JP4273887B2 - 変性共役ジエン重合体の製造方法 - Google Patents
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ネオジムなどのランタン系列金属を含有する重合触媒を使用すると、そのようなポリブタジエン(以下、「PB」と記すことがある。)の製造に有利であることが知られ、この触媒系に関する検討が行われている。
また、特許文献2には、ネオジムなどの希土類元素含有化合物、アルモキサン、有機アルミニウム化合物、及び、金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物を主成分とする重合触媒を用いてブタジエンを重合して好ましくは1,4−シス結合量93%以上、分子量分布の指標(重量平均分子量/数平均分子量)3.0以下のPBが得られること、また、重合反応後に各種の化合物を添加して重合体に反応させた変性PBが、反発弾性及び耐摩耗性に一層優れることが報告されている。しかし、この触媒系はアルモキサンの合成が複雑であり、触媒活性の再現性も十分ではなく、また、有機アルミウム化合物よりも高価であるため、工業生産性という観点からは改良が望まれるものであった。
1. ランタン系列金属化合物(A)、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物(B)、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)及び有機アルミニウムハライド化合物(D)を、この順序で逐次配合してなり、かつ、有機アルミニウム化合物(B)を配合後、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)を配合する前にエージング工程を設けて調製されてなる重合触媒の存在下で共役ジエンを重合し、
重合反応後に共役ジエン重合体に、スズ化合物、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である変性剤を反応させることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法。
Al(R1)(R2)(R3) (1)
(R1、R2及びR3は、互いに独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
2. 前記ランタン系列金属化合物(A)がネオジム化合物である上記1記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
Al(R1)(R2)(R3) (1)
(R1、R2及びR3は、互いに独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
ランタン系列金属(A1)は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選ばれる少なくとも1種の金属である。これらの中でも、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム及びガドリニウムが好ましく、得られる重合体の1,4−シス結合量及び重合活性を高くでき、かつ、入手しやすく取り扱いやすい点から、ネオジムが特に好ましい。
塩としては、カルボン酸塩、リン含有有機酸塩などが挙げられる。これらは、さらに、カルボン酸塩とリン含有有機酸塩との複合塩(〔カルボン酸塩〕〔リン含有有機酸塩〕)のような、異なる結合様式からなる複合塩構造のものであってもよい。これらの中でも、カルボン酸塩がより好ましい。
Al(R1)(R2)(R3) (1)
(R1、R2及びR3は、互いに独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
で表わされる有機アルミニウム化合物(B)が有する炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜6のシクロアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などの炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、1−ナフチル基,2−ナフチル基などの炭素数6〜20のアリール基;などが挙げられる。
これらの中でも、アルキル基が最も好ましい。また、アルキル基、アラルキル基及びアリール基は任意の位置に置換基を有していてもよい。
Al(R6)3−n(H)n (3)
(R6は、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは1または2であり、好ましくは1である。また、nが1のとき、2つのR6は、同一でも相異なっていてもよい。)
Al(R7)m(X)3−m (4)
(R7は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Xは塩素、臭素などのハロゲン原子を表し、mは1または2であり、好ましくは1である。また、mが2のとき、2つのR7は、同一でも相異なっていてもよい。前記R7の炭素数1〜10の炭化水素基としては、前記R6の炭素数1〜10の炭化水素基と同様なものが挙げられ、中でも、アルキル基が好ましい。)
さらに、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)をこの順序で配合して調製するのが好ましい。各成分をこのような順序で配合することにより、高い重合活性を有し、シス−1,4−結合量が高く、かつ、分子量分布が狭い共役ジエン重合体を与える重合触媒を得ることができる。
鎖状または環状の炭化水素としては、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、などが挙げられる。ハロゲン原子で置換された炭化水素としては、クロロホルム、メチレンクロライド、ジクロロエタンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。ハロゲン原子で置換された芳香族炭化水素としては、クロロベンゼンなどが挙げられる。モノオレフィン類としては、1−ブテン、2−ブテンなどが挙げられる。これらの中でも、n−ヘキサン、シクロヘキサンが好ましい。
担体となる無機化合物としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、カルシアなどの無機酸化物及び塩化マグネシウムなどの無機塩化物が好ましく挙げられる。これらの無機化合物は、平均粒子径が5〜150μm、比表面積が2〜800m2/gの多孔性粒子であることが好ましく、通常、100〜800℃で熱処理して水分を除去して担体として使用する。
有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウムなどが挙げられる。有機マグネシウム化合物としては、ジブチルマグネシウムなどが挙げられる。有機マグネシウムハロゲン化物としては、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライドなどが挙げられる。
共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、1,3−ブタジエン及び2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
スズハロゲン化物の具体例としては、トリブチルスズクロライド、トリイソプロピルスズクロライド、トリヘキシルスズクロライド、トリオクチルスズクロライド、トリフェニルスズクロライド、ジフェニルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジヘキシルスズジクロライド、ジオクチルスズジクロライド、フェニルスズトリクロライド、ブチルスズトリクロライド、オクチルスズトリクロライド、四塩化スズなどが挙げられ、なかでもブチルスズトリクロライド、オクチルスズトリクロライド及び四塩化スズが好ましい。
