JP4219486B2 - X-ray tube device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線CT装置などに使用されるX線装置に係り、特にX線管装置に収納される回転陽極X線管の回転陽極構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、X線CT装置の性能向上は著しく、画像処理技術などが特に進歩している。計測データを取り込むX線検出器に関しては、X線による気体の電離作用を応用したガスチャンバー方式に代り、受光感度の高い半導体を用いた固体検出器が使用され、X線CT装置の画質の向上に大きく貢献している。このような技術の進歩に対し、X線発生源であるX線管装置に関しては、次に述べるような問題がある。
【0003】
X線CT装置では、X線管装置から放射された厚さ1〜10mm程度の扇状のX線が被検体を透過し、被検体によって減弱を受けた後に、X線検出器によって受光されて、X線検出器からX線減弱信号(計測データ)として出力され、このX線減弱信号が画像再構成処理されて、被検体の断層像が得られる。この過程で、従来のX線管装置ではX線源である焦点の移動が生じるため、断層像上にアーチファクトを発生し、X線CT装置の画質向上の妨げとなっている。
【0004】
最近では、X線検出器として固体検出器が主流となっており、この固体検出器の高感度という性能を十分に発揮し、さらに最高の画質を提供するためには、X線管装置の焦点移動問題を解決することが必要である。
【0005】
上記の焦点移動はX線管の回転陽極が使用中に熱を蓄積して熱膨張により伸長することに起因する。X線CT装置では、断層像の画像処理を行う際に、あらかじめ被検体を挿入せずに計測データを取り込み補正係数を決定するキャリブレーション操作を行う。実際に断層像の撮影を開始すると、X線管装置ではX線曝射に伴いX線管の回転陽極のターゲットに熱が発生する。このX線曝射を繰り返すことにより、ターゲットに熱が蓄積し、ターゲットの温度は950〜1,000℃に上昇する。このターゲットの温度上昇により回転陽極自体がX線管軸方向に熱膨張し、ターゲット上の焦点が移動することになる。
【0006】
現在のX線管装置では、この焦点移動量は200〜400μm程度である。これに対し、上記の補正係数が許容できる焦点移動量の許容範囲は100μm以内である。この許容範囲を越えて焦点位置が移動すると、断層像上にアーチファクトなどが発生し、画像劣化が起こる。
【0007】
次に、図6を用いて従来のX線管装置での焦点移動の具体的内容を説明する。図6は、従来のX線管装置に内挿された回転陽極X線管の構造とX線CT装置のコリメータとの関係を示している。図6において、回転陽極X線管1は陽極2と、これに対向して配置された陰極3と、陽極2と陰極3を真空気密に封入する外囲器4とから成る。回転陽極X線管1の使用中には、陽極2と陰極3との間に高電圧が印加され、陰極3のフィラメントから放出された電子流5が陽極2のターゲット6に衝突しX線8を放射する。陰極3からの電子流5が衝突する部分が焦点7であり、X線8は焦点7をX線源として放射される。
【0008】
上記のX線管装置をX線CT装置に搭載して使用する場合、X線8はX線CT装置に取り付けられているコリメータ9のスリット10で必要な厚さの扇状のX線ビーム8に絞られる。X線管装置の使用開始時点ではX線曝射回数が少ないので、回転陽極2は殆ど熱膨張せず、ターゲット6は実線の位置にあり、X線ビーム8はA点に放射される。しかし、X線曝射回数が増加するとターゲット6を含む回転陽極2の温度が上昇し、回転陽極2を構成する部材が熱膨張する。その結果、ターゲット6の位置は破線で示したターゲット6Aの位置まで移動し、それに伴い焦点7も、ターゲット6A上の焦点7Aの位置まで移動する。そのため、コリメータ9のスリット10を通過するX線ビーム8も、X線ビーム8Aの位置に移動し、B点に向けて放射される。X線ビーム8を検出するX線検出器ではX線ビーム8の位置の移動量ΔL11から焦点移動量を検出する。この移動量ΔL11が許容範囲を越えると断層像の画像処理に悪影響を及ぼす。このため、この移動量ΔL11の許容値に対応して、焦点移動量の許容値が設定される。
【0009】
上記焦点移動の問題の対処技術の一例として、X線管装置を回転陽極X線管の管軸方向に移動する機構を付加したものがある。この技術では、X線CT装置のX線管装置支持台に、モータ駆動にてX線管装置をX線管軸方向に移動させることができる機構を設け、焦点移動量の計測結果に対応させて、焦点移動の方向とは逆の方向にX線管装置を移動させて、焦点移動量を補償するものである。また、上記対処技術の他の例として、焦点移動量の計測結果に対応させて、X線検出器をX線管軸方向に移動する技術も実用されている。
しかし、これらの技術は機械的にX線管装置やX線検出器を数百μmの精度で移動することになるため、駆動機構が複雑になり、また支持部が大きくなる。その結果、X線CT装置のコスト上昇の要因となり、またX線CT装置の小型化に支障をきたしている。
【0010】
また、最近のX線CT装置では、短時間で多くの断層像を得るために、500万ヒートユニット(HU:熱量の単位で、約0.71ジュール)以上の大熱容量のターゲットを持つX線管装置を搭載し、1断層像を0.5秒で撮影する(または1スキャンを0.5秒で行う)技術が開発されている。この技術ではX線管装置を搭載するスキャナが従来に比べ約2倍の高速度で回転するためX線管装置にかかる遠心力が大幅に増加すること、およびターゲットの熱容量の増加によりターゲットが大型化し、これを支持する部分に大きな荷重がかかることから、X線管の回転陽極の機械的強度の向上が必要となっている。これに対応するため、X線管装置自体の構造に関しては、強度向上、焦点移動低減の要請から、回転陽極の軸受を支持する固定部を、従来の銅製に比べ強度が高く、熱膨張率が小さい鉄製などにしているものもある。
【0011】
しかし、回転陽極の軸受を支持する固定部を鉄製にした場合、機械的強度向上および焦点移動量低減の効果は銅製のものに比べて格段に向上するが、鉄の熱伝導率が銅の約1/5で、格段に小さくなるために、軸受の部分の温度が上昇する。軸受の潤滑には固体潤滑材が使用されているが、軸受の温度が上昇すると、高耐熱性の固体潤滑材が必要となり、従来の固体潤滑材をそのまま使用した場合には、X線管の回転寿命が短縮するという問題がある。
【0012】
