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JP4273887B2 - 変性共役ジエン重合体の製造方法 - Google Patents

変性共役ジエン重合体の製造方法 Download PDF

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JP4273887B2 JP2003317797A JP2003317797A JP4273887B2 JP 4273887 B2 JP4273887 B2 JP 4273887B2 JP 2003317797 A JP2003317797 A JP 2003317797A JP 2003317797 A JP2003317797 A JP 2003317797A JP 4273887 B2 JP4273887 B2 JP 4273887B2
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Description

本発明は、新規な変性共役ジエン重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、高い1,4−シス結合量及び狭い分子量分布を有し、かつ、変性により一層優れた反発弾性及び耐摩耗性を有する変性共役ジエン重合体の製造方法に関する。
一般に、タイヤ用のゴムは反発弾性、耐摩耗性及び低発熱性のバランスに優れることが必要であり、そのためには、1,4−シス結合量ができるだけ高く、狭い分子量分布のポリブタジエンが求められている。
ネオジムなどのランタン系列金属を含有する重合触媒を使用すると、そのようなポリブタジエン(以下、「PB」と記すことがある。)の製造に有利であることが知られ、この触媒系に関する検討が行われている。
例えば、特許文献1には、オクタン酸ネオジム、有機アルミニウム化合物、水素化有機アルミニウム化合物及びハロゲン化有機アルミニウムを混合、熟成してなる触媒を用いてブタジエンを重合する技術が開示されている。しかし、これによって得られるPBは、1,4−シス結合量が高いとはいえ、93%程度であり、十分とは言えなかった。
また、特許文献2には、ネオジムなどの希土類元素含有化合物、アルモキサン、有機アルミニウム化合物、及び、金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物を主成分とする重合触媒を用いてブタジエンを重合して好ましくは1,4−シス結合量93%以上、分子量分布の指標(重量平均分子量/数平均分子量)3.0以下のPBが得られること、また、重合反応後に各種の化合物を添加して重合体に反応させた変性PBが、反発弾性及び耐摩耗性に一層優れることが報告されている。しかし、この触媒系はアルモキサンの合成が複雑であり、触媒活性の再現性も十分ではなく、また、有機アルミウム化合物よりも高価であるため、工業生産性という観点からは改良が望まれるものであった。
特公平1−55287号公報 特開2000−34320号公報
本発明の目的は、反発弾性及び耐摩耗性が高度に優れる変性共役ジエン重合体を工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ランタン系列金属、特定の有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物及び有機アルミニウムハライド化合物からなり、特定の方法で調製して得られる重合触媒を用いて共役ジエンを重合することにより、従来になく高い1,4−シス結合量と狭い分子量分布を有する共役ジエン重合体が工業的に安定生産できることを見出した。そしてさらに、この共役ジエン重合体に特定の化合物を反応させて変性することにより、反発弾性及び耐摩耗性が一層向上することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、下記1〜が提供される。
1. ランタン系列金属化合物(A)、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物(B)、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)及び有機アルミニウムハライド化合物(D)を、この順序で逐次配合してなり、かつ、有機アルミニウム化合物(B)を配合後、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)を配合する前にエージング工程を設けて調製されてなる重合触媒の存在下で共役ジエンを重合し、
重合反応後に共役ジエン重合体に、スズ化合物、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である変性剤を反応させることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法。
Al(R)(R)(R) (1)
(R、R及びRは、互いに独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
2. 前記ランタン系列金属化合物(A)がネオジム化合物である上記1記載の変性共役ジエン重合体の製造方法
本発明方法によれば、反発弾性及び耐摩耗性が高度に優れる変性共役ジエン重合体を工業的に有利に製造し得る方法が提供される。
