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JP4271397B2 - 同期電動機の磁極位置検出装置 - Google Patents

同期電動機の磁極位置検出装置 Download PDF

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JP4271397B2
JP4271397B2 JP2001525830A JP2001525830A JP4271397B2 JP 4271397 B2 JP4271397 B2 JP 4271397B2 JP 2001525830 A JP2001525830 A JP 2001525830A JP 2001525830 A JP2001525830 A JP 2001525830A JP 4271397 B2 JP4271397 B2 JP 4271397B2
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義彦 金原
敏之 貝谷
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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    • H02P6/14Electronic commutators
    • H02P6/16Circuit arrangements for detecting position
    • H02P6/18Circuit arrangements for detecting position without separate position detecting elements

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  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、同期電動機の磁極位置を簡易、確実、かつ高精度に検出することができる同期電動機の磁極位置検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、同期電動機を効率よく制御するために、同期電動機の回転子の磁極位置を検出していた。この同期電動機の磁極位置を検出する場合、回転子の電気角(磁極位置)をエンコーダ等の位置検出器を用いて直接検出するものがある。しかし、回転子の回転角を直接検出するには、位置検出器等の磁極位置検出専用のセンサを同期電動機に付加する必要があり、装置構成の規模が大きくなるとともに、経済性が悪いという欠点をもたらす。
【0003】
このため、位置検出器を用いないで同期電動機の磁極位置を検出する装置が提案されている(特開平7−177788号公報参照)。第24図は、位置検出器を用いない従来における同期電動機の磁極位置検出装置の概要構成を示す図である。第24図において、同期電動機1は、回転子が永久磁石型であり、U相、V相、およびW相の3相巻線をもつ。演算部102は、回路部3に電圧ベクトル指令Vを出力するとともに、検出部4にトリガ信号Trを出力する。回路部3は、同期電動機1の各相に対して、入力された電圧ベクトル指令Vに基づいた電圧を印加する。検出部4は、トリガ信号Trの立ち上がりタイミングで各相の電流を検出し、検出電流Diを演算部102に出力する。演算部102は、入力された検出電流Diをもとに回転子の磁極位置θを演算し、出力する。
【0004】
第25図は、回路部3の詳細構成を示す図である。第25図において、回路部3は、半導体スイッチ5〜10を有し、半導体スイッチ5、8、6、9、7、10の各対は、それぞれ直列接続され、直列接続された半導体スイッチ5、8、6、9、7、10の各対は、電位差Edを生成する直流電圧源11に並列接続される。半導体スイッチ5、8を接続する中点Puは、同期電動機1のU相に接続され、半導体スイッチ6、9を接続する中点Pvは、同期電動機1のV相に接続され、半導体スイッチ7、10を接続する中点Pwは、同期電動機1のW相に接続される。また、各半導体スイッチ5〜10は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)Q1〜Q6とダイオードD1〜D6とがそれぞれ対応して並列接続され、ダイオードの順方向は、直流電圧源11のプラス側に向けられている。このIGBTQ1〜Q6のゲートに印加されるゲート信号は、電圧ベクトル指令Vを形成し、各IGBTQ1〜Q6をオン/オフする。
【0005】
ここで、電圧ベクトル指令Vは、9つのスイッチングモード「0」〜「8」を有し、各スイッチングモード「0」〜「8」は、オンするIGBTQ1〜Q6の組み合わせによって、つぎのように定義される。
スイッチングモード : オンするIGBTQ1〜Q6の組み合わせ
「0」 : なし
「1」 : Q1、Q5、Q6
「2」 : Q1、Q2、Q6
「3」 : Q4、Q2、Q6
「4」 : Q4、Q2、Q3
「5」 : Q4、Q5、Q3
「6」 : Q1、Q5、Q3
「7」 : Q1、Q2、Q3
「8」 : Q4、Q5、Q6
【0006】
各スイッチングモード「1」〜「8」にそれぞれ対応する電圧ベクトルV1〜V8は、第26図に示すように、それぞれ60度ずつの位相差をもち、大きさが等しい電圧ベクトルとなる。ここで具体的に、電圧ベクトルV1の大きさを求める。電圧ベクトルV1は、スイッチングモード「1」に対応するため、IGBTQ1、Q5、Q6はオンし、IGBTQ4、Q2、Q3はオフする。したがって、U相とV相との間の線間電圧Vuv、V相とW相との間の線間電圧Vvw、およびW相とU相との間の線間電圧Vwuは、次式(1)〜(3)
Vuv=Vu−Vv=Ed …(1)
Vvw=Vv−Vw=0 …(2)
Vwu=Vw−Vu=−Ed …(3)
のようになる。ただし、「Vu」は、U相の電位(中点Puの電位)であり、「Vv」は、V相の電位(中点Pvの電位)であり、「Vw」は、W相の電位(中点Pwの電位)である。
さらに、式(1)〜(3)から、電位Vu〜Vwを求めると、各電位Vu〜Vwは、次式(4)〜(6)のようになる。すなわち、
Vu=2/3*Ed …(4)
Vv=−1/3*Ed …(5)
Vw=−1/3*Ed …(6)
となる。
【0007】
したがって、電圧ベクトルV1の方向は、第26図に示すように、U相の方向となる。また、電圧ベクトルV1の大きさ|V1|は次式(7)によって表される。すなわち、
|V1|=2/3*Ed−1/3*Edcos(120度)
−1/3*Edcos(240度)
=Ed …(7)
となる。
【0008】
なお、その他の電圧ベクトルV2〜V6は、電圧ベクトルV1と同様の演算を行うことによって、その方向と大きさとを求めることができ、電圧ベクトルV2〜V6の方向は、第26図に示すように、U相に対して順次位相差60度をもち、大きさはEdとなる。また、電圧ベクトルV7、V8は、第26図に示すように、大きさが0の電圧ベクトルとなる。
【0009】
この電圧ベクトルV1〜V6に対応した電圧が同期電動機1のU相、V相、およびW相に印加されるが、この際、検出部4はトリガ信号Trの立ち上がりタイミングで各相に流れる電流を検出する。第27図は、検出部4の詳細構成を示すブロック図である。第27図において、電流検出器12〜14は、それぞれU相、V相、およびW相を流れる電流を検出し、それぞれ出力処理部15〜17に出力する。各出力処理部15〜17は、それぞれサンプルホールド回路15a〜17aを有するとともに、A/D変換器15b〜17bを有する。サンプルホールド回路15a〜17aは、演算部102から入力されるトリガ信号Trの立ち上がりタイミングに、電流検出器12〜14が検出した電流値をサンプルホールドし、A/D変換器15b〜17bは、サンプルホールド回路15a〜17aがホールドしたアナログ信号をディジタル信号にそれぞれ変換し、それぞれU相の電流iu、V相の電流iv、W相の電流iwからなる検出電流Diを演算部2に出力する。
【0010】
ここで、第28図に示すタイミングチャートを参照して電圧ベクトル指令Vとトリガ信号Trと検出電流Diとの関係について説明する。第28図において、演算部102は、同期電動機1が静止し、かつ各相の電流が零の状態である場合に、まず、電圧ベクトル指令Vとして、電圧ベクトルV0→V1→V0→V3→V0→V5→V0を順次、回路部3に出力するとともに、各電圧ベクトルの印加終了直後にトリガ信号Trを検出部4に出力する。上述したように、回路部3は電圧ベクトル指令Vをもとに電圧ベクトルV0→V1→V0→V3→V0→V5→V0を順次、同期電動機1に印加する。なお、各電圧ベクトルV1、V3、V5の印加時間は、同期電動機1が磁気飽和しない範囲の十分短い時間とする。検出部4の出力処理部15〜17は、トリガ信号Trの立ち上がりタイミングで各相の電流、すなわち電流iu、iv、iwをサンプリングし、U相の電流iu1〜iu3、V相の電流iv1〜iv3、W相の電流iw1〜iw3を検出結果として演算部102に出力する。U相の電流iu1、V相の電流iv1、W相の電流iw1は、電圧ベクトルV1の直後に印加されるトリガ信号Trによって検出される電流であり、U相の電流iu2、V相の電流iv2、W相の電流iw2は、電圧ベクトルV3の直後に印加されるトリガ信号Trによって検出される電流であり、U相の電流iu3、V相の電流iv3、W相の電流iw3は、電圧ベクトルV5の直後に印加されるトリガ信号Trによって検出される電流である。
【0011】
ところで、同期電動機1の回転子の磁極位置θと電流iu1、iv2、iw3との関係は第29図に示す関係を有する。ここで、磁極位置θが0〜180度までの間に着目すると、電流iu1、iv2、iw3の電流値の大小関係によって磁極位置θを30度単位で6つに区分することができる。ここで、6つに区分される磁極位置θの領域区間に区分番号mを付して表すと、つぎのようになる。
区分番号m : 区間 : 大小関係
1 : 0〜 30度 : iu1>iw3>iv2
2 : 30〜 60度 : iw3>iu1>iv2
3 : 60〜 90度 : iw3>iv2>iu1
4 : 90〜120度 : iv2>iw3>iu1
5 : 120〜150度 : iv2>iu1>iw3
6 : 150〜180度 : iu1>iv2>iw3
【0012】
したがって、この電流iu1、iv2、iw3の大小関係をもとに、磁極位置θが0〜180度の範囲であれば、磁極位置θを30度単位で求めることができる。具体的な磁極位置θの特定は、次式(8)をもとに演算する。すなわち、
θ=(m−1)×30+15+f(m)×(iav−im)×k …(8)
によって磁極位置θを特定する。この場合、第29図において、30度単位の各区間における電流iu1、iv2、iw3の電流値の中で、中間の電流値を有する電流iu1、iv2、iw3、たとえば磁極位置θが0〜30度の区間における電流iw3をこの区間で直線であるとみなす。また、電流iavは、電流iu1、iv2、iw3の平均値であり、電流imは、区分番号mにおいて直線近似した電流であり、係数kは、この直線の傾きである。なお、区分番号が1、3、5のとき、f(m)=1であり、区分番号が2、4、6のとき、f(m)=−1である。
【0013】
