JP4279953B2 - ポリエステルブロック共重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形性、耐熱性に優れたポリエステルブロック共重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリエステルとラクトン類とを反応させてポリエステルブロック共重合を製造する方法としては、結晶性芳香族ポリエステルとラクトンを反応させる方法(特開昭48−4116号公報)、結晶性芳香族ポリエステルとラクトンを反応させ、得られる初期共重合体に多官能アシル化剤を反応させて鎖延長させる方法(特開昭48−4115号公報)、結晶性芳香族ポリエステルの存在下でラクトン類を固相重合させる方法(特公昭52−49037号公報)等が知られている。
これらの方法によって得られるポリエステルブロック共重体は、優れたゴム状弾性を有し、且つ耐候性においても優れたものであるが、耐熱性が不十分であり、高温に長時間曝されると粘度、強度、伸度等の低下が著しいという欠点がある。また、ブロー成形において重要な因子となる歪み硬化性という特性を持ち合せておらず、ブロー成形において均一な厚みの成形物を得ることはできない。
【0003】
そこで、上記の様なポリエステル型ブロック共重合体の耐熱性や成形性を改善するため、1官能以上のエポキシ化合物を配合する方法(特開昭58−162654号公報)、1官能以上のエポキシ化合物および脂肪族カルボン酸金属塩を配合する方法(特開昭59−152947号公報)、1官能以上のエポキシ化合物およびエチレン−カルボン酸共重合体を配合する方法(特開昭59−155458号公報)等が提案されたが、これらの方法によって得られる組成物は溶融粘度が比較的低い、溶融粘度の伸長速度依存性と脂肪族カルボン酸金属塩配合量との相関が取り難く品質が安定しない、耐熱性が低下する等の問題点があった。
最近、これらの問題点を全て解決させる方法として2官能以上のエポキシ化合物およびイミダゾール化合物を配合する方法(特開平07−331046号公報)が提案されたが、溶融粘度の伸長速度依存性(歪み硬化性ともいう。即ち、伸ばす速度を増すと溶融粘度が増す性質。したがって、歪み硬化性が大きいとブロー成形時に伸ばされたところは粘度が大きくなるので伸びすぎず、伸びていないところは粘度が低いので伸ばされる結果、均一な厚みが得られる。)は未だ不十分であり、ブロー成形において均一な厚みの成形物を得ることはできず、また着色が著しいという問題点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述したような問題点に着目してなされたものであって、本発明の目的はブロー成形を始めとする様々の成形に支障なく適用できる優れた成形性を有し、且つ耐熱性が良好でゴム弾性を有するポリエステルブロック共重合体組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類を反応させポリエステルブロック共重合体を得るに際し、カルボキシル基又はヒドロキシル基を3個以上有する多官能化合物を添加し、共重合して得られたポリエステルブロック共重合体に、エポキシ化合物を配合し、加熱、混練して得られたポリエステルブロック共重合体組成物を使用することにより、歪み硬化性が向上して上記問題点を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明の第1は、分子末端に水酸基を有する結晶性芳香族ポリエステル(A)とラクトン類(B)を反応させてポリエステルブロック共重合体を得るに際し、カルボキシル基(i)、ヒドロキシル基(ii)、それらのエステル形成性基(iii)の一種又は二種以上を合計3個以上有する多官能化合物(D)を結晶性芳香族ポリエステル(A)100モル%に対して0.1〜100モル%添加し、反応して得られたポリエステルブロック共重合体(P)100重量部に対し、1官能以上のエポキシ化合物(C)を0.5〜5.0重量部(但し、2官能以上のエポキシ化合物は少なくとも0.2重量部含む)、及び必要に応じて加えられるカルボジイミド化合物(E)を0〜2.0重量部添加し、加熱、混練してなるポリエステルブロック共重合体組成物を提供する。
本発明の第2は、結晶性芳香族ポリエステル(A)が、酸成分(a)として芳香族ジカルボン酸を必須成分として、必要に応じて添加させる脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸と、ジオール成分(b)として脂肪族ジオール、芳香族ジオール及び/又は脂環式ジオールとのポリエステルであることを特徴とする本発明の第1記載のポリエステルブロック共重合体組成物を提供する。
本発明の第3は、結晶性芳香族ポリエステル(A)が、ブチレンテレフタレート及び/又はエチレンテレフタレート単位を合計で50重量%以上含むことを特徴とする本発明の第1記載のポリエステルブロック共重合体組成物を提供する。本発明の第4は、結晶性芳香族ポリエステル(A)とラクトン類(B)との共重合割合が、重量比(A/B)で97/3〜50/50であることを特徴とする本発明の第1記載のポリエステルブロック共重合体組成物を提供する。