また、X線管装置自体での焦点移動低減の対処技術の一例として特開平9−63522号公報に開示されているものがある。この技術は、X線管容器内の回転陽極X線管の陽極を支持する部材にヒータを取り付けて加熱することにより、この支持部材を焦点移動方向とは逆の方向に熱膨張させて、焦点移動量を相殺して補償するものである。しかし、ヒータの加熱操作では、焦点移動量の変化に対する追従が難しく、さらにコントローラ等の外部機構を設ける必要があることで、コスト上昇の問題もある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した如く、X線管装置の焦点移動の問題およびターゲットの大容量化に伴う回転陽極への荷重の増加の問題については種々の改善が行われているが未だ不十分な状態にある。このため、本発明では、回転陽極構造を改良し、焦点移動量を大幅に低減し、かつX線CT装置の0.5秒スキャン時の遠心力に耐え得る機械的強度を有するX線管装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のX線管装置は、ターゲットと、ターゲットを支持するロータと、ロータを支持する回転軸と、回転軸を回転自在に支持する軸受と、軸受を支持する固定部から構成される回転陽極と、電子流を放出してターゲット上にX線源となる焦点を形成する陰極と、回転陽極と陰極とを絶縁支持し真空気密に封入する外囲器とを具備する回転陽極X線管を防X線・防電撃構造のX線管容器内に収納するX線管装置において、前記固定部が軸受を支持する内筒部と、内筒部の外周を被う外筒部から構成され、前記内筒部は前記外筒部よりも熱伝導率の大きい金属材料から成り、前記外筒部は前記内筒部よりも機械的強度が高く、熱膨張率の小さい金属材料から成り、前記内筒部と前記外筒部が互いに対向する面の全領域で接合されるものである。
【0015】
この構成では、X線管装置に収納される回転陽極X線管の回転陽極の支持部である固定部が内筒部と外筒部とから成る二層構造となっていて、軸受を支持する内筒部は熱伝導率の大きい金属材料で作られ、外筒部は機械的強度が高く、熱膨張率の小さい金属材料で作られている。このため、固定部全体では、機械的強度については外筒部の高強度特性が発揮され、熱膨張特性については外筒部の高強度が内筒部の熱膨張を抑制するため、外筒部の低熱膨張特性が発揮され、熱伝導特性については内筒部の高熱伝導特性が発揮される。この結果、X線CT装置での高速スキャンやターゲットの大熱容量に伴う重量増加に耐え得る機械的強度が得られ、また回転陽極を構成する部品の中で全長が最も長い固定部の熱膨張による伸び量が大幅に減少することにより、焦点移動量が大幅に低減され、更に軸受を支持する内筒部の高熱伝導率により、軸受の温度上昇が抑制される。
【0016】
本発明のX線管装置では更に、前記固定部の内筒部が銅から成り、外筒部がモリブデンまたはモリブデン合金から成るものである。この構成では、内筒部が熱伝導の大きい銅から成り、外筒部が機械的強度が高く、熱膨張率の小さいモリブデンまたはモリブデン合金から成るので、請求項と同じ効果が得られる。モリブデンまたはモリブデン合金の熱膨張率は従来品の銅と比べて約1/4となるので、焦点移動量が大幅に低減される。また、銅も、モリブデンまたはモリブデン合金も電子管材料として比較的入手しやすいので、製作上およびコスト上の問題は少ない。
【0017】
本発明のX線管装置の回転陽極を構成する固定部の製作方法は、先ず内周の寸法を外筒部の内径寸法に合わせカップを上記の外筒部材料を用いて加工し、カップの内周寸法にゆるく嵌合する外周寸法を持つ軸材を上記の内筒部材料から加工し、次にカップに軸材を挿入し、真空加熱炉を用いて内筒部の材料の融点以上に加熱して軸材を溶かして、固定部鋳造体を作り次に固定部鋳造体から、内筒部と外筒部を有し、軸受を支持する穴部および陽極端を備えた固定部を切削加工などにより加工する。この方法では、外筒部が内筒部の全長の2/3以上被う固定部を作ることができる。
【0018】
本発明のX線管装置の回転陽極を構成する固定部の製作方法では更に、上記の固定部鋳造体の製作手順により、本体用鋳造体と陽極端用鋳造体の2個の固定部鋳造体を作り、両鋳造体が嵌合により接続されて一体の固定部鋳造体となるように、両鋳造体の嵌合する端部を加工した後、両鋳造体を嵌合してろう付けなどにより接合し、軸受を支持する穴部および陽極端などの加工を行い、固定部を完成させる。この方法では、外筒部が内筒部をその全長にわたって被う固定部を作ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明のX線管装置に内挿される回転陽極X線管の一実施例の断面図、図2は回転陽極X線管の回転陽極の拡大断面図である。図3は従来のX線管装置に内挿される回転陽極X線管の回転陽極の拡大断面図で、本発明との比較説明をするため、および従来品の問題点を詳細に説明するために示したものである。また、図4,図5は本発明に係る回転陽極の固定部の製作方法を説明するための図である。
【0020】
本発明の実施例の詳細を説明する前に、図3を用いて従来品の問題点について説明する。図3は、従来品の回転陽極部の拡大断面図である。特に、焦点移動に関係する部分を重点的に示している。図3において、回転陽極2は、ターゲット6と、ターゲット6を支持するロータ20と、ロータ20を支持する回転軸25と、ロータ20と回転軸25を接続する断熱キャップ24と、回転軸25を回転自在に支持する軸受26A,26B(以下、26Aを高温側軸受、26Bを低温型軸受という)と、軸受26A、26Bを固定・支持する固定部28とから成る。また、ロータ20は、ターゲット支持軸21とロータ肩部22と円筒部23とから成り、ロータ20の各構成部品は鋳造またはろう付けにより接続されている。これらの部品のうち、焦点移動に関係する部品は、ターゲット6と、ロータ20のターゲット支持軸21およびロータ肩部22と、断熱キャップ24と、回転軸25と、固定部28である。
【0021】
これらの部品は、回転陽極2の温度上昇時に熱膨張するが、ターゲット6とターゲット支持軸21とロータ肩部22と回転軸25と固定部28は焦点移動量を大きくする方向に熱膨張し、断熱キャップ24は焦点移動量を小さくする方向に熱膨張する。
【0022】
