JP4269670B2 - 高分子電解質、それとリン酸類を含有する高分子電解質組成物 - Google Patents
高分子電解質、それとリン酸類を含有する高分子電解質組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子電解質に関する、詳しくはフェノール性水酸基を有することを特徴とする高分子電解質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一次電池、二次電池、あるいは固体高分子型燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜としてイオン伝導性を有する高分子電解質が用いられている。例えば、イオン性解離基として、スルホン酸基を有するパーフルオロアルキルスルホン酸系の材料が、燃料電池の特性に優れることから従来より使用されてきている。しかしながらこの材料は非常に複雑な製造工程を必要とすること、非常に高価であることなどの問題が指摘されている。
そこで、パーフルオロスルホン酸系の材料に替わり得る安価な高分子電解質の開発が近年活発化してきている。例えば、イオン性解離基として、スルホン酸基を有する芳香族ポリエーテル系等が提案されている(特表平11−502249号公報、特開平10−45913号公報、特開平10−21943号公報)。
一方、イオン性解離基として、スルホン酸基とフェノール性水酸基とを有し芳香環同士がメチレン鎖を介して結合したフェノールスルホン酸系材料等も古くから知られている(最新イオン交換、7頁、1950年発行、広川書店)。
しかしながら、イオン性解離基として、フェノール性水酸基のみを有し、芳香環同士が直接結合した高分子電解質は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、パーフルオロスルホン酸系、スルホン酸基を有する芳香族ポリエーテル系、フェノールスルホン酸系以外の高分子電解質を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、パーフルオロスルホン酸系、スルホン酸基を有する芳香族ポリエーテル系、フェノールスルホン酸系以外の高分子電解質を見出すべく鋭意研究を行った結果、フェノール性水酸基を有する特定の高分子が、意外にもイオン伝導性を示す等の高分子電解質としての特性を有することを見出すとともに、該高分子電解質とリン酸類とからなる高分子電解質組成物が一層優れたプロトン伝導性を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明は、▲1▼下記一般式(1)で示されるフェノール性水酸基を有する高分子電解質を提供するものである。
−(A)n−(B)m− (1)
(式中、Aは、下式(2a)〜(2b)
(Rは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、フェニル基、またはハロゲンを表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。pは0〜3の、qは0〜5の整数を表す。)
の群から選ばれるフェノール性水酸基を有する少なくとも1種の二価の芳香族基を表し、Bは、下式(3a)〜(3b)
【0006】
(R'は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、フェニル基、またはハロゲンを表わし、R’が複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。rは0〜4の、sは0〜6の整数を表す。)の群から選ばれる少なくとも1種の二価の芳香族基を表す。m、nは繰返し単位の数を表し、nは80〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜100000の範囲でありm個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。n個ずつある繰り返し単位とm個ずつある繰り返し単位は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、またはグラフト共重合体のいずれの結合様式であってもよい。)
【0007】
また▲2▼上記▲1▼の高分子電解質を架橋してなることを特徴とする架橋高分子電解質を提供するものである。
【0008】
さらに、▲3▼上記▲1▼の高分子電解質及び/又は上記▲2▼の架橋高分子電解質と下記一般式(4)で表わされるリン酸類とを含有することを特徴とする高分子電解質組成物、および▲4▼上記▲1▼の高分子電解質、上記▲2▼の架橋高分子電解質、上記▲3▼の高分子電解質組成物から選ばれる少なくとも1種を用いてなる燃料電池を提供するものである。
O=P(OR'')k(OH)3- k (4)
(式中、R''は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。kは0〜2を表す。kが2の場合、2個あるR''は同一でも異なっていてもよい。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子電解質(1)は、フェノール性水酸基を有するAの繰返し単位、すなわち繰返し単位として上記式(2a)〜(2b)の群から選ばれるフェノール性水酸基を有する少なくとも1種の二価の芳香族基を有するものである。
ここで、式(2a)〜(2b)におけるRは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、フェニル基、またはハロゲンを表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。pは0〜3の、qは0〜5の整数を表す。
