JP4204256B2 - フローティング型ブレーキディスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等の車両の制動に用いられるフローティング型ブレーキディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフローティング型ブレーキディスクは、図12に示されるように、円形のアルミ製のハブaとその外側の円環状のステンレス製のローターbとを同心に配置して、ハブaの外周縁部に周方向に間隔をあけて設けた複数個の半円形凹部a1と、ローターbの内周縁部に周方向に間隔をあけて設けた複数個の半円形凹部b1とを突き合わせ、これら突き合わされた凹部a1およびb1同士に一端にフランジc1aを有する共通のピンcを所望によりワッシャーを介して挿入し、ピンcの他端c1bに皿ばねc2およびワッシャc3を嵌挿した後、ピンcの他端c1bを外側に広げて皿形にかしめることにより抜け止めして、ハブaとローターbとをスラスト方向にフローティング自在に結合したものである。
【0003】
このブレーキディスクでは、フローティング部(連結部)のがたつきを、皿ばねなどでスラスト方向(ローター側面)からピンのフランジ部に押し当て固定することによりなくし、またラジアル方向(半径方向)のがたつきも皿ばねにより補っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、ピンによるハブとローターとの連結箇所は7〜10箇所あり、ローターに発生した熱は連結箇所からアルミ製のハブに逃げるようになっている。しかしながら、近年コストおよび軽量化などの関係上、ピン本数を減らす傾向にあり、このためローターの熱が引けやすい箇所と熱がこもりやすい箇所とが生じて、ローターの摺動面に形成したピアス孔付近の熱応力が高くなることにより、クラックが発生しやすくなる問題があった。
【0005】
またフローティング性能とばねのセット荷重増大とは相反する傾向にあり、スラスト方向からのばねによるセット荷重(固定荷重)が高くなればなるほど、ラジアル方向のがたつき防止には有利となるが、スラスト方向のフローティング性能は悪化する。
【0006】
さらに、スラスト方向からの拘束力が強いため、ブレーキパッドに挟まれたとき、パッドになじみにくく、熱歪みの発生原因となる。またスラスト方向からの拘束によりピンのフランジ側にローターを押し当てているため、初期振れ精度を向上させる必要がある。振れ精度が悪いと、走行中(ローターが回転している間)、ローターの一部(振れの大きなところ)がパッドと接触し、偏摩耗を起こしてしまう。その結果、ブレーキをかけたときに、偏摩耗によりジャダー(異常振動)につながってしまう。
【0007】
スラスト方向からの拘束力を弱くすれば、パッドになじみやすくなるため、フローティング性能は向上するが、ラジアル方向のがたつきが発生しやすくなる。これは、悪路走行中にローターがピン/ハブに衝撃を与え、ハブの破損を招く。
【0008】
従来仕様のブレーキディスクは部品点数が多い問題もある。例えば7軸仕様(7箇所連結)で30部品((ピン+皿ばね+ワッシャー×2)×7+ローター+ハブ)にもなる。したがってそれらの組み付け工数が大となり、コスト増加となる。
【0009】
本発明の課題は、上記従来の問題点に鑑み、悪路走行時のローターから受けるハブへの衝撃を緩和でき、熱引け性能を向上でき、部品点数を大幅に削減可能である等といった多くの利点を有するフローティング型ブレーキディスクを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フローティング型ブレーキディスクにおいて、ローターを弾性部材により半径方向外方に押圧した状態に、前記ローターをハブに取り付けたブレーキディスクを前提としている。
【0011】
すなわち、本発明は、ローターを弾性部材により半径方向外方に押圧した状態に、前記ローターをハブに取り付けたことを特徴とするフローティング型ブレーキディスクにおいて、前記ローターの内周縁部に半径方向の多数の突出部を周方向に間隔をあけて設け、前記ハブの外周縁部の背面側に前記突出部と同数の軸線方向の突起部を周方向に間隔をあけて設けて、前記突出部を前記突起部同士の間を通って突出させると共に、前記突出部の内周面を一方の辺で半径方向外方に押圧する断面略L字状のリングばねを前記突起部の内周面の前記ローターから突出した部分に固定し、前記ハブの突起部の前記デイスクから突出した部分の内周面に周方向に沿う溝を設けて、前記リングばねの他方の辺を前記溝に嵌合し、前記突起部の端面を押圧して前記溝を潰すことにより、前記リングばねを固定したことを特徴とする。
