JP4204335B2 - 車両用電源制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用電源制御装置に係り、特に、発電機に直接に接続された第1バッテリと、該発電機に電圧制御器を介して接続された第2バッテリと、を備える車両用電源制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数のバッテリを備える車両用電源制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電源制御装置において、複数のバッテリは、DC/DCコンバータを介して互いに接続されている。各バッテリは、車両エンジンの動力が伝達される発電機の出力する発電エネルギを回収することにより充電される。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−318002号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両に搭載される複数のバッテリとしては、例えば鉛バッテリとリチウムイオンバッテリとの充電受け入れ性の異なるバッテリが用いられることがある。かかる構成において、リチウムイオンバッテリの充電を常時許可するものとすると、発電機の発電エネルギが充電受け入れ性の高いリチウムイオンバッテリに偏る事態が生じ、充電受け入れ性の低い鉛バッテリへの充電が不十分となる不都合が生じ得る。
【0005】
また、発電機がほぼ100%の発電能力で発電している状態でリチウムイオンバッテリの充電不足によりその充電が実行されるものとすると、鉛バッテリが満充電に近い状態にある場合には、リチウムイオンバッテリの充電不足分がその鉛バッテリの蓄電エネルギから補填される事態が生じ、鉛バッテリの放電が頻繁に行われることとなる。鉛バッテリの放電が頻繁に行われると、鉛バッテリのバッテリ上がりが生じ易くなり、劣化が促進され、その寿命が悪化する。
【0006】
従って、上記特許文献1に記載する如く、例えば鉛バッテリおよびリチウムイオンバッテリ等の複数のバッテリを備える車両用電源制御装置において、特定のバッテリへの充電を他のバッテリを考慮することなく行うのは適切ではない。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、特定のバッテリへの充電を他のバッテリの性能を低下させることなく実現することが可能な車両用電源制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、発電機に接続された第1バッテリと、前記第1バッテリと並列に、前記発電機に電圧制御器を介して接続された第2バッテリと、を備える車両用電源制御装置であって、
前記発電機の現時点での発電制御指示値の最大値に対する実際の発電制御指示値の割合を検出する実発電割合検出手段と、
前記発電機に動力を伝達するエンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
前記実発電割合検出手段により前記割合が検出された以後、前記エンジン回転速度検出手段により検出される前記エンジンの回転速度に基づいて、該実発電割合検出手段により検出された前記割合を、前記発電機の発電量が固定されるように補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された結果得られる前記割合が所定の割合未満であるか否かに基づいて、前記第2バッテリへの充電が許可・禁止されるように前記電圧制御器を制御する第2バッテリ充電制御手段と、
を備える車両用電源制御装置により達成される。
【0009】
本発明において、第2バッテリへの充電は、発電機の現時点での発電制御指示値の最大値に対する実値の割合が所定の割合未満であるか否かに基づいて許可・禁止される。かかる割合が所定の割合未満である場合には、その発電機が発電できる発電量に余裕があり、その発電機に接続される第1バッテリからの放電が生じていないと判断できる。この際、発電機の余裕分の発電エネルギが第2バッテリの充電エネルギとして回収されれば、第2バッテリへの充電は、第1バッテリからの放電を生じさせることなくかつ第1バッテリへの充電に影響を与えることなく行われることとなる。
【0010】
また、発電機が発電すべき発電量が固定されるものとした場合、上記した割合は、エンジンの回転速度の変化に伴って変化する。このように発電機の発電割合が実際には変化しているにもかかわらず、実発電割合検出手段により検出された割合がそのまま第2バッテリへの充電制御に用いられるものとすると、発電機の発電余裕が正確に検出されないことに起因して、第2バッテリへの充電を第1バッテリの性能を低下させることなく実現することができない不都合が生じ得る。
【0011】
本発明において、実発電割合検出手段により検出された、現時点での発電制御指示値の最大値に対する実際の発電制御指示値の割合は、発電機に動力を伝達するエンジンの回転速度に基づいて補正される。そして、その補正後の割合が所定の割合未満であるか否かに基づいて第2バッテリへの充電が許可・禁止される。従って、本発明によれば、第2バッテリの充電を行ううえで必要な発電機の発電余裕の有無判定は精度よく行われ、第2バッテリの充電は第1バッテリの性能を確実に低下させることなく実現されることとなる。
【0012】
この場合、請求項2に記載する如く、請求項1記載の車両用電源制御装置において、前記補正手段は、前記実発電割合検出手段により前記割合が検出された以後、前記エンジン回転速度検出手段により検出される前記エンジンの回転速度の変化に応じた該割合の補正を行うこととすればよい。
また、請求項3に記載する如く、請求項1又は2記載の車両用電源制御装置において、前記実発電割合検出手段により前記割合が検出された時点で、該割合と前記エンジン回転速度検出手段により検出される前記エンジンの回転速度とに基づいて求まる前記発電機の発電量を記憶する記憶手段を備え、前記補正手段は、前記実発電割合検出手段により前記割合が検出された以後、前記エンジン回転速度検出手段により検出される前記エンジンの回転速度に基づいて、該実発電割合検出手段により検出された前記割合を、前記発電機の発電量が前記記憶手段に記憶された発電量に固定されるように補正することとすればよい。
