JP4265099B2 - 紙葉類の厚さ検出装置及び紙葉類取扱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紙葉類の厚さ検出装置及び紙葉類取扱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
搬送路を挟んで固定ローラと可動ローラを一定のすきまに保って対向させた配置とし、紙葉類が通過したときの可動ローラの変位をてこ式の検知レバーを介して増幅し、増幅した変位を変位検出センサで測定して紙葉類の厚さを検出する装置として、特開2000−99798号公報に記載の紙葉類処理装置がある。ここには、複数個の幅の異なる可動ローラの変位を個々に検出して、連続する複数個の可動ローラに変位が発生した場合、その個数により、折れやめくれ有、テープ等の異物付着有として判別する構成が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術では、折れやめくれ、テープ等の異物の付着検出を行うには、(1)複数個の幅の異なる可動ローラを用いていることから、個々の可動ローラに変位センサや光電スイッチ等を取り付けて移動量や移動の有無を検出するために、構造が非常に複雑となり大形化することや、(2)複数個の変位センサや光電スイッチ等の出力を処理しなければならないため、搬送路を長くするなどして処理時間を稼ぐ必要があることなどの問題があった。
【0004】
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、紙葉類の厚さ検出装置において、折れやめくれがある正常な紙葉類とテープ等の異物が付着した異常な紙葉類を、複雑な構造や処理を行うことなく判別できる紙葉類の厚さ検出装置及び紙葉類取扱装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、紙葉類の厚さ検出装置として、筐体と、固定ローラと、前記固定ローラを保持し筐体に固定する固定ローラ取付治具と、紙葉類厚さ方向に可動な可動ローラと、前記可動ローラの変位を測定する変位検出センサとを備えた紙葉類取扱装置において、前記固定ローラと前記可動ローラは、紙葉類搬送路を挟んで対向して配置され、紙葉類通過時の前記可動ローラの変位を変位検出センサで測定して紙葉類の厚さを検出し、折れやめくれがある正常な紙葉類と異物が付着した異常な紙葉類を判別するために、紙葉類の端部から所定位置までに厚さの検出を行わない、あるいは検出しても厚さ検出に用いない区間を設けたことにより達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の紙葉類取扱装置を現金自動取引装置に適用し、紙葉類を紙幣とし、紙葉類の厚さ検出装置を二枚検知器とした場合の一実施例について説明する。図1及び図2は、紙幣の厚さ検出装置、すなわち二枚検知器、図3は紙幣の厚さ検出装置を有する現金自動取引装置の一実施例を示す。
【0007】
はじめに、図3を用いて、現金自動取引装置1の入出金動作について説明する。
【0008】
入金時の動作について説明する。入出金口21に入れられた紙幣3は、1枚づつ分離され、二枚検知器22、鑑別器23を通り、一時収納部24に収納される。二枚検知器22の紙幣搬送方向上流側には、搬送路を通過する紙幣3を検知する通過センサ28が設けられている。
【0009】
二枚検知器22では、紙幣3が複数枚重なっているか否か、テープ等の異物付着の有無を判別する。2枚以上重なっていたり、テープ等の異物が付着していると異常と判定する。また、鑑別器23では紙幣3の金種判別と入金された金額の合計を算出し、偽造紙幣や紙幣でないものがあると異常と判定する。これら二枚検知器22又は鑑別器23で異常と判定された場合は、現金自動取引装置1で扱えないとして、入出金口21に戻される。
【0010】
異常がないと判定された場合は、一時収納部24に収納された紙幣3の金額と入出金口21に入れた入金額の確認を行い、金額が一致すると一時収納部24に収納されていた紙幣3は、再び鑑別器23、二枚検知器22を通り、非還流とする紙幣は排除箱25に、還流する紙幣は各金種別の還流箱26に収納される。
【0011】
出金時の動作について説明する。出金額を入力すると、各還流箱26から出金する紙幣3を1枚づつ分離して搬送し、二枚検知器22で2枚以上重なっていないことを判別し、鑑別器23で出金する金額の金種判別と出金する金額を確認して入出金口21に搬送する。
【0012】
なお、異常と判定された紙幣は、一時収納部24に搬送され、出金終了後に排除箱25に収納される。また、一時収納部24、鑑別器23、二枚検知器22、各還流箱26間の搬送路27は、入金、出金時に搬送方向が変わる往復搬送路となっている。
【0013】
