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JP4224952B2 - 窒化物半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体発光素子及びその製造方法 Download PDF

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JP4224952B2 JP2001153234A JP2001153234A JP4224952B2 JP 4224952 B2 JP4224952 B2 JP 4224952B2 JP 2001153234 A JP2001153234 A JP 2001153234A JP 2001153234 A JP2001153234 A JP 2001153234A JP 4224952 B2 JP4224952 B2 JP 4224952B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、窒化物半導体を用いた基板及びそれを用いた窒化物半導体素子の製造方法に係り、特に異種基板上に設けた窒化物半導体を積層した素子構造を有する窒化物半導体ウエハの分割方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化物半導体を用いたレーザ素子は、主に青色〜紫色の短い波長のレーザ光を発振するものであり、光ディスク装置などその特性を活かして様々な用途が検討されている。このレーザ素子の連続発振は、近年実現され、実用化されているが、その応用において素子の特性が十分満足のいくものではなく、さらなる素子特性の向上が求められている。
窒化物半導体素子の製造において、窒化物半導体の成長に一般的に用いられている基板は、サファイア基板であるが、このような窒化物半導体と異なる材料の異種基板を用いることは、積層後の微細加工工程、共振器反射面の形成時、チップ化のためのウエハ分割時に問題がある。それは、異種基板とその上に成長させた窒化物半導体とで劈開面が異なるか、異種基板が劈開困難な場合に、共振器反射面、チップ化を劈開して形成することができないからである。さらにまた、窒化物半導体も六方晶系にほぼ近似され、同じ六方晶系の異種基板を用いても、異種基板の劈開面若しくは劈開容易面と、窒化物半導体の劈開面、劈開容易面との面方位が一致せず、その劈開は容易でない。例えばサファイア基板を用いたものであれば、このサファイア基板の劈開が困難であるため、またサファイア基板の劈開容易面であっても窒化物半導体の劈開面に一致しないため、共振器反射面などの素子端面として窒化物半導体の劈開面を取り出すことが製造上困難なものとなる。また、素子端面をエッチングにより形成した窒化物半導体素子では、その共振器反射面としての特性に劣り、また、端面形成若しくはウエハを分割するための溝を成長層に設けると、ウエハ当たりのチップ面積が減少し、歩留まりが悪化する。
さらにまた、異種基板上に、厚膜の窒化物半導体を、例えば成長速度の大きなHVPEを用いて、形成することが可能であるが、厚膜の窒化物半導体を形成すると以下の問題がある。異種基板、特に窒化物半導体と格子不整合があり、熱膨張係数差がある異種基板の上に、厚膜の窒化物半導体を形成すると、基板に大きな反りが発生し、基板の分割が困難となる。
【0003】
このような基板の反りは、異種基板10と半導体層30との相対的な応力により決定され、例えば図8に示すように、異種基板10上の半導体層30との間に、熱膨張係数差、格子不整合により応力がかかり、異種基板10の界面付近で引張応力、半導体層30の界面付近で圧縮応力が掛かり、異種基板上の成長層の膜厚が大きくなると、若しくは、成長層の膜厚一定で異種基板の膜厚を小さくすると、両者の界面にかかる応力の相対関係が変化し、異種基板、成長層が反ることで、両者の均衡が維持される。このため、この場合には、窒化物半導体の半導体層30の膜厚を大きくすること、異種基板の膜厚を減らすことで、両者の界面付近での応力差が大きくなり、反りも大きくなる。このような、反りは、基板と窒化物半導体との相対的な熱膨張係数差、格子定数差に起因するため、基板の材料、窒化物半導体(成長層)の組成、基板と半導体層の膜厚が変化すると、両者に係る圧縮・引張応力も変化する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
基板10上に窒化物半導体などを成長させて素子構造を形成して半導体層30を設けると、例えばサファイア基板を用いた場合において、図8(a),(b)の模式断面図に示すように、主に2つの形態の反りが発生する。図8(a)に示すように、基板10上の半導体層30が凹面側(半導体表面が凹面)となり、基板の裏面(第2の主面)が凸面側(第2の主面が凸面)となる反りでは、図12に示すように、基板の裏面側からスクライブすることで、裏面に設けられた切り欠きが広がる方向に応力がかかるため(図12(b)の矢印)、サファイアのように分割困難な基板であっても、図12に示すようにブレイカーなどの押圧手段により押し割ることで、比較的簡単にウエハを分割できる。実際、サファイア基板を用いた窒化物半導体のLEDでは、図12に示す反りが発生し、図中の矢印に示すように基板の裏面に引張応力が掛かり、基板の裏面側をスクライブするだけで、反りによる応力でもって図中の点線で示すようにウエハが切断されて、チップ化が可能である。しかし、基板10と半導体層30との関係が図8(b)に示すように、凹面側が基板側(第2の主面が凹面)となり、半導体層表面が凸面側(半導体層表面が凸面)となる反りを有するウエハであると、図13の模式断面図に示すように、基板の裏面側にスクライブして、ウエハを分割しようと試みても、ウエハの反りが分割を抑制する方向に応力が加わり、すなわち、図13(b)中の矢印で示すように、基板10の裏面には圧縮応力が加わるため切り欠き21を塞ぐ方向に力が加わるため、ウエハの分割が困難となり、不良が発生し、劈開面を得ることが困難となる。
また、基板の第2主面側から効率よく光が取り出され、光の取り出し効率を向上させることができる窒化物半導体発光素子及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであり、基板の第2主面側から効率よく光が取り出され、光の取り出し効率を向上させることができる窒化物半導体発光素子及びその製造方法を提供するものである。本発明の窒化物半導体発光素子は、下記の構成(1)〜(6)により上記課題を解決するものであり、また本発明の窒化物半導体発光素子の製造方法は下記の方法(7)〜(9)により上記課題を解決するものである。
【0006】
(1)第1の主面と該第1の主面に対向する第2の主面とを有する基板の前記第1の主面上に積層された窒化物半導体を有する発光素子構造と、前記基板の第2の主面側に溝部が設けられて、該溝部底面で離間されて該溝部に対応した端面を有する複数の凸部と、を備え、前記凸部が前記第2の主面に平行でない複数の端面を各々し、前記発光素子構造から出射された光を前記凸部により散乱させて前記第2の主面側から取り出すことを特徴とする。
(2)前記複数の凸部の全側面は前記基板の側面より内側にあり、前記溝部の底面及び側面は粗い表面を有することを特徴とする。
(3)前記溝部の形状は、ストライプ状、格子状、ドット状、円形状であることを特徴とする。
(4)前記第1の主面の一部が露出されて、前記発光素子構造の素子領域が複数設けられることを特徴とする。
(5)前記凸部は、窒化物半導体の単体基板である前記基板の第2の主面側に形成された溝部により設けられることを特徴とする。
(6)前記第1の主面側に正負一対の電極を設け、該第1の主面側を基体に載置し、前記基板の第2主面側を光取り出し面とすることを特徴とする。
(7)第1の主面と該第1の主面と対向する第2の主面とを有する基板の前記第1の主面上に、窒化物半導体を有する発光素子構造が積層されたウエハを分割して窒化物半導体発光素子チップを形成する窒化物半導体発光素子の製造方法であって、前記基板の第2の主面側に底面を有する溝部を形成することにより複数の凸部を形成する工程と、前記窒化物半導体発光素子チップに複数の前記凸部を含む分割位置で前記ウエハを分割する工程と、を有し、前記凸部が複数の端面を各々有し、前記発光素子構造から出射された光を前記凸部により散乱させて前記第2の主面側から取り出すことを特徴とする。
(8)記分割位置を前記溝部内に設けることを特徴とする。
(9)前記溝部は、エッチング、ダイシング、スクライブ、ワイヤーソーから選ばれる少なくとも1種により形成されることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法に用いる基板としては、窒化物半導体異なる材料からなる異種基板があり、例えば、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイア、スピネル(MgA124)のような絶縁性基板、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び窒化物半導体と格子整合する酸化物基板等、窒化物半導体を成長させることが可能で従来から知られている窒化物半導体と異なる基板材料を用いることができる。好ましい異種基板としては、良好な結晶成長が可能なサファイア、スピネル、SiCが挙げられる。また、異種基板は、オフアングルしていてもよく、この場合ステップ状にオフアングルしたものを用いると窒化物半導体からなる下地層の成長が結晶性よく成長させるため好ましい。
【0008】
ここで、本発明において、異種基板の第1の主面とは、その上に窒化物半導体を積層して、下地層、素子構造などを形成して、半導体層を設けるものであり、第2の主面とは、具体例として基板分割工程において、異種基板を割るためにスクライブなどを施すものである。オフアングルした基板としては、サファイアC面からオフアングルしている場合にはオフ角を0.1°以上0.5°以下の範囲、好ましくは0.1°以上0.2°以下の範囲とすることで、良好な結晶性での窒化物半導体の成長が可能である。オフアングルした基板は、これに限らず、異種基板材料、主面の面方位、により、窒化物半導体の結晶性を考慮して適宜オフ角を決定する。
