JP4205796B2 - 水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法およびその接着シ―ト類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中にウレタン変性アクリルポリマ―が分散されてなる水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法、ならびにこの感圧性接着剤組成物をシ―ト状やテ―プ状などの形態とした接着シ―ト類に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境衛生や安全衛生などの点より、感圧性接着剤を用いた接着シ―ト類の製造方法として有機溶剤を用いない方向への転換が進みつつある。これには、ホツトメルト型やエマルジヨン型などがあるが、前者は耐熱性の欠如という問題があり、後者は耐水性の欠如という問題を有している。
【0003】
エマルジヨン型の耐水性の欠如は、主として、水に安定に分散させるために用いる乳化剤の残存に起因するものであることが知られている。この耐水性を向上させるため、たとえば、特開平5−98222公報には、反応性乳化剤を用いてポリマ―分子中に乳化剤を取り込む試みがなされている。しかし、反応性乳化剤が水相で重合したり、未反応で残存するため、ポリマ―分子中に完全に取り込めず、結果として、耐水性を大きく向上させるには至つていない。
【0004】
塗料やインクなどの分野では、米国特許第5,173,526号明細書などにみられるように、良好な物性を得るため、エマルジヨン型でウレタンとアクリルとを複合化したものを用いることが、提案されている。しかし、この種の塗料やインクなどに適用される技術を、感圧性接着剤の分野に応用することは接着特性上決して容易ではなく、このような例はほとんどみられない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に照らし、ウレタン変性アクリル材料を使用して、接着特性にすぐれるとともに、環境衛生や安全衛生上の問題のない水分散型で、しかも乳化剤に起因した耐水性の問題も起こらない、実用性にすぐれた感圧性接着剤組成物とその接着シ―ト類を得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、原料成分としてカルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―とアクリル系モノマ―とを使用し、とくに後者のアクリル系モノマ―を前者のウレタンプレポリマ―に比べて大量に使用して、これらを水媒体中に特定手法で反応処理して、ウレタン変性アクリルポリマ―を生成させることにより、良好な接着特性が得られるとともに、水分散型として、溶剤を用いないため、環境衛生や安全衛生上の問題がなく、また、乳化剤を必要としないため、すぐれた耐水性も得られることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0007】
本発明は、水中に、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマー2〜10重量%とアクリル系モノマー98〜90重量%との混合物を原料成分としたウレタン変性アクリルポリマーが、分散されてなることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物と、支持体上に上記の水分散型感圧性接着剤組成物からなる接着剤層を有することを特徴とする接着シート類とを提供しようとするものである。
【0008】
すなわち、本発明は、a)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマーを得る工程、b)上記のウレタンプレポリマー2〜10重量%とアクリル系モノマー98〜90重量%とを混合し、かつ塩基で中和する工程、c)この中和物を水中に分散する工程、d)この水分散液にポリアミンを加えて上記のウレタンプレポリマーを鎖延長し、かつラジカル重合開始剤を加えて上記のアクリル系モノマーを重合する工程を具備してなり、上記のa工程は、ポリイソシアネートと、カルボキシル基含有ポリオールと、水酸基含有アクリルモノマーとを反応させて、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマーを得る工程からなることにより、水中にウレタン変性アクリルポリマーが分散されてなる水分散型感圧性接着剤組成物を製造することを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法に係るものである。
【0009】
また、本発明は、上記の水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法として、とくに、a工程における上記のポリイソシアネートとして脂環族ポリイソシアネートを使用する方法に係るものである。さらに、本発明は、上記の各方法で製造した水分散型感圧性接着剤組成物を用いて、支持体上に接着剤層を形成することを特徴とする接着シート類の製造方法に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、水中に、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―2〜10重量%とアクリル系モノマ―98〜90重量%との混合物を原料成分としたウレタン変性アクリルポリマ―が、分散されてなる水分散液を得、これを水分散型感圧性接着剤組成物としたものであり、ここで、上記の水分散液は、以下のa〜d工程により、製造できる。
【0011】