上記の部品の材料に関しては、従来耐熱性、機械的強度、軸受26A,26Bの許容温度などを考慮して選択されていた。一例をあげると、ターゲット6の基板部には、モリブデンまたはモリブデン合金(焦点面はタングステンまたはタングステン合金であり、裏面側には熱容量を大きくするために、グラファイト板が接合されている)、ターゲット支持軸21にはモリブデンまたはモリブデン合金、ロータ肩部22にはステンレス鋼(モリブデンまたはモリブデン合金が選択される場合もある)、断熱キャップ24にはステンレス鋼、回転軸25には工具鋼、固定部28には銅が使用されている。固定部28に銅を使用しているのは熱伝導を良くして、軸受26A,26Bの温度を低くするためである。
【0023】
上記の回転陽極を用いた従来のX線管装置において、ターゲット温度が約1,000℃になったときの焦点移動量は約400μmである。焦点移動量に関与するものとしては、上記の回転陽極部とX線管容器内の陽極支持構造体とがあり、発明者達の実験では、前者は焦点移動量を増大させる方向に熱膨張するが、後者は焦点移動量を減少させる方向に熱膨張する。実験例では、回転陽極部の熱膨張による分が約+600μmで、陽極支持構造体の熱膨張による分が約−200μmで、両者が一部相殺されて、焦点移動量は約+400μmとなっている。
【0024】
また、上記の回転陽極部の熱膨張による伸びのうち、約60%以上が固定部28の伸びである。固定部28は回転陽極2の端部にあり、絶縁油に接しているため温度上昇は小さいが、その全長が長くて、熱膨張率が大きい(材料が銅であるため)ことから、全体の伸び量が大きくなっている。
【0025】
固定部28の熱膨張による伸びを低減するためには、熱膨張率の小さい材料を適用することが考えられる。例えば、材料として熱膨張率の小さいモリブデンまたはモリブデン合金を選択した場合、モリブデンの熱膨張率は4.0×10-6(1/℃)であるので、銅の17.1×10-6(1/℃)に対し、約1/4となり、固定部28の熱膨張による伸びは大幅に低減できる。
【0026】
しかし、固定部28の全体にモリブデンまたはモリブデン合金を適用した場合、モリブデンの熱伝導率は33.2×10-6(kcal/s・mm・℃)で、銅の約1/3と小さくなる。このため、使用時にターゲット6に発生する熱が回転軸25に伝導した場合、軸受26から固定部28を通しての放熱が悪くなるため、回転軸25および軸受26の温度が上昇し、回転軸25の一部を構成要素とする軸受26に施されている固体潤滑材の劣化(蒸発または磨耗など)を促進することになり、結果的に回転寿命の短縮を起こす原因となる。
【0027】
以上のことを考慮して、本発明のX線管装置の回転陽極では、固定部の構造の改良を行うことにより、機械的強度を向上し、軸受の温度上昇を抑制し、焦点移動量を低減したものである。
【0028】
次に、本発明のX線管装置の一実施例について図1,図2を用いて説明する。
図1に示されている回転陽極X線管は本発明のX線管装置に内挿されるものである。図1において、この回転陽極X線管1Aは、回転陽極2Aを除いて、図6に示した回転陽極X線管1とほぼ同じ構造のものである。回転陽極2Aは固定部28Aの構造が異なり、固定部28Aが内筒部29と外筒部30とで構成されていることに特徴がある。回転陽極2Aの構造の詳細については図2を用いて以下で説明する。回転陽極2Aのターゲットに対向して陰極3が配置され、回転陽極2Aと陰極3は外囲器4に絶縁支持されるとともに、外囲器4内に真空気密に封入されている。
【0029】
陰極3は、電子放出源としてフィラメントやフィラメントからの電子流をターゲット6の焦点7に集束するための集束電極を具備する。外囲器4は、焦点7から放射されたX線を外部に取出すためのX線放射窓12を具備する。回転陽極2Aは、ターゲット6を支持するロータ20と、ロータ20を支持する回転軸25と、ロータ20と回転軸25を接続する断熱キャップ24と、回転軸25を回転自在に支持する軸受26A,26Bと、軸受26A,26Bを支持する固定部28Aとを具備するので、ターゲット6は固定部28Aによって回転自在に支持されている。
【0030】
本発明のX線管装置においても、従来品と同様に、回転陽極X線管は防X線、防電撃構造のX線管容器内に収納されている。回転陽極X線管はX線管容器内で、陽極側を陽極支持構造体により、陰極側を陰極支持構造体により、X線管容器の内壁に絶縁支持されている。回転陽極X線管の陽極および陰極にはX線管容器に取り付けられた2個のケーブルレセプタクルを経由して、正、負の高電圧および陰極のフィラメント加熱電圧が導入される。X線管容器内には絶縁油が充填され、高電圧の絶縁とX線管の冷却を行っている。回転陽極X線管の陽極のロータの周りには陽極を回転駆動するためのステータが配置される。ステータは絶縁物のステータ支持体で支持されるが、このステータ支持体は陽極支持構造体と一体化されている場合が多い。X線管容器の中央部側面には、X線管のX線放射窓と位置を合わせて、X線を取り出すためのX線放射窓が取り付けられている。
【0031】
図2は、回転陽極の拡大断面図である。図2において、回転陽極2Aは、ターゲット6と、ロータ20と、断熱キャップ24と、回転軸25と、軸受26と、固定部28Aとで構成されている。ロータ20はターゲット支持軸21とロータ肩部22と円筒部23から成る。ターゲット支持軸21はターゲット6を支持し、ロータ肩部22はターゲット支持軸21と円筒部23を支持するとともに、ロータ20と断熱キャップ24との接続を行っている。ロータ肩部22と断熱キャップ24との接続は、ねじ締結によって行っている。円筒部23は銅の円筒から成り、X線管のロータ20の外側(X線管容器内)に配置されるステータ(図示せず)からの回転磁界を受けて回転駆動力を発生する部分である。断熱キャップ24はロータ20から回転軸25への熱伝導を抑制して軸受26が温度上昇しないようにする部品で、熱抵抗が大きくなるような構造をしている。回転軸25は2個の軸受26A,26Bにて回転自在に支持され、ターゲット6、ロータ20などを支持して回転するものである。回転軸25の軸受26A,26Bとの結合部には軸受26A,26Bの内輪溝が加工されていて、軸受26A,26Bの一部を構成している。固定部28Aは内筒部29と外筒部30とから成る二重円筒構造をしており、内筒部29にて軸受26A,26Bを支持している。
【0032】