【0009】
本発明において、基板上に積層して半導体層、素子構造を形成する窒化物半導体としては、具体的には、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表されるもの、また三族元素としてBを用いたり、五族元素のNの一部を、As、Pで置換した混晶を用いることができる。この窒化物半導体を、下地層、素子構造となる各層を積層する。
【0010】
本発明の窒化物半導体の成長において、窒化物半導体を成長させる方法としては、特に限定されないが、MOVPE(有機金属気相成長法)、HVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)等、窒化物半導体を成長させるのに知られている全ての方法を適用できる。好ましい成長方法としては、膜厚が50μm以下ではMOCVD法を用いると成長速度の制御が容易である。また膜厚が50μm以下ではHVPEでは成長速度が速くてコントロールが難しい。また、HVPEを用いた場合には、上述した組成式の窒化物半導体の中で、好ましくは、GaN、AlNを用いると、結晶性良く、厚膜での成長が可能である。例えば、異種基板上に、HVPEなどにより厚膜で窒化物半導体を成長させた後、異種基板を除去して窒化物半導体の単体基板として、本発明の基板としても良い。
【0011】
また、窒化物半導体に用いるn型不純物としては、具体的にはSi、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr等のIV族、若しくはVI族元素を用いることができ、好ましくはSi、Ge、Snを、さらに最も好ましくはSiを用いる。また、p型不純物としては、具体的には、Be、Zn、Mn、Cr、Mg、Caなどが挙げられ、好ましくはMgが用いられる。
【0012】
本発明の製造方法は、具体的には、図1に示すように、基板10の上に、バッファ層11、下地層12、素子構造13などを形成した半導体層30を設け、基板の第2の主面側に、溝部20を設け(図1(a))、さらにその溝部底面で、スクライバーで切り欠き、けがき21を設けて、基板の第2の主面側から成長層に伸びる亀裂41を形成した後(図1(b)、(d))、ウエハを押し割ることにより、ウエハを分割する。以下、各工程をもとに、本発明について詳しく説明する。ここで、図1は、溝部20の形成された基板10とその第1の主面上に半導体層30が設けられたウエハにおいて(図1(a))、亀裂41が形成される様子(図1(b))、及びその一部を拡大した図1(d)、とレーザバー、若しくはチップ状にウエハが分割される様子(図1(c))を示すものである。
【0013】
[基板、及びウエハの形状]
本発明の製造方法は、窒化物半導体を有する素子構造が形成されたウエハを分割、切断分離するものであるが、分割するウエハは、上述したように、基板と、基板の第1の主面上に、窒化物半導体を含む半導体層が設けられたものであり、図8(b)に示すように、半導体層30側、半導体層30表面、若しくは基板10の第1の主面側が凸面側となり、基板10の第2の主面側が凹面側となる反りが設けられたウエハ、基板であればよい。このため、上述した異種基板、半導体層はこのような反りが形成されれば特に限定されず、また基板材料、半導体層の層構成、結晶性(成長形態)、半導体材料により反りが変化し、また基板の厚さと半導体層の膜厚との比により反りが変化することから、上記反りが形成されるように、適宜各条件を決定すればよい。また、上述した窒化物半導体の基板を用いた場合においても、図8(b)に示すような反りが形成されるのであれば、本発明を適用できる。
【0014】
本発明に用いる基板として好ましくは、窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板を用いることであり、これにより基板と半導体層、若しくは窒化物半導体との面方位、劈開面が異なる場合においても、後述する亀裂形成により半導体層、窒化物半導体の劈開面での劈開が可能であり、またサファイア、スピネルなどのように、堅く、脆性的な材料の基板を用いた場合においても、亀裂の形成により、基板が分離された状態で、ウエハの切断分離が可能となる。逆に、互いに面方位、劈開面の異なる基板、半導体層であっても、亀裂が基板に設けられることで、半導体層の面方位に沿って、亀裂を形成できれば、どのような基板材料においても、その基板の面方位に影響されずに、所望の劈開面で半導体層を劈開分離できる。
【0015】
[亀裂形成工程]
本発明の製造方法において、亀裂形成工程は、主に基板に亀裂を形成するものであり、基板の第2の主面側から成長層の方向に伸びる亀裂41を形成する。このとき、少なくとも、亀裂は、ウエハ全体を貫通しないこと、すなわち、成長層30の表面にまで達しない形態で設ける。好ましくは、成長層内に設けられた素子構造に達しない深さで亀裂を形成し、素子の破壊を防ぐことである。さらに、図1に示すように、素子構造13と基板10との間に、バッファ層11、下地層12を有する場合には、バッファ層、下地層内の途中までの深さで設けること、すなわち、これらの層の途中から基板の第2の主面側までの間で亀裂を設けることで、素子構造に影響を及ぼさずに亀裂が形成でき好ましい。すなわち、素子形成層13と基板10との間に、半導体層として、亀裂のストップ層を、バッファ層、下地層などとして設けると、亀裂が制御され、再現性良く、亀裂を形成できる。
【0016】
本発明の亀裂形成工程における亀裂の深さは、図1(d)に示すように、上述したように下地層、バッファ層内の途中までの深さから、基板の第2の主面側までの間のどの深さでもよいが、さらに好ましくは、基板と成長層との界面付近、もしくは界面付近で成長層30に浅く形成されることよい。これは、実際には、亀裂形成時に、どの程度の深さまで亀裂が形成されているかを確認することが困難であるため、亀裂形成後にウエハを観察したところ、界面付近にまで伸びる亀裂は確認できるが、正確な位置は特定されにくいことによるものである。しかしながら、界面付近で亀裂がわずかに成長層に達する深さであれば、その成長層に達する亀裂でもって分割位置の位置決めがなされると考えられる。加えて、後述するように、非晶質なバッファ層、および横方向成長層による結晶性変化による亀裂の抑制作用で、上記バッファ層、下地層の途中までの深さで亀裂を形成する作用も影響していると考えられる。また、界面付近で、界面にわずかに達しない深さで亀裂が設けられたとしても、後に続く、基板分割時の初期において、界面に達する亀裂が設けられた後、分割されるものと考えられるため、このような亀裂の深さでも、本発明の分割に寄与できるものと考えられる。更にまた、図14(d)に亀裂41が形成される様子を示すように、基板10と半導体層30との界面に、図中の矢印に示すように、応力が掛かる場合には、基板側から伸びた亀裂が両者の界面を貫通するところで、亀裂41にかかる応力が逆方向に変化し、このことも亀裂の制御に寄与するものと考えられる。更に、基板の第2の主面側では圧縮応力が掛かるため、亀裂を第2の主面側から形成しても、亀裂41を塞ぐ方向に応力が掛かるものとなり、このことも、亀裂が半導体層30を貫通せずに、基板10及び/又は半導体層の一部にだけ亀裂を設けることが可能となると考えられる。
【0017】
逆に、図8(a)に示すように、基板側(第2の主面側)を凸面とするウエハの反りでは、図12に示すように、裏面(第2の主面)にスクライバーなどにより切り欠きを設けると、その表面(第2の主面側)には、図12(b)に図12(a)の一部を拡大して、そして基板、半導体層にかかる応力を矢印で示すように、切り欠き21を広げる方向に反りによる応力が掛かるため、図中の点線で示すように、ほぼまっすぐに、且つ半導体層を貫通して、亀裂が形成され、ウエハが切断分離される。すなわち、図12に示すように、本発明のウエハとは逆の反りを有する形態では、上述したように、亀裂をウエハの途中の深さで止めることが困難で、亀裂が形成されると同時に、ウエハが切断されるものとなる。
【0018】
従って、本発明の亀裂形成工程において、基板、ウエハの反りは極めて重要な役割を果たすものとなる。すなわち、基板の第2の主面側に切り欠きなどを設けて、基板内に亀裂を形成すると、基板の第2の主面が凹面となる反りが設けられていることで、亀裂が半導体層を貫通するまでに進行すること、伸びることを防ぎ、基板と半導体層との界面付近、若しくは素子構造13に達しない深さでの亀裂の形成を可能ならしめる。このため、好ましくは半導体層と基板とを異種材料にすると、両者の界面にかかる応力変化を大きくでき、また界面を貫通する亀裂において結晶性の変化を大きくでき、亀裂の深さ方向への制御性が高まり好ましい。
【0019】
従って、本発明の製造方法において、亀裂は、第2の主面側から成長層の方向へ伸びる形態であれば、基板の分割に寄与するものとなる。また、亀裂の形状は、図1(d)に示すように、不規則な折れ曲がり、不規則な形状、不規則な方向に伸びるが、ここでは、第2の主面もしくは溝部から近い位置まで亀裂、もしくは亀裂の途中が形成されていれば、分割に寄与できる。亀裂の形態によっては、基板内で、成長層の方向へ向かった亀裂が途中で折れ曲がり、再び第2の主面側へ伸びる形態も考えられるが、そのような場合でも、屈曲したところでは、亀裂が基板の第2の主面よりも成長層に近い位置まで形成されていることとなるため、基板分割に寄与できるものとなる。好ましくは、図1(d)において、左側の亀裂41のように、基板10と半導体層30との界面に達する深さで亀裂41が設けられる方が、分割工程において、容易に半導体層の分割を可能とでき、好ましい。
【0020】
