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JP4298071B2 - 排ガス浄化材及びその製造方法 - Google Patents

排ガス浄化材及びその製造方法 Download PDF

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JP4298071B2 JP19707299A JP19707299A JP4298071B2 JP 4298071 B2 JP4298071 B2 JP 4298071B2 JP 19707299 A JP19707299 A JP 19707299A JP 19707299 A JP19707299 A JP 19707299A JP 4298071 B2 JP4298071 B2 JP 4298071B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排ガスを浄化する排ガス浄化材及びその製造方法、特にディーゼル機関の排ガスに含まれるパティキュレートを酸化燃焼して浄化する排ガス浄化材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境に対する高まりから、内燃機関からの排ガスを浄化処理した後、安全な排ガスとして大気中に放出されるよう望まれており、排ガスを浄化するのに使用される各種の排ガス浄化材が検討されている。
【0003】
一般に、排ガス浄化材は、セラミック製あるいは金属製の耐熱性ハニカム構造体と、前記耐熱性ハニカム構造体上に触媒活性成分である貴金属や非金属あるいはそれらの酸化物を必要量担持するための無機多孔質材料からなる担体(又は担体層)と、担体上に担持した触媒活性成分である貴金属や非金属あるいはそれらの酸化物とから構成されている。
【0004】
ガソリンエンジンについては、排ガス中の有害成分に対する厳しい排出規制と、それに対する技術の進歩により、具体的には三元触媒の出現と更なる改良により、排ガス中の有害物質は確実に減少してきている。ところが、ディーゼルエンジンについては、その特異な原理とパティキュレートと呼ばれる有害成分の存在により、規制がガソリンエンジンに比べて、緩く設定されていたために、有害物質排出抑制のための技術開発もガソリンエンジンに比べて大きく遅れていた。
【0005】
しかしながら、昨今の環境に対する関心の高まりから、ディーゼルエンジンについても有害物質の排出規制が強化されてきており、ディーゼルエンジンからの排ガスを確実に浄化できる排ガス浄化材の開発が切望されている。
【0006】
そこで、ディーゼルエンジンからの排ガスを浄化できる三元触媒と基本的に同じ構成である両端の孔が全て開口した形のオープン型SOF(Soluble Organic Fraction;可溶性有機成分、高沸点の炭化水素)触媒が開発されている。
【0007】
例えば、特開平1−171626号公報(以下、イ号公報という)には、「ガソリンエンジンと同様に触媒活性成分である白金族金属等の金属微粒子が高比表面積の活性アルミナ、又はアルカリ金属や希土類が添加された活性アルミナ等担体上に分散、担持されており、一酸化炭素や炭化水素とともにディーゼルパティキュレート中のSOFが酸化して浄化されるオープン型SOF分解触媒」が開示されている。
【0008】
特開平4−358539号公報(以下、ロ号公報という)には、「触媒金属を担持した活性アルミナ層上にSiO2、TiO2およびZrO2の少なくとも1種の酸化物を化学的蒸着法により酸化物の膜を形成し、硫黄酸化物を活性アルミナに吸着させない二酸化イオウ耐性触媒」が開示されている。
【0009】
特公昭55−26912号公報(以下、ハ号公報という)には、「アルミナと無定形シリカ、好ましくはシリカゾルを水性媒体中で混合してセラミック基体を被覆する二酸化イオウ耐性触媒」が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のオープン型SOF分解触媒は、以下のような課題を有していた。
【0011】
イ号公報に記載のオープン型SOF分解触媒や二酸化イオウ耐性触媒は、ディーゼル排ガス中に含まれる、燃料に起因する硫黄酸化物と担体であるアルミナが反応してアルミナが硫酸塩化することにより、有効な比表面積が減少して、触媒活性が低下してしまい、耐久性に欠けるという問題点を有していた。
【0012】
ロ号公報に記載のオープン型SOF分解触媒は、化学的蒸着法を使用するので、酸化物を形成させるための工程が煩雑となり、かつ生産原価が高いという問題点を有していた。
【0013】
ハ号公報に記載のオープン型SOF分解触媒は、無定形シリカを使用するので、アルミナ上にシリカを均一に形成することができず、部分的に露出したアルミナが硫黄酸化物と反応して硫黄塩化することにより、比表面積が減少して、触媒活性が低下するという問題点を有していた。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、内燃機関、特にディーゼルエンジンからの排ガス成分を硫黄酸化物の存在下においても、浄化できる排ガス浄化材及びその製造工程が簡単な製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の排ガス浄化材は、基材と、前記基材表面に形成された担体層と、前記担体層の表面に500℃〜1000℃で焼成して被覆された酸性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に担持された触媒成分と、を備え、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラリー中に前記基材を含浸し焼成して前記基材上に前記酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、前記酸性酸化物層が珪素アルコキシドを出発原料(前駆体)とするシリカであり、前記基材に対し前記酸性酸化物を被覆した前記担体が7wt%〜15wt%であり、前記酸性酸化物を被覆した前記担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであり、前記担体に対する前記酸性酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、前記酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、前記担体に対する前記酸性酸化物の被覆率が80%〜100%であり、前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N吸着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m/g以上の耐熱性無機酸化物からなる構成を有している。また、本発明の請求項2に記載の排ガス浄化材は、基材と、前記基材表面に形成された担体層と、前記担体層の表面に400℃〜800℃で焼成して被覆された酸性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に前記担体層で被覆された基材を触媒成分を含有する溶液中に含浸した後凍結乾燥後焼成して担持された触媒成分と、を備え、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラリー中に前記基材を含浸し焼成して前記基材上に前記酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、前記酸性酸化物層が、シリカとアルミナ、あるいはシリカとチタニアを用いて形成された複合酸化物であり、前記複合酸化物がシリカとアルミナからなる場合は出発原料としてシリカは珪酸ナトリウムをアルミナは硝酸アルミニウムを用いAl/(Si・Al)の比率を40〜80にしたものであり、前記複合酸化物がシリカとチタニアからなる場合は出発原料としてシリカは珪酸ナトリウムをチタニアは塩化チタンを用いTi/(Si・Ti)の比率を40〜80にしたものであり、前記基材に対し前記複合酸化物を被覆した前記担体が7wt%〜15wt%であり、前記複合酸化物を被覆した前記担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであり、前記担体に対する前記複合酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、前記酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、前記担体に対する複合酸化物の被覆率が80%〜100%であり、前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N吸着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m/g以上の耐熱性無機酸化物からなることを特徴とする排ガス浄化材としたものである。また、本発明の請求項3に記載の排ガス浄化材は、前記担体がアルミナ、または活性アルミナであることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化材としたものである。
【0016】
この構成により、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物による被毒を受け難いという作用の他、排ガスの炭化水素を効率よく浄化できるという作用を有する。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の排ガス浄化材は、基材と、前記基材表面に形成された担体層と、前記担体層の表面に500℃〜1000℃で焼成して被覆された酸性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に担持された触媒成分と、を備え、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラリー中に前記基材を含浸し焼成して前記基材上に前記酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、前記酸性酸化物層が珪素アルコキシドを出発原料(前駆体)とするシリカであり、前記基材に対し前記酸性酸化物を被覆した前記担体が7wt%〜15wt%であり、前記酸性酸化物を被覆した前記担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであり、前記担体に対する前記酸性酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、前記酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、前記担体に対する前記酸性酸化物の被覆率が80%〜100%であり、前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N吸着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m/g以上の耐熱性無機酸化物からなる構成を有している。