JP4278844B2 - Clutch unit - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力側からの入力トルクは出力側に伝達する一方、出力側からの逆入力トルクはロックして入力側に還流させない機能を有するクラッチユニットに関し、例えば自動車の座席シート調整装置に用いることができる。
【0002】
【0003】
【従来技術】
例えば、操作部材の回動操作による入力トルクを出力側機構に伝達して所要部位の位置調整を行う装置では、操作部材の非操作時、出力側機構の位置が変動しないようこれを保持する機能が求められる場合がある。自動車の着座シートのシート高さ調整装置を例にとると、該装置では、着座シートからの荷重(シート自重および着座者の体重等)を支持するためのブレーキ部を出力側機構に設け、該ブレーキ部の入力軸に操作部材から正方向又は逆方向の入力トルクを入力することによって着座シートの高さ調整を行うと共に、操作部材を開放した状態での着座シートの位置をブレーキ部で保持することによって上記の保持機能を実現している。この場合、操作後の操作部材の位置もブレーキ部によって保持されるので、操作部材としてノブ(円形状の握り)を使用し、ノブの回転操作によってブレーキ部に入力トルクを入力する構造にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のシート高さ調整装置では、着座シートと車体との間の狭い間隔部に手を入れてノブを回転操作する必要があり、操作上の不便さがあると同時に、上記の間隔部を確保するために車体や座席シートの設計に制約が生じるという問題点がある。そして、この傾向は小型車になるほど顕著である。一方、操作部材としてレバーを使用し、レバーとブレーキ部との間にラチェット機構を設けて、レバーの揺動操作によるトルク入力と、操作後のレバーの自動復帰とを可能にしたものあるが、構造が複雑であり、また、レバー復帰時にラチェット歯同士の噛合い音が発生するという問題がある。
【0005】
本発明の主目的は、出力側機構の位置調整および位置保持と、入力部材(操作部材)の位置復帰とを実現することができ、しかも構造が簡単で、動作が円滑なクラッチユニットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、トルクが入力される入力側部材と、トルクが出力される出力側部材と、入力側部材と出力側部材との間のトルク伝達経路に介在する制御部材と、回転が拘束される静止側部材と、入力側部材と制御部材との間に設けられた第1クラッチ部と、静止側部材と出力側部材との間に設けられた第2クラッチ部とを備え、第1クラッチ部は、入力側部材からの入力トルクに対して入力側部材と制御部材とをロックするロック手段と、入力側部材が解放されたときに入力側部材を入力トルクが入力される前の中立位置に復帰させる復帰手段とを備え、ロック手段は、入力側部材に設けられたカム面と、制御部材に設けられた円周面と、カム面と円周面との間に介在する係合子とを備え、カム面は円周面との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成し、復帰手段は、係合子を保持する保持器と、保持器を静止側部材に回転方向に連結する弾性部材とを備え、入力側部材からの入力トルクは第1クラッチ部および制御部材を介して出力側部材に伝達し、出力側部材からの逆入力トルクは第2クラッチ部を介して静止側部材との間でロックする構成を提供する。この構成によれば、入力側部材からの入力トルクによって出力側部材の回転方向の位置を調整することができ、また、出力側部材からの逆入力トルクは第2クラッチ部でロックするので、調整後の出力側部材の位置を保持することができる。また、入力側部材と制御部材との間に第1クラッチ部を設けているので、出力側部材の位置調整後に、入力側部材を中立位置(入力トルクが入力される前の位置)に復帰させることが可能であり、その場合でも復帰時の動作が円滑でラチェット機構のような騒音発生の問題も生じない。
【0007】
第1クラッチ部は、入力側部材からの入力トルクに対して入力側部材と制御部材とをロックするロック手段と、入力側部材が解放されたときに入力側部材を入力トルクが入力される前の中立位置に復帰させる復帰手段とを備えている。この構成によれば、出力側部材の位置調整後に入力側部材を解放すると、入力側部材が復帰手段により中立位置まで自動復帰するので、操作性が向上する。
【0008】
ロック手段として、楔係合力、凹凸係合力、摩擦力、磁気力、電磁力、流体圧力、流体粘性抵抗力、微粒子媒体などによって回転拘束力を与えるものが考えられるが、本発明では、構造や制御機構の簡素化、動作の円滑化、コストの面等から楔係合力によって回転拘束力を与えるものを採用している。具体的には、入力側部材と制御部材との間に楔隙間を形成し、この楔隙間に対して係合子を楔係合・離脱させることによって、ロック・空転を切換える構成としている。この構成には、楔隙間を形成するためのカム面を入力側部材又は制御部材に設けた構成(係合子としてローラ、ボール等の円形断面のものを用いる。)、楔隙間を形成するためのカム面を係合子に設けた構成(係合子として非円形断面のスプラグ等を用いる。)が含まれる。
【0009】
より具体的には、ロック手段は、入力側部材に設けられたカム面と、制御部材に設けられた円周面と、カム面と円周面との間に介在する係合子とを備えた構成とし、復帰手段は、係合子を保持する保持器と、保持器を静止側部材に回転方向に連結する弾性部材とを備えた構成としている。また、入力側部材のカム面を出力側部材の円周面との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する形状にしている。これにより、正逆両方向の入力トルクに対して上記の機能を得ることができる。尚、カム面は入力側部材に直接形成しても良いし、カム面を有する部材を入力側部材に装着しても良い。また、係合子としては、ローラを用いるのが好ましい。
【0010】
上記構成において、入力側部材に入力トルクが入力されると、入力側部材の回動に伴い、カム面が係合子に対して回転方向に相対移動して、係合子が楔隙間に係合する。これにより、入力側部材からの入力トルクが係合子を介して制御部材に伝達され、入力側部材、係合子、保持器、及び制御部材が一体となって回動する。その際、保持器の回動に伴い、保持器を静止側部材に連結する弾性部材が撓み、その撓み量に応じた弾性力が弾性部材に蓄積される。そして、入力側部材を所定量回動させたのち開放すると、弾性部材に蓄積された弾性力によって保持器に回動力が働き、係合子が保持器に押されてカム面を押圧することにより、係合子、保持器、及び入力側部材が制御部材に対して空転して、中立位置に復帰する。
【0011】
上記構成において、係合子、保持器、および弾性部材を入力側部材の内部に収容した構成とすることにより、入力側部分がコンパクトになると同時に、入力側部分に突起物がなくなるので、例えば自動車の座席シート調整装置に用いる場合において、操作部材の動作時に入力側部分の突起物によってシート表面の布繊維等を噛込むといった不都合がなく、座席シートの設計自由度が向上する。また、出力側部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部を制御部材に設けることにより、出力側部材の回動動作を円滑かつ安定させると共に、第1クラッチ部や第2クラッチ部に偏荷重が加わるのを防止し又は抑制することができる。さらに、入力側部材の回動範囲を規制するストッパ部を静止側部材に設けることにより、入力側部材の回動量が過大となって、弾性部材に無理な力が加わるのを防止することができると同時に、構造の簡略化を図ることができる。また、カム面は入力側部材に直接形成しても良いし、カム面を有する部材を入力側部材に装着しても良い。また、係合子としては、ローラを用いるのが好ましい。
【0012】
第2クラッチ部は、出力側部材からの逆入力トルクに対して出力側部材と静止側部材とをロックするロック手段と、入力側部材からの入力トルクに対してロック手段によるロック状態を解除するロック解除手段と、ロック手段によるロック状態が解除された状態のときに制御部材と出力側部材との間で入力トルクを伝達するトルク伝達手段とを備えた構成とすることができる。この構成によれば、出力側部材の回転方向の位置調整を入力側部材からの入力トルクの入力操作で行い、かつ、調整後の出力側部材の位置を自動的に保持することができるので、操作性が向上する。
【0013】
ここでのロック手段には、楔係合力、凹凸係合力、摩擦力、磁気力、電磁力、流体圧力、流体粘性抵抗力、微粒子媒体などによって回転拘束力を与えるものが含まれるが、構造や制御機構の簡素化、動作の円滑化、コストの面等から楔係合力によって回転拘束力を与えるものが好ましい。具体的には、出力側部材と静止側部材との間に楔隙間を形成し、この楔隙間に対して係合子を楔係合・離脱させることによって、ロック・空転を切換える構成とするのが良い。また、この構成には、楔隙間を形成するためのカム面を出力側部材又は静止側部材に設けた構成(係合子としてローラ、ボール等の円形断面のものを用いる。)、楔隙間を形成するためのカム面を係合子に設けた構成(係合子としてスプラグ等を用いる。)が含まれる。
【0014】
