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JP4225416B2 - タンパク質製剤の安定性を改善する方法 - Google Patents

タンパク質製剤の安定性を改善する方法 Download PDF

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JP4225416B2
JP4225416B2 JP2003508378A JP2003508378A JP4225416B2 JP 4225416 B2 JP4225416 B2 JP 4225416B2 JP 2003508378 A JP2003508378 A JP 2003508378A JP 2003508378 A JP2003508378 A JP 2003508378A JP 4225416 B2 JP4225416 B2 JP 4225416B2
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    • B65D1/00Containers having bodies formed in one piece, e.g. by casting metallic material, by moulding plastics, by blowing vitreous material, by throwing ceramic material, by moulding pulped fibrous material, by deep-drawing operations performed on sheet material
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    • B65D1/0207Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents characterised by material, e.g. composition, physical features
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    • A61JCONTAINERS SPECIALLY ADAPTED FOR MEDICAL OR PHARMACEUTICAL PURPOSES; DEVICES OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR BRINGING PHARMACEUTICAL PRODUCTS INTO PARTICULAR PHYSICAL OR ADMINISTERING FORMS; DEVICES FOR ADMINISTERING FOOD OR MEDICINES ORALLY; BABY COMFORTERS; DEVICES FOR RECEIVING SPITTLE
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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器に充填されたタンパク質製剤の安定性の改善に関するものである。より詳細には、樹脂製容器に充填されたタンパク質製剤の光安定性を改善する方法、およびそのような方法により光安定化されたタンパク質製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にタンパク質製剤は長期の保存において、熱や光等の影響を受け、タンパク質の凝集、変性、分解に伴う含量の低下などの劣化が起こるという問題点がある。これを防ぐ為に、製剤に添加剤を加えたり、凍結乾燥をして水分を除いた粉末製剤にしたりして、一般の製剤と同様に、ガラスや樹脂製の容器に入れて保管、流通、使用されている。
容器としてのガラスは、気密性に優れているが、重量があり輸送に不便である上、製造中、輸送中及び使用時に破損する可能性がある。一方、樹脂製の容器はこのようなガラス容器の欠点を補うものであるが、ガラス製容器に充填した場合に較べて、安定性が悪くなる場合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、樹脂製容器中で、安定性、特に、光安定性のより改善されたタンパク質製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、この課題を解決する為に鋭意研究した結果、樹脂製容器に充填した場合の光安定性を低下させる原因が、酸素と光との相乗作用によることを発見し、タンパク質製剤と少なくとも酸素または光のいずれかの接触を防ぐことによって、ガラス製容器に充填した場合と同じ安定性を確保することが可能であることを見出し本発明に至った。
【0005】
すなわち、例えば、充填する薬剤がカルシトニン類である場合は、ガラス製容器に充填された製剤について、熱安定性、光安定性および振とうに対する安定性を確保するために、種々の研究がなされている。しかし、樹脂製容器中でのカルシトニン類の安定性を改善する研究は行われていなかった。
【0006】
