JP4220586B2 - プローブカード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC,LSI,VLSIなどの半導体素子の電気的な導通試験や動作試験、不良検出などに用いるプローブ装置用プローブカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プローブカードとしては、プローブピンにタングステン線を用いたものが知られている。これは、タングステン線の先端をくの字に曲げて半導体の評価用電極部に接触させるようにした構造であるが、タングステン線の線径が太く、急速な半導体の微細化傾向に追従できないという問題がある。
【0003】
そこで、基板上に略垂直に微細ピンを植え付けた垂直ピン型のプローブカードが考案されている。例えば、シリコン基板上に棒状単結晶をVLS法(Vapour Lquid Solid)で作成し、棒状単結晶をプローブカードのプローブピンに用いる方法が提案されている(特開平5−198636号公報、特開平5−218156号公報)。
【0004】
この方法では、例えば、SOIウエハーを利用して、配線パターンと該配線上の所定位置にVLS法で成長した棒状単結晶とを有する基板を得て、その後前記配線と棒状単結晶とに導電性を付与することで、ICの電極に対応した数百〜千本ものプローブピンを位置精度高く有するコンタクターが得ることができる。
【0005】
コンタクターは、実使用において、電気的な導通試験や動作試験、不良検出などに用いるプローブ装置本体に設置されるテスター部に結線させるとともに、半導体素子の電極部とプローブピン先端部でコンタクトさせるために、配線回路を有する基板上に搭載される。
【0006】
しかし、コンタクターを基板上に搭載する場合、プローブピンの膨大な数に対応して、配線が必然的に超ファインピッチの配線パターンとなり、コンタクター上の配線部から基板上の配線回路部にハンダ付けなどで直接に配線することはできない。そこで、扇状に配線回路を形成したフレキシブル配線回路(以下、FPCという)を用いることで、配線パターンの拡大が図られたり、超ファインピッチの配線回路部分には異方導電接着フィルムで接合することが図られている(図2参照)。
【0007】
上記の工夫を採用することで、コンタクター上の回路は、拡大された配線回路となり、該拡大された配線回路を基板上の配線回路に導線をハンダ付けすることができる。しかし、上記工夫をしても、超ファインピッチの回路を拡大した配線回路部は広がり幅が大きくなり、実用上一枚では不可能となるため、多数枚に分割したFPCの拡大部を重ね合わせる構造となる。
【0008】
従って、コンタクターの基板への搭載作業においては、コンタクターへ異方導電接着フィルムでFPCを接合する前に、FPCの拡大パターン部に線を付けておき、しかるのちに、コンタクターへ接合することになる。次いで、基板の貫通孔などを経由させ裏面で所定の位置(テスター部への結線が容易である位置)に配線する。
【0009】
上記搭載作業において、配線はランダムに重なり合っているので、FPCと配線のハンダ部を外し、配線部を再利用することはハンダ付けを実施するスペースがないこと、例えスペースがあったとしてもハンダによる短絡などが回避できないため、実質上不可能に近い。また、膨大な配線の結線作業には多くの時間と労力、ことに、わずかな接触などでピンが破損したりゴミが付着するため、慎重な取扱いが必要であり、大きな問題となっている。
【0010】
このように従来のプローブカードは、複雑な配線構造を有するがために、プローブカードの実使用におけるトラブル、例えば一部のプローブピンに破損を生じたりして、コンタクターのみを交換したい場合でも、プローブカード単位で交換しなければならないという問題点を抱えているし、実質的に破損等の不都合を生じたプローブカードの再生は困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プローブカードの組立、特に、配線に関わる重労働を簡略化することにあり、他の目的としては、プローブピンに破損等の不都合が生じたときに、コンタクターとその周辺部のみを交換することで、補修が可能なプローブカードを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を解決するために鋭意検討した結果、基板上に脱着可能なコネクターを設け、該コネクターを介してFPCで拡大した配線導体と基板上の配線回路とを結線するとき、コネクター近傍部が着脱可能であり、従って、コンタクター側の結線作業と、基板側の配線回路の結線作業とが分離でき、結線作業の作業性が非常に良くなるということを見いだし、本発明に至ったものである。
