JP4299668B2 - 手術用リーマのための着脱可能なリーミング・ヘッド - Google Patents

Description

本発明は、骨の組織を除去するための装置に関し、特に骨髄管の迅速なリーミングのための着脱可能なヘッドを有する装置に関する。

骨の組織を切削し、除去するための多種多様な装置は、当業者には周知のものである。一般的に、これらの装置は、駆動軸の遠位端に設置されている、ドリルに類似した、回転式切削用チップを利用する。骨髄管のリーミングにおいて使用するための骨の切削用装置は、通常、柔軟な駆動軸を使用する。何故なら、骨の骨髄管は真っすぐであることはほとんどなく、ある程度曲っているのが普通だからである。また、ほとんどのリーマは、リーマおよび駆動軸の両方を貫通する中央孔を有している。その中央孔は、進行するリーマに対する軌道として働くために骨髄管内に最初に挿入される長くて短径のガイド・ピンまたはガイド・ワイヤを収容するためのものである。
リーマは、股関節部および膝の全面的な交換、長い骨の骨折を安定させるための爪の挿入、骨髄内截骨、および移植目的のための骨の採取などを含む、多種多様な手術処置に対応して骨の骨髄管を調製するために、整形外科において使用される。

機械的および生物学的観点の両方から、骨髄のリーミングはインプラントの性能を改善するのに特に有効である。より詳細には、リーミングは、骨髄管を拡張して、より大きな直径のインプラントを挿入することができるようにする。直径の大きいインプラントほど失敗する可能性が低い。実際に、ある種の骨折は、より大きいインプラントを使用することができるように、過剰リーミングを必要とする。リーミングを行なわない場合、手術医はインプラントの直径を選択するときに「最善の推定」の評価を使用しなければならない。医学文献には、不正確な評価による有害な結果を報告する多数のケース・スタディが掲載されている。リーミングは、骨髄管の直径を直接測定できるようにし、それにより、骨髄管を正確に充填するインプラントを選択することができる。その結果、骨内膜接触を達成することによって骨折部位の安定性が高められる。インプラントが骨髄管を充填しないと、インプラントと骨との間の負荷共有が減少する。これにより、インプラントに伝達される負荷が増大し、インプラントの故障および骨のストレス遮蔽の両方が促進される。

このような利点にもかかわらず、骨髄のリーミングに関連した否定的な結果も付随している。特に、骨髄腔のリーミングのための現在の処置は、温度および圧力の両方を増すことがある。物質が取り除かれるほとんどのプロセスと同様に、リーミングによって熱が発生する。さらに、血圧をはるかに超える液圧がリーミング時に空洞内において高まる。リーマは骨の空洞内で液圧ピストンとして働き、もし骨髄脂肪、血液、血液の塊、骨の破片の混合物を含む骨髄管の内容物が血液の流れ内に入ると、塞栓が起きる場合がある。過剰な熱が皮質の無菌性壊死発生の増加に関係し、圧力の上昇が塞栓の危険性の増大に関係している。これらの合併症は、患者に、ショック、現存の肺の挫傷、複数の外傷、あるいは前から存在している肺の障害などの軽く見ている要因が存在しているときに、より発生し易い。これらの状況においては、これらに関係する危険性が増すので、このリーミングの好ましい方法は普通は実行されない。

リーミング中の骨髄内圧力を低減するための種々の装置および方法がある。例えば、補綴用関節交換では、遠位ガス抜き孔、大きな挿入孔、およびセメント挿入のための修正された技術のすべてが、圧力を低減、そしておそらく、脂肪塞栓の危険性を低減するのにある程度成功したことを示している。骨の中のガス抜き孔はほとんど効果がない。何故なら、孔の直径が小さ過ぎ、リーマの通過経路に亘って局所ピーク値が仮定されていなければならないからである。同様に、骨髄の空洞のリーミングは圧力の上昇をほとんど抑止しない。実際に、圧力は小さな直径のリーマに対してさえ高くなる場合がある。

温度および圧力を低減するための試みとして使用されてきたもう１つの技術は、リーミングを複数のステップで実行し、各ステップごとにリーマのサイズを増大させる方法である。その結果、リーミングの手順は、緩やかな圧力の印加と、複数の器具導入を使用してゆっくりと行われる。通常、リーミングは骨の皮質に達するまで直径を１ｍｍの増分で増やしながら実行され、その後は、０．５ｍｍの増分で行われる。この点に関して、リーミングはより少ない圧縮力で実行されるので、この低速プロセスを利用すると、ほとんどのリーミング装置で骨髄内の圧力を簡単に減らすことができる。手術の時間および医療費を低減するために、より少ない器具導入を利用した、より高速のリーミング・プロセスが望ましい。