また、本発明の請求項2に記載の排ガス浄化材は、基材と、前記基材表面に形成された担体層と、前記担体層の表面に400℃〜800℃で焼成して被覆された酸性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に前記担体層で被覆された基材を触媒成分を含有する溶液中に含浸した後凍結乾燥後焼成して担持された触媒成分と、を備え、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラリー中に前記基材を含浸し焼成して前記基材上に前記酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、前記酸性酸化物層が、シリカとアルミナ、あるいはシリカとチタニアを用いて形成された複合酸化物であり、前記複合酸化物がシリカとアルミナからなる場合は出発原料としてシリカは珪酸ナトリウムをアルミナは硝酸アルミニウムを用いAl/(Si・Al)の比率を40〜80にしたものであり、前記複合酸化物がシリカとチタニアからなる場合は出発原料としてシリカは珪酸ナトリウムをチタニアは塩化チタンを用いTi/(Si・Ti)の比率を40〜80にしたものであり、前記基材に対し前記複合酸化物を被覆した前記担体が7wt%〜15wt%であり、前記複合酸化物を被覆した前記担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであり、前記担体に対する前記複合酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、前記酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、前記担体に対する複合酸化物の被覆率が80%〜100%であり、前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N吸着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m/g以上の耐熱性無機酸化物からなることを特徴とする排ガス浄化材としたものである。また、本発明の請求項3に記載の排ガス浄化材は、前記担体がアルミナ、または活性アルミナであることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化材としたものである。
【0034】
この構成により、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物による被毒を受け難いという作用の他、排ガスの炭化水素を効率よく浄化できるという作用を有する。
【0035】
全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径が100Å以上の細孔容積が60%以上の担体を用いているので、バイモーダル構造を有し、触媒活性表面積を増大し浄化効率を高めるという作用を有する。
【0036】
担体がバイモーダル構造で触媒粒子のシンタリングを防ぎ触媒活性の耐久性を向上させるという作用を有する。
【0037】
担体の比表面積が100m2/g以上有するので、詳細は不明であるが、スピルオーバー現象等により炭化水素を効率的に酸化分解することができるという作用を有する。
【0038】
ここで、担体の平均粒子径が1μm〜10μmの範囲のものが使用される。平均粒子径が1μmより小さくなるにつれ、粒径が小さすぎて最適のバイモーダル構造が得られ難い傾向があり、炭化水素の浄化効率が低減し、また、10μmより大きくなるにつれ、表面積が小さくなり炭化水素の浄化効率が低減する傾向がみられるので、いずれも好ましくない。
【0039】
担体の全細孔容積が0.3ml/g以上のものが使用される。触媒粒子を細孔内に保持し、シンタリングの発生を防ぐためである。全細孔容積が0.3ml/gより小さくなるにつれ、触媒粒子が担体の表面にシンタリングを起こし易い傾向があり炭化水素の浄化効率が低減する傾向がみられるので、好ましくない。
【0040】
担体の細孔直径が100Å以上のものが使用される。細孔直径が100Åより小さくなるにつれ、炭化水素の浄化効率が低減する傾向がみられるので、好ましくない。これにより細孔の二元化ができバイモーダル構造となり触媒の高い選択性を得ることができる。細孔直径はバイモーダル構造化を高めるため粒子径の範囲で大きい程よい。
【0041】
大気中1000℃で焼成の比表面積が100m/g以上のものが使用される。比表面積が100m/gより小さくなるにつれ、炭化水素の浄化効率が低減する傾向がみられるので、好ましくない。
【0043】
この構成により、硫黄酸化物とシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛の内少なくとも2種類以上を用いた複合酸化物層との反発作用によって、硫黄酸化物による被毒を受け難く、耐久性に優れるという作用を有する。
【0044】
性酸化物層が珪素アルコキシドを前駆体とするシリカである構成を有している。
【0045】
この構成により、珪素アルコキシドを用いることにより、含浸法という簡単な方法で均一なシリカの被覆層を担体上に形成できるという作用を有する。
【0046】
ここで、珪素アルコキシドは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラプトキシシラン、テトラブトキシシラン等が使用される。
【0047】
性酸化物層が珪酸ナトリウムを前駆体とするシリカと、硝酸アルミニウムを前駆体とするアルミナとからなる複合酸化物である構成を有している。
【0048】
この構成により、珪酸ナトリウムと硝酸アルミニウムを用いて酸性酸化物を形成し、含浸法という簡単な方法でシリカとアルミナからなる均一な被覆層を担体上に形成できるという作用を有する。
【0049】
性酸化物層のシリカとアルミナからなる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比率が、40〜80である構成を有している。
【0050】
この構成により、硫黄酸化物と複合酸化物が酸性同士で反発しあうことにより硫黄酸化物が触媒成分及び担体層により近づきにくくなるという作用を有する。
【0051】
ここで、シリカとアルミナからなる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比率が、50より小さいと、酸性ガスである硫黄酸化物と酸性酸化物の反発が不十分となり、また、比率が70より大きいと、硫黄酸化物と酸性酸化物の反発効果が飽和してしまい、いずれも好ましくない。比率が40より小さく、80より大きくなると、この傾向が著しくなるため、より好ましくない。
【0052】
性酸化物層が珪酸ナトリウムを前駆体とするシリカと、塩化チタンを前駆体とするチタニアとからなる複合酸化物である構成を有している。
【0053】
この構成により、塩化チタンと珪酸ナトリウムを用いて酸性酸化物を形成し、含浸法という簡単な方法でシリカとチタニアからなる均一な被覆層を担体上に形成できるという作用を有する。
【0054】
リカとチタニアからなる複合酸化物のTi/(Si・Ti)の比率が40〜80である構成を有している。
【0055】
この構成により、硫黄酸化物と複合酸化物が酸性同士で反発しあうことにより硫黄酸化物が触媒成分及び担体層により近づきにくくなるという作用を有する。
【0056】
ここで、シリカとチタニアからなる複合酸化物のTi/(Si・Ti)の比率が、50より小さいと、酸性ガスである硫黄酸化物と酸性酸化物の反発が不十分となり、また、比率が70より大きいと、硫黄酸化物と酸性酸化物の反発効果が飽和してしまい、いずれも好ましくない。比率が40より小さく、80より大きくなると、この傾向が著しくなるため、より好ましくない。
【0069】
性酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPである構成を有している。
【0070】
この構成により、簡単な方法で均一な被覆層を基材に形成でき、排ガス中の炭化水素を効率よく浄化できるという作用を有する。
【0071】
ここで、スラリーの粘度は、1cP〜300cP、好ましくは2cP〜50cPである。粘度が2cPより小さくなるにつれ、担体を被覆する工程を多数設ける必要があり、製造にあたり多くの時間を要し、また、粘度が50cPより大きくなるにつれ、スラリーの基材のセルの中への出入りが困難になり、基材上への均一な担体皮膜の形成ができなくなるので、いずれも好ましくない。粘度が1cPより小さくなり、300cPより大きくなるにつれ、この傾向が著しくなるため、より好ましくない。
【0072】
酸性酸化物の前駆体の溶液中に担体を含浸後、一次焼成して前記担体表面に酸性酸化物層を被覆するが、その一次焼成する際の焼成温度が、500℃〜1000℃である構成を有している。
【0073】
この構成により、酸性ガスである硫黄酸化物と酸性酸化物との間の反発作用が良好であるという作用を有する。
【0074】
ここで、酸性酸化物の前駆体の溶液中に担体を含浸後、一次焼成する際の焼成温度は、500℃より低くなるにつれ、酸性酸化物の酸性度が弱く十分な反発作用が得られないという傾向がみられ、また、1000℃より高くなるにつれ、酸性酸化物が結晶成長(シンタリング)を起こして担体の細孔を閉塞してしまうために比表面積が減少し、触媒活性が低下してしまう傾向がみられ、いずれも好ましくない。焼成温度が400℃より低くなり、1100℃より高くなるにつれ、この傾向が著しくなるため、より好ましくない。
【0077】
ここで、複合酸化物の前駆体を担体に含浸後、一次焼成する際の焼成温度は、400℃〜800℃、好ましくは500℃〜700℃において好適である。この構成により、酸性ガスである硫黄酸化物と複合酸化物との間の反発作用が良好であり、硫黄酸化物による劣化を防止できるので耐久性を向上させるという作用を有する。焼成温度が、500℃より低くなるにつれ、複合酸化物の酸性度が弱く十分な反発作用が得られないという傾向が認められ、また、700℃より高くなるにつれ、複合酸化物が結晶成長(シンタリング)を起こして担体の細孔を閉塞してしまうために比表面積が減少し、触媒活性が低下してしまう傾向がみられ、いずれも好ましくない。焼成温度が400℃より低くなり、800℃より高くなるにつれ、この傾向が著しくなるため、より好ましくない。
【0078】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0079】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における排ガス浄化材の断面図である。
【0080】
図1において、1は実施の形態1の排ガス浄化材、2はハニカム構造をもつ基材、3は基材2表面に形成された担体層、4は担体層3表面に被覆された酸性酸化物層、5は酸性酸化物層4の表面に担持された触媒成分である。
【0081】
以上のように構成された実施の形態1の排ガス浄化材について、以下その製造方法を説明する。
【0082】
図2は実施の形態1の排ガス浄化材の製造工程のフローチャートである。
【0083】
図2において、S1は担体の表面に酸性酸化物層4を被覆する工程、S2は酸性酸化物を被覆した担体層3をハニカム構造を持つ基材2に被覆する工程、S3は基材2上の酸性酸化物層4を被覆した担体層3の表面に触媒成分5を担持する工程である。
【0084】
以下、各工程について、詳細に説明する。
【0085】
(1)担体の表面に酸性酸化物層4を被覆する工程(S1)
所定量の酸性酸化物層4の前駆体を溶媒に加えて攪拌し、担体を溶液中に所定量加えて一昼夜攪拌し、乾燥後、大気中にて500℃〜1000℃で焼成する。
【0086】
(2)酸性酸化物を被覆した担体層3をハニカム構造を持つ基材2に被覆する工程(S2)