【0010】
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などのアルキル部分が上記アルキル基と同じアルキルであるアルコキシ基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられ、ハロゲンとしては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0011】
フェノール性水酸基を有する二価の芳香族基Aの代表例としては、例えば2−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−ヒドロキシ−1,3−フェニレン、2,6−ジヒドロキシ−1,4−フェニレン、2,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレン、2,5−ジヒドロキシ−1,4−フェニレン、2,5−ジヒドロキシ−1,3−フェニレン、2−メチル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−エチル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−イソプロピル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−ブチル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、−イソブチル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−プロピル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−ブチル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−イソブチル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−イソアミル−5−ヒドロキシ−1,4−フェニレンなどのフェノール性水酸基を有するフェニレン類、
【0012】
2−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン、3−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン、6−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン、7−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン、8−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ナフチレン、5,8−ジヒドロキシ−1,4−ナフチレン、2−ヒドロキシ−1,5−ナフチレン、3−ヒドロキシ−1,5−ナフチレン、4−ヒドロキシ−1,5−ナフチレン、6−ヒドロキシ−1,5−ナフチレン7−ヒドロキシ−1,5−ナフチレン、8−ヒドロキシ−1,5−ナフチレン、2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフチレン、3,7−ジヒドロキシ−1,5−ナフチレン、4,8−ジヒドロキシ−1,5−ナフチレン、2−ヒドロキシ−1,8−ナフチレン、3−ヒドロキシ−1,8−ナフチレン、4−ヒドロキシ−1,8−ナフチレン、5−ヒドロキシ−1,8−ナフチレン、6−ヒドロキシ−1,8−ナフチレン、7−ヒドロキシ−1,8−ナフチレン、2,3−ジヒドロキシ−1,8−ナフチレン、4,5−ジヒドロキシ−1,8−ナフチレン、2,7−ジヒドロキシ−1,8−ナフチレン、1−ヒドロキシ−2,6−ナフチレン、3−ヒドロキシ−2,6−ナフチレン、4−ヒドロキシ−2,6−ナフチレン、5−ヒドロキシ−2,6−ナフチレン、7−ヒドロキシ−2,6−ナフチレン、8−ヒドロキシ−2,6−ナフチレン、1,5−ジヒドロキシ−2,6−ナフチレン、3,7−ジヒドロキシ−2,6−ナフチレン、4,8−ジヒドロキシ−2,6−ナフチレンなどの水酸基を有するナフチレン類などが挙げられる。
これらの中では水酸基を有するナフチレン類が好ましく、より好ましくは2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフチレンである。
【0013】
本発明の高分子電解質(1)は、フェノール性水酸基を有するAの繰返し単位の他に、Bの繰返し単位、すなわち前記式(3a)〜(3b)の群から選ばれる少なくとも1種の二価の芳香族基である繰返し単位を有することもできる。
ここで、式(3a)〜(3b)におけるR'は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、フェニル基、またはハロゲンを表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。rは0〜4の、sは0〜6の整数を表す。
【0014】
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などのアルキル部分が上記アルキル基と同じアルキルであるアルコキシ基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられ、ハロゲンとしては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0015】