本発明において亀裂形成手段は、特に限定されるものではないが、上述したように、スクライブでもって切り欠き(V溝)を設けて亀裂を形成してもよく、後述する溝部形成時に亀裂を形成することもできる。好ましくは、図4に示すように、スクライブなどの当てこすり、引っ掻きの治具52により亀裂を形成することで、上記亀裂の深さが制御されやすい傾向にあり、また、半導体層の面方位に沿った亀裂を形成でき好ましい。たとえば、ダイサーにより、成長層に達しない深さでダイサー溝を形成して、その衝撃により亀裂を形成することもでき、また溝部を形成して、ブレイカー、ローラーなどでウエハに外力を加えて所望の亀裂を形成することもできる。また、衝撃により亀裂を形成する方法として他には、超音波のように、基板、若しくはウエハに外力を加えて、亀裂を形成しても良く、熱処理若しくは熱衝撃により、例えば基板と半導体層との熱膨張係数差を利用して昇温・冷却などの熱処理を施して基板に衝撃を加えて、亀裂を設けることもできる。
【0021】
また、亀裂形成工程は、図1、図3などに示すように、溝部20を形成した後(溝部形成工程の後)、溝部の底部に切り欠きなどを設けて、亀裂41を形成しても良く、図5に示すように、薄膜化後、若しくは半導体層30形成後に、溝部などを設けずに直接スクライバーなどにより切り欠きを設けて、亀裂を形成しても良い。
【0022】
[基板分割工程]
本発明の基板分割工程において、基板内に亀裂が形成されたウエハにおいて、ローラー、ブレイキングなどで押し割ることで、ウエハ・基板を亀裂が形成された位置で、精度よく分割され、このときに半導体層、すなわち窒化物半導体の劈開面に分割位置、分割ラインをあわせることで、基板上の半導体層で劈開面が形成される。
【0023】
従来、図13(b)に示すように、基板が凹面側、成長層が凸面側となる反りが形成されたウエハで、基板の第2の主面側からスクライブして押し割る方法では、図中の点線で割れの形成、および分割面を示すように、基板内で大きく折れ曲がり、スクライブ位置(分割予定ライン)からのズレが大きく、また成長層内においても、分割位置が不安定に変化し、素子構造においてチッピング、欠けが発生して、分割不良が高い割合で発生する。すなわち、図13に示すように、本発明と同様なウエハの反りが形成された状態で、亀裂を設けずに基板を分割すると、図13(b)に示すように、劈開困難な基板10、若しくは半導体層30と基板10との劈開面が異なる場合には、基板の劈開性、材料に大きく依存し、分割する位置が大きく変化する。これは、基板と半導体層とで、劈開方位が異なる場合には、どちらかの劈開方向に沿ってスクライバーを当てて劈開するが、亀裂が形成されていないことで、互いの劈開方位に影響されるため、分割位置が不安定となる。また、基板と半導体層とで劈開方位が同じでも、反りにより互いに異なる応力が掛かるため、この影響によっても分割位置が不安定となる。
【0024】
本発明では、図14に示すように、基板10内に亀裂が設けられたウエハでもって、押し割ることにより、半導体層30の表面、すなわち凸面側表面に、けがき、切り欠きがなくとも、図14(c)中の点線で示すように、分割が半導体層30の膜厚方向にほぼ真っ直ぐに分割できる。さらに、半導体層30における分割不良も減少し、すなわち、素子構造端面におけるチッピング、欠けの発生率が大幅に減少する。なぜこのように、従来は困難であったウエハの分割が歩留まりよく、また精度よくなされるかは不明であるが、亀裂が設けられることで、半導体層30と基板10との界面付近にかかる応力の変化に起因しているのではないかと思われる。これは、図14(d)に、基板10と成長層30との界面付近を示す模式断面図を用いて説明すると、基板10は、界面に達する亀裂21でもって、半導体層の基板側表面(基板と半導体層の界面)の上で、基板が分離された状態が形成され、これにより、分離された領域では、基板10が設けられず、露出された半導体層が形成されて、この分離位置における成長層の基板側表面で、ほかの領域とは異なる応力がかかるためではないかと考えられる。すなわち、基板10と成長層30とが接合された領域では、図中の矢印で示すように、界面において、成長層側には圧縮応力、基板側には引張応力がかかるが、成長層の基板側表面が露出された領域では、基板が接合されていないため、このような応力がかかっていないものと考えられ、さらには隣接する接合面における上記応力に対し、それをうち消すような反作用の応力がかかっていると考えられ、これが良好なウエハ分割に寄与すると考えられる。
【0025】
また、別の考えとしては、ウエハ分割を2段階に実施すること、すなわち、基板の分離には亀裂形成工程において分割し、半導体層の分割は基板分割工程において、ウエハを切断分離するという、半導体層と基板とをことなる分割工程を実施することが影響していると考えられる。すなわち、基板と半導体層とで、異なる劈開方位、その他の物性(弾性、脆性)を有していても、図12、13のように、ウエハを1体のものとしてとらえて、基板と半導体層とを同時に分割するという従来の発想から転換して、異なる特性の基板と半導体層とからなるウエハには、それぞれ別々の工程において分割するという発想の転換により、素子構造が設けられた半導体層に適した分割、劈開を実施するものである。このことにより、基板は、両者の界面付近にまで達する亀裂の形成でもって、半導体層表面(両者の界面)上で分離された状態を形成し、これにより基板分割工程においては、半導体層の結晶性、劈開性にのみ依存した形態で分割・劈開を実施できることとなり、基板がどのような材料で、基板と半導体層とがどのような組合せの材料においても、本発明は良好な半導体層の分割・劈開が実施でき、また良好な分割面・劈開端面を得ることが可能となる。
【0026】
ここで、図14は、本発明における基板分割工程を説明するものであり、図14(a),(b)は、基板分割時にウエハにかける外力の違いを示すものであり、図14(c)は、図14(b)において矩形で囲まれた領域を拡大して示し、更に、基板10、半導体層30の各表面にかかる応力を図中の矢印で示すものであり、更に図14(d)は、図14(c)において、更に細部、特に界面付近、及び亀裂の状態を説明する模式断面図である。
【0027】
また、亀裂が成長層30内に達する深さで設けられる場合には、図14(d)に成長層内の亀裂41´として示すように、これも上記応力関係の変化に寄与する要因ではないかと考えられる。すなわち、図中の矢印で示すように、半導体層30と基板10との界面には、半導体層側に圧縮応力がかかるが、基板から分離され、局所的に基板の影響を受けない亀裂41の近傍では、基板側に上記圧縮応力の反作用として引張応力がかかっているとも考えられ、これが歩留まりの良い半導体層、ウエハの分割実現に寄与しているとも考えられる。
【0028】
ここで、本発明の基板分割工程における分割手段としては、ローラー、ブレイキングなどのウエハを押し割る方法のほかに、亀裂形成後に、さらに、第2の主面に亀裂形成位置で、スクライバーなどの切り欠き、けがきを設ける治具を当接する方法でも、基板を分割できる。好ましくは、ローラー、ブレイキングなどのウエハに外力を加えて押し割る方法を用いることで、良好な基板分割が実現される。
【0029】
また、基板には反りが形成されているため、押圧させる方向により、基板、ウエハにかかる力も変化する。具体的には、図14では、ブレイキング手段を用いる様子を模式的に示しているが、図14(a)では、ウエハの反りとは逆の方向に、すなわち、反りをなくすように、反りを緩和するように、押圧している。図14(b)では、これとは逆に、反りを大きくする方向に、押圧している。本発明においては、どちらの方法で押し割ることが可能である。好ましくは、図14(b)に示すように、反りを大きくするように、押し割る方法が、良好な分割が得られる傾向にある。これについても、その作用は明らかでなく、通常の考えでは、両者の界面に達する亀裂、すなわち半導体層の一部にまで伸びる亀裂41´が形成された場合に、亀裂41´を広げる方向、図14(a)に示すように、反りを反転させる力を加える方が、半導体層の分割が良いように思われるが、実際には、図14(b)に示すように反りを大きくするように、半導体層側から基板側に向けて力を加える方、すなわち、半導体層30に部分的に設けられた亀裂41´を塞ぐ方向に力を加える方が、より良好な歩留まりで基板分割が実施できる。
【0030】
以上、説明したように、本発明のもう一つ重要な要素としては、従来の分割が図12に示すように、切り欠き(引っ掻き)21を押し広げるように、すなわち切り書きが設けられた表面に引張応力がかかるように力を加えて基板分割するのに対して、本発明の上記好ましい基板分割の形態(図14(b))では、押し広げられ、表面に引張応力がかかる半導体層30の表面には、何らの切り欠き(引っ掻き)を必要とせず、ウエハの分割が可能で、半導体層の劈開が可能であることにある。これは、本発明が従来とは異なる力が半導体層に加わって、ウエハが分割されることを示唆するものであると考えられ、半導体層の形状、例えば後述する素子加工工程において、半導体層表面に切り欠きの形成が困難な場合においても、本発明では半導体層表面の切り欠きを必要としないため、半導体層に様々な素子形状を許容でき、あらゆる素子に適応できるものであることを示唆している。ここで、本発明は、半導体層表面に切り欠きなどがなくても、基板分割が可能であることを述べたが、これは半導体層表面に切り欠きを設けることを排除するものではなく、半導体層表面に切り欠きを設けた状態でも設けない場合と同様な基板分割を実施できるものである。
【0031】
本発明において、成長層の分割面を窒化物半導体層の劈開面とすることで、レーザ素子などにおいて、反射面となる劈開端面をえることができる。このとき、分割予定ラインとなる分割方向は、この窒化物半導体の劈開面にあわせることで、劈開面が得られる。ここで、窒化物半導体の劈開面としては、たとえばGaNの劈開面とし、GaNを六方晶系で近似した{1 1- 0 0}M面、{1010}A面、(0001)C面があり、通常成長層内の窒化物半導体はc軸配向させて、すなわち膜厚方向をc軸方向として成長させるため、好ましく用いられる劈開面としては、M面、A面を用いることができる。具体例としては、図4において、C面を主面、オリフラ面をA面としたサファイア基板の上に成長させた窒化物半導体では、オリフラ面にほぼ平行な溝部20、切り欠き21、亀裂42を設けて、分割することで、窒化物半導体のM面が得られる。実際には、サファイアのA面に平行な方向は窒化物半導体のM面とはわずかにずれたものとなる。
