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JP4278143B2 - 回転ダンパー - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、歯車やラックと噛み合う被駆動歯車の回転を制動する回転ダンパーに関するものである。
上記した回転ダンパーは、ハウジングと、このハウジング内に収容された粘性流体と、ハウジング内に収められ、ハウジングから一部が突出する軸部にハウジング内の粘性流体中を移動する抵抗部が設けられたローターと、このローターの軸部とハウジングとの間から粘性流体が漏れるのを防止するシール部材と、で構成されている。
なお、ハウジングから突出する軸部には、被駆動歯車が取り付けられる。
特公平4−34015号公報
従来の回転ダンパーは、組立時にハウジング内に混入した空気を、トルク発生部分であるローターの抵抗部とハウジングの底面あるいは天井面との間に位置させないように、抵抗部の形状を略小判型としている。
しかし、ローターは双方向へ回転するので、ハウジング内に混入した空気が抵抗部を乗り越えて抵抗部の反対側へ移動する際に異音が発生する。
このハウジング内に混入した空気が抵抗部を乗り越えるときに発生する異音は、ハウジング内に混入した空気が抵抗部へ乗り上げることによって圧縮された後、抵抗部を乗り越えたときに、急激に開放されることに起因する破裂音と考えられる。
なお、この異音は、粘性流体の粘度が高い程発生し易く、また、ローターとハウジングとの間隔が狭い程発生し易くなる。
この発明は、組立時に、ハウジング内に混入した空気が抵抗部を乗り越えないようにすることにより、ローターが双方向へ回転してもハウジング内に混入した空気に起因する異音の発生を防止することのできる回転ダンパーを提供するものである。
この発明は、以下のような発明である。
(1)ハウジングと、このハウジング内に収容された粘性流体と、前記ハウジング内に収められ、前記ハウジングから一部が突出する軸部に前記ハウジング内の前記粘性流体中を移動する抵抗部が設けられたローターと、前記軸部と前記ハウジングとの間から前記粘性流体が漏れるのを防止するシール部材と、からなる回転ダンパーにおいて、前記抵抗部を前記軸部から放射状に延出させて複数設け、この抵抗部の延出基部付近から回転円周方向へ突出する突出部を湾曲した枝状に設けるとともに、この突出部の先端を、所定の間隔をあけて対向させ、径方向において、前記突出部と前記ハウジングとの間隔を、前記抵抗部と前記ハウジングとの間隔よりも狭くし、前記突出部の先端と前記抵抗部との間隔を、前記対向する突出部の間隔よりも長くし、前記対向する突出部の先端部を、先端方向へ窄まる形状としたことを特徴とする。
(2)ハウジングと、このハウジング内に収容された粘性流体と、前記ハウジング内に収められ、前記ハウジングから一部が突出する軸部に前記ハウジング内の前記粘性流体中を移動する抵抗部が設けられたローターと、前記軸部と前記ハウジングとの間から前記粘性流体が漏れるのを防止するシール部材と、からなる回転ダンパーにおいて、前記抵抗部を前記軸部から放射状に延出させて複数設け、この抵抗部の外側から回転円周方向へ突出する突出部を三日月状に設けるとともに、この突出部の先端を、所定の間隔をあけて対向させ、径方向において、前記突出部と前記ハウジングとの間隔を、前記抵抗部と前記ハウジングとの間隔よりも狭くし、前記突出部の先端と前記抵抗部との間隔を、前記対向する突出部の間隔よりも長くし、前記対向する突出部の先端部を、先端方向へ窄まる形状としたことを特徴とする。
この発明によれば、抵抗部を軸部から放射状に延出させて複数設け、この抵抗部の延出基部付近から回転円周方向へ突出する突出部を湾曲した枝状に設け、または、この抵抗部の外側から回転円周方向へ突出する突出部を三日月状に設けるとともに、この突出部の先端を、所定の間隔をあけて対向させたので、組立時にハウジング内に混入した空気は、抵抗部の回転時に負圧の発生する突出部の後端部分に追従するように移動することにより、抵抗部を乗り越えなくなる。
したがって、ローターが双方向へ回転してもハウジング内に混入した空気に起因する異音の発生を防止することができる。
また、径方向において、突出部とハウジングとの間隔を、抵抗部とハウジングとの間隔よりも狭くしたので、抵抗部の回転時に、突出部の後端部分に負圧が発生し易くなり、その部分にハウジング内に混入した空気が溜まって突出部に追従して移動する。