より好ましくは、ロック手段は、静止側部材に設けられた円周面と、出力側部材に設けられ、円周面との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成するカム面と、カム面と円周面との間に介在する一対の係合子と、一対の係合子間をそれぞれ楔隙間の向きに押圧する弾性部材とを備え、ロック解除手段は、一対の係合子のうち何れか一方と択一的に係合して、これを楔隙間の向きと反対方向に押圧する係合要素を備え、トルク伝達手段は、制御部材および出力側部材に設けられた回転方向の係合要素を備えた構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、出力側部材に一方向の逆入力トルクが入力されると、一対の係合子のうち一方がその方向の楔隙間と楔係合して、出力側部材を静止側部材に対して一方向にロックし、出力側部材に他方向の逆入力トルクが入力されると、一対の係合子のうち他方がその方向の楔隙間と楔係合して、出力側部材を静止側部材に対して他方向にロックする。従って、出力側部材は一対の係合子を介して静止側部材に対して正逆両回転方向にロックされる。一方、入力側部材に入力トルクが入力されると、先ず、ロック解除手段の係合要素が一対の係合子のうち、その入力トルクの方向に楔隙間と楔係合する係合子を該楔隙間の向きと反対方向に押圧して、該楔隙間から離脱させる。これにより、出力側部材のロック状態がその入力トルクの方向に解除される。次に、出力側部材のロック状態が解除された状態で、制御部材および出力側部材に設けられた回転方向の係合要素が相互に係合する。これにより、入力側部材に入力された入力トルクが、入力側部材→第1クラッチ部→制御部材→トルク伝達手段(係合要素)→出力側部材という経路で伝達され、出力側部材が回動する。
【0016】
上記のロック解除手段によるロック解除と、トルク伝達手段によるトルク伝達とを逐次的かつ確実に行わせるため、ロック解除手段およびトルク伝達手段の中立位置における、ロック解除手段の係合要素と係合子との間の回転方向隙間δ1と、トルク伝達手段の係合要素間の回転方向隙間δ2とを、δ1<δ2の関係に設定することができる。また、ロック解除手段を制御部材に設けた構成とすることにより、構造や制御機構の簡素化を図ることができる。さらに、トルク伝達手段を、制御部材および出力側部材のうち一方に設けられた凸部と、他方に設けられ、凸部と適合する凹部で構成することができる。具体的には、凸部としてのピンを制御部材に設け、凹部としてのピン孔を出力側部材に設けることができ、その場合、ピンおよびピン孔をクラッチ軸方向に設けることができる。尚、カム面は出力側部材に直接形成しても良いし、カム面を有する部材を出力側部材に装着しても良い。また、係合子としては、ローラを用いるのが好ましい。
【0017】
以上の構成において、出力側部材の回動動作を円滑かつ安定させると共に、第1クラッチ部や第2クラッチ部に偏荷重が加わるのを防止し又は抑制するため、出力側部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受を配置することができる。このラジアル軸受は、別体の転がり軸受や滑り軸受を配置することによって構成することもできるが、構造の簡素化と部品点数削減のため、制御部材、又は静止側部材に固定された固定側板にラジアル軸受部を具備させることができる。また、制御部材および静止側部材の双方にラジアル軸受部を具備させ、出力側部材を両ラジアル軸受部で両持ち的に支持した構造とすることにより、上記の効果を一層高めることもできる。
【0018】
上述のように、出力側部材は逆入力トルクに対して第2クラッチ部でロックされるが、入力トルクに対してこの第2クラッチ部によるロック状態が解除されたとき、逆入力トルクがトルク伝達手段を介して入力側に還流する場合がある。この逆入力トルクの還流現象は、例えばシート高さ調整装置では、操作部材を操作する際の抵抗力や着座シートの急激な下降動作となって現れることがある。そこで、この逆入力トルクの還流現象を防止し又は抑制するため、出力側部材に対して回転方向の制動力を与える制動手段をさらに具備させることができる。ここでの制動力には、摩擦力、磁気力、電磁力、流体圧力、流体粘性抵抗力等が含まれる。
【0019】
上記構成において、制動手段は、静止側部材に固定された固定側板又は静止側部材と出力側部材との間に介装することができる。また、制動手段を、制動力としての摩擦力を出力側部材に与える摩擦部材で構成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るクラッチユニットの全体構成を示している。この実施形態のクラッチユニットは、入力側部材としての外輪1と、出力側部材としての出力軸2と、制御部材としての内輪3と、静止側部材としての外輪4と、外輪1と内輪3との間に設けられた第1クラッチ部5と、外輪4と出力軸2との間に設けられた第2クラッチ部6とを主要な要素として構成される。
【0023】
図2は、入力側部材としての外輪1を示している。外輪1の外周には、外径側に突出した複数(例えば3つ)のリブ1aと、複数(例えば3つ)のリブ1bとが円周方向に所定間隔で形成される。リブ1aの軸方向一端側部分は凹部1a1によって二股状に分割され、リブ1aの軸方向他端側部分は外輪1の他端から軸方向に突出して、突出部1a2を形成する。リブ1bには、軸方向のねじ孔1b1が形成される。これらリブ1aおよび1bは、外輪1の外周に装着される操作レバー(13:図1、図8参照)と回転方向に係合して、操作レバー(13)の外輪1に対する相対回転を防止する。操作レバー(13)の外輪1に対する軸方向相対移動は、リブ1bのねじ穴1b1に操作レバー(13)をねじ結合することによって防止される。突出部1a2の内周には、後述する第1クラッチ部(5)のセンタリングバネ(12:図10参照)が収容される。また、突出部1a2が後述する外輪(4:図5参照)のストッパ部(4a1)と回転方向に係合することによって、外輪1の回動範囲が規制される。
【0024】
外輪1の一端部内周には、内径側に延びた鍔部1cが形成される。この鍔部1cは、後述する第1クラッチ部(5)の保持器(11:図1、図9参照)を軸方向の一方に抜け止め規制すると共に、外輪1の内輪3に対する同軸性を保持する役割を持つ。また、外輪1の内周には、複数(例えば10個)のカム面1dが円周方向に等間隔で形成される。各カム面1dは、円周方向中央部が深く、そこから円周方向両側に向かって傾斜状に浅くなっている。
【0025】
外輪1は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施される。この実施形態では、外輪1を形成する鋼材として肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM415)を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、少なくともカム面1dにおける表層部の表面硬さをHRC57〜62に調整している。ここで、HRCはロックウェル硬さのCスケールを表し、HVはビッカース硬さを表している。尚、外輪1は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
【0026】
図3は、出力側部材としての出力軸2を示している。出力軸2は、一端側にジャーナル部2a、中央側に大径部2b、他端側に連結部2cを備えている。ジャーナル部2aは、後述する内輪(3:図4参照)のラジアル軸受面(3a1)に挿入される。大径部2bの外周には、複数(例えば8つ)のカム面2b1が円周方向に等間隔で形成される。各カム面2b1は、出力軸2の軸心を中心とする円に対して弦をなす平坦面状に形成され、その円周方向中央部には後述する第2クラッチ部(6:図14参照)の板バネ(21)を装着するための軸方向溝2b2が形成される。また、大径部2bの一端側部分には軸方向の複数(例えば6つ)のピン孔2b3が円周所定間隔に形成される。これらピン孔2b3には後述する内輪(3:図4参照)のピン(3b1)が挿入される。また、大径部2bの他端側部分には環状凹部2b4が形成される。この環状凹部2b4には後述する摩擦部材(9:図7参照)が装着され、また、環状凹部2b4の内周壁2b5は、後述する固定側板(7:図6参照)のラジアル軸受面(7e2)に挿入されるジャーナル面になる。連結部2cには、他の回動部材を連結するための歯型2c1が形成される。
【0027】
出力軸2は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施される。この実施形態では、出力軸2を形成する鋼材として肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM415)を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表層部の表面硬さをHRC57〜62に調整している。尚、出力軸2は、鋼材の削出し品とすることもできる。
【0028】
図4は、制御部材としての内輪3を示している。内輪3は、筒状部3aと、筒状部3aの一端から外径側に延びたフランジ部3bと、フランジ部3bの外径端から軸方向の一方に延びた複数(例えば8本)の柱部3cとを主体として構成される。筒状部3aは、出力軸2のジャーナル部2aに外挿され、かつ、外輪1の内部に内挿される。筒状部3aの他端側部分の内周には、出力軸2のジャーナル部2aをラジアル方向に支持するラジアル軸受面3a1が形成され、筒状部3aの他端側部分の外周には、外輪1のカム面1dとの間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する円周面3a2が形成される。フランジ部3bには、軸方向の一方に突出した複数(例えば8つ)のピン3b1が円周方向に所定間隔で形成される。これらピン3b1は、出力軸2のピン孔2b3にそれぞれ挿入される。また、円周方向に隣接した柱部3c間には、軸方向の一方に向かって開口したポケット3c1が形成され、これらポケット3c1に後述する第2クラッチ部(6:図14参照)のローラ(10)が収容される。
【0029】
内輪3は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施される。この実施形態では、内輪3を形成する鋼材として肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM415)を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表層部の表面硬さをHRC57〜62に調整している。尚、内輪3は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