ここでは、往復搬送路を用いたが、一方向に搬送する場合も搬送路が増えるが動作は同じである。また、往復搬送路を用いると、二枚検知器22を通過する紙幣はいずれの方向からも搬送されるため、通過センサ28は、二枚検知器22の両側に設ける。
【0014】
次に、図1及び図2に示した本実施例の紙幣の厚さ検出装置2の動作について説明する。
【0015】
紙幣3は、対向して配置された固定ローラ4と可動ローラ5の間を搬送される。なお、固定ローラ4と可動ローラ5は、図示しない駆動手段により駆動されている。
【0016】
この固定ローラ4と可動ローラ5とを有する紙幣の厚さ検出装置2の構成は、固定ローラ4は固定ローラ取付治具6で保持して、固定ローラ取付治具取付ねじ14で筐体8に固定され、可動ローラ5はアーム状の検知レバー7で保持して、検知レバー7の支点10を回転中心にして筐体8に固定されている。固定ローラ4と可動ローラ5間は、紙粉等の付着を防止するために一定なすきまが設けられていて、一定なすきまは、筐体8側と検知レバー7間に取り付けたすきま調整ねじ9で検知レバー7とともに可動ローラ5を移動させて調整されている。
【0017】
また、通過する紙幣3に適度な押圧力を与えて厚さを検出するために、検知レバー7は筐体8側とばね11で支持されている。ここでは、固定ローラ4と可動ローラ5の間に一定のすきまを設けた例を示したが、紙粉等の付着が起きない場合等はすきまはなくてもかまわない。
【0018】
紙幣3の厚さは、変位検出センサ取付ねじ15で筐体8に固定した変位検出センサ12を用い、検知レバー7上の検出板13と変位検出センサ12とを一定なすきまに保ち対向させた構成として、両者間のすきまの変化を測定する。
【0019】
図4、図5及び図6を用いてテープ等が付着した場合の検出について説明する。
【0020】
図4(a)は矢印で示す搬送方向の紙幣前部に折れ30がある紙幣3の変位出力波形31、図4(b)はテープ32で修繕された紙幣3(以降、異常券と呼ぶ)の変位出力波形33の例である。このように、搬送方向からみて、折れやめくれの長さと異常券のテープの長さが近いと出力される変位波形は同じような波形となることが多い。
【0021】
紙幣にできる折れやめくれは、主に紙幣を折った折り目を中心にできることが多いことから搬送方向の紙幣端部の前後に発生するが、テープ32で修繕した紙幣は、破れの修繕などのため場所の特定が難しい。
【0022】
そこで、正常券として取扱う折れやめくれが紙幣前後にある紙幣と異常券との区別するために、折れやめくれを包含する図4(a)のハッチングで示す部分34を、厚さの検出を行わない、あるいは厚さの検出に用いない部分(以降、不感帯と呼ぶ)とする。この不感帯を設けることで、正常券として取扱う折れやめくれが紙幣前後にある紙幣と異常券とを誤検知することなく、区別して検出できる。
【0023】
折れやめくれの幅や長さは、ゲートジャムや分離時のミスフィード防止を考慮した長さとすることが望ましく、例えば紙幣では、通常、端部から約5〜10mm程度である。
【0024】
この不感帯は、紙幣先端部、紙幣後端部、紙幣先端部と紙幣後端部の両方のいずれかに設けることができ、不感帯長さの範囲は紙幣端部から、折れやめくれ長さにより変化するが、例えば8〜25mm程度である。また、異常券は、入金して二枚検知器22で検出されると入出金口へ返却する、あるいは、異常券であっても、同じ金額となるものは取引成立後、排除箱に入れるようにすることもできる。
【0025】
ここで不感帯について説明する。二重検知器22の搬送方向上流側に設けられた通過センサ28によって、紙幣の先端部を検知してから、後端部が通過し検知し終えるまでの時間を測定する。
【0026】
この時間と、搬送路27の搬送速度と、通過センサ28と二重検知器22との間の距離とから、変位検出センサ12で変位の検出を開始する時点及び変位の検出を終了する時点を定めることができる。
【0027】
すなわち、紙幣端部から所定の位置までの区間の厚さ検出を行わないことで不感帯を設ける場合は、変位の検出を開始する時点を所定時間遅らせることで、紙幣先端部から所定の位置までの区間を不感帯とすることができる。また、変位の検出を終了する時点を所定時間早めることによって紙幣後端部から所定の位置までの区間を不感帯とすることができる。
【0028】
また、紙幣端部から所定の位置までの区間を厚さ検出に用いない場合は、不感帯を設けない場合と同様に変位検出センサ12で変位を検出し、検出された情報のうち、紙幣端部から所定の位置までの区間の情報を用いずに紙幣3の厚さを判断する。
【0029】
二重検知器22での変位検出時間を所定時間短縮すること、あるいは、検出情報のうち、厚さ検出に用いる部分を選択することが、紙幣に不感帯を設けることに相当する。
【0030】
図5は異常券を入金口へ返却する処理の流れを示すフローチャートの一例を示す図である。
【0031】