かかる2価の芳香族基Bの代表例としては、例えば1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2−エチル−1,4−フェニレン、2−イソプロピル−1,4−フェニレン、2−ブチル−5−1,4−フェニレン、2−イソブチル−1,4−フェニレン、2−プロピル−1,4−フェニレン、2−ブチル−1,4−フェニレン、2−イソブチル−1,4−フェニレン、2−イソアミル−1,4−フェニレンなどのフェニレン類、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレンなどのナフチレン類などが挙げられる。
【0016】
また本発明の高分子電解質(1)は、上記のような繰返し単位を有するものであるが、その数n、mは、通常nが80〜100000の範囲、mが0〜100000の範囲であり、好ましくは、nが100〜50000の範囲、mは0〜50000の範囲であり、特に好ましくは、nは120から10000の範囲、mは0〜10000の範囲である。n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、m個ずつある繰り返し単位も同じであっても異なっていてもよい。nはmよりも大きいことが望ましい。
また、n個ずつある繰り返し単位とm個ずつある繰り返し単位は、どのような結合様式でもよいく、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、またはグラフト共重合体などが挙げられる。
【0017】
上記のような高分子電解質は、例えば、グリニヤ試薬とハロゲン化アルキルをカップリングして得る方法、酸化重合法、yamamoto重合法等の公知の方法を用いて製造することができる(例えば、マクマリー有機化学(上)第4版(東京化学同人)296頁(1992)、Polym. Prep. Japan, Vol.48, 309 (1999)、J. Org. Chem.,64, 2264 (1999)、J. Polym. Sci. PartA,Polym. Chem., 37, 3702 (1999)、特開平5−70565など)。
ナフチレン基を有する電解質は酸化重合法、フェニレン基を有する電解質はyamamoto重合法で製造することが好ましく、これらの方法によれば分子量の高い電解質が得られ、後述のように強度が高められた電解質膜を製造し得る。
【0018】
先ず酸化重合法によりナフチレン基を有する高分子電解質を製造場合について説明する。モノマーとしては、例えば、2,3−ジヒドロキシナフタレン、5,8−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、3,7−ジヒドロキシナフタレン、4,8−ジヒドロキシナフタレン、4,5−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレンなどが挙げられる。これらのモノマーは、前記繰り返し単位の説明において示したと同様の置換基を有していてもよく、またこれらのモノマーは2種以上の混合物であってもよい。
なお、モノマー中に副反応を起こしうる基を有する場合、例えばナフタレンの1位、5位等に水酸基を有する場合にはこの基を例えばアルコキシ基、シロキシ基、エステル基などで保護するという公知の保護方法を用いて、水酸基を保護して用いることができる。この場合は重合後に公知の方法により保護基を除去することにより目的物が得られる。
【0019】
酸化重合においては、通常触媒が用いられる。かかる触媒としては、公知の触媒系を用いることも可能である。例えば、金属ハロゲン化物、または金属ハロゲン化物/アミン錯体等が用いられる。ここで金属ハロゲン化物としては例えば、銅、鉄、バナジウム、またはクロムなどの金属の1価、2価、または3価のハロゲン化物を用いることができる。アミンとしては例えば、ピリジン、ルチジン、2−メチルイミダゾール、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどのアミンを用いることができる。金属ハロゲン化物/アミン錯体は溶媒中、酸素存在下で金属ハロゲン化物とアミンを混合することによって製造することが可能であり、金属ハロゲン化物とアミンの混合モル比は、例えば金属ハロゲン化物/アミン=1/0.l〜1/200、好ましくは0.3〜100程度である。
【0020】
また塩化鉄を用いることもできる(Polym. Prep. Japan,Vol.48, 309 (1999))。さらに銅/アミン触媒系を用いる(J. Org. Chem.,64, 2264 (1999)、J. Polym. Sci. PartA, Polym. Chem., 37, 3702 (1999))ことにより、重合体の分子量を高めることができ、後述のフィルム強度をさらに高める目的においても好ましい。
【0021】
酸化重合における溶媒としては、触媒が被毒を受けない溶媒であれば特に制限なしに使用することができる。かかる溶媒としては例えば、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、またはアルコール類などが挙げられる。ここで、炭化水素系溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ナフタリン、テトラリンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルなどが挙げられる。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノールなどが挙げられる。
【0022】