【0030】
図5は、静止側部材としての外輪4を示している。外輪4は、半径方向に延びたフランジ部4aと、フランジ部4aの内径端から軸方向の一方に突出した係止部4bと、フランジ部4aの外径端から軸方向の他方に延びた筒状部4cと、筒状部4cの一端から外径側に突出した鍔部4dとを主体として構成される。フランジ部4aには、軸方向の一方に突出した複数(例えば3つ)のストッパ部4a1が円周方向に所定間隔で配列形成される。これらストッパ部4a1は、外輪1の突出部1a2と回転方向に係合して、外輪1の回動範囲を規制する。係止部4bは、例えば円弧状に一対で形成される。係止部4bは、内輪3の筒状部3aの外周に外挿され、かつ、後述する第1クラッチ部(5)の保持器(11:図9参照)の係止部(11b)の内周に内挿される。また、一方の係止部4bの両端には、後述する第1クラッチ部(5)のセンタリングバネ(12:図10参照)の係合部(12a)が係止される。
【0031】
筒状部4cの内周には、出力軸2のカム面2b1との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する円周面4c1が形成される。鍔部4dには、複数(例えば3つ)の円弧状の切欠き部4d1と、複数(例えば6つ)の矩形状の切欠き部4d2とが円周方向に所定間隔で形成される。切欠き部4d1は、後述する固定側板(7)の加締部材(8:図1参照)と適合する。切欠き部4d2は、固定側板(7:図6参照)の凸部(7c)と回転方向に係合して、外輪4の固定側板(7)に対する相対回転を防止する。鍔部4dには、固定側板(7)の爪部(7d)が加締固定される。
【0032】
外輪4は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施される。この実施形態では、外輪4を形成する鋼材として肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM415)を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表層部の表面硬さをHRC57〜62に調整している。尚、外輪4は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
【0033】
図6は、外輪4に固定される固定側板7を示している。固定側板7は、半径方向に延びたフランジ部7aと、フランジ部7aの外径端から外径側に突出した複数(例えば3つ)のブラケット部7bと、フランジ部7aの外径端から軸方向の一方に突出した複数(例えば6つ)の凸部7cおよび複数(例えば3つ)の爪部7dと、フランジ部7aの内径端から軸方向の一方に突出したボス部7eとを主体として構成される。3つのブラケット部7bは円周方向に所定間隔で形成され、それぞれに貫通孔7b1が形成される。貫通孔7b1には、図1に示す中空ピン状の加締部材8が挿入される。尚、加締部材8をブラケット部7bに一体形成しても良い。6つの凸部7cは円周方向に所定間隔で形成され、それぞれ、外輪4の切欠き部4d2と回転方向に係合して、外輪4の固定側板7に対する相対回転を防止する。3つの爪部7dは円周方向に所定間隔で形成され、それぞれ、外輪4の鍔部4dに加締加工されて、外輪4の固定側板7に対する軸方向相対移動を防止する。
【0034】
ボス部7eの外周には、複数(例えば6つ)の凸部7e1が円周方向に所定間隔で形成され、内周にはラジアル軸受面7e2が形成される。ボス部7eは出力軸2の環状凹部2b4に挿入され、ボス部7eの外周と環状凹部2b4の外周壁との間に後述する摩擦部材(9:図7参照)が締代をもって圧入される。ボス部7eの凸部7e1は摩擦部材(9)の凹部(9a)と回転方向に係合して、摩擦部材(9)の固定側板7に対する相対回転を防止する。ボス部7eのラジアル軸受面7e2は、環状凹部2b4のジャーナル面2b5に外挿され、ジャーナル面2b5をラジアル方向に支持する。
【0035】
固定側板7は、例えば、冷間圧延鋼鈑等の鋼鈑材からプレス加工によって成形される。この実施形態では、固定側板7を形成する鋼板材として冷間圧延鋼鈑(例えばSPCE)を使用している。また、爪部7dを加締加工する際の加工性等に配慮して、熱処理は施していない。尚、爪部7d等の加締加工を行う部位に防炭処理(又は防炭防窒処理)を施して、浸炭焼入れ焼戻し(又は浸炭窒化焼入れ焼戻し)を行っても良い。
【0036】
図7は、制動手段としての摩擦部材9を示している。この実施形態において、摩擦部材9はリング状のもので、その内周には複数(例えば6つ)の凹部9aが円周方向に所定間隔で形成される。凹部9aは、固定側板7のボス部7eの凸部7e1と回転方向に係合して、摩擦部材9の固定側板7に対する相対回転を防止する。
【0037】
摩擦部材9は、ゴムや合成樹脂等の弾性材料で形成され、固定側板7のボス部7eの外周と、出力軸2の環状凹部2b4の外周壁との間に締代をもって圧入される。摩擦部材9の外周と環状凹部2b4の外周壁との間に生じる摩擦力によって、出力軸2に回転方向の制動力(摩擦制動力)が与えられる。この制動力(制動トルク)の大きさは、出力軸2に入力される逆入力トルクの大きさを勘案して適宜設定すれば良いが、逆入力トルクの還流現象を効果的に防止する観点から、想定される逆入力トルクと同程度の大きさに設定するのが好ましい。シート高さ調整装置の場合では、着座シートに着座者が着座した状態で出力軸2に作用する逆入力トルクと同程度の大きさに設定するのが良い。この実施形態のように、制動手段として摩擦部材9を用いると、制動力を摩擦部材9の締代調整によって設定し、また変更できるという利点がある。
【0038】
摩擦部材9の材質は特に問わないが、この実施形態では、摩擦部材9を合成樹脂材料、例えばポリアセタール(POM)にグラスファイバを30重量%配合した合成樹脂材料の射出成形品としている。
【0039】
図8(図1のB−B断面)は、第1クラッチ部5を示している。第1クラッチ部5は、外輪1に設けられた複数(例えば10個)のカム面1dと、内輪3に設けられた円周面3a2と、カム面1dと円周面3a2との間に介在する係合子としての複数(例えば10個)のローラ10と、ローラ10を保持する保持器11と、保持器11を外輪(4)に回転方向に連結する弾性部材、例えばセンタリングバネ(12:図10参照)とを主要な要素として構成される。カム面1d、円周面3a2、及びローラ10によってロック手段が構成され、保持器11およびセンタリングバネ(12)によって復帰手段が構成される。この実施形態において、カム面1dは円周面3a2との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する。また、外輪1には操作レバー13が結合され、操作レバー13から外輪1に正方向又は逆方向の入力トルクが入力される。また、外輪1の内周と内輪3(筒状部3a)の外周との間の空間部、特にカム面1dと円周面3a2との間にグリースが封入されている。グリースの種類は特に問わないが、この実施形態のクラッチユニットを自動車の座席シート調整装置に用いる場合は、真夏時の炎天下での駐車時等に乗員室内が80°C程度の高温になることを考慮し、リチウム系、ウレア系、ベントン系、ナトリウム系等の潤滑油、又は、極圧添加剤を含まない潤滑油を基油とし、かつ、基油の粘度が10〜1000cSt(at37.8°C)である潤滑グリースを用いるのが好ましい。
【0040】
図9は、保持器11を示している。保持器11は、ローラ10を収容する複数(例えば10個)の窓形のポケット11aと、一方の端面から軸方向の一方に突出した係止部11bを備えている。係止部11bは、例えば円弧状に一対で形成される。係止部11bは外輪4の係止部4bの外周に外挿され、その両端にはセンタリングバネ(12:図10参照)の係合部(12a)が係止される。
【0041】
保持器11の材質は特に問わないが、この実施形態では、保持器11を合成樹脂材料、例えばポリアミド66(PA66)にグラスファイバを30重量%配合した合成樹脂材料の射出成形品としている。
【0042】
図10は、センタリングバネ12を示している。センタリングバネ12は、内径側に屈曲した一対の係合部12aを備えている。一対の係合部12aは、円周方向に所定間隔で対向する。センタリングバネ12は例えば線材で形成され、この実施形態では、線材としてピアノ線材(SWPB)を使用している。
【0043】
センタリングバネ12は、一対の係合部12a間の間隔を自然状態から円周方向に押し広げて(この時、センタリングバネ12は若干縮径する。)、保持器11の係止部11bおよび外輪4の係止部4bに係止する。これにより、保持器11がセンタリングバネ12を介して外輪4に回転方向に連結される。例えば、保持器11が同図(c)で外輪4に対して時計方向に相対回転すると、センタリングバネ12の時計方向(回転方向前方)の係合部12aが保持器11の係止部11bに押されて時計方向に弾性変位する{反時計方向(回転方向後方)の係合部12aは外輪4の係止部4bに係止される。}。これにより、センタリングバネ12は一対の係合部12a間の間隔が押し広げられる方向(縮径する方向)に撓み、その撓み量に応じた弾性力が蓄積される。尚、保持器11が同図(c)で反時計方向に相対回転した場合も、上記とは逆の動作によってセンタリングバネ12に弾性力が蓄積される。
【0044】
次に、図11〜図13を参照しながら、第1クラッチ部5の作用について説明する。尚、図11〜図13において、センタリングバネ12および外輪4は模式化され、概念的に示されている。また、操作レバー13も記載が省略されている。
【0045】
