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JP4271866B2 - 冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造 - Google Patents

冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造であって、当該ノズルの入口端部から出口端部へと延在する、緊密な間隔を有して配置した非常に多数の冷却チャンネルを具えるノズル構造に関するものである。
【0002】
こうした冷却されるロケットノズルは、軽量かつ強固で、しかも均一な冷却効果をもたらすノズル壁を有していなければならない。これを達成するため、多数の平行な冷却チャンネルを、壁の金属材料自体に配置する。冷却チャンネルは、壁材料の加工および補助的な設計手法、あるいはノズル壁自体を、緊密に間隔を有して配置した多数の管を相互に連結して製造可能とすることのいずれかによって形成することができる。また、壁を種々の方法により二つの材料の複合層で形成することも可能であり、この複合層に、複合させた状態でチャンネルを形成するように空洞を作製する。
【0003】
上述した形式のロケットノズルは、例えば米国特許第5,221,045号、同第5,386,628号、同第5,233,755号、同第4,942,653号および同第3,768,256号により公知である。
【0004】
多数−数百本−の細い管からなるノズル壁の製造には、相当な労力と多くの時間を要すると言う事実に加え、こうしたノズルは他にも問題点を示す。したがって、管をろう付けによって相互に連結した場合に、接線方向における所要の構造強度を達成するのは困難である。こうした管はまた拡散接合によっても連結されるが、接線方向における信頼性の高い強度には達しない。
【0005】
ノズル壁材料の加工の異なる方法を、チャンネルを形成するために材料の他の層を覆う、あるいは他の層と複合させて溝または通路を設けるのに使用する場合、最終的な接合を、例えば溶接によって行うこともまた、溶接箇所が冷却液の圧力による応力に晒される場所では困難である。
【0006】
全ての従来から公知のノズルのもう一つの問題点は、使用する材料が必要な強度を有していなければならず、それゆえステンレス鋼やニッケル基合金のような比較的高密度の材料となることである。したがって、ノズルは重いものとなる。これは非常に不利である。なぜならば、ノズルの重量は、ロケットのペイロード能力を減少させることとなるからである。
【0007】
本発明の目的は、従来技術の問題点を排除し、より簡単かつ速く製造でき、強度も大幅に改善されるのみならず、より軽いノズルをもたらすロケットノズルを提案することにある。
【0008】
このことは、本発明によって、前記ノズル壁が複数の細長のパネルからなり、これらパネルがノズルの入口端部から出口端部へと延在し、また長手方向の側縁部で相互に連結し、さらに、前記各パネルが、その長手方向に延在する多数の隣接する前記冷却チャンネルを形成することにより達成される。
【0009】
明らかに、このことは、多数の細い管を一緒にまとめ、これら管を、その長さに亘って連結するための手間のかかる作業を必要としないことから、かなりの時間を省く結果となる。
【0010】
冷却チャンネルをパネルに配置しているため、本発明の第一の実施形態によれば、再生冷却式ロケットノズルのノズル壁構造用のパネルは、従来使用されていたものとは全く異なる金属、すなわち押出成型が可能な、アルミニウム、アルミニウム合金または銅のような金属で製造することが可能であることが理解される。これは、さらなる単純化と時間の節約の達成を意味するものである。まずアルミニウムに関しては、パネルの所望の強度は、ステンレス鋼やニッケル基合金と比較してある程度の寸法の増加により確保することが可能であるが、単位面積当たりの全体重量は、これら材料よりも依然として小さいものとなる。
【0011】
実験および計算が、高い熱伝導率、特にアルミニウムの熱伝導率により、特にある点において過熱および溶融の危険性を多少なりとも存在しなくなることを証明している。必要に応じて、ノズル内部を公知の方法でセラミックの熱防護被覆で被覆することが可能である。
【0012】
提案する材料の高い熱伝導率は、熱応力を低くする。ノズル構造は、荷重サイクル全体において弾性を維持する。ノズルの設計および開発は、これによって単純化される。
【0013】
本発明の第二の実施形態によれば、押出成型可能な金属製のパネルは二枚の押出成型パネル部品で製造することができ、これらパネル部品には適切な相互連結手段が設けられている。そのため、前記パネル部品は、前記相互連結手段を前記各パネルへ軸線方向に押し込んだ際に一体に固定されることとなる。
【0014】
本発明の非限定的な例を、ここで添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係るパネルの断面斜視図である。図2は側縁部に沿って相互に溶接した二枚のパネルの端部を示すものであり、各パネルは二つの押出成型可能なパネル部品を具える。図3は溶接して接続した二枚のパネルの端部を示すものであり、これらパネルの一方の側面にはセラミックの熱遮蔽物が設けられ、これは最終的なノズルの加熱される側に被覆されており、また、その反対側には補強用のフィンが設けられている。図4は螺旋状に巻いたパネルによるベル型ロケットノズルの側面図である。図5は相互に溶接した二枚のパネルの断面斜視図であり、これらパネルには、パネルを保持するための固定手段が設けられている。図6は図4のノズルの一部を拡大して示すものであり、ノズルの螺旋状に巻いたパネル内の冷却用チャンネルを示す。
