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JP4294212B2 - 高圧スクリュー圧縮装置 - Google Patents

高圧スクリュー圧縮装置 Download PDF

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JP4294212B2
JP4294212B2 JP2000368196A JP2000368196A JP4294212B2 JP 4294212 B2 JP4294212 B2 JP 4294212B2 JP 2000368196 A JP2000368196 A JP 2000368196A JP 2000368196 A JP2000368196 A JP 2000368196A JP 4294212 B2 JP4294212 B2 JP 4294212B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス流体の高圧圧縮に用いるスクリュー圧縮装置に係わり、特にCO冷媒を超臨界運転する際に吐出圧力が非常に高圧で運転されるスクリュー圧縮装置において、運転停止時に運転時とは逆方向にロータ軸支部に過大なスラスト力が掛ることがないスクリュー圧縮装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のスクリュー圧縮機は、図5に示すように、ロータケーシング1とその両側に設けられた軸受ハウジング2、3からなるケーシング内に雄ロータ5と雌ロータ6が平行に配置され、夫々のロータは夫々のロータシャフト部でベアリング7、8を介してラジアル荷重が受けられ、スラストベアリング9、9’によりスラスト荷重が受けられ、前記雄ロータ5の吐出側シャフトの軸端部が電動機等に連結されて駆動される。前記軸端側はカバー37で閉じられて室34が形成され、該室34内の雄ロータ5の吸込側シャフトの軸端部にはバランスピストン30が取付けられ、又吐出側のスラストベアリングの外側にはメカニカルシャフトシール部10’が設けられている。
【0003】
そしてスクリュー圧縮機運転中にはガス流体は吸込口17から吸込まれ、互いに噛合う前記雄雌ロータ5、6内で圧縮されて吐出口18から吐出される。
そして吐出口18から吐出されたガス流体は、本発明の一実施例を示す図3若しくは4に符合21で示される油分離器に導かれ、そこで前記吐出されたガス流体に混入している各部を潤滑した潤滑油が分離されてガス流体は所要の外部負荷に送給され、分離された潤滑油は給油口15に供給される。
【0004】
該給油口15に供給される潤滑油には前記油分離器内の圧力、即ち前記ガス流体の吐出圧が掛っており、油路32、33を通って前記バランスピストン30の圧力をかける室34に送られ、さらに雌ロータ6の軸端背後の室35を通ってロータ室に送出され、ロータを潤滑し吐出ガス流体とともに吐出され、前記油分離器21でガス流体から分離される。前記バランスピストン30の外周はベアリングハウジング3に固定されたバランスピストンスリーブ31の内周と習動自在に嵌合されている。前記室34の圧力により前記雄ロータ5は吐出側即ち左方向に押される。該左方向スラスト力により、吐出側と吸込側との圧力差によって前記雄ロータを右方向に押すスラスト力が軽減される。
【0005】
上記構成において、スクリュー圧縮機の運転を停止すると、吐出側の圧縮されたガス流体はロータケーシングとロータとの隙間から吸込側に漏出して吐出側と吸込側の圧力差は急激に減少するが、前記ロータケーシング1の34、35の室及びスラストベアリングの装着されている室9、9’及びラジアルベアリング7の室は吐出圧力よりは低いが、吸入圧力よりは十分高い圧力に均圧する。つまり、図3若しくは4に示されるように、前記油分離器21のガス流体出口とスクリュー圧縮機の吸込口17の入口には逆止弁22、23が設けられているので、前記油分離器21からスクリュー圧縮機の吸込口17までの間は閉じた空間となり、運転停止時には該空間の圧力は吐出側から吸入側へのガス流体の漏出により圧力が均等化して運転時の吐出圧力と吸入圧力との間の吐出圧力より若干低いが、吸入圧力よりは十分高い圧力に均圧する。
【0006】
