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JP4290278B2 - 眼科装置 - Google Patents

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JP4290278B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼科医等で使用される眼科装置、及び眼科データの管理方法に関する。
【0002】
【従来技術】
眼屈折力測定装置、角膜形状測定装置、非接触式眼圧計、眼底を撮影する眼底カメラ等の眼科装置で得られた検査データ(眼特性データ)は、通常、患者の氏名や電話番号の他、患者毎にID番号等の識別コードを付与して管理している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、検査データを別の眼科装置側へ入力して利用する場合、上記のような識別コードでの管理では必ずしも十分でない。
【0004】
例えば、エキシマレーザ光により角膜を切除して角膜曲率を変化させることにより屈折異常を矯正する手術装置では、手術に先立って術前の角膜形状等の検査データを入力するが、患者の氏名のみを頼りにするのは間違え易い。ID番号が付与された検査データであっても、ID番号の入力ミスや人為的なミスにより、手術しようとする患者がそのID番号の本人でない可能性や他の患者のデータが紛れる可能性も皆無ではない。さらには、患者眼の左右のデータを取り違える虞もある。
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑み、眼特性データと患者眼との関連付けを厳格にした識別コードで管理できる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【0007】
また、手術装置のような眼科装置においては、他の眼科装置で得られた眼特性データと、手術する患者眼との不一致を避けることができる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0010】
(1) 患者眼の前眼部を撮像する撮像手段と、検眼手段を患者眼に対してアライメントするためのアライメント手段と、を有し前記検眼手段を用いて患者眼の眼特性データを得る眼科装置において、前記アライメント手段にてアライメントされた状態において患者眼に可視光の照明光を投光する照明手段と、前記撮像手段により撮像される患者眼の瞳孔の大きさが所定の大きさとなるように前記照明手段による照明光の光量を調節する光量調節手段と、該光量調節手段により光量調節された照明光により前記所定の大きさとなった瞳孔状態での前記患者眼の前眼部を前記撮像手段により撮像し,得られた前眼部像から虹彩のパターンを抽出し該抽出結果を基に患者眼を識別するためのコードを生成する眼識別コード生成手段と、生成された眼識別コードと前記眼特性データとを関連付けて,前記眼特性データを用いて角膜切除量を算出する外部装置に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
(2) 患者眼の前眼部を撮像する撮像手段と、手術用レーザ光を患者眼に照射するためのレーザ照射手段を患者眼に対してアライメントするためのアライメント手段と、を有し前記レーザ照射手段を用いて患者眼の手術を行う眼科装置において、前記アライメント手段にてアライメントされた状態において患者眼に可視光の照明光を投光する照明手段と、前記撮像手段により撮像される患者眼の瞳孔の大きさが所定の大きさとなるように前記照明手段による照明光の光量を調節する光量調節手段と、該光量調節手段により光量調節された照明光により前記所定の大きさとなった瞳孔状態での前記患者眼の前眼部を前記撮像手段により撮像し,得られた前眼部像から虹彩のパターンを抽出し該抽出結果を基に患者眼を識別するための第1眼識別コードを生成する眼識別コード生成手段と、異なる眼科装置で得られた手術データとなる眼特性データを入力する手段であって,前記眼識別コード生成手段と同じ形式で作成された第2眼識別コードを対にして前記眼特性データを入力する入力手段と、前記第1眼識別コードと第2眼識別コードとを照合するコード照合手段と、該コード照合手段による照合結果に基づいて第1眼識別コードと第2眼識別コードとが一致していれば前記入力手段にて入力された前記眼特性データから得られる手術データに基づいた手術プロセスの実行を許可し,一致していなければ手術プロセスの実行を中断し,その旨を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る眼科装置の外観構成を示した図である。100は角膜形状解析装置、200は193nmのエキシマレーザ光により角膜を切除する角膜手術装置であり、本実施形態では角膜形状解析装置100で得られた眼特性データを角膜手術装置200側へ入力して利用する例を説明する。まず、角膜形状解析装置100及び角膜手術装置200の各構成を説明する。