本発明者らは、カルシトニン類を有効成分とする組成物が樹脂製容器に充填された製剤を、より安定化し、保存に適したものとするべく鋭意検討を行なった結果、樹脂製容器に充填したカルシトニン類は、ガラス容器に充填したカルシトニン類に比し、光に対する安定性が低いことを発見した。ガラスと樹脂は、光透過性においては大きな差がないことから、それぞれの素材の容器に充填したカルシトニン類の安定性の違いを鋭意検討した結果、光に対する安定性の違いは、ガラスと樹脂の酸素透過性の違いに起因するのではないかと推測した。その結果、樹脂を素材とした容器にカルシトニン類を充填した場合であっても、酸素との接触を減じることによって、意外にも製剤の光に対する安定性を改善できることを見出した。
【0007】
また、本発明者らは、カルシトニン類を充填する容器、及び充填された容器を覆うフィルムを検討した結果、遮光することによりカルシトニン類をより安定化できることを見出した。
このような検討の結果、本発明はなされたものであって、タンパク質製剤を遮光および/または酸素との接触を減じることによって、タンパク質製剤の光安定性を改善できるという本発明に至ったものである。
【発明の効果】
【0008】
少なくとも波長332nm〜403nmの光を遮断する及び/またはタンパク質製剤と酸素との接触を減ずることにより樹脂製容器に充填されたタンパク質製剤の光に対する安定性を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明においてタンパク質製剤とは、タンパク質を有効成分として含有する製剤であればいずれでもよく、タンパク質のみからなる製剤だけではなく、タンパク質を含む組成物も含有する製剤を含む。
【0010】
本発明のタンパク質製剤において、充填保存する薬剤は、タンパク質であれば特に限定されない。タンパク質、ペプタイド類、例えばインシュリン、セクレチン、オキシトシン、成長ホルモン、アンギオテンシン、ブラディキニン、β−エンドルフィン、サブスタンスP、グルカゴン、ダイノルフィン、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、エンケファリン、ニューロテンシン、インターフェロン、インターロイキン、G-CSF、グルタチオンパーオキシダーゼ、スーパーオキシドヂィスムターゼ(SOD)、可溶性トロンボモジュリン、カルシトニン類、エルカトニン、PTH(パラサイロイドホルモン)、エリスロポエチン等、およびそれらの活性を保持しつつ1種または2種以上のアミノ酸を置換した類似体や、それらの誘導体または塩類が挙げられる。
【0011】
充填されるカルシトニン類などのタンパク質は、水溶液状等が考えられるが、これらに限定されない。
薬剤がカルシトニン類を有効成分とする水溶液の場合は、有効量のカルシトニン類を含有すれば特に限定されないが、例えば、適当なpHが確保された水溶液であることが好ましい。適当なpHを確保するための溶媒として、公知の緩衝液、例えば、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液が使用でき、カルシトニン類がエルカトニンの場合、pHは5〜7が好ましく、pH5〜6がさらに好ましい。これらの濃度は例えば0.05ミリモル以上が好ましく、さらに好ましくは0.1ミリモル以上の濃度が例示される。濃度の上限は特に限定されないが、通常20ミリモル濃度以下、好ましくは1ミリモル濃度以下が挙げられる。具体的には、酢酸、乳酸、L-ヒスチジンなどのモノカルボン酸類及び/又はその水可溶性塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物を含み、その濃度を0.05〜20ミリモル濃度、pHを5.0〜6.5、イオン強度をμ=0.01〜0.5に調整した溶媒(特開平2-174726);コハク酸、酒石酸等やクエン酸などの多価カルボン類及び/又はその水可溶性塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物を含み、その濃度を0.05〜20ミリモル濃度、pHを5.0〜6.5、イオン強度をμ=0.01〜0.5に調整した溶媒があげられる。またpHの調整には水酸化ナトリウム、塩酸等を用いることができる。その他に、必要に応じて添加剤を加えることができ、ゼラチンを0.01から20w/v%含有させることや、等張化剤、塩酸プロカイン、塩酸キシロカイン、ベンジルアルコール、フェノール等の無痛化剤、安定化剤、吸収促進剤、防腐剤、ポリソルベート、ポリオキシエチレン、グリセリン、マクロゴール等の界面活性剤を加えることができる。またカルシトニン類の濃度としては例えば10単位〜80単位/mLのものを用いることができる。
【0012】
本発明において、タンパク質を充填する樹脂製容器は、シリンジ、バイアル、アンプル、ソフトバッグ等のいずれでも良い。
容器の材質としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンとα−オレフィンの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、6フッ化樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネイトなどのプラスチック類、の中から選択することができるが、これらに限定されない。