一方、前記バランスピストンの室34には前記運転時の吐出圧より若干低い均等化した前記油分離器21内の圧力が掛るが、前記シール室34内の潤滑油の送出先であるロータ室内も前記均等化した圧力となっているので、前記潤滑油が前記ロータ室に送出されることがなく、前記シール室34の圧力も前記均等化した圧力に保たれる。
したがって、運転停止後ロータの吐出側と吸入側の圧力は急速に均等化して圧力差がなくなり、ガス流体による吸入側方向のスラスト力は急速に零になるが、吐出側のメカニカルシール部10’の圧力は運転時の吐出圧より若干低い圧力に保たれるので、スラストベアリング9には前記メカニカルシール部10’の部屋の吐出圧よりも若干低い圧力により、大気圧の差圧により運転時とは逆方向の吐出側方向スラスト力が掛る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる構成において、スクリュー圧縮機が通常の冷凍機用圧縮機として用いられる場合、例えばR22冷媒を用いるチラーの場合、吸込圧は4kg/cm、吐出圧は15kg/cm程度であり、このため前記バランスピストンによってスラスト力の軽減は可能である。
しかしながら、COを冷媒として超臨界運転を行なう場合は運転条件により吸込圧は20〜50kg/cm、吐出圧は100kg/cm前後と非常に高圧になる。
このような高圧運転を行う場合は、上記したような従来の構成では、運転停止時には、前記雄ロータ5の吐出圧と吸込圧との差圧によって前記雄ロータ5に掛っていたガス流体による吸入側方向(右方向)のスラスト力が急激に減少して零となり、一方前記メカニカルシール部10’室の圧力は100kg/cmより若干低いがほぼそれに近い高圧力に保たれるので、前記雄ロータ5のスラストベアリング9には前記メカニカルシール部10’室の略100kg/cmより若干低い高圧力による吐出側方向(左方向)の力がそのまま前記スラストベアリング9に運転時とは逆方向に掛る。
【0008】
ロータ側端面と吐出側ベアリングハウジング2のロータに対向する面との間隙は、容積効率向上のため非常に小さくしてあるので、前記運転停止時の吐出側方向スラスト力が過大であると、前記スラストベアリング部の変形や損傷により、前記両面が接触して焼損が惹起される。
従来の冷凍機では吐出圧はそれほど高くはないので、運転停止時の吐出側方向スラストはスラストベアリングで充分に対応できたが、CO等を冷媒とする冷凍機など、吐出圧が従来よりもはるかに高圧になる冷凍サイクルの用途では、運転停止時に吐出側方向スラスト力が過大になってスラストベアリングが損傷し、ロータ端面が焼損することが深刻な問題となる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、高圧の吐出圧のもとで使用されるスクリュー圧縮機の運転停止の際に、スラストベアリングに運転時とは逆方向に急激に過大なスラスト力が掛ることがなく、よってスラストベアリングの損傷やロータ側面の焼損が発生することのないスクリュー圧縮装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、両側にシャフト部を有し互いに噛合う雄ロータと雌ロータが平行に回転可能に支えられたロータ室を収めるロータケーシングと、前記ケーシングの前記ロータ両端側に吸込口と吐出口を備えたスクリュー圧縮機本体と、前記吐出口より吐出された圧縮流体に混入している潤滑油を分離する油分離器とを備えたスクリュー圧縮装置において、
前記雄ロータシャフトの吐出側と吸い込み側夫々の軸部に、該シャフトに固定されたシール回転部材とケーシングに固定されたシール固定部材とからなるメカニカルシール部を設け、駆動軸となる前記雄ロータシャフトの両端側を外気に対して開放するとともに、
吸い込み側のシール回転部材の外気側とは反対面に前記油分離器からの給油圧を印加する吸込側シール室を形成し、
吐出側のシール回転部材を吸い込み側のシール回転部材より大径に設定するとともに、該吐出側のシール回転部材の外気側とは反対面に前記油分離器からの給油圧を印加する吐出側シール室を形成し、
前記吸込側シール室および吐出側シール室のそれぞれのシール回転部材の外側を大気開放として運転停止時に生じるロータ室内の圧力と大気圧との差圧による吐出側方向へのスラスト力を低減し、
前記両シール室内の油圧によって、運転時に生じる吐出圧力と吸い込み圧力の差圧による吸入側方向へのスラスト力を緩和するように構成したことを特徴とする。