【0022】
<角膜形状解析装置>
図2は角膜形状解析装置100の光学系の概略構成図であり、眼屈折力測定の機能を合わせ持つ例としている。
【0023】
1は角膜形状測定用の指標を投影する光学系である。2は中央部に開口を持つ略半球状のプラチド板であり、光軸L1を中心にした同心円の多数の透光部と遮光部を持つリングパターンが形成されている。3はLED等の照明光源で、光源3を発した光は反射板4で反射され、プラチド板2を背後からほぼ均一に照明するようになっている。患者眼角膜にはリングパターン像が投影される。プラチド板2の外周には近赤外光を発する前眼部照明光源5が設けられている。
【0024】
反射板4の背後には、光源11とレンズ12を備える作動距離検出用の指標投影光学系10、レンズ16と位置検出素子17を備える指標検出光学系15が配置されている。光源11からの光はレンズ12によって略平行光束にされ、反射板4及びプラチド板2に設けられた開口を通って患者眼角膜に斜め方向から照射され、角膜に光源11の指標像が投影される。角膜に形成された指標像の光束は反射板4及びプラチド板2に設けられた開口を通り、指標検出光学系15のレンズ16を介して位置検出素子17に入射する。位置検出素子17に入射した指標像の位置から装置に対する患者眼の作動距離のアライメント状態が検出される。
【0025】
光軸L1の後方には眼屈折力測定光学系20が設けられている。眼屈折力測定光学系20は周知のものが使用できるが、本形態では本出願人による特開平10-108837号のものを使用している。この眼屈折力測定光学系20は、スリット光束にて患者眼眼底を走査するスリット投影光学系21と、スリット光束のスリット方向に対応した経線方向でかつ角膜と略共役な位置に測定光軸を挟んで対称に配置される受光素子を複数対持つ検出光学系22とを備え、スリット光束と検出光学系が備える受光素子とをそれぞれ光軸回りに同期して回転することにより、受光素子の各々の位相差信号出力に基づいて、経線方向で変化する複数の角膜部位での屈折力を求めて眼屈折力の分布を得ることができるものである。
【0026】
また、光軸L1上にはビームスプリッタ25が設けられている。ビームスプリッタ25により光軸L1と同軸にされる光軸L2上には、ハーフミラー26、27、レンズ28、固視標29、可視の照明光源30が配置されている。固視標29は中央に固視点を持ち、その回りは可視光を透過する構成としている。また、レンズ28は光軸L2方向に移動可能であり、患者眼に固視させる固視標28の視度を変更する。ハーフミラー27により光軸L2と同軸にされる光軸L3上にはレンズ33、光源34が配置されており、光源34の点灯により患者眼角膜に上下左右方向のアライメント用指標が投影される。
【0027】
ハーフミラー26により光軸L2と同軸にされる光軸L4上には、レンズ35、撮像素子であるCCDカメラ36が配置されており、CCDカメラ36からの出力はテレビモニタ43に入力される。CCDカメラ36は患者眼の前眼部観察用に使用される他、角膜に投影されるプラチドリング像の撮像用、光源34により形成されるアライメント指標像の検出用、後述する患者眼識別のための前眼部撮像用として兼用される。
【0028】
図3は制御系を示す図である。41はCCDカメラ36からの出力信号を取込むフレームメモリ、42は画像切換回路、43はカラーのモニタ、44はグラフィックを生成する表示回路、46はデータを記憶しておくメモリである。47はXYZ駆動部で、光学系が収納された測定部101(図1参照)を患者眼に対して左右(X)、上下(Y)、前後(Z)の各方向に電動で駆動する機構を有する。40は各部を制御するとともに、フレームメモリ41に取込まれた画像を基に、アライメント指標の検出、角膜形状解析、及び虹彩の模様の特徴抽出を行い眼識別のコード化を行う。
【0029】
ここで、虹彩模様に基づく患者眼識別のコード化について簡単に説明する。眼の虹彩には放射状の黒い筋や外周の輪郭等の様々に模様で形成されており、これは個人ごとに、さらには左右の眼ごとに異なっている。つまり、この虹彩模様のパターンは指の指紋のように、個人及び個々の眼を識別するのに生体固有の優れた特徴点を持つものである。そして、前眼部画像から瞳孔・虹彩の境界を切り出して得られる虹彩パターンを、所定の線に沿って光学的な走査を行い、その走査によって抽出される明暗の座標系をデジタル化することにより、眼を個々に識別するためのコードが与えられる。なお、虹彩の識別について、例えば、特公平5−84166号公報等を参照されたい。