ところで、磁極位置θは、この式(8)を用いて、0〜180度の範囲で、区間ではなく、一点の磁極位置θを特定することができるが、第29図に示すように、磁極位置θは180度周期で変化するため、360度の全角に対しては、磁気飽和を用い、磁極位置θを一意に決定する。
【0014】
たとえば、区間番号mが「1」の場合、磁極位置θは、0〜30度または180度〜210度のいずれかの区間であり、一意に磁極位置θを特定することができないが、この場合、第17図に示すように、磁気飽和が発生する長い印加時間をもつ電圧ベクトルV1、V4を同期電動機1に印加することによって、磁極位置θの区間を選択決定する。
【0015】
詳述すると、磁気飽和が発生しない場合、電流iu4、iu5の絶対値は等しくなる。しかし、磁極位置に近い電圧ベクトルV1、V4を印加したときに発生する磁束は同期電動機1の回転子の磁束に対して増磁方向に作用するため、磁気飽和が発生すると同期電動機1のコイルのインダクタンスが減少する。したがって、磁気飽和が発生すると、磁極位置θに近い位相の電圧ベクトルV1またはV4を印加したときの電流と、磁極位置θに近い位相に対して180度位相が異なる電圧ベクトルV4またはV1を印加したときの電流とを比較すると、磁極位置θに近い位相の電圧ベクトルV1またはV4を印加したときの電流の方が大きな値を有することになる。
【0016】
この結果、たとえば磁極位置θが0〜30度または180〜210度のいずれかである場合、電流iu4の大きさ|iu4|が、電流iu5の大きさ|iu5|に比して大きい場合には、磁極位置θは、0〜30度の区間であると判定し、式(8)で求めた磁極位置θをそのまま出力する。また、電流iu4の大きさ|iu4|が、電流iu5の大きさ|iu5|に比して小さい場合には、磁極位置θは、180〜210度の区間であると判定し、この場合、式(8)で求めた磁極位置θに180度加算して出力する。
【0017】
同様にして、区間番号mが「2」〜「6」の場合にも、式(8)を用いて、0〜180度の範囲の磁極位置θを求め、その後、区間番号に対応した電圧ベクトルを、磁気飽和させる印加時間をもって印加し、その電圧ベクトルの絶対値の大小関係を用いて180度の磁極位置関係を判定して、磁極位置θを全角にわたって一意に特定するようにしている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来における同期電動機の磁極位置検出装置は、まず、磁極位置θを大きく180度の範囲で求めるようにしているため、同期電動機1のコイルに磁気飽和を発生させない印加時間をもつ電圧ベクトルを印加する必要があった。磁気飽和を発生させない印加時間をもつ電圧ベクトルの印加によって検出される電流iu1、iv2、iw3等の振幅値は小さいことから、各電流iu1、iv2、iw3等の信号はノイズの影響を受けやすく、誤った振幅値を出力する可能性があり、あるいは、A/D変換器15b〜17bによってアナログ信号をディジタル信号に変換する際、桁落ちが発生する可能性がある。したがって、電流iu1、iv2、iw3等を精度良く検出することができない場合があり、この結果、磁極位置θを正しく検出することができないという問題点があった。
【0019】
さらに、上述した従来における同期電動機の磁極位置検出装置は、磁気飽和を用いて、磁極位置θを0〜360度の範囲で一意に特定するために、磁気飽和する印加時間をもつ2種類の電圧ベクトルを印加するようにしていたが、この場合、コイルのヒステリシス特性による影響を考慮していない。実際の検出電流の振幅値は、同期電動機のコイルのヒステリシス特性の影響を受けることになり、電圧ベクトルの印加順序にも依存することになる。たとえば、電流iu4の大きさ|iu4|と電流iu5の大きさ|iu5|とは、ヒステリシス特性という非線形特性の影響を受けて、大きさ|iu4|に比して、大きさ|iu5|が小さくなる。したがって、単に、大きさ|iu4|と大きさ|iu5|とを比較することによって、位相が180度異なる範囲を判定し、磁極位置θを一意に特定すると、誤った磁極位置θの検出を行う場合が発生するという問題点があった。
【0020】
従って、この発明は、同期電動機の磁極位置を簡易、確実、かつ高精度に検出することができる同期電動機の磁極位置検出装置を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、電圧ベクトル指令に基づいて同期電動機のn(nは3以上の自然数)相巻線に電圧ベクトルを印加する回路手段と、前記回路手段から印加される電圧ベクトルによって生成されるn相巻線上の電流を検出する検出手段と、前記回路手段に対して前記電圧ベクトル指令を出力するとともに該電圧ベクトル指令に基づいた電圧ベクトルの印加終了直後に前記検出手段にトリガ信号を与えて前記検出手段によるn相巻線上の電流を検出させ、該検出された電流値をもとに前記同期電動機の磁極位置を演算出力する演算手段と、を備えた同期電動機の磁極位置検出装置において、前記演算手段は、振幅が等しく、かつ等間隔位相をもつ2n種類の各電圧ベクトルを同一の前記n相巻線が磁気飽和するに十分な時間、前記n相巻線に印加させる前記電圧ベクトル指令を前記回路手段に出力するとともに、前記検出手段が検出した各相の電流値をもとに、該2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した加算電流値を生成し、この加算電流値に基づいて、60/(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、前記演算手段が、振幅が等しく、かつ等間隔位相をもつ2n種類の各電圧ベクトルを同一の前記n相巻線が磁気飽和するに十分な時間、前記n相巻線に印加させる前記電圧ベクトル指令を前記回路手段に出力するとともに、前記検出手段が検出した各相の電流値をもとに、該2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した加算電流値を生成し、この加算電流値に基づいて、60/(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力するようにしているので、±60/(2^(k+1))度の精度で磁極位置を検出することができる。
【0023】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、電圧ベクトル指令に基づいて同期電動機のn(nは3以上の自然数)相巻線に電圧ベクトルを印加する回路手段と、前記回路手段から印加される電圧ベクトルによって生成されるn相巻線上の電流を検出する検出手段と、前記回路手段に対して前記電圧ベクトル指令を出力するとともに該電圧ベクトル指令に基づいた電圧ベクトルの印加終了直後に前記検出手段にトリガ信号を与えて前記検出手段によるn相巻線上の電流を検出させ、該検出された電流値をもとに前記同期電動機の磁極位置を演算出力する演算手段と、を備えた同期電動機の磁極位置検出装置において、前記演算手段は、2n種類の各電圧ベクトルの位相が単調増加あるいは単調減少する順序で各電圧ベクトルを同一の前記n相巻線が磁気飽和するに十分な時間、前記n相巻線に印加させる電圧ベクトル指令を前記回路手段に出力することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、前記演算手段が、2n種類の各電圧ベクトルの位相が単調増加あるいは単調減少する順序で各電圧ベクトルを同一の前記n相巻線が磁気飽和するに十分な時間、前記n相巻線に印加させる電圧ベクトル指令を前記回路手段に出力するようにしているので、同期電動機のヒステリシス特性等による非線形要素の影響を抑えることができ、磁極位置を高精度に検出することができる。
【0025】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、絶対値が最大となる前記加算電流値に対応する磁極位置を出力することを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、前記演算手段が、絶対値が最大となる前記加算電流値に対応する磁極位置を出力するようにしているので、磁極位置を簡易かつ正しく検出することができる。
【0027】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段が、前記加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置を出力することを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、前記演算手段が、前記加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置を出力するようにしているので、磁極位置を簡易かつ正しく検出することができる。
【0029】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、前記2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第1の加算電流値を生成するとともに、前記2n種類の電圧ベクトルに直交する成分をもつ2n通りの電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第2の加算電流値を生成し、前記第1および第2の加算電流値をもとに60/
(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力することを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、前記演算手段が、前記2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第1の加算電流値を生成するとともに、前記2n種類の電圧ベクトルに直交する成分をもつ2n通りの電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第2の加算電流値を生成し、前記第1および第2の加算電流値をもとに、60/(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力するようにしているので、磁気飽和等の非線形要素の影響を抑えることができ、同期電動機の突極性によるインダクタンスの変化を検出できるので、磁極位置を高精度に検出することができる。
【0031】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、前記2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第1の加算電流値を生成するとともに、前記2n種類の電圧ベクトルと同相の成分をもつ2n通りの電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第2の加算電流値を生成し、前記第1および第2の加算電流値をもとに、60/(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力することを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、前記演算手段が、前記2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第1の加算電流値を生成するとともに、前記2n種類の電圧ベクトルと同相の成分をもつ2n通りの電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第2の加算電流値を生成し、前記第1および第2の加算電流値をもとに、60/(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力するようにしているので、磁気飽和等の非線形要素の影響を抑えることができ、同期電動機の突極性によるインダクタンスの変化を検出できるので、磁極位置を高精度に検出することができる。