図11は、第1クラッチ部5の中立位置を示している(図8に示す状態)。中立位置において、ローラ10はカム面1dの中央部に位置し、カム面1dと円周面3a2との間に形成される正逆両回転方向の楔隙間からそれぞれ離脱する。ローラ10の直径は、カム面1dの中央部と円周面3a2との間の半径方向距離よりも若干小さく設定されており、ローラ10とカム面1dの中央部および円周面3a2との間には半径方向隙間がある。尚、後述するように、出力軸2から入力される逆入力トルクは第2クラッチ部6で正逆両回転方向にロックされる。従って、内輪3は、操作レバー13(外輪1)から入力される入力トルクに対してのみ回動動作を行い、出力軸2から逆入力トルクが入力されても回動せず、その位置を保持する。
【0046】
図12は、操作レバー13を揺動操作して、外輪1に入力トルクを入力した時の状態を示している。例えば、同図において、外輪1に反時計方向の入力トルクが入力されると、外輪1の回動に伴い、カム面1dがローラ10に対して反時計方向に相対移動して、ローラ10がその方向の楔隙間に楔係合する。これにより、外輪1からの入力トルクがローラ10を介して内輪3に伝達され、外輪1、ローラ10、保持器11、および内輪3が一体となって反時計方向に回動する。そして、保持器11の回動に伴ってセンタリングバネ12が撓み、その撓み量に応じた弾性力fが蓄積される。尚、外輪1の回動量の最大範囲は、外輪1の突出部1a2と外輪4のストッパ部4a1との係合によって規制される。
【0047】
図13は、図12に示す状態から操作レバー13(外輪1)を開放した時の状態を示している。センタリングバネ12に蓄積された弾性力fによって、保持器11に時計方向の回動力が働き、ローラ10が保持器11に押されてカム面1dを押圧する。そうすると、外輪1が開放されているので、ローラ10、保持器11、および外輪1が内輪3に対して時計方向に空転して、図11に示す中立位置に復帰する。その際、内輪3は、図12の回動操作によって与えられた回動位置をそのまま維持する。従って、図12の回動操作を繰り返し行った場合では、内輪3に各回動操作ごとの回動量が重畳的に蓄積される。尚、図11において、外輪1に時計方向の入力トルクが入力された場合は、上記とは逆の動作を行う。
【0048】
図14(図1のA−A断面)は、第2クラッチ部6を示している。第2クラッチ部6は、外輪4に設けられた円周面4c1と、出力軸2に設けられた複数(例えば8つ)のカム面2b1と、各カム面2b1と円周面4c1との間に介在する係合子としての一対(例えば総数8対)のローラ20と、一対のローラ20間に介在する弾性部材、例えば断面U字形の板バネ21と、内輪3の柱部3cと、内輪3のピン3b1および出力軸2のピン孔2b3とを主要な要素として構成される。カム面2b1、円周面4c1、一対のローラ20、および板ばね21によってロック手段が構成され、一対のローラ20の円周方向両側に位置する内輪3の柱部3cによってロック解除手段が構成され、内輪3のピン3b1および出力軸2のピン孔2b3によってトルク伝達手段が構成される。尚、この実施形態において、板バネ21はステンレス鋼(例えばSUS301CPS−H)で形成し、熱処理としてテンパー処理を施している。また、外輪4の内周と出力軸2(大径部2b)の外周との間の空間部、特にカム面2b1と円周面4c1との間にグリースが封入されている。グリースの種類は特に問わないが、この実施形態のクラッチユニットを自動車の座席シート調整装置に用いる場合は、真夏時の炎天下での駐車時等に乗員室内が80°C程度の高温になることを考慮し、リチウム系、ウレア系、ベントン系、ナトリウム系等の潤滑油、又は、極圧添加剤を含まない潤滑油を基油とし、かつ、基油の粘度が10〜1000cSt(at37.8°C)である潤滑グリースを用いるのが好ましい。
【0049】
図15に拡大して示すように、中立位置において、一対のローラ20は板ばね21によって、それぞれ、カム面2b1と円周面4c1との間に形成される正逆両回転方向の楔隙間の方向に押圧される。この時、内輪3の各柱部3cと各ローラ20との間にはそれぞれ回転方向隙間δ1が存在する。また、内輪3のピン3b1と出力軸2のピン孔2b3との間には正逆両回転方向にそれぞれ回転方向隙間δ2が存在する。回転方向隙間δ1と回転方向隙間δ2とは、δ1<δ2の関係を有する。回転方向隙間δ1の大きさは、例えば0〜0.4mm(第2クラッチ部6の軸心を中心として0〜1.5°)程度、回転方向隙間δ2の大きさは、例えば0.4〜0.8mm(第2クラッチ部6の軸心を中心として1.8〜3.7°)程度である。
【0050】
同図に示す状態で、例えば、出力軸2に時計方向の逆入力トルクが入力されると、反時計方向(回転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間と楔係合して、出力軸2が外輪4に対して時計方向にロックされる。出力軸2に反時計方向の逆入力トルクが入力されると、時計方向(回転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間と楔係合して、出力軸2が外輪4に対して反時計方向にロックされる。従って、出力軸2からの逆入力トルクは、第2クラッチ部6によって正逆両回転方向にロックされる。
【0051】
図16は、外輪1からの入力トルク(同図で時計方向)が第1クラッチ部5を介して内輪3に入力され、内輪3が同図で時計方向に回動を始めた初期状態を示している。回転方向隙間がδ1<δ2に設定されているため、先ず、内輪3の反時計方向(回転方向後方)の柱部3cがその方向(回転方向後方)のローラ20と係合して、これを板ばね21の弾性力に抗して時計方向(回転方向前方)に押圧する。これにより、反時計方向(回転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間から離脱して、出力軸2のロック状態が解除される{尚、時計方向(回転方向前方)のローラ20は、その方向の楔隙間とは楔係合しない。}。従って、出力軸2は時計方向に回動可能となる。
【0052】
内輪3がさらに時計方向に回動すると、図17に示すように、内輪3のピン3b1が出力軸2のピン孔2b3と時計方向に係合する。これにより、内輪3からの時計方向の入力トルクがピン3b1およびピン孔2b3を介して出力軸2に伝達され、出力軸2が時計方向に回動する。外輪1に反時計方向の入力トルクが入力された場合は、上記とは逆の動作で出力軸2が反時計方向に回動する。従って、外輪1からの正逆両回転方向の入力トルクは、第1クラッチ部5、内輪3、およびトルク伝達手段としてのピン3b1およびピン孔2b3を介して出力軸2に伝達され、出力軸2が正逆両回転方向に回動する。尚、内輪3からの入力トルクがなくなると、板ばね21の弾性復元力によって図15に示す中立位置に復帰する。
【0053】
上述した外輪1、出力軸2、内輪3、外輪4、第1クラッチ部5、第2クラッチ部6、固定側板7および摩擦部材9を図1に示す態様でアッセンブリすると、この実施形態のクラッチユニットが完成する。外輪1には例えば樹脂製の操作レバー13が結合され、出力軸2は図示されていない出力側機構の回動部材に連結される。また、固定側板7は図示されていないケーシング等の固定部材に加締部材8で加締固定される。尚、外輪1は、鍔部1cの外側に装着されたワッシャ18と外輪4のフランジ部4aとの間で軸方向の両側に抜け止め規制される。
【0054】
第1クラッチ部5において、センタリングバネ12は外輪1の突出部1a2の内周に収容され、外輪1の一方の端面と外輪4のフランジ部4aとの間で軸方向の両側に抜け止め規制される。また、保持器11およびローラ10は、外輪1の鍔部1cと外輪4のフランジ部4aとの間で軸方向の両側に抜け止め規制される。第1クラッチ部5の保持器11、ローラ10、およびセンタリングバネ12が外輪1の内部に収容されており、入力側部分に突出した部分がない。また、保持器11の係止部11bが外輪4の係止部4bの外周に外挿され、保持器11の回動が外輪4の係止部4bによって案内されるので、回動時の保持器11の傾きがなく、円滑なクラッチ動作が可能である。
【0055】
第2クラッチ部6は、外輪4と固定側板7とで囲まれた空間部に径方向および軸方向にコンパクトに収められている。また、ロック解除手段としての柱部3cと、トルク伝達手段としてのピン3b1が内輪3に一体に設けられているので、部品点数が少なく、構造も簡単である。
【0056】
また、出力軸2を内輪3のラジアル軸受面3a1と固定側板7のラジアル軸受面7e2によって両持ち的に支持する構造であるため、出力軸2の回動動作が安定し、しかも第1クラッチ部5および第2クラッチ部6に偏荷重が作用しにくく、円滑なクラッチ動作が可能である。
【0057】
図18は、自動車の乗員室に装備される座席シート30を示している。座席シート30は着座シート30aと背もたれシート30bとで構成され、着座シート30aの高さHを調整するシート高さ調整装置31、背もたれシート30bの傾斜θを調整するシート傾斜調整装置32、および着座シート30aの前後位置Lを調整するシートスライド調整装置(図示省略)を備えている。着座シート30aの高さHの調整はシート高さ調整装置31の操作レバー31aによって行い、背もたれシート30bの傾斜θの調整はシート傾斜調整装置32の操作レバー32aによって行い、着座シート30aの前後位置Lの調整はシートスライド調整装置の操作レバー(図示省略)によって行う。上述した実施形態のクラッチユニットは、例えばシート高さ調整装置31に組込まれる。
【0058】
図19(a)は、シート高さ調整装置31の一構造例を概念的に示している。シートスライドアジャスタ31bのスライド可動部材31b1にリンク部材31c、31dの一端がそれぞれ回動自在に枢着される。リンク部材31cの他端はリンク部材31eを介してセクターギヤ31fに回動自在に枢着される。セクターギヤ31fは着座シート30aに回動自在に枢着され、支点31f1回りに揺動可能である。リンク部材31dの他端は着座シート30aに回動自在に枢着される。上述した実施形態のクラッチユニットXは、固定側板7を介して着座シート30aの適宜の部位に固定され、その外輪1に例えば樹脂製の操作レバー31a(図1、図8における操作レバー13に相当)が結合され、出力軸2にセクターギヤ31fと噛合するピニオンギヤ31gが連結される。
【0059】