【0012】
他の発明は、前記第1の発明を前提として、前記ハブの突起部の前記ローターから突出した部分の内周面に段部を設けて、前記リングばねの他方の辺を前記段部に当て、前記突起部を押圧して前記他方の辺上からかしめることにより、前記リングばねを固定したことを特徴とする。
【0013】
さらに他の発明は、前記第1の発明を前提として、前記ハブの突起部に突片を突設させる一方、前記リングばねの他方の辺に前記突出部と同数の穴を前記突起部と同間隔で設け、前記突片を前記穴に挿通し、前記挿通された突片を押圧して前記他方の辺上からかしめることにより、前記リングばねを固定したことを特徴とする。
【0015】
本発明では、上記のように、ローターにスラスト方向からのスプリングテンションをかけるのを止め、ラジアル方向(ローター内径部)にスプリングテンションが働くように設定したので、つぎのような作用効果を奏する。
(1)ローターにラジアル方向にスプリングテンションかけるようにしたので、車両の悪路走行時のローターの上下振動を弾性部材のスプリングテンションにより吸収して、ハブへの衝撃を緩和することができる。
(2)ローターが内周面側から受けるスプリングテンションは、ローターが上下に動く力に対しては大きく働き、左右に動く力に対しては小さく働くので、ブレーキパッドに挟まれたときにパッドとのなじみがよく、熱歪みが起こりづらい。
(3)スラスト方向にスプリングテンションをかけないのでブレーキディスクの振れ精度の修正が不要になる。また引き摺りトルクが減少するので、走行中(ローターが回転している間)、ローターの一部(振れの大きなところ)でパッドと接触することによる偏摩耗が起こらず、ブレーキをかけたときに、偏摩耗によるジャダーをなくすことができる。ブレーキがキーキーいうブレーキ鳴きも減少する。
(4)スラスト方向からのテンションがないため、ブレーキパッドに対するローターの追従性がよく、ローターはブレーキパッドに挟まれた適正位置で止まる。またローター内周面側からのテンションがあるので、その止まった位置でローターがスラスト方向にがたがたになったりしない。
(5)弾性部材としてはリングばね等を使用できるが、ブレーキディスクの構成部品がローター、ハブおよびばねの3種類なので、従来の例えば30部品のブレーキディスクに比べ部品点数を大幅に削減できる。特にリングばねを使用した場合には、ローター、ハブおよびリングばねの最小3点の部品でブレーキディスクが構成可能である。
(6)ローターの突出部とハブの突起部とを例えば10以上の多数設けるので、弾性部材を介したローターの熱のヒケ性が向上し、ローターの摺動面に形成したピアス孔付近の熱応力が高くなることによるクラックの発生を防止することができる。特に弾性部材としてリングばねを使用した場合には、ローターの熱をリングばねによりハブの全周で逃がすことができるので、熱のヒケ性能が格段に向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、本発明のフローティング型ブレーキディスクの一実施の形態を示す図で、同図(a)は正面図、(b)は背面図である。図2は、ブレーキディスクの構成部品を背面側から見た斜視図、図3は、ブレーキディスクの一部を表面側から部分的に切り欠いて示す斜視図、図4は、ブレーキディスクの組立法を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態のフローティング型ブレーキディスク1は、環状のローター10と、円盤状のハブ20と、環状のリングばね30とからなっている。
【0019】
ローター10は、図2に示すように、内周縁部に半径方向の突出部11を周方向に間隔をあけて例えば10〜24の多数、本例では20個設けており、このローター10の突出部11は、同心に配置されたハブ20の外周縁部に重なる突出長さを備える。ハブ20は、外周縁部の背面側に軸線方向(車軸と同方向)の突起部21を周方向に間隔をあけて上記ローター10の突出部11と同数、つまり20個設けており、このローター10とハブ20とは同心に重ねられ、図3に示すように、ローター10の突出部11がハブ20の突起部21同士の間の間隙22を通って突出し、半径方向内方に臨んでいる。