【0033】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、絶対値が最大となる前記第1の加算電流値に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭めて磁極位置を特定することを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、前記演算手段が、絶対値が最大となる前記第1の加算電流値に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭めて磁極位置を特定するようにしているので、磁極位置の範囲が精度よく狭められ、磁極位置を高精度に検出することができる。
【0035】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、前記第1の加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭めて磁極位置を特定することを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、前記演算手段が、前記第1の加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭めて磁極位置を特定するようにしているので、磁極位置の範囲が精度よく狭められ、磁極位置を高精度に検出することができる。
【0037】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、絶対値が最大となる前記第1の加算電流値に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭め、さらに前記第2の加算電流値を用いた新たな大小関係をもとに該磁極位置の領域をさらに狭めて磁極位置を特定することを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、前記演算手段が、絶対値が最大となる前記第1の加算電流値に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭め、さらに前記第2の加算電流値を用いた新たな大小関係をもとに該磁極位置の領域をさらに狭めて磁極位置を特定するようにしているので、磁極位置の範囲が精度よく狭められ、磁極位置を高精度に検出することができる。
【0039】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、前記第1の加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭め、さらに前記第2の加算電流値を用いた新たな大小関係をもとに該磁極位置の領域をさらに狭めて磁極位置を特定することを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、前記演算手段が、前記第1の加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭め、さらに前記第2の加算電流値を用いた新たな大小関係をもとに該磁極位置の領域をさらに狭めて磁極位置を特定するようにしているので、磁極位置の範囲が精度よく狭められ、磁極位置を高精度に検出することができる。
【0041】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、前記第1または第2の加算電流値を含む関数値を用いた関数電流値を生成し、この関数電流値と前記第1または第2の加算電流値との大小関係をもとに磁極位置の領域をさらに狭めて特定することを特徴とする。
【0042】
この発明によれば、前記演算手段が、前記第1または第2の加算電流値を含む関数値を用いた関数電流値を生成し、この関数電流値と前記第1または第2の加算電流値との大小関係をもとに磁極位置の領域をさらに狭めて特定するようにしているので、磁極位置の範囲を極端に狭めることが可能となり、一層精度のよい磁極位置を検出することができる。
【0043】
つぎの発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、上記の発明において、前記演算手段は、前記同期電動機の回転子が回転中に、該回転子の回転によって発生する誘起電圧に比して十分大きな電圧ベクトルを前記n相巻線に印加して磁極位置を演算出力することを特徴とする。
【0044】
この発明によれば、前記演算手段が、前記同期電動機の回転子が回転中に、該回転子の回転によって発生する誘起電圧に比して十分大きな電圧ベクトルを前記n相巻線に印加して磁極位置を演算出力するようにしているので、同期電動機が回転中であっても、精度よく磁極位置を検出することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
【0046】
まず、この発明の実施の形態1について説明する。第1図は、この発明の実施の形態1である同期電動機の磁極位置検出装置の概要構成を示すブロック図である。第1図において、この実施の形態1における同期電動機の磁極位置検出装置は、第24図に示した従来の同期電動機の磁極位置検出装置における演算部102の構成を除き、第24図に示した従来における同期電動機の磁極位置検出装置の構成と同一である。
【0047】
すなわち、同期電動機1は、図示しない回転子が永久磁石型であり、U相、V相、およびW相の3相巻線をもつ。演算部2は、回路部3に電圧ベクトル指令Vを出力するとともに、検出部4にトリガ信号Trを出力する。回路部3は、同期電動機1の各相に対して、入力された電圧ベクトル指令に基づいた電圧を印加する。検出部4は、トリガ信号Trの立ち上がりタイミングで各相の電流を検出し、検出電流Diを演算部2に出力する。演算部2は、入力された検出電流Diをもとに回転子の磁極位置θを演算し、出力する。
【0048】
第2図は、回路部3の詳細構成を示す回路図である。第2図において、回路部3は、半導体スイッチ5〜10を有し、半導体スイッチ5、8、6、9、7、10の各対は、それぞれ直列接続され、直列接続された半導体スイッチ5、8、6、9、7、10の各対は、電位差Edを生成する直流電圧源11に並列接続される。半導体スイッチ5、8を接続する中点Puは、同期電動機1のU相に接続され、半導体スイッチ6、9を接続する中点Pvは、同期電動機1のV相に接続され、半導体スイッチ7、10を接続する中点Pwは、同期電動機1のW相に接続される。また、半導体スイッチ5〜10は、半導体電力スイッチング素子としてのIGBTQ1〜Q6とダイオードD1〜D6とがそれぞれ対応して並列接続され、各ダイオードの順方向は、直流電圧源11のプラス側に向けられている。このIGBTQ1〜Q6のゲートに印加されるゲート信号は、電圧ベクトル指令Vを形成し、各GBTQ1〜Q6をオン/オフする。
【0049】
電圧ベクトル指令Vは、上述したスイッチングモード「1」〜「8」にそれぞれ対応する電圧ベクトルV1〜V8の種類を有する。各電圧ベクトルV1〜V6は、第26図に示したように、それぞれ60度つの位相差をもち、大きさが等しく、また、電圧ベクトルV7、V8は、第26図に示すように、大きさが0の電圧ベクトルである。なお、電圧ベクトルV0とは、全てのIGBTQ1〜Q6がオフ状態であることを意味する。
【0050】
この電圧ベクトルV1〜V6に対応した電圧が同期電動機1のU相、V相およびW相に印加されるが、この際、検出部4は、トリガ信号Trの立ち上がりタイミングで各相に流れる電流を検出する。第3図は、検出部4の詳細構成を示すブロック図である。第3図において、電流検出器12〜14は、それぞれU相、V相およびW相を流れる電流を検出し、それぞれ出力処理部15〜17に出力する。各出力処理部15〜17は、それぞれサンプルホールド回路15a〜17aを有するとともに、A/D変換器15b〜17bを有する。サンプルホールド回路15a〜17aは、演算部2から入力されるトリガ信号Trの立ち上がりタイミングに、電流検出器12〜14が検出した電流値をサンプルホールドし、A/D変換器15b〜17bは、サンプルホールド回路15a〜17aがホールドしたアナログ信号をディジタル信号にそれぞれ変換し、それぞれU相の電流iu、V相の電流iv、W相の電流iwからなる検出電流Diを演算部2に出力する。
【0051】
第4図は、演算部2の詳細構成を示すブロック図である。第4図において、CPU19は、メモリ20に保持された所定のプログラムをもとに、出力回路21を介して電圧ベクトル指令Vを回路部3に出力し、出力回路22を介してトリガ信号Trを検出部4に出力し、検出部4から検出電流Diが入力回路18に入力されると、検出電流Diをもとに後述する演算処理を行って、磁極位置θを特定し、出力回路23を介して外部に出力する。
【0052】
第5図は、電圧ベクトル指令Vとトリガ信号Trと検出電流Diとの関係を示すタイミングチャートである。第5図において、演算部2は、電圧ベクトルV0→V1→V0→V2→V0→V3→V0→V4→V0→V5→V0→V6→V0の順序を有する電圧ベクトル指令Vを回路部3に出力すると、回路部3は、この電圧ベクトル指令Vに対応した電圧を順次、同期電動機1に印加する。この電圧ベクトルV1〜V6の印加時間は、同期電動機1のコイルが磁気飽和するに十分な時間であり、各電圧ベクトルV1〜V6の印加によって同期電動機1のコイルは磁気飽和する。
【0053】
また、演算部2は、電圧ベクトルV1〜V6の印加終了直後、トリガ信号Trを検出部4に出力する。検出部4は、各トリガ信号Trの立ち上がりタイミングで各相の電流iu(iu1〜iu6)、iv(iv1〜iv6)、iw(iw1〜iw6)を検出し、演算部2に出力する。
【0054】
ここで、U相の位相と等しい電圧ベクトルV1を印加したときに検出された電流iuと、この電圧ベクトルV1と位相が180度異なる電圧ベクトルV4(第26図参照)を印加したときに検出された電流iuとの振幅和である電流Δiuを次式(9)で定義する。この場合、電圧ベクトルV1〜V6は、V1→V2→V3→V4→V5→V6の順序で印加されるので、電圧ベクトルV1を印加したときに検出される電流iuは、電流iu1であり、電圧ベクトルV4を印加したときに検出される電流iuは、電流iu4である。したがって、電流Δiuは、つぎのように表せる。すなわち、
Δiu=iu1+iu4 …(9)
である。
【0055】