【0013】
即ち、本発明は、プローブピンの数に対応する配線回路を有する多層のプリント配線基板と該プリント配線基板表面上に台座を介して固定された垂直ピン型のコンタクターとからなるプローブカードであって、上述のコンタクターが、多ピン化に対応できるシリコン棒状単結晶からなる上述のプローブピンとSOI基板の薄膜S i 単結晶層からなる外部引出し用回路とを有し、上述のコンタクター上の上述の外部引出し用回路と上述のプリント配線基板上の上述の配線回路とが、フィルム状の異方導電性接着剤、扇状に導体パターンを拡大した複数のフレキシブル配線回路、及びフレキシブル配線用コネクターを順に介して、配線を群別として分割し、該フレキシブル配線回路の配線拡大部を空間的に重ね合わせる構造によって電気的に接続され、しかも上述のフレキシブル配線回路と上述のフレキシブル配線用コネクターとが、上述のプリント配線基板のコンタクター固定位置に隣接する位置に上述のコンタクターと一体に取り外しできるように設けられていることを特徴とするプローブカードであり、好ましくは、プローブピンがVLS法で成長した単結晶からなることを特徴とする上述のプローブカードである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のプローブカードの一例を示す断面図である。配線回路12を有する基板7の一主面上に、略垂直のプローブピン1が基板(コンタクター基板)3上の回路2上に設けられてなるコンタクターが、台座6を介して設けられている。図示されていないが、コンタクターと台座6、並びに台座6と基板7とは、一般的に、ネジ固定されているが、嵌合されていたり、或いは、前者及び/又は後者の接合のいずれか一方で分割することが可能である限り、接着剤により固定していても構わない。
【0015】
コンタクター上の回路2は、異方導電性接着剤4を介してFPC5に電気的に接続され、FPC5は更に基板7上に設けられているコネクター10に接続される。コネクター10の端子は、基板7上の端子8、更に配線回路12を経由して外部結線用の端子9へと接続されている。前記コネクター10は、コンタクターに近接して設けることが、後述のプローブカードの分割に際して、作業し易く、更にコンパクトなプローブカードを得ることができるので好ましい。また、コネクター10としては、いろいろな種類のものが知られているが、フレキシブル配線用コネクターを選択するとき、前記FPC5によりフレキシブルなものが選択でき、しかも回路接続、並びに回路切断が容易に行えることから、好ましい。
【0016】
本発明のプローブカードは、上記の構造を有するので、プローブカードから、コンタクター、異方導電性接着接着剤4、PFC5、必要に応じて台座6(以下、コンタクターとその関連部分といい、前記部分を除く他の部分を、配線回路基板部分という)を一体に取り外すことができるという特徴を有する。そして、この特徴故に、プローブカードの使用時に万一プローブピンが破損した場合には、前記コンタクターとその関連部分を交換することで容易に修理することができるし、配線作業自体についても、前記コンタクターとその関連部分と、配線回路基板部分とに分割して別々に作業することができ、作業性が著しく改善され、安価にプローブカードを製造できるという効果をも得ることができる。
【0017】
本発明に用いるコンタクターはどの様な方法で製造してもよいが、VLS法で位置を制御して多数本の棒状単結晶を基板に略垂直に成長させ、該棒状単結晶をプローブピンとしたコンタクターが、多ピン化に対応できることや位置制御性が容易であることなどから好ましい方法である。
【0018】
本発明において、基板に搭載されるコネクターの大きさについて、その高さは、半導体素子等の検査をする際にプローブピン先端が被検査体に接触する以前にコネクターが被検査体と接触しないようにするために、搭載されるプローブピン先端よりも低いことが必要である。上記の理由で、コネクターの厚さは薄いほど有利であるが、一方で、脱着可能なコネクターとして機能するための機械的強度を確保する等の理由からその厚さには最小限度が存在し、本発明者らの検討によれば、その最小限度の厚さは1.5mm程度である。一方、コネクターの厚さの最大限度については、プローブピン先端部の平行度制御の観点から5mm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明のプローブカードの作製する方法を、VLS法で得られるコンタクターを用いる場合で例示するが、本発明は下記例示にのみに限定されるものではない。