本発明で使用する重合用触媒は、ランタン系列金属化合物(A)、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物(B)、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)及び有機アルミニウムハライド化合物(D)を、この順序で逐次配合してなり、かつ、有機アルミニウム化合物(B)を配合後、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)を配合する前にエージング工程を設けて調製されてなるものである。
Al(R)(R)(R) (1)
(R、R及びRは、互いに独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
ランタン系列金属化合物(A)は、ランタン系列金属(A1)の塩、アルコキシドまたは錯体であり、中でも塩が好ましい。
ランタン系列金属(A1)は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種の金属である。これらの中でも、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム及びガドリニウムが好ましく、得られる重合体の1,4−シス結合量及び重合活性を高くでき、かつ、入手しやすく取り扱いやすい点から、ネオジムが特に好ましい。
ランタン系列金属(A1)と、塩、アルコキシドまたは錯体を形成する化合物(A2)としては、カルボン酸、リン含有有機酸、フェノール類、アルコール類及びβ−ジケトン類などが挙げられる。中でも、カルボン酸及びリン含有有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましい。
塩としては、カルボン酸塩、リン含有有機酸塩などが挙げられる。これらは、さらに、カルボン酸塩とリン含有有機酸塩との複合塩(〔カルボン酸塩〕〔リン含有有機酸塩〕)のような、異なる結合様式からなる複合塩構造のものであってもよい。これらの中でも、カルボン酸塩がより好ましい。
カルボン酸塩を形成するカルボン酸は特に限定されない。カルボン酸の炭素数は、通常、炭素数2〜20である。その具体例としては、酢酸、オクタン酸、オクテン酸、ラウリン酸、バーサチック酸(炭素数1以上のアルキル基が3つ結合した三級炭素にカルボキシル基を有する炭素数6〜20の脂肪族モノカルボン酸である。例えば、シェル化学社から販売されているバーサチック−10などが例示される。)などの脂肪族カルボン酸;フェニル酢酸などのアリール置換脂肪族カルボン酸;シクロペンタンカルボン酸などの脂環族カルボン酸; 安息香酸、ナフテン酸などの芳香族カルボン酸;などが挙げられる。中でも、炭素数6〜20の脂肪族カルボン酸が好ましく、高重合活性の触媒が得られる点から、バーサチック酸がより好ましい。
リン含有有機酸は特に限定されないが、下記の一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004273887
(R及びRは独立して、水素原子、水酸基または炭素数1〜20の、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基若しくはアルキルフェノキシ基を表わす。)
上記式(2)で示される化合物の具体例としては、リン酸ジブチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ジオレイル、リン酸ブチル(2−エチルヘキシル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)などのリン酸ジアルキルエステル;リン酸ジフェニルなどのリン酸ジアリールエステル; 2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチルなどのモノアルキルホスホン酸モノアルキルエステル; 2−エチルヘキシルホスホン酸モノフェニルなどのモノアルキルホスホン酸モノアリールエステル;ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチルなどのホスホン酸モノアルキルエステル;ホスホン酸モノフェニルなどのホスホン酸モノアリールエステル;ジブチルホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸などのジアルキルホスフィン酸; ジフェニルホスフィン酸などのジアリールホスフィン酸;などが挙げられる。
フェノール類としては、例えば、2,6−t−ブチルフェノール、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのアルキル置換モノフェノール;などが挙げられる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、 イソプロパノール、t−ブタノール、t−アミルアルコール、 2−ブテニルアルコール、3−ヘキセニルアルコールなどの炭素数1〜10の脂肪族アルコール;シクロヘキシルアルコールなどの炭素数3〜6の脂環族アルコール;ベンジルアルコールなどの炭素数7〜10のアリール置換脂肪族アルコール;などが挙げられる。
β−ジケトン類としては、例えば、炭素数5〜12の、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、エチルアセチルアセトンなどが挙げられる。
本発明で用いる一般式(1)
Al(R)(R)(R) (1)
(R、R及びRは、互いに独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
