JP4216137B2 - 屋外用絶縁体用組成物および屋外用絶縁体 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は屋外用絶縁体用組成物および屋外用絶縁体に関し、さらに詳しくは、耐候性、撥水性、耐水分透過性、、破壊電圧、耐トラッキング性に優れ、さらに成形サイクルの短い屋外用絶縁体用組成物及び該組成物から得られる屋外用絶縁体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
高電圧機器で屋外に直接暴露される成形品、例えば碍子,碍管,スペーサ,ブッシング等を構成する絶縁材料及び構造材料は、従来から電気,機械的に劣化しない磁器製品が使用されている。
【0003】
しかしながら磁器は比重が大きいことから製品自体が重くなってコンパクト化及び美化を妨げているという難点がある。又、磁器自体が硬く且つ脆い性質を有している。
【0004】
そのため磁器と比べて相対的に耐衝撃性が高く、且つ軽量である高分子材料による磁器製品との置き換えが以前から検討されている。そして初期段階では、高分子材料としてエポキシ樹脂が選択されている。このエポキシ樹脂には低粘度の液体のものから固体のものまであり、硬化剤又は触媒の存在で室温或は加熱下で容易に硬化する。そして硬化時の収縮が少なく、水とかガスを発生しないという特徴があり、且つ反応性に富んだ硬化物を与えることで知られている。
【0005】
しかしながら上記の高分子材料、特に初期に検討されたエポキシ樹脂は、耐屋外性,耐トラッキング性等が不十分であり、又、フラッシュオーバー時に笠割れが生じるという問題点がある。
【0006】
上記の問題点に対処するため、例えば高分子材料として採用したエポキシ樹脂にシリコーン樹脂等の表面コーティングを行う方法が考慮されるが、この方法は時間と手間が多くかかる工程を採らざるを得ず、また本質的にエポキシ樹脂の改良も求められている現状にある。しかしエポキシ樹脂として耐候性の高いグレードのものを選択しても所詮エポキシ樹脂の中の相対順位の問題であり、抜本的な問題解決とはなっていない。
【0007】
更に高分子である以上は酸化及び熱に起因する劣化が発生することは避けられず、特に碍子とか碍管の連結部強度が疲労で低下し易く、50年の寿命をも保持することが困難である。これら高分子碍子とか高分子碍管は機械的強度を受け持つ部分の周囲を所望の耐候性、耐トラッキング性を有する高分子が覆う構造であることが前提となっているため、これらの高分子材料の特性が重要となってくるわけである。
【0008】
上記高分子材料としてのエポキシ樹脂に代えて、ゴムコンパウンド(合成ゴム化合物)を用いたモールディング構造の検討も行われている。一般的にゴムコンパウンドを加硫するために硫黄が用いられているが、硫黄は電気的絶縁性及び成形性が良好であるとは言えず、高分子材料組成物の耐トラッキング特性に悪影響が生じてしまうという難点があり、ゴムコンパウンドを用いた時には加硫材料として少なくとも硫黄は使用しない方が良いことが確認されている。
【0009】
更に射出成形時にキャビティーの形状とか射出容量に応じて加硫条件を変更しなければならない場合があり、製造時の繁雑な成形条件変更を余儀なくされるという問題がある。
一方、高分子材料としてEPDMと選択するとともに、EPDMに充填剤として水酸化アルミニウムと、撥水性付与剤としてのシリコ−ンオイルとを添加し、射出成形により屋外用絶縁高分子材料を得られることが開示されている(例えば特許文献1参照。)。
しかし、本発明者らが追試したところ、シリコ−ンゴムに比べて耐候性、撥水性が劣り、撥水性は特に耐候性試験後の撥水性の低下が著しいことがわかった。
また、本発明者らは特定のEPDMと、SiH基を1分子中に少なくとも2個持つSiH基含有化合物と触媒からなる組成物は電気絶縁性に優れ、電気、電子部品用組成物に適していることを見出した(例えば、特許文献2参照。)が、破壊電圧、撥水性の点ではさらなる向上が求められていた。
【0010】
【特許文献1】
特開平4−277622号公報
【特許文献2】
特開2001−31808号公報
【0011】
従って、碍子,碍管,スペーサ,ブッシング等の屋外用絶縁体用の高分子材料であって、屋外で使用されることから耐候性、撥水性、耐水分透過性に優れ、しかも、絶縁材料であることから破壊電圧、耐トラッキング性に優れ、さらに成形サイクルの短い材料が望まれている。
【0012】
【発明の目的】
そこで本発明は耐候性、撥水性、耐水分透過性、、破壊電圧、耐トラッキング性に優れ、さらに成形サイクルの短い屋外用絶縁体用組成物及び屋外用絶縁体を提供することを目的とするものである。
【0013】
【発明の概要】
本発明の屋外用絶縁体用組成物は、下記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンから導かれる構成単位を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、SiH基を1分子中に少なくとも2個有し、さらに分子中に(−Si−O−)mで表される構造(ただしmは3以上の整数である)を有するSiH基含有化合物(B)と、触媒(C)とからなることを特徴としている;
【化5】
[式中、nは0ないし10の整数であり、R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である]、
【化6】
[式中、R3は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である]。
【0014】
また本発明の屋外用絶縁体用組成物は、前記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンから導かれる構成単位を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、SiH基を1分子中に少なくとも2個有し、さらに分子中に(−Si−O−)mで表される構造(ただしmは3以上の整数である)を有するSiH基含有化合物(B)と、触媒(C)と、反応抑制剤(D)とからなることを特徴としている。
【0015】
本発明の前記いずれかの屋外用絶縁体用組成物としては、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が下記の特性を有することが好ましい;
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が60/40〜90/10の範囲にあり、(ii)ヨウ素価が1〜30の範囲にあり、(iii) 135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が2〜10dl/gの範囲にあり、(iv)動的粘弾性測定器より求めた分岐指数が5以上である。
【0016】
本発明の屋外用絶縁体は上記いずれかに記載の組成物から得られることを特徴としている。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る屋外用絶縁体用組成物およびその屋外用絶縁体について具体的に説明する。
【0018】
[エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)]本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、前記一般式[I]または[II]で表される非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
【0019】
このような炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、12- エチル-1- テトラデセンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα- オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが好ましく用いられる。これらのα- オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