【0020】
まず、プローブピンと回路とを有するコンタクターに用いる基板については、得られるコンタクターの熱膨張率が、被検査体の半導体素子と位置精度高く相対する必要から、半導体素子の熱膨張率近いことが望まれ、シリコンの単結晶基板が重用される。特に、酸化膜を形成した2枚のシリコン単結晶を熱融着させ、一方の単結晶層を研磨などで薄膜化した、いわゆるSOI基板は、薄膜Si単結晶層、酸化膜SiO2層、Si単結晶層、酸化膜SiO2層の多層構造を有し、この構造を利用して、薄膜Si単結晶層からなる回路を容易に形成でき、好ましい。
【0021】
即ち、SOI基板の薄膜Si単結晶層をホトリソグラフイやエッチングなどの方法を用いて加工して、外部引出し用回路(以下、単結晶回路という)を形成し、該単結晶回路上の所定の位置に金バンプを設ける。次に、例えば、四塩化珪素と水素などのガスを加熱条件下で導入する方法で珪素を供給し、前記金バンプの位置にシリコンの棒状単結晶を基板に対し略垂直に成長させる、即ち、VLS法にて棒状単結晶を有する基板を製造する。
【0022】
次いで、研磨により棒状単結晶の長さを揃え、更に、棒状単結晶および単結晶回路のそれぞれの表面に導電性物質を被覆する等の方法で導電化して、コンタクターを得る。上記の方法で得られるコンタクターは、プローブピンの位置精度が高く、かつ、熱膨張係数などの特性などが半導体素子と同じSi単結晶でできていることから、高密度、高集積度の半導体用のプローブカード用のコンタクターとして好適である。
【0023】
次に、上記操作で作製されたコンタクターをプローブカードとして用いるために配線回路を有する基板に搭載し、プローブピン毎に結線されている単結晶回路を該基板上の配線回路とを結線する。基板としては、プローブピンの数に対応する配線が必要であり、その数は数百〜数千回線にものぼるので、通常多層のプリント配線基板が用いられる。
【0024】
しかし、回線数が数百〜数千にものぼる配線を結線する場合、配線は必然的に超ファインパターンとなるので、直接的に結線することは困難である。そこで、扇状に導体パターンを拡大したFPCを利用することが好ましい。この場合においても、拡大された部分の幅が大きくなり、FPC自身のサイズが大きくなり、基板上に実質的に搭載できなくなることがある。このときには、複数のFPCを用い、配線を群別として分割し、FPCの配線拡大部を空間的に重ね合わせる構造を採用すれば良い。尚、単結晶回路とFPC上の超ファインパターンとの結線については、市販のフィルム状の異方導電性接着剤を用いて結線することができる。
【0025】
FPCの拡大された回路を基板上の配線回路に結線する場合、FPC上の回路が拡大しているとは言え、0.4〜0.6mmピッチの微細なパターンであること、又、基板からの配線は多重に重なり合っていることから、所望の位置に結線することは容易でない。このため、従来は、FPC上の拡大された回路に、顕微鏡下で、ハンダを用いて導線を接合しておき、該導線のそれぞれに番号をマークした後、FPCとコンタクターとを異方導電性接着剤を用いて接合し、ボードに搭載し、ボードに配線する方法が実施されてきたものである。本発明では、予め基板の所望の位置に、コネクターを搭載しておくことで、配線作業を短時間に容易に行うことができる。即ち、FPCを結線したコンタクターを基板上に搭載して、FPCをコネクターに挿入セットすることのみで組立が終了し、プローブカードを得ることができる。尚、コネクターはコンタクター固定位置に隣接するように予め基板上に設けられていることが望ましいが、FPCの取り付けスペースをも考慮して、一般的にはコンタクターとコネクターとの最短距離が10〜20mmとすることが好ましい。
【0026】
配線回路を有する基板の外部出力用端子部は、一般的には接点形状とするが、他の配線回路を有する基板に実装しえるような電極形状、或いはこれらに代えてコネクターを設けること等、どのような形態であっても構わない。
【0027】
以下、実施例にもとづき、本発明を更に詳細に説明する。
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕
<コンタクターの作製>
SOIウエハーを用いて単結晶回路を形成し該単結晶回路上に、被検査体の半導体素子の電極位置に対応して、460本のシリコン棒状単結晶をVLS成長法を用いて成長させた。棒状単結晶は太さ18μm、長さ約1500μmであった。棒状単結晶の先端を研磨して長さを1300μmに揃え、単結晶回路とともに、無電解ニッケルメッキ後、1.5μmの厚さに金メッキした。更に、プローブピン側面を絶縁処理した後、メッキに使用した電極部を切断してコンタクターを作製した。