【0032】
以上説明したように、亀裂形成工程により、ウエハ内部の基板を主に分割し、基板分割工程にて、素子構造を有する半導体層を分割することで、基板材料に関係なく良好な半導体層の分割・劈開を実現でき、このことから、好ましくは基板材料が、半導体層材料と異なることで、本発明の優位性が高まり、さらには素子構造、下地層として主に窒化物半導体を用いる場合には、窒化物半導体と異なる材料の基板を用いることで、従来困難であった素子構造の良好な分割、劈開を、基板材料に影響されずに実施でき好ましい。
【0033】
また、以上の説明において、基板が半導体層上で分離されることについてその作用を説明したが、基板の第2の主面側から半導体層に達する溝を、例えばダイサーなどの機械的な方法により直接基板を分離することが考えられるが、この方法では、ダイサーなどの基板除去治具が直接半導体層に接するため、その衝撃により半導体層が割れ、欠けが発生し、歩留まり良く半導体層を露出できず、また基板除去と同時に、半導体層を分割することもできるが、分割位置の制御が容易でないものとなる。さらに、本発明では反りを有するウエハを扱うため、そのような反りは通常図に示すように、その断面において湾曲した形状となり、実際には擂り鉢状にウエハが湾曲した形状となるが、このようなウエハでは溝の形成において、ウエハ面内で深さのばらつきが発生して、これも基板分割の歩留まり低下の原因となる。更に、エッチングなどの科学的な手段でもって、半導体層を露出させる溝を形成することも考えられるが、この方法では、例えば窒化物半導体の基板として好ましく用いられるサファイアなどのように、エッチング困難な基板の場合に適用できず、またエッチングのためのフォトレジスト工程など煩雑な工程を必要とし、工数が増えて、製造コストを引き上げるものとなる。
以下、本発明の製造方法において、上記各工程以外について、実施形態を説明する。
【0034】
[溝形成工程]
以上説明した亀裂形成工程より先に、溝部を形成することも可能であり、溝部を形成した後、溝部の底部に亀裂を設けることで、図5に示すように、溝部を設けずに、スクライバーなどで切り欠きを設けて亀裂を形成する場合よりも、上述した所望の深さで亀裂が形成されやすい傾向にあり、すなわち、亀裂の制御が容易になり溝部を設けることが好ましい。図3に示すように、窒化物半導体を有する半導体層30を基板10の上(第1の主面側)に形成した後、図3(a)のハッチングを施した領域として示すように、溝を半導体層30(11〜13)が露出されない深さで、基板の途中までの深さで形成する。また、溝部の大きさ、形状、パターンについては、特に限定されず、たとえば、溝部の形状として、ストライプ状、格子状、ドット状、円形状、などがあり、好ましくは、溝の形成手段、ウエハの分割予定ラインにもよるが、ストライプ状に形成することで、ウエハをバー状とでき、格子状とすることで、ウエハをチップ状とできる亀裂を設けることができる。レーザ素子のように、共振器反射面となる互いにほぼ平行で対向する一対の端面を、基板分割により形成する場合には、図4に示すようにストライプ状に溝部20を形成して、亀裂41を形成して分割して、レーザバーとした後、チップ化すると良い。溝部の深さ、幅については、図4に示すように、切り欠きなどを設ける引っ掻き治具52が、溝部底部に当接できる程度の大きさであれば特に元手されず、例えば、溝部の形成にダイサーを用い、切り欠きの形成にスクライバーを用いる場合には、溝部の幅を50〜100μm程度にする。
【0035】
また、溝部の形成方法としては、特に限定されないが、エッチング、ダイシング、スクライブ、ワイヤーソーなどの方法を用いることができ、好ましくは、ダイシングで形成することで、比較的容易に溝部を形成することができる。
【0036】
また、溝部形成工程は、半導体層として窒化物半導体を形成した後であれば、いつでも良く、下地層形成後、素子構造を形成した(素子形成工程)後でも良く、素子構造を形成した後、素子をエッチングなどで加工した(素子加工工程)の後でも良い。また、溝部底面には、図4に示すように基板分割ライン(線上の亀裂)を一本だけ設ける形態でも良く、溝部幅を大きくして複数本設ける形態であっても良い。
【0037】
ここで形成される溝部の深さとしては、半導体層に割れが発生しない程度に、少なくとも溝部の一部を半導体層に達しない深さで形成し、好ましくは、全ての溝部が半導体層に達しない深さで形成する。ここで、半導体層に達する深さとは、溝部内で半導体層が露出される深さを指す。また、溝部の深さは、図3(b)に示すように、溝部20の底面から半導体層まで、若しくは半導体層30と基板10との界面までの距離をtとした場合に、後述する亀裂形成工程の亀裂形成手段にも依存し、特に限定されるものではないが、0<t≦50μmの範囲とすることである。これは、tが50μmを超えると後に続く亀裂形成工程において、半導体層に伸びる亀裂を形成すること、またそれを制御することが困難となる傾向にあり、サファイア、スビネルなどの材料のように、基板材料が堅く、加工性に乏しい材料においては、大きな力を加えて亀裂を発生させても、半導体層を貫通してウエハの割れにつながる傾向にあるためである。また、好ましくは距離tを、0<t≦20μmとすることであり、これにより、上記堅く、加工性に乏しい基板材料においても、亀裂形成工程において、所望の深さで亀裂を形成し、ウエハ、半導体層が割れない溝部とできる。また、更に好ましくは、10μm以下とすることで、更に亀裂形成工程において有利となるが、一方で、反りを有するウエハにおいて、溝部の深さにばらつきが発生する傾向にあり、精度良く溝部の深さを制御することが困難であり、また加工精度に劣る基板材料、若しくは堅く、脆いサファイア、スピネルなどの基板材料では、距離tを小さくすると半導体層、ウエハに割れが発生するため、距離tが小さいと問題も発生する。そのため、好ましくは5μm以上20μm以下の範囲とすることであり、この範囲内に各溝部深さが収まるように形成する。
【0038】
次に、半導体層について説明する。半導体層としては、図1,3に示すように、素子構造(素子形成層)13、また素子構造の下地層12、さらに異種基板との格子不整合を緩和させる働きのバッファ層などがある。本発明においては、素子の製造方法であるため、半導体層として少なくとも、素子形成層13を有することが好ましく、更に、半導体層と異なる材料の基板10上に形成する場合には、バッファ層11、下地層12を設けることで結晶性を良好なものとして、素子構造を形成でき好ましい。以下、各層について説明する。
【0039】
[バッファ層11]
本発明では、半導体層内に素子構造を異種基板上に形成する際に、異種基板10と素子構造13との間に、図1(b)に示すように、バッファ層11を設けても良い。この下地層11は、窒化物半導体と異種基板との格子不整合の緩和、良好な結晶成長を主な目的として形成する。
【0040】
異種基板の表面に、最初に低温成長バッファ層を形成した後、単結晶成長できる温度で、他の下地層、素子形成層を形成すると、異種基板への窒化物半導体の成長を、両者に格子不整合があっても良好なものとできる。このため、本発明において、異種基板材料により用いなくても良い場合もあるが、好ましくは低温成長バッファ層を設けることが好ましい。この低温バッファ層とは、その上に成長させる窒化物半導体層の成長温度よりも低温で成長させるものであり、具体的にはAlN、GaN、AlGaN、InGaN等が用いられ、300℃以上900℃以下の温度で、膜厚10Å(オングストローム)以上、0.5μm以下の範囲で形成される。この時、好ましい低温成長バッファ層の組成としては、AlGa1−yN(0≦y<1)を用いることで、さらに良好な単結晶成長、例えば下地層の成長が可能となる。この低温成長バッファ層は、アンドープであっても、p型、n型不純物をドープしても、どちらでも良いが、好ましくは、アンドープで形成すると良好な結晶性が得られる傾向にある。また、低温成長バッファ層の上に、形成する場合には、それよりも高温で単結晶成長可能な温度、具体的には800℃以上1200℃以下の温度範囲で成長させる。このように、低温成長バッファ層は、低温で成長されるため、得られる結晶は、非晶質、もしくは多結晶状のものとなり、このような結晶性の変化により、上記亀裂が半導体層内の奥深くまで伸びるのを防ぐ、亀裂防止層として機能することができる。
【0041】
[下地層12]
また、下地層として、異種基板上、さらには上述した低温成長バッファ層の上に、更に別の窒化物半導体を形成しても良い。この時、異種基板10と窒化物半導体の素子構造11との間に設けられる下地層12としては、好ましくはAlGa1−yN(0≦y<1)を用いることで、良好な結晶性の素子構造を形成することができる。更に好ましくは、Al混晶比yが0.3以下のAlGa1−yN(0≦y<1)若しくはGaNを用いることで良好な結晶性でもって、素子構造を形成できる。この下地層は、低温成長バッファ層と同様に、p、n型不純物ドープ、アンドープとしても良く、好ましくはアンドープで成長させることで結晶性が良好となる。
更に、下地層として、上述したもの以外に、貫通転位を低減させる目的で、ELOG、ELO(Epitaxitial Lateral OverGrowth)として知られる横方向成長を用いた下地層(横方向成長層)を形成しても良い。具体的には、異種基板、若しくは低温成長バッファ層、下地層の上に、素子構造の下に形成する。代表的な横方向成長方法、横方向成長層としては、図7の模式断面図にしめすように、下地層412の窒化物半導体層表面にマスク418を設けて(図7(a))、マスク418開口部から窒化物半導体413aを成長させ(図7(b))、マスク418上部で横方向の成長をさせ、そして、それぞれのマスク開口部から成長した窒化物半導体413aがマスク418上部で接合して(図7(c))、成膜される。また、別の方法では、図3(x)〜(z)に示すように、窒化物半導体の下地層413aに凹凸を設けるか、若しくは島状に異種基板410上に点在させて、凸部若しくは島部の窒化物半導体413aを起点として、そこから選択的に成長させることで、図7(y)の矢印に示すように横方向への成長をさせて、それらが、接合することで成膜されるものとなる。このいずれの方法においても、形成される横方向成長層は、横方向成長時に、貫通転位も横に伝搬して横方向に延び、膜厚方向に伝搬する貫通転位を低減させることができる。このため、このような横方向成長層を下地層に用いると貫通転位を低減でき好ましい。この横方向成長層は、反り発生の原因となり従来制約を受けていたが、本発明のように、反りを有する基板、ウエハにおいて、反りを有していても良好な基板分割を実現できるため、結晶性向上を目的に半導体層内に好ましく用いることができる。