で表わされる有機アルミニウム化合物(B)が有する炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜6のシクロアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などの炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、1−ナフチル基,2−ナフチル基などの炭素数6〜20のアリール基;などが挙げられる。
これらの中でも、アルキル基が最も好ましい。また、アルキル基、アラルキル基及びアリール基は任意の位置に置換基を有していてもよい。
有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、メチルジイソブチルアルミニウム、トリn−ペンチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジメチルベンジルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ(4−メチルフェニル)アルミニウム、トリナフチルアルミニウム、フェニルジメチルアルミニウム、フェニルジエチルアルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、入手及び取扱容易性、触媒への高活性付与などの点から、トリエチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
本発明で用いる有機アルミニウムハイドライド化合物(C)は、下記式(3)で表される化合物である。
Al(R3−n(H)(3)
(Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは1または2であり、好ましくは1である。また、nが1のとき、2つのRは、同一でも相異なっていてもよい。)
前記Rの炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素数1〜10のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜6のシクロアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基などの炭素数7〜10のアラルキル基;フェニル基などの炭素数6〜10のアリール基;などが挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましい。また、前記アルキル基、アラルキル基及びアリール基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
有機アルミニウムハイドライド化合物(C)の具体例としては、水素化メチルアルミニウム、水素化エチルアルミニウム、水素化n−プロピルアルミニウム、水素化イソプロピルアルミニウム、水素化n−ブチルアルミニウム、水素化イソブチルアルミニウム、水素化n−ペンチルアルミニウム、水素化ネオペンチルアルミニウム、水素化n−ヘキシルアルミニウム、水素化イソヘキシルアルミニウム、水素化シクロヘキシルアルミニウム、水素化フェニルアルミニウムなどの、式:Al(R)Hで表されるアルミニウム水素化物;水素化ジメチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジn−プロピルアルミニウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム、水素化ジn−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジn−ペンチルアルミニウム、水素化ジネオペンチルアルミニウム、水素化ジn−ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジシクロヘキシルアルミニウム、水素化ジフェニルアルミニウムなどの、式:Al(RHで表されるアルミニウム水素化物;などが挙げられる。
本発明で用いる有機アルミニウムハライド化合物(D)は、下記式(4)で表わされる化合物である。
Al(R(X)3−m (4)
(Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Xは塩素、臭素などのハロゲン原子を表し、mは1または2であり、好ましくは1である。また、mが2のとき、2つのRは、同一でも相異なっていてもよい。前記Rの炭素数1〜10の炭化水素基としては、前記Rの炭素数1〜10の炭化水素基と同様なものが挙げられ、中でも、アルキル基が好ましい。)
有機アルミニウムハライド化合物(D)の具体例としては、ジメチルアルミニウムクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジクロライドなどが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
役ジエン重合触媒は、ランタン系列金属化合物(A)(以下、「成分(A)」ということがある。)、有機アルミニウム化合物(B)(以下、「成分(B)」ということがある。)、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)(以下、「成分(C)」ということがある。)、及び有機アルミニウムハライド化合物(D)(以下「成分(D)」ということがある。)を混合してなり、かつ、成分(C)を成分(B)よりも後に配合して調製されてなるものである。