【0013】
また、請求項4に記載する如く、請求項1乃至3の何れか一項記載の車両用電源制御装置において、前記実発電割合検出手段による前記割合の検出周期が、前記エンジン回転速度検出手段による前記エンジンの回転速度の検出周期に比して長い場合には、実際の発電割合が検出されるタイミング間にエンジン回転速度が一回以上検出されるので、その検出されるエンジン回転速度に基づいて、直前に検出された発電割合の補正を行うことができる。
【0014】
また、請求項5に記載する如く、請求項1乃至4の何れか一項記載の車両用電源制御装置において、前記発電機が、発電制御指示電圧に対するフィールドコイルの通電デューティを出力するレギュレータ付き発電機であると共に、前記実発電割合検出手段は、前記発電機から出力される通電デューティに基づいて前記割合を検出することとしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例である車両用電源制御装置10を備えるシステムの構成図を示す。図1に示す如く、本実施例において、車両用電源制御装置10は、2つの二次バッテリ12,14を備えている。二次バッテリ12は約12〜14V程度の電圧を有する鉛バッテリであり、一方、二次バッテリ14は約14〜16V程度の電圧を有するリチウムイオンバッテリである。以下、二次バッテリ12を鉛バッテリ12と、二次バッテリ14をリチウムイオンバッテリ14と、それぞれ称す。
【0016】
鉛バッテリ12及びリチウムイオンバッテリ14には、切換スイッチ16を介してエンジンスタータ18が接続されている。エンジンスタータ18は、車両の動力源であるエンジン(図示せず)に連結されている。エンジンスタータ18は、切換スイッチ16を介して選択的に接続する鉛バッテリ12又はリチウムイオンバッテリ14から供給される電力を用いて、エンジンを停止状態から始動させる始動装置としての機能を有する。
【0017】
エンジンには、また、エンジンの回転により発電するオルタネータ(交流発電機)20が取り付けられている。オルタネータ20には、エンジン電子制御ユニット(以下、エンジンECUと称す)22が接続されている。エンジンECU22には、単位時間当たりのエンジン回転数(すなわち、エンジン回転速度)NEおよび車両の速度や加減速度を含む車両の各種状態に応じた信号を出力するセンサ24が接続されている。エンジンECU22は、センサ24の出力信号に基づいてT2(ms)ごとにエンジン回転数NEおよび車両の速度や加減速度等の車両の状態を検出する。そして、車両の各種状態に基づいてオルタネータ20の発生すべき目標電圧を算出し、オルタネータ20に対してかかる目標電圧が生ずるように指令信号を供給する。
【0018】
オルタネータ20は、三相コイルとしてステータに巻かれたステータコイルと、ロータに巻回されたフィールドコイルと、を有し、ステータコイルから出力される三相交流を整流して出力すると共に、スイッチング回路により構成されたICレギュレータを内蔵したレギュレータ付き発電機である。このICレギュレータは、オルタネータ20の発生電圧を一定に維持するための機能を有している。具体的には、ICレギュレータは、オルタネータ20の発生電圧がエンジンECU22からの指令信号に係る目標電圧よりも小さい場合には、スイッチング回路をオン動作させることによりフィールドコイルに励磁電流を流し、オルタネータ20のステータコイルに三相交流電流を発生させ、一方、オルタネータ20の発生電圧が目標電圧よりも大きい場合には、スイッチング回路をオフ動作させることによりフィールドコイルへの励磁電流の供給を停止し、ステータコイルに電流の発生を停止させる。これにより、オルタネータ20の発生電圧が目標電圧に維持される。
【0019】
オルタネータ20のフィールドコイルとICレギュレータとの接点には、上記したエンジンECU22が接続されている。ICレギュレータのスイッチング回路がオン動作されると、エンジンECU22へ、フィールドコイルの通電状態を示す、すなわち、オルタネータ20の発電状態を示すオン信号が供給される。また、ICレギュレータのスイッチング回路がオフ動作されると、エンジンECU22へ、フィールドコイルの非通電状態を示す、すなわち、オルタネータ20の非発電状態を示すオフ信号が供給される。
【0020】
エンジンECU22は、オルタネータ20のフィールドコイルから供給されるオン・オフ信号に基づいて、T1(>T2)(ms)ごとにオルタネータ20の一サイクル時間当たりのオン・オフ比率、具体的には、一サイクル時間内でのオン時間の比率(通電デューティ;%)F−Dutyを検出する。このF−Dutyは、オルタネータ20が現時点でのエンジン回転数等から発電し得る最大発電量に対して実際に発電を行っている発電量の割合を示すこととなる。
【0021】
オルタネータ20は、上記した鉛バッテリ12、及び、車両に搭載された補機26に直接に接続されている。補機26は、例えばエアコンやオーディオ,ABSシステム,電動オイルポンプ,メータ類,デフォガ,ワイパ,パワーウィンド等であり、電力の供給を受けて作動する。オルタネータ20は、エンジンの回転による運動エネルギを変換した発電エネルギを鉛バッテリ12又は補機26に供給することにより、鉛バッテリ12を充電することができると共に、補機26を作動させることができる。
【0022】
鉛バッテリ12には、電圧制御器として機能する直流−直流変換器(以下、DC/DCコンバータと称す)30を介して上記のリチウムイオンバッテリ14が接続されている。DC/DCコンバータ30は、内蔵するパワートランジスタのスイッチング動作に従って、鉛バッテリ12側の電圧を昇圧してリチウムイオンバッテリ14側へ供給し、或いは、リチウムイオンバッテリ14側の電圧を降圧して鉛バッテリ12側へ供給する。かかる構成において、上記したオルタネータ20は、DC/DCコンバータ30を介してリチウムイオンバッテリ14に接続するので、発電時にその発電エネルギをリチウムイオンバッテリ14に供給することによりリチウムイオンバッテリ14を充電することができる。
