JP4223175B2 - 光走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル複写機、レーザプリンタ、レーザファックス等の画像形成装置の書き込みユニットに用いられる光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
この種の光走査装置としては、例えば特開平10−239611号公報に開示されている偏向走査装置がある。この装置は、レーザ光を出射するレーザユニットと、レーザユニットからのレーザ光を偏向するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーを支持して回転駆動する駆動モータと、ポリゴンミラーからのレーザ光を回転ドラムに結像する結像レンズとを合成樹脂製の光学箱に備え、光学箱の底壁の外面に溝を形成し、この溝に剛性を有する金属板を取り付けるようにしたものである。
【0003】
すなわち、樹脂製の光学箱の底部に一体的に金属板を成形することで剛性を向上させ、偏向器の回転振動が光学素子に伝搬して画像劣化を生じさせることを防止しているが、この方式では、外部からの振動、本体ステーを通じて伝搬してくる像担持体や現像等の駆動要素に起因する振動を低減することが困難である。また金属板を光学箱の中心部に埋め込むことによって重量が中心部に集中するため、本体ステー取付部周辺の光学箱樹脂部に大きな応力が作用し、そのため外部振動に対して光学ユニット全体がゆらいで画質が劣化することが懸念されるという問題がある。また、金属板を一体成形あるいは新たに追加することでコストアップとなるという不都合もある。
【0004】
そこで本発明は、画像形成装置本体の像担持体や現像ローラ等の駆動要素の回転により発生する振動が伝搬し、それによって光学素子が振動することで発生するバンディング等の画像劣化や、偏向器自体の高速回転による振動での画像劣化等の問題を、いずれも簡単な構造で防止し、高画質化を図ることが可能な光走査装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る光走査装置は、上記目的を達成するために、光源と、該光源から出射した光束を集光する集光レンズと、該集光レンズからの光束を偏向させる偏向器と、該偏向器の偏向反射面近傍に上記集光レンズからの光束を線状に集光する第一結像系と、上記偏向器により偏向された光束を被走査面上に等速走査させかつ光スポットとして集光する第二結像系とを有し、像担持体上に静電潜像を記録する光走査装置において、上記光源、集光レンズ等の光学素子を保持する光学ハウジングの底部に、上記光学ハウジングを画像形成装置本体等へ取り付けるための取付部から上記光学ハウジングの中央部に向かって漸次変化する形状を有する振動伝搬減衰用の凹凸部を設け、上記凹凸部のうち上記偏向器の周辺に設けるものは、該偏向器から上記光学ハウジングの外周部に向かって漸次変化する形状を有するものであることを特徴とする。
【0007】
同請求項2に係るものは、上記目的を達成するために、上記凹凸部を、上記光学ハウジングの底部の表裏両面に設けてなることを特徴とする。
【0008】
同請求項3に係るものは、上記目的を達成するために、上記凹凸部を、上記光学ハウジングを画像形成装置本体等への取り付けるための取付部を中心として放射状に配列してなることを特徴とする。
【0010】
同請求項4に係るものは、上記目的を達成するために、上記光学ハウジングの取り付け先となる画像形成装置本体等のユニットや部材等の重心位置やその直近位置に対応する位置で上記光学ハウジングの底面に突起を設け、該突起を画像形成装置本体等のユニットや部材等に突き当てて上記光学ハウジングを設置可能としてなり、かつ上記光学ハウジングの底部の上記突起の周辺に上記凹凸部を設けてなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る光走査装置の一実施形態の平面図で、上蓋を外して内部の光学素子が見える状態としてある。光学ハウジング1に取り付けたLDユニット2からの光束Lは、シリンダレンズ3によってポリゴンスキャナ4の偏向反射面の近傍に線状に結像し、ポリゴンスキャナ4が図中時計方向に回転することによって図の左から右に感光体9を走査するようになっている。ポリゴンスキャナ4によって偏向された光束は、第二結像系であるfθレンズ5によって主走査、副走査方向に所定のスポット径に絞り込まれ、防塵ガラス8を透過して感光体9上を等速走査する。また有効走査幅の直前に同期検知用の折り返しミラー6を配置して同期検知板7上の光センサ(PD)に光束を導き、PDからの信号を基準として所定のタイミングで画像データを書き込むことによって静電潜像を得ている。