【0020】
リングばね30は、周方向の一所30cで分断された非連続の弾性金属製のオープンリングからなっている。リングばね30は、直角よりやや小さい角度をなすように曲げることによって、一方の軸線方向の円形の辺30aの一端に他方の半径方向の円形の辺30bが外向きに続く断面略L字状に形成されている。このリングばね30をハブ20の突起部21のローター10から突出した先端部分の内周面に固定して、リングばね30により突出部11を半径方向外方(ラジアル方向)に押圧した状態に付勢すると共に、ローター10をハブ20に軸線方向にフローティング自在に取り付け、フローティング型ブレーキディスク1を構成している。
【0021】
ブレーキディスクの組立法を示す図4によりさらに説明すると、本例では、ハブ20の突起部21の先端部分の内周面には周方向に沿う溝23が設けられている(図4(a))。このハブ20の突起部21同士の間の間隙22にローター10の突出部11を挿入すると、突出部11が間隙22を通って突起部21から突出し、半径方向内方に臨んだ状態に位置される(図4(b))。この状態で、ハブ20の方は、突起部21の先端部分がローター10の突出部11同士の間の間隙12を通って背面側に突出する。ついでリングばね30を撓ませ縮径して、ローター10から突出したハブ20の突起部21の先端部分の内周面の溝23にリングばね30の他方の辺(半径方向の辺)30bを嵌合して取り付けることにより、リングばね30の一方の辺(軸線方向の辺)30aをローター10の突出部11の内周面で押し広げて、突出部11の内周面に圧接させる(図4(c))。
【0022】
さらにリングばね30のハブ20からの外れを防止するために、突起部21の溝23の位置あたりで突起部21の端面21aをプレスによる軽い押圧でかしめて溝23を潰し、リングばね30の他方の辺30bを突起部21に固定する(図4(d))。普通、ハブ20はアルミ(アルミ合金を含む)製で、アルマイト等の表面処理をしてあるが、この表面の膜厚は薄くかしめに適していて、このプレスによるかしめで表面の膜の割れが発生することはない。
【0023】
本実施の形態のフローティング型ブレーキディスク1は、以上のように組み立てられ、ハブ20へのリングばね30の取り付けによって、ローター10の内周面側からのラジアル方向へのスプリングテンション(図4(e)に矢印Aで示す)と、ローター10のスラスト方向の抜け止めとが実現されている。ローター10の周方向にかかるブレーキトルクは、ハブ20の周方向の端面、つまり突起部21を含む外周面で受けられる。
【0024】
またフローティング方向(スラスト方向)(図4(e)に矢印B、Cで示す)の荷重は、矢印A方向からのスプリングテンションによって小さくすることができる。したがって、ローターの引き摺りトルクを削減でき、また熱歪み量を削減できる。これにより、ローター10とブレーキパッドの異常接触が減少し、板厚の局部的な摩耗がなくなるため、ジャダー発生を招くことがない。
【0025】
上記において、図5(a)に示すように、リングばね30の半径方向の辺30bの先端の側面部にプレス加工で突起31を設けたり、図5(b)に示すように、他方の辺30bの側面部の途中にダボ突起32を設けたり、あるいは図5(c)に示すように、他方の辺30bの先端部の側面にローレットなどによりクロスハッチ傷33を入れる粗面加工を行って、他方の辺30bの摩擦係数を大にしておけば、溝23内で引っかかりにより外れにくくできるので、リングばね30の外れをより確実に防止できる。
【0026】
ハブ20へのリングばね30の取り付け法としては、例えば図6(a)に示すように、突起部21の先端部分の内周面側に段部24を設け、リングばね30の他方の辺30bを段部24に当て、図6(b)に示すように、プレスにより突起部21の先端部を他方の辺30b上からかしめて潰すことにより、他方の辺30bを突起部21に固定するようにしてもよい。この場合には、リングばね30は、周方向の一所で分断されたオープンリングでも、分断のない一体成形タイプのリングでもよい。
【0027】