本発明で用いられる非共役ポリエンは、下記の一般式[I]または[II]で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物である。
【0021】
【化7】
【0022】
一般式[I]において、nは0ないし10の整数であり、R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R1の炭素原子数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
【0023】
R2 は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。R2の炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、上記R1の具体例のうち、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0024】
【化8】
【0025】
一般式[II]において、R3は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。R3 のアルキル基の具体例としては、上記R1 のアルキル基の具体例と同じアルキル基を挙げることができる。
【0026】
上記一般式[I]または[II]で表わされる非共役ポリエンとしては、具体的には、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-2- プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-エチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(3-メチル-5- ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(3-エチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-メチル-6- ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5- ヘキセシル)-2- ノルボルネン、5-(5-エチル-5- ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネンなど挙げられる。このなかでも、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2- ノルボルネンが好ましい。これらのノルボルネン化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記非共役ポリエンたとえば5-ビニル-2- ノルボルネンの他に、本発明の目的とする物性を損なわない範囲で、以下に示す非共役ポリエンを併用することもできる。
【0028】
このような非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘキサジエン、5-メチル-1,4- ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4- ヘキサジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、5-ビニリデン-2- ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソプロペニル-2- ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-エチリデン-3- イソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-プロペニル-2,2- ノルボルナジエン等のトリエンなどが挙げられる。
【0029】
上記のような諸成分からなるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(A)は、好ましくは以下のような特性を有している。
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、(a)エチレンで導かれる単位と(b)炭素原子数3〜20のα- オレフィン(以下単にα- オレフィンということがある)から導かれる単位とを、通常60/40〜90/10、好ましくは65/35〜90/10、好ましくは65/35〜85/15、特に好ましくは65/35〜80/20のモル比[(a)/(b)]で含有している。
【0030】
このモル比が上記範囲内にあると、耐熱老化性、強度特性およびゴム弾性に優れるとともに、耐寒性および加工性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
【0031】
(ii)ヨウ素価
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のヨウ素価は、通常1〜30(g/100g)、好ましくは1〜25(g/100g)、さらに好ましくは2〜20(g/100g)、特に好ましくは2〜10(g/100g)、最も好ましくは3〜6(g/100g)である。
【0032】
このヨウ素価が上記範囲内にあると、架橋効率の高いゴム組成物が得られ、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、耐環境劣化性(=耐熱老化性)に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。ヨウ素価が30を超えると、コスト的に不利になる場合がある。
【0033】
(iii)極限粘度
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは2〜10dl/g、さらに好ましくは2〜5dl/g、特に好ましくは2.5〜4dl/g、最も好ましくは2.6〜3.5であることが望ましい。
【0034】
この極限粘度[η]が上記範囲内にあると、破壊電圧、強度特性および耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、加工性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
【0035】
(iv)分岐指数
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の動的粘弾性測定器より求めた分岐指数は、好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上、さらに好ましくは14以上、特に好ましくは18以上である。この分岐指数の値が5より小さいと、高ずり速度領域での粘度が高くなり、流動性が悪化し、碍子などの大型製品を成形するには適さなくなる。
【0036】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、上記(i)〜(iv)の物性の他に、下記の(v)の物性を有していることが好ましい。
【0037】
(v)分子量分布(Mw/Mn)
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は、2〜200、好ましくは5〜150、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは10〜100であることが望ましい。分子量分布が2を超えると、流動性が向上し、碍子などの大型製品を成形するには隅々まで流動しやすくなる。一方、分子量分布が200を超えると破壊電圧、破壊電圧、強度特性および耐圧縮永久歪み性が悪化するので好ましくない。
【0038】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会、発行p.309〜330)もしくは本願出願人の出願に係る特開平9−71617号公報、特開平9−71618号公報、特開平9−208615号公報、特開平10−67823号公報、特開平10―67824号公報、特開平10―110054号公報などに記載されているような従来公知の方法により調製することができる。