モノイソシアネート類の具体例としては、フェニルイソシアネートなどが挙げられる。ジイソシアネート類の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、トリイソシアネート類の具体例としては、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネ−ト、1,6,11−ウンデカントリイソシアネ−ト、ビシクロヘプタントリイソシアネ−トなどが挙げられる。
モノエポキシ炭化水素類としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシドなどが挙げられる。グリシジルエーテル類としては、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。有機酸グリシジルエステル類としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどが挙げられる。グリシジルアミン類としては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−グリシジルグリシジルオキシアニリンなどが挙げられる。油脂エポキシ化物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油などが挙げられる。エポキシ基含有重合体としては、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化天然ゴム、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。また、エポキシ基含有シラン化合物としては、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリフェノキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジフェノキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシランの縮合物、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシランの縮合物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
共役ジエン重合体の変性反応は、ベースポリマーの共役ジエン重合体を得る重合反応が所定の重合転化率、通常、95モル%以上に到達した時点で、上記変性剤を重合系に添加して混合する。反応温度は、通常、−30℃〜+130℃、好ましくは20〜80℃で、反応時間は通常、5分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。
1,4−シス結合量が過度に小さいと耐摩耗性が改善されないおそれがあり、Mw/Mnが過度に大きい場合も耐摩耗性が改善されない可能性がある。
また、本発明方法によって得られる変性共役ジエン重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、通常、10〜150、好ましくは20〜100である。ムーニー粘度が過度に小さいと加硫後の耐摩耗性などが劣るおそれがあり、逆に過度に大きいと混練り時の加工性が悪化する可能性がある。
変性共役ジエン共重合体は、ベースポリマーの共役ジエン重合体が前記の重合触媒の効果により高い1,4−シス結合量と狭い分子量分布とを有することに加えて、重合体分子に導入された官能基の作用によりカーボンブラック、シリカなどの充填剤との馴染みが良くなるので、機械的強度、耐摩耗性、反発弾性などが一層向上する。
(1)重合体の分析方法
重合体のMw、Mn、及び、分子量分布指標(Mw/Mn)はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法によって決定した。すなわち、東ソー社製GMHカラムを2本連結して用い、テトラヒドロフランを溶離液として、標準ポリブタジエン試料(ポリマーラボラトリーズ社製)を用いて作成した校正曲線に基づいてMw及びMnを求めた。
(2)反発弾性
(3)耐摩耗性
(4)バーサチック酸ネオジム塩の製造
(実施例1〜3)
TIBAL、DIBAH及びDEACの仕込み量(それぞれ、ネオジムに対するアルミニウム相対モル量)、1,3−ブタジエンの仕込み量(ネオジムに対するブタジエンの相対モル量)、TIBALとDIBAHの仕込み比(TIBAL/DIBAHの相対モル比)及びTIBAL配合後からDIBAH配合までのエージング時間(分)を表1に示す。
得られた変性PB100部に対し、カーボンブラック(N339)50部、アロマオイル5部、酸化亜鉛(亜鉛華#1)3部、ステアリン酸2部及び老化防止剤(6PPD)1部をブラベンダータイプミキサー中で、混練物の排出温度が120度になるように6分間混練りした後、得られた混合物を50℃のオープンロールに移して更に硫黄(S#325)1.5部及び加硫促進剤(CBS)1.1部を加えて混練りし、ゴム配合物を得た。160℃で10〜15分プレス加硫を行うことにより加硫ゴムの試験片を得、その試験片を用いて反発弾性及び耐摩耗性の試験を行った。
重合反応に使用した、全1,3−ブタジエンに対する触媒使用量(単量体1モルに対するネオジムのミリモル数)、得られた重合体についての、収率、1,4−シス結合量、Mw、Mn、Mw/Mn及び反発弾性並びに耐摩耗性の試験結果を表2に示す。尚、収率は、使用したネオジムの単位数量当たり収率である。
(比較例1)
(比較例2)
一方、本発明方法で用いる重合触媒で重合を行ったが、重合後に変性反応を行わなかった場合は、PB自体は1,4−シス結合量が高く、Mnが好適で、Mw/Mnも1に近い重合体が得られ、反発弾性及び耐摩耗性もある程度は優れているが、上記の本発明例における反発弾性及び耐摩耗性には及ばない(比較例1)。また、TIBALとDIBAHとの配合順序を逆にし、エージングも設けずに調製した触媒を使用して重合すると、重合活性が低下し、得られたPBは1,4−シス結合量が低く、Mw/Mnも1から離れた値でブロードな分子量分布であり、これを変性しても反発弾性、耐摩耗性ともに不十分であった(比較例2)。
Claims (2)
- ランタン系列金属化合物(A)、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物(B)、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)及び有機アルミニウムハライド化合物(D)を、この順序で逐次配合してなり、かつ、有機アルミニウム化合物(B)を配合後、有機アルミニウムハイドライド化合物(C)を配合する前にエージング工程を設けて調製されてなる重合触媒の存在下で共役ジエンを重合し、
重合反応後に共役ジエン重合体に、スズ化合物、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である変性剤を反応させることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法。
Al(R1)(R2)(R3) (1)
(R1、R2及びR3は、互いに独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。) - 前記ランタン系列金属化合物(A)がネオジム化合物である請求項1記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
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