例えば、図19(b)において、操作レバー31aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオンギヤ31gに伝達され、ピニオンギヤ31gが反時計方向に回動する。そして、ピニオンギヤ31gと噛合するセクターギヤ31fが時計方向に揺動して、リンク部材31cの他端をリンク部材31eを介して引っ張る。その結果、リンク部材31cとリンク部材31dが共に起立して、着座シート30aの座面が高くなる。このようにして、着座シート30aの高さHを調整した後、操作レバー31aを開放すると、操作レバー31aが第1クラッチ部5のセンタリングバネ12の弾性力(弾性復元力)によって時計方向に回動して元の位置(中立位置)に戻る。尚、操作レバー31aを時計方向(下側)に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート31aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー31aを開放すると、操作レバー31aが反時計方向に回動して元の位置(中立位置)に戻る。
【0060】
上記構成のシート高さ調整装置31によれば、操作レバー31aの揺動操作のみで着座シート30aの高さHを調整することができ、しかも、高さ調整後の着座シート30aの高さ位置を自動的に保持することができる。また、高さ調整後に操作レバー31aを開放すると、操作レバー31aを中立位置に自動復帰させることができ、その場合でも復帰時の動作が円滑でラチェット機構のような騒音発生の問題も生じない。さらに、摩擦部材9によって出力軸2に回転方向の制動力を与えているので、操作レバー31aの操作時における逆入力トルクの還流現象がなく(又は少なく)、安定した調整操作が可能である。
【0061】
図20は、本発明の第2の実施形態に係るクラッチユニットを示している。この実施形態に係るクラッチユニットが、上述した第1の実施形態に係るクラッチユニットと異なる点は、ゴムや合成樹脂等の弾性材料からなる摩擦部材9に代えて、バネ弾性を有する摩擦部材15を制動手段として用いている点にある。摩擦部材15はバネ鋼等の金属材料で形成され、出力軸2の環状凹部2b4の外周壁に装入される装着部15aと、装着部15aの一端に連続した鍔部15bと、鍔部15bから外径側に突出した複数(例えば8つ)の突出部15cとを備えている。装着部15aは、出力軸2の環状凹部2b4の外周壁に締り嵌めで装着され、摩擦部材15の出力軸2に対する相対回転を防止する。突出部15cは、半径方向に延びた半径方向部15c1と、半径方向部15c1の先端から傾斜状に延びた舌片部15c2とを備え、舌片部15c2が外輪4の内周に締代をもって圧接する。摩擦部材15の舌片部15c2が外輪4の内周に締代をもって圧接することにより、出力軸2に回転方向の制動力(摩擦制動力)が与えられる。尚、摩擦部材15の装着部15aは、出力軸2の環状凹部2b4の外周壁に相対回転を防止しうる態様で装着すれば良く、上記の締り嵌めによる装着(圧入)の他、回転方向に凹凸係合する態様で装着しても良い。その他の事項は上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
図21は、本発明の第3の実施形態に係るクラッチユニットを示している。この実施形態に係るクラッチユニットが、上述した第1の実施形態に係るクラッチユニットと異なる点は、ゴムや合成樹脂等の弾性材料からなる摩擦部材9に代えて、バネ弾性を有する摩擦部材16を制動手段として用いている点にある。摩擦部材16はバネ鋼等の金属材料で形成され、固定側板7のボス部7eに装着される装着部16aと、装着部16aの一端に連続した鍔部16bと、鍔部16bから外径側に突出した複数(例えば12個)の突出部16cとを備えている。装着部16aには複数(例えば12個)の切欠き部16a1が形成され、これら切欠き部16a1は固定側板7のボス部7eに形成された凸部と回転方向に係合して、摩擦部材16の固定側板7に対する相対回転を防止する。突出部16cは、円弧状に湾曲した湾曲部16c1と、湾曲部16c1の先端から傾斜状に延びた舌片部16c2とを備え、舌片部16c2が出力軸2の環状凹部2b4の外周壁に締代をもって圧接する。摩擦部材16の舌片部16c2が出力軸2の環状凹部2b4の外周壁に締代をもって圧接することにより、出力軸2に回転方向の制動力(摩擦制動力)が与えられる。尚、摩擦部材16の装着部16aは、固定側板7のボス部7eに相対回転を防止しうる態様で装着すれば良く、上記の回転方向に凹凸係合する態様の他、締り嵌めによる装着(圧入)としても良い。その他の事項は上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、出力側機構の位置調整および位置保持と、入力部材(操作部材)の位置復帰とを実現することができ、しかも構造が簡単で、動作が円滑なクラッチユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るクラッチユニットを示す縦断面図である。
【図2】外輪(入力側部材)の背面図{図2(a)}、縦断面図{図2(b)}、部分正面図{図2(c)}である。
【図3】出力軸(出力側部材)の正面図{図3(a)}、縦断面図{図3(b)}である。
【図4】内輪(制御部材)の正面図{図4(a)}、縦断面図{図4(b)}である。
【図5】外輪(静止側部材)の正面図{図5(a)}、縦断面図{図5(b)}である。
【図6】固定側板の縦断面図{図6(a)}、正面図{図6(b)}である。
【図7】摩擦部材(制動手段)の縦断面図{図7(a)}、正面図{図7(b)}である。
【図8】第1クラッチ部を示す横断面図{図1のB−B断面}である。
【図9】第1クラッチ部の保持器を示す正面図{図9(a)}、縦断面図{図9(b)}、横断面図{図9(c)}である。
【図10】第1クラッチ部のセンタリングバネを示す側面図{図10(a)}、正面図{図10(b)}、装着図{図10(c)}である。
【図11】第1クラッチ部の作用を説明する概念図である(中立位置)。
【図12】第1クラッチ部の作用を説明する概念図である(トルク伝達時)。
【図13】第1クラッチ部の作用を説明する概念図である(復帰時)。
【図14】第2クラッチ部を示す横断面図{図1のA−A断面}である。
【図15】第2クラッチ部の作用を説明する部分拡大横断面図である(中立位置)。
【図16】第2クラッチ部の作用を説明する部分拡大横断面図である(ロック解除時)。
【図17】第2クラッチ部の作用を説明する部分拡大横断面図である(トルク伝達時)。
【図18】自動車の座席シートを示す概念図である。
【図19】シート高さ調整装置の一構造例を示す概念図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係るクラッチユニットを示す縦断面図{図20(a)}、摩擦部材の正面図{図20(b)}、断面図{図20(c)}である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係るクラッチユニットを示す縦断面図{図21(a)}、摩擦部材の正面図{図21(b)}、断面図{図21(c)}である。
【符号の説明】
1 外輪(入力側部材)
2 出力軸(出力側部材)
3 内輪(制御部材)
4 外輪(静止側部材)
5 第1クラッチ部
6 第2クラッチ部
7 固定側板
9 摩擦部材(制動手段)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a clutch unit having a function of transmitting input torque from the input side to the output side, while locking reverse input torque from the output side and preventing it from returning to the input side. be able to.
[0002]
[0003]
[Prior art]
For example, in an apparatus that adjusts the position of a required part by transmitting input torque generated by a rotation operation of the operation member to the output side mechanism, a function of holding the position so that the position of the output side mechanism does not fluctuate when the operation member is not operated. May be required. Taking a seat height adjustment device for a seating seat of an automobile as an example, in this device, a brake portion for supporting a load from the seating seat (such as the seat's own weight and the weight of the seated person) is provided in the output side mechanism, The height of the seating seat is adjusted by inputting the input torque in the forward direction or the reverse direction from the operation member to the input shaft of the brake unit, and the position of the seating seat with the operation member opened is held by the brake unit. As a result, the above holding function is realized. In this case, since the position of the operation member after operation is also held by the brake unit, a knob (circular grip) is used as the operation member, and the input torque is input to the brake unit by rotating the knob. .