したがって、ローターが双方向へ回転してもハウジング内に混入した空気に起因する異音の発生をさらに防止することができる。
また、突出部の先端と抵抗部との間隔を、対向する突出部の間隔よりも長くしたので、ローターの回転が反転するとき、ハウジング内に混入した空気は対向する突出部の一方から他方へ移り易くなる。
したがって、ローターが双方向へ回転してもハウジング内に混入した空気に起因する異音の発生をさらに防止することができる。
また、対向する突出部の先端部を、先端方向へ窄まる形状としたので、抵抗部の反回転時に、前回の抵抗部の回転時に突出部の後端部分に発生した負圧部(抵抗部の反転時の上流側に位置する突出部の上流側)から空気が離れ易くなる。
したがって、ローターが反回転するとき、ハウジング内に混入した空気の移動がスムーズになる。
以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の第1実施例である回転ダンパーの断面図、図2は図1に示したローターの斜視図、図3は動作説明図である。
図1において、Dは回転ダンパーを示し、合成樹脂製のケース11と、このケース11内に収容された粘性流体としてのシリコーンオイル21と、ケース11内に収められ、ケース11から外部へ一部が突出する軸部32にケース11内のシリコーンオイル21中を移動する抵抗部36が設けられた合成樹脂製のローター31と、このローター31の軸部32が貫通する貫通孔42が設けられ、ケース11の開口を閉塞する合成樹脂製のキャップ41と、このキャップ41とローター31の軸部32との間からシリコーンオイル21が漏れるのを防止するシール部材としてのOリング51と、キャップ41から突出するローター31の軸部32に取り付けられた合成樹脂製の被駆動歯車61とで構成されている。
なお、ハウジングは、ケース11と、キャップ41とで構成されている。
上記したケース11は、平面形状が円形の底部13の外縁に周回させて円筒壁部14が設けられたケース本体12と、底部13の中心に設けられた円柱状の軸支部16と、ケース本体12の外周に、例えば、180度の間隔で放射方向へ設けられ、取付孔18を備えた取付フランジ17とで構成されている。
そして、円筒壁部14の内周には、中間部分から上端まで達するように円筒状に肉抜きされた、キャップ41の下側外縁を受け止める拡径段部14aが設けられている。
なお、15はケース本体12内に形成された収容部を示し、シリコーンオイル21を収容する部分であり、拡径段部14aから下側の部分に相当する。
上記したローター31は、図2または図3に示すように、円柱状の軸部32と、この軸部32から放射状に延出させた複数、この実施例では180度の間隔に設けられた2つの抵抗部36と、この抵抗部36の延出基部付近から回転円周方向へ突出させて湾曲した枝状に設けられた突出部37とで構成されている。
そして、軸部32には、底面にケース11の軸支部16が回転可能に係合する円筒形状の窪み33が設けられ、キャップ41から突出する部分に、IカットされたIカット段部34が設けられ、Iカットされた平面部分(垂直面)にそれぞれ水平方向の嵌合溝35が設けられている。
なお、突出部37の先端は、図2または図3に示すように、所定の間隔をあけて対向している(近接している)。
また、図3に示すように、突出部37とケース11あるいはキャップ41との間隔aを、抵抗部36とケース11あるいはキャップ41との間隔bよりも狭くしてあり、また、突出部37の先端と抵抗部36との間隔cを、対向する突出部37の間隔dよりも長くしてあり、対向する突出部37の先端部は、先端方向へ窄まる形状とされている。
上記したキャップ41には、中心に、ローター31の軸部32が貫通する貫通孔42が設けられ、この貫通孔42の下側に、下端まで達するように円筒状に肉抜きされた、Oリング51を収容する拡径段部43が設けられている。
また、被駆動歯車61には、Iカット状の取付孔62が中心に設けられ、この取付孔62の平面部分に、ローター31の軸部32に設けた嵌合溝35に嵌合する嵌合突条63が設けられている。
次に、回転ダンパーDの組立の一例について説明する。
まず、ローター31の軸部32をOリング51に嵌め、窪み33および抵抗部36の部分にシリコーンオイル21を塗布した後、窪み33内へケース11の軸支部16を嵌合させるように、収容部15内へ軸部32の一部および抵抗部36を収容する。
