する個々のレンズ面の中央付近にボール圧子を作用させることが好ましい。
【0096】
圧縮弾性率(E)は、下記の式により求めた。
E=1/(2(hr(2R−hr))1/2×H×(△H/△f)−(1−n)/e)
ここで、hrは、荷重fが最大値Fであるときの荷重減少区域の、侵入深さの荷重依存性曲線の接線と侵入深さ軸(横軸)との交点の侵入深さ(単位:mm)である。
Rは、ボール圧子の半径(2R=0.4mm)である。
Hは、侵入深さhの最大値(単位:mm)である。
△H/△fは、荷重fが最大値Fであるときの荷重減少区域の、荷重へ侵入深さ曲線の傾きの逆数である。
nは、ボール圧子の素材(WC)のポアソン比(n=0.22)である。
eはボール圧子の素材(WC)の弾性率(e=5.3×105N/mm2)である。
【0097】
前記で説明したように、荷重の増減等を(1)〜(4)の順で3回繰り返して、1回ごとに侵入深さの荷重依存性曲線を求め、その曲線の各々から圧縮弾性率(E)(単位:Mpa)をそれぞれ求め、それらの平均値を圧縮弾性率とした。
【0098】
クリープ変形率
クリープ変形率(C)は、下記の式を用いて求めた。
C=(h2−h1)・100/h1
ここで、h1は一定試験荷重(ここでは20mN)に達したとき(図2において点b)の侵入深さ、h2はその試験荷重を保持して所定時間(60秒)経過した後(図2において点c)の侵入深さ、をそれぞれ示す(単位はmm)。
【0099】
弾性変形率
図4は、侵入深さの荷重依存性曲線を示したグラフである。弾性変形率は、全負荷エネルギーに対する弾性変形エネルギーの割合であり、図4の侵入深さの荷重依存性曲線から求めることができる。図4において、
A:初期状態
B:最大荷重負荷時、最大変形時
B-C:クリーブ変形量
D:除荷重後(最低荷重まで)
D-E:最低荷重時のクリーブ変形量
E-A:残留変形量
hm a x-E:回復変形量
とすると、弾性変形率(ηe)は、
ηe=Welastic/Wtotal
で表すことができる。ただし、
Wtotal=∫F1(h)dh
Welastic=∫F2(h)dh
である。
【0100】
TVセット潰れ試験
上記に説明した圧縮弾性率(E)、およびクリープ変形率(C)を測定した各樹脂組成物と同様の組成物を用いて成形されたフレネルレンズシートを所定のレンチキュラーレンズシートとを合わせ、4辺をテープで固定し、各テレビサイズの木枠に嵌め込んでテレビ実装し、白画面を目視により観察評価した。1時間経過後にフレネルレンズシートがつぶれているものは「×」、つぶれが認められないものは「○」とした。
【0101】
耐擦れ性試験
フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとを、各々のレンズ面同士を密着させ、四辺を粘着テープで固定し、TV画面サイズの木枠にはめ込んだものを、温度が一定に保たれた環境試験室内に設置した振動試験機((株)アカシ製、振動試験機、EDS252)にセットした。振動条件としては、図3に示すPSD(Power Spectrum Density)波形に示すランダム波とし、4320秒を1サイクルとして、5000kmのトラック輸送に相当する振動試験を、25℃の温度では10サイクル、0℃の温度では5サイクル、−20℃の温度では3サイクル、行なった。
【0102】
このランダム波は、統計的性質を有する不確定波で、PSD関数により性質を表現することが可能であり、この振動試験においては、その関数を指標に試験条件を決定している。このようなランダム波を使用した理由は、振動の非線形要素を排除できること、即ち、プロジェクションスクリーンの取付け、梱包形態などによる非線形要素を排除して対象物の振動を一定の状況で加振することが可能になるからである。また、振動は、試験開始時を0とした時間軸のいずれにおいても、すべて異なるので、実際の輸送時の振動により近い状況を作り出せるからである。
【0103】
なお、環境温度は25℃(常温)、0℃、および−20℃とし、試験終了後、プロジェクターにより、全体が白色の画面を投映した際に、擦れによる輝度ムラが明瞭に認められるものを×、輝度ムラか認められるが目立たないものを△、輝度ムラが認められないものを○とした。
【0104】
表1によれば、例えば組成F、組成H、組成Jを比べた場合、この順に使用するウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量が大きくなり、また80℃の平衡弾性率がこの順に低下する。組成Jにおいては、平衡弾性率が1.08×108dyne/cm2よりも低く、外力よる塑性変形が起きやすく、TVセット潰れ試験や耐擦れ性試験の結果が好ましくない。
【0105】
また、樹脂組成物の組成を変更した比較例1〜9について、各樹脂組成物の配合を表2に、各樹脂組成物の粘度、樹脂硬化物の光学物性(屈折率、全光線透過率、ヘイズ値)基材との密着性、樹脂組成物の材料物性(ならびに材料物性(圧縮弾性率、弾性変形率、ガラス転移温度、平衡弾性率、および動摩擦係数)を、表3に示す。
