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JP4206268B2 - 単一反応槽における二段水素処理およびストリッピング - Google Patents

単一反応槽における二段水素処理およびストリッピング Download PDF

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JP4206268B2
JP4206268B2 JP2002534458A JP2002534458A JP4206268B2 JP 4206268 B2 JP4206268 B2 JP 4206268B2 JP 2002534458 A JP2002534458 A JP 2002534458A JP 2002534458 A JP2002534458 A JP 2002534458A JP 4206268 B2 JP4206268 B2 JP 4206268B2
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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、単一反応槽内の二つの反応段およびストリッピング段を用いて、炭化水素質原料を接触水素処理することに関する。より詳しくは、本発明は、二つの並流接触反応段において、ワンススルー水素を用いて炭化水素質原料を接触水素処理することに関する。第一の反応段により部分水素処理された液体流出物が製造され、これがストリッピング段でストリッピングされ、次いで第二の反応段に送られる。ストリッピングされた液体流出物が第二段で新しい水素と反応して、水素処理された液体が製造される。ストリッピング段および両反応段は、同じ反応槽内にある。
【0002】
発明の背景
水素処理には、原料を適切な水素処理触媒の存在下に水素と反応させることによって、原料のヘテロ原子化合物の少なくとも一部を除去すること、原料の分子構造を変化させることおよびこれらの組み合わせが含まれる。水素処理には、水素添加、水素化分解、水素化、水素異性化および水素化脱ロウなどの処理が含まれる。従って水素処理は、石油ストリームを品質向上して、ますます厳しくなる品質規格を満足する上で重要な役割を果す。例えば、ヘテロ原子(特に硫黄および窒素)の除去を向上すること、芳香族化合物の飽和を向上することおよびいくつかの炭化水素留分について全体としての沸点を低下することに対する要求が増大している。水素処理およびストリッピング段の両方を、複数の槽において用いる通常の水素処理形態が開発されている。より最近の形態のいくつかは、例えば米国特許第5,705,052号、同第5,720,872号、同第5,968,346号および同第5,985,135号に開示される。
【0003】
環境規制により、炭化水素生成物の規格がますます厳しくなってきている。その結果、より厳しい規格を満足するために、原料および生成物ストリームの品質をより向上することが求められる。
【0004】
より軽質かつ清浄な原料の入手可能性が減少し続けるにつれて、水素処理原料には、石炭、タールサンド、シェール油および重質原油などの物質から誘導される、より比較的高沸点の原料が含まれることになる。典型的には、これらの原料にはいずれもより望ましくない成分、例えばハロゲン化物、金属、不飽和化合物およびヘテロ原子(硫黄、窒素、酸素など)などがかなり含まれる。従って、相当量の(しかもその量はますます多くなってゆく)望ましくない種を含む原料を用いつつも、水素処理生成物における望ましくない成分のレベルを更に低減することが必要とされている。草の根的な新規水素処理設備を既存の製油所内に建設することが可能、または経済的に実現可能であるとは限らないし、殆どの既存の設備には空間的な制約があるので、生成物水素処理の程度や水素処理能力、またはこの両方を増大するために、更なる反応槽、ストリッパーおよび付属装置を追加することは制限されるか、妨げられる。従って、複数の水素処理反応槽やストリッパーを追加することなく、既存の水素処理設備の水素処理能力や、水素処理された生成物の純度、またはその両方を増大することに対する、費用対効果のある方法が必要とされている。
【0005】
発明の概要
一実施形態において、本発明は、(a)炭化水素質原料を、第一の水素処理反応段において、第一の触媒有効量の第一の水素処理触媒の存在下に、第一の接触転化条件下で水素と反応させて、水素処理された炭化水素質液体および蒸気を含む第一段の流出物を形成する工程;
