図1は、本発明のカラー画像処理装置を用いたカラーDTPシステムの一例を示すブロック図である。図中、11は原稿編集装置、12は画像処理装置、13は画像出力装置、21は編集装置通信部、22はフォーマット変換部、23はラスタライズ部、24は色変換部、25は出力装置通信部である。まず、本発明のカラー画像処理装置が適用されるシステムの一例としてカラーDTPシステムを取り上げ、その構成例から説明する。
図1に示すカラーDTPシステムは、全体として、原稿編集装置11、画像処理装置12および画像出力装置13によって構成されている。原稿編集装置11は、電子的な印刷原稿を作成する装置であり、ページ記述言語やラスターイメージデータなどの電子原稿データを画像処理装置12に出力するものである。具体的に、原稿編集装置11としてはパーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータ上で各種DTPアプリケーションにより原稿を編集する場合と、専用のコンピュータにより原稿を編集する場合などがある。
汎用のコンピュータを使用する場合は、各種のDTPソフトウェアを用いて電子原稿を編集する。作成された電子原稿は例えばAdobe社のPostScript(登録商標)プリンタドライバによりページ記述言語であるPostScript(登録商標)に変換され、イーサネット(登録商標)などのネットワークによって画像処理装置12に出力される。DTP用パソコンから画像処理装置12に送出する際のページ記述言語としては、PostScript(登録商標)に限られるものではなく、ページ記述言語であればどのようなものでも良いことは明らかである。
専用のコンピュータを使用する場合はColor Electric Prepress System(以下CEPSと表記する)と呼ばれる専用のワークステーションとアプリケーションにより電子原稿を編集することができる。作成された電子原稿は例えばラスターイメージデータの標準規格であるTIFF/ITフォーマットや印刷用の電子データとして広く普及しているScitexフォーマット等のラスター情報の形式で、イーサネット(登録商標)などのネットワークにより画像処理装置12に出力される。もちろん、CEPSから画像処理装置12に送出するラスター情報としてはTIFF/ITに限られるものではなく、ラスター形式の画像データであればどのような画像フォーマットを用いても良いことは明らかである。
電子原稿での色信号としては、カラーDTPにおいては出力機器として印刷機を想定することが一般的であり、イエロー、マゼンタ、シアンおよび墨の所謂YMCK色信号を用いて、電子原稿の色が指定される。また、近年色域の拡大により画質向上を狙ったHiFiカラー印刷と呼ばれる5色以上のインクを用いた印刷技術が存在する。その場合は通常、YMCK色信号に特色としてレッド、グリーンおよびブルーのうちの1色ないし3色加え、5色ないし7色の色信号を用いて電子原稿を表現する。以下の説明では、電子原稿上の色信号として、HiFiカラー印刷の一種であるヘキサクローム印刷を取り上げ、YMCK色信号にオレンジとグリーンを加えた6色で色再現を行うYMCKOG色信号を用いることとする。もちろん、4色以上の色信号で墨を含んでいればどのような色信号でも良いのは明らかである。
画像処理装置12は、全体として、編集装置通信部21、フォーマット変換部22、ラスタライズ部23、色変換部24および出力装置通信部25を含んで構成されており、原稿編集装置11から入力されたコード情報やラスター情報の電子原稿を、画像出力装置13で出力可能な形式に変換して画像出力装置13に出力する。
原稿編集装置11から送信されるYMCK、YMCKOGおよびYMCKRGB等の色信号で指定された電子原稿は、編集装置通信部21によってLAN等のネットワークを通じて受け取られ、フォーマット変換部22及びラスタライズ部23に転送される。ページ記述言語はラスタライズ部23によって画像出力装置13で出力可能なラスター形式の画像データに変換される。TIFF/ITのようなラスター形式の画像データはフォーマット変換部22において解像度変換およびフォーマット変換処理され、画像出力装置13で出力可能な形式のラスター形式の画像データに変換される。
ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から転送されるYMCKOG色信号は、色変換部24により画像出力装置13の画像記録信号であるイエロー、マゼンタ、シアンおよび墨に特色としてレッド、グリーンおよびブルーのうちの少なくとも1色を追加した5色ないし7色のHiFiカラーの画像記録信号に変換される。以下の説明では、特色の具体例としてレッド、グリーンおよびブルーの3色を想定し、イエロー、マゼンタ、シアンおよび墨とともにレッド、グリーンおよびブルーを用いたY’M’C’K’R’G’B’7色の画像記録信号に変換されるものとする。もちろん、使用する特色はレッド、グリーンおよびブルーに限定されるものではない。
色変換部24で色変換された画像記録信号は出力装置通信部25に転送される。出力装置通信部25では、色変換部24までの処理が施された画像記録信号を蓄積し、適宜画像出力装置13に転送することにより、画像処理装置12と画像出力装置13との処理速度の違いを吸収する。そして、画像出力装置13において、Y’M’C’K’R’G’B’7色のラスター形式の画像記録信号に従って、用紙上に画像が形成される。
画像出力装置13としては、5色以上の色信号で画像を記録するものであればどのような装置でもよい。例えば電子写真方式のカラープリンタ、印刷、インクジェット方式、熱転写方式および銀塩写真方式などのカラー画像出力装置であれば、どのような画像出力装置でもよい。
次に、本発明のカラー画像処理装置あるいは本発明のカラー画像処理方法を実現した構成である色変換部24について説明する。図2は、色変換部の第1の実施の形態を示すブロック図である。図中、31は機器独立色空間変換部、32は階調補正部、33は非墨色判定部、34は特色判定部、35〜38は3色変換部、39は画像記録信号選択部、40は非墨色修正部、41は画像記録信号出力部である。
ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から色変換部24に転送されたYMCKOG色信号は、機器独立色空間変換部31、階調補正部32、非墨色判定部33および特色判定部34に入力される。機器独立色空間変換部31では、入力されたYMCKOG色信号から機器独立の色空間の色信号であるL* a* b* 色信号を決定し、3色変換部35〜38に転送する。
階調補正部32では、ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から入力された墨量K色信号から出力する画像記録信号の墨量K’色信号を決定する。このとき、画像出力装置13において墨量K色信号と同一またはほぼ同一の明度で出力されるように、画像出力装置13における墨量K’色信号を決定する。決定した墨量K’色信号は、3色変換部35〜38と画像記録信号出力部41に転送される。
非墨色判定部33では、入力されたYMCOG色信号が全て零であるか否かを判定し、全て零の場合は判定信号FlagKを非墨色修正部40に転送する。また特色判定部34では、入力されたOG色信号がそれぞれ零であるか否かを判定し、O色信号が零でないときは判定信号FlagOを、G色信号が零でないときは判定信号FlagGを画像記録信号選択部39に転送する。
3色変換部35〜38は、入力されたL* a* b* 色信号およびK’色信号から画像出力装置13における墨以外の3色の色信号を生成するものである。生成する3色の色信号の色の組み合わせは、それぞれの組み合わせにおける色域により画像記録信号で画像出力装置13において表現できる色域全体がカバーされるようにしたものである。ここでは一例として、3色変換部35はY’M’C’の3色信号、3色変換部36はY’R’M’の3色信号、3色変換部37はY’G’C’の3色信号、3色変換部38はM’B’C’の3色信号をそれぞれ生成するものとしている。
3色変換部35は、入力されたL* a* b* 色信号およびK’色信号から画像出力装置13における補色系の3原色の色信号であるY’M’C’色信号を生成する。また、生成したY’M’C’色信号で色再現した場合の再現色と入力されたL* a* b* 色信号との色差ΔE* abを算出して、Y’M’C’色信号と色差ΔE* abを画像記録信号選択部39に転送する。
3色変換部36は、入力されたL* a* b* 色信号およびK’色信号から画像出力装置13における特色信号のうちの1色であるR’色信号と補色系の3原色信号のうちの2色であるY’M’色信号を生成する。また、生成したY’R’M’色信号で色再現した場合の再現色と入力されたL* a* b* 色信号との色差ΔE* abを算出して、Y’R’M’色信号と色差ΔE* abを画像記録信号選択部39に転送する。
3色変換部37は、入力されたL* a* b* 色信号およびK’色信号から画像出力装置13における特色信号のうちの1色であるG’色信号と補色系の3原色信号のうちの2色であるY’C’色信号を生成する。また、生成したY’G’C’色信号で色再現した場合の再現色と入力されたL* a* b* 色信号との色差ΔE* abを算出して、Y’G’C’色信号と色差ΔE* abを画像記録信号選択部39に転送する。
3色変換部38は、入力されたL* a* b* 色信号およびK’色信号から画像出力装置13における特色信号のうちの1色であるB’色信号と補色系の3原色信号のうちの2色であるM’C’色信号を生成する。また、生成したM’B’C’色信号で色再現した場合の再現色と入力されたL* a* b* 色信号との色差ΔE* abを算出して、M’B’C’色信号と色差ΔE* abを画像記録信号選択部39に転送する。
従来のいわゆる分割法においても同様の色変換を行うが、従来はL* a* b* 色信号から墨量K’色信号も生成する。そのため、画像出力装置13における墨量が入力された墨量K信号に一致せず、画質の劣化が発生していた。本発明では上述のように、3色変換部35〜38では墨量K’色信号の生成は行わない。逆に3色変換部35〜38においては、階調補正部32から出力される墨量K’色信号を利用するものであり、従来の色処理とは大きく異なっている。
画像記録信号選択部39では、3色変換部35から入力されたY’M’C’色信号と、3色変換部36から入力されたY’R’M’色信号と、3色変換部37から入力されたY’G’C’色信号と、3色変換部38から入力されたM’B’C’色信号の組み合わせのうち、あらかじめ設定されている特色の使用方法と、特色判定部34から入力される判定信号FlagOおよびFlagGと、3色変換部35、3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38から入力される色差ΔE* abから、色再現に使用する組み合わせを決定し、得られたY’M’C’R’G’B’色信号を非墨色修正部40に転送する。なお、選択した3色変換部35〜38のいずれかから送られてこない色信号については零として転送すればよい。
非墨色修正部40では、非墨色判定部33より判定信号FlagKが入力された場合に画像記録信号選択部39から送られてくるY’M’C’R’G’B’色信号を零に修正し、画像記録信号出力部41に転送する。
画像記録信号出力部41は、非墨色修正部40から入力されるY’M’C’R’G’B’色信号と階調補正部32から入力されるK’色信号を出力装置通信部25に転送する。これにより、色変換部24での色変換処理が完了する。
次に、各部における処理について具体的に説明してゆく。まず、機器独立色空間変換部31としては、色変換回路として広く用いられているマトリックス演算型の色変換回路やダイレクトルックアップテーブル型の色変換回路やニューラルネットワーク型の色変換回路を使用可能である。例えば6入力3出力のニューラルネットワーク型の色変換回路を使用することができる。
