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JP4283351B2 - 新規な油脂組成物の製造方法および用途 - Google Patents

新規な油脂組成物の製造方法および用途 Download PDF

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JP4283351B2
JP4283351B2 JP24233098A JP24233098A JP4283351B2 JP 4283351 B2 JP4283351 B2 JP 4283351B2 JP 24233098 A JP24233098 A JP 24233098A JP 24233098 A JP24233098 A JP 24233098A JP 4283351 B2 JP4283351 B2 JP 4283351B2
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恒夫 山根
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(n−6)系ドコサペンタエン酸を含む構造脂質および/またはドコサヘキサエン酸を含む構造脂質の製造方法、この方法により得られる構造脂質を含有する油脂組成物、およびこの油脂組成物の利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の生理化学分野の研究から、トリグリセリドの1および3位に長鎖脂肪酸(C18以上)が結合した油脂よりも、1および3位に中鎖脂肪酸(C8〜C12)が結合した油脂の方が、生体内の膵臓リパーゼによって容易に分解され易く、従って、腸内で吸収され易いことが判明している[油化学、第37巻、p781、1995年]。脂肪酸のなかでも、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)などの高度不飽和脂肪酸は、動物体内で種々の生理活性を有するものと考えられている。それゆえ、1および3位に中鎖脂肪酸が、そして2位に高度不飽和脂肪酸が結合した構造脂質は、有用脂肪酸である高度不飽和脂肪酸が結合し、かつ腸内で吸収されやすい油脂として、注目を集めている。
【0003】
高度不飽和脂肪酸は、含まれる不飽和結合の位置の相違により、(n−3)系の高度不飽和脂肪酸および(n−6)系の高度不飽和脂肪酸に分けられる。
動物体内では、(n−3)系の高度不飽和脂肪酸と(n−6)系の高度不飽和脂肪酸とは別の代謝経路に属する。炭素数が18のリノール酸〔18:2(n−6)〕およびα−リノレン酸〔18:3(n−3)〕は、植物油脂の主要成分として広く存在する。一方、動物には、リノール酸およびα−リノレン酸を生合成する能力がない。そのため、動物は、これらの(n−3)系および(n−6)系の高度不飽和脂肪酸を必須脂肪酸として要求する。摂取されたリノール酸などの高度不飽和脂肪酸は、さらに不飽和化および炭素鎖の延長が繰り返されて、より不飽和度が高く、炭素数の多い高度不飽和脂肪酸に変換される。しかし、成人病患者、乳児、老人などでは、生合成における不飽和化反応の働きが低下することが多いため、不飽和度が高く炭素数の多い高度不飽和脂肪酸が不足しがちになる。
【0004】
(n−3)系の高度不飽和脂肪酸には、例えばエイコサペンタエン酸〔20:5(n−3)〕、ドコサヘキサエン酸〔22:6(n−3)〕などが含まれる。これらの(n−3)系の高度不飽和脂肪酸は、抗炎症活性、抗血栓活性などの生理活性を有することが知られており、そのため、機能性食品および医薬品の素材として注目されている。
【0005】
一方、(n−6)系の高度不飽和脂肪酸には、例えばγ−リノレン酸〔18:3(n−6)〕、ジホモ−γ−リノレン酸〔20:3(n−6)〕、アラキドン酸〔20:4(n−6)〕などが含まれる。これらの(n−6)系の高度不飽和脂肪酸は、局所ホルモンと呼ばれるプロスタグランジン、ロイコトリエンなどのエイコサノイドの1群または2群への中間代謝物質として注目されている。
【0006】
動物体内においては、組織により変わるが、一般に、(n−3)系の高度不飽和脂肪酸としてはドコサヘキサエン酸が、そして(n−6)系の高度不飽和脂肪酸としてはアラキドン酸が、最終代謝産物となっている。動物体内では、(n−6)系ドコサペンタエン酸の含有量は極めて少ない。
【0007】
(n−3)系の最終代謝産物であるドコサヘキサエン酸(DHA)は、動物の脳および網膜に特異的に存在している。DHAは、これらの器官において何らかの機能を果たしていると考えられる。近年、マグロの眼窩脂肪などの、DHAを高濃度に含有する原料が発見されたこと、および脂肪酸の高度精製技術が発達したことなどから、DHAの生理活性機能の解明および実用化についての研究が活発に進められている。DHAの生理活性機能としては、血中コレステロール低下作用、抗血液凝固作用、制癌作用、さらには脳代謝系に関連して、記憶学習能力の向上および老人性痴呆症の予防に作用することなどが明らかとなった。これらのことから、DHAは、アルツハイマー疾病の治療薬としても期待されている。また、DHAは、稚魚の成長必須脂肪酸であることも明らかとなった。実用化については、DHAは、健康食品、ベビーミルク等の素材として使用されている。
【0008】
動物体内で、脂肪酸の組成に占める(n−6)系ドコサペンタエン酸(DPA)の含有量が大きくなっている場合は、(n−3)系必須脂肪酸が欠乏していることが多い。このことは、欠乏している(n−3)系高度不飽和脂肪酸の機能を、(n−6)系高度不飽和脂肪酸が代償していると考えられる。特に、DHAの代償として、(n−6)系DPAが生体内で作られる例が複数報告されている。これは、(n−6)系DPAが何らかの生理的役割を有していることを示唆する。(n−6)系DPAはまた、アラキドン酸のアンタゴニストとしても期待できる。
【0009】
(n−6)系DPAは、一般的に供給される油脂の中には全く存在せず、魚油の中に(n−3)系DPAとともにわずかに含まれている。しかし、魚油中の(n−6)系DPAの含有量が、1%程度と微量であることなどのため、(n−6)系DPAを効率良く分離および濃縮することは容易ではない。
【0010】