【0039】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の製造の際に用いられるオレフィン重合用触媒としては、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)等の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなるチーグラー触媒、あるいは元素の周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン触媒が特に好ましく用いられる。
【0040】
また、下記の化合物(H)および(I)を主成分として含有する触媒を用いてエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)を調製すると、沸騰キシレン不溶解分が1%以下のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が得られるので好ましい。
【0041】
すなわち、キシレン不溶解分が1%以下のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、下記化合物(H)および(I)を主成分として含有する触媒の存在下に、重合温度30〜60℃、特に30〜59℃、重合圧力4〜12kgf/cm2 、特に5〜8kgf/cm2 、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比(非共役ポリエン/エチレン)0.01〜0.2の条件で、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、上記一般式[I]または[II]で表わされる非共役ポリエンとをランダム共重合することにより得られる。共重合は、炭化水素媒体中で行なうのが好ましい。
【0042】
(H)VO(OR)yX3-y(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、yは0または1〜3の整数である)で表わされる可溶性バナジウム化合物、またはVX4 (Xはハロゲン原子である)で表わされるバナジウム化合物。
【0043】
上記可溶性バナジウム化合物(H)は、重合反応系の炭化水素媒体に可溶性の成分であり、具体的には、一般式 VO(OR)aXbまたはV(OR)cXd(式中、Rは炭化水素基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表わされるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物を代表例として挙げることができる。
【0044】
より具体的には、VOCl3 、VO(OC2H5)Cl2 、VO(OC2H5)2Cl、VO(O−iso-C3H7)Cl2、VO(O−n-C4H9)Cl2、VO(OC2H5)3、VOBr3、VCl4 、VOCl3、VO(O−n-C4H9)3、VCl3・2OC6H12OHなどを例示することができる。
【0045】
(I)R'zAlX'3-z (R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、zは1〜3の整数である)で表わされる有機アルミニウム化合物。
【0046】
上記有機アルミニウム化合物(I)としては、具体的には、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;R1 0.5Al(OR1)0.5 などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0047】
本発明において、上記化合物(H)のうち、VOCl3 で表わされる可溶性バナジウム化合物と、上記化合物(I)のうち、Al(OC2H5)2Cl/Al2(OC2H5)3Cl3とのブレンド物(ブレンド比は1/5以上)を触媒成分として使用すると、ソックスレー抽出(溶媒:沸騰キシレン、抽出時間:3時間、メッシュ:325)後の不溶解分が1%以下であるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が得られるので好ましい。
【0048】
[SiH基含有化合物(B)]
本発明で用いられるSiH基含有化合物(B)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と反応し、架橋剤として作用する。このSiH基含有化合物(B)は、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物などでも使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に直結した水素原子、すなわちSiH基を含んでおり、分子中に(−Si−O−)mで表される構造(ただしmは3以上の整数である)を有することが必要である。
【0049】
ここで(−Si−O−)はシロキサン結合のことであり(化学大辞典第1版 1989年 東京化学同人発行 「ポリシロキサン」の項参照)、(−Si−O−)mとは、シロキサン結合が連続した構造を示す。なおここでは珪素原子に結合している他の基は省略しているが、結合している基には特に制限はなく、水素、炭化水素基などが挙げられ、後述するR4と同様のものであってもよい。
【0050】
mは好ましくは3〜100、さらに好ましくは4〜80、特に好ましくは5〜50、最も好ましくは6〜40である。下限を下回るとエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムとの相溶性が向上し、撥水性付与効果が低下する。また、上限を超えるとエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムに混ぜることが自体が困難となる。
【0051】
また、SiH基含有化合物中に含まれるフェニル基数とSiH基含有化合物の分子量との関係が下記の式(1)を満たすと、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムとの相溶性が低下し、撥水性付与効果が向上するので特に好ましい。
1分子中のフェニル基数×350<分子量 式(1)
【0052】
このようなSiH基含有化合物(B)としては、通常、下記の一般組成式R4 bHcSiO(4-b-c)/2で表わされる化合物を使用することができる。
【0053】
上記一般組成式において、R4 は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1〜10、特に炭素原子数1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基であり、このような1価炭化水素基としては、前記R1 に例示したアルキル基の他に、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基たとえばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
【0054】
また、bは、0≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは、0<c≦3、好ましくは0.002≦c<2、特に好ましくは0.01≦c≦1であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
【0055】
このSiH基含有化合物(B)は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、特に好ましくは2〜300個、最も好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、具体的には、1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R4 2(H)SiO1/2 単位とSiO4/2 単位とからなり、任意にR4 3SiO1/2 単位、R4 2SiO2/2 単位、R4(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2またはR4SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンなどを挙げることができる。