そして、収容部15内へ適量のシリコーンオイル21を注入した後、貫通孔42内へ軸部32を挿入しながらキャップ41を円筒壁部14内に嵌合させ、ケース11の開口をキャップ41で閉塞すると、キャップ41は拡径段部14aに衝合する。
このようにしてキャップ41を拡径段部14aに衝合させると、円筒壁部14内の空気Aはほとんどケース11外へ排出され、円筒壁部14とキャップ41とは密着するとともに、拡径段部43内にOリング51が収容され、Oリング51が軸部32とキャップ41との間からシリコーンオイル21が漏れるのを防止する。
次に、円筒壁部14とキャップ41との間を、例えば、高周波ウェルダホーンで周回するように溶着して密閉する。
そして、キャップ41から突出した軸部32を被駆動歯車61の取付孔62内へ圧入させると、嵌合突条63が嵌合溝35に嵌合することにより、回転ダンパーDの組立が終了する。
次に、動作について説明する。
まず、図3に実線で示すように、ローター31が時計方向へ回転すると、シリコーンオイル21中で抵抗部36が時計方向へ回転し、抵抗部36にシリコーンオイル21の粘性抵抗およびせん断抵抗が作用するので、ローター31の回転を制動する。
したがって、ローター31に取り付けられた被駆動歯車61が噛み合う歯車、ラックなどの回転または移動を制動してその回転または移動をゆっくりとさせる。
このようにローター31が時計方向へ回転するとき、抵抗部36の延出基部付近から突出部37が回転円周方向へ突出させて湾曲した枝状に設けられているので、組立時にケース11内に空気Aが混入しても、混入した空気Aは、図3に実線で示すように、抵抗部36の回転時に負圧の発生する突出部37の後端部分に追従するように移動する。
そして、図3に点線で示すように、ローター31が反時計方向へ回転すると、シリコーンオイル21中で抵抗部36が反時計方向へ回転し、抵抗部36にシリコーンオイル21の粘性抵抗およびせん断抵抗が作用するので、ローター31の回転を制動する。
したがって、ローター31に取り付けられた被駆動歯車61が噛み合う歯車、ラックなどの回転または移動を制動してその回転または移動をゆっくりとさせる。
このようにローター31が反時計方向へ回転するとき、抵抗部36の延出基部付近から突出部37が回転円周方向へ突出させて湾曲した枝状に設けられ、間隔cが間隔dよりも長くされているので、組立時にケース11内に混入した空気Aは、図3に点線で示すように、抵抗部36側へ向かわずに、抵抗部36の回転時に負圧の発生する突出部37の後端部分に追従するように移動する。
上述したように、この発明の第1実施例によれば、抵抗部36を軸部32から放射状に延出させて2つ設け、この抵抗部36の延出基部付近から回転円周方向へ突出させて湾曲した枝状に突出部37を設けるとともに、突出部37の先端を、所定の間隔をあけて対向させたので、組立時にケース11内に混入した空気Aは、抵抗部36の回転時に負圧の発生する突出部37の後端部分に追従するように移動することにより、抵抗部36を乗り越えなくなる。
したがって、ローター31が双方向へ回転してもケース11内に混入した空気Aに起因する異音の発生を防止することができる。
また、突出部37とケース11あるいはキャップ41との間隔aを、抵抗部36とケース11あるいはキャップ41との間隔bよりも狭くしたので、抵抗部36の回転時に、突出部37の後端部分に負圧が発生し易くなり、その部分にケース11内に混入した空気Aが溜まって突出部37に追従して移動する。
したがって、ローター31が双方向へ回転してもケース11内に混入した空気Aに起因する異音の発生をさらに防止することができる。
また、突出部37の先端と抵抗部36との間隔cを、対向する突出部37の間隔dよりも長くしたので、ローター31の回転が反転するとき、ケース11内に混入した空気Aは対向する突出部37の一方から他方へ移り易くなる。
したがって、ローター31が双方向へ回転してもケース11内に混入した空気Aに起因する異音の発生をさらに防止することができる。
そして、対向する突出部37の先端部を、先端方向へ窄まる形状としたので、抵抗部36の反回転時に、前回の抵抗部36の回転時に突出部37の後端部分に発生した負圧部(抵抗部36の反転時の上流側に位置する突出部37の上流側)から空気が離れ易くなる。
したがって、ローター31が反回転するとき、ケース11内に混入した空気Aの移動がスムーズになる。
図4はこの発明の第2実施例である回転ダンパーを構成するローターの平面図であり、図1〜図3と同一または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