固定部28Aの全体の構造としては、図3に示した従来品の固定部28とほぼ同じ構造をしているが、軸受26A,26Bの外周を支持する内筒部29と、内筒部29の外周を部分的に被う外筒部30とから成る。内筒部29は熱伝導率の大きい銅から成り、外筒部30は機械的強度が高く、熱膨張率の小さいモリブデンまたはモリブデン合金から成る。内筒部29の軸受26A,26Bが挿入される穴部32と陽極端33の構造は従来品の固定部28と同じ構造で、外筒部30は内筒部29の外周を穴部32の入口から陽極端33の近くまで被っている。このように機械的強度の低い銅から成る内筒部29を機械的強度の高いモリブデンまたはモリブデン合金から成る外筒部30で被うことにより、固定部28Aの機械的強度を格段に向上させることができる。
【0033】
この固定部28Aの構造では、ターゲット6から回転軸25を経由して軸受26A,26Bに伝導された熱は、軸受26A,26Bから円筒部29に伝熱した後、一部分は外筒部30を経由して伝導するが、大部分は熱伝導率の大きい銅から成る内筒部29を経由して陽極端33に達し、X線管の外部に放熱される。このため、固定部28Aの放熱効率は従来品の固定部28と比べて殆ど低下しないので、軸受26A,26Bの温度上昇を抑制することができる。
【0034】
また、固定部28Aを二重円筒構造にしたことにより、内筒部29の銅の高い熱膨張が外筒部30のモリブデンまたはモリブデン合金の低い熱膨張により抑制される機構になっている。このため、固定部28A全体としての熱膨張による伸び量は外筒部30のモリブデンまたはモリブデン合金の熱膨張による伸び量とほぼ同じになる。また、固定部28Aの各部の温度も上述の如く内筒部29を銅としたことの効果により温度上昇が抑制されているため、X線管の使用中の固定部28Aの熱膨張による伸び量は、従来品の固定部28と比較して、約1/4に低減することができる。この結果、固定部28Aの長さを、例えば140mmとした場合、固定部28Aでの熱膨張による伸び量の低減は約270μmとなる。従って、本発明の固定部28Aの適用により焦点移動量の大幅な低減効果が得られる。以上の説明では、内筒部29の材料を銅に、外筒部30の材料をモリブデンまたはモリブデン合金としたが、これに限定されず、内筒部29の材料としては熱伝導率の大きい金属材料、外筒部30の材料としては機械的強度が高く、熱膨張率の小さい金属材料であれば良い。
【0035】
また、本発明の回転陽極の各部品の材料選択にあたっては、回転陽極の機械的強度の向上、焦点移動量の低減、軸受の温度上昇の抑制を判断基準にしている。材料選択の一例を上げると、ターゲット6には焦点面がタングステンまたはタングステン合金、基板がモリブデンまたはモリブデン合金、裏面接合体がグラファイトを、ターゲット支持軸21にはモリブデンまたはモリブデン合金を、ロータ肩部22にはモリブデンまたはモリブデン合金あるいはステンレス鋼を、円筒部23には銅を、断熱キャップ24にはステンレス鋼を、回転軸25には工具鋼を、軸受26には高強度鋼を、固定部28Aの外筒部30にはモリブデンまたはモリブデン合金を、内筒部29には銅を使用している。
【0036】
本実施例の回転陽極2Aにおいて、機械的強度を要する部分である、ターゲット6、ターゲット支持軸21、ロータ肩部22、断熱キャップ24、回転軸25、軸受26、固定部28Aの外筒部30には高強度の金属材料が使用されている。上記の如く固定部28Aについて外筒部30を設けて補強したことにより、回転陽極2A全体としての機械的強度が上昇し、本発明のX線管装置をX線CT装置に適用した場合、高速スキャン時の遠心力などにも耐えることができる。
【0037】
次に、以上で説明した本発明の固定部28Aの製作方法について図4,図5を用いて説明する。
図4は、本発明の固定部の製作方法の第1の実施例を示したものである。初めに、図4(a)に示す軸材40を銅材から、図4(b)に示すカップ41をモリブデンまたはモリブデン合金材から切削加工などにより作成する。次に、カップ41の中に軸材40を挿入し、真空加熱炉を用いて約1100℃に加熱し、軸材40を溶かし、図4(c)に示す固定部鋳造体42を作成する。次に、この固定部鋳造体42を切削加工などして、図4(d)に示す固定部28Aを作成する。
【0038】
図4(a)において、銅軸40の外周は一様な外径であってもよい。しかし、この段付き外径をカップ41の段付き内径と対応させて、若干のすきまをつけて加工しておくと後工程の鋳造でひけ巣の発生がなくなる。図4(c)において、固定部鋳造体42に銅の窪み43が生じる場合があるので、固定部鋳造体42の長さは固定部28Aとして必要な部分がとれるように長めの寸法に設定してある。図4(d)の固定部28Aの加工においては、カップ41の外形寸法が鋳造時に殆ど変形しないため、カップ41の外径および全長を基準にして、穴部32、外筒部30の外周、陽極端33の加工を容易に行うことができる。
【0039】
図5は、本発明の固定部の製作方法の第2の実施例を示したものである。第1の実施例で製作した固定部28Aは、その一部である陽極端33の部分がモリブデンまたはモリブデン合金から成る外筒部30で被われていない部分がある。図4の第1の実施例では、陽極端33の部分をモリブデンまたはモリブデン合金で被うことができないためである。しかし、銅の熱膨張を固定部の全長にわたって抑制するためには、固定部全体をモリブデンまたはモリブデン合金で被ったほうがよい。第2の実施例は陽極端33までモリブデンまたはモリブデン合金で被うことを可能にした方法である。
【0040】
図5において、初めに、図5(a)に示す陽極端用銅軸46と、図5(b)に示す本体用銅軸45とを銅材から、次に図5(c)に示す陽極端用カップ48と、図5(d)に示す本体用カップ47とをモリブデンまたはモリブデン合金材から切削加工などにより作成する。次に、陽極端用カップ48の中に陽極端用銅軸46を、本体用カップ47の中に本体用銅軸45をそれぞれ挿入し、真空加熱炉を用いて約1100℃に加熱し、銅軸45,46を溶かし、陽極端用鋳造体(図示せず)および本体用鋳造体(図示せず)を作成する。次に、陽極端鋳造体から図5(e)に示す固定部陽極端51を、本体用鋳造体から図5(e)に示す固定部本体50を切削加工などにより作成する。固定部陽極端51と固定部本体50とは中心軸方向に嵌合できるように加工する。次に、固定部本体50と固定部陽極端51との嵌合部の間に、例えば銀銅合金ろうなどのろう材を挟み、図5(e)の如く組み合せてろう付けする。次に、図5(f)に示す如く、穴部32、外周、陽極端33を切削加工などして、所定の形状寸法の固定部28Bを作成する。
【0041】