【0012】
光学ハウジング1はバスタブ形状を有し、内側にポリゴンスキャナ4等々の光学素子を配置して保持し、図示していない上蓋で覆うことによって光学ハウジング1内をほぼ密閉状態とし、これによって防塵を図れるようになっている。
【0013】
また光学ハウジング1には、画像形成装置本体等への取り付けのために、感光体9に対する前後方向(図1では上下方向)の両端縁にフランジ状の張り出し部10a、10bを設け、図示せぬ画像形成装置本体側のステーに複数本の止めネジ11でネジ止めするようになっている。本実施形態では4点止めとなっており、図示は省略してあるが、光学ハウジング1の底部1aの底面に円形の座面を設け、画像形成装置本体等に対して所定の位置を保持して締結するようになっている。なおこれも図示していないが、光学ハウジング1の底部1aの底面側に基準ボスを設け、これを画像形成装置本体のステーに嵌合させることで感光体9に対する位置精度を向上させることも行える。
【0014】
本実施形態において画像形成装置本体のステー等から伝搬してくる、感光体9、図示せぬ現像ローラ等の駆動要素に起因する振動を減衰させ、あるいは振動伝搬を防止する構造を、図2ないし図4を参照して以下詳細に説明する。
【0015】
図2は、図1のA−A断面図であり、光学ハウジング1の底部1aに設けた張り出し部10aの部分のみを示してあるが、この張り出し部10a、10bの上下両面には、4分環状の凹凸部12を、感光体9等の振動が入ってくる部位となる止めネジ11の取付ネジ穴11aを中心として底部1aの中心側に向けて放射状(同心円状)に設けてある。凹凸部12はいずれもこの図に示すように振動の伝搬方向に対して肉厚が漸次かつ繰り返し変化し、これによって底部1aを伝わる振動を減衰させてゆき、最終的にはほぼ振動が伝搬しないようになっている。
【0016】
この凹凸部12の断面形状変化は、本実施形態では、肉厚がいったん絞られた状態から底部1aの中心側へ向かうに連れて双曲面状に増えていき、底部1aの平均肉厚に達するとまた絞られた後、再び双曲面状に増えていくという変化を複数回繰り返す構造となっている。すなわち、画像形成装置本体の駆動系等から光学ハウジング1を構成する材料内部を伝わる振動を、漸次肉厚が変化する複数の凹凸部12で減衰させるものである。断面が長方形の材料では、材料内部をストレートに伝わる波動と、材料表面での反射を繰り返す波動が存在し、これらが合成されて伝搬するが、凹凸部12では底部1aの平均肉厚よりも絞られているためにストレートに伝搬する波動が減少し、さらに双曲面状にしてある表面での反射は鉛直方向に絞られた部分でカットされ、したがって合成された波動が減衰することになる。
【0017】
なお図示の実施形態では、画像形成装置本体側に取り付けてあるステー13への取付部となる取付ネジ穴11aの周囲にはすべてこの構造を設けてある。もちろん画像形成装置本体等へ取り付ける部位の個数は図示の例のものに限定されず、また取り付け形態も図示のようなネジを用いるものに限定されない。さらに凹凸部12は底部1aの片面側だけに設けても振動の減衰、伝搬防止に効果があるが、もちろん図示の例のように両面に設けるほうが好ましい。
【0018】
図3は、図1のB−B断面図であり、ポリゴンスキャナ4の取付部周辺を示してある。ポリゴンスキャナ4は、回転体としての不釣り合いによってその回転自体が回転に対応した周波数の振動源となる。そこで本実施形態では、ポリゴンスキャナ4の軸受部4aを光学ハウジング1の底部1aに設けた穴14に嵌合させ、かつ底部1aに設けてある4点のボス15にポリゴンスキャナ基板16をネジ止めすることで保持してある。そして、この取り付け用のボス15の周囲にも、肉厚が漸次変化する凹凸部17を底部1aの両面に設けてある。本例では凹凸部17が1サイクルだけの変化のものとしてあるが、張り出し部10a、10bのものと同様に複数回形状が変化するように設けてもよい。但しこの凹凸部17は、張り出し部10a、10bに設けたステー13からの振動伝搬防止用の凹凸部12とは、肉厚変化の位相が逆にしてあり、ポリゴンスキャナ4自体の振動を減衰させて他の光学素子に伝搬するのを防ぐようにしてある。この凹凸部17も、底部1aの片面側だけに設けても振動減衰、伝搬防止に効果があるが、図示の例のように両面に設けるほうが好ましい。
【0019】