２０００年２月２日出願の「手術用リーマおよび手術用リーマを使用した方法（Ｓｕｒｇｉｃａｌ Ｒｅａｍｅｒ ａｎｄ Ｍｅｔｈｏｄ ｏｆ Ｕｓｉｎｇ Ｓａｍｅ）」と題する米国特許出願番号第０９／４９５，９３２号に開示されているリーミング装置は、その全体の内容を参照によって明示的に本明細書に組み込むものとし、骨の組織の切削および除去の場合、脂肪塞栓および熱壊死の危険性を増大させるような骨髄のリーミングに付随した否定的な結果を発生することなしに、より高い速度で骨髄管のリーミングを行うことができる。さらに、そのリーミング装置は単独に使用することができるので、手術手順が完了した後、固定されたリーマ・ヘッドと一緒に柔軟な吸引管を引き抜くことができる。
使い捨てのリーミング装置を備えることによって、時間の経過とともに鈍くなるリーマ・ヘッドに関連した問題が回避される。例えば、鈍くなったリーマを継続して使用することで生じる、骨髄間の圧力上昇および皮質温度のさらなる上昇の問題が回避される。さらに、使い捨てのリーミング装置を有することによって、外科医および手術スタッフがリーマを優しく扱うよう慎重に注意する必要がなくなる。

しかし、リーマ・ヘッドが固定されている使い捨てのリーミング装置を有することはいくつかの欠点がある。通常、患者の解剖学的構造は異なるので、患者の解剖学的構造の相違に対応するために、異なるリーマおよびリーマ・ヘッドを必要とする。例えば、患者によっては、骨が比較的太くて長く、比較的大きなリーマ・ヘッドを必要とする場合がある。リーマ・ヘッドはリーミング装置の他の部分に固定されているので、手術医および手術スタッフは異なる患者の解剖学的構造に対応するために、異なるリーマの完全な在庫を維持しなければならない。リーマの完全な在庫を維持するには広い空間を必要とし、費用がかかることになる。その結果、着脱可能なリーマ・ヘッドを備えた使い捨てのリーミング装置が、リーマの完全な在庫を維持しなければならないという問題を回避するために望ましい。着脱可能なリーマ・ヘッドを備えることによって、手術医および手術スタッフはリーミング・ヘッドの完全な在庫と一緒に数個のリーミング装置を維持するだけで済むことになる。これで必要とする空間が少なくて済み、費用も削減される。
さらに、リーマ・ヘッドは一般的に耐久性が良く、数回使用してもリーマ・ヘッドの信頼性または有効性は損なわれない。従って、着脱可能なリーミング・ヘッドを備えることにより、リーマ・ヘッドの将来の再使用が可能となり、それによりリーミングの手順に関連するコストが削減される。
それ故、骨の組織を切削および除去する場合、脂肪塞栓および熱壊死の危険性を増大させることなしに高められた速度で骨髄管をリーミングするため、およびリーマ・ヘッドを将来の再使用のために着脱できる装置の開発が待望されている。

本発明は骨の骨髄管をリーミングするための装置に関する。この装置は、回転式駆動要素に対して近位端で接続されている回転可能な駆動軸と、その駆動軸の遠位端に回転可能に連結されている着脱可能なリーマ・ヘッドとを含む。リーマ・ヘッドは、駆動軸の遠位端に連結されている弾性アームを備えた管状シャンクと、シャンクと一体化されていて、複数のブレードを有する切削ヘッドとを有する。隣接するブレード間に縦溝が設置されている。

駆動軸およびリーマ・ヘッドはそれぞれ挿管を有することができる。これらの２つの挿管は、管状シャンクと弾性アームとが駆動軸と係合されるとき、中央のチャンネルを形成するように位置合わせされる。このチャンネルの１つの用途は、骨髄管内に装置を導くために使用することができるガイド・ワイヤの収容である。
また、この装置は、リーマ・ヘッドによって生成された切削物質を除去するための吸引管を含むこともできる。吸引管は近位端においてマニホールド・アセンブリを有し、駆動軸を収容するように構成され、寸法が決められる内腔を備えている。また、吸引管は遠位端において保持用リングを介してリーマ・ヘッドの保持装置に連結されている。好適には、その中央チャンネルは切削ヘッドに潅注を行うために、潅注源から流体が通るようになっていることが好ましい。マニホールド・アセンブリは、潅注源に連結されている潅注口、潅注口に流体で連絡している潅注チャンバとを含むことができる。潅注用流体は駆動軸上の開口部を通って潅注チャンバから中央チャンネルの中へ流れる。