【0023】
上記した補機26は、オルタネータ20、鉛バッテリ12、及びリチウムイオンバッテリ14に接続されている。補機26は、車両がエンジンにより走行する際はオルタネータ20およびバッテリ12,14から電力の供給を受け、一方、エンジン停止中は鉛バッテリ12又はリチウムイオンバッテリ14から電力の供給を受ける。尚、補機26には、オーディオ,カーナビゲーション等の、車両のイグニションスイッチがアクセサリ状態又はIGオン状態にある場合に電力の供給を受けることができる補機と、電動オイルポンプ,ABS,エアコン等の、イグニションスイッチがIGオン状態にある場合に電力の供給を受けることができる補機と、が存在する。
【0024】
DC/DCコンバータ30には、電源系電子制御ユニット(以下、電源系ECUと称す)32が接続されている。電源系ECU32には、上記したエンジンECU22が接続されており、エンジンECU22において検出されたエンジン回転数NEおよびF−Dutyが供給される。尚、エンジンECU22は、エンジン回転数NEをT2(<T1)ごとに検出すると共に、F−DutyをT1ごとに検出するので、電源系ECU32は、エンジンECU22からT2ごとにエンジン回転数NEを、また、T1ごとにF−Dutyをそれぞれ受信する。電源系ECU32は、エンジンECU22から供給されるエンジン回転数NEおよびF−Duty、並びに、各バッテリ12,14の端子間電圧、充放電電流、及び温度等に基づいて、オルタネータ20を含む鉛バッテリ12側とリチウムイオンバッテリ14側との間の電力授受が適切に行われるようにDC/DCコンバータ30を駆動する。
【0025】
電源系ECU32には、また、上記した切換スイッチ16が接続されている。切換スイッチ16は、電源系ECU32からの指令に従って、エンジンスタータ18と接続するバッテリを鉛バッテリ12とリチウムイオンバッテリ14とで選択的に切り換える機能を有している。電源系ECU32は、後述の規則に基づいて、エンジンスタータ18と接続するバッテリを選択し、そのバッテリが選択されるように切換スイッチ16を制御する。
【0026】
電源系ECU32には、更に、運転状態検出装置(図示せず)が接続されている。運転状態検出装置は、エンジンが暖機状態にあるか否か、エンジン始動後の走行距離または車速が一定値に達しているか否か、運転者によるブレーキ操作の有無、変速機のシフト位置、並びに、車両がA/T車である場合はブレーキ踏力が一定値に達しているか否か、及び、車両がM/T車である場合はクラッチペダルの操作有無を検出する。電源系ECU32は、運転状態検出装置の検出結果に基づいて車両が停車状態(速度が略“0”にある状態)にあるか否かを判別し、エンジンを運転状態から停止状態に移行させかつその後停止状態から運転状態に移行させる制御(以下、アイドリングストップ制御と称す)の実行条件が成立するか否かを判別する。
【0027】
次に、本実施例の車両用電源制御装置10の動作について説明する。
【0028】
本実施例において、エンジン停止中に車両運転者によりイグニションスイッチがオフ状態からアクセサリ状態に操作されると、アクセサリ状態で作動すべき補機26が、鉛バッテリ12から電力の供給を受けることにより作動可能な状態となる。また、イグニションスイッチがアクセサリ状態からIGオン状態に操作されると、IGオン状態で作動すべき補機26が、鉛バッテリ12から電力の供給を受けることにより作動可能な状態となる。
【0029】
更に、イグニションスイッチがIGオン状態からスタータオン状態に操作されると、鉛バッテリ12から各補機26への電力供給が停止されると共に、エンジンスタータ18が、切換スイッチ16を介して鉛バッテリ12と接続し、鉛バッテリ12から電力の供給を受けて作動可能な状態となる。この場合、エンジンスタータ18はエンジンを回転させ、エンジンは停止状態から始動状態となる。エンジンは、始動され運転状態になると、イグニションスイッチがスタータオン状態からIGオン状態に移行してもその運転状態を継続する。
【0030】
エンジンが始動され運転状態になると、以後、車両がアイドル状態、定常走行状態、及び減速状態にある場合に限り、エンジンECU22がオルタネータ20の目標電圧(例えばアイドル状態時および定常走行状態時には予め定めたVt1〜Vt2、減速状態時にはこの範囲よりも電圧の高いVt3)を設定することにより、オルタネータ20がエンジンの運動エネルギを電気エネルギに変換して発電する。この場合、オルタネータ20の発電電圧で各補機26が作動可能な状態になると共に、鉛バッテリ12が充電され、或いは、DC/DCコンバータ30の駆動によりオルタネータ20の充電電圧を昇圧した電圧でリチウムイオンバッテリ14が充電される。尚、この際、リチウムイオンバッテリ14が満充電に至っている場合には、リチウムイオンバッテリ14の過充電を防止すべく、DC/DCコンバータ30の駆動が禁止され、鉛バッテリ12側からリチウムイオンバッテリ14側への電力供給が中止される。
【0031】
また、車両のエンジンが始動され運転状態になった後には、電源系ECU32が、運転状態検出装置によるブレーキ操作の有無及びそのブレーキ踏力,クラッチ操作の有無並びに変速機のシフト位置等に基づいて車両が停車状態にあるか否かを判別し、また、車両の停車状態、エンジンの暖機状態、およびエンジン始動後の走行距離または車速の履歴等に基づいてアイドリングストップ制御の実行条件が成立するか否かを判別する。その結果、アイドリングストップ制御の実行条件が成立する場合は、運転者がイグニションスイッチをIGオン状態からオフ状態へ移行させることなく燃料噴射や点火等の実行が停止され、エンジンが運転状態から停止状態へ移行される。
【0032】