【0029】
<コンタクターへのFPCの結線>
扇状に拡大した導体ライン数95本を有するポリイミドフィルムベースFPCを4枚、対面に扇状に拡大した導体ライン数40本を有するFPC2枚を異方導電接着フィルムを介して前記コンタクターの単結晶回路に結線した。
【0030】
<基板上へのSMT型FPC用コネクターの搭載>
直径20cmの円盤状多層樹脂基板上のコネクター電極に対応した導体端子部にハンダペーストを印刷した後、SMT型FPC用コネクター(日本航空電子工業社製)を搭載し、加熱接合した。
【0031】
<プローブカードの組立>
コネクターの搭載してあるボードのほぼ中央部に3mm厚さのチタン製台座を介してFPCの接合されたコンタクターを搭載し、FPC端部をコネクターに挿入セットして組立を終了した。尚、台座は固定ネジにより基板中央部に固定した。この組立時間は約1時間で終了した。
【0032】
〔実施例2〕
コンタクターへのFPCの結線までは実施例1と同じ操作であるが、基板上へのSMT型FPC用コネクターの搭載においては、SMT型FPC用コネクターの電極に対応した導体端子部を有する直径10cmの円盤状補助基板が搭載してある基板にハンダペーストを印刷し、SMT型FPC用コネクター(日本航空電子工業社製)を設置して加熱接合した。尚、プローブカードの組立は、実施例1と同じ操作とした。この時の組立時間は約1時間であった。
【0033】
〔比較例〕
実施例1と同じコンタクターを用い、FPCの拡大端子部に絶縁被覆線をハンダ付けして、配線の順番を10本単位でマークして結束した。次に、異方導電接着フィルムを介して超ファイン部をピンチップに接合した。これらの作業に約8時間を費やした。
【0034】
次いで、多数の絶縁被覆線が付いているFPCを接合したピンチップをボード上に搭載して固定して、ボードの配線接合位置で1本づつ絶縁被覆線の被覆を剥しハンダ付けした。これらの作業は微細なピン群が搭載されているため、接触やゴミ付着など細心の注意を要し慎重に実施した結果、作業終了まで約30時間を要し、作業員の過労から結線位置のエラーが発生した。
【0035】
【発明の効果】
本発明のプローブカードは、コンタクター上の回路と基板上の配線回路とがコネクターを介して電気的に接続されているので、コンタクターとその関連部分と配線回路基板部分とが容易に分割される特徴を有している。このため、従来のプローブカードでは達成できなかった、部分的な修理が可能となったし、また、分割した状態で配線作業を行うことができ、短時間に安定してプローブカードを製造できるという格別の効果を有し、その工業的価値は高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプローブカードの一例を示す断面図
【図2】 従来公知のプローブカードの断面図
【符号の説明】
1 プローブピン
2 コンタクター上の回路(単結晶回路)
3 コンタクター基板
4 異方導電性接着剤
5 FPC
6 台座
7 基板
8 基板上の配線回路上の端子
9 基板上の配線回路上の端子(外部結線用)
10 コネクター
11 導線
12 基板内部の配線回路
13 ハンダ
Claims (2)
- プローブピンの数に対応する配線回路を有する多層のプリント配線基板と該プリント配線基板表面上に台座を介して固定された垂直ピン型のコンタクターとからなるプローブカードであって、前記コンタクターが、多ピン化に対応できるシリコン棒状単結晶からなる前記プローブピンとSOI基板の薄膜S i 単結晶層からなる外部引出し用回路とを有し、前記コンタクター上の前記外部引出し用回路と前記プリント配線基板上の前記配線回路とが、フィルム状の異方導電性接着剤、扇状に導体パターンを拡大した複数のフレキシブル配線回路、及びフレキシブル配線用コネクターを順に介して、配線を群別として分割し、該フレキシブル配線回路の配線拡大部を空間的に重ね合わせる構造によって電気的に接続され、しかも前記フレキシブル配線回路と前記フレキシブル配線用コネクターとが、前記プリント配線基板のコンタクター固定位置に隣接する位置に前記コンタクターと一体に取り外しできるように設けられていることを特徴とするプローブカード。
- 前記プローブピンがVLS法で成長した単結晶からなることを特徴とする請求項1記載のプローブカード。
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