リーマ・ヘッドの保持装置は、内部段付部およびリーマ・ヘッドの弾性アームを介してリーマ・ヘッドと回転可能に係合する。リーマ・ヘッド保持装置は、リーマ・ヘッドの縦溝と吸引管の内腔の遠位端と流体で連絡している複数のポートをさらに有している。吸引管の内腔の近位端は吸引源と流体で連絡している。好適には、マニホールド・アセンブリは切削された物質を取り除くのを助けるために吸引源に連結されている吸引口を含むことが好ましい。
本発明は、リーマ・ヘッド取外し装置を使用することによって将来再使用するためのリーマ・ヘッド保持装置からのリーマ・ヘッドの除去にも関する。リーマ・ヘッド取外し装置は、リーマ・ヘッドの弾性アームと係合し、弾性アームをリーマ・ヘッド保持装置から外し、それによりリーマ・ヘッドをリーマ・ヘッド保持装置から取り外すことができる。
本発明の好ましい特徴が添付の図面に開示され、本明細書で類似の参照番号はいくつかの図面を通して類似の要素を示す。

便宜上、図面の中で示されている本発明の種々の実施形態における同じ要素または等価要素は、同じ参照番号で識別されている。さらに、以下の記述において、向きまたは方向のいずれかに対する参照は、主として説明の便宜のためのものであり、本発明の範囲を如何なる方法においても制限することは意図されていない。

図１〜図３を参照すると、本発明によるリーマ１０の１つの好ましい実施形態は、骨髄管をリーミングするためのリーマ１０の遠位端に設置されているリーマ・ヘッド２０と、リーマ・ヘッド２０によって生成された乳状化した骨および他の物質の吸引および除去のための柔軟な吸引管１３と、吸引管１３およびリーマ・ヘッド保持装置１４に対してリーマ・ヘッド２０を依然として回転できるようにしながら、吸引管１３上にリーマ・ヘッド２０を保持するためのリーマ・ヘッド保持装置１４および保持用リング１１と、リーマ１０の近位端にあるマニホールド・アセンブリ１２とを備える。従って、この出願において使用されているように、「遠位」という用語は、リーマ・ヘッド２０に近く、リーマ１０の前面に向かう端部または方向を示し、「近位」という用語は、マニホールド・アセンブリ１２に近い端部またはリーマ１０の後部に向かう方向を示す。「長手方向」という用語は、吸引管１３の中心軸を示す。
吸引管１３は、骨の曲がりに対応して曲がることができるように柔軟性があり、好適には、吸引された物質を観察できるように半透明の物質から作られていることが好ましい。マニホールド・アセンブリ１２は潅注源および吸引手段にそれぞれ接続するための潅注口１５および吸引口１６を有している。駆動軸カップリング１７は、マニホールド・アセンブリ１２の近位端に設置されている。駆動軸カップリング１７は、駆動軸またはリーマ・ヘッド２０を回転させるための他の手段に容易に着脱させることができる。

図４は、骨髄管を十分な速度でリーミングするためにリーマ・ヘッド２０を回転させるための、リーマと一緒に使用することができる駆動軸アセンブリ１００を示している。リーマ１０を有する駆動軸アセンブリ１００（または、駆動手段がリーマとは独立のユニット内に含まれている任意のモジュラー・システム）によって、駆動軸アセンブリ１００が多くの異なるリーマと一緒に再使用できるようにすることができる。患者および臨床状態が異なると、異なるサイズのリーマ・ヘッドが必要になるので、このようなモジュール方式は有利である。さらに、リーマ１０は、一度使用したら捨てる、使い捨てできるアイテムとすることができるので、駆動軸アセンブリ１００は、期間を延長して使用することができる。

駆動軸アセンブリ１００は、柔軟な駆動軸１０２が回転するときにリーマ・ヘッド２０が回転するように、リーマ・ヘッド２０に解放可能に係合するために遠位端上にリーマ・ヘッド・コネクタ１０４を有している柔軟な駆動軸１０２と、駆動軸１０２の回転を起動するための動力源に接続するための動力源用コネクタ１０６と、駆動軸カップリング１７を係合するために、リーマ・ヘッドと動力源用コネクタ１０６との間に設置されるマニホールド・カップリング１０８とを含む。駆動軸１０２は、吸引管１３の内腔内に適合するサイズになっている。しかし、後でさらに詳しく記述するように、駆動軸１０２の外壁と吸引管１３の内壁との間には十分な空間があるので、吸引管１３を通してリーマ・ヘッド２０から吸引口１６へ、吸引された物質を移送することができる。吸引管１３の場合がそうであったように、駆動軸１０２は、リーミングされている骨のどんな曲がりにも適合するように柔軟性がある。駆動軸１０２はガイド・ワイヤ１２０を収容するための挿管１１０を有している。