酸性酸化物を被覆した担体層3に、純水、分散剤を加えてスラリーを作製する。このスラリーを希釈して粘度を調整した後、ハニカム構造体の基材2を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーを除去し、乾燥する。上記作業を数回繰り返して所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成する。
【0087】
(3)基材2上の酸性酸化物層4を被覆した担体層3の表面に触媒成分5を担持する工程(S3)
純水に、所定量の触媒成分5の金属塩、添加剤を加えた溶液中に、酸性酸化物層4をコーティングした担体をコートしたハニカム構造体の基材2を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液を除去し乾燥し、大気中で焼成する。更に、純水に所定量の触媒成分5の金属塩、添加剤を加えた溶液中に、酸性酸化物層4をコーティングした担体をコートしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液を除去し乾燥し、還元雰囲気中で焼成し、排ガス浄化材1を形成する。
【0088】
ここで、酸性酸化物層4は、担体層3に対し6wt%〜10wt%、酸性酸化物層4の膜厚は、0.1μm〜20μm、被覆率は80%〜100%であるのが適当である。また、酸性酸化物層4を被覆した担体は、基材2に対し7wt%〜15wt%であるのが適当である。更に、担体層3の担体は、平均粒子径が1μm〜10μm、N2吸着法による細孔分布測定において全細孔容積が0.3ml/g以上、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成したときの比表面積が100m2/g以上の耐熱性無機酸化物であることが適当である。
【0089】
排ガス浄化材1の製造方法において、スラリーの粘度が1cP〜300cP、好ましくは2cP〜50cPとするのが適当である。また、酸性酸化物の前駆体の溶液中に担体を含浸後、一次焼成する際の焼成温度は、500℃〜1000℃が適当である。
【0090】
担体層3は基材2の表面に被覆することにより、高比表面積を提供するものであり、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物、シリカとアルミナ等の複合無機酸化物から構成される。
【0091】
酸性酸化物層4は、排ガス中の硫黄酸化物と担体層3あるいは触媒成分5との反応を抑制するものであり、担体よりも酸性度の高い無機酸化物あるいは複合無機酸化物から構成される。
【0092】
触媒成分5は、排ガス中の有害成分を浄化するものであり、Pt、Pd等の貴金属、Co、Ni、Cu等の非金属あるいはそれらの酸化物から構成される。
【0093】
担体の表面に酸性酸化物層4を被覆する工程S1において、酸性酸化物が担体表面に均一に被覆され、排ガス中の硫黄酸化物と担体層3あるいは触媒成分5との反応が効果的に抑制される。
【0094】
また、酸性酸化物を被覆した担体層3をハニカム構造を持つ基材2に被覆する工程S2と、基材2上の酸性酸化物を被覆した担体層3の表面に触媒成分5を担持する工程S3において、排ガス中の有害成分が浄化される。
【0095】
(実施の形態2)
実施の形態2の排ガス浄化材は、担体が活性アルミナ、酸性酸化物がシリカ、シリカの前駆体が珪素アルコキドであること以外は、実施の形態1と同様である。尚、実施の形態1における図1、図2と同様のものについては、同一の符号を付し説明を省略する。
【0096】
担体層3は基材2の表面に被覆することにより、高比表面積を提供するものである。
【0097】
酸性酸化物層4は、排ガス中の硫黄酸化物と担体層3あるいは触媒成分5との反応を抑制するものである。
【0098】
ここで、珪素アルコキシドは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラプトキシシラン、テトラブトキシシラン等が使用される。
【0099】
図3は実施の形態2の排ガス浄化材の製造工程のフローチャートである。
【0100】
図3において、S4は活性アルミナ(担体)の表面に酸性酸化物層4を被覆する工程、S5はシリカ(酸性酸化物)を被覆した活性アルミナ(担体層3)をハニカム構造を持つ基材2に被覆する工程、S6は基材2上のシリカ(酸性酸化物)を被覆した活性アルミナ(担体層3)の表面に触媒成分5を担持する工程である。
【0101】
担体の表面に酸性酸化物層4を被覆する工程S4において、シリカ(酸性酸化物)が活性アルミナ(担体層3)表面に均一に被覆され、排ガス中の硫黄酸化物と担体層3あるいは触媒成分5との反応が効果的に抑制される。
【0102】
また、シリカ(酸性酸化物)を被覆した活性アルミナ(担体層3)をハニカム構造を持つ基材2に被覆する工程S2と、基材2上の酸性酸化物を被覆した担体層3の表面に触媒成分5を担持する工程S3において、排ガス中の有害成分が浄化される。
【0103】
(実施の形態3)
実施の形態3の排ガス浄化材は、担体が活性アルミナ、酸性酸化物がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛の内少なくとも2種以上用いて形成された複合酸化物であること以外は、実施の形態1と同様である。尚、実施の形態1、2における図1〜図3と同様のものについては、同一の符号を付し説明を省略する。
【0104】
担体層3は基材2の表面に被覆することにより、高比表面積を提供するものである。
【0105】
酸性酸化物層4は、排ガス中の硫黄酸化物と担体層3あるいは触媒成分5との反応を抑制するものであり、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛の内少なくとも2種以上用いて形成された複合酸化物で構成される。ここでは、シリカとアルミナからなる複合酸化物が使用されるが、シリカとチタニア、ジルコニアとアルミナ、酸化亜鉛とチタニア等からなる複合酸化物が使用される。
【0106】
触媒成分5は、排ガス中の有害成分を浄化するものであり、Pt、Pd等の貴金属、Co、Ni、Cu等の非金属あるいはそれらの酸化物から構成される。
【0107】
(実施の形態4)
図4は本発明の実施の形態4における排ガス浄化材の断面図である。
【0108】
図4において、21は実施の形態4の排ガス浄化材、22はハニカム構造を持つ基材、23は基材22表面に形成されたアルミナ層、24はアルミナ層23表面に被覆されたシリカとアルミナからなる複合酸化物層、25はシリカとアルミナからなる複合酸化物層24の表面に担持された触媒成分である。
【0109】
以上のように構成された実施の形態4の排ガス浄化材について、以下その製造方法を説明する。
【0110】
図5は実施の形態4の排ガス浄化材の製造工程のフローチャートである。
【0111】
図5において、S7はアルミナ層23の表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆する工程、S8はシリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23をハニカム構造を持つ基材22に被覆する工程、S9は基材22上のシリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23の表面に触媒成分25を担持する工程である。
【0112】
以下、各工程について、詳細に説明する。
【0113】
(1)アルミナ層23の表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆する工程(S7)
アルミナの出発原料である所定量の金属塩を溶媒に加えて撹拌、溶解した後、アルミナを所定量加えて、更に撹拌する。次いで、シリカの出発原料である金属塩溶液を加え、撹拌する。その後、十分に洗浄、乾燥し、大気中にて400℃〜800℃で焼成する。
【0114】
(2)シリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23をハニカム構造を持つ基材22に被覆する工程(S8)
シリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23に、純水、分散剤を加えてスラリーを作製する。このスラリーを希釈して粘度を調整した後、ハニカム構造体の基材22を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーを除去し、乾燥する。上記作業を数回繰り返して所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成する。
【0115】
(3)基材22上のシリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23の表面に触媒成分25を担持する工程(S9)
所定量の触媒成分25の金属塩、添加剤を加えた溶液中に、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24をコーティングしたアルミナ層23をコートしたハニカム構造の基材22を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液を除去し、凍結乾燥後、焼成し、排ガス浄化材21を得る。
【0116】
ここで、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24のAl/(Si・Al)の比率は、50〜70、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24の膜厚は、0.1μm〜20μm、被覆率は80%〜100%であるのが適当である。また、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23は、基材22に対し7wt%〜15wt%であるのが適当である。更に、アルミナ層23の担体は、平均粒子径が1μm〜10μm、N2吸着法による細孔分布測定において全細孔容積が0.3ml/g以上であり、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成したときの比表面積が100m2/g以上の耐熱性無機酸化物であることが適当である。
【0117】
また、排ガス浄化材の製造方法において、スラリーの粘度が1cP〜300cP、好ましくは2cP〜50cPとするのが適当である。また、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24をアルミナ層23にコーティング後、一次焼成する温度は400℃〜800℃、好ましくは500℃〜700℃が適当である。
【0118】
アルミナ層23は基材22の表面に被覆することにより、高比表面積を提供するものである。シリカとアルミナからなる複合酸化物層24は、排ガス中の硫黄酸化物とアルミナ層23あるいは触媒成分25との反応を抑制するためのものである。
【0119】
触媒成分25は、排ガス中の有害成分を浄化するものであり、Pt、Pd等の貴金属、Co、Ni、Cu等の非金属あるいはそれらの酸化物から構成される。
【0120】
アルミナ層23の表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆する工程S7において、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24がアルミナ層23表面に均一に被覆され、排ガス中の硫黄酸化物とアルミナ層23あるいは触媒成分25との反応が効果的に抑制される。
【0121】
シリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23をハニカム構造を持つ基材22に被覆する工程S8と、基材22上のシリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23の表面に触媒成分25を担持する工程S9において、排ガス中の有害成分が浄化される。
【0122】
(実施の形態5)
図6は本発明の実施の形態5における排ガス浄化材の断面図である。
【0123】
図6において、30は実施の形態5の排ガス浄化材、31はハニカム構造を持つ基材、32は基材31表面に形成されたアルミナ層、33はアルミナ層32表面に被覆されたチタニアとシリカからなる複合酸化物層、34はチタニアとシリカからなる複合酸化物層33の表面に担持された触媒成分である。
【0124】
以上のように構成された実施の形態5の排ガス浄化材について、以下その製造方法を説明する。
【0125】
図7は実施の形態5の排ガス浄化材の製造方法のフローチャートである。
【0126】
図7において、S10はアルミナ層32の表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆する工程、S11はシリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32をハニカム構造を持つ基材31に被覆する工程、S12は基材31上のシリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32の表面に触媒成分34を担持する工程である。
【0127】
以下、各工程について、詳細に説明する。
【0128】
(1)アルミナ層32の表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆する工程(S10)
チタニアの出発原料である所定量の金属塩を溶媒に加えて撹拌、溶解した後、アルミナを所定量加えて、更に撹拌する。次いで、シリカの出発原料である金属塩溶液を加え、撹拌する。その後、十分に洗浄、乾燥し、大気中にて400℃〜800℃で焼成する。
【0129】
(2)シリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32をハニカム構造を持つ基材31に被覆する工程(S11)
シリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32に、純水、分散剤を加えてスラリーを作製する。このスラリーを希釈して粘度を調整した後、ハニカム構造体の基材31を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーを除去し、乾燥する。上記作業を数回繰り返して所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成する。
【0130】
(3)基材31上のシリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32の表面に触媒成分34を担持する工程(S12)
所定量の触媒成分34の金属塩、添加剤を加えた溶液中に、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33をコーティングしたアルミナ層32をコートしたハニカム構造の基材31を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液を除去し、凍結乾燥後、焼成し、排ガス浄化材30を得る。
【0131】
ここで、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33のTi/(Si・Ti)の比率は、50〜70、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33の膜厚は、0.1μm〜20μm、被覆率は80%〜100%であるのが適当である。また、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32は、基材31に対し7wt%〜15wt%であるのが適当である。更に、アルミナ層32の担体は、平均粒子径が1μm〜10μm、N2吸着法による細孔分布測定において全細孔容積が0.3ml/g以上であり、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成したときの比表面積が100m2/g以上の耐熱性無機酸化物であることが適当である。
【0132】
排ガス浄化材の製造方法において、スラリーの粘度が1cP〜300cP、好ましくは2cP〜50cPとするのが適当である。また、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33をアルミナ層32にコーティング後、一次焼成する温度は400℃〜800℃、好ましくは500℃〜700℃が適当である。
【0133】
アルミナ層32は基材31の表面に被覆することにより、高比表面積を提供するものである。
【0134】
シリカとチタニアからなる複合酸化物層33は、排ガス中の硫黄酸化物とアルミナ層32あるいは触媒成分34との反応を抑制するためのものである。
【0135】
触媒成分34は、排ガス中の有害成分を浄化するものであり、Pt、Pd等の貴金属、Co、Ni、Cu等の非金属あるいはそれらの酸化物から構成される。
【0136】
アルミナ層32の表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆する工程S10において、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33がアルミナ層32表面に均一に被覆され、排ガス中の硫黄酸化物とアルミナ層32あるいは触媒成分34との反応が効果的に抑制される。
【0137】
シリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32をハニカム構造を持つ基材31に被覆する工程S11と、基材31上のシリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32の表面に触媒成分34を担持する工程S12において、排ガス中の有害成分が浄化される。
【0138】
【実施例】
以下、本発明の具体例を詳細に説明する。
【0139】
(実施例1)
(1)活性アルミナの表面にシリカ層を被覆する工程
所定量のテトラエトキシシラン(和光純薬工業製)を、無水エタノール(和光純薬工業製)5Lに加えて攪拌し、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて一昼夜攪拌した後、乾燥し、大気中にて900℃で焼成した。
【0140】
(2)シリカを被覆した活性アルミナをハニカム構造を持つ基材に被覆する工程
純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、シリカを被覆した活性アルミナ1800gを加えて20時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを前記混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、希釈スラリー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた後に余分なスラリーをエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。上記操作を数回繰り返し、所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成した。
【0141】
(3)基材上のシリカを被覆した活性アルミナの表面に触媒成分を担持する工程
純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた溶液中に、前記ハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0142】
更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミノ白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パラジウムを担持したハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成した。
【0143】
(実施例2)
所定量の0.4mol珪酸ナトリウム(和光純薬工業製)水溶液中に活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて2時間攪拌し、所定量の0.4mol硝酸アルミニウム水溶液を加えて、更に2時間攪拌した。純水5Lで十分洗浄した後、吸引濾過し、100℃で乾燥後、大気中にて900℃で焼成した。
【0144】
以下、実施例1と同様にして排ガス浄化材を作製した。
【0145】
(実施例3)
所定量の0.4mol珪酸ナトリウム(和光純薬工業製)水溶液中に活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて2時間攪拌し、所定量の0.4mol四塩化チタン水溶液を加えて、更に2時間攪拌した。純水5Lで十分洗浄した後、吸引濾過し、100℃で乾燥後、大気中にて900℃で焼成した。
【0146】
以下、実施例1と同様にして排ガス浄化材を作製した。
【0147】
(実施例4)
(1)活性アルミナの表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物層を被覆する工程
所定量の硝酸アルミニウム(和光純薬工業製)を、純水5Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌した。次いで、活性アルミナ含有溶液中に、所定量の珪酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液を一気に加えて、更に2時間撹拌し、デカンテーションにより十分に洗浄した後、乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0148】
(2)シリカとアルミナからなる複合酸化物層を被覆した活性アルミナをハニカム構造を持つ基材に被覆する工程
純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、シリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆した活性アルミナ1800gを加えて20時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを前記混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、希釈スラリー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーをエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。上記操作を数回繰り返し、所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成した。
【0149】
(3)基材上のシリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆した活性アルミナの表面に触媒成分を担持する工程