【0030】
<角膜手術装置>
角膜手術装置200の構成を図1及び図4により説明する。図4は角膜手術装置200の光学系及び制御系の概略構成図である。
【0031】
図1において、201はエキシマレーザ光源が内臓されている手術装置本体であり、レーザ光はアーム部202に導かれる。アーム部202は図4に示すレーザ照射光学系210の一部、観察光学系230、眼球位置検出光学系240を備え、XYZ駆動部252により術者に対して左右(X)方向、前後(Y)方向に移動し、レーザ照射口を持つアーム部202の先端部は上下(Z方向)に移動する。206はコントローラであり、アーム部202を移動するためのジョイスティックやスイッチを持つ。209は手術に必要なデータの入力やレーザ照射データの演算等を行うコンピュータ部であり、表示モニタ209a、入力用のキーボード209bを備える。
【0032】
図4において、210はレーザ照射光学系であり、エキシマレーザ光源211、ミラー212、短冊状のマスクが多数並んだ形状の分割マスク213、スキャンミラー215、イメージローテータ217、開口径可変のアパーチャ219、投影レンズ221、エキシマレーザビームを反射して可視光及び赤外光を透過するダイクロイックミラー222を備える。レーザ照射時には、分割マスク213が持つ短冊状のマスクをそれぞれ開閉することにより、レーザ光源211から出射された細長い矩形形状のエキシマレーザビームの長手方向が部分的にカットされる。マスクを通過したレーザビームをスキャミラー215のスキャン動作により移動させることにより、選択的に制限されたレーザビームが導光光学系を介して患者眼Eの角膜に照射される。
【0033】
230は観察光学系で、対物レンズ231、可視光を透過し赤外光を反射するダイクロイックミラー232、双眼の手術顕微鏡233を備える。対物レンズ231の光軸上には固視灯235が置かれている。
【0034】
240は眼球位置検出光学系であり、ダイクロイックミラー232の反射方向にはレンズ241、ミラー242、赤外透過フィルター243、CCDカメラ245が配置されている。CCDカメラ245は角膜形状解析装置100と同じように患者眼識別のための前眼部撮像用として兼用される。
【0035】
また、ダイクロイックミラー222の下には、赤外照明光源246、前眼部撮像時に患者眼の瞳孔の大きさを調節するための可視光源247が配置されている。
【0036】
250は装置各部の制御を行う制御部、251はCCDカメラ245からの画像を取り込むフレームメモリである。制御部250はCCDカメラ245により撮像された患者眼像を基に、角膜形状解析装置100側と同様に、虹彩の模様の特徴抽出を行い識別用のコード化を行う。また、制御部250はCCDカメラ245により撮像された患者眼像を基に、装置に対する患者眼の位置を検出してXYZ駆動部252を制御する。
【0037】
患者眼の位置検出について簡単に説明する。図5(a)はカメラ245に撮像された前眼部像を示した図であり、図5(b)は図5(a)のA′−A′上の光量分布を示したものである。図のように瞳孔、虹彩、強膜によって光量が異なるので、この情報から横方向の瞳孔エッジ座標を検出することができ、さらに瞳孔エッジ検出からその中央の位置、すなわち横方向の瞳孔中央の座標を得ることができる。同様に縦方向のB′−B′ライン上の光量分布情報から、縦方向の瞳孔中央の座標を得ることができる。したがって、この両者からカメラ245の撮像素子上で所定の位置関係に調整された検出光学系の光軸(すなわち、レーザ照射光学系の光軸)に対する、瞳孔中心の位置が得られる。
【0038】
なお、以上のような光学系の詳細及び眼球位置検出処理の詳細については、特開平9−266925号公報、特開平9−149914号公報等を参照されたい。
【0039】
次に、両装置100及び200の動作を図6のフローチャートを参照して説明する。まず、角膜形状解析装置100による動作を説明する。検者はモニタ43に映し出される前眼部を観察しながら図1に示したジョイスティック102を操作し、基台103に対して測定部101を移動して粗くアライメントを行う。光源34により角膜に形成された指標像がCCDカメラ36により検出されるようになると、制御部40は指標像の座標位置を得てXY方向のアライメント状態を検出し、XYZ駆動部47を駆動して測定部101をXY方向へ自動的に移動する。また、制御部40は位置検出素子17からの信号によりZ方向のアライメント状態を得て、この情報に基づいてXYZ駆動部47を駆動し、測定部101を前後方向に移動する。
【0040】