タンパク質を充填した容器は、必要に応じ、さらに、ピロー袋、ブリスターパック、ラップ、箱等の包装体により、包装される。
【0013】
本発明は、樹脂製容器に充填されたタンパク質製剤が光に対する安定性を欠くことを発見し、タンパク質製剤を遮光することおよび/または酸素との接触を減ずることにより、樹脂製容器中でのタンパク質製剤を安定化する方法を提供するものである。
遮光する手段は、どのような手段でも構わないが、例えば、タンパク質を充填する容器(アンプル、バイアル、シリンジ、ソフトバッグ等)、あるいはタンパク質を充填した容器を外から包む包装体(ピロー袋、ブリスターパック、ラップ、箱等)を遮光効果を有する材質にすることがあげられる。
遮光効果を有する材質であればいかなる材質でも良いが、金属類、例えばアルミニウムを材質に含むもの、着色により遮光効果を持たせたもの、または厚みをもたせることにより遮光効果をもたせたもの、あるいはこれらの組み合わせ等があげられる。
【0014】
さらに、本発明者らは、タンパク質製剤を遮光する際、少なくとも波長332nm〜403nmの光の透過率を70%以下、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下に遮断すれば、より安定化効果が得られることを見出した。
図1には、樹脂製容器を覆う包装材の波長に対する吸光度を示した。横軸が波長、縦軸が透過率である。透過率は、全て島津製作所の分光光度計UV−2500PCを用いて測定した。図1には、(1)から(5)の5種類の包装材について、光の波長に対する透過率がそれぞれ示されている。(1)から(5)のすべての包装材で、包装しないときに比べ、光安定性が得られた。その安定化効果は、(1)<(2)<(5)<(4)(3)の順番であった。(1)では、332nmでの透過率が約52%、403nmでの透過率が約70%、(2)では、332nmでの透過率が約5%、403nmでの透過率が約65%である。このことから、本発明の製剤が所望の光安定性を得るためには、332nm〜403nmの光の透過率が70%以下であることが必要であることが分かった。
【0015】
少なくとも波長332nm〜403nmの光を70%以下に遮断する材質としては、具体的には、アルミニウムを材質に含むもの(アルミニウム蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、アルミホイル等)、赤色着色したPVCフィルム(厚さ500μm、光の波長590nm以下を遮断。住友ベークライト;UV3赤1−391)、橙色に着色したPVCフィルム(厚さ250μm、光の波長545nm以下を遮断。住友ベークライト;VSS−1202着色)、セロファンフィルムに赤色着色材を塗布したものにPE40μmフィルムを張り合わせた遮光フィルムピロー袋(光の波長570nm以下を遮断、細川洋行(株))、PETフィルムとPETフィルムの間に朱色着色剤を塗布しさらにナイロン、ポリエチレンフィルムを貼り合せた着色ピロー袋(光の波長545nm以下を遮断、岡田紙業(株))等があげられる。このような材質で、カルシトニン類を充填する容器あるいは包装体を製造する等により、遮光を行なうことができる。アルミニウムは光を全波長にわたり遮断する効果がある。内容物を外から確認できる点においては、着色フィルムがより望ましい。
なお、これらの波長は、島津製作所の分光光度計UV−2500PCを使用し測定した値である。
【0016】
これらのフィルムにより包装する方法としては、熱により封止する方法、圧力により封止する方法、接着剤により封止する方法等あるが、これらに限定されない。
本発明者らは、樹脂製容器中のタンパク質製剤の光安定性を増すためには、前記したように、原因となる光を直接的に遮断すること以外に、光を遮断しなくても、酸素との接触を減ずることにより、光安定性が改善されることを見出したものである。
【0017】
アンプル製剤は、注射等への薬液の移し替えの際に、アンプルカット時に発生する微細なガラス片の混入や細菌汚染の可能性が指摘され、さらに、注射筒への薬液の移し替えの煩雑さや投薬過誤の可能性がある等から、プレフィルドシリンジが開発されている。プレフィルドシリンジのシリンジ素材としては、軽量であること、破損しにくいこと等から、樹脂製が好ましい。しかし、樹脂は、光の遮断性において、およそ260nm以下の光の波長を遮断する点において、ガラスと同等の光遮断性を有する。しかしながら、タンパク質がカルシトニン類である場合、樹脂製製剤は、ガラス製製剤に比し、光に対する安定性が劣ることを本発明者らは発見した。そこで、樹脂製プレフィルドシリンジの、光に対する安定性を改善する方法を鋭意検討した結果、我々は意外にも、酸素との接触を減少することにより、光に対する安定性を改善できることを見出したのである。
【0018】
光を遮断しなくても、酸素との接触を減少することにより、光安定性が得られる理由は、光分解のメカニズムが、酸素への光照射により酸素が活性化しタンパク質の分解が継続的に進むことにあり、それが抑えられるということが、可能性の一つとして推測される。