あるいは図7(a)に示すように、ハブ20の突起部21の内周面寄りの位置に軸線方向に突出した突片25を周方向に延設させると共に、リングばね30の他方の辺30bの半径方向内方寄りの位置に突片25よりやや大きめの周方向の長穴34を設けて、リングばね30を軸線方向に押し込むことにより突片25を長穴34に挿通し、図7(b)、(c)に示すように、挿通された突片25を他方の辺30b上から半径方向外方に曲げてかしめることにより、リングばね30を突起部21に固定するようにしてもよい。リングばね30はオープンリングでも、一体成形リングでもよい。
【0028】
図8(a)に示すように、ハブ20の突起部21の略中央部内周面寄りの位置に軸線方向に突出した突片25を周方向に延設させると共に、リングばね30の他方の辺30bの半径方向内方寄りの位置に周方向の長穴34を設けて、突片25を長穴34に挿通し、図8(b)、(c)に示すように、挿通された突片25を他方の辺30b上からかしめることにより、リングばね30を突起部21に固定するようにしてもよい。
【0029】
本実施の形態のフローティング型ブレーキディスクは、以上のように構成されるので、つぎのような作用効果を奏する。
(1)ローター10にスラスト方向にスプリングテンションをかけるのを止め、ローター10にラジアル方向にスプリングテンションかけるようにしたので、車両の悪路走行時のローター10の上下振動をリングばね30のスプリングテンションにより吸収して、ハブ20への衝撃を緩和することができる。これにより、ハブの耐久性が増し、ブレーキディスクを高耐久性とすることができる。
(2)ローター10が内周面側から受けるスプリングテンションは、ローター10が上下(ラジアル方向)に動く力に対しては大きく働き、左右(スラスト方向)に動く力に対しては小さく働くので、ブレーキパッドに挟まれたときにパッドのなじみがよい。また引き摺りトルクが減少するので、走行中(ローターが回転している間)、ローター10の一部(振れの大きなところ)でパッドと接触することによる偏摩耗が起こらず、ブレーキをかけたときに、偏摩耗によるジャダーをなくすことができる。ブレーキがキーキーいうブレーキ鳴きも減少し、ブレーキパッドのなじみがよく、熱歪みが起こりづらい。
(3)スラスト方向にスプリングテンションをかけないのでブレーキディスクの振れ精度の修正が不要になる。
(4)スラスト方向からのテンションがないため、ブレーキパッドに対するローター10の追従性がよく、ローターはブレーキパッドに挟まれた適正位置で止まる。またローター内周からのテンションがあるので、その位置でローターがスラスト方向にがたがたになったりしない。
(5)ローター10、ハブ20およびリングばね30の3点の部品でブレーキディスクを構成でき、従来の例えば30部品のブレーキディスクに比べ部品点数を大幅に削減できる。これに伴い、組み付け工数およびコストを大きく低減できる。
(6)ローター10の突出部11とハブ20の突起部21とを多数設けるので、ローターの熱のヒケ性が向上し、さらに弾性部材としてリングばねを使用するので、ローターの熱をリングばねによりハブの全周で逃がすことができて、熱のヒケ性能が格段に向上する。これにより、ローターの摺動面に形成したピアス孔付近の熱応力が高くなることによるクラックの発生を防止することができる。
【0030】
[実施の形態2]
本実施の形態では、リングばねのセット性の向上と作りやすさを向上するために、図9(c)に示すように、断面略L字状のリングばね30の曲げ角度を約90度に緩やかにする。またリングばね30の一方の軸線方向の辺30aを他方の半径方向の辺30bとの境界部付近まで周方向に切り欠いて、一方の辺30aにローター10の突出部11の幅と略同一の幅の突出片35を形成する。この突出片35の内周面の部分には、予めロール成形等で溝36aを周方向に入れることにより、突出片35の外周面に突起36を周方向に延設しておく。リングばね30の他方の辺30bの略中央部位置には周方向の長穴34を形成する。他方の辺30bの長穴34から一方の辺30aまでの距離は、突起36の高さの分よりやや短めの長さで長くしておく。リングばね30は、周方向の一所で分断された非連続のオープンリングでも、分断のない連続の一体成形リングでもよい。
【0031】