なお、各データの測定方法、条件等は、表1の場合と同様である。
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
表2の結果から、実施例の組成A〜Jの樹脂組成物からなる硬化物においては、その屈折率が1.55以上であり、ガラス転移温度が19.5〜23.7℃であり、80℃の平衡弾性率が、1.08×108〜1.57×108dyne/cm2であり、また弾性変形率をWe(%)、圧縮弾性率をE(MPa)と表した場合に、We>−0.0189E+34.2の関係を満足する。また、実施例においては、基材との密着性が優れることがわかる。
【0108】
一方、比較例1におけるウレタン(メタ)アクリレート(成分A)を含有しない樹脂組成物では、ガラス転移温度が19.5℃よりも低く、80℃の平衡弾性率が1.57×108dyne/cm2よりも大きいことがわかる。すなわち、弾性変形に対する仕事率が増加し復元性には優れるものの、粘度が所定の値より低すぎるため成形性に問題を生じる。
【0109】
また、比較例2におけるビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(成分B)を含有しない樹脂組成物では、ガラス転移温度が19.5℃よりも低く、80℃の平衡弾性率が1.57×108dyne/cm2よりも大きい。すなわち、弾性変形に対する仕事率が増加し復元性には優れるものの、樹脂組成物の粘度が低く成型性の問題を生じるとともに、屈折率も1.55未満であり、光学素子としての性能を有さない。
【0110】
さらに、比較例3におけるビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(成分B)の平均分子量を2100から500に変更した樹脂組成物では、屈折率が1.55より若干低く、またガラス転移温度も23.7℃よりも高く、80℃の平衡弾性率が1.57×108dyne/cm2よりも大きい。
【0111】
比較例4におけるビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(成分B)をウレタン(メタ)アクリレート(成分A)に置き換えた樹脂組成物では、屈折率が1.55より低い。
【0112】
また、比較例5におけるウレタン(メタ)アクリレート(成分A)をビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(成分B)に置き換えた樹脂組成物では、ガラス転移温度が23.7℃よりも高く、80℃の平衡弾性率が1.57×108dyne/cm2よりも大きい。さらにMS系基材における密着性が劣っている。
【0113】
比較例6におけるフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(成分C)の含有量を少なくした樹脂組成物では、ガラス転移温度が23.7℃よりも高く、80℃の平衡弾性率が1.57×108dyne/cm2よりも大きく、PMMA系基材およびMS系基材の両方における密着性が劣っている。また樹脂組成物の粘度が異常に高い。
【0114】
また、比較例7におけるフェノキシエチルアクリレートをエチレンオキサイドにより5〜6モル変性したものに置き換えた樹脂組成物では、ガラス転移温度が19.5℃よりも低く、80℃の平衡弾性率が1.57×108dyne/cm2よりも大きく復元性能力は高くなっているものの、屈折率が小さく、PMMA系基材に対する密着性も劣っている。
【0115】
比較例8におけるエチレンオキサイドにより平均して合計10モル変性したビスフェノールAジアクリレートを含有しない樹脂組成物では、樹脂組成物の粘度が高く、またガラス転移温度が23.7℃よりも高く、80℃の貯蔵弾性率1.08×108dyne/cm2よりも小さい。
【0116】
また、比較例9における、エチレンオキサイドにより平均合計10モル変性したビスフェノールAジアクリレートを、エチレンオキサイドにより平均合計4モル変性したビスフェノールAジアクリレートに置き換えた樹脂組成物では、ガラス転移温度が23.7℃よりも高く、80℃の平衡弾性率が1.57×108dyne/cm2よりも大きく、MS系基材に対する密着性が劣っている。これは、復元性に優れるものではなく、エネルギー弾性が高く剛直な材料であることを示す。
【0117】
実施例1〜3および比較例10〜12
上記表1に示す組成Bの樹脂組成物に、表4に示す離型剤を0.4重量%、添加剤として、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(日本ユニカー(株)製L−7001)を0.5重量%、およびフッ素系レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製 メガファック F−470)0.1重量%を加えたものを用いて、上記と同様にしてシート状レンズを作製した。なお、各離型剤のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとの相溶性を調べるため、離型剤とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとを1:1の割合で混合した混合溶液の状態を目視により評価した。該溶液が透明であるものを○、白濁または分離しているものを×とした。さらに、該混合溶液の−10℃における混合溶液の流動性を調べた。当該混合溶液をガラス瓶に計りとり、−10℃にて保管した。−10℃になった混合溶液のガラス瓶を90°傾け、該溶液がすぐに流動するもの(明らかに液状状態にあるもの)を○、流動性が無く固体ないしワックス状のものを×、とした。