酸化重合における反応温度は、通常−100℃〜100℃、好ましくは−50〜50℃程度である。
また共重合体を製造する場合にはモノマーを2種類以上混合して重合する方法や、1種類のモノマーを重合した後に2種目のモノマーを添加する方法などが挙げられる。これらの方法を用い、または組み合わせることにより、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、グラフト共重合体などを製造することが可能である。
【0023】
次に、yamamoto重合法によりフェニレン基を有する高分子電解質の製造方法について説明する。
モノマーとしては例えば、ヒドロキシ基が置換したジハロゲン化アリールが通常用いられる。その代表例としては、例えば1,4−ジクロロ−2−ヒドロキシベンゼン、1,4−ジブロモ−2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジクロロ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジブロモ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジブロモ−5−ヒドロキシベンゼン、1,4−ジクロロ−2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジブロモ−2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジクロロ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジブロモ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジクロロ−1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジブロモ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジクロロ−1,8−ジヒドロキシナフタレン、
【0024】
2,7−ジブロモ−1,8−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジクロロ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジクロロ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジブロモ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジブロモ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどが挙げられる。これらのモノマーは前記繰り返し単位の説明において示したと同様の置換基を有していてもよく、またこれらのモノマーは2種以上の混合物であってもよい。
なお、モノマー中に副反応を起こしうる水酸基を有する場合にはこの基を例えばアルコキシ基、シロキシ基、エステル基などで保護するという公知の保護方法を用いて、水酸基を保護して用いることができる。この場合は重合後に公知の方法により保護基を除去することにより目的物が得られる。
【0025】
共重合体を製造する場合にはモノマーを2種類以上混合して重合する方法や、1種類のモノマーを重合した後に2種目のモノマーを添加する方法などが挙げられる。これらの方法を用い、または組み合わせることにより、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、またはグラフト共重合体などを製造することが可能である。
ここで、共重合体を製造するために使用されるコモノマーとしては、上に挙げたモノマーの他に、1,4−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン、1,4−ジブロモナフタレン、1,5−ジクロロナフタレン、1,5−ジブロモナフタレン、2,6−ジクロロナフタレン、2,6−ジブロモナフタレン、2,7−ジクロロナフタレン、2,7−ジブロモナフタレン、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、2,2’−ジクロロビフェニル、2,2’−ジブロモビフェニルなどが挙げられる。これらのモノマーは、前記繰り返し単位の説明において示したと同様の置換基を有していてもよく、またこれらのモノマーは2種以上の混合物であってもよい。
【0026】
yamamoto重合法においては、通常触媒が用いられる。かかる触媒としては、例えばゼロ価のニッケル化合物、なかでもトリス(2,2’−ビピリジン)ニッケルブロマイド、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなどが好ましく使用される(特開平5−70565)
また溶媒として、例えば炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。ここで炭化水素系溶媒としてはトルエン、ベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ナフタリン、テトラリンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルなどが挙げられる。アミド系溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0027】
yamamoto重合法においては、反応温度は特に制限はないが、0℃〜100℃が好ましい。
【0028】