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
In the conventional seat height adjustment device, it is necessary to put a hand in the narrow space between the seat and the vehicle body to rotate the knob, which is inconvenient in operation and secures the space described above Therefore, there is a problem that the design of the vehicle body and the seat is restricted. And this tendency becomes so remarkable that it becomes a small car. On the other hand, there is a lever that is used as an operating member and a ratchet mechanism is provided between the lever and the brake part to enable torque input by swinging the lever and automatic return of the lever after operation. There is a problem that the structure is complicated, and that ratchet teeth are engaged when the lever is returned.
[0005]
A main object of the present invention is to provide a clutch unit that can realize position adjustment and position holding of an output side mechanism and position return of an input member (operation member), has a simple structure, and operates smoothly. There is.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
To achieve the above object, the present invention provides an input side member to which torque is input, an output side member to which torque is output, and a control member that is interposed in a torque transmission path between the input side member and the output side member. A stationary side member whose rotation is restricted, a first clutch portion provided between the input side member and the control member, and a second clutch portion provided between the stationary side member and the output side member The first clutch portion includes a lock unit that locks the input side member and the control member against input torque from the input side member, and the input torque is input to the input side member when the input side member is released. Return means for returning to a neutral position before being operated, and the lock means includes a cam surface provided on the input side member, a circumferential surface provided on the control member, and a gap between the cam surface and the circumferential surface. The cam surface is forward and reverse between the circumferential surface In the rotational direction to form a wedge gap, the return means, and a cage holding the engaging member, the retainer Stationary member And an elastic member coupled in the rotational direction to transmit the input torque from the input side member to the output side member via the first clutch portion and the control member, and the reverse input torque from the output side member to the second clutch portion. The structure which locks between stationary side members via is provided. According to this configuration, the rotational position of the output side member can be adjusted by the input torque from the input side member, and the reverse input torque from the output side member is locked by the second clutch portion. The position of the subsequent output side member can be held. Moreover, since the 1st clutch part is provided between the input side member and the control member, the input side member is returned to the neutral position (position before input torque is input) after the position adjustment of the output side member. Even in such a case, the operation at the time of return is smooth, and the problem of noise generation like the ratchet mechanism does not occur.
[0007]
The first clutch unit includes a lock unit that locks the input side member and the control member with respect to input torque from the input side member, and before the input torque is input to the input side member when the input side member is released. And return means for returning to the neutral position ing . According to this configuration, when the input side member is released after the position of the output side member is adjusted, the input side member is automatically returned to the neutral position by the return means, so that the operability is improved.