【0042】
また、この横方向成長層を成長させる領域(図7におけるマスク開口部、凸部、島状部)の形状としては、ストライプ状、碁盤目状、ドット状、窒化物半導体の結晶方位に合わせた六角形状に形成できる。好ましい形状としては、ストライプ状であり、得られる表面がより平坦に成膜され好ましい。ここで、ストライプ状とする場合、例えばマスク領域の幅(ストライプ幅、凸部上部の幅)を1μm以上20μm以下、好ましくは1以上10μm以下であり、開口部の幅(ストライプ間隔、凹部底部の幅)を3μm以上20μm以下、好ましくは10μm以上19μm以下であるものを形成することであり、このようなストライプ形状を有していると、転位の低減と表面状態を良好にする点で好ましい。また、図7(x)〜(z)に示す、横方向成長の起点として凸部、島状部の窒化物半導体を設ける際には、具体的な方法として、エッチング技術、ダイシング技術を用いて所望のパターンの凹凸を形成する。マスク領域として、窒化物半導体の成長が不可能か困難な保護膜を設ける場合における保護膜材料としては、例えば酸化物、金属、フッ化物、窒化物、等が挙げられる。例えば具体的には酸化ケイ素(SiOX)、窒化ケイ素(SiXY)、酸化チタン(TiOX)、酸化ジルコニウム(ZrOX)等の酸化物、窒化物、またこれらの多層膜、金属等を用いることができ、好ましくは、SiO2及びSiNが挙げられる。また、これらの保護膜を形成する方法としては、従来知られている蒸着、スパッタ、CVD等の成膜技術を用いることができる。
【0043】
横方向成長層をストライプ状のマスク領域、凸部領域とする場合において、C面を主面とするサファイア、A面を主面とするサファイア、又は(111)面を主面とするスピネルを異種基板として用いることが好ましい。以下、それぞれの異種基板を用いる場合について説明すると、C面を主面とするサファイアであるとき、マスク領域のストライプが、そのサファイアのA面に対してほぼ垂直な方向にストライプ方向を有していることが好ましく、また、第1の主面がサファイアC面からオフアングルしている場合にはオフ角を0.1°以上0.5°以下の範囲、好ましくは0.1°以上0.2°以下の範囲とすることで良好な横方向成長が実現される。またA面を主面とするサファイアであるとき、マスク領域のストライプが、そのサファイアのR面に対してほぼ垂直な方向にストライプ方向を有していることが好ましく、また(111)面を主面とするスピネルであるとき、マスク領域のストライプが、そのスピネル(MgAl24)の(110)面に対してほぼ垂直な方向にストライプ方向を有していることが好ましい。なぜなら、異種基板とマスク領域のストライプ方向が上記組み合わせであると、基板面内(異種基板の第1の主面に平行な面内)において、窒化物半導体の成長が異方性を有し、選択成長層の横方向の成長(ストライプ方向に垂直な方向)が窒化物半導体の成長容易な方向となり、好ましいELOG成長が実現されるからである。このように、横方向成長層を下地層として設けることで、貫通転位を低減でき、素子特性の向上につながり、好ましい。また、このような横方向成長層を下地層に用いることで、上述した亀裂抑制効果が得られる。これは、横方向成長層は、その成長形態において、膜厚方向以外に、横方向への成長が成されるため、結晶性が大きく変化する層となり、また図7に示すように結合部が存在する場合にはその結合部における結晶性の変化、更に結合が膜厚方向において部分的に成される場合に結合部下部に発生する空隙により、亀裂が半導体層内へ伸びるのを抑える働きが実現できる。さらには、上述した横方向成長層において、マスク材料として、半導体層、窒化物半導体と異なる材料が内部に介在することで、このマスク材料により、亀裂の伸展を防止する作用が働くため、マスクを内部に有する下地層を設けると、好ましい亀裂防止が実現できる。
【0044】
以上に説明したように、結晶性を良好にするために、異種基板の上に、下地層が形成されるが、図8に示すように、成長層と異種基板との格子定数差、熱膨張係数差により反りが形成され、成長層が厚膜となることで、図8(a)のように、成長層表面が凹面側、基板の第2の主面が凸面側となる反りから、図8(b)に示すように、成長層表面が凸面側、基板10の第2の主面が凹面側となる反りが形成される。たとえば、400μmほどの厚さのサファイア基板を用いた場合では、成長層の膜厚が6μm未満では、図8(a)の反りとなり、6μm以上とした場合に、図8(b)の反りが形成される。また、このような膜厚、若しくは基板と半導体層との膜厚比の関係は、基板及び半導体層の材料に依存するため、各材料に応じて本発明の反りが実施される形態が異なることは、言うまでもない。
【0045】
また、これら、下地層、バッファ層は、素子構造と基板との間に設けて、結晶性改善などとして作用させるものであるため、複数設けられていても良く、例えば、図10に示すように、基板10上に、低温成長バッファ層11a、横方向成長層11bを下後、更にそれらとは異なる層12を設けても良い。具体的には、上述したように、半導体層の膜厚が、反りに影響を及ぼすことから厚膜の窒化物半導体層12として設けても良く、この場合に上述したHVPEによる成長方法を用いると良い。更に図12(b)に示すように、これらバッファ層、下地層は複数設けても良いことから、12の層を設けた上に更に別の下地層11b´、低温成長バッファ層11b´として積層し、その上に素子構造を設ける形態を適用できる。
【0046】
[素子構造、素子形成工程]
本発明において、素子形成工程は、窒化物半導体を、前記下地層の上に積層して、素子構造を形成するものであり、素子形成工程は、前記溝形成工程の前でも後でも良く、また基板除去工程の前でも後でも良い。素子形成工程で形成される素子構造は、例えば、上記バッファ層、下地層の窒化物半導体層の上に、n型窒化物半導体層、活性層、p型窒化物半導体層、等を積層して形成するものである。
【0047】
また、素子構造として、半導体層が劈開されることが重要となるレーザ素子、端面発光素子においては、本発明の基板分割が好適に利用できることは言うまでもない。この素子構造の形成(素子形成工程)は、溝部形成工程の後でも、溝部形成工程より前でもどちらでも良い。
【0048】
[素子加工工程(デバイス工程)]
本発明において、素子加工工程とは、例えば実施例に示すように、素子構造を積層した後、レーザ素子に作りつけの導波路を形成する目的でエッチングを施したり、n電極形成面を露出させるためにエッチングしたり、また各コンタクト層に電極を形成したりすることである。具体例としては、図15に示すように、n型層、活性層、p型層、を積層した素子構造13を半導体層30内に形成後(図15(a))、エッチングによりn型層(n型コンタクト層)を露出させ、レーザ素子においてはさらにリッジストライプなどの導波路作りつけ構造を形成し、各導電型層にp電極60、n電極61を形成して、さらにエッチングにより、素子領域14をのぞく領域の半導体層を除去して、基板10の表面10sを露出させる(図15(c))。このように、異種基板が露出するまでエッチングして半導体層30を露出させることで、基板側を凹面、半導体層を凸面とする反りが緩和される。具体的には、図16に示すように、素子構造形成時の反りの状態を点線で示し、ハッチングを施した矢印で示すように、成長層30aの一部を異種基板10aが露出するまでエッチングにより除去することで、図中の白抜き矢印に示すように反りが緩和され、基板への溝部形成、亀裂形成を制御性よく、また容易にすることができる。すなわち、素子構造13を有する半導体層30を基板10の第1の主面側に形成した後、基板が露出するまで半導体層の一部を除去して、基板の表面10s上に、素子領域14を形成することで、反りが緩和でき、反りの緩和は、溝部形成工程、亀裂形成工程、基板分割工程、又は後述する基板除去、基板薄膜化工程において、ウエハの取り扱いを容易にし、各工程の実施を容易にすることができ、またそれらの工程が容易に、且つ制御性良く実施できるように、反りの制御ができるものである。反りの変化は、基板の露出される面積と、素子領域が占有する基板の表面積との比で決定されるため、これを適宜設定することで、所望の反りの緩和効果が得られるものとなる。
【0049】
また、素子領域14の形状、形態としては、図15に示すように、1素子(チップ)に対し1つの素子領域とする形態、すなわち、[素子の数]対[素子領域]が1対1となる形態の他に、図18、19に示すように、多対1となるように、複数の素子からなる素子領域を基板表面10sに配置したものでも良い。
【0050】