通常、タンパク質は、アンプル、バイアル、シリンジ、ソフトバッグ等の容器に充填された形で出荷される。タンパク質を充填した容器は、必要に応じ、さらに、ピロー袋、ブリスターパック、ラップ(フィルム張りつけ等)、箱等の包装体により、包装される。
タンパク質と酸素の接触を減少する方法としては、これらの、タンパク質を充填した容器および/または容器を包装する包装体の材質を酸素透過量が少ない材質にする方法があげられる。
【0019】
包装体の材質は、酸素透過量が十分少なければいかなる材質でも良いが、例えばアルミニウム(以下Alと記す)、アルミニウム合金、ステンレススチール、銅、金、白金、銀、鉛、チタニウムなどの金属類及びガラス、ポリ塩化ビニル(以下PVCと記す)、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと記す)、ポリテトラフルオロエチレン、6フッ化樹脂等のプラスチック類、またはこれらにシリカ蒸着したもの、または金属類とプラスチック類の複合素材等がある。
好ましくは、PETフィルムにシリカ蒸着したものとポリエチレン(以下PEと記す)フィルムを張り合わせた材質、あるいはPET、PE、アルミ箔を張り合わせた複合素材があげられる。これらの形態はピロー袋、ブリスターパック、ラップ等があるがこれらに限定されない。
より具体的にはPET12μm、PE15μm、Al9μm、 PE40μmのピロー袋(カナエ)や、PET12μmにシリカ蒸着したフィルムの2枚重ねとリニアローデンシティーポリエチレン(以下LLDPEと記す)60μm フィルムを張り合わせた透明ピロー袋、及びそのフィルムにUVカット処理を施した透明ピロー袋(岡田紙業)等があげられる。
【0020】
特にタンパク質がカルシトニン類である場合は、酸素透過量は、0.1cc/m2・24h・atm 以下が好ましい。なお、酸素透過量はJIS K7126A法により測定した。
【0021】
また、酸素との接触を減少する方法として、包装材料をこのような酸素透過量の少ない材料とする以外に、タンパク質を充填する容器自体を酸素透過量の少ない材料とすることも本発明に含む。容器自体の材質を適宣選択するか、又は前述のフィルム等を容器外面に適宣の方法にて接合させる方法が挙げられる。
【0022】
さらに、酸素との接触を減ずる方法としてタンパク質製剤容器内、及び/または包装体内を不活性ガスで置換する方法があげられる。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン等があげられる。さらに好ましくは、容器内を不活性ガスで置換後は、酸素の再混入を防ぐため、酸素透過性の低い前述のようなフィルムを包装体として使用することが好ましい。
【0023】
また、包装体内を不活性化ガスで置換するかわりに、酸素を除去するため、包装体内気体を除去し、真空パックすることも、本発明に含まれる。
【0024】
さらに、タンパク質と酸素の接触を減ずる方法として、包装体内に脱酸素剤を入れる方法が例示される。包装体内に入れる脱酸素剤は酸素を吸収する作用を有するものであれば特に限定されないが、たとえば鉄と天然ゼオライトの混合物(エージレス(登録商標)「三菱ガス化学(株)」)や、アスコルビン酸等があげられる。
【0025】
また、タンパク質が水溶液状である場合は、シリンジ、アンプル、バイアル、ソフトバッグ等のタンパク質を充填する容器内を、あらかじめ、光安定性に影響を及ぼしうる程度の酸素が混入する余地のない程度まで、タンパク質水溶液で満たすことも、タンパク質と酸素の接触が十分少ない状態で維持する方法の一つとして例示される。
【0026】
具体的には、容器内のタンパク質水溶液の体積を1としたとき、空隙部の体積が0.2以下、より好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0である。本発明において「空隙部」とはシリンジなどの容器本体に残存する液体部以外の空隙のことである。
【実施例】
【0027】
以下に実施例、及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[薬液調整例]
カルシトニン類製剤の調製例の一例として、以下のようにエルカトニン薬液を調製した。洗浄殺菌済みの1Lメスシリンダーに注射用水を約900ml採り、試薬特級NaClを9g秤量し添加後メスシリンダー内で溶解する。
あらかじめ注射用水で溶解した20mM濃度の酢酸ナトリウム(試薬特級)溶液を5ml添加し更に溶解攪拌する。溶解液に0.01N-HClを約1ml添加攪拌しpHが5.4〜5.6になるように調整する。PH調整後注射用水を添加し全量が1Lになるように補正し、0.1mM酢酸ナトリウムバッファーを作成する。
バッファー液にエルカトニンバルクを液濃度が3.2μg/mlになる量のエルカトニンを秤量し添加する。添加後10分間攪拌溶解を行い、以下の実施例、比較例で使用する3.2μg/mlの薬液とする。
【実施例1】
【0028】