機器独立色空間変換部31の色変換パラメータは以下に示す方法で決定することができる。まず、原稿編集装置11から入力されるヘキサクローム印刷の任意のYMCKOG色信号の組み合わせに対する印刷物の色票を出力し、その測色値(L* a* b* )を市販の測色計で測定し、入力するYMCKOG色信号に対応する印刷の測色値(L* a* b* )を求めて、入力データ(YMCKOG)に対する測色値(L* a* b* )の変換特性をモデル化(以後色変換モデルと呼ぶ)する。そのような色変換モデルには高次多項式やニューラルネットワークが用いられる。例えば、ニューラルネットワークにYMCKOGデータとL* a* b* データの組み合わせを学習させ、入力するヘキサクローム印刷の色特性をモデル化すればよい。機器独立色空間変換部31としては、求めたニューラルネットワークをそのまま色変換に使用することができる。
ここで用いるニューラルネットワークとしては、例えば文献「フレキシブルUCRによる高精度色変換〜ニューラルネットワークによる高精度プリンタモデル〜」、村井和昌、Japan Hard Copy ’94論文集、pp.181−184に示されているニューラルネットワークを用い、バックプロバケーション法により学習を行うことができる。この文献における画像記録信号はYMCK4色であるが、ニューラルネットワークにおける1層目の細胞数を4個から6個に増やすことにより、画像記録信号が6色のHiFiカラー用の色変換モデルとして使用することが可能である。もちろん、色変換モデルとしてニューラルネットワークを用いるほか、他の多項式モデルや変換テーブル方式の色変換モデルも適用することが可能である。
ヘキサクローム印刷の色特性のモデル化に使用した画像記録信号YMCKOGの組み合わせとしては、具体例として、各色の網点面積率が25%刻みの5×5×5×5×5×5=15625個の色票の組み合わせを印刷機で出力し、測色すればよい。測色は、例えば測色計としてX−Rite社の測色計であるX−Rite938を使用し、測定条件はD50、2度視野のL* a* b* を測定することにより行うことができる。測定に用いる色票の数は任意の数を使用することが可能であるが、色変換モデルの高精度化のためにできるだけ多い色票数が望ましい。測定に用いた表色系としては、ここでは均等色空間であるL* a* b* 表色系を使用したが、XYZ表色系などの他の表色系でも良い。ただし、ニューラルネットワークを学習する際に色差を評価するため、均等色空間が好ましい。
さらに、機器独立色空間変換部31としては、入力する色信号を6色のYMCKOG色信号からなるヘキサクローム印刷に限定するものではなく、墨を含む4色以上の色信号を入力するように構成しても良いことは明らかである。印刷に用いられる墨を含む4色以上の色信号としては、通常広く用いられる4色のYMCK色信号からなるプロセスカラー印刷や、YMCK4色にレッド、グリーンおよびブルーの少なくとも1色を加えた5〜7色からなるHiFiカラー印刷がある。4色以上の色信号においても、上記と同様な方法により機器独立色空間へ変換することが可能である。例えば7色の色信号が入力される場合には、7入力3出力のニューラルネットワークを機器独立色空間変換部31に適用すればよい。
次に、階調補正部32では、1次元のルックアップテーブルを用いて、入力される印刷の1色のK色信号を画像出力装置13において等価な明度となる1色のK’色信号に変換する。ルックアップテーブルの作成方法は任意であるが、具体例としては、印刷と画像出力装置13について、網点面積率を8ビットに量子化し、それぞれの網点面積率を0から255に変化させたときの明度L* を測定しておき、入力墨量Kの時の明度L* から測色的に同じ明度となる出力墨量K’の値を求めてルックアップテーブルの値に設定すればよい。
本発明では高速および高精度に入出力の墨量の階調を補正するために、階調補正部32に1次元のルックアップテーブルを用いた。しかしこれに限らず、関数式等、1次元の入出力関係を記述できるものであればどのようなものでもよい。また、ルックアップテーブルを用いる場合の量子化分割数も8ビットに限るものではないのは明らかである。さらに、ここでは入出力の墨量の明度を一致させるように階調補正部32の変換特性を設定したが、入出力の墨量の濃度を一致させるように変換特性を設定しても良い。また、入出力の墨量の明度や濃度は一致させるのが望ましいが、完全に一致させなくても、ほぼ同等の明度や濃度となるように変換特性を設定しても良い。
次に、3色変換部35では、画像出力装置13の画像記録信号Y’M’C’K’色信号とそのときの機器独立色空間上での測色値L* a* b* との関係を色変換モデルとしてあらかじめ求めておく。そして、機器独立色空間変換部31から得られるL* a* b* 色信号および階調補正部32から得られるK’色信号から、色変換モデルを数値的に解く。これにより、画像出力装置13の墨量がK’色信号であり、かつ入力されるL* a* b* 色信号に測色的に一致する画像出力装置13における画像記録信号の残りの3色の色信号であるY’M’C’色信号を決定する。さらに、Y’M’C’色信号で色再現した場合の再現色と機器独立色空間変換部31から得られるL* a* b* 色信号との色差ΔE* abを算出する。
まず、画像出力装置13の色変換モデルの作成方法について説明する。画像出力装置13の画像記録信号Y’M’C’K’色信号の任意の組み合わせに対する色票を画像出力装置13にてプリントアウトし、測色計を用いてその時の測色値L* a* b* を測定しておく。具体例として、ここでは、画像記録信号Y’M’C’K’色信号の組み合わせとして各色の網点面積率が20%刻みの6×6×6×6=1296個のパッチの組み合わせを画像出力装置13でプリントアウトし、測色計はX−Rite社の測色計であるX−Rite938を使用し、測定条件はD50、2度視野のL* a* b* を測定した。測定に用いる色票の数は任意の数を使用することが可能であるが、色変換モデルの高精度化のために、できるだけ多い色票数が望ましい。測定に用いた表色系としては、ここでは均等色空間であるL* a* b* 表色系を使用したが、XYZ表色系などの他の表色系でも良い。ただし、色変換モデルを解く際に色差を評価するため、均等色空間が好ましい。