この場合請求項5に記載のように、前記メカニカルシール部が前記雄ロータシャフトの吐出側と吸い込み側夫々の軸部を支持するベアリング部の外側に夫々設けられているのが良く、更に請求項2に記載のように前記油分離器により分離された給油圧がシール室に印加される通路途中に給油圧の調整手段が設けられているのがよい。
【0011】
そして前記給油圧の調整手段は、請求項に記載したように、絞り部とするのがよい。
【0012】
又、請求項4記載のように、前記吐出側シール室からケーシングとロータ間のロータ室に潤滑油を供給する供給路に絞り弁を設け、該絞り弁にて前記吐出側シール室の圧力を調整してスクリュー圧縮機の運転時の吸入側方向にかかるスラスト力を緩和可能に構成される。
【0013】
図1より、圧力よりスラスト力の式は以下のようになる。
P=−A2・P0+(A2−A6)・P2−(A4−A6)・P2+F−(A7−A4)・Ps+(A7−A3)・Pd+(A3−A5)・P1−(A1−A5)・P1+A1・P0
ここで、P1、P2は運転中、停止中いずれも均圧しているためP1=P2となり、Ps(吸入圧力)ともほぼ同じ圧力となる。簡略化のためにP1=P2=Psとして整理すると、
P=(A1−A2)・P0+(A2−A1)・P1+F+(A7−A3)・(Pd−P1) (A)
となる。ここで、P0は大気圧力であり、炭酸ガスのような高圧用途ではP1に比べて十分小さく無視できる。また、式(A)の下線部の面積差はロータの形状から必ずA7−A3≧0となり、スラスト力を打消す方向にはならない。また、A7の直径は、ロータの形状により決まり、面積差は出来るだけ小さくするが、ガス荷重Fと同様に運転中の吸入と吐出の圧力差により決まるため、式の下線部をまとめてFと考えても差支えないため、式は、
P=(A2−A1)・P1+F
となる。また、停止時においても吸入と吐出圧力は均圧するためPd−Ps=0となり、当然F=0から、停止時の式は、
P=(A2−A1)・P1
となる。従って、スラスト力は、運転時に弾性流体の吸入圧力と吐出圧力との差により吸入側方向にかかるスラスト力Fとシール径によって形成される面積A1、A2、機内圧P1によって決まる。
【0014】
本発明は、停止時に圧縮機内圧と大気圧との圧力差によって吐出方向へかかるスラストベアリングへの荷重を低減する事(最終的にはスラストベアリングやロータ側面の焼損を防ぐ)と、運転時にガス流体の吸入圧力と吐出圧力の差により吸入側方向にかかるスラスト力を吸入側と吐出側につけたシールを利用して相殺しスラストベアリングへの荷重を低減する事を目的としている。
前者に関しては、駆動軸側(吐出側)のシールとその反対側である吸入側に大気解放するためのシールを付ける事であり、後者はその両シールのシール径によって形成される面積(図1中のA1、A2)を変えて、運転時に発生する吸入圧力と吐出圧力の差により吸入側方向にかかるスラスト力を軽減する。
【0015】
従って、一般的に後記実施例の図1の機内圧P1、P2は同一圧力(均圧)しているため、直径D3、D4によって形成される面積には関係なくリップ部内径D1、D2によって形成される円環面積によってスラスト荷重が発生する。
よって、シール室圧力P1、P2(通常両シール室圧力は均圧しているのでP1=P2)、シールリップ部内径面積A1、A2、運転時に弾性流体の吸入圧力と吐出圧力の差により吸入側方向にかかるスラスト力Fとするとスラストベアリングにかかる荷重Pは以下のようになる。
停止時:P=(A2−A1)×P1 (1)式
運転時:P=F+(A2−A1)×P1 (2)式
【0016】
ここで、荷重方向は吸入方向を+とするとFは常に+となる。またA2=A1とすると停止時スラストベアリングにかかる荷重はP=0となり、運転時はFのみがスラストベアリングに作用する。ここで運転時のスラストベアリングにかかる荷重Pを低減するためには、シールリップ部内形面積(給油受圧面積)をA1>A2とする。ただしA1>A2とすると停止時にスラストベアリングにかかる荷重が増えるためスラストベアリングやロータ側面の焼損を起こさない程度に(A2−A1)の設定値を決定しなければならない。より具体的には(A2=A1の場合〜A1>A2場合)とする。
【0017】