かくして、本発明の高分子電解質(1)が製造されるが、このものは、フィルムの形態とすることもできる。かかる形態のものは、燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜として通常使用される。フィルムを製造する方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましく使用される。
具体的には、高分子電解質を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。
製膜に用いる溶媒は、高分子を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルホルムアミド、2−メトキシエタノール、アルカリ性水溶液がポリマーの溶解性が高く好ましい。
【0029】
フィルムの厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましい。10μmより薄いフィルムでは実用的な強度が十分でない場合があり、300μmより厚いフィルムでは膜抵抗が大きくなり電気化学デバイスの特性が不足する場合がある。膜厚は溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御できる。
またフィルムの各種物性改良等を目的として、通常の高分子電解質に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等の添加剤を本発明の高分子電解質に添加することができる。また、同一溶剤に混合共キャストするなどの方法により、他のポリマーを本発明の高分子と複合アロイ化することも可能である。
【0030】
高分子電解質用の添加剤において、イオン伝導性の向上などを目的として、低分子電解質や酸化合物、あるいは他のイオン伝導性高分子を添加したり、さらには溶媒を含浸させたりすることができる。本発明において添加できる低分子化合物には特に制限はないが、イオン伝導性を向上させる観点からは下記一般式(4)で表わされるリン酸化合物を添加することが好ましい。
O=P(OR'')k(OH)3- k (4)
(式中、R''は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。kは0〜2を表す。kが2の場合、2個あるR''は同一でも異なっていてもよい。)
ここで、式(4)中、kは、0または1であることが好ましく、より好ましくは0である。kが1または2である場合、R''は、アルキル基であることが好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、n-ブチル、I-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基が挙げられる。プロトン伝導性の観点からは、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル等の炭素数1〜3のアルキルが好ましい。アルキル基は、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基などの基を有していても良い。
【0031】
アリール基としてはフェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基等のアルキル置換フェニル基、ブロモフェニル基等のハロゲン置換フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基等が挙げられる。
【0032】
R''がアルキル基で、kが1のリン酸類としては、例えばリン酸モノメチルエステル、リン酸モノエチルエステル、リン酸モノn−プロピルエステル、リン酸モノイソプロピルエステル、リン酸モノn−ブチルエステル、リン酸モノイソブチルエステル、リン酸モノsec−ブチルエステル、リン酸モノtert−ブチルエステル、リン酸モノn−ペンチルエステル、リン酸モノ(1−メチルブチル)エステル、リン酸モノ(2−メチルブチル)エステル、リン酸モノ(3−メチルブチル)エステル、リン酸モノ(1,1−ジメチルプロピル)エステル、リン酸モノ(2,2−ジメチルプロピル)エステル、リン酸モノ(1,2−ジメチルプロピル)エステル、リン酸モノn−ヘキシルエステル、リン酸モノ(2−メチルペンチル)エステル、リン酸モノ(3−メチルペンチル)エステルなどがあげられる。
【0033】
R''がアルキル基で、kが2のリン酸類としては、例えばリン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジn−プロピルエステル、リン酸ジイソプロピルエステル、リン酸ジn−ブチルエステル、リン酸ジイソブチルエステル、リン酸ジsec−ブチルエステル、リン酸ジtert−ブチルエステル、リン酸ジn−ペンチルエステル、リン酸ジ(1−メチルブチル)エステル、リン酸ジ(2−メチルブチル)エステル、リン酸ジ(3−メチルブチル)エステル、リン酸ジ(1,1−ジメチルプロピル)エステル、リン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)エステル、リン酸ジ(1,2−ジメチルプロピル)エステル、リン酸のジn−ヘキシルエステル、リン酸ジ(2−メチルペンチル)エステル、リン酸ジ(3−メチルペンチル)エステルが挙げられる。
【0034】