つぎに、得られた複数のY’M’C’K’色信号と測色値L* a* b* のデータセットを教師データとして、ニューラルネットワークに学習させる。ここでY’M’C’K’色信号と測色値L* a* b* との関係を表す色変換モデルは、次の関数で表すことが出来る。
(L* ,a* ,b* )=F(Y’,M’,C’,K’) …(1)
ここで、(1)式をそれぞれの色成分に分解すると以下のようになる。
L* =FL(Y’,M’,C’,K’) …(2)
a* =Fa(Y’,M’,C’,K’) …(3)
b* =Fb(Y’,M’,C’,K’) …(4)
使用するニューラルネットワークとしては、例えば、機器独立色空間変換部31と同じく、文献「フレキシブルUCRによる高精度色変換〜ニューラルネットワークによる高精度プリンタモデル〜」、村井和昌、Japan Hard Copy ’94論文集、pp.181−184に示されているニューラルネットワークを用い、バックプロバケーション法により学習を行えばよい。ここでは、色変換モデルとしてニューラルネットワークを用いたが、他の多項式モデルや変換テーブル方式の色変換モデルも適用することが可能である。
つぎに、色変換モデルの数値解法について説明する。ここで、通常は色変換モデルである(1)式の逆関数は求まらない。しかしL* a* b* を与え、Y’M’C’K’色信号の中の1変数を適切に決めれば、(1)式から残りの3変数を求めることが出来る。例えば、K’色信号を与えるとY’M’C’色信号を決定することが出来る。ここで、再現すべき色をL* a* b* とおき、与える墨量をK’とすると、再現すべき色とY’M’C’色信号と墨量K’の時の色との色差ΔE* abはY’M’C’色信号の関数として次式で定義される。
ΔE* ab(Y’,M’,C’)=((L* −FL(Y’,M’,C’,K’))2 +(a* −Fa(Y’,M’,C’,K’))2 +(b* −Fb(Y’,M’,C’,K’))2 )1/2 …(5)
非線形方程式である(1)式を解くということは、色差ΔE* abが零になるY’M’C’色信号の値を求めることと同じなので、(1)式を解くという問題を、色差ΔE* abを目的関数とすることによって、目的関数ΔE* abを最小化するY’M’C’色信号を求めるという非線形最適化問題に捉えなおすことができる。したがって、シンプレックス法などの非線形最適化手法により(1)式を解くことができる。シンプレックス法については、例えば「非線形計画法」、今野浩著、日科技連出版社、pp.284−287にアルゴリズムが紹介されている。シンプレックス法はこのような多変数関数の最適化に適した手法であり、高速に最適値を求めることが可能である。
ここでは非線形最適化手法として多変数関数を高速に最適化可能なシンプレックス法を適用したが、非線形最適化手法であればどのような方法を適用しても良く、2分法や黄金分割探索法などの他の非線形最適化手法を適用しても良い。また、ニュートン法などの非線形方程式の数値解法を適用して色変換モデルを解いても良い。
このように、3色変換部35において色変換モデルを解くことにより、機器独立色空間変換部31から得られるL* a* b* 色信号と階調補正部32から得られるK’色信号から、画像出力装置13の墨量がK’であるときの、入力されるL* a* b* に測色的に一致する画像出力装置13の3色の色信号であるY’M’C’色信号を決定することができる。なお、決定したY’M’C’色信号での再現色と機器独立色空間変換部31から得られるL* a* b* 色信号との色差ΔE* abは、(5)式より算出することができる。ここで、色差ΔE* abが零の場合は、L* a* b* 色信号はY’M’C’K’色信号の組み合わせで得られる色域内に存在することを表し、色差ΔE* abが零より大きい場合は、Y’M’C’K’色信号の組み合わせで得られる色域外に存在することを表している。
3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38についても、それぞれ墨量K’色信号と特色のうちの1色を含むY’R’M’K’色信号、Y’G’C’K’色信号およびM’B’C’K’色信号とL* a* b* との色変換モデルを3色変換部35の場合と同様に決定し、数値解法を用いて色変換モデルを解くことにより、機器独立色空間変換部31から得られるL* a* b* 色信号と階調補正部32から得られるK’色信号から、測色的に一致する画像出力装置13の特色を含む残りの3色の色信号であるY’R’M’色信号、Y’G’C’色信号およびM’B’C’色信号と色差ΔE* abをそれぞれ決定することができる。
本発明では3色変換部35、3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38から出力される色信号の組み合わせとしては、それぞれY’M’C’色信号、Y’R’M’色信号、Y’G’C’色信号およびM’B’C’色信号を用いているが、それぞれの色信号を組み合わせた分割色域の総和が、画像記録信号によって画像出力装置13が表現できる色域全体をカバーしていれば、どのような組み合わせでも良い。たとえば、特色を含む色信号の組み合わせとして、特色2色にY’M’C’色信号のうちの1色を組み合わせたR’M’B’色信号、B’C’G’色信号およびG’Y’R’色信号などを用いても良い。さらに、3色変換部35を省略して、すべての組み合わせが特色を含むように構成しても良い。