図１１および図１２において最もよく示されているように、ガイド・ワイヤ１２０の外壁と挿管１１０の内壁との間には十分な空間があり、挿管１１０を通して潅注口１５からリーマ・ヘッド２０に潅注用流体を移送することができる。駆動軸１０２は、駆動軸１０２の外面から挿管１１０に対して伸びている開口部１２６を有している。開口部１２６は駆動軸１０２上に位置しているので、駆動軸アセンブリ１００がリーマ装置１０に連結されていると、開口部１２６が潅注口１５と流体でつながり、潅注は挿管１１０を通って流れることができる。開口部１２６は湾曲した壁１２８、１３０を有している。湾曲した壁１２８はプロファイルが凸面であるように曲がっており、湾曲した壁１３０はプロファイルが凹面であるように内側に曲がっている。湾曲した壁１２８、１３０の曲がりは駆動軸１０２が回転する際に（図１１を参照して反時計方向に）、水が挿管１１０内に流れるのを助ける。

マニホールド・カップリング１０８と駆動軸カップリング１７とを解放可能に結合するために、任意の適切な手段を使用することができる。好適には、迅速な連結および分離のために、迅速連結機構が使用されることが好ましい。例えば、マニホールド・カップリング１０８は駆動軸カップリング１７の中の溝に係合するボール・ベアリングなどのバネ式ラッチ機構を有することができる。同様に、任意の動力源およびその動力源に駆動軸アセンブリ１００を固定するための手段を使用することができる。空気動力工具が整形外科手術において広く使用されているので、動力源は、米国ペンシルベニア州パオリ所在のＳｙｎｔｈｅｓ社から入手できるＣｏｍｐａｃｔ Ａｉｒ Ｄｒｉｖｅなどの空気式ドライブであることが好ましい。

図３に戻って説明すると、マニホールド・アセンブリ１２内にシーリング要素３４および摺動ベアリング３１が収容されている。シーリング手段３４および摺動ベアリング３１は潅注チャンバ３５を画定し、手術中に潅注用流体が潅注チャンバ３５から吸引口１６へ逃げるか、あるいはリーマ装置１０の近位端から出るのを防ぐための耐密シールを提供する。さらに、摺動ベアリング３１は吸引されて乳状化した物質が潅注チャンバ３５に入るのを防止する。
リーマ・ヘッド２０は、好適には、ステンレス鋼から作られていることが好ましいが、骨を切削するために適している任意の金属、ポリマ、セラミックまたは複合材料を使用することができる。リーマの挿管２２は、リーマ・ヘッド２０（図６、図７および図８）の遠位端から近位端まで伸びている。リーマの挿管２２は駆動軸１０２の挿管１１０と位置合わせされており、そのため、リーマ・ヘッド２０の遠位端を通して駆動軸１０２の近位端から伸びることができる。

リーマ１０と一緒に多くの異なるリーマ・ヘッドを使用することができるが、１つの実施形態が図５〜図１０に示されている。これらの図に示されているように、リーマ・ヘッド２０は管状シャンク２５と一体化されている切削ヘッド４０から構成されている。管状シャンク２５の周辺は円筒型であり、リーマ・ヘッド２０の近位端に設置されている複数の弾性保持アーム２６を有し、アーム２６は段付部をリーマ・ヘッド保持装置１４の内側に弾力的に係合し、リーマ・ヘッド２０が吸引管１３の遠位端に長手方向の固定された位置を維持しながら回転できるようにしている。図９に示されているように、管状シャンク２５は、近位端に駆動軸リセプタ２３を有し、リセプタ２３は駆動軸１０２のリーマ・ヘッド・コネクタ１０４を収容するように構成されていて、そのため、駆動軸１０２が回転すると、リーマ・ヘッド２０が回転する。駆動軸保持装置２３は、リーマ・ヘッド・コネクタ１０４の外側のプロファイルに適合している任意の形状のものであってもよいが、好適には、雌型の六角形であることが好ましい。

リーマ・ヘッド２０の切削ヘッド４０は、リーマの挿管２２から外側へ放射状に伸びている実質的に螺旋状のパターンを形成するための複数のブレード４１、好適には、少なくとも５個のブレード４１を有している。ブレードの数を特定のブレードの幾何学形状および回転速度に相関付けることは、効率的な切削をしながら、適切な量の骨物質が取り除かれるようにすることができるために有利である。所与のブレードの形状で使用するブレードの数が多過ぎると、縦溝が非常に浅くなり、その結果、取り除くことができる骨物質が少なくなる。使用するブレードの数が不十分であると、リーマ・ヘッドは骨の組織を切削するのに効率的ではない。実際、リーマ・ヘッドは、骨物質を切削している間に固まったり、あるいは詰まって動かなくなる場合がある。