純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた溶液中に、シリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0150】
更に純水5Lに所定量のジニトロジアミノ白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パラジウムを担持したシリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成した。
【0151】
(実施例5)
(1)活性アルミナの表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物層を被覆する工程
所定量の塩化チタン溶液(和光純薬工業製)を、純水5Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌した。次いで、活性アルミナ含有溶液中に、所定量の珪酸ナトリウム水溶液を一気に加えて、更に2時間撹拌し、デカンテーションにより十分に洗浄した後、乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0152】
(2)シリカとチタニアからなる複合酸化物層を被覆した活性アルミナをハニカム構造を持つ基材に被覆する工程
純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、シリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆した活性アルミナ1800gを加えて20時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを前記混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、希釈スラリー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーをエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。上記操作を数回繰り返し、所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成した。
【0153】
(3)基材上のシリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆した活性アルミナの表面に触媒成分を担持する工程
純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた溶液中に、シリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0154】
更に純水5Lに所定量のジニトロジアミノ白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パラジウムを担持したシリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成した。
【0155】
(比較例1)
純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、活性アルミナ(住友化学工業製、商品名TAシリーズ)1800gを加えて20時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを前記混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、希釈スラリー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーをエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。上記操作を数回繰り返し、所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成した。
【0156】
次いで、純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた溶液中に、前記ハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0157】
更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミノ白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パラジウムを担持したハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成した。
【0158】
(比較例2)
純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、活性アルミナ(住友化学工業製、商品名TAシリーズ)1800gを加えて20時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを前記混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、希釈スラリー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーをエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。上記操作を数回繰り返し、所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成した。
【0159】
次いで、純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた溶液中に、前記ハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0160】
更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミノ白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パラジウムを担持したハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成した。
【0161】
更に、所定量のテトラエトキシシラン(和光純薬工業製)を無水エタノール(和光純薬工業製)5Lに加えて攪拌し、パラジウムと白金を担持したハニカム構造体を含浸した後、乾燥し、大気中にて900℃で焼成した。
【0162】
(比較例3)
所定量の珪酸ナトリウム(和光純薬工業製)と水酸化ナトリウム(和光純薬工業製)を純水5Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌した。次いで、前記活性アルミナ含有溶液中に、所定量の硝酸アルミニウム(和光純薬工業製)水溶液を一気に加えて、更に2時間撹拌した後、デカンテーションにより十分に洗浄後、乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。以下、実施例1と同様にして排ガス浄化材を作製した。
【0163】
(比較例4)
所定量の珪酸ナトリウム(和光純薬工業製)を純水5Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌した。次いで、前記活性アルミナ含有溶液中に、所定量の塩化チタン(和光純薬工業製)水溶液を一気に加えて、更に2時間撹拌した後、デカンテーションにより十分に洗浄後に、乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。以下、実施例1と同様にして排ガス浄化材を作製した。
【0164】
(比較例5)
所定量の硝酸アルミニウム(和光純薬工業製)を純水5Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌した。次いで、前記活性アルミナ含有溶液中に、所定量の珪酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液を一気に加えて、更に2時間撹拌後、デカンテーションにより十分に洗浄した後、乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0165】
その後、純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、シリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆した活性アルミナ1800gを加え、20時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを純水と分散剤の混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、この希釈スラリー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーをエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。上記作業を数回繰り返して所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成した。
【0166】
次いで、純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた溶液中にシリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、100℃の乾燥機で一晩乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0167】
更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミノ白金硝酸溶液、クエン酸を加えた溶液中に、前記パラジウムを担持したシリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、100℃の乾燥機で一晩乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成した。
【0168】
(比較例6)
所定量の塩化チタン溶液(和光純薬工業製)を純水5Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌する。次いで前記活性アルミナ含有溶液中に、所定量の珪酸ナトリウム水溶液を一気に加えて、更に2時間撹拌後、デカンテーションにより十分に洗浄した後に、乾燥、大気中にて600℃で焼成した。
【0169】
その後、純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、前記シリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆した活性アルミナ1800gを加えて20時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを純水と分散剤の混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、この希釈スラリー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリーをエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。上記作業を数回繰り返して所定量をコートした後、大気中にて所定の温度で焼成した。