本発明の第5は、エポキシ化合物(C)が、グリシジルエステルタイプのエポキシ化合物、下記一般式(I)〜(V)で示される化合物、又はこれらの混合物であることを特徴とする本発明の第1記載のポリエステルブロック共重合体組成物を提供する。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1、R2およびR3は、アルキル基で、少なくとも一つはメチル基であり、これらの炭素数の合計は8である。またnは0〜5の整数である。)
本発明の第6は、ブロー成形に使用される本発明の第1〜5のいずれかに記載のポリエステルブロック共重合体組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳しく説明する。
初めに、本発明に係るポリエステルブロック共重合体(P)の製造に使用する原料について説明する。
結晶性芳香族ポリエステル(A)
本発明に用いられる結晶性芳香族ポリエステル(A)は、酸成分(a)として芳香族ジカルボン酸を必須成分として、必要に応じて添加させる脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸と、ジオール成分(b)として脂肪族ジオール、芳香族ジオール及び/又は脂環式ジオールとのポリエステルであり、主としてエステル結合をもつポリマーであって、分子末端に水酸基を有するものである。
上記結晶性芳香族ポリエステル(A)は、高重合度の、融点が160℃以上のポリエステルであることが好ましい。また、成形用材料としては、数平均分子量5,000以上のものが好ましい。
【0010】
酸成分(a)
結晶性芳香族ポリエステル(A)を構成する具体的な酸成分(a)を挙げると、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナルタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等である。
また脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数2〜20のジカルボン酸が適当であり、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼラン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等が挙げられる。
更に、脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
これらのジカルボン酸は、原料として使用する場合には、エステルや酸塩化物や酸無水物であっても構わない。
【0011】
ジオール成分(b)
次に、結晶性芳香族ポリエステル(A)の具体的なジオール成分(b)を挙げると、脂肪族ジオールとして、例えば、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリメチレングリコール等が挙げられる。
また芳香族ジオールとしては、例えば、レゾルシノール、ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
更に、脂環族ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシシクロヘキシル)プロパンや、水素化ビスフェノールAとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物等が挙げられる。
【0012】
以上に例示した、結晶性芳香族ポリエステル(A)の構成成分の内、結晶性、耐熱性あるいは原料コスト面を考慮した場合、ブチレンテレフタレート及び/又はエチレンテレフタレート単位が合計で50重量%以上含まれることが望ましい。
【0013】
ラクトン類(B)
分子末端に水酸基を有する結晶性芳香族ポリエステル(A)をラクトン変性するのに使用されるラクトン類(B)としては、ε−カプロラクトン、2−メチルおよび4−メチル、4,4’−ジメチル等のメチル化ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、メチル化δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトン等が挙げられるが、コスト面を考慮した場合、ε−カプロラクトンが最も好ましい。
更に、上記記載のラクトン類(B)の1種又は2種以上からなるポリマーを本発明に用いるポリエステルブロック共重合体の構成成分として用いることも出来る。
【0014】
多官能化合物(D)