【0056】
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0057】
(CH3)3SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH3)3[式中のdは2以上の整数である。]
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0058】
(CH3)3SiO-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)3[式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。]
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0059】
HOSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)2-Si(CH3)2OH
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0060】
HOSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)2OH[式中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0061】
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-Si(CH3)2H[式中のeは2以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0062】
HSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH3)2H[式中のeは2以上の整数である。]
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
【0063】
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-Si(CH3)2H[式中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。]
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るヘキサメチルジシロキサンあるいは1,3-ジハイドロ-1,1,3,3- テトラメチルジシロキサンなどの、トリオルガノシリル基あるいはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に、−10℃〜+40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。
【0064】
SiH基含有化合物(B)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.1〜75重量部、より好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.2〜30重量部、さらにより好ましくは0.2〜20重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。上記範囲内の割合でSiH基含有化合物(B)を用いると、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れた架橋ゴム成形体を形成できるゴム組成物が得られる。100重量部を超える割合でSiH基含有化合物(B)を用いると、コスト的に不利になる場合がある。
【0065】
また、本発明では上記のようなSiH基含有化合物(B)を用いることで、撥水性に優れるのみならず、撥水性の持続性にも優れた屋外用絶縁体を製造することができる組成物を提供することができる。
【0066】
[触媒(C)]
本発明で用いられる触媒(C)は、付加反応触媒であり、上記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)成分のアルケニル基と、SiH基含有化合物(B)のSiH基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に制限はなく、たとえば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応触媒(周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物等の8族金属系触媒)を挙げることができ、中でも、白金系触媒が好ましい。
【0067】
白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、たとえば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などが挙げられる。より具体的には、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものなどが挙げられる。
【0068】
上記パラジウム系触媒は、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸等からなり、また、上記ロジウム系触媒は、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸等からなる。
【0069】
上記以外の触媒(C)としては、ルイス酸、コバルトカルボニルなどが挙げられる。触媒(C)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)に対して、0.1〜100,000重量ppm、好ましくは0.1〜10,000重量ppm、さらに好ましくは1〜5,000重量ppm、特に好ましくは5〜1,000重量ppmの割合で用いられる。
【0070】
上記範囲内の割合で触媒(C)を用いると、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れる架橋ゴム成形体を形成できるゴム組成物が得られる。100,000重量ppmを超える割合で触媒(C)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0071】
なお、本発明においては、上記触媒(C)を含まないゴム組成物の未架橋ゴム成形体に、光、γ線、電子線等を照射して架橋ゴム成形体を得ることもできる。
【0072】
[反応抑制剤(D)]
本発明で触媒(C)とともに任意成分として用いられる反応抑制剤(D)としては、ベンゾトリアゾール、エチニル基含有アルコール(たとえばエチニルシクロヘキサノール等)、アクリロニトリル、アミド化合物(たとえばN,N-ジアリルアセトアミド、N,N-ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-o-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-m-フタル酸ジアミド、N,N,N',N'-テトラアリル-p-フタル酸ジアミドなど)、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
【0073】
反応抑制剤(D)は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0〜50重量部、通常0.0001〜50重量部、好ましくは0.0001〜30重量部、より好ましくは0.0001〜20重量部、さらに好ましくは0.0001〜10重量部、特に好ましくは0.0001〜5重量部の割合で用いられる。
【0074】