これらkが1または2の場合では、中でも、プロトン伝導度等の点で、リン酸モノメチルエステル、リン酸モノエチルエステル、リン酸モノn−プロピルエステル、リン酸モノイソプロピルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジn−プロピルエステル、リン酸ジイソプロピルエステルまたはその混合物が好ましく、リン酸モノエチルエステル、リン酸モノn−プロピルエステル、リン酸モノイソプロピルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジn−プロピルエステル、リン酸ジイソプロピルエステルまたはその混合物がより好ましく、リン酸モノイソプロピルエステル、リン酸ジイソプロピルエステルまたはその混合物が特に好ましい。
【0035】
R''がアリール基で、kが1のリン酸類としては、例えばリン酸モノフェニルエステル、リン酸モノトリルエステル、リン酸モノエチルフェニルエステル、リン酸モノイソプロピルフェニルエステル、リン酸モノナフチルエステル、リン酸モノアントリルエステル、リン酸モノフェナントリルエステル、リン酸モノニトロフェニルエステル、リン酸モノクロロフェニルエステル、リン酸モノブロモフェニルエステルなどがあげられる。
【0036】
R''がアリール基で、kが2のリン酸類としては、リン酸ジフェニルエステル、リン酸ジトリルエステル、リン酸ジ(エチルフェニル)エステル、リン酸ジ(イソプロピルフェニル)エステル、リン酸ジナフチルエステル、リン酸ジアントリルエステル、リン酸ジフェナントリルエステル、リン酸ジ(ニトロフェニル)エステル、リン酸ジ(クロロフェニル)エステル、リン酸ジ(ブロモフェニル)エステルなどが挙げられる。
kが0の場合、(4)はオルトリン酸を表す。
【0037】
上記のようなリン酸類の添加量としては、例えば高分子電解質に対して、通常0.001〜10重量倍、好ましくは0.01〜5重量倍、特に好ましくは0.05〜2重量倍である。
リン酸エステルが過少のときは、十分にプロトン伝導度向上に寄与できない場合があり、また過大のときは、フィルム強度が低下し、燃料電池用プロトン伝導膜としての使用が困難となることがある。
高分子電解質にリン酸類を含有させる方法は、▲1▼高分子電解質の溶液にリン酸類を添加する方法、▲2▼例えば前述の方法により製造された高分子電解質のフィルムをリン酸類溶液に浸漬処理する方法などがあげられる。
【0038】
また本発明においては、上記のような添加剤の他に、燃料電池用途では他に水管理を容易にするために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加する事も知られており、これらは本発明の目的に反しない限り使用できる。
本発明の高分子電解質は、これを架橋して使用することもできる。例えば、本発明の高分子電解質からなるフィルムを、架橋剤を使用する方法や電子線・放射線などを照射する方法などにより架橋することにより、フィルムの機械的強度などを向上し得る。
【0039】
架橋剤を使用して架橋させる方法としては、例えば本発明の高分子電解質と架橋剤を溶媒中に溶解させておいて、前述のキャスト製膜によりフィルムを得、加熱や光を照射するなどの架橋を促進させる方法により、架橋させる方法などを挙げることができる。
架橋剤としては分子内に2つ以上の官能基を有するものが使用でき、官能基としては、例えばヒドロキシアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリル基などを使用することができる。このような架橋剤としては、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、1,3−ビス(ハロゲン化メチル)ベンゼン、1,4−ビス(ハロゲン化メチル)ベンゼン、2,6−ビス(ハロゲン化メチル)フェノール、2,6−ビス(ハロゲン化メチル)−p−クレゾール、1,3−ビス(アリル)ベンゼン、1,4−ビス(アリル)ベンゼン、2,6−ビス(アリル)フェノール、2,6−ビス(アリル)−p−クレゾールなどを挙げることができる。ハロゲンとしては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。これらの架橋剤の中で好ましくは1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)p−クレゾールであり、特に好ましくは2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールである。
【0040】
高分子電解質と架橋剤の溶液中に架橋を促進させる触媒を用いることも可能でり、例えば酸触媒、塩基触媒などが使用される。酸触媒としてはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、酢酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸などの芳香族スルホン酸などが挙げられる。塩基触媒としては例えばトリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどの脂肪族アミン、ピリジンなどの芳香族アミンなどが挙げられる。
加熱して架橋反応を促進させる場合の温度は通常50〜200℃程度、好ましくは80℃〜150℃程度である。加熱時間は通常1〜1000分程度、好ましくは60〜600分程度である。
ここで、架橋反応の進行は処理前後の膜の溶解性を調べることで判断が可能である。処理前に溶解していた膜が処理後に不溶化していれば、架橋反応が進行していると判断できる。
【0041】