本発明に使用される多官能化合物(D)とは、カルボキシル基(i)、ヒドロキシル基(ii)、それらのエステル形成性基(iii)の一種または二種以上を分子中に合計3個以上有する脂肪族及び/又は芳香族化合物であれば特に制限されない。上記において、エステル形成性基(iii)とはカルボキシル基(i)のエステル化合物、酸塩化物、酸無水物、及びヒドロキシル基(ii)のエステル化合物のように、結晶性芳香族ポリエステル(A)及び/又はラクトン類(B)とエステル交換反応、縮合反応、付加反応などにより反応できるカルボキシル基、ヒドロキシル基の誘導体のことである。
多官能化合物(D)の好ましい例としては、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン(以下TMPと略す。)、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;トリメシン酸、トリメリット酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等の芳香族ポリアルコール;4−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸、2,4−ジヒドロキシフェニル酢酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体などから誘導される構造単位を有する化合物を挙げることができる。
【0015】
次に、本発明に係るポリエステルブロック共重合体(P)について説明する。ポリエステルブロック共重合体(P)
本発明に係るポリエステルブロック共重合体(P)は、上記末端水酸基を有する結晶性芳香族ポリエステル(A)、多官能化合物(D)及びラクトン類(B)を反応させて得られる。
上記結晶性芳香族ポリエステル(A)とラクトン類(B)との比率(A/B)は、重量比で97/3〜50/50、特に90/10〜55/45が好適である。
ラクトン類(B)の比率が上記範囲より少なすぎるとポリエステルブロック共重合体の柔軟性が発現できず、上記範囲より多すぎるとポリエステルブロック共重合体の耐熱性が低下する。
多官能化合物(D)は、結晶性芳香族ポリエステル100モル%に対して0.1〜100モル%、好ましくは2〜20モル%の範囲で添加する。
多官能化合物の添加量が0.1モル%よりも少ないと溶融粘度の伸長速度依存性が不十分で、ブロー成形において均一な厚みの成形物が得られず、100モル%よりも多くなるとエステル交換反応による融点低下が著しくポリエステルブロック共重合体が本来有している耐熱性に対して同等かそれ以下のものしか得られない。
反応温度は、180〜270℃、好ましくは230〜250℃である。
反応圧力は、特に制限はなく、常圧で行うことができる。
反応時間は、0.5〜180分、好ましくは5〜60分である。
原料の装入順序及び反応の順序は、特に制限はない。
上記反応で得られるポリエステルブロック共重合体(P)の構造は、一例としては次の構造のものが挙げられる。
【0016】
【化3】
【0017】
上記構造式において、Rはジオール成分、R’はジカルボン酸成分、R”はラクトン成分、R"'は多官能化合物成分を示す。mは芳香族ポリエステルの構造単位数であり50〜95、nはラクトンの構造単位数であり5〜50、lは多官能化合物の構造単位数であり、lは平均で0.001〜1であるが、個々の化合物でみるともっと大きな幅を持つ。
本発明に係るポリエステルブロック共重合体(P)は、数平均分子量30,000〜100,000、融点160〜250℃、MFR0.1〜20g/10min(230℃,2.16kgf)である。
【0018】
次に、ポリエステルブロック共重合体(P)と反応させるエポキシ化合物(C)について説明する。
エポキシ化合物(C)
本発明に使用されるエポキシ化合物(C)とは、同一分子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば、その構造は特に制限されない。
しかしながら、配合時、あるいは本組成物の成形加工時の熱履歴を考慮すると、グリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物よりも、脂環式エポキシあるいはグリシジルエステルタイプのエポキシ化合物が好適である。
具体的には、前記一般式(I)〜(V)で示される化合物を例示することができるが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0019】
上記式(II)および(III)〜(V)以外のグリシジルエステルタイプとしては、フタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、メチルテトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、テレフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、トリメリット酸のモノ、ジ、及びトリグリシジルエステル、ダイマー酸モノおよびジグリシジルエステル等が挙げられる。