50重量部以下の割合で反応抑制剤(D)を用いると、架橋スピードが速く、架橋ゴム成形体の生産性に優れたゴム組成物が得られる。50重量部を超える割合で反応抑制剤(D)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
【0075】
本発明の屋外用絶縁体用組成物は、上記のように(A)成分、(B)成分および(C)成分からなり、必要に応じてさらに(D)成分が存在していてもよい。さらに以下のような成分を必要に応じて使用することができる。
【0076】
[水酸化アルミニウム]
本発明においては、必要に応じて水酸化アルミニウムを添加してもよい。水酸化アルミニウムは200〜350℃で大きな吸熱反応を伴って激しく脱水分解し、ゴムに添加することによって加熱時の温度上昇が抑えられるとともに自己消火性を促して発煙が抑制され、有害ガスが発生しない上、耐アーク,耐トラッキング性が向上するという特長を有している。
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは500重量部以下、より好ましくは300重量部以下、さらに好ましくは200重量部以下添加することで上記の効果を得ることができる。これ以上添加すると破壊電圧や強度特性、加工性が悪化する場合がある。
【0077】
本発明に係る屋外用絶縁体用組成物中に、意図する架橋物の用途等に応じて、従来公知のゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0078】
上記ゴム補強剤は、架橋(加硫)ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、シランカップリング剤などにより表面処理が施されているこれらのカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカなどが挙げられる。
【0079】
シリカの具体例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカなどが挙げられる。これらのシリカは、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。また、これらシリカの比表面積(BED法)は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100〜400m2/gである。
【0080】
これらのゴム補強剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、ゴム補強剤の配合量は通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0081】
上記無機充填剤としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。これらの無機充填剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、無機充填剤の配合量は通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0082】
上記軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質を挙げることができる。中でも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
【0083】
これらの軟化剤の配合量は、架橋物の用途により適宜選択される。上記老化防止剤としては、たとえばアミン系、ヒンダードフェノール系、またはイオウ系老化防止剤などが挙げられるが、これらの老化防止剤は、上述したように、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。
【0084】
本発明で用いられるアミン系老化防止剤としては、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類などが挙げられる。ジフェニルアミン類としては、具体的には、p- (p- トルエン・スルホニルアミド)- ジフェニルアミン、4,4'- (α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4'- ジオクチル・ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンとの高温反応生成物、ジフェニルアミンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンとの低温反応物、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、p,p’- ジオクチル・ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0085】
フェニレンジアミン類としては、具体的には、N,N'- ジフェニル-p-フェニレンジアミン、n- イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(3-メタクリロイルオキシ-2- ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'- ビス(1-エチル-3- メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のp- フェニレンジアミン類などが挙げられる。
【0086】
これらの中でも、特に4,4'- (α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミンが好ましい。これらの化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0087】
本発明で用いられるヒンダードフェノール系老化防止剤としては、具体的には(1)1,1,3-トリス- (2-メチル-4- ヒドロキシ-5-t- ブチルフェニルブタン、(2)4,4'- ブチリデンビス- (3-メチル-6-t- ブチルフェノール)、(3)2,2-チオビス(4-メチル-6-t- ブチルフェノール)、(4)7-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'- ジ-t- ブチルフェニル)プロピオネート、(5)テトラキス- [メチレン-3-(3',5'- ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、(6)ペンタエリスリトール- テトラキス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、(7)トリエチレングリコール- ビス[3-(3-t-ブチル-5- メチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、(8)1,6-ヘキサンジオール- ビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、(9)2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6- (4-ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ブチルアニリノ)-1,3,5- トリアジン、(10)トリス- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)- イソシアヌレート、(11)2,2-チオ- ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、(12)N,N'- ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシ)- ヒドロシンナアミド、(13)2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]- o-クレゾール、(14)3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル- ホスホネート- ジエチルエステル、(15)テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシヒドロシンナメイト)]メタン、(16)オクタデシル-3- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル、(17)3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1- ジメチルエチル]-2,4-8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどを挙げることができる。中でも、特に(5)、(17)のフェノール化合物が好ましい。