次に、特色判定部34では、入力される特色信号OG2色の色信号がそれぞれ零になっているが否かを判定し、O色信号が零でないときは判定信号FlagOを、G色信号が零でないときは判定信号FlagGを画像記録信号選択部39に転送する。
画像記録信号選択部39では、3色変換部35、3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38で得られるY’M’C’色信号、Y’R’M’色信号、Y’G’C’色信号およびM’B’C’色信号について、画像出力装置13で色再現に用いる色信号を、特色の使用方法と特色判定部34から得られる判定信号FlagOおよびFlagGと、3色変換部35、3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38で得られる色差ΔE* abに基づいて選択する。
画像記録信号選択部39における色信号の選択は、特色の使用方法に基づいて、以下のステップで実行される。ここで、特色の使用方法としては、特色をできるだけ使用する色再現(以後最大特色と呼ぶ)と特色をなるべく使用しない色再現(以後最小特色と呼ぶ)が考えられ、ユーザ等、外部から指定される。最大特色を指定した場合は、色再現にできるだけ特色を使用するため、画像出力装置13で使用するインクやトナーなどの色材量を削減することが可能であり、画像の出力を低コストに実現することができる。また、最小特色を指定した場合は、インクやトナーなどの色材量が多くなってしまうものの、グレー軸近傍を墨や特色を使わないで色再現することが可能であり、自然画の粒状性が向上する。このように、特色の使用方法を選択することにより、コストや粒状性などの画質を制御することが可能となる。
まず、特色の使用方法として最大特色が指定された場合における画像記録信号選択部39の動作について説明する。図3は、色変換部の第1の実施の形態における画像記録信号選択部の最大特色指定時の動作の一例を示すフローチャートである。S61において、特色判定部34からFlagOまたはFlagGのどちらか一方が入力されているか否かを判定する。いずれか一方が入力されている場合は、S62において、対応する特色を含む3色信号における色差ΔE* abを評価する。色差ΔE* abが零の場合は、S63において、FlagO、FlagGに応じた3色変換部から出力される3色信号を選択する。また、色差ΔE* abが零よりも大きい場合は、S66に進む。
例えば、FlagOのみが入力され、3色変換部36の出力である色差ΔE* abが零である場合は、3色変換部36の出力であるY’R’M’色信号を選択する。また、FlagGのみが入力され、3色変換部37の出力である色差ΔE* abが零である場合は、3色変換部37の出力であるY’G’C’色信号を選択する。
また、FlagOおよびFlagGが両方とも入力されない場合は、S64において、3色変換部35の出力である色差ΔE* abを評価し、色差ΔE* abが零の場合はS65において3色変換部35から出力される3色信号であるY’M’C’色信号を選択する。3色変換部35の出力である色差ΔE* abが零よりも大きい場合は、S66に進む。
なお、FlagOおよびFlagGの両方が入力された場合は、S66に進む。
S66において、3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38から入力される色差ΔE* abを比較し、色差ΔE* abが零となる3色信号が存在するかいなかを判定し、存在する場合は、S67において、色差ΔE* abが零となる3色信号を選択する。色差ΔE* abが零となる3色信号が存在しない場合は、S68に進む。
S68において、3色変換部35から入力される色差ΔE* abを評価する。色差ΔE* abが零であれば、S69において、3色変換部35から出力される3色信号であるY’M’C’色信号を選択する。色差ΔE* abが零でない場合はS70に進む。
S70において、3色変換部35、3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38から入力される色差ΔE* abが一番小さくなる3色信号を選択する。これにより、画像記録信号選択部39の動作が完了する。
このように、S61〜S65において特色判定部34の判定信号に基づいて、対応する特色を含む色信号を選択することにより、電子原稿中に特色を使用している場合について、対応する特色を用いた色再現を行うことが可能となる。また、特色が使われていない場合は、特色を用いない色再現が可能となる。さらに、以後のステップにおいて、特色を使用する色信号の組み合わせを優先して選択することにより、特色をなるべく使用した最大特色での色再現が可能となる。
次に、特色の使用方法として最小特色が指定された場合の画像記録信号選択部39の動作について説明する。図4は、色変換部の第1の実施の形態における画像記録信号選択部の最小特色指定時の動作の一例を示すフローチャートである。S71において、特色判定部34からFlagOまたはFlagGのどちらか一方が入力されているか否かを判定する。いずれか一方が入力されている場合は、S72において、対応する特色を含む3色信号における色差ΔE* abを評価する。色差ΔE* abが零の場合は、S73において、FlagO、FlagGに応じた3色変換部から出力される3色信号を選択する。また、色差ΔE* abが零よりも大きい場合は、S76に進む。
例えば、FlagOのみが入力され、3色変換部36の出力である色差ΔE* abが零である場合は、3色変換部36の出力であるY’R’M’色信号を選択する。また、FlagGのみが入力され、3色変換部37の出力である色差ΔE* abが零である場合は、3色変換部37の出力であるY’G’C’色信号を選択する。
また、FlagOおよびFlagGが両方とも入力されない場合は、S74において、3色変換部35の出力である色差ΔE* abを評価し、色差ΔE* abが零の場合はS75において3色変換部35から出力される3色信号であるY’M’C’色信号を選択する。3色変換部35の出力である色差ΔE* abが零よりも大きい場合は、S76に進む。