また、脂環式エポキシタイプとしては、上記式(I)以外に、ダイセル化学工業(株)社製のセロキサイド2081{3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの2量体の付加物}、セロキサイド2083{同3量体の付加物}、セロキサイド2085{同4量体の付加物}、エポリードGT300、エポリードGT400(何れも商品名であり、テトラヒドロ無水フタル酸にテトラヒドロベンジルアルコールをエステル化して得られる化合物もしくはこれのラクトン変性物をエポキシ化することによって得られる。)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジぺート等が挙げられる。
グリシジルエーテルタイプとしては、メチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルモノグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル等である。
本発明では、上記のエポキシ化合物を一種又は二種以上使用することができる。
本発明に係るポリエステルブロック共重合体組成物では、エポキシ化合物(C)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(P)100重量部に対して0.5〜5.0重量部であることが必要であり、好ましくは1.0〜4.0重量部である。
配合量が0.5重量部より少ないと、該ポリエステルブロック共重合体の一般的な耐熱性や耐水性への効果が小さくなり、耐熱老化性が著しく低下する。配合量が5.0重量部を越えると未反応エポキシ化合物の影響により成形加工性が悪くなったり、出来上がった成形品の表面状態が粗雑になる傾向がある。同様の理由から、2官能以上のエポキシ化合物はポリエステルブロック共重合体(P)100重量部に対して少なくとも0.2重量部配合しなければならない。
【0020】
カルボジイミド化合物(E)
本発明において、ポリエステルブロック共重合体組成物には、必要に応じてカルボジイミド化合物(E)を配合することができる。
カルボジイミド化合物としては、例えば住友バイエルウレタン株式会社製のStabaxol 1(2,6−ジイソプロピルフェニルジイソシアネート二量化物)等が挙げられる。
カルボジイミド化合物の配合量は好ましくはポリエステルブロック共重合体組成物100重量部に対して0〜2.0重量部、更に好ましくは0.2〜1.0重量部の範囲である。配合しないとエポキシ化合物の反応時間中に多少の溶融粘度低下が認められる場合もあり、TMP量との兼ね合いから溶融粘度の伸長速度依存性が不十分となり、ブロー成形性に適さない組成物となることがある。一方、2.0重量部以上配合した場合、着色が著しいばかりかポリエステルブロック共重合体の結晶性が低下し、耐熱性が低下してしまう。
【0021】
ポリエステルブロック共重合体組成物
ポリエステルブロック共重合体組成物は、ポリエステルブロック共重合体(P)とエポキシ化合物(C)及び必要に応じて加えられるカルボジイミド化合物(E)の配合物を加熱、混練して得られる。
上記の加熱、混練による反応は、通常、樹脂の溶融混練によって行われるが、この際、無触媒でも差支えないが、触媒を使用してもよい。
【0022】
エポキシ化合物の反応に使用する触媒としては、一般に使用されるものはすべて使用することができ、アミン類、リン化合物、炭素原子数10以上のモノカルボン酸又はジカルボン酸の元素周期律表のIa又はIIa族金属塩類等の化合物が単独で、もしくは2種類以上併用して使用することができる。また、溶融混練温度は、該ポリエステルブロック共重合体の結晶融点よりも5℃高い温度から280℃までが望ましい。混練時間は30秒〜60分程度であり、混合方式や温度により適宜選択される。
必要に応じて加えられるカルボジイミド化合物の反応に使用する触媒としては、一般に使用されるものはすべて使用することができ、触媒は必要に応じて使用される。
【0023】
加熱、混練して得られたポリエステルブロック共重合体組成物は、数平均分子量が50,000〜250,000、融点が160〜250℃、MFRが0.1〜20、歪み硬化性が0.1以上である。ここに歪み硬化性は、伸張粘度測定により得た値をηE、このときの歪みをε、また剪断粘度測定により得た値をη*としたときεとln(ηE/3η*)をプロットして得られる直線の傾きを示す。
なお、得られる組成物中には混練時に増粘しない程度の未反応のエポキシ化合物が残留していても構わない。同様に、必要に応じて加えられるカルボジイミド化合物(E)の未反応物はガスクロマトグラフィーで検出できる程度に残留していても構わない。
【0024】
安定剤(F)
本発明に係るポリエステルブロック共重合体組成物には、ヒンダードフェノール系、イオウ系、亜リン酸エステル系あるいは有機複合亜リン酸塩などの安定剤(F)を添加することも可能である。