(b)該第一段の液体流出物および蒸気流出物を分離する工程;
(c)該第一段の液体流出物を、ストリッピング段において、ストリッピングガスを用いてストリッピングし、少なくともストリッピングされた液体およびストリッピング蒸気を製造する工程;
(d)該第一段の蒸気流出物および該ストリッピング蒸気を組み合わせて、それらを反応槽から除去する工程;
(e)該ストリッピングされた液体、および新鮮水素または新鮮水素処理ガスを第二の液体段に送り、そこでそれらを、第二の触媒有効量の第二の水素処理触媒の存在下に、第二の接触転化条件下で反応させて、水素処理された液体生成物、および未反応水素を含む蒸気を含む第二段の流出物を製造する工程であって、該第一の水素処理段、該第二の水素処理段および該ストリッピング段は、共通の槽内にある工程;
(f)該第二段の蒸気流出物を該第一段に送る工程;および
(g)該水素処理された液体生成物を該槽から除去する工程
を含むことを特徴とする水素処理方法である。
【0006】
他の実施形態において、本発明は、炭化水素質原料を水素処理して、水素処理された炭化水素質液体を製造するための、一つ以上の反応槽、ストリッパーおよび付随設備を含む既存の水素処理設備の改良方法であって、
(a)水素、および既存の設備によって少なくとも一部が水素処理されている炭化水素質原料を第一の反応段に送り、それらを、触媒有効量の第一の水素処理触媒の存在下に、第一の接触転化条件下で反応させて、(i)更に水素処理された液体および(ii)蒸気を含む第一段の流出物を製造する工程;
(b)該第一段の液体流出物および蒸気流出物を分離する工程;
(c)該第一段の液体流出物を、ストリッピング段でストリッピングし、該第一段の反応によって製造されたストリッピング可能な溶存化合物を除去して、少なくともストリッピングされた液体およびストリッピング蒸気を製造する工程;
(d)該第一段の蒸気流出物および該ストリッピング蒸気を組み合わせる工程;
(e)該ストリッピングされた液体、および新鮮水素または新鮮水素処理ガスを第二の反応段に送り、そこでそれらを、触媒有効量の第二の水素処理触媒の存在下に、第二の接触転化条件下で反応させて、水素処理された炭化水素質液体生成物、および未反応水素を含む蒸気を含む第二段の流出物を製造する工程であって、該第一の反応段、該第二の反応段および該ストリッピング段は、共通の改良槽内にある工程;
(f)該第二段の液体および蒸気流出物を分離して、該液体を水素処理された炭化水素質液体生成物として回収し、該第二段の蒸気流出物を該第一段中に送る工程;
(g)該水素処理された液体生成物を回収する工程であって、該改良槽は該既存の水素処理設備に付け加えられたもの、または該既存の水素処理設備の槽を置きかえたものである工程;および
(h)該組み合わされた第一段の蒸気流出物および該ストリッピング蒸気を、該改良槽から導き出す工程
を含むことを特徴とする水素処理設備の改良方法である。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、段間ストリッピングを伴う二段水素処理を、単一の反応槽において行なう効果的な方法を見出したことに基づく。ここで、炭化水素質原料は、二つの別個の反応段において、水素処理触媒の存在下に水素と反応し、それぞれに蒸気流出物および液体流出物を生成する。蒸気流出物と液体流出物は分離され、第一段の液体流出物はストリッピングされた後第二の反応段に原料として送られ、そこで新鮮水素または新鮮水素処理ガスと反応して、水素処理された生成物液体を生成する。第二の反応段の蒸気流出物は未反応水素を含んでおり、これは第一の反応段に送られて、第一段の水素処理に必要な水素の少なくとも一部を供給する。第二段の蒸気流出物が、第一段の反応に必要な水素の全てを含む場合には、第二段中に送られる新鮮水素または新鮮水素処理ガスの量は、両反応段のための反応水素を供給するのに十分なものとしなければならない。
【0008】