図１０に示されているように、各ブレード４１は、螺旋形の側面切削エッジ４４に連結されている真っすぐな前面切削エッジ４２を備えた複数の表面を有する傾斜した遠位端を有している。前面の切削エッジ４２は、内側のブレードの壁４５と平面の第１のリップ表面５１との間の交差によって画定される。内側のブレードの壁４５と最初のリップ表面５１との間の角度は鋭角である。平面の第２のリップ表面５２は第１のリップ表面５１と鈍角で交差し、第１のリップ・エッジ５６を形成する。平面の第３のリップ表面５３は第２のリップ表面５２と鈍角で交差し、後尾のリップ・エッジ５８を形成する。側面切削エッジ４４は内側のブレードの壁４５と外側のブレードの表面４６との間の交差によって画定され、長手方向の軸からの半径方向の距離が一定であり、螺旋状に長手方向に伸びている。外側のブレード表面４６は、隣接しているブレードの内側のブレードの壁に向かう円弧に沿って側面切削エッジ４４から内側に半径方向に渦を巻く。このような隣接するブレード間の空間が縦溝４３（図９に示す）を画定し、縦溝は手術中に真空状態にある吸引管１３を通して骨の空洞から取り除くためにリーマ・ヘッド２０の近位端に向かって切削された骨髄管の物質を漏斗のように通り抜けさせる働きをする。内側のブレード壁４５および外側のブレード面４６は切削ヘッド４０上で長手方向に伸び、段付面４８において近位端で終端している。肩面４８は管状シャンク２５と衝接している。

図１３は、本発明によるリーマ・ヘッド２０’のもう１つの実施形態を示している。リーマ・ヘッド２０’は側面切削エッジを有しておらず、それにより骨の皮質を通して横方向にリーミングする危険性を実質的に最小化している。各ブレード４１は、直線状の前面切削エッジ４２を含む複数の表面を有する傾斜した遠位端を有している。前面切削エッジ４２は内側のブレード壁４５と平面の第１のリップ面５１との間の交差によって画定される。内側のブレード壁４５と第１のリップ面５１との間の角度は鋭角である。平面の第２のリップ面５２は第１のリップ面５１と鈍角で交差し、第１のリップ・エッジ５６を形成する。外側のブレード面４６は隣接するブレードの内側のブレード壁に向かう円弧に沿って内側に半径方向に渦を巻いている。このような隣接するブレード間の空間が縦溝４３を画定し、手術中に、真空状態にある吸引管１３を通して骨の空洞から除去するためのリーマ・ヘッド２０’の近位端に向かって切削された骨髄管の物質を漏斗で通り抜けさせるように機能する。

図１４および図１５は、リーマ・ヘッド保持装置１４を示している。リーマ・ヘッド保持装置１４は、任意の数のポート６９を備えた任意の形状のものであってもよいが、好適には、保持装置１４は実質的に円筒形状であり、保持装置１４の周囲の回りに等距離で隔てられている４つのポート６９を有する。保持装置１４の遠位端において開口部６２および孔６３があり、それらはリーマ・ヘッド２０の管状シャンク２５および弾性アーム２６を収容するための適切なサイズおよび形状である。これは図１８において最もよく示すことができる。孔６３の端部には肩６４が設置され、それは弾性アーム２６を係合するために使用される。リーミング・ヘッド保持装置１４の近位端は、好適には、その遠位端より直径が小さいことが好ましい。また、リーミング・ヘッド保持装置１４の近位端は、複数の開口部６８および孔６６を有し、好適には、それらは孔６３より直径が大きいことが好ましい。保持装置１４の近位端と遠位端との間には段付部６７が設置され、それは保持用リング１１を係合するために使用される。

図１６は、保持装置リング１１を示している。保持装置リング１１は、好適には、孔７２と、その周囲の回りに設置されている一連の開口部７４とを有する管状本体であることが好ましい。
図１７および図１８は、段付部６７を介して保持装置１４に係合されている保持装置リング１１を示している。保持装置リング１１は任意の方法で保持装置１４に固定することができるが、好適には、レーザ溶接によって保持装置リング１１を保持装置１４に固定することが好ましい。固定されると、保持装置リング１１の開口部７４が保持装置１４の開口部６８と位置合わせされる。これらの開口部は吸引管１３を保持用リング１１および保持装置１４に固定的に取り付けるために使用される。図１７および図１９において最もよく分かるように、吸引管１３は保持装置１４と保持用リング１１との間の空間内に適合する。吸引管１３が保持用リング１１と保持装置１４との間に配置されると、保持用リング１１は、開口部７４において、吸引管１３および保持装置１４の中の開口部６８を通してかしめられ、吸引管１３を保持装置リング１１および保持装置１４に永久的に固定する。