【0170】
次いで、純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた溶液中に前記シリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、100℃の乾燥機で一晩乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0171】
更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミノ白金硝酸溶液、クエン酸を加えた溶液中に、前記パラジウムを担持したシリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、100℃の乾燥機で一晩乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成した。
【0172】
以下、実施例1〜5及び比較例1〜6において製造された排ガス浄化材について、触媒活性評価試験と、SO2酸化能評価試験を行った。
【0173】
ここで、触媒活性評価試験を行う固定床流通系反応装置について説明する。
【0174】
図8は触媒活性評価試験に用いた固定床流通系反応装置の概略図である。
【0175】
図8において、40は固定床流通系反応装置、41、42は気体用流量調整器、43は液体用流量調整器、44は気化器、45は石英管、46は電気炉、47は石英ウール、48は排ガス浄化材、49はNDIR方式のCO,CO2ガス分析計、50はガスクロマトグラフである。
【0176】
以上のように構成された固定床流通系反応装置40を用いて行われる触媒活性評価試験方法について説明する。
【0177】
窒素ガス、乾燥した大気を気体用流量調整器42により、また、炭化水素を液体用流量調整器43により、所定の流量に調整した後、炭化水素を気化器44によって所定の濃度で気化し、窒素ガスと乾燥した大気を混合する。混合されたガスは、石英管45内に導入され、石英管45内に置かれた排ガス浄化材48によって浄化される。ここで、試験に供する排ガス浄化材48は、反応系で評価することができるように、所定の寸法に切り出した。また、排ガス浄化材48の前後には、石英ウール47が配置され、石英管45は電気炉46内に設置されている。その後、浄化された混合ガスの内、一部はNDIR方式のCO,CO2ガス分析計49に導入され、一酸化炭素及び二酸化炭素濃度を検知する。
【0178】
ここで、触媒活性評価試験は、混合ガスの酸素分圧4%、空間速度30000h-1、炭化水素濃度350ppm、電気炉46内温度250℃の条件で行われ、触媒活性の経時変化が測定された。
【0179】
このように、計測された一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度から、(数1)により、酸化率を算出した。
【0180】
【数1】
Figure 0004298071
【0181】
(数1)において、PCOはNDIR方式の一酸化炭素、二酸化炭素ガス分析計によって測定された一酸化炭素濃度の値、PCO2はNDIR方式の一酸化炭素、二酸化炭素ガス分析計によって測定された二酸化炭素濃度の値、PCは炭化水素が100%燃焼した時のCO2濃度の理論値である。
【0182】
一方、浄化された混合ガスの内、他の一部はガスサンプリング装置を介してガスクロマトグラフ50へ導入され、未反応の炭化水素の各成分が定量される。反応に伴う分解率は、排ガス浄化材48を配置しない状態で、前もって炭化水素の各成分の定量を行い、この時の値を100%として、浄化された混合ガス中に含まれる未反応の炭化水素の残存率より算出した。
【0183】
次に、SO2酸化能評価試験について説明する。
【0184】
図9はSO2酸化能評価試験に用いた反応装置の概略図である。
【0185】
図9において、51はSO2酸化能評価試験を行う反応装置、52、53、54は気体用流量調整器、55はガス混合器、56は石英管、57は電気炉、58は石英ウール、59は排ガス浄化材、60はNDIR方式のSO2ガス分析計である。
【0186】
以上のように構成された反応装置を用いて行われるSO2酸化能評価試験方法について説明する。
【0187】
気体用流量調整器52、53、54によって流量調整された窒素ガス、乾燥した大気、SO2ガス(SO2濃度=1000ppm、バランスガス=窒素)は混合器55で混合され、石英管56内に導入され、石英管56内に置かれた排ガス浄化材59によって反応する。ここで、試験に供する排ガス浄化材59は、反応系で評価することができるように、所定の寸法に切り出した。また、排ガス浄化材59の前後には、石英ウール58が配置され、石英管56は電気炉57内に設置されている。その後、反応したガスは、NDIR方式のSO2ガス分析計60に導入され、SO2濃度を測定する。
【0188】
ここで、SO2酸化能評価試験は、混合ガスの酸素分圧8%、空間速度30000h-1、SO2濃度100ppm、電気炉57内温度400℃の条件で行われ、触媒活性の経時変化が測定された。
【0189】
SO2酸化能は、石英管56に導入される前のSO2濃度と、SO2分析計で測定されたSO2濃度により評価した。
【0190】
(表1)乃至(表17)に、実施例1〜5及び比較例1〜6で製造された排ガス浄化材59における触媒活性評価試験及びSO2酸化能評価試験の結果を示す。
【0191】
(表1)に、担体である活性アルミナの平均粒子径(μm)、N2吸着法による細孔分布測定における全細孔容積(ml/g)、細孔直径100Å以上の細孔容積の存在率(%)、大気中1000℃で焼成後の比表面積(m2/g)及び250℃での炭化水素浄化率(%)を示した。
【0192】
【表1】
Figure 0004298071
【0193】
(表1)から明らかなように、活性アルミナについては、平均粒子径が1μm〜10μm、N2吸着法による細孔分布測定における全細孔容積が0.3ml/g以上、細孔直径100Å以上の細孔容積の存在率が60%以上、大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m2/g以上で、炭化水素の浄化率が80%以上を示した。一方、前記範囲外の活性アルミナを使用した場合、炭化水素の浄化率が40%〜60%であった。このように、前記範囲内にある活性アルミナを使用すると、高活性な排ガス浄化材が得られることがわかった。
【0194】
(表2)に、担体基材に対する被覆量(wt%)と250℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0195】
【表2】
Figure 0004298071
【0196】
この(表2)から明らかなように、基材に対し酸性酸化物を被覆した担体が7wt%〜15wt%において炭化水素の浄化率が85%であり、前記範囲外の被覆量の45%〜60%に比べて炭化水素の浄化率が高いことがわかった。
【0197】
(表3)に、基材に対するシリカとアルミナからなる複合酸化物の被覆量(wt%)と250℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0198】
【表3】
Figure 0004298071
【0199】
この(表3)から明らかなように、アルミナに対するシリカとアルミナからなる複合酸化物の被覆量が7wt%〜15wt%で、炭化水素の浄化率が95%〜96%と高く、上記範囲外の被覆量では、48%〜60%と低くなることが明らかである。
【0200】
次に(表4)に、基材に対するシリカとチタニアからなる複合酸化物の被覆量(wt%)と250℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0201】
【表4】
Figure 0004298071
【0202】
この(表4)から明らかなように、アルミナに対するシリカとチタニアからなる複合酸化物の被覆量が7wt%〜15wt%で、炭化水素の浄化率が93%〜95%と高く、上記範囲外の被覆量では、50%〜59%と低くなることが明らかである。
【0203】
次に(表5)に、酸性酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度(cP)と250℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0204】
【表5】
Figure 0004298071
【0205】
この(表5)から明らかなように、排ガス浄化材の製造方法における、酸性酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPにおいて炭化水素の浄化率が70%〜85%であり、前記範囲外のスラリーの粘度の50%〜55%に比べて炭化水素の浄化率が高いことがわかった。
【0206】
次に(表6)に、シリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度(cP)と250℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0207】
【表6】
Figure 0004298071
【0208】
この(表6)から明らかなように、シリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPにおいて炭化水素の浄化率が70%〜96%であり、前記範囲外のスラリーの粘度の53%〜54%に比べて炭化水素の浄化率が高いことがわかった。
【0209】
(表7)に、シリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度(cP)と250℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0210】
【表7】
Figure 0004298071
【0211】
この(表7)から明らかなように、シリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPにおいて炭化水素の浄化率が82%〜96%であり、前記範囲外のスラリーの粘度の51%〜55%に比べて炭化水素の浄化率が高いことがわかった。
【0212】
次に(表8)に、シリカの出発原料と250℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化率(%)との関係を示した。
【0213】
【表8】
Figure 0004298071
【0214】
この(表8)から明らかなように、排ガス浄化材の製造においてシリカを形成する場合に、出発原料として珪素アルコキシドを用いた場合、炭化水素の浄化率が85%と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が15%で抑制効果が大きいことがわかった。また、出発原料としてシリカゾルを用いた場合、炭化水素の浄化率が75%、SO2の酸化率が25%であり、更に、珪酸ナトリウムを用いた場合、炭化水素の浄化率が50%、SO2の酸化率が40%であった。
【0215】
次に(表9)に、シリカの出発原料、アルミナの出発原料と250℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化率(%)との関係を示した。