一実施形態においては、第一段の液体流出物をストリッピングし、ストリッピングされた液体を第二段で新鮮水素と接触させることが好ましい。何らかの理論やモデルに結び付けられることを望むものではないが、このような配置により、選択性および第二段の効率が向上されると考えられる。望ましくない不純物が第一段の反応で形成され、第二段の触媒や反応、またはその両方が不純物の存在によって悪影響を受ける方法において、このストリッピングと新鮮水素との接触の組み合わせは特に重要である。ヘテロ原子化合物(例えばHSおよびNH)は、第一段の反応で形成されうる、そして第一段の液体流出物から、それが第二の反応段に送られる前にストリッピングで除去される望ましくない不純物の例証であるが、これらに限定されない。各反応段は、原料および水素反応体の並流下降流を用いることができる。一実施形態においては、占める空間が最小となる単一槽で水素処理を行う。他の実施形態においては、一つ以上の反応槽、ストリッパーおよび付随設備を含む既存の水素処理設備を、品質向上された水素処理生成物を製造するための単一の槽を付け加えるか、それを置きかえることによって改良する。品質向上された生成物は例えば、収率や純度、またはその両方がより高められている。本発明の方法で用いられる原料は、部分水素処理された原料または水素処理されていない原料である。
【0009】
本発明の単一槽における二つの反応段には、同じ触媒を含んでいても、異なる触媒を含んでいてもよく、また実質的に同じ圧力で運転することができる。既存の水素処理設備における槽を付け加えたり、置きかえたりする場合、本発明の単一または「共通」の槽における圧力は、既存の設備で用いられる圧力より高くても、低くてもよく、このことにより更なる運転の柔軟性がもたらされる。所望により、反応温度の制御や、生成物の液体収率の向上、またはその両方を目的として、二つの段のそれぞれにおける反応温度および原料に応じて、段間クエンチングまたは間接熱交換を、反応段のいずれかまたは両方で用いてもよい。第一の反応段は、槽内の第二の反応段の下、且つストリッピング段の上に配置されることが好ましい。
【0010】
一実施形態においては、本発明は、同じ槽内に含まれる二つの反応段およびストリッピング段を有する水素処理方法であって、
(a)炭化水素質原料を、第一の水素処理反応段において、水素処理触媒の存在下に水素と反応させて、水素処理された炭化水素質液体および蒸気を含む第一段の流出物を形成する工程;
(b)該第一段の液体流出物および蒸気流出物を分離する工程;
(c)該第一段の液体流出物を、ストリッピング段において、ストリッピングガスを用いてストリッピングし、ストリッピングされた液体およびストリッピング蒸気を製造する工程;
(d)該第一段の蒸気流出物および該ストリッピング蒸気を組み合わせて、それらを槽から除去する工程;
(e)該ストリッピングされた液体、および新鮮水素または新鮮水素処理ガスを該第二の反応段に送り、そこでそれらを水素処理触媒の存在下に反応させて、水素処理された液体生成物、および未反応水素を含む蒸気を含む流出物を製造する工程;
(f)該第二段の蒸気流出物を該第一段に送る工程;および
(g)該水素処理された液体生成物を該槽から除去する工程
を含む。
【0011】
好ましくは、第二段の蒸気流出物が第一段の反応水素の少なくとも一部を供給する。更なる実施形態は、槽内の第二の反応段の下に配置された第一の反応段および第一の反応段の下に配置されたストリッピング段と共に、槽上部の近傍に配置された第二の反応段を含む。また更なる実施形態には、所望により、温度制御と液体収率の最大化を目的として、反応段のいずれかまたは両方に、間接熱交換冷却またはクエンチングの少なくとも一つが含まれる。更なる実施形態には、反応水素の全てを、新しい水素として第二段に添加することが含まれる。この実施形態においては、水素リッチの第二段の蒸気流出物には、第一の反応段に必要な水素の全てが含まれる。水素処理される原料が、硫黄および窒素ヘテロ原子化合物などの不純物を含む実施形態においては、第一段の水素処理によりHSおよびNHが形成され、そのいくらかは、第一段の水素処理された液体中に溶解している。第一段の液体流出物をストリッピングすることにより、これらの溶存種が液体から除去され、実質的にヘテロ原子が低減された液体が第二段に供給される。芳香族の飽和、パラフィンの異性化または水素化分解などのための第二段の触媒はまた、第一段の液体流出物からストリッピングで除去された不純物または他の化合物により悪影響を受ける、またはそれに敏感なものであってもよい。
そのため第二段の触媒は、例えば飽和、水素異性化、重合などのための硫黄感受性貴金属触媒を含んでいてもよい。または、第二段の触媒は、第一段で用いられると同じものであってもよく、異なる二つのタイプの触媒の混合物であってもよい。
【0012】
本発明が、一つ以上の反応槽、ストリッパーおよび付随設備を有する既存の水素処理系または設備の改良方法を含み、また該改良のための原料として用いられる水素処理された炭化水素質液体を製造する実施形態において、該改良方法は、(a)水素処理された炭化水素質原料および水素を、第一の反応段に送り、そこでそれらを、水素処理触媒の存在下に反応させて、(i)更に水素処理された液体および(ii)蒸気を含む第一段の流出物を製造する工程;