この第2の実施例によれば、内筒部29Bの全ての外周がモリブデンまたはモリブデン合金から成る外筒部30Bで被われた固定部28Bが得られるので、更なる焦点移動量低減効果が期待できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、回転陽極の固定部を二重円筒構造にし、外筒部を機械的強度が高く、熱膨張率の小さい材料で構成し、内筒部を熱伝導率の大きい材料で構成したことにより、(1)回転陽極全体の熱膨張による伸び量の低減、(2)軸受の温度上昇の抑制、(3)回転陽極の機械的強度の向上が可能となった。
【0043】
この結果、本発明のX線管装置をX線CT装置に適用した場合に、断層像の画像処理において画質低下の原因となっていた焦点移動量を低減することができるので、従来品の如く複雑な機構で焦点移動量の補償をすることなく、断層像の画質向上を図ることができ、システムの小型化、コスト低減が可能となる。また、X線管装置の軸受の温度上昇の抑制により、軸受の回転寿命を維持し、回転陽極の機械的強度の向上により、ターゲットの重量やX線CT装置の使用時の遠心力に耐えうる強度を持つことができるので、X線CT装置の高速スキャンにも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線管装置に内挿される回転陽極X線管の一実施例の断面図。
【図2】図1の回転陽極X線管の回転陽極の拡大断面図。
【図3】従来品の回転陽極部の拡大断面図。
【図4】本発明の固定部の製作方法の第1の実施例を示す図。
【図5】本発明の固定部の製作方法の第2の実施例を示す図。
【図6】従来のX線管装置に内挿されている回転陽極X線管の構造とX線CT装置のコリメータとの関係を示す図。
【符号の説明】
1,1A…回転陽極X線管(X線管)
2,2A…陽極(回転陽極)
3…陰極
4…外囲器
5…電子流(電子ビーム)
6,6A…ターゲット
7,7A…焦点(X線源)
8,8A…X線(X線ビーム)
9…コリメータ
10…スリット
11…移動量ΔL
12…X線放射窓
20…ロータ
21…ターゲット支持軸
22…ロータ肩部
23…円筒部
24…断熱キャップ
25…回転軸
26…軸受
26A…高温側軸受
26B…低温側軸受
28,28A,28B…固定部
29,29B…内筒部
30,30B…外筒部
32…穴部
33…陽極端
40…銅軸
41…カップ
42…固定部鋳造体
43…窪み
45…本体用銅軸
46…陽極端用銅軸
47…本体用カップ
48…陽極端用カップ
50…固定部本体
51…固定部陽極端[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an X-ray apparatus used in an X-ray CT apparatus and the like, and more particularly, to an improvement in a rotating anode structure of a rotating anode X-ray tube housed in an X-ray tube apparatus.
[0002]
[Prior art]
In recent years, the performance of X-ray CT apparatuses has been remarkably improved, and image processing techniques have been particularly advanced. For X-ray detectors that capture measurement data, solid-state detectors using semiconductors with high photosensitivity are used in place of gas chamber systems that apply gas ionization by X-rays, improving the image quality of X-ray CT systems. Has contributed greatly. In response to such technological advances, the X-ray tube apparatus, which is an X-ray generation source, has the following problems.
[0003]
In the X-ray CT apparatus, a fan-shaped X-ray having a thickness of about 1 to 10 mm radiated from the X-ray tube apparatus passes through the subject and is attenuated by the subject, and then received by the X-ray detector. An X-ray attenuation signal (measurement data) is output from the X-ray detector, and the X-ray attenuation signal is subjected to image reconstruction processing to obtain a tomographic image of the subject. In this process, since the focal point, which is an X-ray source, is moved in the conventional X-ray tube apparatus, artifacts are generated on the tomographic image, which hinders improvement in the image quality of the X-ray CT apparatus.
[0004]
In recent years, solid-state detectors have become mainstream as X-ray detectors, and the focus of the X-ray tube device is necessary to fully demonstrate the high sensitivity performance of this solid-state detector and to provide the highest image quality. It is necessary to solve the movement problem.