アイドリングストップ制御によりエンジンが停止状態にある場合、イグニションスイッチはIGオン状態に維持される。エンジンが停止状態にある場合には、オルタネータ20が発電することができない。従って、アイドリングストップ制御によりエンジンが停止状態になると、以後、電源系ECU32は、補機26への電力供給を確保すべくDC/DCコンバータ30をリチウムイオンバッテリ14からの放電を許可するように駆動する。この場合には、エアコンやパワーステアリング装置,メータ類等の補機26がリチウムイオンバッテリ14からDC/DCコンバータ30を介して電力供給を受けて作動可能な状態となる。
【0033】
また、アイドリングストップ制御によりエンジンが停止状態になると、以後、電源系ECU32は、リチウムイオンバッテリ14からエンジンスタータ18への電力供給を確保すべく切換スイッチ16をリチウムイオンバッテリ14側に切り換える。この場合には、エンジンスタータ18と接続するバッテリが鉛バッテリ12からリチウムイオンバッテリ14へ切り換わり、エンジンスタータ18がリチウムイオンバッテリ14から電力の供給を受けて始動し得ることとなる。
【0034】
アイドリングストップ制御によりエンジンが停止状態にある状況下には、電源系ECU32が、運転状態検出装置を用いて、車両がAT車である場合は変速機のシフト位置が“N”レンジから“D”レンジ又は“R”レンジに移行したか否か或いはブレーキ操作が解除されたか否か、一方、車両がMT車である場合はクラッチペダルが踏み込まれたか否かに基づいてアイドリングストップ制御の解除条件が成立するか否かを判別する。その結果、アイドリングストップ制御の解除条件が成立する場合は、運転者がイグニションスイッチをIGオン状態からスタータオン状態に移行させることなくエンジンスタータ18が作動状態となり、エンジンが始動され、その運転状態が再開される。以下、このエンジン始動を再始動と、一方、通常どおりイグニションスイッチのスタータオンによるエンジン始動を通常始動と、それぞれ称す。
【0035】
このように、本実施例の車両においては、エンジンが運転状態になった後、車両停車中において不必要なエンジンの運転を停止するアイドリングストップ制御が実行される。この場合、エンジンが無駄に運転状態に維持されることは回避される。このため、本実施例によれば、エンジンを効率よく運転することができ、車両の燃費を向上させることが可能となっている。
【0036】
また、本実施例においては、運転者のイグニション操作による意思に基づくエンジン始動(通常始動)時には、エンジンスタータ18が上述の如く鉛バッテリ12から電力の供給を受けて作動状態になり、エンジンが始動される一方、アイドリングストップ制御によるエンジン始動(再始動)時には、切換スイッチ16がエンジンスタータ18に接続するバッテリをリチウムイオンバッテリ14に切り換えることにより、エンジンスタータ18がリチウムイオンバッテリ14から電力の供給を受けて作動状態になり、エンジンが始動される。
【0037】
かかる構成によれば、エンジンの通常始動時には単位時間に単位質量当たりに取り出せる出力(出力密度)の高い鉛バッテリ12が用いられるので、冷間時であってもエンジンの始動性が確実に確保されると共に、エンジンの再始動時には単位質量当たりに取り出せるエネルギ(エネルギ密度)の高いリチウムイオンバッテリ14が用いられるので、エンジンの始動・停止が頻繁に行われるアイドリングストップ制御が行われても鉛バッテリ12の劣化が促進されることはなく、エンジンの始動性が確実に確保されることとなる。従って、本実施例によれば、運転者のイグニション操作に伴うエンジン始動であっても、また、アイドリングストップ制御に伴うエンジン始動であっても常に確実に、鉛バッテリ12の劣化を促進させることなくかつ鉛バッテリ12の容量を相対的に大きくすることなくエンジン始動を行うことが可能となる。
【0038】
ところで、一般的に、本実施例の鉛バッテリ12およびリチウムイオンバッテリ14は、互いに充電受け入れ性の異なるバッテリである。具体的には、リチウムイオンバッテリ14の充電受け入れ性の方が鉛バッテリ12のものに比べて高い。従って、リチウムイオンバッテリ14の充電を常時許可するものとすると、オルタネータ20の発電エネルギが、充電受け入れ性の高いリチウムイオンバッテリ14に偏る事態が生じ、充電受け入れ性の低い鉛バッテリ12への充電が不十分となる不都合が生じ得る。
【0039】
また、リチウムイオンバッテリ14の充電を除いた鉛バッテリ12の充電又は補機26への電力供給等を行う必要があるために、オルタネータ20がほぼ100%の発電能力で発電すること、具体的には、フィールドコイルの通電状態が長時間継続することによりF−Dutyがほぼ100%であることがある。かかる状態でリチウムイオンバッテリ14の充電不足によりその充電が実行されるものとすると、オルタネータ20の発電エネルギでリチウムイオンバッテリの充電不足分を賄うことができないので、鉛バッテリ12が満充電に近い状態にある場合には、リチウムイオンバッテリの充電不足分がその鉛バッテリ12の蓄電エネルギから補填される事態が生じ、鉛バッテリ12の放電が頻繁に行われることとなる。この場合には、鉛バッテリ12のバッテリ上がりが生じ易くなり、劣化が促進され、その寿命が悪化することとなる。
【0040】
従って、本実施例の構成においてリチウムイオンバッテリ14への充電を鉛バッテリ12を考慮することなく行うのは、鉛バッテリ12の性能を確保するうえで適切でない。そこで、本実施例のシステムは、リチウムイオンバッテリ14の充電を鉛バッテリ12の性能を低下させることなく実現することとしている。
【0041】
図2は、オルタネータ20の回転速度rpmとオルタネータ20の発電電流との関係を、オルタネータ20内のフィールドコイルの通電デューティF−Dutyをパラメータにして表した図を示す。図2に示す如く、オルタネータ20の回転速度が同一であっても、そのフィールドコイルの通電デューティF−Dutyが大きいほど、オルタネータ20の発生する発電電流が大きい。フィールドコイルの通電デューティF−Dutyは、鉛バッテリ12の充電や補機26への電力供給等を行うために発電電流を大きくする必要があるほど大きくなる。