さらに、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)をこの順序で配合して調製するのが好ましい。各成分をこのような順序で配合することにより、高い重合活性を有し、シス−1,4−結合量が高く、かつ、分子量分布が狭い共役ジエン重合体を与える重合触媒を得ることができる。
成分(B)の使用量は、成分(A)のランタン系列金属1モルに対し、通常、5〜60モル、好ましくは10〜50モル、より好ましくは15〜40モルである。成分(C)の使用量は、成分(A)のランタン系列金属1モルに対し、通常、1〜50モル、好ましくは3〜30モル、より好ましくは5〜20モルである。成分(D)の使用量は、成分(A)のランタン系列金属1モルに対し、通常、0.1〜20モル、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは1〜5モルである。
また、成分(B)と成分(C)の使用モル比は、成分(B)/成分(C)の比の値で、0.1〜10が好ましく、0.5〜5であるのがより好ましい。この値が小さすぎると、得られる共役ジエン重合体の分子量分布が広くなり、シス含有率が低くなるおそれがある。逆に、この値が大きすぎると、得られる共役ジエン重合体の分子量が増大する可能性がある。
重合触媒を製造する際には、使用する前記の触媒構成成分が固体状である場合には溶媒で溶解するのが好ましい。ここで用いる溶媒としては特に限定されないが、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の鎖状または環状の炭化水素、及びハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素、モノオレフィン類等が挙げられる。
鎖状または環状の炭化水素としては、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、などが挙げられる。ハロゲン原子で置換された炭化水素としては、クロロホルム、メチレンクロライド、ジクロロエタンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。ハロゲン原子で置換された芳香族炭化水素としては、クロロベンゼンなどが挙げられる。モノオレフィン類としては、1−ブテン、2−ブテンなどが挙げられる。これらの中でも、n−ヘキサン、シクロヘキサンが好ましい。
重合触媒を調製する反応温度や反応時間は特に限定されないが、成分(A)〜(D)の混合物を、通常、−78〜+100℃、好ましくは−20〜+80℃で、通常、1秒〜24時間撹拌するのが好適である。
また、成分(B)を配合後、成分(C)を配合する前に、エージング工程を設けるのが好ましい。本発明では、エージング工程を設ける。エージング工程は、成分(C)配合前に、成分(A)と成分(B)とを十分に反応させるために成分(B)の配合後、成分(C)の配合までに一定時間をおく工程である。その時間(エージング時間)は、好ましくは1〜60分、より好ましくは5〜30分である。エージング時間が短すぎる場合、例えば、成分(B)を配合した後、時間を置くことなくほぼ同時に成分(C)を配合する場合には、重合活性の高い触媒を得ることができず、分子量分布が狭い共役ジエン重合体を得ることができなくなる。逆に、エージング時間が長すぎる場合にも、重合活性が低下するため好ましくない。
さらに、成分(B)を配合した後、成分(C)を配合する前に、少量の共役ジエンをさらに配合するのがより好ましい。少量の共役ジエンを配合することによって、重合触媒の活性がより高くなる。ここで用いる共役ジエンとしては、重合に用いる共役ジエンが好ましい。共役ジエンの使用量は特に制限されないが、前記成分(A)のランタン系列金属1モルに対し、通常、1〜200モル、好ましくは10〜100モルである。
以上のようにして得られる本発明の重合触媒は、共役ジエンの重合にそのまま用いることもできるし、溶媒を留去してから用いることもできる。また、必要に応じて精製した後に使用することもできる。
本発明で用いる重合触媒は、カーボンブラック、無機化合物及び有機高分子化合物などの担体に担持させてもよい。担持させることにより、重合反応器の触媒付着による汚染を防止することができる。
担体となる無機化合物としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、カルシアなどの無機酸化物及び塩化マグネシウムなどの無機塩化物が好ましく挙げられる。これらの無機化合物は、平均粒子径が5〜150μm、比表面積が2〜800m2/gの多孔性粒子であることが好ましく、通常、100〜800℃で熱処理して水分を除去して担体として使用する。
単体となる有機高分子化合物としては、スチレン−メタクリル酸−ジビニルベンゼンからなるカルボキシ変性架橋スチレン共重合体などが挙げられる。これらの有機高分子化合物は、平均粒子径が5〜250μmの球状粒子であると好ましい。
本発明で用いる重合触媒は、前記(A)〜(D)成分の他に、さらに、周期律表1〜3、12及び13族元素から選ばれる少なくとも1種の金属の有機化合物を含有してもよい。この有機金属化合物としては特に限定されないが、例えば、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機マグネシウムハロゲン化物などが挙げられる。
有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウムなどが挙げられる。有機マグネシウム化合物としては、ジブチルマグネシウムなどが挙げられる。有機マグネシウムハロゲン化物としては、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライドなどが挙げられる。