以上のように、魚油には、注目すべき生理機能を有するDHAおよび(n−6)系DPAが存在し、その精製方法についても多くの知見が得られている。一方、魚油には、▲1▼DHAおよび(n−6)系DPAの含有量が少ない;▲2▼主に回遊魚が原料となるが、回遊魚の漁獲量は季節によって変化するので、安定して供給されにくい;▲3▼特有の異臭がある;および▲4▼アラキドン酸(AA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸も含まれるため、酸化され易く、安定した品質の油脂を得ることが困難である、などの欠点がある。
【0011】
DPAおよびDHAの少なくとも一方の、魚油以外の供給源としては、これらの高度不飽和脂肪酸の生産能を有する微生物の培養菌体中に蓄積した油脂(微生物オイル)が挙げられる。これらの微生物の例としては、深海から分離された細菌ビブリオ・マリナス(Vibrio marinus)ATCC 15381、深海魚の腸内から分離されたビブリオ属細菌、鞭毛菌類であるスラウストキトリウム・アウレウム(Thraustochytrium aureum)ATCC 34304、スラウストキトリウム属(Thraustochytrium sp.)ATCC 28211、ATCC 20890およびATCC 20891、シゾキトリウム属(Schizochytrium sp.)ATCC 20888およびATCC 20889〔米国特許No.5,340,742〕、スラウストキトリウム属(Thraustochytrium sp.)SR21株〔日本農芸化学会誌、第69巻、臨時増刊号、1995年7月5日発行〕、ジャポノキトリウム属(Japonochytrium sp.)ATCC 28207〔特開平1−199588号公報〕、微細藻類であるシクロテラ・クリプティカ(Cyclotella cryptica)、クリプテコディニウム・コーニー(Crypthecodinium cohnii)〔特表平5−503425号公報〕、エミリアニア〔特開平5−308978号公報〕などが知られている。
【0012】
上記のいずれの微生物にも、DHAおよび/またはDPAの生産率が低い、培養時間が長い、生産に特別の培地または培養条件を必要とするなどの欠点がある。特に、エミリアニアなどの藻類を用いる場合、DHAの生産量が高くても、培養に光を必要とするために工程が複雑になり、工業生産に適していない等の欠点がある。
【0013】
さらに、上記のいずれの油脂を用いるかにかかわらず、従来、DPAおよびDHAの少なくとも一方を含有する構造脂質、特に、主としてトリグリセリドの2位のみにこれらの高度不飽和脂肪酸のいずれかが結合した構造脂質を、効率的に製造することは困難であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方を含む構造脂質を効率的に製造する、工業的規模での利用に適した方法を提供することを目的とする。本発明はまた、この方法により得られる構造脂質を含有する油脂組成物、およびこの油脂組成物を利用した食品を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく、鋭意努力した結果、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方を含む油脂、特に微生物の生産する油脂を、細菌由来のリパーゼを用いて処理することにより、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方を含む構造脂質を、良好な収率で製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明は、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方を含む構造脂質の製造方法であって、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方を含む油脂を、中鎖脂肪酸の存在下で、細菌由来のリパーゼを用いて処理する工程を包含する方法を提供する。
【0017】
一つの実施態様では、上記リパーゼは、シュードモナス属由来のリパーゼである。好ましい実施態様では、上記リパーゼは、シュードモナス属KWI-56株由来のリパーゼである。
【0018】
別の実施態様では、上記油脂は、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方の生産能を有する微生物の培養物から得られる。好ましい実施態様では、上記微生物は、スラウストキトリウム科に属する微生物である。さらにより好ましい実施態様では、上記微生物は、ウルケニア属、シゾキトリウム属、またはスラウストキトリウム属に属する微生物である。さらにより好ましい実施態様では、上記微生物は、ウルケニア属に属する微生物である。さらにより好ましい実施態様では、上記微生物は、ウルケニア属SAM2179株である。
【0019】
本発明はまた、上記のいずれかの方法によって得られた構造脂質を含有する油脂組成物を提供する。
【0020】
一つの実施態様では、上記構造脂質は、1位のみ、3位のみ、または1および3位のみに中鎖脂肪酸が結合したトリグリセリドである。好ましい実施態様では、上記中鎖脂肪酸はカプリル酸である。
【0021】
本発明はさらに、上記のいずれかの油脂組成物を含有する、栄養補助食品、健康食品、または機能性食品、幼児用食品、乳児用調製乳または未熟児用調製乳、ならびに老人用食品を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明を詳しく説明する。
【0023】
1.用語の定義
本明細書において、「ドコサペンタエン酸」とは、他に特定されない限り、(n−6)系のドコサペンタエン酸〔22:5(n−6)〕を指す。DPAは、ドコサペンタエン酸の略語である。
【0024】
本明細書において、「ドコサヘキサエン酸」とは、他に特定されない限り、(n−3)系のドコサヘキサエン酸〔22:6(n−3)〕を指す。DHAは、ドコサヘキサエン酸の略語である。
【0025】
本明細書において、「脂質」とは、脂肪酸とアルコールとがエステル結合した化合物(例えば、グリセリド)またはその類似体(例えば、コレステロールエステル)などを含む単純脂質、その他にさらにリン酸、硫酸、糖、アミノ基などを含む複合脂質、および脂質の加水分解物で水に溶けない誘導脂質を含む用語である。
【0026】
本明細書において、「油脂」、「オイル」および「トリグリセリド」という用語は、同じ意味で使用する。
【0027】
本明細書において、「構造脂質」とは、短鎖および/または中鎖脂肪酸と、長鎖脂肪酸との混合物を含むように改変された、非天然のトリグリセリドを指す。ここで、短鎖脂肪酸とは、約7個以下の炭素を有する脂肪酸を指し、中鎖脂肪酸とは、約8〜12個の炭素を有する脂肪酸を指し、長鎖脂肪酸とは、約13個以上の炭素を有する脂肪酸を指す。