a工程においては、ポリイソシアネ―トと、カルボキシル基含有ポリオ―ルと、水酸基含有アクリルモノマ―とを反応させて、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―を得る。その際、ポリイソシアネ―トと水との反応を抑えるため、乾燥空気や窒素などで置換したり、各材料を脱水乾燥しておくのがよい。また、イソシアネ―ト基と水酸基との反応触媒として、たとえば、ジブチルすずジラウレ―ト、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ−2,2,2−オクタンなどを使用してもよい。
【0012】
ポリイソシアネ―トとしては、芳香族、脂肪族、脂環族のポリイソシアネ―トをいずれも使用できる。これらの中でも、ポリオ―ルとの速やかな反応および水との反応の抑制の観点から、イソホロンジイソシアネ―ト、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネ―ト、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―トなどの脂環族ポリイソシアネ―トがとくに好ましく用いられる。ポリイソシアネ―トとしては、通常はジイソシアネ―トが用いられるが、場合により、トリないしそれ以上のポリイソシアネ―トを用いることもできる。
【0013】
カルボキシル基含有ポリオ―ルは、ウレタンプレポリマ―の分子中にカルボキシル基を導入して、その中和により水分散性を付与するためのものである。具体的には、2,2−ジメチロ―ル酢酸、2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸、2,2−ジメチロ―ル酪酸などが挙げられ、とくに2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸が好ましい。なお、これらを加える際、反応を速やかに進行させるため、N−メチルピロリドンのような溶剤に溶解して加えるのが望ましい。
【0014】
水酸基含有アクリルモノマ―は、ウレタンプレポリマ―の分子中に(メタ)アクリルロイル基を導入して、アクリル系モノマ―との共重合性を付与し、ウレタン成分とアクリル成分との相溶性を高めて、接着特性の向上に寄与させるためのものである。具体的には、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシルヘキシル(メタ)アクリレ―トなどが用いられる。
【0015】
上記ウレタンプレポリマ―の生成において、ポリイソシアネ―トの使用量は、カルボキシル基含有ポリオ―ルと水酸基含有アクリルモノマ―との合計の水酸基量に対し、イソシアネ―ト基が1.1〜2.0当量となる割合とするのがよい。ポリイソシアネ―トが多すぎても少なすぎても、水分散後の鎖延長が十分でなくなり、接着特性に好結果が得られにくい。また、カルボキシル基含有ポリオ―ルと水酸基含有アクリルモノマ―との使用割合としては、水酸基量として、カルボキシル含有ポリオ―ルが50〜80当量%、水酸基含有アクリルモノマ―が50〜20当量%となる割合とするのが望ましい。上記両成分のどちらかが多すぎても少なすぎても、安定な水分散物が得られにくい。
【0016】
b工程においては、このようにして得たカルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―にアクリル系モノマ―を混合し、かつ上記プレポリマ―分子内のカルボキシル基を塩基により中和する。塩基には、イソシアネ―ト基と反応せず、カルボキシル基を中和できるものであればよく、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリや、トリエチルアミンのような第三級アミンなどが用いられる。
【0017】
また、上記のアクリル系モノマ―としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが主として用いられる。その他、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなども用いられる。
【0018】
これらのアクリル系モノマ―は、最終的に良好な接着特性が得られるように、そのモノマ―組成が選択される。また、これらのアクリル系モノマ―は、前記のカルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―2〜10重量%(好ましくは8重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下)に対して、98〜90重量%(好ましくは92重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上)となる割合で、使用することが肝要である。アクリル系モノマ―の上記使用量が90重量%より少ないと、接着力が小さくなり、また98重量%より多いと、安定な水分散物が得られにくいなどの問題がある。
【0019】
c工程においては、上記のようにカルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―にアクリル系モノマ―を混合し、かつ塩基により中和したのちに、この中和物を水に分散させる。この分散は、中和物を水中に加えるか、中和物の中に水を加えるかのいずれの方法でもよく、その際、撹拌しながら分散させるのが好ましい。攪拌は通常の撹拌機を用いてもよいし、必要に応じてホモミキサやホモジナイザなどを用いて行つてもよい。これにより、上記中和物が水中に安定に分散された水分散液が得られる。
【0020】
d工程においては、このような水分散液にポリアミンを加えて上記のウレタンプレポリマ―を鎖延長し、かつラジカル重合開始剤を加えて上記のアクリル系モノマ―を重合させる。鎖延長の反応は室温下で行つても加熱して行つてもよい。鎖延長のためのポリアミンには、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミンが好ましく用いられる。使用量は、ウレタンプレポリマ―に残存するイソシアネ―ト量に対し当量とすればよい。
【0021】