ここで、同期電動機1のコイルが磁気飽和しない場合には、電流iu1と電流iu4とは振幅が等しく、符号が異なる(位相が異なる)ため、Δiu=0となる。しかし、この実施の形態1において印加される電圧ベクトルV1〜V6の印加時間は、磁気飽和するに十分な時間であるため、回転子の磁極位置θによってΔiuの値は、異なった値を示すことなる。
同様にして、V相の位相と等しい電圧ベクトルV3を印加したときに検出された電流ivと、この電圧ベクトルV3と位相が180度異なる電圧ベクトルV6を印加したときに検出された電流ivとの電流Δivは、次式(10)で定義される。また、W相の位相と等しい電圧ベクトルV5を印加したときに検出された電流iwと、この電圧ベクトルV5と位相が180度異なる電圧ベクトルV2を印加したときに検出された電流iwとの振幅和である電流Δiwは、次式(11)で定義される。この場合、上述した電圧ベクトルV1〜V6の印加順序を考慮すると、式(10)および式(11)は、つぎのように表せる。すなわち、
Δiv=iv3+iv6 …(10)
Δiw=iw5+iw2 …(11)
である。
【0056】
ところで、上述した電流Δiu、Δiv、Δiwは、回転子の磁極位置θによって異なった値を示す。第6図は、電圧ベクトルV1〜V6の位相が増減する順序で電圧ベクトルV1〜V6を印加した場合における、磁極位置θに対する電流Δiu、Δiv、Δiwの変化を示す図である。第6図では、電圧ベクトルV1〜V6を、その位相が増減するV1→V4→V3→V6→V5→V2なる順序で印加した場合における電流Δiu、Δiv、Δiwの変化を示している。
【0057】
ここで、コイルの磁気飽和による影響のみを考慮すれば、電流Δiuは、電圧ベクトルV1の印加後に検出したU相の電流iu1と、電圧ベクトルV4の印加後に検出したU相の電流iu4との和であるから、磁極位置θが0度のときの電流Δiuと、磁極位置θが180度のときの電流Δiuとの大きさ(絶対値)は等しくなるものと考えられる。
しかし、第6図に示したように、実際には、同期電動機1のヒステリシス特性等の非線形要因によって、電流Δiuの最大値(磁極位置θが0度のときの値)と最小値(磁極位置θが180度のときの値)との絶対値は、一致しない。このことは、電流Δivおよび電流Δiwについても同じである。
【0058】
一方、第7図は、電圧ベクトルV1〜V6の位相が単調増加する順序で電圧ベクトルV1〜V6を印加した場合における、磁極位置θに対する電流Δiu、Δiv、Δiwの変化を示す図である。第7図では、第5図で示したように、電圧ベクトルV1〜V6を、その位相が単調増加するV1→V2→V3→V4→V5→V6なる順序で印加した場合における電流Δiu、Δiv、Δiwの変化を示している。
【0059】
この場合、位相が単調増加する順序で電圧ベクトルV1〜V6を印加することによって、同期電動機1のヒステリシス特性等による非線形要因の影響を小さくすることができ、第7図に示したように振幅値Δiu、Δiv、Δiwのそれぞれの最大値と最小値との絶対値をほぼ一致させることができる。
【0060】
したがって、この実施の形態1では、第5図に示したように、電圧ベクトルV1〜V6の印加順序を、その位相が単調増加する順序として、同期電動機1のヒステリシス特性等による非線形要因の影響を受けないようにしている。なお、この実施の形態1では、電圧ベクトルV1〜V6の位相が単調増加する順序で印加するようにしているが、V6→V5→V4→V3→V2→V1として、位相が単調減少する順序で電圧ベクトルV1〜V6を印加するようにしても、振幅値Δiu、Δiv、Δiwのそれぞれの最大値と最小値との絶対値をほぼ一致させることができる。
【0061】
つぎに、演算部2は、上述した式(9)〜(11)に示した電流Δiu、Δiv、Δiwを演算した後、これら電流Δiu、Δiv、Δiwを用いて、電流Δiu、Δiv、Δiwの絶対値が最大となる値MAX(Δiu、Δiv、Δiw、−Δiu、−Δiv、−Δiw)を演算する。なお、MAX(x1、x2、…、xn)は、値x1〜xnの最大値を意味する。
第7図に示したように、電流Δiu、Δiv、Δiwの値は、磁極位置θが60度ごとに最大値および最小値を有する。たとえば、磁極位置θが0のとき、Δiuが最大値であり、磁極位置θが60度のとき、Δiwが最小値を有する。したがって、磁極位置θの区間を60度毎に区分した区分番号mを用いると、区間と値MAXとの関係は、つぎのようになる。
区分番号m : 区間 : MAX
1 : −30〜 30度 : Δiu
2 : 30〜 90度 : −Δiw
3 : 90〜150度 : Δiv
4 : 150〜210度 : −Δiu
5 : 210〜270度 : Δiw
6 : 270〜330度 : −Δiv
となる。なお、値MAXの括弧内において、−Δiu、−Δiv、−Δiwのようにマイナス符号を付したのは、たとえば、磁極位置θが60度のとき、Δiwは最小値を示すが、この最小値を最大値として演算するためである。
【0062】
具体的な値MAXの演算としては、たとえば、磁極位置θが60度のとき、値MAX(Δiu、Δiv、Δiw、−Δiu、−Δiv、−Δiw)=−Δiwとなり、区間番号m=2が得られ、このときの磁極位置θは30〜90度の範囲内であることがわかる。
【0063】
具体的に、演算部2は、メモリ20内に、上述した区分番号mと値MAXとの対応関係を保持し、最終的に演算した値MAXの値をもとに区間番号mを獲得し、この区間番号mを出力回路23に送出する。出力回路23は、区間番号mと区間あるいは特定の磁極位置θとの対応関係を保持し、入力された区間番号mに対応する磁極位置θを外部に出力する。
【0064】
ここで、第8図に示すフローチャートを参照して、この実施の形態1における演算部2による磁極位置θの検出処理について説明する。第8図において、まず、演算部2は、まず電圧ベクトルV0を一定時間、回路部3に出力し、同期電動機1に対して印加する(ステップS101)。その後、変数nを「1」に設定する(ステップS102)。さらに、この設定されたnの値をもとに、演算部2は、電圧ベクトルVnを、同期電動機1が磁気飽和するに十分な一定時間、回路部3に出力し、同期電動機1に対して印加する(ステップS103)。その後、電圧ベクトルVnの印加終了直後、トリガ信号Trを検出部4に出力する(ステップS104)。そして、第5図に示した電流iu、iv、iwを検出部4から取得する(ステップS105)。たとえば、変数nが「1」である場合には、電圧ベクトルV1に対応する電流iu1、iv1、iw1を取得する。その後、変数nを1インクリメントし(ステップS106)、電圧ベクトルV0を一定時間、回路部3に出力し、同期電動機1に対して印加する(ステップS107)。その後、変数nが「6」を超えたか否かを判断し(ステップS108)、変数nが「6」を超えない場合(ステップS108、NO)には、ステップS103に移行し、さらに位相が60度進んだ電圧ベクトルVnを同期電動機1に印加して、電流iu、iv、iwを取得する処理を繰り返す。
【0065】
一方、変数nが「6」を超えた場合(ステップS108、YES)、演算部2は、電流Δiu、Δiv、Δiwを演算する(ステップS109)。たとえば、電圧ベクトルV1が印加されたときの電流iu1と、電圧ベクトルV1の位相と180度異なる位相をもつ電圧ベクトルV4が印加されたときの電流iu4との和を演算し、この和を電流Δiuとしてメモリ20に保持する。同様にして、電流Δiv、Δiwを演算し、メモリ20に保持する。さらに、演算部2は、値MAX(Δiu、Δiv、Δiw、−Δiu、−Δiv、−Δiw)を演算し(ステップS110)、得られた値MAXに対応する区間番号mを出力回路23に出力し、出力回路23は、入力された区間番号mに対応する磁極位置θを外部に出力し(ステップS111)、本処理を終了する。
【0066】
なお、電流iu、iv、iwを取得するステップS105では、電流Δiu、Δiv、Δiwを演算するに必要な電流iu1、iw2、iv3、iu4、iw5、iv6のみを取得するようにしてもよい。
【0067】
また、この実施の形態1では、電流Δiu、Δiv、Δiwの大小関係に基づいて磁極位置θを出力するようにしているが、電流Δiu、Δiv、Δiwの符号に基づいて磁極位置θを出力するようにしてもよい。
【0068】
すなわち、上述した区間番号mと区間とを用いると、これらと電流Δiu、Δiv、Δiwの符号との関係はつぎのようになる。
区分番号m : 区間 : Δiu Δiv Δiw
1 : −30〜 30度 : + − −
2 : 30〜 90度 : + + −
3 : 90〜150度 : − + −
4 : 150〜210度 : − + +
5 : 210〜270度 : − − +
6 : 270〜330度 : + − +
【0069】
このような区間番号mと区間と電流Δiu、Δiv、Δiwの符号との関係を用い、各電流Δiu、Δiv、Δiwの符号の組合せから区間番号mの値を決定することができる。
【0070】
この実施の形態1によれば、単調増加あるいは単調減少し、同期電動機1のコイルが磁気飽和するに十分な印加時間をもつ電圧ベクトルV1〜V6を回路部3を介して同期電動機1に印加するようにしているので、同期電動機1のヒステリシス特性等による非線形要因の影響を受けず、±30度の精度で磁極位置θを正しく検出することができる。
【0071】
つぎに実施の形態2について説明する。実施の形態1では、単調増加する電圧ベクトルV1〜V6を同期電動機1に印加し、この際検出された各相の電流iu、iv、iwをもとに磁極位置θを60度刻みで出力するようにしていたが、この実施の形態2では、電圧ベクトルV1〜V6に直交する成分の検出電流値を用いて、磁極位置θを30度刻みで出力するようにしている。
【0072】
この実施の形態2の構成は、第1図に示した実施の形態1における演算部2が実施の形態1と異なる処理を行うため、この演算部2の構成が異なるが、その他の構成は、実施の形態1と同じ構成である。
【0073】
第9図は、U相、V相、およびW相の軸と、U相の軸に対する直交軸との関係を示す図である。第9図において、検出電流DiはU相同相成分UiとU相直交成分Uqとに分離することができ、このU相直交成分Uqは、V相の電流ivとW相の電流iwとの差に比例する。
【0074】
たとえば、電圧ベクトルV1(U相)を同期電動機1に印加したときに、この電圧ベクトルV1に直交するU相直交成分Uqの電流iux1は、電流iv1および電流iw1を用いて、次式(12)で表すことができる。すなわち、
iux1=iv1−iw1 …(12)
である。同様にして、各電圧ベクトルV2〜V6を同期電動機1に印加したときに、この電圧ベクトルV2〜V6にそれぞれ直交する電流iwx2〜ivx6は、次式(13)〜(17)で表すことができる。すなわち、
iwx2=iu2−iv2 …(13)
ivx3=iw3−iu3 …(14)
iux4=iv4−iw4 …(15)
iwx5=iu5−iv5 …(16)
ivx6=iw6−iu6 …(17)
である。
【0075】
磁気飽和が発生しない電圧ベクトルが同期電動機1に印加される場合、電流iux1と電流iux4とは、磁極位置θに対して180度周期で変化するため、同じ値になる。一方、磁気飽和が発生する電圧ベクトルが同期電動機1に印加される場合には、磁気飽和の影響によって360度周期で干渉するため、電流iux1と電流iux4とは、磁極位置θに対して360度周期で変化する。
【0076】