また本発明の高分子電解質は、多孔性のフィルムやシートに含浸複合化して使用することも可能である。使用する多孔性のフィルムやシートとは、高分子電解質を含浸する母材となるものであり、高分子電解質の強度や柔軟性、耐久性のさらなる向上のために使用される。そのため、上記使用目的を満たすものであればその形状や材質によらず用いる事ができるが、固体高分子型燃料電池の隔膜として良好に使用することを念頭に置いた場合、多孔膜の形状としては膜厚1〜100μm、好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μm、孔径は0.01〜10μm、好ましくは0.02〜7μm、空隙率は20〜98%、好ましくは30〜95%である。多孔膜の膜厚が薄すぎると複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果が不十分となり、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しやすくなる。膜厚が厚すぎると電気抵抗が高くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池の隔膜として好ましくない。孔径が小さすぎると高分子電解質の含浸が非常に困難となり、大きすぎると高分子電解質への補強効果が弱くなる。空隙率が小さすぎると高分子電解質膜としての抵抗が大きくなり、大きすぎると一般に多孔膜自体の強度が弱くなり補強効果が得にくくなる。
【0042】
このような多孔膜の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を鑑みれば、脂肪族系高分子または、含フッ素高分子が好ましい。
ここで、好適に使用できる脂肪族系高分子としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なおここで言うポリエチレンはポリエチレンの結晶構造を有するエチレン系のポリマーであり、例えばエチレンと他のモノマーとの共重合体をも含み、具体的には直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と称されるエチレンとα−オレフィンとの共重合体などを含む。またここでいうポリプロピレンはポリプロピレンの結晶構造を有するプロピレン系のポリマーであり、一般に使用されているプロピレン系ブロック共重合体、ランダム共重合体など(これらはエチレンや1−ブテンなどとの共重合体である)を含むものである。
【0043】
また、含フッ素高分子としては、分子内に炭素−フッ素結合を少なくとも1個有する公知の熱可塑性樹脂が制限なく使用される。通常は、脂肪族系高分子の水素原子のすべてまたは大部分がフッ素原子によって置換された構造のものが好適に使用される。
好適に使用できるフッ素系樹脂を例示すれば、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルエーテル)、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このうち、本発明では、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)が好ましく、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。また、これらのフッ素系樹脂は、機械的強度の良好さから平均分子量が10万以上のものが好ましい。
【0044】
このような多孔膜と高分子電解質との複合化方法に特に制限は無く、高分子電解質溶液中に多孔膜を含浸し、多孔膜を取り出した後に溶媒を乾燥させて複合膜を得る方法や、高分子電解質溶液を多孔膜に塗布し、溶媒を乾燥させて複合膜を得る方法、多孔膜に減圧下で高分子電解質溶液を接触させ、その後常圧に戻す事で溶液を多孔膜空孔内に含浸させ、溶媒を乾燥させて複合膜を得る方法、等が複合化方法として例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本発明における高分子電解質が伝導できるイオンとしては、様々なイオンを挙げることが可能であるが、好ましくはプロトン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンなどのカチオンであり、さらに好ましくはプロトン、リチウムイオンである。
【0046】
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、高分子電解質フィルムの両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーに白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法、およびそれをイオン伝導性高分子フィルムと接合させる方法については、例えば、J. Electrochem.Soc.: Electrochemical Science and Technology, 135(9), 2209 (1988) に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、プロトン伝導度測定は、恒温槽中80℃で1287型高性能ポテンショ/ガルバノスタット(ソーラトロン社製)及び1260型インピーダンス・ゲイン/フェースアナライザ(ソーラトロン社製)を用いて、相対湿度90%(90%RH)、相対湿度70%(70%RH)および相対湿度50%(50%RH)において交流インピーダンス法で測定した。
【0048】
実施例1
(a)ポリ(2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフチレン)の合成