アクリル系モノマ―の重合は、所定の温度に加熱して行うのが望ましい。重合のためのラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕などのアゾ化合物や、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物が用いられる。ラジカル重合開始剤は油溶性でも水溶性でもよく、粉末状のものでは水または少量の有機溶剤に溶かして使用される。使用量は、アクリル系モノマ―100重量部に対して、通常0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部とするのがよい。このようなアクリル系モノマ―の重合に際し、前記のウレタンプレポリマ―に含まれる(メタ)アクリロイル基も、鎖延長後に、重合反応に同時に関与して、接着特性の向上などに好結果を与える。
【0022】
このような鎖延長および重合により、高分子量のウレタン変性アクリルポリマ―が生成し、このウレタン変性アクリルポリマ―が水中に安定に分散された水分散液が得られる。本発明においては、この水分散液をそのまま水分散型感圧性接着剤組成物として使用してもよいし、必要により、ポリビニルアルコ―ルやその他の分散性改良剤や増粘剤などを加えて使用してもよい。
【0023】
本発明の水分散型感圧性接着剤組成物には、さらに必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、顔料、架橋剤などの一般の感圧性接着剤組成物に用いられる種々の添加剤を加えることもできる。架橋剤を加える場合、この架橋剤は水溶性でも油溶性でもよく、油溶性の場合は少量の有機溶剤に溶かしたり、水に乳化させて加えればよい。他の添加剤についても同様である。
【0024】
本発明の接着シ―ト類は、支持体上に上記構成の水分散型感圧性接着剤組成物を塗布し、これを加熱乾燥して、水分を除いた所望厚さの接着剤層を形成することにより、シ―ト状やテ―プ状などの形態としたものである。上記支持体には、プラスチツクフイルム、不織布、紙、金属箔、発泡シ―トなどの非剥離性支持体や、剥離紙などの剥離性支持体が用いられる。また、場合によつては、支持体を全く用いないで、シ―ト状やテ―プ状などの形態とすることもできる。
【0025】
このようにして作製される本発明の接着シ―ト類は、接着性能にすぐれて、大きな接着力を示すとともに、耐水性にもすぐれており、一般の接着用途はもちろん、耐水性が必要とされる用途にも、十分に使用できる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0027】
実施例1
還流冷却管、ガス導入管(兼脱気用管)、撹拌装置、温度計を備えたフラスコに、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト10部とともに、ジメチロ―ルプロピオン酸2.13部を乾燥したN−メチルピロリドン5.33部に溶解して加え、またヒドロキシルエチルアクリレ―ト3.69部(ジメチロ―ルプロピオン酸の水酸基とヒドロキシルエチルアクリレ―トの水酸基との合計中、ヒドロキシルアクリレ―トの水酸基量が50当量%)を加え、さらにジブチルすずジラウレ―ト0.007部を加えて、65℃で4時間反応させた。
【0028】
得られたカルボキシル基およびアクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―は、残存イソシアネ―ト基量が理論どおり仕込み量の16.7%であつた。このウレタンプレポリマ―を30℃まで冷却し、これに乾燥したアクリル酸ブチル331.2部(ウレタンプレポリマ―との合計量中、95重量%に相当)を加え、よく撹拌した。トリエチルアミン1.61部を加え、よく撹拌して中和した。別のフラスコに蒸留水522.95部を入れ、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン0.38部を蒸留水3.42部で希釈して加え、1時間撹拌した。1時間の窒素置換後、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.13部をメタノ―ル4部に溶解させ蒸留水4部で希釈して加え、60℃に加熱して4時間反応させた。
【0029】
このように鎖延長および重合反応させることにより、水中にウレタン変性アクリルポリマ―が安定に分散された水分散液を得、これをそのまま水分散型感圧性接着剤組成物とした。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を、支持体としての厚さが38μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム上に、アプリケ―タにより塗布したのち、乾燥機中で130℃で5分間乾燥することにより、厚さが50μmの接着剤層を形成して、接着シ―トとした。
【0030】
実施例2
実施例1で得られたカルボキシル基およびアクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―を30℃まで冷却し、これに乾燥したアクリル酸ブチル427.08部とアクリル酸2−エチルヘキシル427.08部との混合物(ウレタンプレポリマ―との合計量中、98重量%に相当)を加え、よく撹拌した。トリエチルアミン1.61部を加え、よく撹拌して、中和した。別のフラスコに蒸留水1,307.37部を入れ、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン0.38部を蒸留水3.42部で希釈して加え、1時間撹拌した。1時間の窒素置換後、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.34部をメタノ―ル4部に溶解させ蒸留水4部で希釈して加え、60℃に加熱して4時間反応させた。
【0031】