(b)該第一段の液体流出物および蒸気流出物を分離する工程;
(c)該第一段の液体流出物を、ストリッピング段でストリッピングし、該第一段の反応によって製造されたストリッピング可能な溶存化合物を除去する工程;
(d)該第一段の蒸気流出物および該ストリッピング蒸気を組み合わせて、それらを該槽から除去する工程;
(e)該ストリッピングされた液体、および新鮮水素または新鮮水素処理ガスを第二の反応段に送り、そこでそれらを、水素処理触媒の存在下に反応させて、水素処理された液体生成物、および未反応水素を含む蒸気を含む第二段の流出物を製造する工程;
(f)該第二段の液体および蒸気流出物を分離して、該液体を水素処理された炭化水素質液体生成物として回収し、該第二段の蒸気流出物を該第一段中に送る工程;および
(g)該水素処理された液体生成物を回収する工程であって、該二つの反応段および該ストリッピング段は、共通の槽内にあり、該槽は該既存の水素処理設備に付け加えられたもの、または該既存の水素処理設備の槽を置きかえたものである工程
を含む。
【0013】
「既存の水素処理系または設備を改良する」とは、(i)より純粋な生成物を製造すること、(ii)該設備によって製造されうる生成物の量を増加すること、またはこの両方を意味する。先に言及した更なる実施形態はまた、この既存の水素処理設備を改良する実施形態にあてはまる。
【0014】
本方法に用いる原料は、炭化水素質液体、好ましくは炭化水素液体、例えば合成原油、留出燃料油または潤滑油留分等を含み、部分水素処理されていても、されていなくてもよい。部分水素処理された原料は、多くの既知水素処理方法のいずれかによって、少なくとも部分的に既に接触精製されたものである。水素化の場合には、ヘテロ原子化合物の一部が既に除去されており、芳香族化合物のいくらかが飽和によって除去されていたり、いなかったりする。脱硫については、本発明の方法に用いる原料の硫黄含有量は、典型的には500wppm未満、好ましくは400wppm未満の硫黄を、種々の硫黄含有化合物の形態で有する。原料の窒素含有量は、約20〜1000wppm、好ましくは300wppm以下の範囲である。一例として、本発明の方法に従って精製されたディーゼル燃料の硫黄、窒素および酸素のそれぞれの含有量は、原料の純度レベルにもよるが、典型的には、それぞれ、約30〜100wppm、好ましくは20〜100wppmの範囲であるが、これらに限定されない。本発明を実施するに際して、槽内のストリッピングおよび反応段は、実質的に同じ圧力で運転され、所望の反応および用いられる触媒にもよるが、600psia未満、もしくは850または1000psia超とすることができる。第一および第二の反応段の反応温度は同じでも異なっていてもよく、実際の値は原料、反応および触媒によって決まる。簡単なチムニーおよびトレータイプの気−液分離手段、またはその同等物を、これらの二つの反応段の間に配置し、分離された第二の反応段のガス状流出物を、ガス圧縮機を必要とすることなく、分離手段から、その下にある第一の反応段の上部に直接流下して送る。分離された第二段の液体流出物には、水素処理された生成物液体が含まれる。炭化水素質原料は、第一の反応段の上部に導入され、そこでそれは、水素処理触媒の存在下に、新鮮水素または新鮮水素処理ガスと反応する。これらの特徴の全ては、本発明を実施するに際して好ましく、また単一の、比較的小さく空間的に効率のよい反応槽を、既存の水素処理装置に付け加えるか、またはその槽を置きかえるのに用いられることを可能にする。
【0015】
本発明の文脈において、用語「新鮮水素」および「水素含有処理ガス」は同義であり、純粋な水素、または水素含有処理ガス(少なくとも予定の反応に対して十分な量の水素と共に、反応および生成物のいずれかに悪影響を及ぼしたり、影響を及ぼしたりしない他のガス(例えば、窒素や、メタンなどの軽質炭化水素)を含む処理ガスストリーム)のいずれかをいう。第二の反応段中に導入される新鮮水素処理ガスストリームには、好ましくは少なくとも約50体積%、より好ましくは少なくとも約75体積%の水素が含まれる。多くの用途において、第二段中に導入される水素は、第二および第一の両反応段に対して、反応水素の全てを供給するのに十分であることが好ましい。しかし、硫黄、窒素その他第二段の反応または触媒に悪影響を及ぼす他の種が十分に少なく、第二段に対しては適切でないものの、第一段に対しては使用可能な水素源が入手可能な場合もある。この場合には、このあまり純粋でない水素の全てまたは一部を第一段中に導入してもよい。これにより、第二段中に送る新鮮水素の量が低減される。