【0042】
フィールドコイルの通電デューティF−Dutyが100%でない場合には、オルタネータ20がその回転速度に対して100%の発電能力を発揮する必要はなく、また、実際に発揮しておらず、未だ発電する余裕を残していると判断できると共に、鉛バッテリ12からの放電を行う必要はなく、実際に鉛バッテリ12は放電していないと判断できる。
【0043】
従って、リチウムイオンバッテリ14の充電が行われていない状態でフィールドコイルの通電デューティF−Dutyが100%でない場合にはリチウムイオンバッテリ14の充電を開始することとすれば、その後、オルタネータ20の発電余裕分がリチウムイオンバッテリ14に供給されることとなるので、リチウムイオンバッテリ14を充電することが可能となる。また、フィールドコイルの通電デューティF−Dutyが100%である場合にはリチウムイオンバッテリ14の充電を禁止することとすれば、リチウムイオンバッテリ14の充電を行うために鉛バッテリ12が放電されるのを回避することが可能となる。
【0044】
図3は、上記の機能を実現すべく、本実施例の車両用電源制御装置10において電源系ECU32が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図3に示すルーチンは、エンジン回転数NEの検出周期と同一のT2ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図3に示すルーチンが起動されると、まずステップ100の処理が実行される。
【0045】
ステップ100では、オルタネータ20のF−Dutyが所定値F0未満であるか否かが判別される。尚、所定値F0は、オルタネータ20が現時点で発電し得る最大発電量とほぼ同程度の発電量を発電していると判断できる高い通電デューティ値であり、例えば95%に設定されている。
【0046】
F−Duty<F0が成立する場合には、オルタネータ20が現時点での目標電圧に対応して更に発電できる発電量を有していると判断できる。この場合には、その余裕分の発電エネルギをリチウムイオンバッテリ14の充電に充当することが適切である。従って、かかる肯定判定がなされた場合には、次にステップ102の処理が実行される。一方、F−Duty<F0が成立しない場合には、オルタネータ20が現時点での目標電圧に対応して更に発電できる発電量を有していないと判断できる。かかる場合にリチウムイオンバッテリ14の充電を許可するものとすると、鉛バッテリ12が放電され、その蓄電エネルギがリチウムイオンバッテリ14の充電に充当される事態が生ずる。従って、かかる否定判定がなされた場合には、次にステップ104の処理が実行される。
【0047】
ステップ102では、DC/DCコンバータ30を駆動することにより、リチウムイオンバッテリ14の充電を行う処理が実行される。本ステップ102の処理が実行されると、以後、オルタネータ20の発電エネルギは、リチウムイオンバッテリ14に充電エネルギとして回収され、リチウムイオンバッテリ14が充電される。本ステップ102の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0048】
ステップ104では、DC/DCコンバータ30の駆動を行わず、リチウムイオンバッテリ14への充電を禁止する処理が実行される。本ステップ104の処理が実行されると、以後、オルタネータ20側からリチウムイオンバッテリ14への電力供給は行われない。本ステップ104の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0049】
上記図3に示すルーチンによれば、オルタネータ20のフィールドコイルの通電デューティF−Dutyが所定値以上であり、オルタネータ20の発電量が現時点での発電し得る最大発電量とほぼ同程度である場合にはリチウムイオンバッテリ14の充電が行われないように、一方、フィールドコイルの通電デューティF−Dutyが所定値未満であり、オルタネータ20の発電量が現時点での発電し得る最大発電量に達していない場合にはリチウムイオンバッテリ14の充電が行われるように、DC/DCコンバータ30を制御することができる。
【0050】
オルタネータ20の発電量が現時点での発電し得る最大発電量に達していない場合は、オルタネータ20に、鉛バッテリ12や補機26等の負荷への電力供給に対して発電余裕があるので、鉛バッテリ12からの放電は生じていない。このため、上記の構成においては、リチウムイオンバッテリ14の充電が鉛バッテリ12からの放電を生じさせることなく行われる。
【0051】
また、オルタネータ20の発電余裕分がリチウムイオンバッテリ14の充電エネルギとして用いられれば、鉛バッテリ12の充電が十分に確保された状態でリチウムイオンバッテリ14の充電が行われるので、リチウムイオンバッテリ14の充電を行うことに起因して鉛バッテリ12の充電が十分に確保されない不都合が生ずることはない。すなわち、上記の構成においては、リチウムイオンバッテリ14の充電が鉛バッテリ12の充電に悪影響を与えることなく行われる。
【0052】
従って、本実施例の車両用電源制御装置10によれば、リチウムイオンバッテリ14の充電を、鉛バッテリ12の性能を低下させることなく実現することが可能となっている。このため、本実施例によれば、リチウムイオンバッテリ14の充電に起因する鉛バッテリ12のバッテリ上がりを抑制し、その劣化促進や寿命悪化を防止することが可能となっている。
【0053】
また、本実施例において、オルタネータ20の発電量が現時点での発電し得る最大発電量に達しているか否かの判定、すなわち、オルタネータ20に発電余裕があるか否かの判定は、オルタネータ20の有するフィールドコイルの通電デューティF−Dutyに基づいて行われる。オルタネータ20に発電余裕があるか否かは、フィールドコイルの通電デューティ以外に、そのオルタネータ20に直接に接続された鉛バッテリ12が放電しているか否かに基づいても判定できる。具体的には、鉛バッテリ12からの放電が生じている場合にはオルタネータ20に発電余裕がないと判断でき、一方、鉛バッテリ12からの放電が生じていない場合にはオルタネータ20に発電余裕があると判断できる。しかしながら、鉛バッテリ12の放電有無に基づいてオルタネータ20に発電余裕があるか否かを判定する手法では、一時的ではあるが、鉛バッテリ12からの放電を許容することとなり、鉛バッテリ12の性能低下を招くこととなる。