(1)[薬液調整例]に従い調製した薬液を環状ポリオレフィン製のシリンジ(容量1ml、波長260nm以下の光を遮断、厚さ1.8mm、酸素透過量37.5cc/m2・24h・atm)に空隙部の容積が0.1mlとなるよう、シリンジ充填打栓機により充填し、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:赤色に着色したPVCフィルムの厚さ500μmのシート(住友ベークライトUV3赤1-391:波長590nm以下の光を遮断するシート)をシリンジが収納できる大きさにプレス成形したものをブリスターパックとして使用した。蓋材としては、ガス透過性の高いバクテリアバリアー性のある高密度ポリエチレン製のシートであるタイベックシートを用いた。(蓋材のタイベックシートは酸素(ガス)バリアー性はない。)
(3)ブリスターパックにエルカトニンプレフィルドシリンジを入れ、タイベックシートで蓋をして封止することにより、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例2】
【0029】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:橙色に着色したPVCフィルムの厚さ500μmのシート(住友ベークライト;VSS−1202着色、光の波長545nm以下を遮断するシート。)をシリンジが収納できる大きさにプレス成形したものをブリスターパックとして使用した。蓋材としては、ガス透過性の高いバクテリアバリアー性のある高密度ポリエチレン製のシートであるタイベックシートを用いた。(蓋材のタイベックシートは酸素(ガス)バリアー性はない。)
(3)実施例1(3)に従い、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例3】
【0030】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:透明フィルム(PET12μmにシリカ蒸着したフィルムの2枚重ねと、LLDPE60μmフィルムを接着剤で張り合わせた多層フィルムにUVカット処理を施し、波長400nm以下の光を遮断するフィルムとした。酸素透過量は0.1cc/m2・24h・atm(岡田紙業)。)をシリンジが収納できる大きさに成形したものを使用した。蓋材としてはガス透過性の高いバクテリアバリアー性のある高密度ポリエチレン製のシートであるタイベックシートを用いた。(蓋材のタイベックシートは酸素(ガス)バリアー性はない。)
(3)実施例1(3)に従い、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
[ 参考例1 ]
【0031】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:透明フィルム( PET12μmにシリカ蒸着したフィルムの2枚重ねと、LLDPE60μm フィルムを接着剤で張り合わせた多層フィルムであり、酸素透過量が0.1cc/m2・24h・atmのフィルム。波長300nm以下の光を遮断(岡田紙業)。)を、ピロー袋に成型した。(サイズ:180mm×45)
(3)このピロー袋に前記プレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例5】
【0032】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:着色フィルム( PET12μmにシリカ蒸着し、朱色インクを塗布したフィルムの2枚重ねと、ナイロンとLLDPE60μm フィルムで張り合わせた多層フィルムにUVカット処理を施したフィルムで、酸素透過量が0.1cc/m2・24h・atmのフィルム。波長545nm以下の光を遮断(岡田紙業)。)を、ピロー袋に成型した。(サイズ:180mm×45)
(3)このピロー袋に前記プレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例6】
【0033】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)酸素透過性が無く光を遮断するアルミフィルム(アルミ9μmとPP20μm、PE15μm、 PE40μmの張り合わせたフィルム)をピロー袋に成型した。
(3)このピロー袋に(1)で得たエルカトニンプレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
[ 参考例2 ]
【0034】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)参考例1 (2)に従って、ピロー袋を成型した。
(3)プレフィルドシリンジをピロー袋に入れるに際し、エージレス(登録商標)「三菱ガス化学(株)」)をピロー袋内に入れる点を除き、参考例1と同様に実施し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
[ 参考例3 ]
【0035】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)参考例1(2)に従って、ピロー袋を成型した。
(3)窒素ガスを封入し、ピロー袋内の空気を窒素置換し封止する以外は参考例1と同様に実施し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
[ 参考例4 ]
【0036】