【0016】
「水素処理」とは、水素を炭化水素質原料と反応させて、硫黄、窒素および酸素などの一種以上のヘテロ原子不純物を除去する、原料の少なくとも一部の分子構造を変化または転化させる、またはこの両方を行なう方法を意味する。本発明によって実施しうる水素処理方法の例には、水素化分解によるより低沸点の留分の形成、芳香族および他の不飽和化合物の水素添加、ヘテロ原子を除去し、且つ任意に飽和によって芳香族を除去する水素化、ワックスおよびワックス質原料の水素異性化および接触脱ロウ、並びに重質ストリームの脱メタルが含まれるが、これらに限定されない。(特にナフテン環の)開環もまた、水素処理方法と見なすことができる。「炭化水素質原料」とは、例えば原油、タールサンド、石炭液化、シェール油および炭化水素合成から得られるか、またはそれに由来する主として炭化水素からなる物質を意味する。本発明を実施するに際して用いられる反応段は、所望の反応に効果的な温度および圧力で運転される。例えば、典型的な水素処理温度は、約50psig〜約3,000psig、より典型的には50〜2,500psigの圧力において、約150゜F〜約950゜Fの範囲である。これらの系で用いるのに適切な原料には、ナフサ沸騰範囲〜重質原料(軽油および残油など)の範囲のものが含まれる。本発明を実施するに際して用いうるそのような原料の例には、減圧残油、常圧残油、減圧軽油(VGO)、常圧軽油(AGO)、重質常圧軽油(HAGO)、スチーム分解軽油(SCGO)、脱アスファルト油(DAO)、軽質キャットサイクル油(LCCO)、並びに、タールサンド、シェール油、石炭液化やHおよびCOの混合物からのフィッシャー−トロプシュ型炭化水素合成により合成された炭化水素由来の天然および合成原料が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
本発明は、図面(本発明の実施に際して有用な水素処理装置の概略図)を参照して更によく理解することができる。この特定の例証である実施形態においては、水素処理方法は水素化処理であり、反応段は水素化段である。簡単のために、処理反応槽の内部、バルブ、ポンプ、熱交換装置などを全て示してはいない。従って、ディーゼルまたは潤滑油留分などの留出油留分を含む原料(部分水素化されていても、いなくてもよい)を水素化するための水素化装置10は、単一の反応槽12を含み、これには二つの並流下降流反応段、これら二つの反応段の間にある気−液分離手段および第一の反応段の下に位置されるストリッピング段が含まれる。槽の内側底部は、気−液分離および第一の反応段の液体流出物の回収に用いられる。簡単のために、処理反応槽の内部、バルブ、ポンプ、熱交換装置などを全て示してはいない。従って、ディーゼル留分を精製するための水素化装置10は、単一の中空円筒形の金属性反応槽12を含み、その内部に、それぞれ固定触媒床18および14によって定められる第一および第二の反応段を含む。これらは、内部のチムニー型気−液分離トレー16により分離される。触媒床14および18はそれぞれ、芳香族飽和反応段およびヘテロ原子除去反応段を含む。また、本方法の目的が、例えば硫黄除去および芳香族飽和の両方ではなく、主に硫黄除去である場合には、両段がヘテロ原子除去触媒を含んでいてもよい。気−液接触段20はストリッピング段を含み、第一の反応段18の下に配置されて示されている。ここでヘテロ原子化合物がディーゼル留分原料から除去される。ストリッピング段20は、三つのストリッピングトレー21、22および23(知られているように、トレーの代わりに充填物を用いてもよいが)により略して示されている。ヘテロ原子および芳香族を含むディーゼル留分原料は、原料ライン24を経て第一の反応段12に入る。ガス透過性の気−液分離手段16(前記チムニー型分離トレーなど)によって、第二の反応段からの水素リッチ蒸気流出物が、得られた精製ディーゼル留分から分離される。第二の反応段からの水素リッチ蒸気流出物は次いで、第一および第二の反応段を分離するガス透過性トレー16を通って流下して送られる。これらのトレーは通常のものであり、典型的には金属円板(そこを通って伸びる多数の管またはチムニーと共に供される)、バブルキャップトレーなどからなる。第二の反応段からの水素リッチ蒸気は流下して触媒床18に送られ、そこで蒸気流出物中の未反応水素が流下するディーゼル留分と反応し、ヘテロ原子化合物が除去される。