図15に示すように、1素子に対して、1つの素子領域14を基板10の上に設けることで、上記他の形態に比べて、最も大きな面積比で、基板表面10sを露出させることができ、これにより、反りの緩和効果が最も大きなものとなる。また、図18に示すように、複数の素子が、1つの反り領域として基板10上に形成され、共振器方向(図18(a)内の白抜き矢印方向)に複数の素子が配置された構造の素子領域を形成することで、図18(a)の切断位置AAで示すように、本発明の基板分割において、共振器面を形成でき、互いに対向する2つの素子の共振器面を、1つの切断位置でもって、同時に形成でき、効率よく共振器面の形成が可能となる。また、図19に示すように、共振器方向(図19内の白抜き矢印方向)にほぼ垂直な方向に複数の素子を配列した素子領域14を、基板表面10s上に設ける形態であれば、図中のAA切断位置に示すように、共振器面の形成において、本発明の基板分割を用いることができる。図18、19のいずれの形態においても、各反り領域の間隔を適宜調節することで、所望の反りの緩和が得られる。更に、これら、素子領域の形態を組み合わせることも可能であり、例えば、図18において、複数の素子が共振器方向に配列されたストライプ状の素子領域を、更に図に示すように、共振器に垂直な方向に素子領域を配列すると同時に、共振器方向にもストライプ状の素子領域を複数配列しても良く、すなわち、図18の素子領域において、ストライプ方向に素子領域を複数に分離する形態でも良い。また、図18に示すように、共振器方向に素子を配列して、ストライプ状に素子領域を形成し、ストライプ状の基板表面露出部を形成することで、ウエハの反りは、共振器方向とそれに垂直な方向とで異なる反り緩和が実現され、この場合、共振器方向に垂直な方向で反りの緩和が大きく、図中のAA切断位置での本発明の基板分割を適用する場合において、その前段階の亀裂形成、溝部形成時のウエハの取り扱いが比較的容易となり、各工程において精度良く基板分割が実施される。このように、基板露出面と素子領域との基板表面上でのパターンは、反りの各方向における緩和量を決定する要素となるため、基板分割方向に応じて、適宜パターンを決定すると良い。
【0051】
[分割位置]
また、本発明の製造方法では、素子加工工程において、図15、16に示すように、凸面側に電極が形成されるため、図11において、BB切断位置、DD切断位置、CC切断位置で分割しても、電極の剥離、ダレを抑止して、切断端面に達する電極が形成でき、レーザ素子において、共振器面に挟まれた領域すべてにおいて、電流注入領域とすることができ、COD抑制、ライフ特性の向上に寄与できる電極構造とできる。すなわち、基板分割により形成された共振器端面に達する長さで、電極を形成でき、共振面の両方を基板分割により形成した場合には、共振器の両端面に達する長さで電極を形成できる。これは、従来の成長層表面側が凹面となるウエハの反りでは、図17において、電極60、61形成領域内で、AA分割位置で切断すると、図17(b)に示すように、電極の剥離・ダレが発生していたが、本発明では、電極形成面が凸面側となるため、このような電極不良を回避できる。ここで、図11,16は、図15において図中の白抜き矢印方向から観察した様子を示すものであり、各電極60,61が観察できる模式断面図であり、図11(a)は図15(c)における模式図であり、図11(b)は図15(b)における模式図であり、図11内の点線部は発光層の位置を示すものであり、図17は従来例を示すものであり図16と同様な模式図である。
【0052】
また、本発明では、基板の裏面側(第2の主面)に切り欠きなどの傷を設けて、亀裂を設け、基板分割するため、基板表面側、半導体層表面側に特に、機械的な加工を必要とせずに基板分割を実施して、共振器端面などの素子端面を形成できることから、特に、図6,15などに示すように、基板の同一面側(第1の主面側)に、正負一対の電極を設けた素子構造において非常に有用なものとなる。すなわち、基板の同一面側に正負一対の電極を設ける場合には、電極取り出し位置が両電極で異なるため半導体層表面が凹凸を呈し、更に、レーザ素子や端面発光素子のように劈開端面を利用する場合において、電極近傍を分割する必要があるため、半導体層表面側に切り欠きなどの基板分割用の引っ掻きを設けることが困難であったが、本発明では、基板分割を基板の裏面側(第2の主面側)だけに亀裂、切り欠きなどを設けて、半導体層表面側に何ら基板分割用の加工を施さずとも、歩留まり良く基板分割が可能となることにある。
【0053】
本発明の基板分割において、分割位置については、特に限定されず、例えば端面発光素子、レーザ素子のように、切断面を出射面、共振器面とする場合において、図11の左側に示すように、一つの素子において、共振器面の一方を電極形成面の露出時などに形成したエッチング端面とし、もう一方をBB切断位置で切断して、基板分割面を端面としても良く、また、一つの素子において、BB切断位置とDD切断位置で基板分割して、共振器面の両方を分割面とした素子を形成することができる。また、図18、19などに示すように、複数の素子が連結されて、その素子領域が基板表面10sに配列された形状(図11(a))、若しくは基板の同一面側に正負一対の電極を有する構造で、一方の電極形成面(実施例1ではn型層の露出面)に発光層を有する凸部領域が設けられ複数の素子を有する(図11(b))場合に、図11の右側に示すように、複数の素子を有する素子領域、凸部領域を各素子に分断するCC切断位置でもって、基板分割することにより、一つの分割位置でもって、2つの素子の対向する端面、共振器面を形成でき、効率よくレーザバー、チップを分割できる。
【0054】
[基板除去、薄膜化工程]
本発明の基板除去工程は、分割を容易にするため、亀裂の形成を容易にするために、実施することが好ましい。具体例としては、図5に示すように成長層30を基板10の上に形成後、図5(b)に除去領域40により異種基板の一部を除去して、異種基板を薄くして、図5(c)に示すように、切り欠き21、溝部、亀裂(図中の点線部)の形成において、その実施を容易にするものとなる。このように、基板薄膜化をする目的は、上述した亀裂の形成、溝部の形成を容易にするためであり、すなわち、基板が薄くなることで、基板の第2の主面と、半導体層との距離が短くなるため、半導体層と基板との界面に達する亀裂の形成が容易になる。一方で、基板を薄膜化すると、図5(a)から(b)の変化として示すように、半導体層と基板との膜厚比が変化するため、反りの形態が変化する。
【0055】
具体例としては、サファイア基板の上に、10〜30μmの膜厚で窒化物半導体層を形成し、続いて、上記素子加工工程などを経て、基板を80μm〜100μm程度の厚さになるまで、研磨などにより基板を除去する。
【0056】
本発明において、基板薄膜化工程を具えることで、亀裂の形成、溝部の形成が精度良く、歩留まり良くできることを説明したが、基板薄膜化工程は、図5に示すように、半導体層30を形成後、溝部形成工程若しくは亀裂形成工程前であっても良く、図2に示すように、溝部形成後に基板薄膜化工程を具えることもでき、この時、基板薄膜化工程を亀裂形成工程より前若しくは後のいずれにも具えることができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
以下、実施例として製造方法について、順を追って説明する。
窒化物半導体を成長させる異種基板として、厚さが435nm、2インチφ、主面がC面から0.2ステップ状にオフアングルした基板で、オリエンテーションフラット面(以下、オリフラ面と記す)がA面のサファイア基板を用意し、MOCVDの反応容器内にそのウエハをセットする。次に、温度を510℃にして、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)とを用い、異種基板10上にGaNよりなるバッファ層(図示されていない)を約200Å(オングストローム)の膜厚で第1の下地層として成長させ、さらに温度を1050℃とし、原料ガスにTMG、アンモニアを用い、アンドープのGaNよりなる層を第2の下地層として、2.5μmの膜厚で成長させる。
第1の下地層(低温成長バッファ層11)、第2の下地層を形成した後、図7に示すようにして、横方向成長層を第3の下地層(下地層12)として形成する。横方向成長層としては図7(a)〜(c)に示す順序に沿って形成する。第2の下地層413aを形成後、ウエハを反応容器から取り出し、CVD装置に載置して、下地層413aの上に選択成長させるためマスク領域として保護膜418を形成する(図7(a))。この時、マスク領域となる保護膜418は、サファイア基板のオリフラ面(A面)にほぼ垂直なストライプ状のSiO2膜を、幅6μm、間隔(開口部の幅)14μmで、ウエハのほぼ全面で前記第2の下地層413a上に形成する。続いて、ウエハをMOCVD反応容器内に戻し、温度1050℃、原料ガスTMG、アンモニアを用いて、保護膜418の設けられていない非マスク領域表面、すなわち前記下地層413aが露出している表面に、アンドープのGaNを15μmの膜厚で成長させ(図7(b),(c))、平坦な表面有する窒化物半導体層(第3の下地層)413bとする(図7(c))。この窒化物半導体基板の成長は、初期段階において、選択的に前記非マスク領域だけに窒化物半導体が成長するが、ある程度の膜厚で成長すると、厚さ方向への成長に加えて、マスク領域の保護膜418に向かう横方向(基板面内)に成長して、マスク領域の上部が横方向成長した窒化物半導体によりふさがれた結果、下地層413aの上に膜厚15μmの窒化物半導体基板413bが形成される。
【0058】
続いて、横方向成長層を下地層102として形成し、欠陥密度を低減させ、図6に模式断面図に示す、以下の素子構造を(レーザ素子)積層して、素子形成工程とする。
【0059】
バッファ層103:横方向成長層の上にバッファ層103として、Al混晶比が0.01のアンドープAlGaNからなるバッファ層103を形成する。
【0060】
n側コンタクト層104:膜厚4μm、Siを3×1018/cmドープしたGaN若しくはAl0.01Ga0.99
クラック防止層105:膜厚0.15μmのIn0.06Ga0.94N(省略してもよい)
n側クラッド層106:総膜厚1.2μmの超格子構造 膜厚25ÅのアンドープAl0.05 16Ga0.95Nと、膜厚25Å、Siを1×1019/cm3ドープしたGaNと、を交互に積層する。
n側光ガイド層107:膜厚0.15μmのアンドープGaN
活性層108:総膜厚550Åの多重量子井戸構造 Siを5×1018/cmドープした膜厚140ÅのSiドープIn0.05Ga0.95Nよりなる障壁層(B)と、膜厚50ÅのアンドープIn0.13Ga0.87Nよりなる井戸層(W)とを、(B)-(W)-(B)-(W)-(B)の順に積層する。
p側電子閉込め層109:膜厚100Å、Mgを1×1020/cmドープしたp型Al0.3Ga0.7
p側光ガイド層110:膜厚0.15μmのMgを1×1018/cmドープしたp型GaN