【0015】
図1は本発明の第一の実施形態に係る、パネル11の形を取るノズル構造を示すものである。細長のパネル11は、再生冷却式のロケットノズルまたは冷却されるノズル壁を有するロケットノズルの一部の形成を意図するものであり、ノズルの入口端部から出口端部へと連続的に延在するものである。多数のパネル11が、ロケットノズル壁全体を形成するために、長手方向に相互に溶接される。パネル11には隣接する多数、図示の例では8本の、細長の平行な冷却チャンネル2が設けられ、このチャンネルはパネルの長手方向全体に亘って延在し、例えば楕円形の断面を有する。
【0016】
本発明の特に好適な実施形態においては、図1に示す各パネル11は、望ましくはアルミニウム、アルミニウム合金、銅、あるいは他の押出成型可能な金属の押出成型により一体成型されることが好適である。
【0017】
図4に示すように、パネル11はノズル1の入口端部3から出口端部4へと螺旋状に延在する。
【0018】
好適な実施形態において、パネル11には、その側縁部7の外側に沿うフランジ5,6を設けることが望ましい。これらフランジ5,6は三個の突起を有する。すなわち、これらは最終的なノズルの挫屈に抗する堅牢化手段として働き、パネル間の連結部または溶接部における材料の厚さを局所的に増加させるために設けられているものであり、さらに、以下で説明するノズル構造を形成する際に、互いに隣接するパネルを溶接コア(図示せず)上に押しつける手段として働く。
【0019】
図1に示すフランジ5,6には、溝8およびリブ9がそれぞれ、フランジのいずれか一方の側縁部に追加的に設けられており、また各フランジには内向きのノッチ10もまた追加的に設けられている。
【0020】
一枚のパネル11のフランジに設けた溝8およびリブ9は、それぞれ、パネル同士を溶接する際に、図示しない溶接コア上でパネルを相互に位置合わせするために、隣接するパネルの対応するリブおよび溝のそれぞれと連結するように適合されている。
【0021】
図2は本発明の第二の実施形態に係る、相互に溶接した二枚のパネル21を示すものである。各パネル21は、異なる材料、または同じ材料から押出成型されたパネル部品23,24により製造され、各パネル部品はさらに入れ子状をなすように軸線方向に押し出され、さらに、好ましくはありつぎ式(dovetail)の結合または類似の一体化手段によって、パネル形状に保持される。図2に示すパネル部品23,24は、それぞれの一方の側に、例えば、パネル部品の長手方向に延在する所定数の棒状部および溝状部が設けられる。パネル部品24側の棒状部26は、反対側のパネル23の棒状部25よりも高く、そのため、パネル部品23,24を入れ子にした際に、これらパネル部品間にチャンネル22が残る。図2に示す上側パネル部品23はノズルの冷えた外側部を構成し、基本的にノズルの支持部を形成する。一方、下側パネル部品は火炎に直面し、熱伝導に適合されている。それゆえ複合パネル21は、ノズルを形成するために、長手方向側面に沿って外側から相互に溶接されて製造され、ノズル内側のパネルもまた、相互に溶接されなければならない。この実施形態は、ロケットノズルの冷却チャンネルが小さい断面積を有する場合に、特に有利である。
【0022】
図2に示す実施形態にはフランジ5,6(図1参照)が設けられていないが、この実施形態においても、上述したような対応するフランジを形成可能であることは当業者には明白である。
【0023】
図3は第一の実施形態の変形を示すものであり、パネル11には、ノズルの外側を形成する部分に、ノズルの強度増加と熱伝導のために働く補強フィン12が設けられている。
【0024】
この図はまた、ノズルの剛性を増加させるためにノズル内側でパネルを溶接可能であることを示しているが、第二の実施形態においては、これは義務的なものではない。
【0025】
第一および第二の実施形態においては、フランジ5,6に、図5に示すような長手方向の固定手段13が設けられ、この固定手段は、ノズルの出口端部からほぼ半分の高さまで、すなわち応力が最大となる領域を越える箇所まで、連結したフランジ上をスライド可能であり、これらフランジに溶接される。
【0026】
図6はノズル壁を形成するパネルを拡大して示すものであり、その内部には冷却チャンネル2が形成されている。
【0027】
上述した形式のロケットノズル内側に熱被覆14を設けることが可能であることは、当業者には明白である。
【0028】
上述した実施形態に係るパネル内の冷却チャンネルの壁部分は、ノズルの加熱される側にあり、冷却チャンネル内には、冷却効率の増加と材料の温度を低下させるための図示しない表面増加手段を設けることが可能である。
【0029】
本発明に係るパネルは、冷却されるノズル壁を有するベル型ロケットノズルの製造に非常に適したものであるが、例えば、エアロスパイクノズル(プラグノズル)または円錐形ノズル用のパネルの製造も可能であることは、当業者には明白である。