なお、FlagOおよびFlagGの両方が入力された場合は、S76に進む。
S76において、3色変換部35から入力される色差ΔE* abを評価する。色差ΔE* abが零であれば、S77において、3色変換部35から出力される3色信号であるY’M’C’色信号を選択する。色差ΔE* abが零でない場合はS78に進む。
S78において、3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38から入力される色差ΔE* abを比較し、色差ΔE* abが零となる3色信号が存在するかいなかを判定し、存在する場合は、S79において、色差ΔE* abが零となる3色信号を選択する。色差ΔE* abが零となる3色信号が存在しない場合は、S80に進む。
S80において、3色変換部35、3色変換部36、3色変換部37および3色変換部38から入力される色差ΔE* abが一番小さくなる3色信号を選択する。これにより、画像記録信号選択部39の動作が完了する。
このように、S71〜S75において特色判定部34の判定信号に基づいて、対応する特色を含む色信号を選択することにより、電子原稿中に特色を使用している場合について、対応する特色を用いた色再現を行うことが可能となる。また、特色が使われていない場合は、特色を用いない色再現が可能となる。さらに、以後のステップにおいて、特色を用いないY’M’C’色信号を優先して選択することにより、特色をなるべく使用しない最小特色での色再現が可能となる。
この例では、特色判定部34で判定した入力色信号における特色の使用状態に基づいて、画像記録信号選択部39において対応する色信号の組み合わせを選択するように構成したが、特色判定部34を設けず、上記の画像記録信号選択部39の動作ステップからS61〜S65及びS71〜S75の処理を省略しても良い。
次に、非墨色判定部33では入力される墨を除いたYMCOG5色の色信号が同時に零になっているが否かを判定し、判定フラグFlagKを非墨色修正部40に転送する。
非墨色修正部40では、画像記録信号選択部39で得られたY’M’C’R’G’B’色信号を、非墨色判定部33から判定フラグFlagKを受信した場合にすべて零に修正する。これにより、電子原稿中において墨1色で表現されている黒文字や黒細線を墨1色で表現することができ、黒文字や黒細線の再現性を大幅に向上させることが可能になる。一方、入出力で墨1色になっている部分では、印刷と画像出力装置13との色材の違いや画像構造の違いから、明度を一致させてもY’M’C’R’G’B’色信号を零に修正することにより若干の色差が生じてしまうが、視覚上問題にならないレベルである。
この例では、非墨色修正部40において画像記録信号選択部39で得られたY’M’C’R’G’B’色信号を非墨色判定部33から判定フラグFlagKを受信した場合にすべて零に修正するように構成したが、より入出力での色一致精度を重視する場合は、Y’M’C’R’G’B’色信号の修正処理を行わないように構成しても良い。ただし、黒文字や黒細線の墨1色再現を確実に保証するためには、本発明のように非墨色修正部40におけるY’M’C’R’G’B’色信号の修正処理を行うように構成したほうが望ましい。
最後に画像記録信号出力部41は、画像出力装置13に入力する画像記録信号であるY’M’C’K’R’G’B’色信号を出力装置通信部25に転送することにより、色変換部24での色変換処理が完了する。
図5は、本発明と従来技術との色変換特性の比較結果の説明図である。本発明の有効性を確認するために、本発明の場合において色変換部24を上述のように構成した場合と、特許文献1(米国特許第4812899号明細書)に代表されるKueppers TechniqueをICCに準拠した色変換処理に適用した場合と、特許文献3(特開平2001−136401号公報)に代表される分割法をICCに準拠した色変換処理に適用した場合における入出力における墨量の一致と墨1色再現を評価した。その結果を図5に示している。
本発明以外の色変換部24の構成については、ヘキサクローム印刷のYMCKOG色信号から機器独立のL* a* b* 色信号への変換はICCに準拠した公知の6入力3出力のDLUTにより色変換を行い、Kueppers Techniqueの場合は、公知の3入力3出力DLUTによりL* a* b* 色信号からRGB色信号への変換を行い、RGB色信号からY’M’C’K’R’G’B’色信号への変換は特許文献1の実施例をそのまま適用した。なお、特許文献1においては、UCR率は定義されていないが、アクロマチック成分およびクロマチック成分に関するUCR関数は定率の100%に相当すると考えられる。分割法の場合は、L* a* b* 色信号からY’M’C’K’R’G’B’色信号への変換は、特許文献1と近い墨と特色の使用方法とするために、特許文献3の実施例におけるmax Black(墨量が最大となる条件を表す)およびmax HFC(最大特色に相当する)の条件をそのまま適用した。本発明においても、特許文献1と近い特色の使用方法とするために、画像記録信号選択部39で設定する特色の使用方法として、最大特色を設定した。
入力する色信号としては、電子原稿における黒文字や黒細線の例として、入力色信号が墨単色の場合(Kが100%でYMCOGが0%)の色変換結果を図5(A)に示し、電子原稿における自然画の高明度部から中明度部の例として、入力色信号に墨がない場合(YMCが50%でKOGが0%)の色変換結果を図5(B)に示している。
図5(A)からわかるように、本発明では入力色信号が墨単色の場合には、墨K信号を保存する墨K’信号を得るとともに、非墨色判定部33で墨単色であることを検出して非墨色修正部40で墨K’信号以外を零に補正するため、入力画像と等しい墨量が得られ、墨単色での再現が可能である。これに対し、従来技術である分割法では、入力画像とほぼ等しい墨量が得られるものの、墨の単色再現が不可能であることがわかる。また、Kueppers Techniqueでは、ほぼ本発明に近い色変換結果が得られるが、ブルーの信号が若干のっており、完全に墨単色での再現を実現していないことがわかる。このように、従来技術では入力色信号が墨単色の場合に、墨単色での再現が不可能であるため、黒文字や黒細線の画質が悪化することがわかる。