【0054】
これに対して、本実施例の車両用電源制御装置10においては、上述の如く、オルタネータ20に発電余裕があるか否かの判定は、オルタネータ20の有するフィールドコイルの通電デューティF−Dutyに基づいて行われる。この場合には、オルタネータ20の発電余裕の有無を判定するうえで、鉛バッテリ12の放電を一時的であっても許容することは回避される。従って、本実施例の車両用電源制御装置10によれば、リチウムイオンバッテリ14の充電を行ううえで必要なオルタネータ20の発電余裕の有無判定を、鉛バッテリ12の放電を許容することなく実現することが可能となっている。
【0055】
ところで、本実施例においては、上述の如く、エンジンECU22は、エンジン回転数NEをT2ごとに検出すると共に、F−DutyをT1ごとに検出するので、電源系ECU32は、エンジンECU22からT2ごとにエンジン回転数NEを、また、T1(>T2)ごとにF−Dutyをそれぞれ受信する。すなわち、F−Dutyの検出周期は、エンジン回転数NEの検出周期に比べてT1/T2倍ほど長い。このため、電源系ECU32においては、検出されるエンジン回転数NEが変化するにもかかわらず、検出されるF−Dutyが変化しない事態が生ずる。
【0056】
一般に、オルタネータ20の発電すべき発電量が固定されるものとした場合、オルタネータ20の有するフィールドコイルの通電デューティF−Dutyは、エンジン回転数NEの変化に伴って変化する。従って、オルタネータ20のフィールドコイルの通電デューティF−Dutyがエンジン回転数NEの変化に伴って実際には変化しているにもかかわらず、エンジンECU22から供給されたF−Dutyがそのままリチウムイオンバッテリ14の充電制御に用いられるものとすると、オルタネータ20に発電余裕があるか否かの判定が正確に行われない事態が生じ、それに起因してリチウムイオンバッテリ14の充電を鉛バッテリ12の性能を低下させることなく実現することができない不都合が生じ得る。
【0057】
そこで、本実施例のシステムは、リチウムイオンバッテリ14の充電を鉛バッテリ12の性能を低下させることなく実現するうえで必要なオルタネータ20の発電余裕の有無の判定を精度よく行う点に特徴を有している。以下、本実施例の特徴部について説明する。
【0058】
上記の如く、電源系ECU32においては、検出されるエンジン回転数NEが変化するにもかかわらず、検出されるF−Dutyが変化しない事態が生ずる。本実施例において、電源系ECU32は、上記図2に示す如き、オルタネータ20内のフィールドコイルの通電デューティF−Dutyをパラメータにしたオルタネータ20の回転速度rpmとオルタネータ20の発電電流との関係をマップとして記憶している。オルタネータ20の回転速度とエンジン回転速度との関係は所定のプーリ比に固定されるので、電源系ECU32は、エンジン回転数NEに基づいてオルタネータ20の単位時間当たりの回転数、すなわち、オルタネータ20の回転速度rpmを算出することができる。
【0059】
電源系ECU32は、エンジンECU22から供給されるF−Dutyを検出すると、その検出値を用いて上述した図3に示すルーチンを実行すると共に、そのF−Dutyとその検出時点において検出されるエンジン回転数NEから定まるオルタネータ20の回転速度rpmとの関係に基づいて、オルタネータ20の発電量(発電電流)を内蔵メモリに記憶する。電源系ECU32は、エンジンECU22からのF−Dutyを検出した後、エンジン回転数NEを検出するごとに、そのエンジン回転数NEに基づいてオルタネータ20の回転速度rpmを算出し、その算出した回転速度rpmの値に基づいて、エンジンECU22からのF−Dutyの検出後におけるF−Dutyの変化を、オルタネータ20の発電量を内蔵メモリに記憶された発電量に固定するものとして図2に示す如きマップを参照して推定する。そして、その推定した変化分だけエンジンECU22からのF−Dutyを補正することにより、現に生じていると判断されるオルタネータ20のフィールドコイルの通電デューティF−Dutyを算出し、その算出値を用いて上述した図3に示すルーチンを実行する。以下、かかる処理を繰り返し実行する。
【0060】
上記の構成においては、電源系ECU32においてエンジンECU22からのF−Dutyが検出された後、そのF−Dutyの検出周期よりも短い検出周期でエンジンECU22からのエンジン回転数NEが検出されるごとに、実際にオルタネータ20のフィールドコイルに生じていると推定される通電デューティが算出される。
【0061】
図4は、上記の機能を実現すべく、本実施例の車両用電源制御装置10において電源系ECU32が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図4に示すルーチンは、エンジン回転数NEの検出周期と同一のT2ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図4に示すルーチンが起動されると、まずステップ150の処理が実行される。
【0062】
ステップ150では、エンジンECU22から供給されるべきF−Dutyが受信されたか否かが判別される。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ152の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、次にステップ154の処理が実行される。
【0063】