【0216】
【表9】
Figure 0004298071
【0217】
この(表9)から明らかなように、排ガス浄化材の製造方法においてシリカとアルミナからなる複合酸化物を形成する場合に、出発原料としてシリカ分は珪酸ナトリウムを、アルミナ分は硝酸アルミニウムを用いた場合に、炭化水素の浄化率が97%と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が9%と抑制効果が大きいことがわかった。一方、出発原料としてシリカ分はケイ酸ナトリウム、アルミナ分は水酸化ナトリウムを、又は、シリカ分はシリカゾルを、アルミナ分は硝酸アルミニウムを用いた場合に、更には、シリカ分はシリカゾルを、アルミナ分は水アルミナをそれぞれ用いた場合、炭化水素の浄化率が50%〜71%、SO2の酸化率が25%〜40%であった。
【0218】
(表10)に、シリカの出発原料、チタニアの出発原料と250℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化率(%)との関係を示した。
【0219】
【表10】
Figure 0004298071
【0220】
この(表10)から明らかなように、排ガス浄化材の製造方法においてシリカとチタニアからなる複合酸化物を形成する場合に、出発原料としてシリカ分は珪酸ナトリウムを、チタニア分は塩化チタンを用いた場合に、炭化水素の浄化率が96%と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が9%と抑制効果が大きいことがわかった。一方、出発原料としてシリカ分は珪酸ナトリウム、チタニア分は硫酸チタンを、又は、シリカ分はシリカゾルを、チタニア分は塩化チタンを用いた場合に、更には、シリカ分はシリカゾルを、チタニア分は硫酸チタンをそれぞれ用いた場合、炭化水素の浄化率が62%〜75%、SO2の酸化率が35%〜42%であった。
【0221】
次に(表11)に、シリカとアルミナからなる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比率と250℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化率(%)との関係を示した。
【0222】
【表11】
Figure 0004298071
【0223】
また、(表12)に、シリカとチタニアからなる複合酸化物のTi/(Si・Ti)の比率と250℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化率(%)との関係を示した。
【0224】
【表12】
Figure 0004298071
【0225】
この(表11)、(表12)から、シリカとアルミナからなる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比率と、シリカとチタニアからなる複合酸化物のTi/(Si・Ti)の比率を40〜80にすると、炭化水素の浄化率が90%以上、SO2の硫酸ミストへの酸化が10%以下と抑制効果が大きいことがわかった。一方、前記範囲外では、炭化水素の浄化率が51%〜53%、SO2の酸化率が41%〜44%であった。
【0226】
次に(表13)に、実施例1〜5における酸性酸化物を形成する場合の一次焼成温度と250℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化率(%)との関係を示した。
【0227】
【表13】
Figure 0004298071
【0228】
この(表13)から明らかなように、実施例1〜3より、排ガス浄化材の製造において酸性酸化物を形成する場合の一次焼成する際の焼成温度が500℃〜1000℃において、炭化水素の浄化率が80%以上と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が20%以下と抑制効果が大きいことがわかった。前記範囲外の焼成温度では、炭化水素の浄化率が52%〜55%、SO2の酸化率が40%〜46%であった。
【0229】
実施例4より、シリカとアルミナからなる複合酸化物を形成する場合の一次焼成する際の焼成温度が400℃〜800℃において、炭化水素の浄化率が91%以上と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が10%以下と抑制効果が大きいことがわかった。前記範囲外の焼成温度では、炭化水素の浄化率が55%〜59%、SO2の酸化率が37%〜41%であった。
【0230】
実施例5より、シリカとチタニアからなる複合酸化物を形成する場合の一次焼成する際の焼成温度が400℃〜800℃において、炭化水素の浄化率が90%以上と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が10%以下と抑制効果が大きいことがわかった。前記範囲外の焼成温度では、炭化水素の浄化率が56%〜61%、SO2の酸化率が42%〜45%であった。
【0231】
次に(表14)に、担体層で被覆された基材を触媒成分を含有する溶液中に含浸した後、凍結乾燥法を用いて形成した場合と、乾燥機を用いて形成した場合の排ガス浄化材について、250℃での炭化水素浄化率(%)と400℃でのSO2の酸化率(%)を示した。
【0232】
【表14】
Figure 0004298071
【0233】
この(表14)から明らかなように、凍結乾燥法を用いた場合と、乾燥機を用いた場合を比較すると、SO2の酸化率については大きな差はないが、炭化水素の浄化率については凍結乾燥法を用いた方が明らかに高く、高活性な排ガス浄化材が得られることがわかった。
【0234】
次に(表15)に、実施例1〜3、(表16)に、実施例4,5、及び(表17)に比較例1〜4における酸性酸化物を形成する場合の被覆量(wt%)、膜厚(μm)、被覆率(%)、250℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化率(%)を示した。
【0235】
【表15】
Figure 0004298071
【0236】
【表16】
Figure 0004298071
【0237】
【表17】
Figure 0004298071
【0238】
この(表15)〜(表17)から明らかなように、実施例1〜3より、担体に対する酸性酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、担体に対する被覆率が80%〜100%で、炭化水素の浄化率が84%以上、SO2の酸化率が13%以下を示した。一方、前記範囲外の場合、炭化水素の浄化率が46%〜56%、SO2の酸化率が39%〜45%であった。
【0239】
また、比較例1より、酸性酸化物が存在しない場合は、炭化水素の浄化率が65%、SO2の酸化率が51%であった。これにより、酸性酸化物の存在により、炭化水素の浄化率、硫酸ミストへの酸化抑制効果が良好であることがわかった。
【0240】
更に、比較例2より、比較例2の製造方法で作製した排ガス浄化材は、炭化水素の浄化率が69%〜71%、SO2の酸化率が25%〜26%であり、実施例1〜5の炭化水素の浄化率が84%以上、SO2の酸化率が13%以下に比べ、排ガス浄化材の性能が劣ることがわかった。
【0241】
実施例4、5より、担体に対する複合酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、担体に対する被覆率が80%〜100%で、炭化水素の浄化率が94%以上、SO2の酸化率が9%以下を示した。一方、前記範囲外の場合、炭化水素の浄化率が46%〜56%、SO2の酸化率が39%〜45%であった。
【0242】
実施例4と比較例3を比較すると、実施例4では炭化水素の浄化率が94%以上、SO2の酸化率が9%以下と高く、比較例3における炭化水素の浄化率が84%〜86%、SO2の酸化率が13%以下に比べて高活性な排ガス浄化材が得られることがわかった。
【0243】
【発明の効果】
以上述べたように本発明においては、以下の優れた効果を実現することができる。
【0247】
本発明の請求項1に記載の排ガス浄化材によれば、基材と、前記基材表面に形成された担体層と、前記担体層の表面に500℃〜1000℃で焼成して被覆された酸性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に担持された触媒成分と、を備え、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラリー中に前記基材を含浸し焼成して前記基材上に前記酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、前記酸性酸化物層が珪素アルコキシドを出発原料(前駆体)とするシリカであり、前記基材に対し前記酸性酸化物を被覆した前記担体が7wt%〜15wt%であり、前記酸性酸化物を被覆した前記担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであり、前記担体に対する前記酸性酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、前記酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、前記担体に対する前記酸性酸化物の被覆率が80%〜100%であり、前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N吸着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m/g以上の耐熱性無機酸化物からなるので、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物による被毒を受け難く、耐久性に優れるという有利な効果の他、排ガスの炭化水素を効率よく浄化できるという有利な効果が得られる。また、本発明の請求項2に記載の排ガス浄化材によれば、基材と、前記基材表面に形成された担体層と、前記担体層の表面に400℃〜800℃で焼成して被覆された酸性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に前記担体層で被覆された基材を触媒成分を含有する溶液中に含浸した後凍結乾燥後焼成して担持された触媒成分と、を備え、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラリー中に前記基材を含浸し焼成して前記基材上に前記酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、前記酸性酸化物層が、シリカとアルミナ、あるいはシリカとチタニアを用いて形成された複合酸化物であり、前記複合酸化物がシリカとアルミナからなる場合は出発原料としてシリカは珪酸ナトリウムをアルミナは硝酸アルミニウムを用いAl/(Si・Al)の比率を40〜80にしたものであり、前記複合酸化物がシリカとチタニアからなる場合は出発原料としてシリカは珪酸ナトリウムをチタニアは塩化チタンを用いTi/(Si・Ti)の比率を40〜80にしたものであり、前記基材に対し前記複合酸化物を被覆した前記担体が7wt%〜15wt%であり、前記複合酸化物を被覆した前記担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであり、前記担体に対する前記複合酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、前記酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、前記担体に対する複合酸化物の被覆率が80%〜100%であり、前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N吸着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m/g以上の耐熱性無機酸化物からなることを特徴とする排ガス浄化材としたものであり、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物による被毒を受け難く、耐久性に優れるという有利な効果の他、排ガスの炭化水素を効率よく浄化できるという有利な効果が得られる。