【0028】
本明細書において、「油脂組成物」とは、油脂を含有する組成物を指す。油脂組成物は、通常、組成物全体の重量を基準として約10重量%以上の油脂を含有し、好ましくは約20重量%以上、より好ましくは約50重量%以上、さらにより好ましくは約70重量%以上の油脂を含有する。
【0029】
2.材料
2.1 リパーゼ
リパーゼは、エステルの加水分解、エステルの合成、エステル転移(アシドリシス、アルコーリシス、エステル交換、アミノリシス)などの各種反応を触媒する。本発明においては、細菌由来のリパーゼが、アシドリシス反応を高い活性で触媒し得ることを利用して、構造脂質を効率的に生成させる。アシドリシス反応は、以下の反応式1により示される。
【化1】
Figure 0004283351
【0030】
本発明においては、任意の細菌由来のリパーゼを使用し得る。細菌由来のリパーゼは、トリグリセリドでのアシドリシス反応において、通常、位置選択性がなく、そして約20個以上の炭素を有する長鎖脂肪酸のアシドリシス反応を触媒する活性は著しく低い。これは、細菌自身は本来約20個以上の炭素を有する長鎖脂肪酸を合成しないため、このような長鎖脂肪酸の反応を触媒し難いためと考えられる。従って、DPAおよび/またはDHAを含有するトリグリセリドをアシドリシス反応の基質とした場合、これらDPAおよび/またはDHAを実質的に維持したまま、より短鎖の脂肪酸についての反応を選択的に触媒し得る。リパーゼを採取するための細菌の例としては、シュードモナス属(Pseudomonas)、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、バチルス(Bacillus)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属などの属に分類される細菌が挙げられるが、好ましくは、シュードモナス属に分類される細菌であり、より好ましくは、シュードモナス属(Pseudomonas sp.) KWI-56株である。
【0031】
リパーゼは、細菌を培養して採取したものを用いても、市販のものを用いてもよい。細菌からリパーゼを採取する場合、当該分野で公知の方法を利用し得る。精製したリパーゼが好ましく、その純度は、好ましくは約40%以上、より好ましくは約60%以上であり得るが、未精製のリパーゼであってもよい。
【0032】
リパーゼは、固定化せずに用いてもよい。しかし、連続的に酵素反応を行い得る点、および反応後に酵素を回収して再利用し得る点で有利であるために、固定化酵素が好ましい。固定化には、リパーゼの活性を著しく低下させない限り、任意の方法を用い得る。固定化方法の例としては、当該分野で公知の、担体結合法、架橋法、包括法、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0033】
担体結合法によりリパーゼを固定化する場合、担体の例としては、炭酸カルシウム(CaCO3)粉末、イオン交換樹脂、ポリウレタンフォーム、セラミック、多糖類(例えば、セルロース、デキストラン、アガロースなど)の誘導体、ポリアクリルアミド、活性炭、ベントナイト、珪藻土、キチン、キトサンなどが挙げられる。担体は、好ましくは、炭酸カルシウム粉末、イオン交換樹脂、珪藻土、セラミック、ベントナイト、キトサンであり、より好ましくは、炭酸カルシウム粉末である。
【0034】
架橋法によりリパーゼを固定化する場合、架橋のために、通常は、2個以上の官能基を有する、水可溶性の2官能基試薬を用いる。このような試薬の例としては、グルタルアルデヒド、イソシアナート誘導体、ビスジアゾベンジジン、N,N'-ポリメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'-エチレンビスマレインイミドなどが挙げられる。2官能性試薬としては、グルタルアルデヒドおよびイソシアナート誘導体が好ましい。
【0035】
包括法によりリパーゼを固定する場合、例えば、ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアルコールゲル、ケイ素樹脂、デンプンマトリックス、コンニャク粉、ウレタン樹脂ポリマー、アルギン酸カルシウム、寒天などを用いる格子型包括法、ならびにナイロン、ポリウレア、フェニルシロキサンのはしご形重合体、ポリスチレン、エチルセルロース、コロジオン、硝酸セルロース、ブチル酢酸セルロースなどを用いるマイクロカプセル型包括法により固定化し得る。包括法としては、ポリアクリルアミドゲル、ウレタン樹脂ポリマー、アルギン酸カルシウム、および寒天を用いる方法が好ましい。酵素の固定化法については、例えば、千畑一郎編、「固定化酵素」、株式会社講談社、9-85頁、1975に詳細に説明されている。
【0036】
2.2 (n−6)系DPAおよび/またはDHAを含む油脂
本発明においては、(n−6)系ドコサペンタエン酸(DPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の少なくとも一方を含む油脂として、これらの高度不飽和脂肪酸を所望の量含む任意の油脂を使用し得る。油脂すなわちトリグリセリドにおいては、少なくとも2位に(n−6)系DPAまたはDHAが結合していることが好ましい。従って、2位のみ、1位および2位、または2位および3位にDPAまたはDHAを含む油脂が好ましい。
【0037】
このような油脂の例としては、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方の生産能を有する微生物の培養物から得られる油脂が挙げられる。もっとも、本発明は微生物由来の油脂に限定はされず、イワシ、サバ、サンマ、サケなどから採取される魚油、アザラシなどから採取される動物油なども使用し得る。
【0038】
油脂を採取するために培養される微生物の例としては、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方の生産能を有する、スラウストキトリウム科(Thraustochytiidae)に分類される微生物、好ましくは、ウルケニア属、シゾキトリウム属、またはスラウストキトリウム属に分類される微生物、より好ましくはウルケニア属に分類される微生物が挙げられる。ウルケニア属の微生物として好ましい例は、本発明者らが海水から分離した、ウルケニア属SAM2179株およびSAM2180株である(WO 98/03671)。これらの菌株のうち、(n−6)系DPAおよびDHAを特に高含有量で生産し得るのは、SAM2179株である。ウルケニア属SAM2179株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に平成8年7月23日付けで寄託され、受託番号FERMBP−5601を取得している。