アライメント完了後、制御部40はカメラ36により得られる画像が眼(虹彩パターン)の特徴抽出に適切かを確認する。虹彩は瞳孔の大きさにより変化するので、虹彩パターンの画像取り込みに当たり、制御部40は固視用光源30による可視の照明光量を調節制御し、患者眼の瞳孔の大きさが所定の大きさになるように調節する。瞳孔の大きさは、前眼部画像の瞳孔エッジを検出することにより分かる。なお、本形態では瞳孔の大きさを調節するための照明光源として固視用の光源30を兼用しているが、眼底に可視光が届くように光軸L1の回りに専用の光源を設けるようにしても良い。
【0041】
制御部40はアライメントの完了及び瞳孔の大きさが最適になったことを確認したら、トリガ信号を自動的に発して前眼部画像の撮影を行う。その後、制御部40はフレームメモリ41に取込まれた前眼部画像に画像処理を施して患者眼の特徴点を抽出し、その患者眼固有の識別コードを生成する。すなわち、前眼部画像から瞳孔・虹彩の境界エッジを決定した後、虹彩パターンの明暗の座標系をデジタル化することにより眼識別コードを得る(眼識別コードを生成する)。
【0042】
続いて角膜形状解析のための撮影、眼屈折力測定が行われる。アライメント調整は既に行われているので、即座にプラチドリング像の撮影に移ることができる。制御部40は光源3を所定時間点灯してプラチドリング像を角膜に投影する。プラチドリング像はカメラ36に撮像されてフレームメモリ41に取込まれる。制御部40はこの画像に所定の画像処理を施してプラチドリング像のエッジ処理を行い、所定の角度ステップ毎の曲率分布を得て角膜形状解析データを得る。その後、制御部40は眼屈折力測定光学系20による測定を実行して眼屈折力分布データを得た後、これらの測定データと前述の眼識別コードとを対にしてメモリ46に記憶する。
【0043】
同様にもう片方の眼の測定を行う。眼の特徴(虹彩パターン)は左右においても異なるので、この場合も制御部40は前眼部像を撮影して眼識別コードを得て、測定データと眼識別コードとを対にしてメモリ46に記憶する。
【0044】
なお、虹彩パターンの画像処理、プラチドリング像の画像処理に時間を要する場合は、それぞれの画像を一旦別のメモリ部46に記憶して後で解析すれば良い。また、虹彩パターンを得るための前眼部撮影は角膜解析のための撮影、眼屈折力測定の後に行っても良い。この場合も測定のためのアライメントを行った後の検査ルーチンの中で撮影が行われるので、患者が意識しないうちに眼識別用の撮影画像が得られ、検者も手間なく効率的に撮影を行うことができる。
【0045】
両眼の測定データが得られたら、スイッチ部49のスイッチを操作して、出力部から角膜手術装置200側へデータを転送する。データの転送はケーブル通信したり、フロッピーディスクに保存して行うことができる。このとき、測定データは左右眼毎にそれぞれ眼識別コードが対応付けられて出力される。
【0046】
次に、角膜手術装置200の動作を説明する。コンピュータ209には角膜形状解析装置100による測定データの他、矯正屈折力やオプチカルゾーン等の手術に必要なデータを入力する。また、これから手術する患者眼が左右何れかの指示をキーボード209b等により入力する。コンピュータ209は入力されたデータに基づいて角膜切除量のデータを算出し、そのデータは左右の指示がされた眼識別コードと共に制御部250に送られる。
【0047】
術者は患者をベットに寝かせ、手術顕微鏡233により患者眼を観察しながらレーザ照射口が設けられたアーム部202を手術する患者眼の上部に位置させる。眼球位置検出光学系240で瞳孔中心が検出できる範囲に患者眼があれば、制御部250はレーザ照射光軸と瞳孔中心とが一致するように、XYZ駆動装置252を駆動制御してアーム部202を移動し、患者眼に対するアライメントを行う。また、制御部250は可視光源247の照明光量を調節制御し、患者眼の瞳孔の大きさが所定の大きさになるように調節する。
【0048】
アライメントの完了及び瞳孔の大きさが最適になったことを確認したら、制御部250はトリガ信号を自動的に発してCCDカメラ245に撮影される患者眼像をフレームメモリ251に取り込む。その後、角膜形状解析装置100の場合と同様に、前眼部画像に画像処理を施して患者眼の特徴点を抽出し、患者眼固有の眼識別コードを得る。そして、新たに取得した手術眼の識別コードと、手術データと共に入力された眼識別コードとが一致しているか照合する。制御部250は眼識別コードが一致していれば以後の手術プロセスの実行を許可し、術者が操作するフットスイッチ208からのレーザ照射指示信号の入力によりレーザ光源211からレーザ光を出射し、切除データに基づいて患者眼角膜にレーザ光を照射する。レーザ照射中は眼球位置検出光学系240による検出結果に基づいて自動的にトラッキングが行われる。また、手術データは眼識別コードと共に対にされてコンピュータ209に記憶される。
【0049】