このように鎖延長および重合反応させることにより、水中にウレタン変性アクリルポリマ―が安定に分散された水分散液を得、これをそのまま水分散型感圧性接着剤組成物とした。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を、支持体としての厚さが38μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム上に、アプリケ―タにより塗布したのち、乾燥機中で130℃で5分間乾燥することにより、厚さが50μmの接着剤層を形成して、接着シ―トとした。
【0032】
実施例3
還流冷却管、ガス導入管(兼脱気用管)、撹拌装置、温度計を備えたフラスコに、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト10部とともに、ジメチロ―ルプロピオン酸2.77部を乾燥したN−メチルピロリドン6.93部に溶解して加え、またヒドロキシルエチルアクリレ―ト2.58部(ジメチロ―ルプロピオン酸の水酸基とヒドロキシルエチルアクリレ―トの水酸基との合計中、ヒドロキシルアクリレ―トの水酸基量が35当量%)を加え、さらにジブチルすずジラウレ―ト0.007部を加えて、65℃で4時間反応させた。
【0033】
得られたカルボキシル基およびアクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―は、残存イソシアネ―ト基量が理論どおり仕込み量の16.7%であつた。このウレタンプレポリマ―を30℃まで冷却し、これに乾燥したアクリル酸ブチル854.88部(ウレタンプレポリマ―との合計量中、98重量%に相当)を加え、よく撹拌した。ついで、トリエチルアミン2.09部を加え、よく撹拌して、中和した。別のフラスコに蒸留水1,308.48部を入れ、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン0.38部を蒸留水3.42部で希釈して加え、1時間撹拌した。1時間の窒素置換後、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.34部をメタノ―ル4部に溶解させ蒸留水4部で希釈して加え、60℃に加熱して4時間反応させた。
【0034】
このように鎖延長および重合反応させることにより、水中にウレタン変性アクリルポリマ―が安定に分散された水分散液を得、これをそのまま水分散型感圧性接着剤組成物とした。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を、支持体としての厚さが38μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム上に、アプリケ―タにより塗布したのち、乾燥機中で130℃で5分間乾燥することにより、厚さが50μmの接着剤層を形成して、接着シ―トとした。
【0035】
比較例1
還流冷却管、ガス導入管(兼脱気用管)、撹拌装置、温度計を備えたフラスコに、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト10部を加え、また、ジメチロ―ルプロピオン酸4.26部を乾燥したN−メチルピロリドン10.65部に溶解して加え、さらにジブチルすずジラウレ―ト0.007部を加えて、65℃で4時間反応させた。
【0036】
このようにしてカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマ―を得たのち、このウレタンプレポリマ―を30℃まで冷却し、これに乾燥したアクリル酸ブチル332.14部(ウレタンプレポリマ―との合計量中、95重量%に相当)を加え、よく撹拌した。トリエチルアミン3.22部を加え、よく撹拌して、中和した。別のフラスコに蒸留水524.43部を入れ、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン0.38部を蒸留水3.42部で希釈して加え、撹拌したところ、途中で凝集化してしまい、安定な水分散液が得られなかつた。このため、ラジカル重合開始剤の添加による重合反応を行えず、ウレタン変性アクリルポリマ―を生成できなかつた。
【0037】
比較例2
実施例1で得られたカルボキシル基およびアクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―を30℃まで冷却し、これに乾燥したアクリル酸ブチル1725.35部(ウレタンプレポリマ―との合計量中、99重量%に相当)を加え、よく撹拌した。トリエチルアミン1.61部を加え、よく撹拌して、中和した。別のフラスコに蒸留水2,614.16部を入れ、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン0.38部を蒸留水3.42部で希釈して加え、1時間撹拌した。1時間の窒素置換後、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.69部をメタノ―ル4部に溶解させ蒸留水4部で希釈して加え、60℃に加熱して反応させたところ、重合途中で凝集化してしまい、ウレタン変性アクリルポリマ―が水中に安定に分散された水分散液を得ることはできなかつた。
【0038】
比較例3
実施例1で得られたカルボキシル基およびアクリロイル基を含有するウレタンプレポリマ―を30℃まで冷却し、これに乾燥したアクリル酸ブチル69.71部(ウレタンプレポリマ―との合計量中、80重量%に相当)を加え、よく撹拌した。トリエチルアミン1.61部を加え、よく撹拌して、中和した。別のフラスコに蒸留水130.71部を入れ、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン0.38部を蒸留水3.42部で希釈して加え、1時間撹拌した。1時間の窒素置換後、2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.03部をメタノ―ル4部に溶解させ蒸留水4部で希釈して加え、60℃に加熱して反応させた。