【0039】
ウルケニア属SAM2179株およびSAM2180株の菌学的性質は以下の通りである:これら微生物を、KMV液体培地〔Fuller. M.およびA. Jaworski(編):Zoosporic Fungi in Teaching & Research VII+303 pp., 1987,Southeastern Publishing Corporation, Athens〕において20℃暗黒下で培養すると、球形ないし卵形の細胞が観察され、また2本の鞭毛を持つ遊走子も観察される。しかしながら、網目状の裸の原形質は観察されない。よって、これら微生物は、小林義雄・今野和子:日本産水棲菌類図説〔169頁、1986年、著者自費出版〕に準拠して、Thraustochytrialesに所属する菌類であると判断される。さらに、これら微生物は、KMV液体培地において、仮根を形成する、胞嚢を欠く、アメーバー状の細胞を形成するということからウルケニア属に属する菌類であると判断される。
【0040】
本発明において用いる微生物は、天然から分離したウルケニア属の微生物(野性株)だけでなく、その変異株または組換え株であってもよい。即ち、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を含有する油脂をさらに高水準で産生するように設計された変異株および組換え株の使用は本発明の範囲内にある。このような変異株または組換え株には、同じ基質を用いて培養したときに、元の野性株が産生する量と比べて、油脂中の(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方の含有量が多くなるように、または総油脂量が多くなるように、あるいはその両方を意図して設計されたものが含まれる。さらに、費用効果の優れた基質を効率よく用いて、対応する野性株と同量の(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を産生するように設計された微生物も含まれる。
【0041】
本発明において用いる微生物を培養するには、その菌株を予め培養して得られた前培養液を、適切な液体培地または固体培地に接種し、培養する。培地に添加する炭素源、窒素源、微量栄養源などの培地成分、ならびにpH、温度などの培養条件は、公知の条件から選択される。(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方の含有量に悪影響を与えない限り、これらの条件は特に限定されない。
【0042】
(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方の生産を促進するために、その前駆体を培地に添加することができる。前駆体としては、例えば、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の炭化水素、あるいはオレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸等の脂肪酸、またその塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)もしくはエステルを挙げることができる。さらに、これら脂肪酸を構成成分として含む油脂(例えば、オリーブ油、大豆油、綿実油、ヤシ油)等も添加することができる。これらは、単独でまたは組合せて用いることができる。
【0043】
炭素源、窒素源、前駆体などの培地への添加は、培養開始前または培養中に行うことができる。また、これらの添加は、一回または複数回で、あるいは連続的に行うことができる。(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を含有する油脂を実用上好ましい収率で得るには、液体培地を用いて通気撹拌培養することが好ましい。培養には、通常の撹拌式発酵槽または気泡塔型培養装置を使用することができる。
【0044】
このように培養して、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を含有する油脂が菌体内に生成および蓄積される。液体培地を使用した場合には、菌体培養によって油脂を製造する途中の培養液もしくはその殺菌した培養液、培養終了時の培養液もしくはその殺菌した培養液、またはそれぞれの培養液から集菌した培養菌体もしくはその乾燥物から、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を含有する油脂を採取する。培養菌体からの油脂の採取は、例えば、次のようにして行う。
【0045】
培養終了後、遠心分離、濾過等の常用の固液分離手段により、培養液から培養菌体を得る。菌体を十分水洗する。好ましくは、分離した菌体を乾燥する。乾燥は凍結乾燥、風乾等によって行うことができる。乾燥菌体を、例えばダイノミルや超音波などによリ破砕した後、好ましくは窒素気流下で有機溶媒によって抽出処理する。有機溶媒としては、エーテル、ヘキサン、メタノール、エタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、石油エーテル等を用いることができる。また、メタノールと石油エーテルとの交互抽出、クロロホルム−メタノール−水の一層系の溶媒を用いた抽出によっても良好な結果を得ることができる。減圧下で抽出物から有機溶媒を留去することにより、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を高濃度で含有する油脂が得られる。
【0046】
上記の方法に代えて、湿菌体を用いて抽出を行うこともできる。この場合には、メタノール、エタノール等の水に対して相溶性の溶媒、またはこれらアルコールと水および/または他の溶媒とからなる水に対して相溶性の混合溶媒を使用する。その他の手順は上記と同様である。
【0047】