本発明方法で製造する変性共役ジエン重合体のベースポリマーである共役ジエン重合体は、上記の共役ジエン重合触媒の存在下で共役ジエンを、又は、共役ジエン及びこれと共重合可能なその他の単量体をアニオン重合して製造する。
共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、1,3−ブタジエン及び2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
また、その他の単量体としては、共役ジエンと共重合可能であれば特に限定されないが、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−4,6−ジクロルスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、シクロペンテン、2−ノルボルネンなどの炭素数2〜10のモノオレフィン単量体;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの炭素数5〜10の非共役ジエン単量体;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどの炭素数1〜8のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;などが挙げられる。共役ジエンと共重合可能なその他の単量体の使用量は、通常、共役ジエンの80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
重合触媒の使用量(単量体1モルに対する、前記成分(A)のモル量で示す。)は、通常、0.001〜100ミリモル、好ましくは0.005〜50ミリモルである。(A)の使用量が過度に少ないと、重合活性が不足するおそれがあり、過度に多いと、得られる重合体の分子量が小さすぎたり、触媒残渣の除去が困難になったりするおそれがある。
重合方法としては特に限定されないが、塊状重合法、不活性溶媒中での溶液重合法ならびにスラリー重合法、及び、気相攪拌槽や気相流動床を使用した気相重合法などが挙げられる。これらの方法の中では、分子量分布をより狭くできる溶液重合法が好ましい。溶液重合法は、回分式でも連続式でもよい。
溶液重合法で使用する不活性溶媒としては特に限定されないが、炭素数4〜10の鎖状または環状の飽和炭化水素及び炭素数6〜12の芳香族炭化水素、1−ブテン、2−ブテンなどのモノオレフィン類が挙げられ、これらはハロゲン原子で置換されていてもよい。飽和炭化水素としては、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。ハロゲン原子で置換された飽和炭化水素としては、クロロホルム、メチレンクロライド、ジクロロエタンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。ハロゲン原子で置換された芳香族炭化水素としては、クロロベンゼンなどが挙げられる。中でも、n−ヘキサン及びシクロヘキサンが好ましい。
重合温度は、通常、−50〜+200℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜90℃である。重合時間は、1秒から20時間程度であり、重合圧力は、0.1〜3MPa程度である。
共役ジエン重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、1,4−シスポリブタジエンゴムの製造において従来から使用されるものが使用でき、その具体例として、1,2−ブタジエンなどのアレン類、シクロオクタジエンなどの環状ジエン類などが挙げられる。また、水素ガスを共存させて重合反応を行っても同様の効果が得られる。
重合反応によって得られる共役ジエン重合体は、1,4−シス結合量が、通常、96モル%以上、数平均分子量(Mn)が、通常、100,000〜500,000、分子量分布の指標である、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が、通常、2〜5である。上記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を混合してなり、かつ、(C)成分を(B)成分よりも後に配合して調製された触媒を用いて重合することにより、このように高い1,4−シス結合量と狭い分子量分布とを持った共役ジエン重合体を得ることができる。
性共役ジエン重合体の製造方法において、上記重合反応終了後の共役ジエン重合体を変性するために使用される変性剤は、アニオン重合法による共役ジエン重合体の活性末端に官能基を導入することができる化合物であれば特に限定されない。かかる変性剤としては、スズ化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、キノン化合物、エステル化合物、炭酸エステル化合物、カルボン酸、酸ハロゲン化物などが好ましく、スズ化合物、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましい。本発明では、スズ化合物、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いる。