【0039】
このように鎖延長および重合反応させることにより、水中にウレタン変性アクリルポリマ―が安定に分散された水分散液を得、これをそのまま水分散型感圧性接着剤組成物とした。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を、支持体としての厚さが38μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム上に、アプリケ―タにより塗布したのち、乾燥機中で130℃で5分間乾燥することにより、厚さが50μmの接着剤層を形成して、接着シ―トとした。
【0040】
比較例4
還流冷却管、ガス、導入管、撹拌装置、温度計を備えたフラスコに、アクリル酸ブチル95部、アクリル酸5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部および蒸留水150部をあらかじめホモミキサで乳化混合して調製した乳化物を投入し、これにさらにN−メチルピロリドン2部に溶解したアゾビスイソブチルバレロニトリル0.15部を加え、窒素気流下で1.5時間撹拌したのち、60℃に加熱して4時間反応させた。
【0041】
このようにしてアクリル系重合体エマルジヨンを得、これをそのまま水分散型感圧性接着剤組成物とした。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を、支持体としての厚さが38μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム上に、アプリケ―タにより塗布したのち、乾燥機中で130℃で5分間乾燥することにより、厚さが50μmの接着剤層を形成して、接着シ―トとした。
【0042】
上記の実施例1〜3および比較例3,4で得られた接着シ―トについて、下記の方法により、接着力試験および耐水性試験を行つた。これらの試験結果は、表1に示されるとおりであつた。
【0043】
<接着力試験>
JIS Z 0237にしたがつて、ステンレススチ―ル板に対する180°剥離接着力を測定した。
【0044】
<耐水性試験>
接着シ―トを蒸留水中に浸漬して、24時間後の白化度をHazeメ―タで測定した。蒸留水浸漬前のHaze値に比べて、浸漬後のHaze値が100%以上、上昇しているものを×、100%以下であるものを〇、と評価した。
【0045】
【0046】
上記の表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜3の水分散型感圧性接着剤組成物を用いることにより、接着性にすぐれる接着シ―トを作製でき、しかもこの接着シ―トは耐水性にすぐれていることがわかる。
【0047】
これに対して、ウレタンプレポリマ―の合成に際して、水酸基含有アクリルモノマ―であるヒドロキシルエチルアクリレ―トを用いなかつた比較例1や、アクリル系モノマ―であるアクリル酸ブチルの使用量を多くしすぎた比較例2では、水中にウレタン変性アクリルポリマ―が安定に分散された水分散液を得ることができなかつた。また、アクリル系モノマ―であるアクリル酸ブチルの使用量を少なくしすぎた比較例3の水分散型感圧性接着剤組成物を用いた接着シ―トでは、接着力が大きく低下し、さらに、従来のアクリル系重合体エマルシヨンを用いた比較例4の接着シ―トでは、耐水性に著しく劣つていた。
【0048】
なお、ウレタンプレポリマ―の合成に際して、水酸基含有アクリルモノマ―の使用量を多くしすぎる、たとえば、実施例1においてヒドロキシルエチルアクリレ―トの使用量を、その水酸基数が、ジメチロ―ルプロピオン酸の水酸基数との合計量中、75当量%となるように変更すると、得られるウレタンプレポリマ―とアクリル系モノマ―であるアクリル酸ブチルとの混合物をトリエチルアミンで中和したのちに、水中に分散させる工程で、上記中和物を安定に分散させにくくなるという傾向がみられた。このため、水酸基含有アクリルモノマ―は、その水酸基数が、カルボキシル基含有ポリオ―ルの水酸基数との合計量中、20〜50当量%の範囲内に設定するのが望ましいこともわかつた。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンポリマ―とアクリル系モノマ―とを特定割合で使用し、これらを水媒体中で特定手法で反応処理して、ウレタン変性アクリルポリマ―を生成させるようにしたことにより、環境衛生や安全衛生上の問題のない水分散型として、接着特性にすぐれ、しかも耐水性にすぐれた、実用性の高い感圧性接着剤組成物とその製造方法およびその接着シ―ト類を提供できる。
Claims (3)
- a)カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマーを得る工程、b)上記のウレタンプレポリマー2〜10重量%とアクリル系モノマー98〜90重量%とを混合し、かつ塩基で中和する工程、c)この中和物を水中に分散する工程、d)この水分散液にポリアミンを加えて上記のウレタンプレポリマーを鎖延長し、かつラジカル重合開始剤を加えて上記のアクリル系モノマーを重合する工程を具備してなり、上記のa工程は、ポリイソシアネートと、カルボキシル基含有ポリオールと、水酸基含有アクリルモノマーとを反応させて、カルボキシル基および(メタ)アクリロイル基を含有するウレタンプレポリマーを得る工程からなることにより、水中にウレタン変性アクリルポリマーが分散されてなる水分散型感圧性接着剤組成物を製造することを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法。
- ポリイソシアネートが脂環族ポリイソシアネートである請求項1に記載の感圧性接着剤組成物の製造方法。
- 支持体上に、請求項1または2に記載の方法で製造した水分散型感圧性接着剤組成物を用いて、接着剤層を形成することを特徴とする接着シート類の製造方法。
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