ここで、磁気飽和が発生しないように電圧ベクトルを印加する従来における磁極位置検出装置では、検出される電流の振幅が小さいことから、検出部4のA/D変換器15b〜17bがA/D変換を行う際の分解能に制約を与え、検出精度が劣化する。一方、A/D変換時における分解能の制約をなくして検出精度を確保するのに十分な電流が発生できる場合、磁気飽和の影響によって、検出される電流iux1と電流iux4の大きさは一致しない。
【0077】
したがって、この磁気飽和の影響を除去するために、電流iux1と電流iux4の平均値に比例する電流iux1と電流iux4との和である電流iuxを次式(18)に示すように、定義する。すなわち、
iux=iux1+iux4 …(18)
である。ここで、磁気飽和の影響は上述したように360度周期で変化することと、コイルのインダクタンス変化による影響は180度周期で変化することとを考慮すると、電流iuxは、360度周期である磁気飽和の影響を受けないことになる。
電流iuxと同様にして、電流ivx3と電流ivx6との和である電流ivxと、電流iwx2と電流iwx5との和である電流iwxとを、次式(19)、(20)として定義することができる。すなわち、
ivx=ivx3+ivx6 …(19)
iwx=iwx2+iwx5 …(20)
である。このようにして求めた電流iux、ivx、iwxと磁極位置θとの関係は、第10図に示す関係を有する。第10図において、各電流iux、ivx、iwxは、磁気飽和の影響を受けずに180度周期で変化する。ここで、30度刻みの磁極位置θに対する電流iux、ivx、iwxに着目すると、たとえば、磁極位置θが−30〜30度のうちの−30〜0度の間では、2*iux<ivx+iwxなる関係を有し、0〜30度の間では、その逆に2*iux>ivx+iwxなる関係を有する。同様にして、その他の60度刻みの磁極位置θに対しても、この60度刻みを2分割する30度刻みの磁極位置θに対して、大小関係が逆転する関係を有することがわかる。
【0078】
すなわち、30度刻みの磁極位置θの区分に対する区分番号を区分番号m1として定義すると、つぎのような関係を有する。
区分番号m1 : 区間 : 大小関係
1a : −30〜 0度 : 2*iux<ivx+iwx
1b : 0〜 30度 : 2*iux>ivx+iwx
2a : 30〜 60度 : 2*iwx<iux+ivx
2b : 60〜 90度 : 2*iwx>iux+ivx
3a : 90〜120度 : 2*ivx<iux+iwx
3b : 120〜150度 : 2*ivx>iux+iwx
4a : 150〜180度 : 2*iux<ivx+iwx
4b : 180〜210度 : 2*iux>ivx+iwx
5a : 210〜240度 : 2*iwx<iux+ivx
5b : 240〜270度 : 2*iwx>iux+ivx
6a : 270〜300度 : 2*ivx<iux+iwx
6b : 300〜330度 : 2*ivx>iux+iwx
【0079】
ここで、第11図および第12図に示すフローチャートを参照して、この実施の形態2における演算部2による磁極位置θの検出処理について説明する。第11図において、まず、演算部2は、ステップS201〜S208において、実施の形態1におけるステップS101〜S108と同様に、V0→V1→V0→V2→V0→V3→V0→V4→V0→V6→V0となる電圧ベクトルを、同期電動機1が磁気飽和するに十分な一定時間、回路部3を介して同期電動機1に印加し、少なくとも電流iu1、iw2、iv3、iu4、iw5、iv6を取得する処理を行う。
【0080】
その後、変数nが「6」を超えた場合(ステップS208、YES)、演算部2は、電流Δiu、Δiv、Δiw、iux、ivx、iwxを演算する(ステップS209)。たとえば、電圧ベクトルV1が印加されたときの電流iu1と、電圧ベクトルV1の位相と180度異なる位相をもつ電圧ベクトルV4が印加されたときの電流iu1との和を演算し、この和を電流Δiuとしてメモリ20に保持する。同様にして、電流Δiv、Δiwを演算し、メモリ20に保持する。また、各電圧ベクトルV1〜V6に直交する成分の電流iux、iwx2、ivx3、iux4、iwx5、ivx6を算出し、これら電流のうちの位相が180度異なる電流の振幅和の電流iux、ivx、iwxを演算する。
【0081】
さらに、演算部2は、値MAX(Δiu、Δiv、Δiw、−Δiu、−Δiv、−Δiw)を演算し(ステップS210)、得られた値MAXに対応する区間番号mをメモリ20に保持する(ステップS211)。ここで、得られた区分番号mに対応する磁極位置θは、実施の形態1と同様に60度刻みとなる。
【0082】
さらに、第12図において、演算部2は、区分番号mが「1」であるか否かを判断し(ステップS221)、区分番号mが「1」の場合(ステップS221、YES)には、さらに、ステップS209で演算した電流iux、ivx、iwxを用いて、2*iux<ivx+iwxなる大小関係を有するか否かを判断する(ステップS222)。2*iux<ivx+iwxなる大小関係を有する場合(ステップS222、YES)には、区分番号m1を「1a」に設定し、出力回路23に、この区分番号m1を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m1に対応する磁極位置θ、すなわち「−15度」を外部に出力し(ステップS223)、本処理を終了する。一方、2*iux<ivx+iwxなる大小関係を有しない場合(ステップS222、NO)には、区分番号m1を「1b」に設定し、出力回路23に、この区分番号m1を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m1に対応する磁極位置θ、すなわち「15度」を外部に出力し(ステップS224)、本処理を終了する。
【0083】
一方、区分番号mが「1」でない場合(ステップS221、NO)、すなわち、区分番号mが「2」〜「6」の場合には、さらに、区分番号mが「2」であるか否かを判断し(ステップS225)、区分番号mが「2」である場合(ステップS225、YES)には、さらに、ステップS209で演算した電流iux、ivx、iwxを用いて、2*iwx<iux+ivxなる大小関係を有するか否かを判断する(ステップS226)。2*iwx<iux+ivxなる大小関係を有する場合(ステップS226、YES)には、区分番号m1を「2a」に設定し、出力回路23に、この区分番号m1を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m1に対応する磁極位置θ、すなわち「45度」を外部に出力し(ステップS227)、本処理を終了する。一方、2*iwx<iux+ivxなる大小関係を有しない場合(ステップS226、NO)には、区分番号m1を「2b」に設定し、出力回路23に、この区分番号m1を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m1に対応する磁極位置θ、すなわち「75度」を外部に出力し(ステップS228)、本処理を終了する。
【0084】
以下、同様にして区分番号mが「3」〜「5」に対応する判断処理と、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断処理とを行って、区分番号m1が
「3a」〜「6b」に至るまで設定と、磁極位置θの外部出力処理を実行する。
【0085】
この実施の形態2によれば、単調増加あるいは単調減少し、同期電動機1のコイルが磁気飽和するに十分な印加時間をもつ電圧ベクトルV1〜V6を回路部3を介して同期電動機1に印加するようにしているので、同期電動機1のヒステリシス特性等による非線形要因の影響を受けず、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係によって、±15度の精度で磁極位置θを正しく検出することができる。
【0086】
つぎに実施の形態3について説明する。実施の形態2では、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式を用いて±15度の精度で磁極位置θを正しく検出するようにしていたが、この実施の形態3では、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式の代わりに、各電流iux、ivx、iwxの値が絶対基準である「0」を超えるか否かによって、±15度の精度で磁極位置θを正しく検出するようにしている。
【0087】
この実施の形態3の構成は、第1図に示した実施の形態1における演算部2が実施の形態1と異なる処理を行うため、この演算部2の構成が異なるが、その他の構成は、実施の形態1と同じ構成である。
【0088】
第10図において、磁極位置θが30度毎に、電流iux、ivx、iwxのいずれかが電流値「0」を交差している。そして、60度刻みの磁極位置θの範囲を2分割する磁極位置θで電流値「0」を交差していることから、各磁極位置θの範囲に対応する電流iux、ivx、iwxの正負を判断することによって、30度刻みの磁極位置θを特定することができる。たとえば、磁極位置θの範囲が−30〜30度のうちの−30〜0度では、電流iuxが、iux<0の大小関係を有し、−30〜30度のうちの0〜30度では、電流iuxが、iux>0の大小関係を有する。したがって、この大小関係を用いて、30度刻みの磁極位置θの特定を行うことができる。
【0089】
すなわち、実施の形態2に示した区分番号m1が「1a」か「1b」かの判断を行うための大小関係「2*iux<ivx+iwx」の代わりに、大小関係「iux<0」を用いる。その他の区分番号m1に対しても同様に、絶対基準「0」を用いた大小関係によって判断される。
【0090】
すなわち、30度刻みの磁極位置θの区分に対する区分番号を区分番号m2として定義すると、つぎのような関係を有する。
区分番号m2 : 区間 : 大小関係
1a : −30〜 0度 : iux<0
1b : 0〜 30度 : iux>0
2a : 30〜 60度 : iwx<0
2b : 60〜 90度 : iwx>0
3a : 90〜120度 : ivx<0
3b : 120〜150度 : ivx>0
4a : 150〜180度 : iux<0
4b : 180〜210度 : iux>0
5a : 210〜240度 : iwx<0
5b : 240〜270度 : iwx>0
6a : 270〜300度 : ivx<0
6b : 300〜330度 : ivx>0
【0091】
ここで、第13図および第14図に示すフローチャートを参照して、この実施の形態3における演算部2による磁極位置θの検出処理について説明する。第13図において、まず、演算部2は、ステップS301〜S308において、実施の形態2におけるステップS201〜S208と同様に、V0→V1→V0→V2→V0→V3→V0→V4→V0→V6→V0となる電圧ベクトルを、同期電動機1が磁気飽和するに十分な一定時間、回路部3を介して同期電動機1に印加し、少なくとも電流iu1、iw2、iv3、iu4、iw5、iv6を取得する処理を行う。
【0092】