変性剤として使用されるスズ化合物は、炭素数1〜10の炭化水素基を1〜3個有してもよいスズハロゲン化物、又は、炭素数1〜20の炭化水素基を1〜3個有する有機スズ有機酸塩である。
スズハロゲン化物の具体例としては、トリブチルスズクロライド、トリイソプロピルスズクロライド、トリヘキシルスズクロライド、トリオクチルスズクロライド、トリフェニルスズクロライド、ジフェニルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジヘキシルスズジクロライド、ジオクチルスズジクロライド、フェニルスズトリクロライド、ブチルスズトリクロライド、オクチルスズトリクロライド、四塩化スズなどが挙げられ、なかでもブチルスズトリクロライド、オクチルスズトリクロライド及び四塩化スズが好ましい。
有機スズ有機酸塩の具体例としては、トリ−n−ブチルスズアセテート、トリ−n−ブチルスズラウレート、トリ−n−ブチルスズ−2−エチルヘキサエート、トリ−n−ブチルスズアクリレート、トリオクチルスズアセテート、トリステアリルスズアクリレート、トリフェニルスズラウレート、トリベンジルスズラウレート、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−t−ブチルスズジ−2−エチルヘキサエート、ジオクチルスズジナフテート、ジフェニルスズジアクリレート、n−ブチルスズトリラウレート、t−ブチルスズトリ−2−エチルヘキサエート、オクチルスズトリアクリレートなどの有機スズ一塩基性有機酸塩類;ジ−t−ブチルスズビスメチルアジペート、ジ−t−ブチルスズビスオクチルアジペート、ジ−t−ブチルスズビスベンジルアジペート、ジ−n−ブチルスズビスベンジルマレート、ジ−n−ブチルスズビスブチルマレート、ジヘキシルスズビスメチルマレート、ジ−2−エチルヘキシルスズビス−2−エチルヘキシルイタコネート、ジオクチルスズビスオクチルイタコネート、ジフェニルスズビスオクチルイタコネート、ジ−n−ブチルスズビスメチルメサコネート、ジ−n−ブチルスズビス−2−エチルヘキシルメサコネート、ジイソプロピルスズビスベンジルメサコネート、ジヘキシルスズビスオクチルスクシネート、ジステアリルスズビス−2−エチルヘキシルスクシネート、ジフェニルスズビスベンジルスクシネートなどの有機スズ二塩基性有機酸モノエステル塩類;及び、ジ−t−ブチルスズアジペート、ジイソプロピルスズマレート、ジヘキシルスズマレート、ジ−2−エチルヘキシルスズイタコネート、ジステアリルスズメサコネート、ジフェニルスズスクシネートなどの有機スズ二塩基性有機酸塩類が挙げられる。
変性剤として使用されるイソシアネート化合物は、炭素数1〜20の炭化水素基を有する、モノイソシアネート類、ジイソシアネート類又はトリイソシアネート類である。
モノイソシアネート類の具体例としては、フェニルイソシアネートなどが挙げられる。ジイソシアネート類の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、トリイソシアネート類の具体例としては、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネ−ト、1,6,11−ウンデカントリイソシアネ−ト、ビシクロヘプタントリイソシアネ−トなどが挙げられる。
変性剤として使用されるエポキシ化合物は、炭素数2〜12のモノエポキシ炭化水素類;炭素数1〜12の炭化水素基を有するグリシジルエーテル類;有機酸グリシジルエステル類;グリシジルアミン類;油脂エポキシ化物;エポキシ基含有重合体又はエポキシ基含有シラン化合物である。
モノエポキシ炭化水素類としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシドなどが挙げられる。グリシジルエーテル類としては、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。有機酸グリシジルエステル類としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどが挙げられる。グリシジルアミン類としては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−グリシジルグリシジルオキシアニリンなどが挙げられる。油脂エポキシ化物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油などが挙げられる。エポキシ基含有重合体としては、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化天然ゴム、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。また、エポキシ基含有シラン化合物としては、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリフェノキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジフェノキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシランの縮合物、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシランの縮合物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