500ml三角フラスコに塩化第一銅12.0mg(0.12mmol)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン14.0mg(0.12mmol)、2−エトキシエタノール60mlを入れ大気下、室温で30分間攪拌した。次いで2,6−ジヒドロキシナフタレン2.11g(13.2mmol)を加えて大気下、室温で90h攪拌を行った。攪拌後、反応液を1N−HClに投入して重合体を析出させ、ろ過、乾燥を行って重合体2.20g得た。得られたポリマーは13C−NMR、1H−NMR測定の結果、ポリ(2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフチレン)(A)であることが確認された。DMAcを展開溶媒としたGPC測定による分子量の測定結果、数平均分子量はポリスチレン換算で27000であった。
得られたポリ(2,6−ジヒドロキシ−1,5−ナフチレン)をジメチルホルムアミドに約10重量%の濃度で溶解し、シャーレに流延し、80℃で乾燥して溶媒を除去することにより、厚さ211μmの強靭なフィルムが得られた。フィルムのプロトン伝導度を表1に示す。
【0049】
実施例2
実施例1で得られた(A)0.200gをDMF3mlに溶解させ、さらにリン酸水溶液(85重量%)を0.146g加え完全に混合した。得られた混合液をシャーレに流延し、80℃で12時間乾燥させることにより178μmの強靭なフィルム(B)が得られた。フィルムのプロトン伝導度を、表1に示す。
【0050】
実施例3
実施例1で得られた(A)0.300gおよび2,6−ジヒドロキシメチル−4−クレゾール0.033gをDMF6mlに溶解させ、均一溶液とした。これにメタンスルホン酸を0.05g加えて、シャーレに流延した。これを80℃で乾燥して溶媒を除去し、さらに130℃で3時間加熱した後、室温で1N水酸化ナトリウム水溶液、次いで1N塩酸で洗浄して85μmの強靭なフィルム(C)を得た。得られたフィルムはDMFに不溶であり、架橋反応していることが確認された。フィルムのプロトン伝導度を、表1に示す。
【0051】
実施例4
実施例3で得られたフィルム(C)をリン酸85wt%溶液に一晩浸漬した。これを取り出し後、フィルムの表面に付着しているリン酸を水洗いで取り除き、乾燥することによりフィルム(D)を得た。浸漬前後のフィルム重量の増加量から計算したリン酸含量は5.5重量%であった。フィルム(D)のプロトン伝導度を、表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例5 燃料電池特性評価
市販の白金担持炭素微粒子(白金担持量=30wt%)10mgをNafion(アルドリッチ社製、5wt%、アルコール/水混合溶液)0.1mlと混合してペースト状とし、5cm2の多孔質性のカーボン織布に塗布し、これを乾燥して電極を作成した。このようにして作成した電極を2枚用い、実施例4で得られたフィルム(D)の両面に1枚ずつ接合した。該接合体の一方の面に0.1MPaの加湿酸素ガスを、もう一方の面に0.1MPaの加湿水素ガスを流し、該接合体を80℃に保ち、その発電特性を測定した。
電流密度が100mA/cm2の時のセル電圧は0.71V、電圧が0.25Vの時の電流密度は、350mA/cm2であった。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、パーフルオロスルホン酸系、スルホン酸基を有する芳香族ポリエーテル系、フェノールスルホン酸系以外の高分子電解質を提供し得る。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で示されることを特徴とするフェノール性水酸基を有する高分子電解質。
−(A)n−(B)m− (1)
(式中、Aは、下式(2a)〜(2b)
(Rは、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、フェニル基またはハロゲンを表わし、Rが複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。pは0〜3の、qは0〜5の整数を表す。)
の群から選ばれるフェノール性水酸基を有する少なくとも1種の二価の芳香族基を表し、Bは、下式(3a)〜(3b)
(R'は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数7〜12のアラルキル基、フェニル基、またはハロゲンを表わし、R’が複数ある場合は、これらは同一でも異なっていてもよい。rは0〜4の、sは0〜6の整数を表す。)の群から選ばれる少なくとも1種の二価の芳香族基を表す。m、nは繰返し単位の数を表し、nは80〜100000の範囲であり、n個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよく、mは0〜100000の範囲でありm個ずつある繰り返し単位は同じであっても異なっていてもよい。n個ずつある繰り返し単位とm個ずつある繰り返し単位は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、マルチブロック共重合体、またはグラフト共重合体のいずれの結合様式であってもよい。) - 請求項1の高分子電解質を架橋してなることを特徴とする架橋高分子電解質。
- 請求項1の高分子電解質及び/又は請求項2の架橋高分子電解質と下記一般式(4)で表わされるリン酸類とを含有することを特徴とする高分子電解質組成物。
O=P(OR'')k(OH)3-k (4)
(式中、R''は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。kは0〜2を表す。kが2の場合、2個あるR''は同一でも異なっていてもよい。)
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