【0118】
【表4】
【0119】
シート状レンズ作製時の金型からの離型性、該シートレンズの透過率、ヘイズ値、および、加速試験として、得られたレンズシートを60℃、95%RHの条件下で168時間保持した後の、該レンズシートの透過率、ヘイズ値およびレンズ表面状態について評価を行った。また、得られたレンズシートについて、上記と同様にして−20℃における振動試験を行った。それらの結果を表5に示す。
【0120】
【表5】
実施例1〜3においては、金型からの離型性に優れるとともに、得られたレンズシートの透明性が高く、かつ経時的安定性にも優れるものであった。
【0121】
一方、比較例10において得られたレンズシートは、離型性も悪く、また高温多湿環境下での透明性が維持されず、経時的安定性に劣るものであった。また、比較例11において得られたレンズシートは高温多湿環境下での経時安定性には優れるものの、離型性が悪い。比較例12において得られたレンズシートは、高温多湿環境下での経時安定性には優れるものの、用いたリン酸エステルのアルキル基の鎖長が短いため(n=4)、離型性が不十分なレベルであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】侵入深さの荷重依存性曲線を説明するための概略図である。
【図2】圧子を作用させる部位を示す概略図である。
【図3】振動試験に用いたPSD波形のグラフである。
【図4】侵入深さの荷重依存性曲線を説明するための概略図である。
【符号の説明】
2 フレネルレンズシート
Claims (7)
- オリゴマー成分として、ビスフェノールAポリアルコキシジオールと有機ジイソシアネートと水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとを反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート、および、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、モノマー成分として、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、および、ビスフェノールAポリエトキシジオールジ(メタ)アクリレート、ならびに、光重合開始剤を含んでなる樹脂組成物であって、
内部離型剤として、下記式Iで表されるリン酸エステル、または、下記式IIで表されるホスホン酸エステル:
を、さらに含んでなり、
樹脂組成物中に含まれる前記ウレタンオリゴマーのウレタン鎖濃度が0.5〜1.3mmol/gである場合において、前記内部離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜0.5重量%であり、
樹脂硬化後の屈折率が、1.55以上である、樹脂組成物。 - 添加剤として、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含んでなる、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 樹脂組成物中に含まれる前記ウレタンオリゴマーのウレタン鎖濃度が0.28mmol/g以上であり、かつ樹脂組成物中に含まれるOH基の濃度が0.41〜1.2mmol/gである場合において、前記離型剤の含有量が、樹脂組成物に対して0.1〜1.0重量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- ガラス転移温度が、19.5℃〜23.7℃であり、かつ、80℃における平衡弾性率が、1.08×108〜1.57×108dyne/cm2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 弾性変形率をWe(%)、圧縮弾性率をE(MPa)と表した場合に、We>−0.0189E+34.2の関係を満足する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5に記載のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる、光学素子。
- 前記光学素子が、フレネルレンズである、請求項6に記載の光学素子。
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