[0008]
Locking means As , Wedge engagement force, concave / convex engagement force, friction force, magnetic force, electromagnetic force, fluid pressure, fluid viscosity resistance force, fine particle medium, etc. that give rotational restraint force Thought But In the present invention, Giving rotational restraint force by wedge engagement force in terms of simplification of structure and control mechanism, smooth operation, cost, etc. Is adopted . Specifically, a wedge gap is formed between the input-side member and the control member, and the lock / idling is switched by engaging / disengaging the wedge with respect to the wedge gap. is doing . In this configuration, a cam surface for forming the wedge gap is provided on the input side member or the control member (a circular cross section such as a roller or a ball is used as an engagement element), and a wedge gap is formed. A configuration in which the cam surface is provided on the engaging element (a sprag having a non-circular cross section or the like is used as the engaging element) is included.
[0009]
More specifically, the locking means includes a cam surface provided on the input side member, a circumferential surface provided on the control member, and an engagement element interposed between the cam surface and the circumferential surface. The return means includes a cage for holding the engagement element, and a cage. Stationary member And an elastic member connected in the rotational direction. Further, a wedge gap is formed between the cam surface of the input side member and the circumferential surface of the output side member in both forward and reverse rotation directions. Thereby, said function can be acquired with respect to the input torque of a normal / reverse direction. The cam surface may be formed directly on the input side member, or a member having the cam surface may be mounted on the input side member. Moreover, it is preferable to use a roller as an engagement element.
[0010]
In the above configuration, when input torque is input to the input side member, the cam surface relatively moves in the rotational direction with respect to the engagement element as the input side member rotates, and the engagement element engages with the wedge gap. . Thereby, the input torque from the input side member is transmitted to the control member via the engagement element, and the input side member, the engagement element, the retainer, and the control member rotate together. At that time, as the cage rotates, Stationary member The elastic member connected to the bends, and an elastic force corresponding to the amount of the bend is accumulated in the elastic member. Then, when the input side member is rotated by a predetermined amount and then released, the rotational force acts on the cage by the elastic force accumulated in the elastic member, and the engaging element is pushed by the cage to press the cam surface. The engagement element, the retainer, and the input side member idle with respect to the control member and return to the neutral position.
[0011]
In the above configuration, by adopting a configuration in which the engaging element, the cage, and the elastic member are accommodated inside the input side member, At the same time as the input side portion becomes compact, there are no protrusions on the input side portion.For example, in the case of use in an automobile seat seat adjustment device, the cloth on the seat surface is removed by the protrusions on the input side portion during operation of the operation member. There is no inconvenience of biting, and the degree of freedom in designing the seat is improved. Moreover, by providing the control member with a radial bearing that supports the output side member in the radial direction, The rotation operation of the output side member can be made smooth and stable, and an unbalanced load can be prevented or suppressed from being applied to the first clutch portion and the second clutch portion. Furthermore, by providing the stationary side member with a stopper portion that regulates the rotation range of the input side member, It is possible to prevent an excessive amount of rotation of the input side member from applying an excessive force to the elastic member, and at the same time simplify the structure. The cam surface may be formed directly on the input side member, or a member having the cam surface may be mounted on the input side member. Moreover, it is preferable to use a roller as an engagement element.
[0012]
The second clutch portion locks the output side member and the stationary side member with respect to the reverse input torque from the output side member, and releases the lock state by the lock means with respect to the input torque from the input side member. The lock release means and the torque transmission means for transmitting the input torque between the control member and the output side member when the lock state by the lock means is released can be provided. According to this configuration, the position adjustment in the rotation direction of the output side member can be performed by the input operation of the input torque from the input side member, and the position of the output side member after the adjustment can be automatically held. Operability is improved.
[0013]
Examples of the locking means include a wedge engaging force, a concave / convex engaging force, a frictional force, a magnetic force, an electromagnetic force, a fluid pressure, a fluid viscous resistance force, a fine particle medium, and the like that give a rotational restraining force. In view of simplification of the control mechanism, smooth operation, cost, and the like, it is preferable to apply a rotation restraining force by a wedge engaging force. Specifically, a wedge gap is formed between the output side member and the stationary side member, and the engagement / removal of the engagement element with respect to the wedge gap is performed to switch between locking and idling. good. In this configuration, the cam surface for forming the wedge gap is provided on the output side member or the stationary side member (a circular cross section such as a roller or a ball is used as the engaging member), and the wedge gap is formed. The structure which provided the cam surface for doing in an engaging element (a sprag etc. are used as an engaging element) is contained.
[0014]
More preferably, the locking means includes a circumferential surface provided on the stationary side member, a cam surface provided on the output side member and forming a wedge clearance in both forward and reverse rotation directions between the circumferential surface and the cam, A pair of engagement elements interposed between the surface and the circumferential surface, and an elastic member that presses between the pair of engagement elements in the direction of the wedge gap, and the lock release means is one of the pair of engagement elements. An engagement element that selectively engages one side and presses it in a direction opposite to the direction of the wedge gap, and the torque transmission means is an engagement element in the rotational direction provided on the control member and the output side member It can be set as the structure provided with.
[0015]
In the above configuration, when reverse input torque in one direction is input to the output side member, one of the pair of engagement elements engages with the wedge gap in that direction, and the output side member is moved to the stationary side member. When the output side member is locked in one direction and reverse input torque in the other direction is input to the output side member, the other of the pair of engagement elements engages with the wedge clearance in that direction, and the output side member becomes the stationary side member. Lock in the other direction. Therefore, the output side member is locked in both forward and reverse rotation directions with respect to the stationary side member via the pair of engagement elements. On the other hand, when input torque is input to the input side member, first, of the pair of engagement elements, the engagement element of the unlocking means is engaged with the wedge gap in the direction of the input torque. Is pushed away from the wedge gap. Thereby, the locked state of the output side member is released in the direction of the input torque. Next, in a state where the locked state of the output side member is released, the engaging elements in the rotation direction provided on the control member and the output side member are engaged with each other. As a result, the input torque input to the input side member is transmitted through the path of the input side member → the first clutch portion → the control member → the torque transmitting means (engaging element) → the output side member, and the output side member rotates. To do.
[0016]
In order to sequentially and reliably perform the unlocking by the unlocking means and the torque transmission by the torque transmitting means, the engaging element and the engaging element of the unlocking means at the neutral position of the unlocking means and the torque transmitting means, And the rotational direction gap δ2 between the engagement elements of the torque transmitting means can be set to a relationship of δ1 <δ2. Further, the structure and the control mechanism can be simplified by providing the lock release means on the control member. Further, the torque transmission means can be constituted by a convex portion provided on one of the control member and the output side member, and a concave portion provided on the other and adapted to the convex portion. Specifically, a pin as a convex portion can be provided in the control member, and a pin hole as a concave portion can be provided in the output side member. In this case, the pin and the pin hole can be provided in the clutch axial direction. The cam surface may be formed directly on the output side member, or a member having the cam surface may be mounted on the output side member. Moreover, it is preferable to use a roller as an engagement element.
[0017]
In the above configuration, the output side member is supported in the radial direction in order to smoothly and stably rotate the output side member and to prevent or suppress the application of an unbalanced load to the first clutch portion and the second clutch portion. Radial bearings can be arranged. This radial bearing can also be configured by arranging a separate rolling bearing or sliding bearing, but in order to simplify the structure and reduce the number of parts, it is attached to the fixed side plate fixed to the control member or stationary side member. A radial bearing can be provided. Further, by providing a radial bearing portion on both the control member and the stationary side member and supporting the output side member by both radial bearing portions, the above effect can be further enhanced.
[0018]
As described above, the output side member is locked by the second clutch portion with respect to the reverse input torque. When the locked state by the second clutch portion is released with respect to the input torque, the reverse input torque is transmitted to the torque. In some cases, it may return to the input side through the means. For example, in the seat height adjusting device, the reverse input torque reflux phenomenon may appear as a resistance force when operating the operation member or a sudden lowering operation of the seating seat. Therefore, in order to prevent or suppress the reverse input torque reflux phenomenon, it is possible to further include a braking means for applying a braking force in the rotational direction to the output side member. The braking force here includes frictional force, magnetic force, electromagnetic force, fluid pressure, fluid viscous resistance force, and the like.