このようにして得られた脂質中には、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方が、中性脂質(例えば、トリグリセリド)および極性脂質(例えば、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシトール)の形で存在している。この脂質からの、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を含有する油脂の精製は、常法により、例えば冷却分離法、カラムクロマトグラフィーなどにより行い得る。
【0048】
2.3 中鎖脂肪酸
中鎖脂肪酸は、約8〜12個の炭素を有する飽和または不飽和の脂肪酸である。飽和脂肪酸が好ましい。飽和の中鎖脂肪酸の例としては、カプリル酸〔8:0〕、カプリン酸〔10:0〕、およびラウリン酸〔12:0〕が挙げられる。中鎖脂肪酸は、天然油脂原料、例えば、ココナツ油またはパーム核油由来の分画物として入手できる。本発明においては、天然の油脂から豊富にかつ安価に入手できるため、中鎖脂肪酸として特にカプリル酸が好ましい。
【0049】
3.構造脂質の製造
(n−6)系ドコサペンタエン酸(DPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の少なくとも一方を含む油脂、リパーゼ、および中鎖脂肪酸を混合し、撹拌または振盪してアシドリシス反応を進行させることにより、目的とする構造油脂が得られる。
【0050】
中鎖脂肪酸の量は、油脂の重量を100重量部として、通常、約10〜1000重量部であり、好ましくは、約150〜500重量部であり、より好ましくは、約200〜300重量部である。リパーゼの量は、油脂1gあたり、通常、約100〜100000U、好ましくは、約1000〜50000U、より好ましくは、約5000〜10000Uである。
【0051】
ここで、リパーゼについては、加水分解により毎分1μmolの脂肪酸を生産する酵素量を、1Uと定義する。リパーゼの酵素量は、例えば、次の方法により測定される。まず、100mlサンプル瓶にオリーブ油2.0ml、0.05M CaCl2水溶液1.0ml、および0.1M 酢酸緩衝液(pH5.6)10mlを加える。この混合液を30℃±0.1℃の反応装置に入れ、500rpmで撹拌しながら10分間予備加温する。酵素試料をサンプル瓶に加えて撹拌を続け、1時間反応させた後、エタノール40mlを加えて反応を停止させる。反応停止後、サンプル瓶に0.05N水酸化ナトリウム溶液を、pHが10となるまで添加することにより、滴定を行う。このとき、試料を加えないこと以外は同じ手順で、同時に空試験を行う。測定後、以下の式により、酵素の加水分解活性を算出する:
A=(a−b)×f×50×1/60×1/S
ただし、A:加水分解活性(U/mgまたはU/ml)
a:試料の測定に要した0.05N水酸化ナトリウム溶液(ml)
b:空試験の測定に要した0.05N水酸化ナトリウム溶液(ml)
f:0.05N水酸化ナトリウム溶液のファクター
S:試料の量(mgまたはml)
50:0.05N水酸化ナトリウム溶液1mlに相当する脂肪酸量(μmol)
60:反応時間(分)。
【0052】
油脂、リパーゼ、および中鎖脂肪酸の混合物は、さらに他の物質を含んでいてもよい。例えば、混合物を、ヘキサン、エーテル、エステルなどの溶媒に溶解してもよい。有機溶媒は人体に悪影響を及ぼすので反応後に除去する必要性があり、そのために費用および手間がかかるので、無溶媒系で反応を行うことが好ましい。
【0053】
油脂、リパーゼ、および中鎖脂肪酸の混合物を処理する温度は、特に限定されないが、通常、約10℃〜50℃、好ましくは約20℃〜40℃、より好ましくは約25〜35℃である。上記の混合物を反応させる時間は、特に限定されないが、通常、約1〜500時間、好ましくは約10〜300時間、より好ましくは約20〜250時間である。反応の際には、不飽和脂肪酸の酸化および水分の混入を防ぐために、反応液の入っている容器の空気を窒素置換することが好ましい。反応系に水分が混入すると、アシドリシス反応と平行して加水分解反応が進行するため、好ましくない。このような条件で油脂と中鎖脂肪酸とのアシドリシス反応を進行させることにより、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を含む構造脂質が生成する。反応の進行度ならびに反応に用いた油脂に含まれる(n−6)系DPAおよびDHAの量により、1位または3位のいずれかに中鎖脂肪酸が結合し、2位に(n−6)系DPAまたはDHAが結合したトリグリセリド;ならびに1位および3位に中鎖脂肪酸が結合し、2位に(n−6)系DPAまたはDHAが結合したトリグリセリドが生成し得る。
【0054】
反応終了後、反応液をアルカリで洗浄するなどにより、遊離の脂肪酸を除去することが好ましい。生成した構造脂質の精製は、必要に応じて、上記2.2に記載した油脂の精製と同様に行うことができる。従って、構造脂質は通常、他の成分をも含有する油脂組成物として得られるが、目的とする構造脂質を純品として単離することも可能である。
【0055】
生成した構造脂質には、構造脂質に含まれる脂肪酸全体を100モル%として、一般に、約20〜80モル%、好ましくは約40〜70モル%、より好ましくは約60〜70モル%の中鎖脂肪酸が取り込まれている。中鎖脂肪酸は、トリグリセリドの1および3位に取り込まれていることが好ましい。1および3位に中鎖脂肪酸(MA)が、そして2位に(n−6)系DPAまたはDHAが結合したトリグリセリド(MA−DPA/DHA−MA)の、1および2位に中鎖脂肪酸が、そして3位に(n−6)系DPAまたはDHAが結合したトリグリセリド(MA−MA−DPA/DHA)に対する比率(両者の和を100%としたときの前者の割合)は、代表的には60%以上、好ましくは65%以上であり得るが、これらに限定はされない。
【0056】
4.構造脂質の利用
(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を含有する構造油脂を、種々の食品または飼料もしくは餌料に添加することにより、(n−6)系DPAおよびDHAの不足を補い得る油脂含有食品などが提供される。これによれば、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を、生体内の膵臓リパーゼにより分解されやすく、従って腸内で吸収され易い状態で摂取し得る。
【0057】
上記の食品の例としては、栄養補助食品、健康食品、機能性食品、幼児用食品、乳児用調製乳、未熟児用調製乳、老人用食品などが挙げられる。本明細書中では、食品は、固体、流動体および液体ならびにそれらの混合物であって、摂食可能なものの総称である。
【0058】