p側クラッド層111:総膜厚0.45μmの超格子構造 膜厚25ÅのアンドープAl0.05Ga0.95Nと、膜厚25ÅでMgを1×1020/cmドープしたp型GaNと、を交互に積層する。
p側コンタクト層112:膜厚150Å、Mgを2×1020/cmドープしたp型GaN
このようにして素子構造を形成した後、以下の素子加工工程を実施する。
【0061】
素子構造を形成した後、MOCVD装置からウエハを取り出し、次に、積層した半導体層を、エッチングにより微細加工し、レーザ素子としての共振器構造を形成する。図7に示すように、取り出したウエハ表面(p側コンタクト層112表面)に所望のパターン状のSiO膜をフォトリソグラフィー技術により形成し、前記n側コンタクト層104が露出するまでエッチングして、図15(a),(b)に示すように、n電極形成面を設ける。次に、以下のようにして、n側コンタクト層103を露出させなかった領域に、図6に示すリッジストライプを形成する。先ず、p側コンタクト層112表面に、SiO2よりなるマスクを形成し、フォトリソグラフィー技術により幅1.8μmのストライプ状のSiO2よりなるマスクとする。SiCl4ガスを用いてRIEにより、p側コンタクト層112、およびp側クラッド層111、p側光ガイド層110の一部をエッチングして除去し、リッジストライプを形成後、さらにPVD装置にウエハを搬送してSiOからなるマスクの上から形成したリッジストライプの露出した表面にかけて、Zr(主としてZrO)よりなる保護膜162(埋込層)を0.5μm厚さで形成し、ウエハをフッ酸に浸漬し、SiOのマスクをリフトオフ法により除去する。このようにして、図7に示すようなストライプ状の導波路領域として、幅1.8μmのリッジストライプが形成され、この時リッジストライプはp側光ガイド層が0.1μmの膜厚となる深さまで形成されている。この時、埋込層は、Zrの酸化物に限らず、Ti、V、Nb、Hf、Ta、Zrよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物、SiN、BN、SiC、AlNの少なくとも一種、若しくはそれらを組み合わせたもの、上部クラッド層111と逆導電型のn型、半絶縁性、i型の窒化物半導体(InAlGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1))を用いることができる。また、リッジストライプは、下地層(横方向成長層)102の低欠陥密度領域内に設けられるように、その上方に配置にする。窒化物半導体の埋込層を成長させる場合には、リッジ及び埋込層の上に、p側コンタクト層を再び形成しても良く、素子積層時に、p側コンタクト層を形成せずに、埋込層形成後、p側コンタクト層を形成しても良い。
最後に、前記エッチングにより露出したn側コンタクト層104、p側コンタクト層112表面にそれぞれTi/Alよりなるn電極121、Ni/Auよりなるp電極120(図6に示すようにリッジストライプ表面に設けられた保護膜162にわたって形成される)を形成する。次に、SiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜の反射膜164を設けた後、p,n電極上にNi−Ti−Au(1000Å−1000Å−8000Å)よりなる取り出し(パット)電極122,123をそれぞれ設けた。共振器反射面とするエッチング端面側から約600μmの長さで、各電極に電気的に接合する取り出し電極122,123を絶縁膜である反射膜164を介して形成する。この時、活性層108の幅は、200μmの幅(共振器方向に垂直な方向の幅)であり、n側コンタクト層104露出時に設けられたエッチング端面(活性層端面を含む)にもSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜164が設けられ、共振器面とした場合に反射膜となる。続いて、図15(c)、図16に示すように、エッチングにより形成されたエッチング端面19よりも外側の領域(図11(a))をエッチングにより除去して、基板10を露出させ、基板表面に素子領域14が配置された状態にする。
【0062】
素子加工工程の後、基板を第2の主面側から研磨により除去して、図5に示すように、除去領域40を除去して基板を薄くする。このとき、ウエハの厚さ(基板+成長層)は、約100μmとする。
【0063】
基板を薄くした後、溝部形成工程として、図3に示すように、幅100μmのストライプ状の溝部を、溝部20底面と界面との間隔tが約40μmとなるように、ダイサーを用いて溝部を形成する。このとき、溝部は分断予定ラインにあわせて形成するため、図11(b)において、真ん中の素子領域14において、BB、DD切断位置に対応して、溝部を設けるため、ストライプの間隔は共振器長よりも短くする。
【0064】
溝部形成後、亀裂形成工程として、図4に示すように亀裂形成治具52としてスクライブにより切り欠き21と亀裂41を形成し、図1に示すように基板と半導体層との界面に達する亀裂を設ける。亀裂を観察すると、ほぼ半導体層と基板との界面付近に達する深さで形成されていた。
【0065】
最後に、図14(b)に示すように、凹面側に押圧治具51を当てつけて、ウエハを分割する。このとき、分割面が窒化物半導体のM面となるように、図4において、オリフラ面のA面にほぼ平行な方向に基板分割する。分割位置は、図11(a)に示すように、素子領域14の両端面付近に設定して、共振器面を劈開面として形成する。このようにして得られたバーを、さらに上記M面に垂直なA面で基板をスクライブにより分割し、レーザチップを得る。
得られるレーザ素子は、室温で閾値電流密度2.5kA/cm2、閾値電圧4.5Vで、発振波長405nm、30mWの連続発振で、1000時間を超える長寿命、高出力のレーザ素子が得られる。また、基板分割工程における歩留まりは、約90%となり、比較例に比べて、大幅に歩留まりを向上させることができる。
【0066】
[実施例2]
実施例1において、図14(a)に示すように、凸面側である成長層30表面に、押圧治具51を当て付けて、基板10の第2の主面において引張応力が掛かり、ウエハの反りを戻す方向に押し割り、ウエハを分割する他は、実施例1と同様にして、レーザ素子を得る。バー状とする際の分割工程における歩留りは、実施例1に比べて低下する傾向にあるが、比較例1に比べて亀裂が設けられているため、歩留まり向上を実現できる。
【0067】
[実施例3]
実施例1と同様に、サファイア基板(C面)の上に、GaNからなる低温成長バッファ層を下地層11として形成し、続いた以下のLED素子構造を素子形成層13として形成する。
n側コンタクト層:Siを4.5×1018/cmドープしたGaN 2.25μm
n側第1多層膜層:アンドープGaN 200nm/Siを4.5×1018/cmドープしたGaN 30nm/アンドープGaN 5nmを積層した多層膜
n側第2多層膜層:アンドープGaN、4nmの第1の層とアンドープIn0.13Ga0.87N、2nmの第2の層とを、1対として、交互に10層ずつ、10対積層して、最後に第1の層を積層した多層膜
活性層:アンドープGaN、膜厚20nmよりなる障壁層(B)と、アンドープIn0.4Ga0.6N、膜厚3nmよりなる井戸層(W)を交互に、(B)/(W)/(B)・・・(B)の順で積層して、障壁層5層、井戸層4層からなる多重量子井戸構造の活性層
p側クラッド層:Mgを1×1020/cmドープしたp型Al0.2Ga0.8N、膜厚4nmの第3の層、Mgを1×1020/cmドープしたIn0.03Ga0.97N、膜厚2.5nmの第4の層とを、1対として、交互に5層ずつ、5対積層して、最後に第3の層を積層した超格子構造の多層膜
p側コンタクト層:Mgを1×1020/cmドープしたp型GaN
続いて、チップが1辺350μmのほぼ正方形となるように、図9に示すように、格子状に溝部を形成するほかは、実施例1と同様にして、窒化物半導体のM面で劈開して、ウエハをバー状とする。次に、n型コンタクト層の一部を露出させ電極形成面とし、p、n型コンタクト層の上に、それぞれp電極、n電極を形成し、基板の第1主面側に正負一対の電極が形成された発光素子とする。続いて、バー状のウエハを、劈開した面に垂直(M面に垂直なA面)に劈開して、チップを得る。得られるチップは、図9(b)に示すように、基板の第2の主面側に、溝部が形成されたことによる凸部が設けられ、基板の第2の主面側から効率よく光が取り出され、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0068】
このように、溝部を基板の第2の主面側に設けて、溝部底面で、分割ラインとすることで、得られる素子チップは、図9(b)〜(d)に示すように、基板の裏面(第2の主面)に溝部による凸部が形成されるものとなる。図9(b)は、素子の四辺の端面を、その素子の辺に対応して溝部形成して、基板分割することにより得られる形態を説明するものであり、図からわかるように、素子の全ての端面に沿って溝部が形成され、基板分割されることで形成され、基板裏面の凸部はこの場合、素子端面よりも素子内部側に凸部側面、すなわち、溝部の側面に対応する基板端面が形成される。このように、基板表面と平行でない基板面(凸部の端面)が、基板裏面に複数設けられることで、基板裏面からの光の取り出し効率を高めることができる。また、図9(c)は、この変形例を示すものであり、基板裏面に、凸部が複数設けられるものであり、これにより、基板表面に平行でない凸部の端面が多く設けられるものとなり、裏面から取り出される光を効率よく散乱させることができる素子形状となる。また、更にこれらの変形例として、図9(d)に示すように、基板裏面に凸部が形成され、素子チップの分離において、チップ端面の一部が溝部形成及びその溝部に沿って基板分割して得られる端面が形成され、基板の分割面と異なる位置、すなわち素子の内部側に、凸部が離間して設けられ、別のチップ端面の一部