さらに、図5(B)からわかるように、本発明は入力色信号に墨がない場合には、この墨がない状態が階調補正部32で保存されるため、入力画像と等しい墨量が得られ、墨入れされない。これに対し、従来技術であるKueppers Techniqueおよび分割法では、入力画像とまったく違った墨量となってしまい、墨入れされてしまうことがわかる。このように、従来技術では入力色信号に墨がない場合に、編集者の意図とは異なった墨入れがなされてしまうことがわかる。そのため、自然画の粒状性が悪化するなどの不具合が発生する。
加えて、図5(A)および(B)からわかるように、本発明は入力色信号に特色を含んでいない場合に、出力に特色を含まない色再現が可能である。これに対し、従来技術である分割法およびKueppers Techniqueでは、出力に特色(図5(B)に示す例ではR信号)がのってしまうことがわかる。これは、本発明では特色判定部34の判定信号に基づいて、画像記録信号選択部39で使用する3色信号を選択しているからである。
このように、原稿編集装置11で指定されたYMCKOG6色の色信号から表色系色座標上の機器独立の色空間であるL* a* b* 色信号を求め、入力する墨信号Kと同等の明度で画像出力装置13において再現される墨信号K’を決定し、L* a* b* 色信号と墨信号K’から画像出力装置13における補色系の3原色であるY’M’C’色信号と、特色を含むY’R’M’色信号、Y’G’C’色信号およびM’B’C’色信号への変換とそのときの色差ΔE* abを算出し、入力色信号に特色が含まれているか否かと特色の使用方法および色差ΔE* abに基づいて、画像出力装置13で出力する色信号の組み合わせを決定し、墨以外の入力色信号が全て零の場合にY’M’C’R’G’B’色信号を全て零に修正する。これによって、測色的色再現を保証して、高精度な色変換を実現するだけでなく、入力である印刷の墨量と出力であるカラープリンタの墨量を一致させることが可能となった。さらに、電子原稿上において墨1色で指定された部分は墨1色で出力することが可能になった。また、入力色信号に特色が使われている場合は対応する特色を用いた色再現が可能であり、入力色信号に特色が使われていない場合は特色を用いない色再現が可能となった。
図6は、色変換部の第2の実施の形態を示すブロック図である。図中、51はDLUT色変換部である。この色変換部24の第2の実施の形態では、色変換部24を6入力7出力のDLUT色変換部51にて構成した例を示している。
DLUT色変換部51は、YMCKOG色信号を入力とし、そのYMCKOG色信号に対応するY’M’C’K’R’G’B’色信号を出力する6次元のダイレクトルックアップテーブル(DLUT)で構成されている。例えば、入力のYMCKOG色信号の各軸を8分割した値を入力アドレスとし、6次元の立方体補間により補間演算を行って、画像出力装置13の画像記録信号であるY’M’C’K’R’G’B’色信号を算出する6次元のDLUTとすることができる。もちろん、補間方式としては立方体補間方式に限らず、公知の補間方式であれば三角柱補間や四面体補間などの他の方式を適用しても良い。また、入力の各軸の分割数も8分割に限るものではないことは明らかである。
ここでは色変換部24を6次元のダイレクトルックアップテーブルにて構成したが、6入力7出力の色変換が行えればこれに限られわけではなく、ニューラルネットワークなどの公知の他の色変換方式を適用しても良い。さらに、色変換部24に入力する色信号は、ヘキサクローム印刷のYMCKOG色信号に限定されるものではなく、プロセスカラー印刷のYMCK色信号やHiFiカラー印刷のYMCKRGB色信号など、墨を含んだ4色以上の色信号であれば良いことは明らかである。DLUT色変換部51の次元数は入力される色信号の数と一致するため、例えば入力色信号がプロセスカラー印刷のYMCK色信号の場合は、4次元のDLUTが必要であり、入力色信号がHiFiカラー印刷のYMCKRGB色信号の場合では、7次元のDLUTが必要であることは明らかである。
図7は、色変換部24の第2の実施の形態におけるDLUT色変換部51の色変換パラメータの決定処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、上述の色変換部24の第1の実施の形態における各部で行う処理とほぼ同様である。
まず、S81においてヘキサクローム印刷のYMCKOG色信号および画像出力装置13の画像記録信号Y’M’C’K’、Y’R’M’K’、Y’G’C’K’およびM’B’C’K’の任意の組み合わせに対する色票をヘキサクローム印刷および画像出力装置13にてプリントアウトし、測色計を用いてその時の測色値L* a* b* を測定する。ヘキサクローム印刷のYMCKOG色信号および画像出力装置13の画像記録信号Y’M’C’K’、Y’R’M’K’、Y’G’C’K’およびM’B’C’K’の組み合わせおよび測色条件は、上述の第1の実施の形態と同様でよい。
S82において、S81で得られた複数のYMCKOG、Y’M’C’K’、Y’R’M’K’、Y’G’C’K’およびM’B’C’K’とL* a* b* のデータセットを教師データとして、色変換モデルであるニューラルネットワーク1、ニューラルネットワーク2、ニューラルネットワーク3、ニューラルネットワーク4およびニューラルネットワーク5にそれぞれ学習させる。ニューラルネットワークは、上述の第1の実施で用いたものと同様のものでよい。
S83において、DLUT色変換部51の入力アドレス値YMCKOGに対する測色値L* a* b* をニューラルネットワーク1により決定する。