入金時の流れは、紙幣を入出金口へ投入(101)すると、紙幣搬送路が起動(102)し、二枚検知の基準出力取得(103)が行われる。この基準出力取得とは、紙幣のない状態における変位センサの出力をオフセット値として取得するもので、紙幣がある場合の出力との差から厚さを検出するためのものである。
【0032】
その後、基準出力に2枚以上となる出力を2枚以上のしきい値として登録(104)し、異常券となる出力を異常券のしきい値として登録(105)し、紙幣を1枚づつ搬送(106)して、二枚検知器を通ると、出力信号が2枚以上となるしきい値以上となるか(107)を判定し、2枚以上となるしきい値以上の場合は入出金口へ紙幣を返却(112)し、2枚以上となるしきい値以下の場合は、異常券検出となるしきい値と不感帯を設けた出力信号を比較(108)し、異常と判定された場合は紙幣を入金口へ返却する。正常であれば、金種判別と金額確認(109)を行い、取引が成立(110)すると還流箱へ収納(111)される。また、取引が成立(110)しないと、紙幣は入出金口へ返却(112)される。
【0033】
ここで、異常券検出となるしきい値の上限と下限を設けたのは、しわのある紙幣等を正常と扱うための例で、この場合、異常券のしきい値は上限と下限を登録(105)することになる。ここでは、2枚以上となるしきい値と出力信号の比較(107)を行った後、異常券検出となるしきい値と不感帯を設けた出力信号の比較(108)を個々に行ったが、同時に行うこともできる。
【0034】
図6は、異常券であっても、取引終了後に排除箱に入れる(113)ようにした処理を示すフローチャートである。
【0035】
図5では、出力信号が2枚以上となるしきい値以上となるか(107)を判別したすぐ後に異常券の検出(108)を行ったが、図6では、取引成立(110)後に異常券の検出(108)を行い、異常であれば、排出箱に入れる動作をするものである。ここでは、図5と図6に異常券の処理を分けたが、両方の処理を行ってもよい。
【0036】
以上これらの方法によれば、テープ等の異物が付着した異常な紙幣と折れやめくれがある正常な紙幣を精度よく判別することができ、誤検知を低減して排除率の増加を防止することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、テープ等の異物が紙葉類に付着した異常な場合と折れやめくれがある正常な場合を精度よく判別できることから、誤検知を低減して排除率の増加を防止をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である紙葉類の厚さ検出装置を正面から見た概略図。
【図2】本発明の一実施例である紙葉類の厚さ検出装置を側面から見た概略図。
【図3】本発明の一実施例である紙葉類の厚さ検出装置を備えた現金自動取引装置を示す図。
【図4】本発明の一実施例である紙葉類の厚さ検出装置の変位検出センサから出力されるテープ等の異物が付着した紙幣と折れがある紙幣の変位出力波形例を示す図。
【図5】テープ等の異物が付着した紙幣と折れやめくれがある紙幣を区分し、異物が付着した紙幣は入金口へ返却する処理の例を示すフローチャート図。
【図6】テープ等の異物が付着した紙幣と折れやめくれがある紙幣を区分し、異物が付着した紙幣は排除箱へ収納する処理の例を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1…現金自動取引装置(紙葉類取扱装置)、2…紙葉類の厚さ検出装置、3…紙葉類(または紙幣)、4…固定ローラ、5…可動ローラ、6…固定ローラ取付治具、7…検知レバー、8…筐体、9…すきま調整ねじ、10…支点、11…ばね、12…変位検出センサ、13…検出板、14…固定ローラ取付治具取付ねじ、15…変位検出センサ取付ねじ、21…入出金口、22…二枚検知器、23…鑑別器、24…一時スタッカ、25…排除箱、26…還流箱、27…往復搬送路、28…通過センサ、30…折れ、31…折れの変位波形、32…テープ、33…テープの変位波形、34…不感帯。
Claims (1)
- 紙葉類の厚さ検出装置として、筐体と、固定ローラと、前記固定ローラを保持し筐体に固定する固定ローラ取付治具と、紙葉類厚さ方向に可動な可動ローラと、前記可動ローラの変位を測定する変位検出センサとを備えた紙葉類取扱装置において、
前記固定ローラと前記可動ローラは、紙葉類搬送路を挟んで対向して配置され、紙葉類通過時の前記可動ローラの変位を変位検出センサで測定して紙葉類の厚さを検出し、折れやめくれがある正常な紙葉類と異物が付着した異常な紙葉類を判別するために、紙葉類の端部から所定位置までに厚さの検出を行わない、あるいは検出しても厚さ検出に用いない区間を設けたことを特徴とする紙葉類取扱装置。
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