が分割面と同じ面が形成され、すなわち凸部側面と基板分割面が同じとなる端面として形成される形態も採ることができる。この素子形状は、実施例1におけるレーザ素子チップの形状となる。以上説明したように、基板裏面に、溝部形成による凸部が設けられること、すなわち、基板表面に平行でない凸部側面、基板にほぼ平行な凸部上面、及び、溝部底面などのように、基板面が多面体を有することで、素子構造13内の発光層から出射された光が、様々な角度でその基板面に当たることとなり、基板裏面が一様な面(1つの面)である場合に比較して、光がチップ外部に効率的に取り出される構造とでき、またその光は適度に分散されたものとなり、LEDなどのような発光素子において、優れた指向性、光取り出し効率のチップ形状となる。このように、基板側から光を取り出すには、フェースダウンでチップを基体に載置することで効率よく光を利用でき、具体的には、図11、18などに示すように基板の同一面側(第1の主面側)に正負一対の電極60、61を有するフリップチップタイプの素子において、電極が設けられた基板面を、それを載置する基体側に載置して、基体から遠くにある基板裏面から良好に光を取り出せる構造として、載置できる。また、溝部形成の際に、ダイサー、ワイヤーソーなど機械的な方法により基板の一部を除去した場合には、溝部の底面、側面などが機械的な除去により粗い表面となり、これも光の取り出し、分散に寄与するものとなる。
【0069】
図9において、図9()のチップは、上述したように図9(b)、(c)に示すチップと異なり、基板分割面(基板端面)と基板裏面の凸部の側面が同一面として形成された構造となっている。このような形状の基板とするには、基板裏面側に溝部が形成され、凹凸が設けられた基板裏面に、その溝部に交差する基板分割ラインでもって、スクライブなどを当てこすることが困難となることから、ダイサーなどでバー状のウエハをフルカットする方法と、ダイサーなどでハーフカットすることなどにより、新たな溝を設けて押し割る方法、基板表面(第1の主面)に切り欠きなどを設けて押し割る方法がある。実施例1のように、端面出射型のレーザ素子では、互いにほぼ平行で対向する一対の共振器端面を基板分割により設ける場合には、図4に示すようにストライプ状の溝部を設けて、その溝部内に基板分割ラインを形成して、基板分割することで、共振器面の一方若しくは両方を基板分割で形成してレーザバーとし、バーをチップ状に分割する際に基板裏面に溝部を設けないで、チップにすると、図9(d)に示すように、チップ端面の一部が基板分割面と基板の凸部と同一面(同一分割面)となる。このように、本発明の基板分割により短冊状のレーザバーとした後のチップに細分化する分割は、特に半導体層の劈開面がチップ端面に必要とする場合を除いて上記従来知られた様々な手段を用いることができる。具体的には、図11において、半導体層、若しくは発光層を分割しないAA切断位置、図18、19におけるBB切断位置、では、図18、19に示すように、本発明の基板分割によりレーザバーなどのバー状ウエハを形成した後の工程となり、発光層を切断しない場合には、ダイサーなどでフルカットする手段を用いることができ、半導体層端面、発光層端面が形成される分割位置では、基板表面側、若しくは半導体層表面にスクライバーなどで切り欠きを設けて、基板分割できる。
【0070】
このように、図9(d)に示すように、基板の分割面と異なる位置に、基板裏面の凸部側面が設けられることで、図中の矢印でレーザ光が出射される様子を示すように、その分割面が出射面である場合には、例えば、光ディスクシステムにおいて、ディスクの記録層からの戻り光が発生するが、この形状の凸部が形成されることで、出射面から素子内部側に設けられた凸部側面に多くの戻り光が当たる形状とでき、戻り光の雑音を低減できる。ここで、図9(d)において、点線部は、発光層を示し、図中のハッチングを施した領域は出射光のスポットを示すものである。
【0071】
[比較例1]
実施例1において、基板除去工程後、溝形成工程、亀裂形成工程を具備せずに、図13に示すように、スクライブにより切り欠きを第2の主面側に設けた後、ブレイキングにより押し割るほかは、実施例1と同様にして、レーザチップを得る。
【0072】
基板分割において、分割の歩留まりは、約20%だった。
【0073】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、基板上に、窒化物半導体を用いた素子構造を有する半導体層が設けられ、基板裏面側を凹面とする反りが形成されたウエハにおいて、歩留まり良く基板分割が可能となる。また、サファイア基板などのように、窒化物半導体層と堅さのことなる基板を用いた場合でも、良好な分割面が得られ、また、基板の結晶方位に関係なく、半導体層の劈開面が得られるため、窒化ガリウムの劈開による共振器反射面を、歩留まりよく形成することができ、良好なレーザ素子、端面発光素子をえることができる。
【0074】
さらに、本発明の製造方法では、従来問題であった異種基板を用いて、下地層が厚膜化することによる基板の反りが形成されたウエハであっても、良好に半導体層の劈開面を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る亀裂形成・基板分割(ウエハの切断分離)工程を説明する模式断面図。
【図2】本発明に係る亀裂形成工程、基板除去・薄膜化工程を説明する模式断面図。
【図3】本発明に係る溝部形成、亀裂形成工程を説明する模式断面図。
【図4】本発明に係る亀裂形成工程を説明する模式的な斜視図。
【図5】本発明に係る基板除去・薄膜化工程、亀裂形成工程を説明する模式断面図。
【図6】本発明に係る素子構造について説明する模式断面図。
【図7】本発明に係る下地層(横方向成長層)について説明する模式断面図。
【図8】本発明において、ウエハの反りの形態を説明する模式断面図。
【図9】本発明に係る溝部の形状、及びウエハを切断分離して得られる素子チップにおける基板裏面の凸部形状を説明する模式的な斜視図。
【図10】本発明における下地層を説明する模式断面図。
【図11】本発明に係る分割工程における切断分離位置を説明する模式断面図。
【図12】従来のウエハ切断を説明する模式断面図。
【図13】従来のウエハ切断を説明する模式断面図。
【図14】本発明に係る素子領域の形態、形成工程を説明する模式的な斜視図。
【図15】本発明に係る素子領域の形態、形成工程を説明する模式的な斜視図。
【図16】本発明に係る素子領域の形成によりウエハの反りの形態が変化する様子を説明する模式断面図。
【図17】従来の反りを有するウエハの切断における電極の分離形態を説明する模式断面図。
【図18】本発明に係る素子領域の形態、形成工程、基板分割工程を説明する模式的な斜視図。
【図19】本発明に係る素子領域の形態、形成工程、基板分割工程を説明する模式的な斜視図。
【符号の説明】
10・・・基板(10s:基板表面、第1の主面)、 11,12・・・バッファ層(下地層)、 13・・・素子形成層(素子構造)、 14・・・素子領域、 15・・・レーザバー、 17・・・分割面、 19・・・エッチング端面、 20・・・溝部、 21・・・切り欠き(けがき)、 30・・・半導体層、 40・・・除去領域、 41,42・・・割れ(亀裂)、 50・・・台座(押圧基体)、 51・・・押圧治具、 52・・・切り欠き治具、 60・・・p電極、 61・・・n電極

Claims (9)

  1. 第1の主面と該第1の主面に対向する第2の主面とを有する基板の前記第1の主面上に積層された窒化物半導体を有する発光素子構造と、
    前記基板の第2の主面側に溝部が設けられて、該溝部底面で離間されて該溝部に対応した端面を有する複数の凸部と、を備え、
    前記凸部が前記第2の主面に平行でない複数の端面を各々し、
    前記発光素子構造から出射された光を前記凸部により散乱させて前記第2の主面側から取り出す窒化物半導体発光素子。
  2. 前記複数の凸部の全側面は前記基板の側面より内側にあり、前記溝部の底面及び側面は粗い表面を有する請求項1記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記溝部の形状は、ストライプ状、格子状、ドット状、円形状である請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記第1の主面の一部が露出されて、前記発光素子構造の素子領域が複数設けられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記凸部は、窒化物半導体の単体基板である前記基板の第2の主面側に形成された溝部により設けられる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 前記第1の主面側に正負一対の電極を設け、該第1の主面側を基体に載置し、前記基板の第2主面側を光取り出し面とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  7. 第1の主面と該第1の主面と対向する第2の主面とを有する基板の前記第1の主面上に、窒化物半導体を有する発光素子構造が積層されたウエハを分割して窒化物半導体発光素子チップを形成する窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
    前記基板の第2の主面側に底面を有する溝部を形成することにより複数の凸部を形成する工程と、
    前記窒化物半導体発光素子チップに複数の前記凸部を含む分割位置で前記ウエハを分割する工程と、を有し、
    前記凸部が複数の端面を各々有し、
    前記窒化物半導体発光素子チップは、前記発光素子構造から出射された光を前記凸部により散乱させて前記第2の主面側から取り出す窒化物半導体発光素子の製造方法。
  8. 記分割位置を前記溝部内に設ける請求項7に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  9. 前記溝部は、エッチング、ダイシング、スクライブ、ワイヤーソーから選ばれる少なくとも1種により形成される請求項7または8に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
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