これらの安定剤は、ポリエステルブロック共重合体組成物の酸化防止あるいは熱安定性への効果があるため、通常原料として使用する結晶性芳香族ポリエステル樹脂に添加されているのが一般的である。
更に、使用される用途に応じ、適宜、顔料や耐候安定剤等の添加剤を添加しても差し支えない。
【0025】
なお、本発明において配合される上述の安定剤、添加剤の混合は、上記エポキシ化合物の混合と同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例中、単に部とあるのは重量部を示す。
各ポリマーの融点は、JIS K7121により測定し、DSC曲線から求めた。また、流れ特性(MFR)は、JIS K7210により測定した(条件230℃、荷重2.16kgf)。
歪み硬化性の評価は、230℃における歪み速度一定とした伸長粘度測定により行った。
本発明で言うモルとは、溶離液にテトラフルオロイソプロパノールを用いたGPC測定により、スチレン換算から求めた分子量から換算したものである。
すなわち、本発明における多官能化合物の添加比率モル%は、初めに結晶性芳香族ポリエステル(A)の数平均分子量を、溶離液にテトラフルオロイソプロパノールを用いたGPC測定により、標準ポリスチレンから換算して求め、それに基づいて(A)の配合モル数を定め、(A)の配合モル数を100モル%として、多官能化合物(D)の添加比率モル%を目的に応じて0.01〜5.0モル%の範囲で定める。
参考例1〜3及び比較例1と3で共通に使用した結晶性芳香族ポリエステル(A1)は、酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸とグリコール成分として1,4−ブタンジオールからなる融点約230℃の市販のポリブチレンフタレートであり、分子末端に水酸基を有し、数平均分子量:39,000である。
ポリエステルブロック共重合体を製造するための反応容器としては、攪拌機、温度計、コンデンサー、溜出用ラインを具備したものを使用した。
【0027】
[比較例1]
反応容器にポリブチレンフタレート(A1)60部、ε−カプロラクトン40部を投入し、反応温度235℃で1時間混合し、反応を行った。次いでこの温度を保ったまま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧し、この減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε−カプロラクトンを除去した。
得られたポリエステルブロック共重合体の融点は205℃、MFRは11g/10minであった。歪み硬化性は、認められなかった。
【0028】
[比較例2]
比較例1で得られたポリエステルブロック共重合体100重量部に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業(株)社製のセロキサイド2021P)を30重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾールを1重量部配合し、2軸押出機でコンパウンド化することにより調製した。
得られた組成物のMFRは2g/10minであった。歪み硬化性は、認められなかった。
【0029】
[参考例1]
反応容器にポリブチレンフタレート(A1)60部、ε−カプロラクトン40部、トリメチロールプロパン5モル%(0.0103重量部)を投入し、反応温度235℃で1時間混合し、反応を行った。次いでこの温度を保ったまま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧し、この減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε−カプロラクトンを除去し、ポリエステルブロック共重合体(PA)を得た。
ポリエステルブロック共重合体(PA)の融点は194℃、MFRは2g/10minであり、歪み硬化性が認められた。
【0030】
[参考例2]
反応容器にポリブチレンフタレート(A1)60部、ε−カプロラクトン40部、トリメチロールプロパン2.5モル%(0.0052重量部)を投入し、反応温度235℃で1時間混合し、反応を行った。次いでこの温度を保ったまま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧し、この減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε−カプロラクトンを除去し、ポリエステルブロック共重合体(PB)を得た。
ポリエステルブロック共重合体(PB)の融点は196℃、MFRは1g/10minであり、歪み硬化性が認められた。
【0031】
[参考例3]
反応容器にポリブチレンフタレート(A1)60部、ε−カプロラクトン40部、トリメチロールプロパン0.1モル%(0.206×10-3重量部)を投入し、反応温度235℃で1時間混合し、反応を行った。次いでこの温度を保ったまま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧し、この減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε−カプロラクトンを除去し、ポリエステルブロック共重合体(PC)を得た。