栄養補助食品とは、特定の栄養成分が強化されている食品をいう。健康食品とは、健康的な、または健康によいとされる食品をいい、栄養補助食品、自然食品、ダイエット食品などを含む。機能性食品とは、体の調節機能を果たす栄養成分を補給するための食品をいい、特定保健用途食品と同義である。幼児用食品とは、約6歳までの子供に与えるための食品をいう。老人用食品とは、無処理の食品と比較して消化および吸収が容易であるように処理された食品をいう。乳児用調製乳とは、約1歳までの子供に与えるための調製乳をいう。未熟児用調整乳とは、未熟児が生後約6ヶ月になるまで与えるための調製乳をいう。
【0059】
これらの食品の形態の例としては、肉、魚、ナッツなどの天然食品(油脂で処理したもの);中華料理、ラーメン、スープなどの調理時に油脂を加える食品;天ぷら、フライ、油揚げ、チャーハン、ドーナッツ、かりん糖など、熱媒体として油脂を用いた食品;バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、チョコレート、即席ラーメン、キャラメル、ビスケット、クッキー、ケーキ、アイスクリームなどの油脂食品または加工時に油脂を加えた加工食品;おかき、ハードビスケット、あんパンなどの加工仕上げ時に油脂を噴霧または塗布した食品などを挙げることができる。もっとも、本発明の食品は、本来油脂を含んでいる食品に限定されるわけではなく、例えば、パン、めん類、ごはん、菓子類(キャンデ−、チューインガム、グミ、錠菓、和菓子)、豆腐およびその加工品などの農産食品;清酒、薬用酒、みりん、食酢、醤油、味噌などの発酵食品;ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージなどの畜産食品;かまぼこ、揚げ天、はんぺんなどの水産食品;果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、茶などの飲料などであってもよい。
【0060】
本発明の食品はまた、医薬製剤の形態、またはタンパク質(タンパク質源としては、アミノ酸バランスが良くかつ栄養価の高い乳タンパク質、大豆タンパク質、卵アルブミンなどのタンパク質が最も広く使用されるが、これらの分解物、卵白のオリゴペプチド、大豆加水分解物、各種アミノ酸の混合物などが使用され得る)、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料などに本発明の油脂が配合された自然流動食、半消化態栄養食および成分栄養食、ドリンク剤、経腸栄養剤などの加工形態であってもよい。本発明の食品が医薬製剤の形態である場合、本発明の食品は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、ドリンク剤、自然流動食、半消化態栄養食、成分栄養食、経腸栄養剤などの形態であり得る。
【0061】
これらの食品は、公知の方法によって製造し得る。本発明の油脂組成物は、構造脂質を実質的に変性または分解させない限り、任意の段階において添加される。油脂組成物の添加量は特に限定されず、目的とする構造脂質が所望の含有量となるように適宜設定される。
【0062】
【実施例】
次に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
【0063】
<実施例1> ウルケニア属微生物による油脂の製造(1)
ウルケニア属SAM2179株およびSAM2180株を、それぞれ、容量5Lのジャーファーメンター型の培養槽で、以下の(1)の組成の培地3Lおよび以下の(2)の培養条件を用いて培養した。
【0064】
(1)培地組成(g/L)
1)グルコース:60
2)リン酸カリウム:3
3)硫酸アンモニウム:2
4)コーンスティープリカー:0.7
5)50%人工海水:1L
6)pH:4.0
(2)培養条件
1)培養温度(℃):28
2)通気量(VVM):0.5
3)撹拌速度(rpm):300
4)pH調整:10%(w/v)水酸化ナトリウムでpH4に保持した。
【0065】
3日間の培養後、遠心分離により菌体を集めて凍結乾燥し、培地1L当たりの菌体量(重量)を求めた。次いで、この乾燥菌体にクロロホルム/メタノール(2:1、v/v)混合液を菌体重量に対して100v/w比で加え、ガラスビーズの存在下でホモジナイズすることにより、菌体の破砕および油脂の抽出を行った。抽出液をFolch法により洗浄した後、溶媒を留去して精製油脂を得、その重量を測定した。
【0066】
得られた精製油脂の脂肪酸組成を評価するため、油脂の一部を、10%HClを含むメタノール溶液とジクロロメタンの等量混合液に溶解し、60℃で2時間熱処理することにより、脂肪酸メチルエステルを調製した。これをガスクロマトグラフに導入して脂肪酸組成を分析した。ガスクロマトグラフィー(GC)の分離条件は次のようであった。
【0067】
(3)分離条件
1)カラム:キャピラリーカラム、TC−70
GLサイエンス社(GL Science Co., Ltd)、
内径0.25mm×長さ30m
2)流速:0.8ml/分、100kPa(カラム頭部圧力)
3)キャリアーガス:窒素ガス
4)カラム温度:昇温モード、170〜220℃(4℃/分)
5)検出:=FID
この結果を以下の表1および表2に示す。
【表1】
Figure 0004283351
【0068】
【表2】
Figure 0004283351
【0069】
以上のように、SAM2179株およびSAM2180株は、人工海水を含む培地中において、DPA含有量およびDHA含有量の高い油脂を生産した。
【0070】
<実施例2> ウルケニア属微生物による油脂の製造(2)
ウルケニア属SAM2179株について、容量5Lのジャーファーメンター型の培養槽で、以下の(1)の組成の培地3Lおよび以下の(2)の培養条件を用いて培養した。試験は2回行なった(試験1および2)。
【0071】
(1)培地組成(g/L)
1)グルコース:60
2)リン酸カリウム:3
3)硫酸アンモニウム:2
4)塩化マグネシウム:1.3
5)硫酸ナトリウム:1
6)塩化カルシウム:0.3
7)コーンスティープリカー:0.7
8)pH:4.0
(2)培養条件
1)培養温度(℃):28
2)通気量(VVM):0.5
3)撹拌速度(rpm):300
4)pH調製:10%(w/v)水酸化ナトリウムでpH4に保持した。
【0072】
3日間の培養後、実施例1と同様の条件により、精製油脂を得、その重量を測定した。得られた精製油脂の脂肪酸組成は、実施例1と同様にして、GCにより分析した。結果を以下の表3および表4に示す。
【表3】
Figure 0004283351