一方、ハブ20の突起部21の略中央部の位置には、図9(a)に示すように、軸線方向に突出した突片25を周方向に延設させる。リングばね30の長穴34はハブ20の突片25と略同一の外形を有している。ハブ20の突起部21同士の間の間隙22を通って突出したローター10の突出部11の内周面に、リングばね30の突出片35の先端を当てて、リングばね30を軸線方向に押し込み、リングばね30の他方の辺30bの長穴34に突起部の21の突片25を挿通する。このとき、リングばね30の他方の辺30bの長穴34から突出片35までの距離を長めにしているので、一方の辺30aをローター10の突出部11の内周面に当てて、リングばね30を容易に押し込むことができる。ローター10の突出部11の外面の内周面側の端部11aは、一方の辺30aの先端が突き当たるのをなくすために面取りしておくとよい。
【0032】
ついで、図9(b)に示すように、長穴34に挿通された突片25を他方の片30b上からかしめることにより、リングばね30を突起部21に固定する。リングばね30の一方の辺30aに設けた突出片35は、突起36がローター10の突出部11の内周面に圧接して、ローター10を内周面側から半径方向外方に押圧する。
【0033】
リングばね30の一方の辺30aの突出片35に設ける突起は、図9(d)に示すように、突出片35の外周面にダボ穴37aを設けることによって、ダボ突起37に形成してもよい。
【0034】
本実施の形態によっても、実施の形態1と同様な作用効果を奏し、さらにリングばねのセットが容易になる効果もある。
【0035】
[実施の形態3]
本実施の形態は、断面略L字状のリングばね以外のばねを用いた例を示す。
【0036】
本実施の形態では、図10(a)に示すように、リングばね38は、波板状の連続の一体成形リングまたは非連続のオープンリングからなる。このリングばね38を撓ませて縮径し、ハブ20の突起部21同士の間の間隙22から半径方向内方に臨ませたローター10の突出部11の内周面側に当てて、リングばね38を突出部11の内周面側に圧接させる。そして断面L字状のオープンリングからなる保持リング40の半径方向の辺(他方の辺)40bをハブ20の突起部21の先端部分の内周面に設けた溝23に嵌合し、突起部21の端面をプレスで軽圧押圧して固定し、保持リング40の軸線方向の辺(一方の辺)40aをリングばね38の内周面側に当接させる。図10(a)のA−A線矢視図を図10(c)に示す。
【0037】
本実施の形態では、リングばね38がローター10を内周面から半径方向外方に押圧し、保持リング40がリングばね38の内周面を受けて、リングばね38が半径方向内方に移動しないようにハブ20に保持すると共に、ローター10のスラスト方向の抜け止めの役目を兼ねる。このブレーキディスクの部品点数は、ローター10、ハブ20、リングばね38および保持リング40の4点となる。
【0038】
ハブ20へのリングばね38の保持は、図10(b)に示すように行ってもよい。ハブ20の外周縁部の内側寄りの位置に段部27を設け、段部27とローター10の突出部11の内周面との間にリングばね38を嵌合して、ローター10を内周面側から半径方向外方に押圧するリングばね38を、ハブ10の段部27でリングばね38の内周面を受ける。
【0039】
ローター10のスラスト方向の抜け止めは、ハブ20の突起部21に別に設けたオープンリングの抜け止めリング41で行う。抜け止めリング41は、ハブ20の突起部21の先端部分の内周面側に設けた溝23に嵌合して固定する。このブレーキディスクの部品点数は、ローター10、ハブ20、リングばね38および抜け止めリング41の4点となる。
【0040】
以上の保持リング40の軸線方向の辺40b、抜け止めリング41には、実施の形態1の図5に示したのと同様な外れ防止用の加工を施すことができる。また保持リング40の軸線方向の辺40b、抜け止めリング41のハブ20の突起部21への取り付けを、実施の形態2の図6に示したのと同様、あるいは実施の形態3の図7または図8に示したのと同様に行うことができる。
【0041】
本実施の形態によっても、実施の形態1と同様な作用効果を奏する。
【0042】
[実施の形態4]
本実施の形態では、図11に示すように、ハブ20の突起部21同士の間のそれぞれの箇所においてハブ20外周縁部の内側寄りの位置に、半径方向の孔28aを有する段部28を設け、この各孔28aにコイルばね39を植設して、コイルばね39によりローター10を内周面側から半径方向外方に押圧させるようにした。上記と同様、抜け止めリング41をハブ20の突起部21の先端部分の内周面に設けた溝23に固定して、ローター10のスラスト方向の抜け止めを行う。