ステップ152では、オルタネータ20のフィールドコイルの通電デューティF−Dutyを、上記ステップ150で受信されたエンジンECU22からのF−Dutyへ更新する処理が実行される。本ステップ152の処理が実行されると、以後、この更新された通電デューティF−Dutyを用いて、上記した図3に示すルーチン、すなわち、リチウムイオンバッテリ14の充電制御が実行されることとなる。本ステップ152の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0064】
ステップ154では、エンジンECU22から供給されるべきエンジン回転数NEが受信されたか否かが判別される。その結果、否定判定がなされた場合は、以後、何ら処理が進められることなく、今回のルーチンは終了される。一方、肯定判定がなされた場合は、次にステップ156の処理が実行される。
【0065】
ステップ156では、まず、上記ステップ154で受信されたエンジンECU22からのエンジン回転数NEに基づいてオルタネータ20の回転速度rpmを算出し、その算出した回転速度rpmの値に基づいて、エンジンECU22からのF−Dutyの検出後におけるF−Dutyの変化を図2に示す如きマップを参照して推定し、そして、その推定した変化分だけエンジンECU22からのF−Dutyを補正する処理が実行される。本ステップ156の処理が実行されると、以後、この補正された結果得られた通電デューティF−Dutyを用いて、上記した図3に示すルーチン、すなわち、リチウムイオンバッテリ14の充電制御が実行されることとなる。本ステップ156の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0066】
上記図4に示すルーチンによれば、エンジンECU22からのF−Dutyが検出された直後には、その検出されたF−Dutyの値をオルタネータ20における通電デューティF−Dutyとして用いると共に、エンジンECU22からのオルタネータ20における通電デューティF−Dutyが検出されてから次に検出されるまでの間には、そのF−Dutyの検出周期(T1)よりも短い検出周期(T2)でエンジンECU22からのエンジン回転数NEが検出されるごとに所定のマップを参照することにより推定されるF−Dutyの値をオルタネータ20における通電デューティF−Dutyとして用いることができる。
【0067】
かかる構成においては、電源系ECU32においてエンジンECU22からのF−Dutyが検出された後、エンジンECU22からのエンジン回転数NEが検出されるごとに、実際にオルタネータ20のフィールドコイルに生じていると推定される通電デューティが算出される。この算出は、例えば電源系ECU32におけるF−Dutyの検出周期がT1でありかつエンジン回転数NEの検出周期がT2であるものとした場合、エンジンECU22からのオルタネータ20における通電デューティF−Dutyが検出されてから次に検出されるまでの間に(T1/T2−1)回行われる。
【0068】
一般に、オルタネータ20における通電デューティF−Dutyは、エンジン回転数NEの変化に伴って変化するものである。従って、上記の構成によれば、エンジンECU22からのF−Dutyが検出されてから次に検出されるまでの間においても、オルタネータ20における通電デューティF−Dutyを正確に算出することができる。
【0069】
オルタネータ20の有するフィールドコイルの通電デューティF−Dutyは、リチウムイオンバッテリ14の充電制御に用いられる。具体的には、フィールドコイルの通電デューティF−Dutyに基づいてオルタネータ20の発電余裕があるか否かの判定が行われ、オルタネータ20に発電余裕がある場合にリチウムイオンバッテリ14が充電されるようにDC/DCコンバータ30が制御される。
【0070】
従って、本実施例の車両用電源制御装置10によれば、エンジンECU22から供給されるべきF−Dutyがデータとして検出されてから次に検出されるまでの間であっても、エンジン回転数NEの変化に応じたオルタネータ20における通電デューティF−Dutyが正確に算出されるので、リチウムイオンバッテリ14の充電を行ううえで必要なオルタネータ20の発電余裕の有無判定を精度よく行うことが可能となっている。このため、本実施例において、リチウムイオンバッテリ14への充電は、鉛バッテリ12の性能を確実に低下させることなく実現されることとなる。
【0071】
また、逆に、本実施例においては、エンジンECU22から供給されるべきF−Dutyがデータとして検出されてから次に検出されるまでの間であっても、エンジン回転数NEの変化に応じたオルタネータ20における通電デューティF−Dutyが正確に算出されるので、そのF−Dutyの精度を向上させるために、エンジンECU22から電源系ECU32へのF−Duty値の通信・供給周期、すなわち、F−Dutyの検出周期を、エンジン回転数NEの通信・供給周期(検出周期)と同程度に設定することは不要である。
【0072】
このため、本実施例の車両用電源制御装置10によれば、エンジンECU22および電源系ECU32の性能を向上させることなく簡易な構成で、オルタネータ20における通電デューティF−Dutyの算出を正確に行うことができ、リチウムイオンバッテリ14への充電を鉛バッテリ12の性能を確実に低下させることなく実現することが可能となっている。
【0073】
尚、上記の実施例においては、鉛バッテリ12が特許請求の範囲に記載した「第1バッテリ」に、リチウムイオンバッテリ14が特許請求の範囲に記載した「第2バッテリ」に、DC/DCコンバータが特許請求の範囲に記載した「電圧制御器」に、オルタネータ20のフィールドコイルの通電デューティが特許請求の範囲に記載した「現時点での発電制御指示値の最大値に対する実際の発電制御指示値の割合」に、単位時間当たりのエンジン回転数NEが特許請求の範囲に記載した「エンジンの回転速度」に、それぞれ相当している。
【0074】