ここで眼識別コードが一致していなければ、制御部250は手術プロセスの実行を中断する。同時にその旨のメッセージをモニタ209aに表示すると共に、音声発生部253から警告音を発生させ、手術しようとしている患者眼と入力された患者眼データとが異なることを術者に知らせる。手術においては、入力したデータが患者本人のものであるかを確認する必要があることは無論のこと、さらには患者本人のものであっても左右眼でのデータの取り違いを防止することが重要である。そこで、上記のように手術直前に取得した眼識別コードと、手術データに対応付けられた眼識別コードとの一致を照合することにより、左右眼でのデータの取り違いが無いかをも厳格にチェックし、データが不一致のまま手術を進行することを防止できる。
【0050】
上記では、手術装置に前眼部を撮像する手段を設け、虹彩に基づく眼識別コードを生成するものとしたが、手術装置の近傍に専用の眼識別コード生成装置を備える形態にすることでも良い。
【0051】
以上、角膜形状解析装置100で得られたデータを手術装置200側へ直接転送する例を説明したが、複数の眼科装置で得られた眼特性データを一括管理するデータベースでの例を、図7を参照して以下説明する。
【0052】
図7において、600はデータ管理用の管理用コンピュータであり、データ管理用のプログラムを持つデータベースが内蔵されている。管理用コンピュータ600には、前述した角膜形状解析装置100、手術装置200の他、非接触式眼圧計300、眼底カメラ400、自覚式検眼装置500等で得られた検査データ、手術装置200による手術データが転送される。
【0053】
例えば、前述のように角膜形状解析装置100で得られたデータファイル700は、図8に示すように、左右眼毎の検査データ701、702、これに対応付けられた眼識別コード703、704の他、検査の種類を示すデータ705、ID番号や氏名等の患者識別データ706とにより関連付けられ、管理用コンピュータ600に転送される。患者識別データ706は必ずしも同時に転送する必要はなく、管理用コンピュータ600側で入力することでも良い。
【0054】
非接触式眼圧計300及び眼底カメラ400は前眼部観察用の撮像手段を持つものであり、これらの眼科装置においても、角膜形状解析装置100と同様に左右眼別に眼識別コードが与えられ、検査データがそれぞれ関連付けられたデータファイル700が管理用コンピュータ600に転送される。自覚式検眼装置500で得られた検査データには眼識別コードが付与されておらず、この場合は患者識別用のデータ706で管理する。管理用コンピュータ600は各装置から転送された各検査データを患者識別データ706に基づいて患者毎に、さらには眼識別コード703、704に基づいて患者眼の左右毎に記憶・管理する。
【0055】
ところで、眼識別コードは虹彩パターンからコード化しているので大きなメモリ容量が必要とされる。このため各眼科装置から転送されてきた検査データ毎に眼識別コードも対にして記憶することは記憶容量の増大となる。そこで、管理用コンピュータ600は次のようにして転送されてきたデータを管理する(図9のフローチャート参照)。
【0056】
まず、患者識別データ706に基づいて患者のデータ領域を確保し、各装置から転送されてきた検査データを患者識別データ706に関連させて記憶する。眼識別コードは初めに転送されてきたものを記憶する。複数の眼科装置から眼識別コード付きの検査データが転送されてきた場合は、先に記憶されている眼識別コードと順次送られてくる眼識別コードとを比較し(一致を判定し)、同一であれば後で転送されてきた眼識別コードは破棄し、同一の眼識別コードは重複して記憶しないようにする(少なくとも1つに統合させる)。これにより、眼識別コード付きの検査データを記憶する場合であっても、メモリ容量の大幅な消費を抑えられる。
【0057】
眼識別コードの一致の判定において、一致していない場合はその旨をモニタに表示してオペレータに警告する。この結果、オペレータはID番号や氏名等の患者識別データ706と入力する検査データの対応が正しいか(患者識別データの入力ミスが無いか等)を確認し、必要な処置を行うことができる。こうした確認後にそのまま記憶する旨の指示があった場合、コンピュータ600は検査データと眼識別コードを対にして記憶しておく。このようにID番号や氏名等を基準にして各検査データを管理するに際し、眼識別コードを導入することでより厳格なデータ管理とすることができる。
【0058】
また、手術装置200等の他の眼科装置側へ必要なデータを選択的に出力する指令があった場合は、管理用コンピュータ600は選択された検査データに眼識別コードを付加して出力する。この場合、自覚式検眼装置500のようにコンピュータ600へのデータ入力段階では眼識別コードが付与されていない検査データであっても、眼識別コードを付加して出力する。手術装置200側では前述のように手術する眼を撮影して得られる眼識別コードと検査データに付与された眼識別コードとの一致を照合することにより、手術眼に適用する検査データを厳格にチェックできる。