運転時の荷重Pを低減するため本発明においてシールリップ部内形面積をA1>A2としたが、シールリップ部内形面積の差(A2−A1)の値を大きくすると(1)式より停止時にスラストベアリングにかかる荷重が大きくなる。従って(A2−A1)の値は停止時シール室圧力との関係よりスラストベアリングやロータ側面の焼損を起こさない程度となる。
【0018】
ここで、シール給油通路はオイルセパレータよりク−ラを介してシールに給油されシール室よりオイル通路を通してロータ歯溝に入り、吐出ガスと一緒にオイルセパレータへ戻る。ここで運転時はシール直前の絞り及びオイルセパレータ〜シール給油口間での配管抵抗により減圧され、シール室圧力はロータ歯溝圧力に流路抵抗(シール室〜ロータ歯溝)を加えた圧力となる。一般的にこの値は吸入圧力+1〜5kgf/cm程度となる。この1〜5kgf/cm程度の変動は、吸入圧力や給油量により変動する。一方停止時はロータの回転が止まるためロータからシール室のオイルを吐きださなくなり、オイルの流れが停止する。このためオイルセパレータ〜シール室間での配管抵抗は無くなりシール室へオイルセパレータの圧力をまともにかける事になる。停止後のオイルセパレータの圧力は均圧するため減圧するが、ロータの回転が停止する直前はまだ吐出圧をほぼ保っており、停止時のシール室圧力はほぼ吐出圧となる。
【0019】
このため、前記スラストベアリングにかかる荷重Pの式(1)及び(2)において停止時のシール室圧力P1はほぼ吐出圧力であり、運転時は吸入圧力+1〜5kgf/cmとなる。そのため運転時にスラストベアリングにかかる荷重Pの低減効果を大きく狙いたい場合、(A2−A1)の値を大きく取ることは、停止時と運転時のシール室圧力P1の関係より困難である。この場合、(A1−A2)の値は、停止時に問題ない程度に(A2=A1の場合〜A1>A2場合)に設定し、更に運転時シール室圧力P1を図2に示す絞り弁にて大きくしてスラストベアリングにかかる荷重Pの低減を行うことが及び請求項4の発明である。
【0020】
以下の説明より、本発明の目的が円滑に達成される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される寸法、材質、形状、その相対位置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1及び図2は本発明の実施例に係わるスクリュー圧縮機の雄ロータ部の縦断面図である。
【0022】
図1及び図2において、1はロータケーシング、5は該ロータケーシング1内に収納されている雄ロータ、2は吐出側ベアリングハウジング、3は吸込側ベアリングハウジングでロータケーシング1の外側に位置している。又、夫々のベアリングハウジング2、3の外側に吐出側シールハウジング12Aと吸入側シールハウジング12Bが連接されている。
又雄ロータ5と一体の吐出側ロータシャフト5aと吸込側ロータシャフト5bは夫々前記ロータケーシング1の両側に組付けられた前記ベアリングハウジング2、3にラジアル軸受け7、8を介して回転自在に支えられ、さらに前記吐出側ロータシャフト5aは一対のアンギュラ玉軸受等のスラストベアリング9を介してスラスト荷重が受けられている。吐出側ロータシャフト5aは図示しない電動機等が連結されて前記雄ロータ5が回転駆動される駆動軸として構成される。
【0023】
前記ロータシャフト5a及び5bの前記スラストベアリング9及びラジアルベアリング7、8よりも夫々外側の軸端側にメカニカルシールのシール回転部材10及び11が図示しない方法で固定されており、一方これを収納する吐出側シールハウジング12Aと吸入側シールハウジング12Bの内周側のシール回転部材10及び11の両端面側にはシール固定部材10a及び11aが嵌着されている。
前記シール固定部材10a、11aのリップは前記シール回転部材10、11の側面に接触し、図示しない弾性部材を介して前記シール回転部材10、11の側面との接触面圧が適正になるように押付けられていて該接触面でシールを行なう。吸込側ロータシャフト5bの軸端は大気に開放されている。
埃等の侵入を防ぐために該シャフト5b端部は外気に連通する小孔を設けたカバーで覆ってもよいことは勿論であるが、大気開放状態にあることが重要である。
【0024】