図２２および図２３は、リーマ・ヘッド保持装置１１４のもう１つの実施形態を示している。リーマ・ヘッド保持装置１１４は任意の数のポート１６９を備えた任意の形状であってもよいが、好適には、保持装置１１４は実質的に円筒形状であって、保持装置１１４の周囲の回りに等しい間隔をおいて設置されている４つのポート１６９を有していることが好ましい。保持装置１１４の遠位端には開口部１６２および孔１６３があり、それらは管状シャンク２５およびリーマ・ヘッド２０の弾性アーム２６を収容するのに適切なサイズおよび形状になっている。孔１６３の端には、段付部１６４が設置されており、それは弾性アーム２６を係合するのに使用される。リーミング・ヘッド保持装置１１４の近位端は、好適には、直径がその遠位端の直径より小さいことが好ましい。また、リーミング・ヘッド保持装置１１４の近位端は、複数の開口部１６８および孔１６６も備えており、好適には、その直径は孔１６３の直径より大きいことが好ましい。保持装置１１４の近位端に向かって、突起部１０１が設置されており、それらは吸引管１３をリーマ・ヘッド保持装置１１４に固定的に取り付けるために使用される。吸引管１３をリーマ・ヘッド保持装置１１４に固定的に取り付ける突起部１０１を備えることにより、保持装置リングは不要である。

直視下手術（ｏｐｅｎ ｓｕｒｇｉｃａｌ）、経皮処置、あるいは任意の他の侵襲性が最小限である処置中に使用可能であるリーマ１０の使用法を、主として図１９を参照しながら以下に説明する。リームされるべき骨がアクセスされた後、ガイド・ワイヤ１２０が骨１２４の骨髄管１２２内に挿入される。ガイド・ワイヤ１２０の挿入は、通常、Ｘ線透視検査を使用して行われ、ガイド・ワイヤ１２０が確実に適切な位置に配置されるようにする。駆動軸１００に取り付けられて連結された適切なカッター（例えば、リーマ・ヘッド２０または２０’）を備えたリーマ１０を、次にガイド・ワイヤ１２０上に配置し、ガイド・ワイヤ１２０が吸引管１３を完全に通過し、リーマ１０が骨髄管１２２をリーミングする際に従う軌道を提供する。好適には、駆動軸１００と連結されているリーマ１０は、骨髄管１２２の中への挿入に先立って駆動手段に接続されていることが好ましい。それ故、ガイド・ワイヤ１２０は、駆動軸１０２の挿管１１０とリーマ・ヘッド２０の挿管２２とを実際に通過する。さらに、使用中に、ガイド・ワイヤ１２０上での駆動軸１０２およびリーマ・ヘッド２０の同時回転によって、骨髄管の中へ導入されている間の挿管の開通性が確保される。

骨髄管１２２をリーミングしている間、潅注および吸引が同時に適用される。潅注はリーマ・ヘッド２０、骨髄管１２２、および骨１２４を実質的に冷却する。十分な速度および圧力で潅注流体を排出する好ましい潅注源は、潅注口１５の上１ｍの所に釣り下げられている通常の塩水バッグである。また、塩水バッグの他に、生物学的に互換性のある任意の溶液および排出システムを潅注源として使用することができることも留意されたい。潅注流体は潅注源から潅注口１５の中へ流れ、潅注チャンバ３５に入る。矢印Iによって示される経路に沿って潅注流体が挿管の内壁とガイド・ワイヤ１２０との間の空間において挿管を通って流れ、リーマ・ヘッド２０から流出する。

吸引は骨髄内圧力を緩和し、乳状化した物質をリーマ・ヘッド２０から取り除くのを助ける。物質の除去はリーミングを改善するだけでなく、移植の目的のためにその乳状化した物質を採取する可能性も提供する。吸引源によって生成される吸引は、矢印Ａによって示される経路に沿って進行する。より詳細には、潅注流体は、リーマ・ヘッド２０によって生成された乳状化した物質が縦溝４３を通って流れ、駆動軸１０２の外壁と吸引管１３の内壁との間の空間に入り、保持装置１４の中のポート６９、吸引管１３、および吸引口１６を通って、リーマ・ヘッド２０から乳状化した物質が適切なコンテナ内に移送されるのを助ける。