【0030】
本発明の第一の実施形態に係るパネルから作られる、冷却チャンネルを設けたノズル壁を有する再生冷却式ベル型ロケットノズルの製造方法は、パネルがノズル壁に沿って螺旋状に延在するものであり、以下に簡単に説明する。
【0031】
まず第一の工程において、直線状あるいは予め螺旋状にした複数のパネルを、最終的なノズルと同形状の、図示しないベル型の溶接コアの小径側端部の外側に、小さな接線方向の隙間を有して取り付ける。通常型のノズルのためのパネルの数は40〜80枚であり、現在製造されているノズルの一形式のためには約420本の管が使用されていることと比較できる。パネル間の接線方向の隙間は、パネルの角度をノズルの軸線に適合させることにより除去される。
【0032】
第二の工程においては、パネルの側縁部にフランジを設けた場合、パネルを相互に取り付けるための手段は、溶接コアの小径側端部からフランジ上をスライド可能であり、この手段は、例えば、パネル部分的に接続させる「フォアランナー」の第一の組を具える。同時に、溶接コアを、パネルの螺旋巻きを開始するために回転させる。その後、フォアランナーをフランジに沿ってさらに引き下ろし、前記手段の新しい組を適用して、パネルを全体的に連結して取り付ける。隣接するパネルの溝およびリブ(図1参照)は相互に結合し、パネルは半径方向に固定されることとなる。
【0033】
さらに第三の工程においては、ノズルパネルの第一の部品(小径側端部)は溶接され、その後直ちに第二および第三の工程に係る方法が繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るパネルの断面斜視図である。
【図2】 側縁部に沿って相互に溶接した二枚のパネルの端部を示す図である。
【図3】 相互に溶接した二枚のパネルの端部を示す図である。
【図4】 螺旋状に巻いたパネルによるベル型ロケットノズルの側面図である。
【図5】 パネルを保持する固定手段を設けた、側縁部で相互に溶接した二枚のパネルの端部を示す断面斜視図である。
【図6】 図4のノズルの一部を拡大して示す図である。

Claims (7)

  1. 冷却されるノズル壁を有するベル型または円錐型のロケットノズル(1)のノズル構造であって、当該ノズルの入口端部(3)から出口端部(4)へと延在する、緊密な間隔を有して配置した非常に多数の冷却チャンネル(2;22)を具え、
    前記ノズル壁が押出成形された金属製の複数の細長のパネル(11;21)からなり、これらパネルがノズルの入口端部から出口端部へと延在し、また長手方向の側縁部(7)で相互に連結し、さらに、前記各パネル(11;21)が、その長手方向に延在する多数の隣接する前記冷却チャンネル(2;22)を形成することを特徴とする、ノズル構造。
  2. 請求項1記載のノズル構造において、前記パネル(11;21)をノズル壁中で螺旋状に配置した、冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造。
  3. 請求項1または2項記載のノズル構造において、前記パネル(11;21)がアルミニウム、アルミニウム合金または銅より製造される、冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載のノズル構造において、前記パネル(11)が単一の構成部品から製造される、冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造。
  5. 請求項記載のノズル構造において、各パネル(21)が重ね合わせた二枚のパネル部品(23,24)を具え、各パネル部品の一方の側に所定数の相互連結手段(25,26)を設け、それによって、これらパネル部品を軸線方向にスライド式に移動させて組み立てた後、前記相互連結手段がこれらパネル部品を一体に保持し、前記相互連結手段は前記パネル部品(23,24)の長手方向に延在し、一方のパネル部品(24)上にある相互連結手段(26)は他方のパネル部品(23)上にある相互連結手段(25)よりも大きな高さを有し、そのため、パネル部品(23,24)を組み立てた位置において、前記冷却チャンネル(22)が、高さが高い方の相互連結手段(26)を有する前記パネル部品(24)の溝の底部と、高さが低い方の相互連結手段(25)を有する前記他方のパネル部品(23)との間に形成される、冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造。
  6. 請求項1〜のいずれか1項記載のノズル構造において、前記パネル(11;21)の側縁部(7)に、隣接するパネル(11;21)を位置合わせするための手段(8,9)を有する、堅牢化手段として働くフランジ(5,6)を設けた、冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造。
  7. 請求項1〜のいずれか1項記載のノズル構造において、前記ノズル(1)の内側に熱防護被覆(14)を被覆した、冷却されるノズル壁を有するロケットノズルのノズル構造。
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