この第2実施例のローター31が第1実施例のローター31と異なる点は、抵抗部36の外側に三日月状の突出部37を設けた部分である。
なお、他の部分は、第1実施例と同じに構成されている。
この第2実施例においても、第1実施例と同様な効果を得ることができる。
上記した実施例では、ケース11に軸支部16を設け、軸部32に窪み33を設けてローター31を回転可能に支持する例を示したが、ケースに窪みを設け、軸部に軸支部を設ける構成としてもよい。
そして、ハウジングをケース11およびキャップ41で構成し、ケース11にシリコーンオイル21の収容部15を設け、ローター31の軸部32が貫通する貫通孔42をキャップ41に設け、キャップ41と軸部32との間からシリコーンオイル21が漏れるのをOリング51で防止する構成とした例を示したが、キャップにシリコーンオイルの収容部を設け、ローターの軸部が貫通する貫通孔をケースに設け、ケースと軸部との間からシリコーンオイルが漏れるのをOリングで防止する構成としてもよい。
また、複数の抵抗部36を2つとした例を示したが、2つ以上であれば、3つでも、4つでもよい。
そして、軸部32に抵抗部36を一体成形した例を示したが、軸部と抵抗部とを別々に成形し、例えば、角軸と角孔との関係で一体的に回転するように構成してもよい。
さらに、粘性流体としてシリコーンオイル21を用いた例を示したが、同様に機能する他の粘性流体、例えば、グリースなどを用いることもできる。
この発明の第1実施例である回転ダンパーの断面図である。 図1に示したローターの斜視図である。 動作説明図である。 この発明の第2実施例である回転ダンパーを構成するローターの平面図である。
符号の説明
D 回転ダンパー
11 ケース(ハウジング)
12 ケース本体
13 底部
14 円筒壁部
14a 拡径段部
15 収容部
16 軸支部
17 取付フランジ
18 取付孔
21 シリコーンオイル(粘性流体)
31 ローター
32 軸部
33 窪み
34 Iカット段部
35 嵌合溝
36 抵抗部
37 突出部
41 キャップ(ハウジング)
42 貫通孔
43 拡径段部
51 Oリング(シール部材)
61 被駆動歯車
62 取付孔
63 嵌合突条
a〜d 間隔
A 空気

Claims (2)

  1. ハウジングと、
    このハウジング内に収容された粘性流体と、
    前記ハウジング内に収められ、前記ハウジングから一部が突出する軸部に前記ハウジング内の前記粘性流体中を移動する抵抗部が設けられたローターと、
    前記軸部と前記ハウジングとの間から前記粘性流体が漏れるのを防止するシール部材と、
    からなる回転ダンパーにおいて、
    前記抵抗部を前記軸部から放射状に延出させて複数設け、
    この抵抗部の延出基部付近から回転円周方向へ突出する突出部を湾曲した枝状に設けるとともに、この突出部の先端を、所定の間隔をあけて対向させ
    径方向において、前記突出部と前記ハウジングとの間隔を、前記抵抗部と前記ハウジングとの間隔よりも狭くし、
    前記突出部の先端と前記抵抗部との間隔を、前記対向する突出部の間隔よりも長くし、
    前記対向する突出部の先端部を、先端方向へ窄まる形状とした、
    ことを特徴とする回転ダンパー。
  2. ハウジングと、
    このハウジング内に収容された粘性流体と、
    前記ハウジング内に収められ、前記ハウジングから一部が突出する軸部に前記ハウジング内の前記粘性流体中を移動する抵抗部が設けられたローターと、
    前記軸部と前記ハウジングとの間から前記粘性流体が漏れるのを防止するシール部材と、
    からなる回転ダンパーにおいて、
    前記抵抗部を前記軸部から放射状に延出させて複数設け、
    この抵抗部の外側から回転円周方向へ突出する突出部を三日月状に設けるとともに、この突出部の先端を、所定の間隔をあけて対向させ、
    径方向において、前記突出部と前記ハウジングとの間隔を、前記抵抗部と前記ハウジングとの間隔よりも狭くし、
    前記突出部の先端と前記抵抗部との間隔を、前記対向する突出部の間隔よりも長くし、
    前記対向する突出部の先端部を、先端方向へ窄まる形状とした、
    ことを特徴とする回転ダンパー。
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