これにより、ヘテロ原子含有量が低減された液体ディーゼル留分と共に、HS、NH、(恐らくは)HO蒸気、(存在していれば)水素処理ガス中に存在していた可能性のある希釈剤(例えばメタンなど)および(存在していれば)反応により製造されたガス状炭化水素(通常は少量)を含む蒸気を含む流出物が製造される。第一段の液体流出物は次いで、流下してストリッピング段20に送られ、そこで上方に流れるストリッピングガス(水素、スチーム、メタンなどとすることができる)と接触する。これにより、流下する液体から、第一段の反応により形成された溶存ヘテロ原子種(HSおよびNHなど)がストリッピングされる。上方に流れるストリッピングガスは第一の反応段のガス状流出物と混合され、生じた混合物は次いで、ライン26を経て反応槽から出される。このガス混合物は下流で更に処理されて、硫黄および窒素が除去され、廃棄される。ストリッピングされた第一の反応段の液体流出物28は、示されるように、反応槽の中空底部に集められる。この液体はライン30を経て槽底部から排出され、必要により間接熱交換器32を通り、次いで液体ポンプ34に送られる。これは、この液体を上方に流して、ライン36および38を経て槽12の上部に送り、その下の第二の反応段14に流下させる。新鮮水素または新鮮水素処理ガスは、ライン40および38を経て、第二の反応段14の上の槽12上部に導入される。水素は、両反応段に必要な反応水素を供給するのに十分な量で存在する。水素は、ヘテロ原子が低減されたディーゼル留分と混合され、貴金属触媒の存在下に、その中の芳香族と反応して、飽和により芳香族が除去される。これにより、更に精製されたディーゼル留分(即ち製品のディーゼル原料)を含む第二の反応段の液体流出物が製造される。このものにおけるヘテロ原子および芳香族の含有量は、ライン24を経て反応器に導入される留分におけるそれらより少ない。またこれにより、水素リッチの第二段の蒸気流出物が製造される。このものは、手段16を経て液体から分離された後、第二の反応段に流下して送られる。精製ディーゼル原料は、ライン42を経て反応器から除去され、貯蔵庫に送られた後、ブレンディングに用いられるか、または適切な添加剤パッケージと組み合されて、完成燃料油が形成される。比較的高い圧力で槽を運転することにより、例えば芳香族飽和などの反応に対しあまり活性でない触媒(例えばニッケル)に比べて、より高活性な触媒(例えば貴金属)を使用することが可能となる。あまり活性でない触媒は、実質的により多量の触媒を必要とし、これに付随してより大きな槽を必要とする。芳香族飽和触媒反応段または第二の反応段は、槽上部の、第一の反応段(硫黄レベルの非常に低い生成物液体を製造する)の上に配置されるか、またはヘテロ原子除去触媒と芳香族除去触媒の混合物の反応段であることが好ましい。しかし、この例証においては、第二段の触媒は芳香族除去に対して選択的であり、ヘテロ原子を除去して硫黄レベルの非常に低い生成物液体を製造することに対しては選択的でない触媒、またはヘテロ原子除去触媒と芳香族除去触媒の混合物であることが好ましい。
【0018】
本明細書で用いられる用語「水素化」は、水素化される原料と水素含有処理ガスが、少なくとも一種以上の触媒(主として、少なくとも硫黄および窒素などのヘテロ原子を除去する活性を有し、任意に芳香族飽和活性を有する)の存在下に反応する方法をいう。本発明の水素化の実施形態で用いるのに適切な水素化触媒には、あらゆる通常の水素化触媒が含まれる。その例には、少なくとも一種の第VIII族金属触媒成分(好ましくはFe、CoおよびNi、より好ましくはCoおよび/またはNi、最も好ましくはCo)および少なくとも一種の第VI族金属触媒成分(好ましくはMoおよびW、より好ましくはMo)が、アルミナなどの高表面積の担体物質上に担持されてなる触媒が含まれる。他の適切な水素化触媒には、ゼオライト触媒や貴金属触媒(貴金属はPdおよびPtから選択される)が含まれる。上記されるように、一種以上のタイプの水素化触媒を同じ反応段または域で用いることができ、これは本発明の範囲内である。典型的な水素化温度は約350〜850゜Fの範囲であり、600〜700゜Fがより典型的である。また圧力は約50〜約3,000psig、好ましくは約50〜約2,500psigである。反応段の一つが水素化分解段である場合、触媒は、典型的な水素化分解条件で運転される通常の適切な水素化分解触媒であればいかなるものであってもよい。典型的な水素化分解触媒は、本明細書に引用して含まれる、UOPによる米国特許第4,921,595号に開示される。