さらに、ステップS309〜311において、実施の形態2と同様に、演算部2は、電流Δiu、Δiv、Δiw、iux、ivx、iwxを演算するとともに、値MAX(Δiu、Δiv、Δiw、−Δiu、−Δiv、−Δiw)を演算し、得られた値MAXに対応する区間番号mをメモリ20に保持する。ここまでの処理は、実施の形態2と全く同様であり、実施の形態2と同様に60度刻みの区分となる。
【0093】
さらに、第14図において、演算部2は、区分番号mが「1」であるか否かを判断し(ステップS321)、区分番号mが「1」の場合(ステップS321、YES)には、さらに、ステップS309で演算した電流iux、ivx、iwxを用いて、iux<0なる大小関係を有するか否かを判断する(ステップS322)。iux<0なる大小関係を有する場合(ステップS322、YES)には、区分番号m2を「1a」に設定し、出力回路23に、この区分番号m2を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m2に対応する磁極位置θ、すなわち「−15度」を外部に出力し(ステップS323)、本処理を終了する。一方、iux<0なる大小関係を有しない場合(ステップS322、NO)には、区分番号m2を「1b」に設定し、出力回路23に、この区分番号m2を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m2に対応する磁極位置θ、すなわち「15度」を外部に出力し(ステップS324)、本処理を終了する。
【0094】
一方、区分番号mが「1」でない場合(ステップS321、NO)、すなわち、区分番号mが「2」〜「6」の場合には、さらに、区分番号mが「2」であるか否かを判断し(ステップS325)、区分番号mが「2」である場合(ステップS325、YES)には、さらに、ステップS309で演算した電流iux、ivx、iwxを用いて、iwx<0なる大小関係を有するか否かを判断する(ステップS326)。iwx<0なる大小関係を有する場合(ステップS326、YES)には、区分番号m2を「2a」に設定し、出力回路23に、この区分番号m2を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m2に対応する磁極位置θ、すなわち「45度」を外部に出力し(ステップS327)、本処理を終了する。一方、iwx<0なる大小関係を有しない場合(ステップS326、NO)には、区分番号m2を「2b」に設定し、出力回路23に、この区分番号m2を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m2に対応する磁極位置θ、すなわち「75度」を外部に出力し(ステップS328)、本処理を終了する。
【0095】
以下、同様にして区分番号mが「3」〜「5」に対応する判断処理と、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断処理とを行って、区分番号m2が「3a」〜「6b」に至るまで設定と磁極位置θの外部出力処理を実行する。
【0096】
この実施の形態3によれば、単調増加あるいは単調減少し、同期電動機1のコイルが磁気飽和するに十分な印加時間をもつ電圧ベクトルV1〜V6を回路部3を介して同期電動機1に印加するようにしているので、同期電動機1のヒステリシス特性等による非線形要因の影響を受けず、電流iux、ivx、iwxを用いた簡易な大小関係によって、±15度の精度で磁極位置θを正しく検出することができるとともに、簡易な大小関係によって磁極位置θを検出するようにしているので、実施の形態2に比して少ない演算量で処理を行うことができる。
【0097】
つぎに実施の形態4について説明する。実施の形態2、3では、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式を用いて±15度の精度で磁極位置θを正しく検出するようにしていたが、この実施の形態4では、さらに電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式を用いて、±7.5度の精度で磁極位置θを正しく検出するようにしている。
【0098】
この実施の形態4の構成は、第1図に示した実施の形態1における演算部2が実施の形態1と異なる処理を行うため、この演算部2の構成が異なるが、その他の構成は、実施の形態1と同じ構成である。
【0099】
第10図において、電流iux、ivx、iwxのうちのいずれか二つの電流iux、ivx、iwxが、30度刻みの磁極位置θを2分割する位置で交差している。たとえば、磁極位置θが−30〜0度の範囲において、磁極位置θが−15度で電流iuxと電流iwxとが交差している。この場合、交差する電流iuxと電流iwxとの大小関係を判断することによって、さらに精度の高い磁極位置θを特定することができる。
【0100】
すなわち、実施の形態2、3に示した区分番号m2が「1a」の区分をもつ磁極位置θの領域に対して、電流iuxと電流iwxとの大小関係を判断することによって、磁極位置θの領域を15度刻みに特定することができる。ここで、15度刻みの磁極位置θの区分に対する区分番号を区分番号m3として定義すると、つぎのような関係を有する。
【0101】
区分番号m3 : 区間 : 大小関係
1aα : −30〜−15度 : iux<iwx
1aβ : −15〜 0度 : iux>iwx
1bα : 0〜 15度 : iux<ivx
1bβ : 15〜 30度 : iux>ivx
2aα : 30〜 45度 : iwx<ivx
2aβ : 45〜 60度 : iwx>ivx
2bα : 60〜 75度 : iwx<iux
2bβ : 75〜 90度 : iwx>iux
3aα : 90〜105度 : ivx<iux
3aβ : 105〜120度 : ivx>iux
3bα : 120〜135度 : ivx<iwx
3bβ : 135〜150度 : ivx>iwx
4aα : 150〜165度 : iux<iwx
4aβ : 165〜180度 : iux>iwx
4bα : 180〜195度 : iux<ivx
4bβ : 195〜210度 : iux>ivx
5aα : 210〜225度 : iwx<ivx
5aβ : 225〜240度 : iwx>ivx
5bα : 240〜255度 : iwx<iux
5bβ : 255〜270度 : iwx>iux
6aα : 270〜385度 : ivx<iux
6aβ : 385〜300度 : ivx>iux
6bα : 300〜315度 : ivx<iwx
6bβ : 315〜330度 : ivx>iwx
【0102】
ここで、第15図〜第17図に示すフローチャートを参照して、この実施の形態4における演算部2による磁極位置θの検出処理について説明する。第15図において、まず、演算部2は、ステップS401〜S408において、実施の形態2におけるステップS201〜S208と同様に、V0→V1→V0→V2→V0→V3→V0→V4→V0→V6→V0となる電圧ベクトルを、同期電動機1が磁気飽和するに十分な一定時間、回路部3を介して同期電動機1に印加し、少なくとも電流iu1、iw2、iv3、iu4、iw5、iv6を取得する処理を行う。
【0103】
さらに、ステップS409〜411において、実施の形態2と同様に、演算部2は、電流Δiu、Δiv、Δiw、iux、ivx、iwxを演算するとともに、値MAX(Δiu、Δiv、Δiw、−Δiu、−Δiv、−Δiw)を演算し、得られた値MAXに対応する区間番号mをメモリ20に保持する。ここまでの処理は、実施の形態2と全く同様であり、実施の形態2と同様に60度刻みの区分となる。
【0104】
さらに、第15図において、演算部2は、ステップS421〜S436において、実施の形態2と同様に、区分番号mの値を判断し、この判断結果をもとに、さらに磁極位置θの領域を30度刻みで2分割するために、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式によって、区分番号m1の値を設定し、メモリ20に記憶する。これによって、実施の形態2と同様に、磁極位置θの領域を30度刻みで分割される。
【0105】
その後、第17図において、演算部2は、区分番号m1の値が「1a」であるか否かを判断し(ステップS441)、区分番号m1の値が「1a」である場合には、さらに、iux<iwxなる大小関係を有するか否かを判断する(ステップS442)。iux<iwxなる大小関係を有する場合(ステップS442、YES)には、区分番号m3を「1aα」に設定し、この設定した区分番号m3を出力回路23に出力し、出力回路23は、この区分番号m3の値に対応した磁極位置θ、すなわち、「−22.5度」を外部に出力し(ステップS443)、本処理を終了する。一方、iux<iwxなる大小関係を有しない場合(ステップS442、NO)には、区分番号m3を「1aβ」に設定し、この設定した区分番号m3を出力回路23に出力し、出力回路23は、この区分番号m3の値に対応した磁極位置θ、すなわち、「−7.5度」を外部に出力し(ステップS444)、本処理を終了する。
【0106】
一方、区分番号m1が「1a」でない場合(ステップS441、NO)、すなわち、区分番号m1が「1b」〜「6b」の場合には、さらに、区分番号m1が「1b」であるか否かを判断し(ステップS445)、区分番号m1が「1b」である場合(ステップS445、YES)には、さらに、ステップS209で演算した電流iux、ivx、iwxを用いて、iux<ivxなる大小関係を有するか否かを判断する(ステップS446)。iux<ivxなる大小関係を有する場合(ステップS446、YES)には、区分番号m3を「1bα」に設定し、出力回路23に、この区分番号m3を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m3に対応する磁極位置θ、すなわち「7.5度」を外部に出力し(ステップS447)、本処理を終了する。一方、iux<ivxなる大小関係を有しない場合(ステップS446、NO)には、区分番号m3を「1bβ」に設定し、出力回路23に、この区分番号m3を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m3に対応する磁極位置θ、すなわち「22.5度」を外部に出力し(ステップS448)、本処理を終了する。
【0107】
以下、同様にして、区分番号m3が「2a」〜「6a」に対応する判断処理と、電流iux、ivx、iwxを用いた15度刻みの大小関係の判断処理とを行って、区分番号m3が「2aα」〜「6bβ」に至るまで設定と、磁極位置θの外部出力処理を実行する。
【0108】
なお、第16図に示したステップS421〜436の処理は、第14図に示した実施の形態3と同様な処理を行って、磁極領域θを30度刻みに分割するようにしてもよい。
【0109】
この実施の形態4によれば、単調増加あるいは単調減少し、同期電動機1のコイルが磁気飽和するに十分な印加時間をもつ電圧ベクトルV1〜V6を回路部3を介して同期電動機1に印加するようにしているので、同期電動機1のヒステリシス特性等による非線形要因の影響を受けず、電流iux、ivx、iwxを用いた簡易な大小関係によって、±7.5度の精度で磁極位置θを正しく検出することができる。
【0110】