リーマ１０と、着脱可能なリーマ・ヘッド２０と、駆動軸アセンブリ１００とを含むこのシステムの１つの重要な利点は、骨髄管を所望の直径までワンパスでリーミングするための能力である。すなわち、所望のリーミングされたサイズが達成されるまで、徐々に直径を増やしながら複数のリーミング・ヘッドを使用する必要なしにリーミングできる能力である。この点に関して、吸引を同時に提供しながら、リーマ・ヘッド２０に潅注を供給し、効率的な前面切削の幾何学形状（および、必要であれば、側面切削の幾何学形状）を備えたリーマ・ヘッドを使用することによって、従来の技術のリーミング装置より圧力および熱の発生が少なくなる。

リーミング・プロセスが完了すると、リーミング・ヘッドの磨耗の量により、手術医は将来の再使用のためにリーミング・ヘッドを外したい場合がある。リーマ・ヘッドを外すために、駆動軸アセンブリ１００が先ず最初に外され、リーマ・ヘッド２０および吸引管１３から取り除かれる。次に、吸引管１３が保持用リングの近位端に隣接している位置で切断され、吸引管１３の残っている部分は捨てられる。図２０および図２１に示されるように、ほぼ円筒型のベース８２および係合部分８４を有するリーマ・ヘッド取外し装置８０は、次に、近位的に、吸引管１３の残りの部分を通し、保持装置リング１１を通して保持装置１４内に挿入される。取外し装置８０の係合部分８４は保持装置１４の遠位端に向かって進められ、係合部分８４はリーマ・ヘッド２０の弾性アーム２６を係合し、それらを内側に押して、保持装置１４の段付部６４から外す。次にリーマ・ヘッド２０を保持装置１４から取り除き、今後の再使用のために保管しておくことができる。

本発明の種々の記述をこれまで説明してきたが、その種々の特徴を単独でも、あるいは任意の組合せとしても使用することができることを理解されたい。従って、本発明は本明細書に詳細に記載した好ましい実施形態だけに限定されるものではない。
さらに、本発明に関連する当業者であれば、本発明の精神および範囲の変更および変形を思い付くことができるだろう。従って、本発明の範囲および精神の範囲内にある本明細書で説明された開示から、当業者であれば容易に達成できるすべての有利な変形は本発明の他の実施形態として含まれる。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載するように定義される。

本発明によるリーマ装置の一実施形態の遠位の左側からの斜視図である。 図１Ａの装置の近位右側からの斜視図である。 図１Ａおよび１Ｂのリーマ装置の平面図である。 図２のラインＡ‐Ａに沿って取られた装置の断面図である。 本発明による駆動軸アセンブリの一実施形態の斜視図である。 本発明によるリーマ・ヘッドの一実施形態の側面図である。 図５のリーマ・ヘッドの前面図である。 図５のリーマ・ヘッドの後面図である。 図５のリーマ・ヘッドの前面の斜視図である。 図５のリーマ・ヘッドの後面の斜視図である。 図５の一部分の拡大図である。 駆動軸の挿管内にガイド・ワイヤが挿入されている図４の駆動軸アセンブリの一部分の斜視図である。 図１１のラインＡ‐Ａに沿って取られた駆動軸アセンブリの断面図である。 本発明によるリーマ・ヘッドのもう１つの実施形態の平面図である。 本発明によるリーマ・ヘッド保持装置の一実施形態の断面図である。 図１４のリーマ・ヘッド保持装置の斜視図である。 本発明による保持用リングの斜視図である。 図１６の保持用リングと係合している図１４のリーマ・ヘッド保持装置の部分破断面図および側面図である。 図１４のリーマ・ヘッド保持装置および図１６の保持用リングと位置合わせされている図１３のリーマ・ヘッドの斜視図である。 図１Ａおよび図１Ｂに示されているリーマの拡大した部分破断側断面図である。 本発明によるリーマ・ヘッド取外し装置の一実施形態の斜視図である。 図２０のリーマ・ヘッド取外し装置が付いている、図１Ａおよび図１Ｂに示されているリーマの部分破断側断面図である。 本発明によるリーマ・ヘッド保持装置のもう１つの実施形態の断面図である。 図２２のリーマ・ヘッド保持装置の斜視図である。

符号の説明

１０ リーマ １１ 保持装置用リング
１２ マニホールド・アセンブリ １３ 吸引管
１４ リーマ・ヘッド保持装置 １５ 潅注口 １６ 吸引口
１７ 駆動軸カップリング ２０ リーマ・ヘッド ２２ 挿管
３１ 摺動ベアリング ３５ 潅注チャンバ
４０ 切削ヘッド ４１ ブレード ４２ 切削エッジ
５１、５２、５３ リップ表面 ６４、６７ 段付部
１０２ 駆動軸 １１０ 挿管 １２０ ガイドワイヤー
１２２ 骨髄管