[0005]
The above focal shift is caused by the fact that the rotating anode of the X-ray tube accumulates heat during use and expands due to thermal expansion. In the X-ray CT apparatus, when performing tomographic image processing, a calibration operation is performed in which measurement data is acquired without inserting a subject in advance and a correction coefficient is determined. When tomography is actually started, in the X-ray tube apparatus, heat is generated in the target of the rotating anode of the X-ray tube along with the X-ray exposure. By repeating this X-ray exposure, heat accumulates on the target and the temperature of the target rises to 950 to 1,000 ° C. As the temperature of the target rises, the rotating anode itself thermally expands in the X-ray tube axis direction, and the focal point on the target moves.
[0006]
In the current X-ray tube apparatus, the focal distance is about 200 to 400 μm. On the other hand, the allowable range of the focus movement amount that the correction coefficient can accept is within 100 μm. If the focal position moves beyond this allowable range, artifacts and the like occur on the tomographic image, and image degradation occurs.
[0007]
Next, the specific contents of focus movement in the conventional X-ray tube apparatus will be described with reference to FIG. FIG. 6 shows the relationship between the structure of a rotary anode X-ray tube inserted in a conventional X-ray tube apparatus and the collimator of the X-ray CT apparatus. In FIG. 6, a rotary anode X-ray tube 1 is composed of an
[0008]
When the X-ray tube apparatus is used by being mounted on an X-ray CT apparatus, the
[0009]
As an example of a technique for coping with the above-described focus movement problem, there is a technique in which a mechanism for moving the X-ray tube device in the tube axis direction of the rotary anode X-ray tube is added. In this technique, a mechanism capable of moving the X-ray tube apparatus in the X-ray tube axis direction by motor drive is provided on the X-ray tube apparatus support base of the X-ray CT apparatus so as to correspond to the measurement result of the focal movement amount. Thus, the X-ray tube apparatus is moved in a direction opposite to the direction of focus movement to compensate for the focus movement amount. As another example of the above-described countermeasure technique, a technique for moving the X-ray detector in the X-ray tube axis direction in accordance with the measurement result of the focus movement amount is also in practical use.
However, these techniques mechanically move the X-ray tube device and the X-ray detector with an accuracy of several hundred μm, so that the drive mechanism becomes complicated and the support portion becomes large. As a result, the cost of the X-ray CT apparatus is increased, and the miniaturization of the X-ray CT apparatus is hindered.
[0010]
Moreover, in recent X-ray CT apparatuses, in order to obtain many tomographic images in a short time, an X-ray tube apparatus having a target with a large heat capacity of 5 million heat units (HU: about 0.71 joule). A technology has been developed that takes 1 tomogram in 0.5 seconds (or performs 1 scan in 0.5 seconds). In this technology, a scanner equipped with an X-ray tube device rotates at a speed approximately twice that of the conventional system, so that the centrifugal force applied to the X-ray tube device increases significantly, and the target heat capacity increases, resulting in a large target. Since a large load is applied to the portion supporting this, it is necessary to improve the mechanical strength of the rotary anode of the X-ray tube. In order to cope with this, with regard to the structure of the X-ray tube device itself, in order to improve the strength and reduce the focal shift, the fixed portion that supports the bearing of the rotary anode has a higher strength than the conventional copper and has a coefficient of thermal expansion. Some are made of small iron.
[0011]
However, when the fixed part that supports the bearing of the rotating anode is made of iron, the effects of improving the mechanical strength and reducing the amount of focal movement are significantly improved compared to those made of copper, but the thermal conductivity of iron is about that of copper. At 1/5, the temperature of the bearing rises because it becomes much smaller. Solid lubricant is used for bearing lubrication. However, if the bearing temperature rises, a solid heat-resistant lubricant is required. If the conventional solid lubricant is used as it is, the X-ray tube There is a problem that the rotation life is shortened.
[0012]
Moreover, there is one disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 9-63522 as an example of a countermeasure technique for reducing the focal shift in the X-ray tube apparatus itself. In this technique, a heater is attached to a member that supports the anode of the rotating anode X-ray tube in the X-ray tube container, and the support member is thermally expanded in a direction opposite to the focal movement direction, thereby focusing. The amount of movement is offset and compensated. However, in the heating operation of the heater, it is difficult to follow the change in the focal point movement amount, and there is a problem of cost increase because it is necessary to provide an external mechanism such as a controller.
[0013]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, various improvements have been made to the problem of the focal point movement of the X-ray tube apparatus and the increase of the load on the rotating anode due to the increase in the capacity of the target, but it is still insufficient. For this reason, the present invention provides an X-ray tube apparatus that has an improved rotary anode structure, greatly reduces the amount of focal movement, and has mechanical strength that can withstand the centrifugal force during a 0.5 second scan of the X-ray CT apparatus. The purpose is to do.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, an X-ray tube apparatus of the present invention includes a target, a rotor that supports the target, a rotating shaft that supports the rotor, a bearing that rotatably supports the rotating shaft, and a fixed that supports the bearing. A rotating anode composed of a portion, a cathode that emits an electron stream to form a focal point that becomes an X-ray source on the target, and an envelope that insulates and supports the rotating anode and the cathode and is sealed in a vacuum-tight manner In an X-ray tube apparatus that houses a rotating anode X-ray tube in an X-ray tube container having an X-ray and electric shock structure, the fixed portion covers an inner cylinder portion that supports a bearing and an outer periphery of the inner cylinder portion. Consists of an outer cylinder part, the inner cylinder part is made of a metal material having a higher thermal conductivity than the outer cylinder part, and the outer cylinder part has higher mechanical strength than the inner cylinder part and has a low coefficient of thermal expansion. Made of a metal material, the inner cylinder part and the outer cylinder part are mutually Opposite Do Plane It is joined in all areas.