メカニカルシールのシール回転部材10及び11の外周と対面する吐出側シールハウジング12Aと吸入側シールハウジング12Bの給油通路15、16には夫々絞り弁15a、16aが設けられ、絞り弁15a、16aを介して油分離器21からメカニカルシール摺動部潤滑しながらシール室13、14に潤滑油が供給され、更に油出口通路19、20から油路19’、20’及びこれが合流するケーシング1内通路25を介してロータ5が収納されているロータ室にロータ潤滑油として送給される。絞り弁15a、16aは前記潤滑油の流量を調節するとともに運転停止直後の給油圧も制御するのに好適に機能するもので図3に示す実施例には設けていないが、該絞り弁15a、16aを設けなくても本発明の機能は達成される。なお、軸受やシールを潤滑した油は図示しない油路を介してガス流体とともに吐出される。
尚、図2は油路19’、20’が合流する油路25’に絞り弁26を設け、該絞り弁26を介してケーシング1内通路25に油が供給されるように構成されている。
【0025】
図3は本発明のスクリュー圧縮機に係わる配管系統図で、図3において、COを冷媒として超臨界運転を行なう場合に吸込圧は20〜50kg/cm2の吸込ガスは管路を通って吸込口17からスクリュー圧縮機に吸込まれ、吐出圧は100kg/cm前後に圧縮されガス流体(ガス)は吐出口18から管路36を通って油分離器21に入り、混入している潤滑油が分離されて管路27へ送出される。前記油分離器21で吐出ガスから分離された潤滑油24は前記油分離器21の底部に溜り、管路28を通って吐出側シール給油口15、吸込側シール給油口16からシール室13、14に供給される。前記シール室への給油口は1個とし、両シール室はハウジング、ケーシング内に油路を設けて連通してもよい。22、23は夫々吐出側、吸込側の逆止弁である。なお、前記潤滑油24は図示しないオイルクーラを通して冷却してスクリュー圧縮機に供給される。
【0026】
つぎに作用について説明する。スクリュー圧縮機運転時には前記ロータ5にはほぼ吐出側圧力−吸込側圧力のスラスト力が吸入側方向に掛る。一方前記油分離器21内は吐出圧になっており、ここからシール室給油口15、16に送給された潤滑油は、吐出側シール室13、吸込側シール室14に入り、そこから油路19、20を通ってロータ室に噴出する。シール室13、14内圧力はロータ歯溝圧力に流路抵抗(シール室〜ロータ歯溝)を加えた圧力になる。一般的にこの値は吸入圧力+1〜5kgf/cm程度となる。
【0027】
スラストベアリングにかかる、スラスト力Pは、シール固定部材10a、11aのリップ部内径面積A1、A2、吐出側シール室圧力P1、吸入側シール圧力P2、ガス荷重Fから、P=(A2−A1)・P1+Fとなる。
ここで、荷重方向は吸入側方向を+とするとFは常に+となる。またA2=A1とすると停止時スラストベアリングにかかる荷重はP=0となり、運転時はFのみがスラストベアリングに作用する。ここで運転時のスラストベアリングにかかる荷重Pを低減するためには、シールリップ部内径面積をA1>A2とする。但し、A1>A2とすると停止時にスラストベアリングにかかる荷重が増えるため、スラストベアリングやロータ側面の焼損を起さない程度に(A2−A1)の設定値を決定しなければならない。
【0028】
高吐出圧の場合、シール室13、14の圧力も高くなり、シール室13、14から油路19、20を介してロータ室に噴出される潤滑油量が過大となることがある。その場合には絞り弁26の開度調節により前記潤滑油量を調節することができる。即ち運転時シール室圧力P1を図2に示す絞り弁26にて大きくしてスラストベアリングにかかる荷重Pの低減を行う
【0029】
図4は本発明のスクリュー圧縮機に係わる第2の実施例の配管系統図で、図2と同じ構成には同じ符合が付してある。図2との相違は油分離器21から給油口15、16への給油管路28に開度調整可能な絞り弁15a、16aが配設されていることである。運転時には該絞り弁15a、16aは全開或は通常の開度でシール室13、14の圧力は吸入圧力+1〜5kgt/cm程度である。運転停止直前に前記絞り弁15a、16aと圧縮機に給油するライン全てを閉止或は大幅に絞ってシール室13、14の圧力を低下させ、しかる後に運転停止する。したがって、運転停止直後のシール室13、14の圧力は運転時吐出圧力よりも低下しているので、シール室13、14の圧力による吐出側方向スラスト力は運転時のそれよりも小さく、運転停止時の過大な吐出側方向スラスト力によるスラストベアリング損傷、ロータ端面焼損を防ぐことができる。