【0073】
【表4】
Figure 0004283351
【0074】
以上のように、SAM2179株は、人工海水を含まない培地中においても、DPA含有量およびDHA含有量の高い油脂を生産した。
【0075】
<実施例3> (n−6)系DPAおよびDHAを含有する構造脂質の製造 Pseudomonas sp.KWI-56株由来の粉末状リパーゼ(PSL)(クリタ工業株式会社製:加水分解活性=56.5U/mg)500mgを、5mlの蒸留水に溶解することにより、5600U/mlのPSL溶液を調製した。このPSL溶液5mlに、固定化担体としてCaCO3を2.5g加え、氷冷しながら10分間撹拌した。この溶液に40mlの冷アセトンを添加することにより、固定化酵素を沈澱させた後、8000rpm、4℃で20分間遠心分離し、上清を捨てて残渣を得た。残渣を乾燥することにより、使用する固定化酵素を得た。この固定化酵素の比活性は9.3U/mgであった。コントロールとして、Rhizomucor miehei由来リパーゼ(Lipozyme)を使用した。Lipozyme(登録商標)は、イオン交換樹脂を担体とする固定化酵素であり、ノボ・ノルディスク社から販売されている。
【0076】
実施例2の試験2で得られた、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸を含有する精製油脂1g、固定化PSL540mg(またはLipozyme 100mg)、およびカプリル酸1、2、または3gを混合した。この混合液を30℃で撹拌または振盪することにより、アシドリシス反応を進行させた。反応中、経時的に反応液をサンプリングした。常法に従って、反応混合物をアルカリ洗浄して脂肪酸を除去し、シリカゲルクロマトグラフィーにより、トリグリセリドを回収した。回収したトリグリセリドについて、脂肪酸組成を分析した。
【0077】
脂肪酸のGCによる分析は、実施例1と同様に行なった。結果を以下の表5ならびに図1、図2、および図3に示す。
【0078】
表5において、固定化PSLについての結果は、油脂とカプリル酸との重量比を1:3として144時間反応させた後に得られた構造脂質に含まれる脂肪酸の組成を示す。Lipozymeについての結果は、油脂とカプリル酸との重量比を1:2として144時間反応させた後に得られた構造脂質に含まれる脂肪酸の組成を示す。
【0079】
Lipozymeを用いた場合、カプリル酸の取り込みは約23%であるのに対し、固定化PSLを用いた場合、カプリル酸の取り込みは約65%であった。つまり、固定化PSLでは、Lipozymeの場合の約3倍まで、トリグリセリドへのカプリル酸の取り込みが増加し得ることが示された。
【表5】
Figure 0004283351
【0080】
図1は、油脂とカプリル酸との重量比による、カプリル酸取り込み量への影響を示すグラフである。図1aは、固定化PSLを用いた場合の結果を示し、図1bは、Lipozymeを用いた場合の結果を示す。それぞれ、反応に用いた油脂とカプリル酸との重量比が、1:1の場合(○)、1:2の場合(△)、および1:3の場合(□)を示す。
【0081】
図2は、アシドリシス反応の進行に伴う、油脂に含まれる脂肪酸組成の変化を示すグラフである。図2aは、油脂とカプリル酸との重量比を1:3とし、固定化PSLを用いた場合の結果を示す。図2bは、油脂とカプリル酸との重量比を1:2とし、Lipozymeを用いた場合の結果を示す。
【0082】
図1および図2から、Lipozymeを用いた場合、油脂へのカプリル酸の取り込み量は23%程度が限度であり、過剰のカプリル酸を用いても取り込み量が増加しないことがわかる。これに対して、固定化PSLを用いた場合、油脂へのカプリル酸の取り込み量が著しく増加することがわかる。油脂とカプリル酸との重量比が1:3である場合、216時間で約77%のカプリル酸が油脂に取り込まれた。
【0083】
図3は、GCによるクロマトグラムである。図3aは、油脂とカプリル酸との重量比を1:3とし、固定化PSLを用いて144時間反応させた結果を示す。図3bは、油脂とカプリル酸との重量比を1:2とし、Lipozymeを用いて144時間反応させた結果を示す。図3cは、未処理の油脂についての結果を示す。図3において、C27は8−8−8を示し、C35は8−8−16を示し、C41は8−8−22または8−14−16を示し、C49は8−16−22または14−16−16を示し、C51は16−16−16を示し、C55は8−22−22または14−16−22を示し、C57は16−16−22を示し、そしてC63は16−22−22を示す。(ここで、8はカプリル酸、14はミリスチン酸、16はパルミチン酸、22はDHAまたはDPAを示す。ただし、数字の順序はトリグリセリドにおける結合位置とは無関係である。)これらのピークの積分強度比を、以下の表6に示す。
【表6】
Figure 0004283351
【0084】
図3および表6により、Lipozymeを用いた場合、望ましい構造脂質を含むC41化合物の含有量は約19%であり、他にC49、C55の化合物が大量に残存していることがわかる。これに対して、固定化PSLを用いた場合、C41化合物の含有量は約38%であり、C49、C55はそれぞれ、約7〜8%まで減少した。またC27(8-8-8)の含有量が約29%に増加した。このことから、Lipozymeを用いた場合に比べて、固定化PSLを用いた場合、同じ油脂を出発原料として、目的とするC41化合物が約2倍多い構造脂質を製造し得ることが示される。
【0085】
<実施例4> HPLCによる構造脂質の分子種分析
実施例3で得られた構造脂質を、銀イオン結合型カラムを用いたHPLCにより、トリグリセリドの分子種について分析した。
【0086】
(1)分析条件
1)カラム:CHROMSPHER 5 LIPIDS(250×4.6mm)
CHROMAPACK社製
2)流速:0.65ml/分
3)溶離液(容量比):
A)ヘキサン:プロパノール:アセトニトリル=350:100:2.75
B)ヘキサン:プロパノール:アセトニトリル=350:100:10
0〜 3分 A100%
3〜13分 A100→0%/B0%→100%
13〜33分 B100%
4)検出:UV206nm
結果を図4に示す。図4aは、油脂とカプリル酸との重量比を1:3とし、固定化PSLを用いて144時間反応させた結果を示す。図4bは、油脂とカプリル酸との重量比を1:2とし、Lipozymeを用いて144時間反応させた結果を示す。図4において、符号を付したピークは、それぞれ以下のトリグリセリドを示す:
1= 飽和脂肪酸のみを有する 9= 16-DPA-DPA
トリグリセリド 10= 8-DPA-DPA
2= 8-16-DPA 11= 16-DHA-DPA
3= 8-DPA-8 12= 8-DHA-DPA
4= 8-8-DPA 13= 16-DHA-DHA
5= 8-DHA-16 14= 8-DHA-DHA
6= 8-16-DHAまたは16-8-DHA 15= DPA-DPA-DHA
7= 8-DHA-8 16= DPA-DHA-DHA
8= 8-8-DHA 17= DHA-DHA-DHA
(ここで、8はカプリル酸、16はパルミチン酸を示す。ピーク9〜16については、位置異性体の区別はない。)
【0087】
図4から、固定化PSLを用いることにより、Lipozymeを用いた場合に比べて、2位にDPAまたはDHAを有し、かつ1および3位にカプリル酸が取り込まれた分子種である構造油脂(ピーク3および7)が多量に得られることが示される。
【0088】
<実施例5> (n−6)系DPAおよびDHA含有ミルクの調製
実施例3で得られた油脂組成物1.2gを、粉末ミルク100gに混合することにより、(n−6)系DPAおよびDHA含有ミルクを調製した。このミルクの全脂肪酸に対する(n−6)系DPAの割合は0.27%、DHAの割合は0.84%となった。従って、従来の調製乳に不足していた(n−6)系DPAおよびDHAを構造脂質として含有した調製乳が得られた。
【0089】
<実施例6> (n−6)系DPAおよびDHA含有カプセルの調製
【表7】
Figure 0004283351
【0090】
表7に示す成分からなるソフトカプセル剤の中に、実施例3で得られた(n−6)系DPAおよびDHAを含有する構造脂質を含む油脂300mgを常法により充填し、ソフトカプセル剤を得た。このソフトカプセルは、それ自体栄養補助食品として、または栄養補助食品の原材料として有用である。
【0091】
<実施例7> (n−6)系DPAおよびDHAを含有する飲料の調製
容器中に市販のプレーンヨーグルト50g、実施例3で得られた、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を含有する構造脂質を含む油脂50、ならびにβ−シクロデキストリン1gを入れた。これを約3分間撹拌して乳化させ、W/O/W、O/W/O型などが混在する、エマルジョンを得た。このエマルジョンを水で500倍に希釈することにより、機能性飲料を得た。
【0092】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を多量に含有する油脂を、中鎖脂肪酸の存在下で、細菌由来のリパーゼを用いて処理する工程を含む。アシドリシス反応の触媒活性が高い細菌由来のリパーゼを用いることにより、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を主として2位に含む構造脂質を、効率良く製造することができる。
【0093】
本発明の油脂組成物は、生体内で重要な生理活性を果たし得る高度不飽和脂肪酸である(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を、特に生体内での吸収性の高い構造脂質として含んでいる。そのため、本発明の油脂組成物は、これらの高度不飽和脂肪酸の少なくとも一方を必要とする各種製品(乳児用調製乳、未熟児用調製乳、幼児用食品、老人用食品、栄養補助食品、機能性食品、経腸栄養剤、動物用飼料または動物用飼料添加物、微小餌料生物用餌料など)に、(n−6)系DPAおよびDHAの少なくとも一方を、構造脂質として、安定的にかつ効率よく供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、油脂とカプリル酸との重量比による、カプリル酸取り込み量への影響を示すグラフである。図1aは、固定化PSLを用いた場合の結果を示し、図1bは、Lipozymeを用いた場合の結果を示す。
【図2】図2は、アシドリシス反応の進行に伴う、油脂に含まれる脂肪酸組成の変化を示すグラフである。図2aは、油脂とカプリル酸との重量比を1:3とし、固定化PSLを用いた場合の結果を示す。図2bは、油脂とカプリル酸との重量比を1:2とし、Lipozymeを用いた場合の結果を示す。
【図3】図3は、GCによるクロマトグラムである。図3aは、油脂とカプリル酸との重量比を1:3とし、固定化PSLを用いて144時間反応させた結果を示す。図3bは、油脂とカプリル酸との重量比を1:2とし、Lipozymeを用いて144時間反応させた結果を示す。図3cは、未処理の油脂についての結果を示す。
【図4】図4は、HPLCによるクロマトグラムである。図4aは、油脂とカプリル酸との重量比を1:3とし、固定化PSLを用いて144時間反応させた結果を示す。図4bは、油脂とカプリル酸との重量比を1:2とし、Lipozymeを用いて144時間反応させた結果を示す。

Claims (6)

  1. (n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方を含む油脂を、中鎖脂肪酸の存在下で、シュードモナス属KWI−56株由来のリパーゼを用いて処理する工程を包含する、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方を含む構造脂質の製造方法。
  2. 前記油脂が、(n−6)系ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の少なくとも一方の生産能を有する微生物の培養物から得られる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記微生物が、スラウストキトリウム科に属する微生物である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記微生物が、ウルケニア属、シゾキトリウム属、またはスラウストキトリウム属に属する微生物である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記微生物が、ウルケニア属に属する微生物である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記微生物が、ウルケニア属SAM2179株(FERM BP−5601)である、請求項5に記載の製造方法。
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