[0015]
In this configuration, the fixed portion, which is the support portion of the rotary anode of the rotary anode X-ray tube housed in the X-ray tube device, has a two-layer structure including the inner cylinder portion and the outer cylinder portion, and supports the bearing. The inner cylinder part is made of a metal material having a high thermal conductivity, and the outer cylinder part is made of a metal material having a high mechanical strength and a low coefficient of thermal expansion. For this reason, the entire fixed portion exhibits the high strength characteristics of the outer cylinder portion with respect to mechanical strength, and the high strength of the outer cylinder portion suppresses the thermal expansion of the inner cylinder portion with respect to the thermal expansion characteristics. The low thermal expansion characteristic is exhibited, and the high thermal conductivity characteristic of the inner cylinder portion is exhibited for the thermal conductivity characteristic. As a result, mechanical strength that can withstand the increase in weight associated with high-speed scanning in the X-ray CT apparatus and large heat capacity of the target is obtained, and due to thermal expansion of the fixed part having the longest overall length among the components constituting the rotating anode. When the amount of elongation is significantly reduced, the amount of focal movement is greatly reduced, and furthermore, the increase in the temperature of the bearing is suppressed by the high thermal conductivity of the inner cylinder portion that supports the bearing.
[0016]
In the X-ray tube apparatus of the present invention, the inner cylindrical portion of the fixed portion is made of copper, and the outer cylindrical portion is made of molybdenum or a molybdenum alloy. In this configuration, the inner cylinder part is made of copper having a large thermal conductivity, and the outer cylinder part is made of molybdenum or a molybdenum alloy having a high mechanical strength and a low coefficient of thermal expansion. Since the thermal expansion coefficient of molybdenum or molybdenum alloy is about 1/4 compared to conventional copper, the amount of focal movement is greatly reduced. In addition, since copper, molybdenum or molybdenum alloy are relatively easily available as electron tube materials, there are few problems in manufacturing and cost.
[0017]
The manufacturing method of the fixed part constituting the rotary anode of the X-ray tube apparatus of the present invention is to first adjust the inner peripheral dimension to the inner diameter dimension of the outer cylindrical part and process the cup using the outer cylindrical part material described above. The shaft material with the outer circumference dimension that fits loosely into the inner circumference dimension is processed from the above inner cylinder part material, then the shaft material is inserted into the cup, and the melting point of the inner cylinder part material is exceeded using a vacuum heating furnace. Heat to melt the shaft material to make a fixed part cast body, then cut the fixed part from the fixed part cast body, which has an inner cylinder part and an outer cylinder part, and has a hole part for supporting the bearing and an anode end. Processed by processing. In this method, it is possible to make a fixing portion where the outer cylinder portion covers more than 2/3 of the entire length of the inner cylinder portion.
[0018]
In the method of manufacturing the fixed portion constituting the rotating anode of the X-ray tube apparatus of the present invention, two fixed portion castings of the main body casting and the anode end casting are further obtained by the above-described fixing portion casting manufacturing procedure. After processing the ends that fit both castings so that both castings are connected by fitting to form an integral fixed part casting, both castings are fitted and brazed, etc. Joining and processing the hole and anode end to support the bearing, and complete the fixed part. In this method, it is possible to make a fixing part in which the outer cylinder part covers the inner cylinder part over its entire length.
[0019]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the accompanying drawings.
FIG. 1 is a sectional view of an embodiment of a rotating anode X-ray tube inserted in the X-ray tube apparatus of the present invention, and FIG. 2 is an enlarged sectional view of the rotating anode of the rotating anode X-ray tube. FIG. 3 is an enlarged cross-sectional view of a rotary anode of a rotary anode X-ray tube inserted in a conventional X-ray tube apparatus, for comparison with the present invention and for explaining the problems of the conventional product in detail. It is shown. 4 and 5 are views for explaining a method of manufacturing the fixed portion of the rotating anode according to the present invention.
[0020]
Before describing the details of the embodiment of the present invention, the problems of the conventional product will be described with reference to FIG. FIG. 3 is an enlarged cross-sectional view of a conventional rotating anode part. In particular, the portion related to the focus shift is shown with emphasis. In FIG. 3, the rotating
[0021]
These components thermally expand when the temperature of the
[0022]
The materials for the above parts have been selected in consideration of heat resistance, mechanical strength, allowable temperatures of the
[0023]
In the conventional X-ray tube apparatus using the above-described rotating anode, the focal shift amount when the target temperature is about 1,000 ° C. is about 400 μm. Involved in the focal movement amount are the above-described rotating anode part and the anode support structure in the X-ray tube container. In the experiments conducted by the inventors, the former thermally expands in the direction of increasing the focal movement amount. However, the latter thermally expands in the direction of decreasing the focal amount. In the experimental example, the amount due to the thermal expansion of the rotating anode is about +600 μm, the amount due to the thermal expansion of the anode support structure is about −200 μm, and both are partially offset, and the focal shift amount is about +400 μm. .
[0024]
In addition, about 60% or more of the elongation due to thermal expansion of the rotating anode portion is the elongation of the fixed
[0025]
In order to reduce the elongation due to the thermal expansion of the fixed
[0026]
However, when molybdenum or molybdenum alloy is applied to the entire
[0027]
In consideration of the above, in the rotating anode of the X-ray tube apparatus of the present invention, by improving the structure of the fixed portion, the mechanical strength is improved, the temperature rise of the bearing is suppressed, and the focal shift amount is reduced. Reduced.
[0028]
Next, an embodiment of the X-ray tube apparatus of the present invention will be described with reference to FIGS.
The rotary anode X-ray tube shown in FIG. 1 is inserted into the X-ray tube apparatus of the present invention. In FIG. 1, this rotary anode X-ray tube 1A has substantially the same structure as the rotary anode X-ray tube 1 shown in FIG. 6 except for the rotary anode 2A. The rotating anode 2A is characterized in that the structure of the fixed
[0029]
The
[0030]
Also in the X-ray tube device of the present invention, the rotary anode X-ray tube is housed in an X-ray tube container having an X-ray and electric shock structure, as in the conventional product. The rotary anode X-ray tube is insulatively supported on the inner wall of the X-ray tube container by an anode support structure on the anode side and a cathode support structure on the cathode side in the X-ray tube container. The positive and negative high voltages and the cathode filament heating voltage are introduced into the anode and cathode of the rotating anode X-ray tube via two cable receptacles attached to the X-ray tube container. The X-ray tube container is filled with insulating oil to perform high-voltage insulation and cooling the X-ray tube. Around the rotor of the anode of the rotary anode X-ray tube, a stator for rotationally driving the anode is disposed. The stator is supported by an insulating stator support, which is often integrated with the anode support structure. An X-ray emission window for taking out X-rays is attached to the side surface of the central portion of the X-ray tube container in alignment with the X-ray emission window of the X-ray tube.