(1)実施例1(1)に従い、薬液をシリンジに充填するに際し、空隙部の容積が0となるようにする以外は、実施例1(1)と同様にエルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)参考例1(2)に従って、ピロー袋を成型した。
(3)このピロー袋に(1)で得たエルカトニンプレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例10】
【0037】
(1)実施例9(1)に従い、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:実施例1(2)で使用したものと同じ包装体を用いた。
(3)実施例1(3)に従い、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
[ 参考例5 ]
【0038】
(1)[薬液調整例]に従い調製した薬液に細管を入れ細管に窒素ガスを流し、細管の先端から窒素気泡を噴出させ液中の溶存酸素を低下させる操作(窒素バブリング)にて薬液中の溶存酸素を1PPM以下にした。密閉形の加圧濾過装置にて濾過し溶存酸素を1PPM以下に保持した薬液を得た。この薬液を、実施例1(1)で使用したものと同じシリンジに空隙部の容積が0となるよう、シリンジ充填打栓機により充填し、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)参考例1(2)に従って、ピロー袋を成型した。
(3)このピロー袋に(1)で得たエルカトニンプレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例12】
【0039】
(1)実施例1(1)に従い、薬液をシリンジに充填するに際し、空隙部の容積を0.4mlになるようにする以外は実施例1(1)と同様にエルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:実施例1(2)で使用したものと同じ包装体を用いた。
(3)実施例1(3)に従い、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
[ 参考例6 ]
【0040】
(1)実施例12(1)に従い、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)参考例1(2)に従い、ピロー袋を成形した。
(3)このピロー袋に(1)で得たエルカトニンプレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例14】
【0041】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:透明フィルム( PET12μmにシリカ蒸着したフィルムの2枚重ねと、LLDPE60μm フィルムを接着剤で張り合わせた多層フィルムにUVカット処理を施し、波長400nmの光を透過率を60%以下に遮断するフィルムとした。酸素透過量は0.1cc/m2・24h・atm(岡田紙業)。)をピロー袋に成型した。(サイズ:180mm×45)
(3)このピロー袋に前記プレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例15】
【0042】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:透明フィルム( PET12μmにシリカ蒸着したフィルムの2枚重ねと、LLDPE60μm フィルムを接着剤で張り合わせた多層フィルムにUVカット処理を施し、波長400nm以下の光を遮断するフィルムとした。酸素透過量は0.1cc/m2・24h・atm(岡田紙業)。)と青色透明セロファンフィルムを重ね、波長470nm付近を55%以下に抑えたフィルムを得てピロー袋を成型した。
(3)このピロー袋に前記プレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例16】
【0043】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:透明フィルム( PET12μmにシリカ蒸着したフィルムの2枚重ねと、LLDPE60μm フィルムを接着剤で張り合わせた多層フィルムにUVカット処理を施し、波長400nm以下の光を遮断するフィルムとした。酸素透過量は0.1cc/m2・24h・atm(岡田紙業)。)と黄色透明セロファンフィルムを重ね、波長470nm以下を遮断したフィルムを得てピロー袋を成型した。
(3)このピロー袋に前記プレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【実施例17】
【0044】
(1)実施例1(1)に従って、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体:透明フィルム( PET12μmにシリカ蒸着したフィルムの2枚重ねと、LLDPE60μm フィルムを接着剤で張り合わせた多層フィルムにUVカット処理を施し、波長400nm以下の光を遮断するフィルムとした。酸素透過量は0.1cc/m2・24h・atm(岡田紙業)。)と茶色透明セロファンフィルムを重ね、波長545nm付近を15%以下に抑え545nmから900nmまでの波長を60%以下に抑えたフィルムを得てピロー袋を成型した。