【0088】
本発明で用いられるイオウ系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるイオウ系老化防止剤が用いられる。具体的には、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルイミダゾールの亜鉛塩等のイミダゾール系老化防止剤;ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール- テトラキス- (β- ラウリル- チオプロピオネート)等の脂肪族チオエーテル系老化防止剤などを挙げることができる。これらの中でも、特に2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ペンタエリスリトール- テトラキス- (β- ラウリル- チオプロピオネート)が好ましい。
【0089】
上記の加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが挙げられる。
【0090】
このような加工助剤は、通常、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0091】
本発明においては、上述した触媒(C)の他に有機過酸化物を使用して、付加架橋とラジカル架橋の両方を行なってもよい。有機過酸化物は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部程度の割合で用いられる。有機過酸化物としては、ゴムの架橋の際に通常使用されている従来公知の有機過酸化物を使用することができる。
【0092】
また、有機過酸化物を使用するときは、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
【0093】
上記の発泡剤としては、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N'- ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'- ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'- オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
【0094】
これらの発泡剤は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。上記のような割合で発泡剤を用いると、比重0.03〜0.8g/cm3 の発泡体を製造することができるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0095】
また、必要に応じて、発泡剤と併用して、発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用をする。このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0096】
これらの発泡助剤は、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0097】
また、本発明に係る架橋可能なゴム組成物中に、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムとブレンドして用いることができる。このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などの共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
【0098】
さらに従来公知のエチレン・α- オレフィン系共重合体ゴムを用いることもでき、たとえばエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)以外のエチレン・α- オレフィン・ポリエン共重合体(たとえばEPDMなど)を用いることができる。
【0099】
本発明に係る屋外用絶縁体は、前述した、本発明に係る屋外用絶縁体用組成物からなる。
【0100】
本発明に係る屋外用絶縁体用組成物は、未架橋のまま用いることもできるが、架橋ゴム成形体あるいは架橋ゴム発泡成形体のような架橋物として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0101】
屋外用絶縁体としては、従来公知の懸垂碍子、長幹碍子、ピン碍子、ライトポスト碍子、支持碍子、引留用碍子、碍管などの碍子、スペーサ,ブッシング、絶縁性の電気・電子部品、たとえば電力ケーブル、キャブタイヤコード、電気絶縁ゴムテープ、ゴムモールドストレスコーン、電線ジョイント部品等の電線被覆材、端子カバーなどが挙げられる。
【0102】
ゴム組成物およびその架橋ゴム成形体の調製上述したように、本発明に係る屋外用絶縁体用組成物は、未架橋のままでも用いることもできるが、架橋ゴム成形体あるいは架橋ゴム発泡成形体のような架橋物として用いた場合に最もその特性を発揮することができる。
【0103】
本発明に係る屋外用絶縁体用組成物から架橋物を製造するには、通常一般のゴムを加硫(架橋)するときと同様に、未架橋の配合ゴムを一度調製し、次いで、この配合ゴムを意図する形状に成形した後に架橋を行なえばよい。なお、半導電体の架橋物を製造する場合には、たとえばカーボンブラック等の導電性物質の種類および添加量を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜決定し、体積固有抵抗値をコントロールすればよい。カーボンブラックは、上述したようにゴム補強剤でもある。
【0104】
架橋方法としては、架橋剤(SiH基含有化合物(B))を使用して加熱する方法、または光、γ線、電子線照射による方法のどちらを採用してもよい。まず、本発明に係る屋外用絶縁体用組成物は、たとえば次のような方法で調製される。
【0105】
すなわち、本発明に係る屋外用絶縁体用組成物は、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などの添加剤を好ましくは80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、特定のSiH基含有化合物(B)および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、加硫促進剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤を追加混合し、ロール温度100℃以下で1〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0106】
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、SiH基含有化合物(B)、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤などとともに、老化防止剤、着色剤、分散剤、難燃剤、発泡剤などを同時に混練してもよい。
【0107】