このような触媒は、典型的には、第VIII族金属水素添加成分がゼオライト分解基材上に担持されてなる。水素化分解条件には、約200〜425℃の温度、約200psig〜約3,000psigの圧力および約0.5〜10V/V/Hr、好ましくは約1〜5V/V/Hrの液空間速度が含まれる。芳香族飽和または水素添加触媒の例には、ニッケル、コバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン、およびニッケル−タングステンが含まれるが、これらに限定されない。貴金属(例えば白金および/またはパラジウム)含有触媒もまた用いることができ、これは高圧で用いると芳香族の除去に対してより選択的である。好ましくは、芳香族飽和域は約350〜約850゜F、より好ましくは約450〜約700゜Fの温度、約100〜約3,000psig、好ましくは約200〜約1,200psigの圧力および約0.3〜約2V/V/Hrの液空間速度(LHSV)で運転される。
【0019】
本発明を実施するに際して、種々の他の実施形態および変更は、上記された本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に自明であり、また当業者によって容易になされ得ると解される。従って、本明細書に添付される請求の範囲は、上記された正確な記載に限定されることを意図するものではなく、請求の範囲はむしろ、本発明に帰属する、特許性のある新規性を有する特徴をすべて包含するものであると解されることを意図するものであり、これには、本発明が属する分野の当業者によりその均等物として扱われるすべての特徴および実施形態も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水素処理方法の一実施形態の流れ図の概略を示す図である。ここで二つの反応段およびストリッピング段は同じ槽内にある。

Claims (9)

  1. 共通の槽内にある第一の水素処理段、第二の水素処理段およびストリッピング段を用いる水素処理方法であって、
    (a)炭化水素質原料を、該第一の水素処理反応段において、第一の触媒有効量の第一の水素処理触媒の存在下に、第一の接触転化条件下で水素と反応させて、水素処理された炭化水素質液体および蒸気を含む第一段の流出物を形成する工程;
    (b)該第一段の流出物を該ストリッピング段に送り、そこでそれをストリッピングガスと接触させて、ストリッピングされた第一段の液体流出物および蒸気流出物を形成する工程であって、該蒸気流出物は、第一段の蒸気および該ストリッピングガスを含む工程;
    (c)該蒸気流出物を除去する工程;
    (d)該ストリッピングされた液体流出物および水素を該第二の水素処理段に送り、そこでそれらを、第二の触媒有効量の第二の水素処理触媒の存在下に、第二の接触転化条件下で反応させて、水素処理された液体生成物、および未反応水素を含む蒸気を含む第二段の流出物を製造する工程;
    (e)該第二段の蒸気流出物を該第一の水素処理段に送る工程;および
    (f)該水素処理された液体生成物を該槽から除去する工程
    含み、
    該第二段は、該第一段の上に配置され、かつ、該第二段の蒸気は、該第二段から直接該第一段中に流下して送られることを特徴とする水素処理方法。
  2. 前記第二段の蒸気流出物は、前記第一段の反応に必要な前記水素の少なくとも一部を供給することを特徴とする請求項1に記載の水素処理方法。
  3. 前記ストリッピング段は、前記第一の反応段の下に配置されることを特徴とする請求項に記載の水素処理方法。
  4. 前記炭化水素質原料は、炭化水素を含むことを特徴とする請求項に記載の水素処理方法。
  5. 前記第一段の液体流出物は、前記第二段の触媒または反応に悪影響を及ぼすストリッピング可能な種を含むことを特徴とする請求項に記載の水素処理方法。
  6. 前記炭化水素質原料は、炭化水素留出油を含むことを特徴とする請求項に記載の水素処理方法。
  7. 前記第二段の蒸気流出物は、前記第一段に全ての水素を供給することを特徴とする請求項に記載の水素処理方法。
  8. 前記第二段は、前記第一段の触媒と異なる触媒を含むことを特徴とする請求項に記載の水素処理方法。
  9. 前記反応段のいずれかまたは両方は、液体収率を増大するために冷却またはクエンチングされることを特徴とする請求項に記載の水素処理方法。
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