(3)このピロー袋に前記プレフィルドシリンジを入れ封止し、包装体により包装されたエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【比較例1】
【0045】
(1)実施例1(1)に従い、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体は用いなかった。
(3)包装体により包装されないエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【比較例2】
【0046】
(1)参考例3(1)に従い、エルカトニンプレフィルドシリンジを製造した。
(2)包装体は用いなかった。
(3)包装体により包装されないエルカトニンプレフィルドシリンジを得た。
【0047】
[実験例1]
実施例1,2,3,5,6,10,12,14〜17,参考例1〜6及び比較例1〜2で製造した製剤を光照射試験機に入れ、積算光量60万lux・hr、120万lux・hrで照射した。安定性を高速液体クロマトグラフィーにて測定し、製造直後にシリンジから取り出したエルカトニン水溶液中のエルカトニン量を100%としたときのエルカトニン残存率を求めた。
その結果を表1に示す。
(照射条件)
照度:蛍光灯ランプ3900lux/hr
(蛍光灯の波長:300〜700nm)
使用試験機:ナガノ科学機械製作所(型式LT-120)
温度:25 ℃
積算時間:307.7時間(120万lux・hr)
【表1】
Figure 0004225416
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、少なくとも波長332nm〜403nmの光を遮断する及び/またはタンパク質製剤と酸素との接触を減ずることにより樹脂製容器に充填されたタンパク質製剤の光に対する安定性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例の包装体材料の光透過率を示す。

Claims (16)

  1. 少なくとも波長332nm〜403nmの光の透過率が65%以下になるように遮光されてなることを特徴とする、樹脂製容器に充填されたエルカトニン製剤。
  2. 少なくとも波長332nm〜403nmの光の透過率が65%以下になるように遮光され、且つ酸素との接触を減じる手段を有することを特徴とする、樹脂製容器に充填されたエルカトニン製剤。
  3. エルカトニンが充填された容器あるいは容器を覆う包装体を着色することにより遮光することを特徴とする、請求項1または2に記載された製剤。
  4. エルカトニンが充填された容器をアルミニウムを含む包装体で覆うことを特徴とする請求項1または2に記載の製剤。
  5. エルカトニンが充填された容器または容器を覆う包装体の酸素透過率が0.1cc/m2・24h・atm以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の製剤。
  6. エルカトニンが充填された容器内を不活性ガスと置換することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の製剤。
  7. 容器を覆う包装体内に脱酸素剤を封入することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の製剤。
  8. エルカトニンがエルカトニン水溶液である請求項2〜7のいずれかに記載の製剤。
  9. エルカトニン水溶液が充填された容器の空隙部容積を、容器内のエルカトニン水溶液の体積を1としたとき、空隙部の体積が0.2以下となるようにすることを特徴とする請求項に記載の製剤。
  10. 少なくとも波長332nm〜403nmの光の透過率が65%以下になるように遮光することを特徴とする、樹脂製容器に充填されたエルカトニン製剤の安定性を改善する方法。
  11. 少なくとも波長332nm〜403nmの光の透過率が65%以下になるように遮光し、且つ酸素との接触を減じることを特徴とする、樹脂製容器に充填されたエルカトニン製剤の安定性を改善する方法。
  12. 酸素との接触を減じる方法が、エルカトニンが充填された容器を酸素透過量が0.1cc/m2・24h・atm以下の包装体で包装することである請求項11に記載の方法。
  13. 酸素との接触を減じる方法が、エルカトニンが充填された容器内を不活性ガスと置換することである請求項11または12に記載の方法。
  14. 酸素との接触を減じる方法が、エルカトニンが充填された容器を覆う包装体内に脱酸素剤を封入することである請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
  15. エルカトニンがエルカトニン水溶液である請求項11〜14のいずれかに記載の製剤。
  16. 酸素との接触を減じる方法が、エルカトニン水溶液が充填された容器の空隙部容積を、容器内のエルカトニン水溶液の体積を1としたとき、空隙部の体積が0.2以下となるようにする方法である請求項15に記載の方法。
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