上記のようにして調製された、本発明に係る屋外用絶縁体用組成物は、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機などを用いる種々の成形法より、意図する形状に成形され、成形と同時にまたは成型物を加硫槽内に導入し、架橋することができる。なかでも、碍子を得るにはプレス、インジェクション成形機が適している。100〜270℃の温度で1〜30分間加熱するか、あるいは前記した方法により光、γ線、電子線を照射することにより架橋物が得られる。また、常温で架橋することもできる。
【0108】
この架橋の段階は金型を用いてもよいし、また金型を用いないで架橋を実施してもよい。金型を用いない場合は成形、架橋の工程は通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームなどの加熱槽を用いることができる。
【0109】
本発明に係る屋外用絶縁体は、上記のような架橋ゴム成形体からなるので、懸垂碍子、長幹碍子、ピン碍子、ライトポスト碍子、支持碍子、引留用碍子、碍管などの碍子、スペーサ,ブッシング、
絶縁性の電気・電子部品、たとえば電力ケーブル、キャブタイヤコード、電気絶縁ゴムテープ、ゴムモールドストレスコーン、電線ジョイント部品等の電線被覆材、端子カバーの用途に広く用いられる。
【0110】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
【0111】
なお、実施例、比較例で用いた共重合体ゴムの組成、ヨウ素価、極限粘度[η]、分子量分布(Mw/Mn)、分岐指数は、次のような方法で測定ないし計算により求めた。
(1)共重合体ゴムの組成共重合体ゴムの組成は13C−NMR法で測定した。
(2)共重合体ゴムのヨウ素価共重合体ゴムのヨウ素価は、滴定法により求めた。
(3)極限粘度[η]
共重合体ゴムの極限粘度[η]は、135゜Cデカリン中で測定した。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
共重合体ゴムの分子量分布は、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わした。GPCには、カラムに東ソー(株)製のGMH−HT、GMH−HTLを用い、溶媒にはオルソジクロロベンゼンを用いた。
(5)分岐指数長鎖分岐を有しないEPR(分子量の異なる4サンプル)について動的粘弾性試験機を用いて複素粘性率η* の周波数分散を測定した。
【0112】
0.01rad/secと8rad/secのときの複素粘性率η* を求め、複素粘性率η1L*(0.01rad/sec)を縦軸に、複素粘性率η2L*(8rad/sec)を横軸にプロットし、基準ラインを作成し、そのラインの延長線上にあるη2L* =1×103/Pa・sのときのη1L0*を測定した。
【0113】
次に、対象サンプルについても同様に、0.01rad/secと8rad/secのときの複素粘性率η* を求め、複素粘性率η1B*(0.01rad/sec)を縦軸に、複素粘性率η2B*(8rad/sec)を横軸にプロットする。このプロットは基準ラインよりも大きな値となり、長鎖分岐が多いほど基準ラインよりも大きく離れていく。
【0114】
次に、このプロットの上を通るように基準ラインを平行移動させ、複素粘性率η2*=1×103/Pa・sとの交点η1B0*を測定した。上記のようにして測定したη1L0*およびη1B0*の値を下式に適用し、分岐指数を算出した。
【0115】
分岐指数=(logη1L0* − logη1B0*)×10
上記測定条件は、次の通りである。
・基準サンプル:4種類のEPR三井化学(株)製、タフマーP−0280、P−0480、P−0680、P−0880(商品名)
・動的粘弾性試験機(RDS):Rheometrics社・サンプル:2mmシートを直径25mmの円状に打ち抜いて使用。
・温度 :190゜C・歪み率 :1%・周波数依存:0.001〜500rad/sec
【0116】
[製造例1]
[エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(1)の製造]
撹拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(撹拌回転数=250rpm)を用いて、重合圧力0.7MPaで、連続的にエチレンとプロピレンと5-ビニル-2- ノルボルネンとの三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを3.7kg、プロピレンを12kg、5-ビニル-2- ノルボルネンを240gの速度で、また、水素を20リットル、触媒としてVOCl3 を22ミリモル、Al(Et)2Clを66ミリモル、Al(Et)1.5Cl1.5 を66ミリモルの速度で連続的に供給した。
【0117】
以上に述べたような条件で共重合反応を行なうと、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)が均一な溶液状態で得られた。(A−1)の物性を表1に、共重合体1の物性として示す。
【0118】
その後、重合器下部から連続的に抜き出した重合溶液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、ダイアナプロセスオイルPW−380(出光興産(株)製)を、(A−1)100重量部に対して20重量部となるように添加し、次いでスチームストリッピング処理にて重合体を溶媒から分離したのち、55℃で48時間真空乾燥を行なった。
【0119】
上記のようにして、油展ゴムである、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(1)(以下共重合体1ということがある)が得られた。
【0120】
[製造例2]
製造例1において、重合条件を表1の通りに変えることにより、異なる性状のエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合ゴム(2)を得た(以下共重合体2ということがある)。ただし油展は行わなかった。得られた共重合体2の物性を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
[実施例1]
まず、表1に示すエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(1)120重量部(出光興産(株)製、商品名 ダイアナプロセスオイルTMPW−380を20重量部含む)、タルク[日本ミストロン(株)製、商品名 ミストロンベーパータルク]100重量部および軟化剤[出光興産(株)製、商品名 ダイアナプロセスオイルTMPW−380]15重量部、カ−ボンブラック[旭カ−ボン(株)製、商品名 旭#60G]2重量部、を容量1.7リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で混練した。
【0123】
混練方法は、まずエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(1)(共重合体1)を30秒素練りし、次いで、カ−ボンブラック、タルク、軟化剤を入れ、2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間を混練を行ない、約130℃で排出し、ゴム配合物(I−1)を得た。この混練は充填率70%で行なった。
【0124】
次に、この配合物(I−1)237重量部を、8インチロ−ル(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、下記式[III]で示されるSiH基含有化合物1(m=9、1分子中のフェニル基数(2個)×350=700、この値はSiH基含有化合物1の分子量794よりも小さく、前記式(1)の関係を満たしている。)3重量部、反応制御剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノール[BASF社製]0.2重量部を加え10分間混練したのちに、触媒として1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン−白金錯体[信越化学工業(株)製、商品名 X−93−1410]0.2重量部を加えて5分間混練した後、混練物をシート状に分出し、150トンプレス成形機を用いて180℃で2分間加圧し、厚み2mm及び厚み1mmの架橋ゴムシートを調製した。