Claims (10)

1. 骨の骨髄管をリーミングするための装置であって、
   近位端および遠位端を有する回転可能な駆動軸であって、前記近位端が前記駆動軸を回転させるために駆動要素に連結されるように構成され、適合される回転可能な駆動軸と、
   前記駆動軸の前記遠位端に連結されるリーマ・ヘッドとを備え、
   前記リーマ・ヘッドが、
   前記駆動軸の前記遠位端を係合するための長手方向の軸および複数の弾性アームを有する管状シャンクと、
   前記シャンクに連結され、骨の切削およびリーミングのために、複数のブレードおよび前記複数のブレード間に縦溝を有する切削ヘッドとを備え、
   前記駆動軸およびリーマ・ヘッドが、それぞれ挿管を有し、前記駆動軸の挿管がリーマ・ヘッドの挿管と位置合わせされ、前記管状シャンクおよび弾性アームが前記駆動軸と係合するときに、前記装置を通して中央のチャンネルを形成し、
   前記リーマ・ヘッドによって生成される切削物質を取り除くための吸引管であって、前記駆動軸を収容するように構成され、寸法が決められる近位端におけるマニホールド・アセンブリおよび内腔を有する吸引管と、
   近位端および遠位端を有し、前記吸引管の遠位端に接続するために近位端において構成され、寸法が決められ、前記リーマ・ヘッドを収容するために遠位端において構成され、寸法が決められるリーマ・ヘッド保持装置とを備える装置。
2. 前記マニホールド・アセンブリが少なくとも１つのポートを有し、前記少なくとも１つのポートが潅注源と通じるように構成され、適合され、前記少なくとも１つのポートが前記中央チャンネルと流体で通じる、請求項１に記載の装置。
3. 前記マニホールド・アセンブリが潅注源に接続可能な潅注口を含み、潅注チャンバが前記潅注口と流体で通じ、
   前記駆動軸が、前記駆動軸の外面から前記駆動軸の挿管まで伸び、前記潅注チャンバ内に位置する開口部を有する、請求項１に記載の装置。
4. 前記マニホールド・アセンブリが吸引源に接続可能な吸引口を含む、請求項１に記載の装置。
5. 前記リーマ・ヘッド保持装置が、前記吸引管の前記内腔と流体で連絡している複数のポートを有する、請求項１に記載の装置。
6. 前記リーマ・ヘッド保持装置が前記リーマ・ヘッドと連結し、前記リーマ・ヘッドが前記保持装置に対して回転することができる、請求項１に記載の装置。
7. 前記リーマ・ヘッド保持装置が前記リーマ・ヘッドの前記弾性アームを係合するための内部段付部を有する、請求項６に記載の装置。
8. 前記リーマ・ヘッド保持装置の近位端に連結され、前記リーマ・ヘッド保持装置の近位端に前記吸引管の遠位端を固定的に取り付けるように寸法が決められるリーマ保持用リングをさらに備える、請求項１に記載の装置。
9. 前記リーマ・ヘッド保持装置が、前記リーマ・ヘッド保持装置の前記近位端に前記吸引管の前記遠位端を固定的に取り付けるための前記リーマ・ヘッド保持装置の近位端の近くに設置される少なくとも１つの突起部を有する、請求項１に記載の装置。
10. 請求項１〜９のいずれか一項に記載の骨の骨髄管をリーミングするための装置からリーマ・ヘッドを取り除くためのキットであって、
    リーマ・ヘッドを備え、前記リーマ・ヘッドが、
    長手方向の軸および複数の弾性アームを有する管状シャンクと、
    前記シャンクと一体になり、骨の切削およびリーミングのために複数のブレードおよび前記複数のブレード間に縦溝を有する切削ヘッドとを備え、さらに、
    リーマ・ヘッド保持装置を備え、前記リーマ・ヘッド保持装置が、
    遠位端および近位端を有し、周囲に沿って間隔をおいて設置される複数のポートを有する管状本体と、
    リーマ・ヘッドの弾性アームを回転可能に、かつ弾力的に係合させるための前記管状本体の内面に設置される内面段付部とを備え、さらに、
    リーマ・ヘッド取外し装置を備え、前記リーマ・ヘッド取外し装置が、
    ベース部分と、
    前記リーマ・ヘッドの前記弾性アームを係合するために構成され、寸法が決められ、それにより前記リーマ・ヘッド保持装置から前記リーマ・ヘッドを外すことができる係合部分とを備えるキット。

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