つぎに実施の形態5について説明する。実施の形態2〜4では、いずれも電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式を用いて、±15度あるいは±7.5度の精度で磁極位置θを正しく検出するようにしていたが、この実施の形態5では、さらに電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式を用いて、±3.75度の精度で磁極位置θを正しく検出するようにしている。
【0111】
この実施の形態4の構成は、第1図に示した実施の形態1における演算部2が実施の形態1と異なる処理を行うため、この演算部2の構成が異なるが、その他の構成は、実施の形態1と同じ構成である。
【0112】
この実施の形態5では、磁極位置θに対して、上述した電流iux、ivx、iwx自体の変化による大小関係を用いるのではなく、上述した電流iux、ivx、iwxを用いた新たな関数を生成し、これらの関数と電流iux、ivx、iwxとの大小関係を用いて、さらに15度刻みの磁極位置θを分割するものである。
【0113】
この新たな関数として、
(2*iwx+iux)/√(3)
(2*iwx+ivx)/√(3)
(2*ivx+iwx)/√(3)
(2*ivx+iux)/√(3)
等を用いている。
【0114】
第18図は、磁極位置θが−30〜30度の範囲での磁極位置θに対する電流iux、ivx、iwxおよび上述した4つの関数の変化を示した図である。第18図において、たとえば、磁極位置θが−30〜−15度の範囲で、電流iuxと関数(2*iwx+iux)/√(3)とは、磁極位置θが「−22、5度」で交差している。また、磁極位置θが−15〜0度の範囲で、電流iuxと関数(2*iwx+ivx)/√(3)とは、磁極位置θが「−7.5度」で交差している。したがって、電流iux、ivx、iwxと、上述した新たに生成した関数との大小関係を判断することによって、さらに磁極位置θの領域を分割することができ、一層精度の高い磁極位置を特定することができる。
【0115】
ここで、7.5度刻みの磁極位置θの区分に対する区分番号を区分番号m4として定義すると、つぎのような関係を有する。なお、ここでは、磁極位置θが−30〜30度の範囲のみについて記述するが、他の磁極位置θの範囲についても同様な区分を行うことができる。
区分番号m4: 区間 : 大小関係
1aαx :-30.0〜-22.5度:iux<(2*iwx+iux)/√(3)
1aαy :-22.5〜-15.0度:iux>(2*iwx+iux)/√(3)
1aβx :-15.0〜- 7.5度:iux<(2*iwx+ivx)/√(3)
1aβy :- 7.5〜 0.0度:iux>(2*iwx+ivx)/√(3)
1bαx : 0.0〜 7.5度:iux<(2*ivx+iwx)/√(3)
1bαy : 7.5〜 15.0度:iux>(2*ivx+iwx)/√(3)
1bβx : 15.0〜 22.5度:iux<(2*ivx+iux)/√(3)
1bβy : 22.5〜 30.0度:iux>(2*ivx+iux)/√(3)
【0116】
ここで、第19図〜第22図に示すフローチャートを参照して、この実施の形態5における演算部2による磁極位置θの検出処理について説明する。第19図において、まず、演算部2は、ステップS501〜S508において、実施の形態4におけるステップS401〜S408と同様に、V0→V1→V0→V2→V0→V3→V0→V4→V0→V6→V0となる電圧ベクトルを、同期電動機1が磁気飽和するに十分な一定時間、回路部3を介して同期電動機1に印加し、少なくとも電流iu1、iw2、iv3、iu4、iw5、iv6を取得する処理を行う。
【0117】
さらに、ステップS509〜511において、実施の形態4と同様に、演算部2は、電流Δiu、Δiv、Δiw、iux、ivx、iwxを演算するとともに、値MAX(Δiu、Δiv、Δiw、−Δiu、−Δiv、−Δiw)を演算し、得られた値MAXに対応する区間番号mをメモリ20に保持する。ここまでの処理によって、60度刻みの区分に分割することができる。
【0118】
さらに、第20図において、演算部2は、ステップS521〜S536において、実施の形態4と同様に、区分番号mの値を判断し、この判断結果をもとに、さらに磁極位置θの領域を30度刻みで2分割するために、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式によって、区分番号m1の値を設定し、メモリ20に記憶する。これによって、60度刻みの磁極位置θの領域がさらに2分割され、30度刻みの分割となる。
【0119】
その後、第21図において、演算部2は、ステップS541〜S556において、実施の形態4と同様に、区分番号m1の値を判断し、この判断結果をもとに、さらに磁極位置θの領域を15度刻みで2分割するために、電流iux、ivx、iwxを用いた大小関係の判断式によって、区分番号m3の値を設定し、メモリ20に記憶する。これによって、30度刻みの磁極位置θの領域がさらに2分割され、15度刻みの分割となる。
【0120】
さらに、第22図において、演算部2は、電流iux、ivx、iwxと新たに生成した関数との大小関係を判断することによって、15度刻みの磁極位置θの領域を2分割する。まず、演算部2は、区分番号m3の値が「1aα」であるか否かを判断し(ステップS561)、区分番号m3の値が「1aα」である場合には、さらに、iux<(2*iwx+iux)/√(3)なる大小関係を有するか否かを判断する(ステップS562)。iux<(2*iwx+iux)/√(3)なる大小関係を有する場合(ステップS562、YES)には、区分番号m4を「1aαx」に設定し、この設定した区分番号m4を出力回路23に出力し、出力回路23は、この区分番号m4の値に対応した磁極位置θ、すなわち、「−26.25度」を外部に出力し(ステップS563)、本処理を終了する。一方、iux<(2*iwx+iux)/√(3)なる大小関係を有しない場合(ステップS562、NO)には、区分番号m4を「1aαy」に設定し、この設定した区分番号m4を出力回路23に出力し、出力回路23は、この区分番号m4の値に対応した磁極位置θ、すなわち、「−18.75度」を外部に出力し(ステップS564)、本処理を終了する。
【0121】
一方、区分番号m3が「1aα」でない場合(ステップS561、NO)、すなわち、区分番号m3が「1aβ」〜「6bβ」の場合には、さらに、区分番号m3が「1aβ」であるか否かを判断し(ステップS565)、区分番号m3が「1aβ」である場合(ステップS565、YES)には、さらに、iux<(2*iwx+ivx)/√(3)なる大小関係を有するか否かを判断する(ステップS566)。iux<(2*iwx+ivx)/√(3)なる大小関係を有する場合(ステップS566、YES)には、区分番号m4を「1aβx」に設定し、出力回路23に、この区分番号m4を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m4に対応する磁極位置θ、すなわち「−11.75度」を外部に出力し(ステップS567)、本処理を終了する。一方、iux<(2*iwx+ivx)/√(3)なる大小関係を有しない場合(ステップS566、NO)には、区分番号m4を「1aβy」に設定し、出力回路23に、この区分番号m4を出力し、出力回路23は、入力された区分番号m4に対応する磁極位置θ、すなわち「−3.75度」を外部に出力し(ステップS568)、本処理を終了する。
【0122】
以下、同様にして区分番号m3が「1bα」〜「6bα」に対応する判断処理と、7.5度刻みの大小関係の判断処理とを行って、区分番号m4が「2bαx」〜「6bβy」に至るまで設定と、磁極位置θの外部出力処理を実行する。
【0123】
この実施の形態5によれば、単調増加あるいは単調減少し、同期電動機1のコイルが磁気飽和するに十分な印加時間をもつ電圧ベクトルV1〜V6を回路部3を介して同期電動機1に印加するようにしているので、同期電動機1のヒステリシス特性等による非線形要因の影響を受けず、電流iux、ivx、iwxと、この電流iux、ivx、iwxを用いて新たに生成した関数の値との大小関係によって、±3.75度の精度で磁極位置θを正しく検出することができる。
【0124】
つぎに実施の形態6について説明する。実施の形態1〜5では、いずれも同期電動機1が静止し、回転子が回転していない状態を前提として説明したが、この実施の形態6では、同期電動機1が回転動作をしている場合に上述した実施の形態1〜5の構成および処理を適用するものである。
【0125】
同期電動機1が回転している場合、同期電動機1の誘起電圧に比較して、印加される電圧ベクトルV1〜V6の大きさが十分大きいときには、この誘起電圧の存在を無視することができる。
【0126】
したがって、この実施の形態6は、上述した実施の形態1〜5において、電圧ベクトルV1〜V6の大きさを、誘起電圧に比して十分大きな値に設定する。これによって、同期電動機1が回転動作中であっても、磁極位置θを高精度に正しき検出することができる。
【0127】
つぎに実施の形態7について説明する。実施の形態2〜6では、いずれも電圧ベクトルV1〜V6に直交する成分の電流iux、ivx、iwxを用いて磁極位置θを出力するようにしているが、この実施の形態7では、電圧ベクトルV1〜V6と同相成分の電流値を用いて磁極位置θを出力するようにしている。
【0128】
第9図において、たとえば電圧ベクトルV1を同期電動機1に印加した場合、電圧ベクトルV1と同相の成分であるU相同相成分Uiの電流iuz1は、次式(21)を用いて表すことができる。すなわち、
iuz1=2iu1−iv1−iw1 …(21)
である。同様にして、各電圧ベクトルV2〜V6を同期電動機1に印加した場合における、各電圧ベクトルV2〜V6と同相の成分である電流iwz2〜ivz6は、次式(22)〜(26)を用いて表すことができる。すなわち、
iwz2=2iw2−iu2−iv2 …(22)
ivz3=2iv3−iw3−iu3 …(23)
iuz4=2iu4−iv4−iw4 …(24)
iwz5=2iw5−iu5−iv5 …(25)
ivz6=2iv6−iw6−iu6 …(26)
となる。そして、実施の形態2と同様に、磁気飽和の影響を除去するために、位相が180度の位置にある電流iuz1〜ivz6を加算した組合せを定義すると、次式(27)〜(29)に示す電流iuz〜iwzを得ることができる。すなわち、
iuz=iuz1+iuz4−iz0 …(27)
ivz=ivz3+ivz6−iz0 …(28)
iwz=iuz2+iwz5−iz0 …(29)
となる。ただし、「iz0」は、次式(30)で示される値である。すなわち、
iz0=(iuz1+iwz2+ivz3
+iuz4+iwz5+ivz6)/3 …(30)
である。
【0129】
このようにして求めた電流iuz、ivz、iwzと磁極位置θとの関係は第23図に示す関係をもつ。第23図において、各電流iuz、ivz、iwzは、磁気飽和の影響を受けず、180度周期で変化する。
【0130】
したがって、上述した実施の形態2〜6で用いた電流iux、ivx、iwxに代え、電流iuz、iuz、iwzの大小関係を用いることによって、実施の形態2〜6と同様にして磁極位置θを出力することができる。