S84において、DLUT色変換部51の入力アドレス値Kと等価な明度で画像出力装置13において色再現される墨量K’を1次元のルックアップテーブルにより決定する。1次元のルックアップテーブルの決定方法についても、上述の第1の実施の形態と同様でよい。
S85において、S83で求めた測色値L* a* b* とS85で求めた墨量K’をニューラルネットワーク2、ニューラルネットワーク3、ニューラルネットワーク4およびニューラルネットワーク5に入力して数値解法で解くことにより、測色的に一致するY’M’C’色信号、Y’R’M’色信号、Y’G’C’色信号およびM’B’C’色信号と、そのときの色差ΔE* abを求める。Y’M’C’色信号、Y’R’M’色信号、Y’G’C’色信号およびM’B’C’色信号とそのときの色差ΔE* abの決定には、第1の実施の形態と同様な方法を用いて決定することができる。
S86において、S85で求めたY’M’C’色信号、Y’R’M’色信号、Y’G’C’色信号およびM’B’C’色信号とそのときの色差ΔE* abから、DLUT色変換部51の入力アドレス値OGがそれぞれ零であるか否かと特色の使用方法に基づいて、画像出力装置13で出力する3色信号を決定する。この3色信号の決定方法についても、上述の第1の実施の形態と同様な方法でよい。
S87において、DLUT色変換部51の入力アドレス値YMCOGが全て零の場合に、S86で求めたY’M’C’R’G’B’色信号を全て零に修正する。
最後にS88において、得られたY’M’C’K’R’G’B’をDLUT色変換部51の格子点に設定することにより、DLUT色変換部51の色変換パラメータを決定することができる。
このようにしてDLUT色変換部51の色変換パラメータをあらかじめ決定しておく。なお、DLUT色変換部51に設定されるのは、例えば入力のYMCKOG色信号の各軸を8分割した格子点におけるY’M’C’K’R’G’B’の値である。実際に入力されるYMCKOG色信号は格子点に限らず、任意のYMCKOG色信号が入力される。従って、色変換処理を行う際には、入力されたYMCKOG色信号に基づいて1ないし複数の格子点のアドレスを生成してY’M’C’K’R’G’B’の値を読み出し、補間処理を行うことによって、入力されたYMCKOG色信号に対応するY’M’C’K’R’G’B’色信号を得ることになる。
このように第2の実施の形態では、上述の第1の実施の形態で示した構成のように色変換部24で色変換処理を行う際に演算量の多い処理を行わずに、あらかじめ作成しておいたダイレクトルックアップテーブルで直接色変換するので、非常に高速に色変換を実現することが可能になる。また、ハードウェアで構成した場合、演算量が少ないため簡易な構成とすることができる。
図8は、本発明のカラー画像処理装置の機能またはカラー画像処理方法をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体の一例の説明図である。図中、101はプログラム、102はコンピュータ、111は光磁気ディスク、112は光ディスク、113は磁気ディスク、114はメモリ、121は光磁気ディスク装置、122は光ディスク装置、123は磁気ディスク装置である。
上述の各実施の形態で説明した色変換部24の機能、あるいはさらに図1に示した色変換部24以外の画像処理装置12の構成の一部または全部を、コンピュータにより実行可能なプログラム101によって実現することが可能である。その場合、そのプログラム101およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶することも可能である。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。例えば、光磁気ディスク111,光ディスク112(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク113,メモリ114(ICカード、メモリカードなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
これらの記憶媒体にプログラム101を格納しておき、例えばコンピュータ102の光磁気ディスク装置121,光ディスク装置122,磁気ディスク装置123,あるいは図示しないメモリスロットにこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム101を読み出し、本発明の画像処理装置の機能または画像処理方法を実行することができる。あるいは、あらかじめ記憶媒体をコンピュータ102に装着しておき、例えばネットワークなどを介してプログラム101をコンピュータ102に転送し、記憶媒体にプログラム101を格納して実行させてもよい。
もちろん、一部の機能についてハードウェアによって構成することもできるし、あるいは、すべてをハードウェアで構成してもよい。あるいは、原稿編集装置11の構成も含めたプログラムとして構成したり、あるいは画像出力装置13における制御プログラムとともに1つのプログラムとして構成することもできる。もちろん、他の用途に適用する場合には、その用途におけるプログラムとの一体化も可能である。
11…原稿編集装置、12…画像処理装置、13…画像出力装置、21…編集装置通信部、22…フォーマット変換部、23…ラスタライズ部、24…色変換部、25…出力装置通信部、31…機器独立色空間変換部、32…階調補正部、33…非墨色判定部、34…特色判定部、35…3色変換部1、36…3色変換部2、37…3色変換部3、38…3色変換部4、39…画像記録信号選択部、40…非墨色修正部、41…画像記録信号出力部、51…DLUT色変換部、101…プログラム、102…コンピュータ、111…光磁気ディスク、112…光ディスク、113…磁気ディスク、114…メモリ、121…光磁気ディスク装置、122…光ディスク装置、123…磁気ディスク装置。