【0248】
全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上の担体を用いているので、バイモーダル構造を有し、触媒活性表面積を増大し浄化効率を高めるという効果が得られる。
【0249】
担体がバイモーダル構造で触媒粒子のシンタリングを防ぎ触媒活性の耐久性を向上させるという効果が得られる。
【0250】
担体の比表面積が100m2/g以上有するので、詳細は不明であるが、スピルオーバー現象等により炭化水素を効率的に酸化分解することができるという効果が得られる。
【0251】
硫黄酸化物とシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛の内少なくとも2種類以上を用いた複合酸化物層との反発作用によって、硫黄酸化物による被毒を受け難く、耐久性に優れるという有利な効果が得られる。
【0252】
性酸化物層が珪素アルコキシドを前駆体とするシリカであるので、珪素アルコキシドを用いることにより、含浸法という簡単な方法で均一なシリカの被覆層を担体上に形成できるという有利な効果が得られる。
【0253】
性酸化物層が珪酸ナトリウムを前駆体とするシリカと、硝酸アルミニウムを前駆体とするアルミナとからなる複合酸化物であるので、珪酸ナトリウムと硝酸アルミニウムを用いて酸性酸化物を形成し、含浸法という簡単な方法でシリカとアルミナからなる均一な被覆層を担体上に形成できるという有利な効果が得られる。
【0254】
性酸化物層のシリカとアルミナからなる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比率が、40〜80であるので、硫黄酸化物と複合酸化物が酸性同士で反発しあうことにより硫黄酸化物が触媒成分及び担体層により近づきにくくなるという有利な効果が得られる。
【0255】
性酸化物層が珪酸ナトリウムを前駆体とするシリカと、塩化チタンを前駆体とするチタニアとからなる複合酸化物であるので、塩化チタンと珪酸ナトリウムを用いて酸性酸化物を形成し、含浸法という簡単な方法でシリカとチタニアからなる均一な被覆層を担体上に形成できるという有利な効果が得られる。
【0256】
リカとチタニアからなる複合酸化物のTi/(Si・Ti)の比率が40〜80であるので、硫黄酸化物と複合酸化物が酸性同士で反発しあうことにより硫黄酸化物が触媒成分及び担体層により近づきにくくなるという有利な効果が得られる。
【0259】
本発明の排ガス浄化材の製造方法によれば、硝酸アルミニウム水溶液に担体を加えて混合・攪拌し、珪酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液を加え、担体の表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物の前駆体を含浸後、一次焼成して担体の表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆した後に、複合酸化物を被覆した担体のスラリーを作製し、スラリー中に基材を含浸し、次いで二次焼成して、基材上に複合酸化物層を被覆した担体層を形成し、次いで担体層で被覆された基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後に三次焼成するので、酸性溶液中にアルミナを加えると、アルミナの等電点(pH=8〜10)における凝集を抑制することができ、アルミナ上にシリカとアルミナからなる複合酸化物層を均一に形成できるという有利な効果が得られる。
【0261】
本発明の排ガス浄化材の製造方法によれば、塩化チタン水溶液に担体を加えて混合・攪拌し、次いで、珪酸ナトリウム水溶液を加え、担体の表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物の前駆体を含浸後、一次焼成して担体の表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆した後、複合酸化物を被覆した担体のスラリーを作製し、スラリー中に基材を含浸し、次いで二次焼成して、基材上に複合酸化物層を被覆した担体層を形成し、次いで担体層で被覆された基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後、三次焼成するので、酸性の溶液中にアルミナを加えると、アルミナの等電点(pH=8〜10)における凝集を抑制することができ、アルミナ上にチタニアとシリカからなる複合酸化物層を均一に形成できるという有利な効果が得られる。
【0263】
性酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであるので、簡単な方法で均一な被覆層を基材に形成でき、排ガス中の炭化水素を効率よく浄化できるという有利な効果が得られる。
【0264】
酸性酸化物の前駆体の溶液中に担体を含浸後、一次焼成して前記担体表面に酸性酸化物層を被覆するが、その一次焼成する際の焼成温度が、500℃〜1000℃であるので、酸性ガスである硫黄酸化物と酸性酸化物との間の反発作用が良好であるという有利な効果が得られる。
【0265】
複合酸化物の前駆体を担体に含浸後、一次焼成する際の焼成温度が、400℃〜800℃であるので、酸性ガスである硫黄酸化物と複合酸化物との間の反発作用が良好であり、耐久性に優れるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における排ガス浄化材の断面図
【図2】実施の形態1における排ガス浄化材の製造工程のフローチャート
【図3】実施の形態2における排ガス浄化材の製造工程のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態4における排ガス浄化材の断面図
【図5】実施の形態4の排ガス浄化材の製造工程のフローチャート
【図6】本発明の実施の形態5における排ガス浄化材の断面図
【図7】実施の形態5の排ガス浄化材の製造工程のフローチャート
【図8】触媒活性評価試験に用いた固定床流通系反応装置の概略図
【図9】SO2酸化能評価試験に用いた反応装置の概略図
【符号の説明】
1 排ガス浄化材
2 基材
3 担体層
4 酸性酸化物層
5 触媒成分
21 排ガス浄化材
22 基材
23 アルミナ層
24 複合酸化物層
25 触媒成分
30 排ガス浄化材
31 基材
32 アルミナ層
33 複合酸化物層
34 触媒成分
40 固定床流通系反応装置
41、42 気体用流量調整器
43 液体用流量調整器
44 気化器
45 石英管
46 電気炉
47 石英ウール
48 排ガス浄化材
49 NDIR方式のCO,CO2ガス分析計
50 ガスクロマトグラフ
51 反応装置
52、53、54 気体用流量調整器
55 ガス混合器
56 石英管
57 電気炉
58 石英ウール
59 排ガス浄化材
60 NDIR方式のSO2ガス分析計

Claims (3)

  1. 基材と、前記基材表面に形成された担体層と、前記担体層の表面に500℃〜1000℃で焼成して被覆された酸性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に担持された触媒成分と、を備え、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラリー中に前記基材を含浸し焼成して前記基材上に前記酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、前記酸性酸化物層が珪素アルコキシドを出発原料(前駆体)とするシリカであり、前記基材に対し前記酸性酸化物を被覆した前記担体が7wt%〜15wt%であり、前記酸性酸化物を被覆した前記担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであり、前記担体に対する前記酸性酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、前記酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、前記担体に対する前記酸性酸化物の被覆率が80%〜100%であり、前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N吸着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m/g以上の耐熱性無機酸化物からなることを特徴とする排ガス浄化材。
  2. 基材と、前記基材表面に形成された担体層と、前記担体層の表面に400℃〜800℃で焼成して被覆された酸性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に前記担体層で被覆された基材を触媒成分を含有する溶液中に含浸した後凍結乾燥後焼成して担持された触媒成分と、を備え、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラリー中に前記基材を含浸し焼成して前記基材上に前記酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、前記酸性酸化物層が、シリカとアルミナ、あるいはシリカとチタニアを用いて形成された複合酸化物であり、前記複合酸化物がシリカとアルミナからなる場合は出発原料としてシリカは珪酸ナトリウムをアルミナは硝酸アルミニウムを用いAl/(Si・Al)の比率を40〜80にしたものであり、前記複合酸化物がシリカとチタニアからなる場合は出発原料としてシリカは珪酸ナトリウムをチタニアは塩化チタンを用いTi/(Si・Ti)の比率を40〜80にしたものであり、前記基材に対し前記複合酸化物を被覆した前記担体が7wt%〜15wt%であり、前記複合酸化物を被覆した前記担体のスラリーの粘度が1cP〜300cPであり、前記担体に対する前記複合酸化物の被覆量が6wt%〜10wt%、前記酸性酸化物層の膜厚が0.1μm〜20μm、前記担体に対する複合酸化物の被覆率が80%〜100%であり、前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N吸着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成後の比表面積が100m/g以上の耐熱性無機酸化物からなることを特徴とする排ガス浄化材。
  3. 前記担体がアルミナ、または活性アルミナであることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化材。
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