【0059】
以上説明した実施形態では、眼識別のための眼画像として虹彩パターンを使用するものとしたが、同じように眼の網膜血管パターンも個々の眼を識別するのに優れた特徴点を持つものである。したがって、検査や手術にあたり、この網膜血管パターンから眼識別コードを得るようにすることもできる。この場合も眼科装置が持つ観察用等の撮像手段を兼用することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば眼科装置で得られた眼特性データと患者(患者眼)との関連付けを厳格にした識別コードで管理できる。また、手術装置のように他の眼科装置で得られた眼特性データを利用する場合には、眼特性データとこれを適用しようとする患者眼との不一致を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る眼科装置の外観構成を示した図である。
【図2】角膜形状解析装置の光学系の概略構成図である。
【図3】角膜形状解析装置の制御系を示す図である。
【図4】角膜手術装置の光学系及び制御系の概略構成図である。
【図5】角膜手術装置による患者眼の位置検出を説明する図である。
【図6】実施形態の眼科装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】複数の眼科装置で得られた眼特性データを一括管理する場合の例を説明する図である。
【図8】眼科装置で得られたデータファイルの例を示す図である。
【図9】コンピュータでのデータ管理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
2 プラチド板
30 照明光源
36 CCDカメラ
40 制御部
41 フレームメモリ
46 メモリ
48 出力部
100 角膜形状解析装置
200 角膜手術装置
245 CCDカメラ
209 コンピュータ部
250 制御部
253 音声発生部
600 管理用コンピュータ

Claims (2)

  1. 患者眼の前眼部を撮像する撮像手段と、検眼手段を患者眼に対してアライメントするためのアライメント手段と、を有し前記検眼手段を用いて患者眼の眼特性データを得る眼科装置において、前記アライメント手段にてアライメントされた状態において患者眼に可視光の照明光を投光する照明手段と、前記撮像手段により撮像される患者眼の瞳孔の大きさが所定の大きさとなるように前記照明手段による照明光の光量を調節する光量調節手段と、該光量調節手段により光量調節された照明光により前記所定の大きさとなった瞳孔状態での前記患者眼の前眼部を前記撮像手段により撮像し,得られた前眼部像から虹彩のパターンを抽出し該抽出結果を基に患者眼を識別するためのコードを生成する眼識別コード生成手段と、生成された眼識別コードと前記眼特性データとを関連付けて,前記眼特性データを用いて角膜切除量を算出する外部装置に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
  2. 患者眼の前眼部を撮像する撮像手段と、手術用レーザ光を患者眼に照射するためのレーザ照射手段を患者眼に対してアライメントするためのアライメント手段と、を有し前記レーザ照射手段を用いて患者眼の手術を行う眼科装置において、前記アライメント手段にてアライメントされた状態において患者眼に可視光の照明光を投光する照明手段と、前記撮像手段により撮像される患者眼の瞳孔の大きさが所定の大きさとなるように前記照明手段による照明光の光量を調節する光量調節手段と、該光量調節手段により光量調節された照明光により前記所定の大きさとなった瞳孔状態での前記患者眼の前眼部を前記撮像手段により撮像し,得られた前眼部像から虹彩のパターンを抽出し該抽出結果を基に患者眼を識別するための第1眼識別コードを生成する眼識別コード生成手段と、異なる眼科装置で得られた手術データとなる眼特性データを入力する手段であって,前記眼識別コード生成手段と同じ形式で作成された第2眼識別コードを対にして前記眼特性データを入力する入力手段と、前記第1眼識別コードと第2眼識別コードとを照合するコード照合手段と、該コード照合手段による照合結果に基づいて第1眼識別コードと第2眼識別コードとが一致していれば前記入力手段にて入力された前記眼特性データから得られる手術データに基づいた手術プロセスの実行を許可し,一致していなければ手術プロセスの実行を中断し,その旨を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
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