図4は、図1のC−C断面図、すなわち光学ハウジング1の光軸方向の断面図で、画像形成装置本体側に取り付けてある書込ユニット等のほぼ重心位置の鉛直上でステー13に突き当たるように底面部1aにボス18を設け、その周辺にも肉厚が漸次変化する凹凸部19を底部1aの両面に設けてある。ボス18は、ステー13と突き当たることによってステー13に連結する書込ユニット等の振動をいわば直接的に抑えることになる。また凹凸部19は、ボス18を介して伝搬する振動を減衰させ、伝搬を防止する。なお凹凸部19の肉厚変化の位相は、ステー13への締結部分、すなわち張り出し部10a、10bの凹凸部12と同じにしてある。もちろんこの凹凸部19も、底部1aの片面側だけに設けてもよいし、図示の例のように両面に設けてもよい。なおボス18を設ける位置は書込ユニット等の重心位置のまさに直上であればもっとも望ましいが、重心位置に直近の位置の上であってもよい。
【0020】
図5は凹凸部の形状変形の他の例を示す断面図である。この凹凸部20は、肉厚の変化が曲面ではなく加工の容易な直線状に変化するように構成してある。この構造でも十分に振動減衰、伝搬防止効果を得ることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の光走査装置は、以上説明してきたように、画像形成装置本体内の駆動系等からの振動伝搬を、光学ハウジングの底部に設けた漸次凹凸部で減衰させることができるので、大幅なコストアップなしで構成でき、これを画像形成装置に用いればバンディングのない高画質画像を達成することができるという効果がある。
【0022】
また、漸次形状変化する凹凸部で光学ハウジングの底部内を伝搬しようとする振動を効率的に減衰させることができるという効果がある。
【0023】
本発明の光走査装置のうち請求項4に係るものは、上記共通の効果に加え、光学ハウジングの取り付け先となる画像形成装置本体等のユニットや部材等の全体を揺らす低周波の振動に対しても、それらユニットや部材等の重心位置やその直近位置に設けた光学ハウジング底部のボスを画像形成装置本体等のユニットや部材等に突き当てることによって抑えることが可能で、ボスから直接に伝搬する振動に対しても凹凸部で減衰させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光走査装置の一実施形態の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】凹凸部の形状変形の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光学ハウジング
1a 光学ハウジングの底部
2 LDユニット
3 シリンダレンズ
4 ポリゴンスキャナ
4a ポリゴンスキャナの軸受部
5 fθレンズ
6 折り返しミラー
7 同期検知板
8 防塵ガラス
9 感光体
10a、10b 張り出し部
11 止めネジ
11a 取付ネジ穴
12、17、19、20 凹凸部
13 ステー
14 穴
15、18 ボス
16 ポリゴンスキャナ基板
L 光束
Claims (4)
- 光源と、該光源から出射した光束を集光する集光レンズと、該集光レンズからの光束を偏向させる偏向器と、該偏向器の偏向反射面近傍に上記集光レンズからの光束を線状に集光する第一結像系と、上記偏向器により偏向された光束を被走査面上に等速走査させかつ光スポットとして集光する第二結像系とを有し、
像担持体上に静電潜像を記録する光走査装置において、
上記光源、集光レンズ等の光学素子を保持する光学ハウジングの底部に、上記光学ハウジングを画像形成装置本体等へ取り付けるための取付部から上記光学ハウジングの中央部に向かって漸次変化する形状を有する振動伝搬減衰用の凹凸部を設け、
上記凹凸部のうち上記偏向器の周辺に設けるものは、該偏向器から上記光学ハウジングの外周部に向かって漸次変化する形状を有するものであること
を特徴とする光走査装置。 - 上記凹凸部を、上記光学ハウジングの底部の表裏両面に設けてなることを特徴とする請求項1の光走査装置。
- 上記凹凸部を、上記光学ハウジングを画像形成装置本体等への取り付けるための取付部を中心として放射状に配列してなることを特徴とする請求項1または2のいずれかの光走査装置。
- 上記光学ハウジングの取り付け先となる画像形成装置本体等のユニットや部材等の重心位置やその直近位置に対応する位置で上記光学ハウジングの底面に突起を設け、該突起を画像形成装置本体等のユニットや部材等に突き当てて上記光学ハウジングを設置可能としてなり、かつ上記光学ハウジングの底部の上記突起の周辺に上記凹凸部を設けてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの光走査装置。
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