[0031]
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view of the rotating anode. In FIG. 2, the rotating anode 2A is composed of a
[0032]
The overall structure of the fixing
[0033]
In the structure of the fixed
[0034]
Further, since the fixed
[0035]
Further, in selecting materials for each component of the rotating anode of the present invention, the determination criteria are the improvement of the mechanical strength of the rotating anode, the reduction of the focal shift amount, and the suppression of the temperature rise of the bearing. As an example of material selection, the focal plane of the
[0036]
In the rotating anode 2A of the present embodiment, the
[0037]
Next, a method for manufacturing the fixing
FIG. 4 shows a first embodiment of the manufacturing method of the fixing portion of the present invention. First, the
[0038]
In FIG. 4A, the outer periphery of the
[0039]
FIG. 5 shows a second embodiment of the manufacturing method of the fixing portion of the present invention. The fixed
[0040]
5, first, the anode
[0041]
According to the second embodiment, the
[0042]
【The invention's effect】
According to the present invention, the fixed portion of the rotating anode has a double cylindrical structure, the outer tube portion is made of a material having high mechanical strength and a low coefficient of thermal expansion, and the inner tube portion is made of a material having a high thermal conductivity. As a result, (1) reduction of the elongation amount due to thermal expansion of the entire rotating anode, (2) suppression of temperature rise of the bearing, and (3) improvement of mechanical strength of the rotating anode can be achieved.
[0043]
As a result, when the X-ray tube apparatus of the present invention is applied to an X-ray CT apparatus, it is possible to reduce the amount of focal movement that has been a cause of image quality degradation in tomographic image processing. The image quality of the tomographic image can be improved without compensating the focal shift amount with a complicated mechanism, and the system can be reduced in size and cost. Also, by suppressing the temperature rise of the bearing of the X-ray tube device, the rotation life of the bearing can be maintained, and by improving the mechanical strength of the rotating anode, it can withstand the weight of the target and the centrifugal force when using the X-ray CT device. Since it can have intensity, it can cope with high-speed scanning of an X-ray CT apparatus.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of an embodiment of a rotary anode X-ray tube inserted in the X-ray tube apparatus of the present invention.
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view of a rotating anode of the rotating anode X-ray tube of FIG.
FIG. 3 is an enlarged sectional view of a conventional rotating anode part.
FIG. 4 is a view showing a first embodiment of a method for manufacturing a fixing portion according to the present invention.
FIG. 5 is a view showing a second embodiment of the method of manufacturing the fixing portion according to the present invention.
FIG. 6 is a diagram showing the relationship between the structure of a rotary anode X-ray tube inserted in a conventional X-ray tube apparatus and the collimator of the X-ray CT apparatus.
[Explanation of symbols]
1,1A ... Rotary anode X-ray tube (X-ray tube)
2, 2A ... anode (rotary anode)
3 ... Cathode
4 ... Envelope
5 ... Electron current (electron beam)
6, 6A ... Target
7,7A ... Focus (X-ray source)
8,8A ... X-ray (X-ray beam)
9 ... Collimator
10 ... Slit
11 ... Movement amount ΔL
12 ... X-ray emission window
20 ... Rotor
21… Target support shaft
22 ... Rotor shoulder
23 ... Cylindrical part
24… Insulation cap
25 ... Rotation axis
26 ... Bearing
26A… High temperature side bearing
26B ... Low temperature side bearing
28, 28A, 28B ... fixed part
29, 29B ... Inner tube
30, 30B ... Outer cylinder
32 ... hole
33 ... Anode end
40 ... Copper shaft
41 ... cup
42 ... Casting part of fixed part
43 ... depression
45 ... Body axis
46 ... Copper shaft for anode end
47… Body cup
48 ... Anode end cup
50 ... Fixed part body
51… Fixed part anode end
Claims (2)
回転軸を回転自在に支持する軸受と、
軸受を支持する固定部から構成される回転陽極と、
電子流を放出してターゲット上にX線源となる焦点を形成する陰極と、
回転陽極と陰極とを絶縁支持し真空気密に封入する外囲器と
を具備する回転陽極X線管を、防X線・防電撃構造のX線管容器内に収納するX線管装置において、
前記固定部が軸受を支持する内筒部と、
内筒部の外周を被う外筒部から構成され、
前記内筒部は前記外筒部よりも熱伝導率の大きい金属材料から成り、
前記外筒部は前記内筒部よりも機械的強度が高く、熱膨張率の小さい金属材料から成り、
前記内筒部と前記外筒部が互いに対向する面の全領域で接合されることを特徴とするX線管装置。A target, a rotor that supports the target, a rotating shaft that supports the rotor,
A bearing that rotatably supports the rotating shaft;
A rotating anode composed of a fixed portion that supports the bearing;
A cathode that emits an electron stream to form a focal point on the target to be an X-ray source;
In an X-ray tube apparatus for housing a rotary anode X-ray tube comprising an envelope that insulates and supports a rotary anode and a cathode and sealed in a vacuum-tight manner in an X-ray tube container having an X-ray and electric shock structure,
An inner cylinder part in which the fixed part supports the bearing;
It is composed of an outer cylinder that covers the outer periphery of the inner cylinder,
The inner cylinder part is made of a metal material having a larger thermal conductivity than the outer cylinder part,
The outer cylinder part is higher in mechanical strength than the inner cylinder part and is made of a metal material having a low coefficient of thermal expansion,
The X-ray tube apparatus characterized in that the inner cylinder part and the outer cylinder part are joined in the entire region of the surfaces facing each other.
前記内筒部が銅であり、前記外筒部がモリブデンまたはモリブデン合金であることを特徴とするX線管装置。In the X-ray tube device according to claim 1,
The X-ray tube apparatus according to claim 1, wherein the inner cylinder portion is copper and the outer cylinder portion is molybdenum or a molybdenum alloy.
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