[0019]
In the above configuration, the braking means can be interposed between the stationary side plate fixed to the stationary side member or the stationary side member and the output side member. Further, the braking means can be constituted by a friction member that applies a frictional force as a braking force to the output side member.
[0021]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0022]
FIG. 1 shows the overall configuration of the clutch unit according to the first embodiment of the present invention. The clutch unit of this embodiment includes an
[0023]
FIG. 2 shows the
[0024]
On the inner periphery of one end portion of the
[0025]
The
[0026]
FIG. 3 shows the
[0027]
The
[0028]
FIG. 4 shows the
[0029]
The
[0030]
FIG. 5 shows the
[0031]
A circumferential surface 4c1 is formed on the inner periphery of the
[0032]
The
[0033]
FIG. 6 shows the fixed
[0034]
A plurality of (for example, six) convex portions 7e1 are formed at predetermined intervals in the circumferential direction on the outer periphery of the
[0035]
The fixed
[0036]
FIG. 7 shows a
[0037]
The
[0038]
Although the material of the
[0039]
FIG. 8 (BB cross section in FIG. 1) shows the first
[0040]
FIG. 9 shows the
[0041]
Although the material of the
[0042]
FIG. 10 shows the centering
[0043]
The centering
[0044]
Next, the effect | action of the 1st
[0045]
FIG. 11 shows the neutral position of the first clutch portion 5 (the state shown in FIG. 8). In the neutral position, the
[0046]
FIG. 12 shows a state where the operating
[0047]
FIG. 13 shows a state when the operation lever 13 (outer ring 1) is opened from the state shown in FIG. Due to the elastic force f accumulated in the centering
[0048]
FIG. 14 (A-A cross section in FIG. 1) shows the second
[0049]
As shown in an enlarged view in FIG. 15, in the neutral position, the pair of
[0050]
In the state shown in the figure, for example, when a reverse input torque in the clockwise direction is input to the
[0051]
FIG. 16 shows an initial state in which the input torque (clockwise in the figure) from the
[0052]
When the
[0053]
When the
[0054]
In the first
[0055]
The second
[0056]
Further, since the
[0057]
FIG. 18 shows a
[0058]
FIG. 19A conceptually shows one structural example of the seat
[0059]
For example, in FIG. 19B, when the
[0060]
According to the seat
[0061]
FIG. 20 shows a clutch unit according to the second embodiment of the present invention. The clutch unit according to this embodiment differs from the clutch unit according to the first embodiment described above in that a
[0062]
FIG. 21 shows a clutch unit according to the third embodiment of the present invention. The clutch unit according to this embodiment differs from the clutch unit according to the first embodiment described above in that a
[0063]
【The invention's effect】
According to the present invention, there is provided a clutch unit that can realize position adjustment and position holding of an output side mechanism and position return of an input member (operation member), has a simple structure, and operates smoothly. Can do.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view showing a clutch unit according to a first embodiment.
FIG. 2 is a rear view {FIG. 2 (a)}, a longitudinal sectional view {FIG. 2 (b)}, and a partial front view {FIG. 2 (c)} of an outer ring (input side member).
FIG. 3 is a front view {FIG. 3 (a)} and a longitudinal sectional view {FIG. 3 (b)} of an output shaft (output-side member).
FIG. 4 is a front view {FIG. 4 (a)} and a longitudinal sectional view {FIG. 4 (b)} of an inner ring (control member).
FIG. 5 is a front view {FIG. 5 (a)} and a longitudinal sectional view {FIG. 5 (b)} of the outer ring (stationary side member).
FIG. 6 is a longitudinal sectional view {FIG. 6 (a)} and a front view {FIG. 6 (b)} of the fixed side plate.
7 is a longitudinal sectional view {FIG. 7 (a)} and a front view {FIG. 7 (b)} of a friction member (braking means).
FIG. 8 is a cross-sectional view {cross-section BB in FIG. 1} showing the first clutch portion.
9 is a front view {FIG. 9 (a)}, a longitudinal sectional view {FIG. 9 (b)}, and a transverse sectional view {FIG. 9 (c)} showing a cage of the first clutch portion.
FIG. 10 is a side view {FIG. 10 (a)}, a front view {FIG. 10 (b)}, and a mounting view {FIG. 10 (c)} showing a centering spring of the first clutch portion.
FIG. 11 is a conceptual diagram illustrating the operation of the first clutch unit (neutral position).
FIG. 12 is a conceptual diagram illustrating the operation of the first clutch portion (at the time of torque transmission).
FIG. 13 is a conceptual diagram illustrating the operation of the first clutch portion (at the time of return).
14 is a cross-sectional view {A-A cross section of FIG. 1} showing the second clutch portion. FIG.
FIG. 15 is a partially enlarged cross-sectional view for explaining the operation of the second clutch portion (neutral position).
FIG. 16 is a partial enlarged cross-sectional view for explaining the operation of the second clutch portion (at the time of unlocking).
FIG. 17 is a partially enlarged cross-sectional view for explaining the operation of the second clutch portion (at the time of torque transmission).
FIG. 18 is a conceptual diagram showing a seat seat of an automobile.
FIG. 19 is a conceptual diagram showing a structural example of a seat height adjusting device.
20 is a longitudinal sectional view {FIG. 20 (a)} showing a clutch unit according to a second embodiment of the present invention, a front view of a friction member {FIG. 20 (b)}, and a sectional view {FIG. 20 (c)]. }.
FIG. 21 is a longitudinal sectional view {FIG. 21 (a)} showing a clutch unit according to a second embodiment of the present invention, a front view of a friction member {FIG. 21 (b)}, and a sectional view {FIG. 21 (c). }.
[Explanation of symbols]
1 Outer ring (input side member)
2 Output shaft (output side member)
3 Inner ring (control member)
4 Outer ring (stationary member)
5 First clutch part
6 Second clutch
7 Fixed side plate
9 Friction member (braking means)
Claims (18)
前記第1クラッチ部は、前記入力側部材からの入力トルクに対して前記入力側部材と前記制御部材とをロックするロック手段と、前記入力側部材が解放されたときに前記入力側部材を入力トルクが入力される前の中立位置に復帰させる復帰手段とを備え、
前記ロック手段は、前記入力側部材に設けられたカム面と、前記制御部材に設けられた円周面と、前記カム面と前記円周面との間に介在する係合子とを備え、前記カム面は前記円周面との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成し、前記復帰手段は、前記係合子を保持する保持器と、前記保持器を前記静止側部材に回転方向に連結する弾性部材とを備え、
前記入力側部材からの入力トルクは前記第1クラッチ部および前記制御部材を介して前記出力側部材に伝達し、前記出力側部材からの逆入力トルクは前記第2クラッチ部を介して前記静止側部材との間でロックするクラッチユニット。An input side member to which torque is input, an output side member to which torque is output, a control member interposed in a torque transmission path between the input side member and the output side member, and a stationary side where rotation is restricted A first clutch portion provided between the member, the input side member and the control member, and a second clutch portion provided between the stationary side member and the output side member,
The first clutch portion receives the input side member when the input side member is released, and lock means for locking the input side member and the control member against input torque from the input side member. Return means for returning to the neutral position before torque is input,
The locking means includes a cam surface provided on the input side member, a circumferential surface provided on the control member, and an engagement element interposed between the cam surface and the circumferential surface, The cam surface forms a wedge gap in both forward and reverse rotation directions with the circumferential surface, and the return means includes a retainer for holding the engagement element, and the retainer in the rotation direction with respect to the stationary member. An elastic member to be connected,
Input torque from the input side member is transmitted to the output side member via the first clutch portion and the control member, and reverse input torque from the output side member is transferred to the stationary side via the second clutch portion. Clutch unit that locks with the member.
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