【0043】
本実施の形態のブレーキディスクでは、ローター10の突出部11が10〜20箇所とすると部品点数が13〜23個となり、これまでの実施の形態よりも部品点数が多くなるが、従来の例えば7軸仕様のブレーキディスクの部品点数30個よりも大幅に削減することができる。
【0044】
以上の実施の形態1〜3では、リングばねはいずれも金属製としたが、ゴム製としてもよい。また実施の形態4では、弾性部材をコイルばねとしたが、エアーダンパーとしてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のフローティング型ブレーキディスクによれば、悪路走行時のローターから受けるハブへの衝撃を緩和でき、引き摺りトルクも低減でき、ブレーキディスクの振れ精度の修正も不要であり、また熱引け性能も向上でき、部品点数も大幅に削減可能である等といった多くの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフローティング型ブレーキディスクの実施の形態1を示す図である。
【図2】実施の形態1のブレーキディスクおよび構成部品を背面側から見た斜視図である。
【図3】実施の形態1のブレーキディスクの一部を背面側から部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図4】実施の形態1のブレーキディスクの組立て法を示す断面図である。
【図5】図1のブレーキディスクにおけるリングばねのハブからの外れ防止法の諸例を示す図である。
【図6】実施の形態1の変形例を示す断面図である。
【図7】実施の形態1の他の変形例を示す図である。
【図8】実施の形態1のさらに他の変形例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4を示す断面図である。
【図12】従来のフローティング型ブレーキディスクを示す図である。
【符号の説明】
1 フローティング型ブレーキディスク
10 ローター
11 突出部
20 ハブ
21 突起部
22 間隙
23 溝
24 段部
25 突片
27、28 段部
28a 孔
30 リングばね
30a 一方の辺
30b 他方の辺
34 長穴
35 突出片
36、37 突起
38 リングばね
39 コイルばね
40 保持リング
41 抜け止めリング
Claims (3)
- ローターを弾性部材により半径方向外方に押圧した状態に、前記ローターをハブに取り付けたことを特徴とするフローティング型ブレーキディスクにおいて、
前記ローターの内周縁部に半径方向の多数の突出部を周方向に間隔をあけて設け、前記ハブの外周縁部の背面側に前記突出部と同数の軸線方向の突起部を周方向に間隔をあけて設けて、前記突出部を前記突起部同士の間を通って突出させると共に、前記突出部の内周面を一方の辺で半径方向外方に押圧する断面略L字状のリングばねを前記突起部の内周面の前記ローターから突出した部分に固定し、前記ハブの突起部の前記デイスクから突出した部分の内周面に周方向に沿う溝を設けて、前記リングばねの他方の辺を前記溝に嵌合し、前記突起部の端面を押圧して前記溝を潰すことにより、前記リングばねを固定したことを特徴とするブレーキディスク。 - 前記ハブの突起部の前記ローターから突出した部分の内周面に段部を設けて、前記リングばねの他方の辺を前記段部に当て、前記突起部を押圧して前記他方の辺上からかしめることにより、前記リングばねを固定したことを特徴とする請求項1記載のブレーキディスク。
- 前記ハブの突起部に突片を突設させる一方、前記リングばねの他方の辺に前記突出部と同数の穴を前記突起部と同間隔で設け、前記突片を前記穴に挿通し、前記挿通された突片を押圧して前記他方の辺上からかしめることにより、前記リングばねを固定したことを特徴とする請求項1記載のブレーキディスク。
Priority Applications (6)
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---|---|---|---|
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