また、上記の実施例においては、電源系ECU32が、エンジンECU22から供給されるフィールドコイルの通電デューティF−Dutyを検出することにより特許請求の範囲に記載した「実発電割合検出手段」が、エンジンECU22から供給されるエンジン回転数NEを検出することにより特許請求の範囲に記載した「エンジン回転速度検出手段」が、上記図4に示すルーチン中ステップ156の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「補正手段」が、上記図3に示すルーチンを実行することにより特許請求の範囲に記載した「第2バッテリ充電制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0075】
ところで、上記の実施例においては、車両に搭載されるバッテリとして鉛バッテリ12及びリチウムイオンバッテリ14を用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ニッケル水素バッテリ等を用いた構成に適用することも可能である。
【0076】
また、上記の実施例においては、オルタネータ20の目標電圧を制御するエンジンECU22、及び、DC/DCコンバータ30を制御する電源系ECU32をそれぞれ別個に設け、エンジンECU22の検出するオルタネータ20のフィールドコイルの通電デューティF−Dutyを通信線を介して電源系ECU32に供給することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、オルタネータ20の目標電圧を制御すると共に、DC/DCコンバータ30を制御する電子制御ユニット(ECU)を唯一つ設け、フィールドコイルの通電デューティF−Dutyを通信することなくオルタネータ20の発電余裕の有無を判定する構成に適用することも可能である。尚、かかる構成においても、エンジン回転数NEの検出周期は例えばT2であり、また、オルタネータ20における通電デューティF−Dutyの検出周期はエンジン回転数NEの検出周期よりも長いT1であるものとする。
【0077】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、第2バッテリの充電を行ううえで必要な発電機の発電余裕の有無判定を精度よく行うことができ、これにより、第2バッテリの充電を第1バッテリの性能を確実に低下させることなく実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用電源制御装置を備えるシステムの構成図である。
【図2】発電機の回転速度rpmと発電機の発電電流との関係を、発電機内のフィールドコイルの通電デューティをパラメータにして表した図である。
【図3】本実施例において、第2バッテリの充電を制御すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】本実施例において、発電機内のフィールドコイルの通電デューティを算出すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 車両用電源制御装置
12 鉛バッテリ
14 リチウムイオンバッテリ
20 オルタネータ
22 エンジンECU
30 直流−直流変換器(DC/DCコンバータ)
32 電源系ECU
F−Duty 通電デューティ
Claims (5)
- 発電機に接続された第1バッテリと、前記第1バッテリと並列に、前記発電機に電圧制御器を介して接続された第2バッテリと、を備える車両用電源制御装置であって、
前記発電機の現時点での発電制御指示値の最大値に対する実際の発電制御指示値の割合を検出する実発電割合検出手段と、
前記発電機に動力を伝達するエンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
前記実発電割合検出手段により前記割合が検出された以後、前記エンジン回転速度検出手段により検出される前記エンジンの回転速度に基づいて、該実発電割合検出手段により検出された前記割合を、前記発電機の発電量が固定されるように補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された結果得られる前記割合が所定の割合未満であるか否かに基づいて、前記第2バッテリへの充電が許可・禁止されるように前記電圧制御器を制御する第2バッテリ充電制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用電源制御装置。 - 前記補正手段は、前記実発電割合検出手段により前記割合が検出された以後、前記エンジン回転速度検出手段により検出される前記エンジンの回転速度の変化に応じた該割合の補正を行うことを特徴とする請求項1記載の車両用電源制御装置。
- 前記実発電割合検出手段により前記割合が検出された時点で、該割合と前記エンジン回転速度検出手段により検出される前記エンジンの回転速度とに基づいて求まる前記発電機の発電量を記憶する記憶手段を備え、
前記補正手段は、前記実発電割合検出手段により前記割合が検出された以後、前記エンジン回転速度検出手段により検出される前記エンジンの回転速度に基づいて、該実発電割合検出手段により検出された前記割合を、前記発電機の発電量が前記記憶手段に記憶された発電量に固定されるように補正することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用電源制御装置。 - 前記実発電割合検出手段による前記割合の検出周期が、前記エンジン回転速度検出手段による前記エンジンの回転速度の検出周期に比して長いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の車両用電源制御装置。
- 前記発電機が、発電制御指示電圧に対するフィールドコイルの通電デューティを出力するレギュレータ付き発電機であると共に、
前記実発電割合検出手段は、前記発電機から出力される通電デューティに基づいて前記割合を検出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の車両用電源制御装置。
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