上記スズ化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物などの変性剤は1種単独で使用することも、2種以上併せて使用することもできる。変性剤の使用量は、共役ジエン重合体の重合触媒のランタン系列金属化合物(A)に対し、モル比で、通常、0.01〜200、好ましくは0.05〜150である。変性剤の使用量が過度に少ないと変性反応が十分行われないおそれがあり、逆に過度に多くしても物性改良効果には差が見られない可能性があり、経済上好ましくない。
共役ジエン重合体の変性反応は、ベースポリマーの共役ジエン重合体を得る重合反応が所定の重合転化率、通常、95モル%以上に到達した時点で、上記変性剤を重合系に添加して混合する。反応温度は、通常、−30℃〜+130℃、好ましくは20〜80℃で、反応時間は通常、5分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。
変性反応が終了したら、必要に応じて水、メタノール、プロパノール、塩酸、クエン酸などの重合停止剤;フェノール系、リン系、アミン系などの老化防止剤;鉱物系プロセス油、合成系プロセス油などの伸展剤;などを添加した後、重合体溶液から重合体を回収する。重合体を回収する方法としては、スチームストリッピング又は貧溶媒を利用する凝固法や直接乾燥法などの公知の方法を採用することができる。
本発明方法によって得られる変性共役ジエン重合体は、1,4−シス結合量が、通常、90モル%以上、好ましくは96モル%以上で、数平均分子量(Mn)が、通常、50,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜500,000であり、Mw/Mnが、通常、2〜5である。前記共役ジエン重合体の重合反応終了時に比して、Mnが高くなり、変性剤による分子鎖末端の変性の影響が出ている。
1,4−シス結合量が過度に小さいと耐摩耗性が改善されないおそれがあり、Mw/Mnが過度に大きい場合も耐摩耗性が改善されない可能性がある。
また、本発明方法によって得られる変性共役ジエン重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、通常、10〜150、好ましくは20〜100である。ムーニー粘度が過度に小さいと加硫後の耐摩耗性などが劣るおそれがあり、逆に過度に大きいと混練り時の加工性が悪化する可能性がある。
変性共役ジエン共重合体は、ベースポリマーの共役ジエン重合体が前記の重合触媒の効果により高い1,4−シス結合量と狭い分子量分布とを有することに加えて、重合体分子に導入された官能基の作用によりカーボンブラック、シリカなどの充填剤との馴染みが良くなるので、機械的強度、耐摩耗性、反発弾性などが一層向上する。
本発明方法で得られる変性共役ジエン重合体は、必要に応じて伸展剤、可塑剤、滑剤、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防止剤、あるいはイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴムなどの他のゴムをそれぞれ必要量配合して加硫し、反発弾性、耐摩耗性、機械的強度及び低発熱性などの特性が要求されるタイヤの他、ホース、ベルト、その他の各種工業用品に使用することができる。また、樹脂の耐衝撃性改良剤としても使用できる。
以下に参考例、実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、以下において「部」及び「%」は、断りがない限り重量基準である。試験、評価及びバーサチック酸ネオジム塩の製造は下記によった。
(1)重合体の分析方法
1,4−シス結合量は、H−NMR及び13C−PST−NMR分析により決定した。
重合体のMw、Mn、及び、分子量分布指標(Mw/Mn)はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法によって決定した。すなわち、東ソー社製GMHカラムを2本連結して用い、テトラヒドロフランを溶離液として、標準ポリブタジエン試料(ポリマーラボラトリーズ社製)を用いて作成した校正曲線に基づいてMw及びMnを求めた。
(2)反発弾性
JIS K6255に準じて、リュプケ式反発弾性を60℃で測定した。この値は、下記比較例2における測定値を100として指数で示した。この値が高い程、反発弾性に優れることを示す。
(3)耐摩耗性
JIS K6264に準じて、ランボーン摩耗試験機を用いて測定した。この値は、比較例2における測定値を100として指数で示した。この値が高い程、耐摩耗性に優れることを示す。
(4)バーサチック酸ネオジム塩の製造
水酸化ナトリウム0.8部を溶解した水溶液15部にバーサチック酸(バーサチック−10、シェル社製)3.5部を添加して、バーサチック酸ナトリウム塩水溶液を調製した。次いで、塩化ネオジム4部を溶解した水溶液に、強攪拌しながら上記のバーサチック酸ナトリウム塩水溶液を滴下した。水溶液中に生成した青紫色の粘稠物を充分に水洗した後、乾燥してバーサチック酸ネオジム塩を得た。
(実施例1〜3)
上記(4)で得たネオジム塩(1モル)をn−ヘキサン200部に溶解させ、そこへ、表1に示す量の、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)、1,3−ブタジエン(n−ヘキサン溶液)、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)及びジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)を、この順序で逐次室温で配合した。この混合物をさらに1時間室温で撹拌することにより、3種類の触媒液を得た。なお、TIBAL配合からDIBAH配合までにエージング時間を設けた。