ポリエステルブロック共重合体(PC)の融点は194℃、MFRは5g/10minであり、歪み硬化性が微かに認められた。
【0032】
[実施例1〜11]
参考例1〜3で調製したポリエステルブロック共重合体に1官能以上のエポキシ化合物、カルボジイミド化合物を表1に示す比率で配合し、2軸押出機で加熱、混練して、コンパウンド化することによりポリエステルブロック共重合体組成物を調製し、歪み硬化性を測定した。結果を表1に示す。
また、上記ポリエステルブロック共重合体組成物は、プレス成形により厚さ1mmのシートを作成し、これを打ち抜き加工してJIS K7113 2号に示される引張試験片を作成した。
この試験片を140℃の温度に設定したオーブン中に放置し、経時的にサンプリングしたものを25℃、50RH%の空調室に24時間放置後、試験片の引張破断伸度を測定した。その結果を表2に示す。
引張破断伸度の経時的変化率が高いほど劣化が進んでいることを示す。
【0033】
[比較例3]
反応容器にポリブチレンフタレート(A1)60部、ε−カプロラクトン40部、トリメチロールプロパン150モル%(0.309重量部)を投入し、反応温度235℃で1時間混合し、反応を行った。次いでこの温度を保ったまま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧し、この減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε−カプロラクトンを除去した。
得られたポリエステルブロック共重合体の融点はかなり低下し179℃となった。MFRは2g/10minであり、歪み硬化性が認められた。
【0034】
[比較例4〜6]
実施例1〜11と同様、ポリエステルブロック共重合体組成物は、参考例1〜3で調製したポリエステルブロック共重合体に各種添加剤を配合し、2軸押出機で加熱、混練して、コンパウンド化することにより調製した。これらの配合量を表1に示す。これらのポリエステルブロック共重合体組成物について、実施例1〜11に準じた試験を行った。測定結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明で得られるポリエステルブロック共重合体組成物は、溶融粘度の伸長速度依存性が大きく、ブロー成形において均一な厚みの成形物を与える他、成形時のバリ発生が極めて少ないといった特徴を備えている。しかも、該組成物を用いて得られる成形品は、ポリエステルブロック共重合体が本来有している特性に加えて耐熱性においても非常に優れたものであり、高温に長時間曝される様な用途に用いた場合でも熱劣化を起こすことがなく、非常に優れた物理的特性の成形体を与える。
Claims (6)
- 分子末端に水酸基を有する結晶性芳香族ポリエステル(A)とラクトン類(B)を反応させてポリエステルブロック共重合体を得るに際し、カルボキシル基(i)、ヒドロキシル基(ii)、それらのエステル形成性基(iii)の一種又は二種以上を合計3個以上有する多官能化合物(D)を結晶性芳香族ポリエステル(A)100モル%に対して0.1〜100モル%添加し、反応して得られたポリエステルブロック共重合体(P)100重量部に対し、1官能以上のエポキシ化合物(C)を0.5〜5.0重量部(但し、2官能以上のエポキシ化合物は少なくとも0.2重量部含む)、及び必要に応じて加えられるカルボジイミド化合物(E)を0〜2.0重量部添加し、加熱、混練してなるポリエステルブロック共重合体組成物。
- 結晶性芳香族ポリエステル(A)が、酸成分(a)として芳香族ジカルボン酸を必須成分として、必要に応じて添加させる脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸と、ジオール成分(b)として脂肪族ジオール、芳香族ジオール及び/又は脂環式ジオールとのポリエステルであることを特徴とする請求項1記載のポリエステルブロック共重合体組成物。
- 結晶性芳香族ポリエステル(A)が、ブチレンテレフタレート及び/又はエチレンテレフタレート単位を合計で50重量%以上含むことを特徴とする請求項1記載のポリエステルブロック共重合体組成物。
- 結晶性芳香族ポリエステル(A)とラクトン類(B)との共重合割合が、重量比(A/B)で97/3〜50/50であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルブロック共重合体組成物。
- ブロー成形に使用される請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルブロック共重合体組成物。
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