【0125】
【化9】
(ただし上記式[III]で表される化合物中、アンダーラインを引いた部分の、(−Si(CH3)2O−)、(−Si(H)CH3−O−)、(−SiPh2−O−)の各構成単位は、ランダムに結合している。また、Phはフェニル基を表す。)
【0126】
また、上記熱硬化前の架橋剤入り混練物について架橋速度の目安として「tc(90)」を、JSRキュラストメーター3型[日本合成ゴム(株)製)を用いて、180℃の条件で測定した。架橋(加硫)曲線から得られるトルクの最低値MLと最高値MHの差をME(=MH−ML)とし、90%MEに達する時間をtc(90)とした。
【0127】
得られた1mm架橋シートを用いて破壊電圧試験をJIS C0005に従い行った。
また、得られた2mm架橋シートを用いて耐トラッキング試験、撥水性、耐水分透過性、耐候性の試験を以下のように行った。
【0128】
[耐トラッキング性]
IEC Pub.60587に従い耐トラッキング試験を行った。
試験電圧は4.5KV、荷電2時間後の表面の状態を観察した。
[耐候性]
JIS K6266(1996)に従い、JIS B7753サンシャインカ−ボンア−ク灯式耐候性試験機を用いて試験を行った。
ブラックパネル温度は63℃、SA法、フィルタ−はI型、噴霧サイクルは102分照射後、18分間の照射及び水噴霧の条件で行い、1000時間後のサンプル表面の状態を観察した。
[撥水性]
STRI Guide 1 92/1 Hydrophobicity Classification Guideに従い、接触角を測定した。また、上記、耐候性試験後にも同様に接触角を測定した。
[耐水分透過性]
縦100mm、横100mm、厚さ2mmの架橋シ−トを精製水に30分間浸漬した後に精製水から引き上げて30秒後に増加した水分量を重量変化より測定した。
これらの結果を表2に示す。
【0129】
[比較例1]
実施例1において、実施例1で用いた前記式[III]で表されるSiH基含有化合物1を3重量部添加する代わりに、C6H5−Si(OSi(CH3)2H)3 (m=2、1分子中のフェニル基数(1個)×350、この値はSiH基含有化合物2の分子量330よりも大きく、前記式(1)を満たさない)で示されるSiH基含有化合物2を3重量部用いた以外は、実施例1と同様に行なった。なお、バンバリーミキサーから排出した際の混練物の温度は134℃であった。その結果を表2に示す。
【0130】
[実施例2]
実施例1において、実施例1で用いたミストロンベーパータルク(商品名)100重量部の代わりに、水酸化アルミニウム[昭和電工製、商品名 ハイジライトH−42M]100重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。なお、バンバリーミキサーから排出した際の混練物の温度は135℃であった。結果を表2に示す。
【0131】
[比較例2]
実施例1において、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(1)の代わりに、表1に示すエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネン共重合ゴム(2)を用い、また軟化剤の添加量を変更した以外は、実施例1と同様に行なった。なお、バンバリーミキサーから排出した際の混練物の温度は125℃であった。結果を表2に示す。
【0132】
[比較例3]
実施例1において、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(1)の代わりに、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合ゴム[住友化学(株)製、商品名 エスプレン670F]を用い、ミストロンペーパータルクの代わりに前述した水酸化アルミニウムを用い、SiH基含有化合物1、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン−白金錯体を用いる代わりに、ジクミルパ−オキサイド[日本油脂(株)製、商品名 DCP−40C]4重量部を用い、さらにシリコーンオイル[信越化学工業(株)製、商品名X−22−161AS]を3重量部用い、また軟化剤の使用量を変更した以外は、実施例2と同様に行なった。なお、バンバリーミキサーから排出した際の混練物の温度は134℃であった。結果を表2に示す。
【0133】
[比較例4]
シリコ−ンゴム[東レ・ダウコ−ニング(株)製、商品名 HCR−▲1▼]100重量部をロ−ル温度が50℃の8インチオ−プンロ−ルに巻きつけ、ジクミルパ−オキサイド[日本油脂(株)製、商品名 DCP−40C]1重量部を加え、10分間混連し、組成物を作成した。作成した組成物を用いて実施例1と同様に試験を行った。結果を表2に示す。
【0134】
【表2】
【0135】
【発明の効果】
本発明に係る屋外用絶縁体用組成物は、架橋速度が速く生産性に優れ、HAV(ホットエアー加硫槽)、UHF(極超短波電磁波)などの熱空気架橋が可能であり、しかも、耐候性、撥水性、耐水分透過性、、破壊電圧、耐トラッキング性に優れ、さらに成形サイクルの短い屋外用絶縁体用組成物及び屋外用絶縁体を提供することができる。
Claims (4)
- 下記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンから導かれる構成単位を有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、
SiH基を1分子中に少なくとも2個有し、さらに分子中に(−Si−O−)mで表される構造(ただしmは3以上の整数である)を有するSiH基含有化合物(B)と、
触媒(C)とからなり、
前記SiH基含有化合物(B)1分子中に少なくとも1個以上のフェニル基を有し、かつ、
前記SiH基含有化合物1分子中に含まれるフェニル基数とSiH基含有化合物の分子量との関係が下記の式(1)を満たすことを特徴とする屋外用絶縁体用組成物;
(式1)
1分子中のフェニル基数×350<分子量
- 下記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンから導かれる構成単位を有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、
SiH基を1分子中に少なくとも2個有し、さらに分子中に(−Si−O−)mで表される構造(ただしmは3以上の整数である)を有するSiH基含有化合物(B)と、
触媒(C)と、
反応抑制剤(D)とからなり、
前記SiH基含有化合物(B)1分子中に少なくとも1個以上のフェニル基を有し、かつ、
前記SiH基含有化合物1分子中に含まれるフェニル基数とSiH基含有化合物の分子量との関係が下記の式(1)を満たすことを特徴とする屋外用絶縁体用組成物;
(式1)
1分子中のフェニル基数×350<分子量
- 前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が下記の特性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の屋外用絶縁体用組成物;
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が60/40〜90/10の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が1〜30の範囲にあり、
(iii)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が2〜10dl/gの範囲にあり、
(iv)動的粘弾性測定器より求めた分岐指数が5以上である。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の屋外用絶縁体用組成物から得られることを特徴とする屋外用絶縁体。
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