なお、前記絞り弁操作から運転停止操作までの時間は極く短時間であり、停止操作により前記絞り弁操作と運転停止操作が適切な時間間隔をおいて自動的に行なわれるようにする。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高圧圧縮に用いるスクリュー圧縮機において、運転停止時に運転時とは逆方向に急激に逆転するスラストベアリングの過大逆転スラスト荷重の発生を抑え、運転停止時に発生するスラストベアリングの損傷、ロータ端面の焼損をなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係わるスクリュー圧縮機の雄ロータ部の縦断面図である。
【図2】 本発明の他の実施例に係わるスクリュー圧縮機の雄ロータ部の縦断面図である。
【図3】 図1及び図2のスクリュー圧縮機の第1実施例に係わる配管系統図である。
【図4】 図1及び図2のスクリュー圧縮機の第2実施例に係わる配管系統図である。
【図5】 従来例のスクリュー圧縮機の縦断面図である。
【符合の説明】
1 ロータケーシング
2 ベアリングハウジング
3 ベアリングハウジング
4 シールハウジング
5 雄ロータ
6 雌ロータ
7 ラジアルベアリング
9 スラストベアリング
10 シール回転部材
10a シール固定部材
11 シール回転部材
12 ロックナット
13 吐出側シール室
14 吸込側シール室
21 油分離器
15a、16a、26 絞り弁
28 給油管路

Claims (5)

  1. 両側にシャフト部を有し互いに噛合う雄ロータと雌ロータが平行に回転可能に支えられたロータ室を収めるロータケーシングと、前記ケーシングの前記ロータ両端側に吸込口と吐出口を備えたスクリュー圧縮機本体と、前記吐出口より吐出された圧縮流体に混入している潤滑油を分離する油分離器とを備えたスクリュー圧縮装置において、
    前記雄ロータシャフトの吐出側と吸い込み側夫々の軸部に、該シャフトに固定されたシール回転部材とケーシングに固定されたシール固定部材とからなるメカニカルシール部を設け、駆動軸となる前記雄ロータシャフトの両端側を外気に対して開放するとともに、
    吸い込み側のシール回転部材の外気側とは反対面に前記油分離器からの給油圧を印加する吸込側シール室を形成し、
    吐出側のシール回転部材を吸い込み側のシール回転部材より大径に設定するとともに、該吐出側のシール回転部材の外気側とは反対面に前記油分離器からの給油圧を印加する吐出側シール室を形成し、
    前記吸込側シール室および吐出側シール室のそれぞれのシール回転部材の外側を大気開放として運転停止時に生じるロータ室内の圧力と大気圧との差圧による吐出側方向へのスラスト力を低減し、
    前記両シール室内の油圧によって、運転時に生じる吐出圧力と吸い込み圧力の差圧による吸入側方向へのスラスト力を緩和するように構成したことを特徴とする高圧スクリュー圧縮装置。
  2. 運転停止直前に前記各シール室への給油圧の供給を絞って、運転停止時に吐出側方向へかかるスラスト力を緩和する給油圧の調整手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の高圧スクリュー圧縮装置。
  3. 前記給油圧を調整する手段が、前記油分離器により分離された給油圧が各シール室に印加される通路途中に設けられた絞り部であることを特徴とする請求項2記載の高圧スクリュー圧縮装置。
  4. 前記吐出側シール室からケーシングとロータ間のロータ室に潤滑油を供給する供給路に絞り弁を設け、該絞り弁にて前記吐出側シール室の圧力を調整してスクリュー圧縮機の運転時の吸入側方向にかかるスラスト力を緩和可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の高圧スクリュー圧縮装置。
  5. 前記メカニカルシール部が前記雄ロータシャフトの吐出側と吸い込み側夫々の軸部を支持するベアリング部の外側に夫々設けられていることを特徴とする請求項1記載の高圧スクリュー圧縮装置。
JP2000368196A 2000-12-04 2000-12-04 高圧スクリュー圧縮装置 Expired - Fee Related JP4294212B2 (ja)

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