TIBAL、DIBAH及びDEACの仕込み量(それぞれ、ネオジムに対するアルミニウム相対モル量)、1,3−ブタジエンの仕込み量(ネオジムに対するブタジエンの相対モル量)、TIBALとDIBAHの仕込み比(TIBAL/DIBAHの相対モル比)及びTIBAL配合後からDIBAH配合までのエージング時間(分)を表1に示す。
次いで、耐圧ガラス製オートクレーブに、1,3−ブタジエンの濃度が15%になるように、シクロヘキサン及び1,3−ブタジエンを仕込んだ。次いで、触媒液を加え、撹拌しつつ40℃にて100分間重合反応させた。ベースポリマーの重合転化率が100%に到達した時点で、物質名及び量を表2に示す変性剤を添加し、40℃にて60分間撹拌して変性反応を行った。その後少量のメタノールを加えて反応を停止し、重合体100部あたり、老化防止剤として2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノールを0.2部添加した後、スチームストリッピング法により重合体を析出させ、乾燥して変性共役ジエン重合体を得た。得られた変性共役ジエン重合体(変性PB)の、1,4−シス結合量、数平均分子量(Mn)及び分子量分布指標(Mw/Mn)を測定した。
得られた変性PB100部に対し、カーボンブラック(N339)50部、アロマオイル5部、酸化亜鉛(亜鉛華#1)3部、ステアリン酸2部及び老化防止剤(6PPD)1部をブラベンダータイプミキサー中で、混練物の排出温度が120度になるように6分間混練りした後、得られた混合物を50℃のオープンロールに移して更に硫黄(S#325)1.5部及び加硫促進剤(CBS)1.1部を加えて混練りし、ゴム配合物を得た。160℃で10〜15分プレス加硫を行うことにより加硫ゴムの試験片を得、その試験片を用いて反発弾性及び耐摩耗性の試験を行った。
重合反応に使用した、全1,3−ブタジエンに対する触媒使用量(単量体1モルに対するネオジムのミリモル数)、得られた重合体についての、収率、1,4−シス結合量、Mw、Mn、Mw/Mn及び反発弾性並びに耐摩耗性の試験結果を表2に示す。尚、収率は、使用したネオジムの単位数量当たり収率である。
(比較例1)
実施例1において、重合転化率が100%に到達した時点で変性剤を添加しないで少量のメタノールを加えて反応を停止した他は実施例1と同様に行った。重合触媒の調製条件は表1に、得られたPBの分析結果及び試験結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、TIBALとDIBAHの配合量をそれぞれ2倍にし、これら2成分の配合順序を入れ替え、エージングしなかった以外は、実施例1と同様にして触媒を得た。この触媒を用いた他は実施例1と同様にして重合反応及び変性反応を行って変性PBを得た。重合触媒の調製条件は表1に、得られた変性PBの分析結果及び試験結果を表2に示す。
Figure 0004273887
Figure 0004273887
表2が示すように、本発明方法によって得られた変性PBは、高い1,4−シス結合量及び好適なMnを有し、かつ、Mw/Mnが1に近くて狭い分子量分布を持っており、これを加硫したゴムは顕著に大きな反発弾性と極めて優れた耐摩耗性を有している(実施例1〜3)。
一方、本発明方法で用いる重合触媒で重合を行ったが、重合後に変性反応を行わなかった場合は、PB自体は1,4−シス結合量が高く、Mnが好適で、Mw/Mnも1に近い重合体が得られ、反発弾性及び耐摩耗性もある程度は優れているが、上記の本発明例における反発弾性及び耐摩耗性には及ばない(比較例1)。また、TIBALとDIBAHとの配合順序を逆にし、エージングも設けずに調製した触媒を使用して重合すると、重合活性が低下し、得られたPBは1,4−シス結合量が低く、Mw/Mnも1から離れた値でブロードな分子量分布であり、これを変性しても反発弾性、耐摩耗性ともに不十分であった(比較例2)。

Claims (2)

  1. ランタン系列金属化合物(A)、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物(B)、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)及び有機アルミニウムハライド化合物(D)を、この順序で逐次配合してなり、かつ、有機アルミニウム化合物(B)を配合後、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)を配合する前にエージング工程を設けて調製されてなる重合触媒の存在下で共役ジエンを重合し、
    重合反応後に共役ジエン重合体に、スズ化合物、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である変性剤を反応させることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法。
    Al(R)(R)(R) (1)
    (R、R及びRは、互いに独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
  2. 前記ランタン系列金属化合物(A)がネオジム化合物である請求項1記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
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