【0131】
(産業上の利用可能性)
この発明にかかる同期電動機の磁極位置検出装置は、簡易な構成によって効率的に制御することができる同期電動機の分野に有用であり、簡易、確実、かつ高精度に磁極位置を検出することができる同期電動機の磁極位置検出装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1である同期電動機の磁極位置検出装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示した回路部3の詳細構成を示す回路図である。
【図3】 図1に示した検出部4の詳細構成を示すブロック図である。
【図4】 図1に示した演算部2の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】 電圧ベクトル指令、トリガ信号、および各相の検出電流を示すタイミングチャートである。
【図6】 電圧ベクトルV1〜V6の位相が増減する順序で電圧ベクトルV1〜V6を印加した場合における、磁極位置θに対する電流Δiu、Δiv、Δiwの変化を示す図である。
【図7】 電圧ベクトルV1〜V6の位相が単調増加する順序で電圧ベクトルV1〜V6を印加した場合における、磁極位置θに対する電流Δiu、Δiv、Δiwの変化を示す図である。
【図8】 この実施の形態1における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャートである。
【図9】 U相、V相、およびW相の軸と、U相の軸に対する直交軸との関係を示す図である。
【図10】 電流iux、ivx、iwxと磁極位置θとの関係を示す図である。
【図11】 この発明の実施の形態2における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図12】 この発明の実施の形態2における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図13】 この発明の実施の形態3における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図14】 この発明の実施の形態3における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図15】 この発明の実施の形態4における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図16】 この発明の実施の形態4における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図17】 この発明の実施の形態4における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その3)である。
【図18】 磁極位置θと、この発明の実施の形態5が用いる電流iux、ivx、iwxおよびこれらの電流iux、ivx、iwxを用いた新たな関数の値との関係を示す図である。
【図19】 この発明の実施の形態5における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図20】 この発明の実施の形態5における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図21】 この発明の実施の形態5における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その3)である。
【図22】 この発明の実施の形態5における演算部2による磁極位置θの検出処理手順を示すフローチャート(その4)である。
【図23】 電流iuz、ivz、iwzと磁極位置θとの関係を示す図である。
【図24】 従来における同期電動機の磁極位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図25】 図24に示した回路部3の詳細構成を示す回路図である。
【図26】 U相、V相、およびW相と電圧ベクトルV1〜V8との関係を示す図である。
【図27】 図24に示した検出部4の詳細構成を示すブロック図である。
【図28】 図24に示した従来の磁極位置検出装置における電圧ベクトル指令とトリガ信号と各相の検出電流とのタイミングチャートである。
【図29】 磁極位置θに対する電流iu1、iv2、iw3の変化を示す図である。

Claims (12)

  1. 電圧ベクトル指令に基づいて同期電動機のn(nは3以上の自然数)相巻線に電圧ベクトルを印加する回路手段と、
    前記回路手段から印加される電圧ベクトルによって生成されるn相巻線上の電流を検出する検出手段と、
    前記回路手段に対して前記電圧ベクトル指令を出力するとともに該電圧ベクトル指令に基づいた電圧ベクトルの印加終了直後に前記検出手段にトリガ信号を与えて前記検出手段によるn相巻線上の電流を検出させ、該検出された電流値をもとに前記同期電動機の磁極位置を演算出力する演算手段と、
    を備えた同期電動機の磁極位置検出装置において、
    前記演算手段は、
    振幅が等しく、かつ等間隔位相をもつ2n種類の各電圧ベクトルを同一の前記n相巻線が磁気飽和するに十分な時間、前記n相巻線に印加させる前記電圧ベクトル指令を前記回路手段に出力するとともに、前記検出手段が検出した各相の電流値をもとに、該2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した加算電流値を生成し、この加算電流値に基づいて、60/(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力することを特徴とする同期電動機の磁極位置検出装置。
  2. 電圧ベクトル指令に基づいて同期電動機のn(nは3以上の自然数)相巻線に電圧ベクトルを印加する回路手段と、
    前記回路手段から印加される電圧ベクトルによって生成されるn相巻線上の電流を検出する検出手段と、
    前記回路手段に対して前記電圧ベクトル指令を出力するとともに該電圧ベクトル指令に基づいた電圧ベクトルの印加終了直後に前記検出手段にトリガ信号を与えて前記検出手段によるn相巻線上の電流を検出させ、該検出された電流値をもとに前記同期電動機の磁極位置を演算出力する演算手段と、
    を備えた同期電動機の磁極位置検出装置において、
    前記演算手段は、
    2n種類の各電圧ベクトルの位相が単調増加あるいは単調減少する順序で各電圧ベクトルを同一の前記n相巻線が磁気飽和するに十分な時間、前記n相巻線に印加させる電圧ベクトル指令を前記回路手段に出力することを特徴とする同期電動機の磁極位置検出装置。
  3. 前記演算手段は、絶対値が最大となる前記加算電流値に対応する磁極位置を出力することを特徴とする請求項に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  4. 前記演算手段は、前記加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置を出力することを特徴とする請求項に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  5. 前記演算手段は、前記2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第1の加算電流値を生成するとともに、前記2n種類の電圧ベクトルに直交する成分をもつ2n通りの電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第2の加算電流値を生成し、前記第1および第2の加算電流値をもとに、60/(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力することを特徴とする請求項1に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  6. 前記演算手段は、前記2n種類の電圧ベクトルと同位相である2n通りの前記電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第1の加算電流値を生成するとともに、前記2n種類の電圧ベクトルと同相の成分をもつ2n通りの電流値のうち、位相が180度異なる組み合わせ毎の電流値を加算した第2の加算電流値を生成し、前記第1および第2の加算電流値をもとに、60/(2^k)度(kは自然数)刻みの磁極位置を演算出力することを特徴とする請求項1に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  7. 前記演算手段は、絶対値が最大となる前記第1の加算電流値に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭めて磁極位置を特定することを特徴とする請求項5または6に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  8. 前記演算手段は、前記第1の加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭めて磁極位置を特定することを特徴とする請求項5または6に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  9. 前記演算手段は、絶対値が最大となる前記第1の加算電流値に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭め、さらに前記第2の加算電流値を用いた新たな大小関係をもとに該磁極位置の領域をさらに狭めて磁極位置を特定することを特徴とする請求項5または6に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  10. 前記演算手段は、前記第1の加算電流値のそれぞれの符号に対応する磁極位置の領域を選択し、該選択した磁極位置の領域内において前記第2の加算電流値を用いた大小関係をもとにさらに磁極位置の領域を狭め、さらに前記第2の加算電流値を用いた新たな大小関係をもとに該磁極位置の領域をさらに狭めて磁極位置を特定することを特徴とする請求項5または6に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  11. 前記演算手段は、前記第1または第2の加算電流値を含む関数値を用いた関数電流値を生成し、この関数電流値と前記第1または第2の加算電流値との大小関係をもとに磁極位置の領域をさらに狭めて特定することを特徴とする請求項5または6に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
  12. 前記演算手段は、前記同期電動機の回転子が回転中に、該回転子の回転によって発生する誘起電圧に比して十分大きな電圧ベクトルを前記n相巻線に印加して磁極位置を演算出力することを特徴とする請求項1または2に記載の同期電動機の磁極位置検出装置。
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